JP2015166441A - ブロー成形用ポリエステル樹脂及びそれからなるブロー成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、次の(イ)〜(ニ)を要旨とするものである。
(イ)酸成分がテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分がエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとを主成分とし、かつエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70であるポリエステル樹脂であって、下記(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂。
(1)結晶融点が160〜205℃
(2)極限粘度が0.5〜1.4
(3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下
(ロ)環状3量体の含有量が0.3質量%以下である、(イ)に記載のブロー成形用ポリエステル樹脂。
(ハ)(イ)、(ロ)のいずれかに記載のブロー成形用ポリエステル樹脂からなるブロー成形品。
そして、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂から得られるものであるため、透明性、柔軟性に優れており、種々の用途に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂はブロー成形用に好適なものであり、中でも、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むダイレクトブロー成形法、もしくは射出成形でパリソンを形成し、これを延伸ブロー成形する延伸ブロー成形法に好適なものである。
(1)結晶融点が160〜205℃
(2)極限粘度が0.5〜1.4
(3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下
チタン化合物やゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、これらの化合物の含有量が5×10−5モル未満であると、目標の重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、3.0×10−4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。
チタン化合物としては、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、シュウ酸チタンカリウム等が好ましく用いられ、コストや重縮合触媒活性の点からテトラ−n−ブチルチタネートが好ましい。
まず、温度230〜250℃で窒素ガス制圧下、ビス-(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート又はその低重合体の存在するエステル化反応槽に、エチレングリコールとテレフタル酸とからなり、両者の物質量(モル)比が1,1〜2.0のスラリーを連続的に添加し、滞留時間7〜8時間で平均重合度10以下のエステルオリゴマーを連続的に得る。次に、このテレフタル酸とエチレングリコールからなるエステルオリゴマーを溶融重縮合反応缶に移し、1,4−ブタンジオールを、エチレングリコール/1,4-ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70の範囲内となる量で加え、200〜230℃で反応を行う。なお、反応の温度が200℃未満では、反応が遅くなるばかりであり、また、エステルオリゴマーが固化してしまうおそれがある。また、230℃を超えると、1,4−ブタンジオールが反応中に分解してテトラヒドロフランとなり、所定の1,4−ブタンジオールの比率のポリエステル樹脂が得られない。
(a)極限粘度([η])
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(b)カルボキシル末端基濃度
得られたポリエステル樹脂0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
得られたポリエステル樹脂を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの用量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(d)融点(Tm)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7型)を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
得られたポリエステル樹脂100mgをヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、アセトニトリルを加え、抽出したのち、液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件にて測定し、環状3量体の量を算出した。
カラム:Waters マイクロボンダスフィア
充填剤:Si−C18 5μ 100A
検出器: Waters 2996型 PDA検出器(光源波長 254nm)
測定時流速: 1ml/min
移動相溶媒 アセトニトリル/水=7/3及びアセトニトリル
得られた成形品1、成形品2ともにサンプル数100個の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数は90個以上であることが好ましい。
(g)ヘーズ
得られた成形品1、成形品2ともに、それぞれ成形品から切り出してサンプル片(長さ3cm、幅3cm)100個を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数100の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(h)色調
得られたチップ状のポリエステル樹脂を、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。
(f)の成形性で合格となったサンプルより任意に20個を選び出し、成形品を横に載置し、順に荷重をかける。このとき、成形品が4分の1程度たわむところで停止し、その際に成形品が割れる又はひびが入った個数を測定した。割れた又はひびが入った個数が2個以下までのものを合格とした。なお、(f)の成形性において合格サンプルが20個に満たなかったものは測定しなかった。
ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体の存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%のエステルオリゴマーを連続的に得た。このエステルオリゴマー60.3kgを溶融重縮合反応缶に仕込み、1,4−ブタンジオールをエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとのモル比が55/45となる量(16.2kg)添加し、さらに、重縮合触媒として、テトラ−n−ブチルチタネートを、それぞれ加え、徐々に減圧して、最終的に圧力0.9hpa、温度250℃で4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してチップ状のポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、[η]=0.67、カルボキシル末端基濃度=28、Tm=181℃という特性を有するものであった。
このポリエステル樹脂を用い、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製 MSE5043Y−A)を用い、押出温度195℃で樹脂を押出して円筒形パリソンを形成し(パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで成形し)、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローし、胴部の平均肉厚1.0mm、内径3.5cm、高さ11.5cmの円筒状のボトル(内容量100ccの中空容器)を得た。これを成形品1とする。
また、このポリエステル樹脂を用い、乾燥させた後、シリンダー各部およびノズル温度を230℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50TH型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、胴部の平均肉厚300μm、内径3.5cm、高さ15cmの円筒状のボトル(内容積150ccの中空容器)を得た。これを成形品2とする。
ポリエステル樹脂を製造する際のブタンジオールの添加量を変更し、組成を表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
ポリエステル樹脂を製造する際の重合触媒の種類と量を変更し、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)を用い、これらの含有量が表1に示す値となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。なお、重合触媒としては、二酸化ゲルマニウム(表1中、Ge系と表記)、酢酸コバルト(表1中、Co系と表記)を用いた。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
ポリエステル樹脂を製造する際のブタンジオールの添加量を変更し、組成を表1の値となるように変更し、かつ重合触媒の種類と量、及びヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)の含有量が表1の値となるように添加量を変更した以外は、実施例4と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
重縮合反応時間を2.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
エステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコールをモル比1/1.6となるように投入し、さらにエチレングリコールとモル比が55/45となるように1,4−ブタンジオールを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間としてエステルオリゴマーを得た。ここに重合触媒として、テトラブチルチタネートを添加し、徐々に減圧して、最終的に圧力0.9hPa、温度280℃で4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してチップ状のポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、[η]=0.69、カルボキシル末端基濃度=38、Tm=179℃であった。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
比較例2、3で得られたポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールの添加量が多かったため、融点が高いものとなった。このため、成形品1、2を得る際の成形温度では成形が不可能であった。
そこで、比較例1〜3においては、成形品1、2の成形加工温度を270℃に変更して実施したが、熱分解による粘度低下が生じ、いずれも成形品を得ることが出来なかった。
比較例5で得られたポリエステル樹脂は、カルボキシル末端基量が35を超えるものであったため、ブロー成形時の熱処理によって、樹脂の熱分解が生じ、成形時のドローダウンが大きくなった。このため、成形品1、2ともに厚みムラが生じたものとなり、柔軟性にも劣るものであった。
Claims (3)
- 酸成分がテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分がエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとを主成分とし、かつエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70であるポリエステル樹脂であって、下記(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂。
(1)結晶融点が160〜205℃
(2)極限粘度が0.5〜1.4
(3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下 - 環状3量体の含有量が0.3質量%以下である、請求項1に記載のブロー成形用ポリエステル樹脂。
- 請求項1及び2のいずれかに記載のブロー成形用ポリエステル樹脂からなるブロー成形品。
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