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JP2015166441A - ブロー成形用ポリエステル樹脂及びそれからなるブロー成形品 - Google Patents

ブロー成形用ポリエステル樹脂及びそれからなるブロー成形品 Download PDF

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JP2015166441A
JP2015166441A JP2014257564A JP2014257564A JP2015166441A JP 2015166441 A JP2015166441 A JP 2015166441A JP 2014257564 A JP2014257564 A JP 2014257564A JP 2014257564 A JP2014257564 A JP 2014257564A JP 2015166441 A JP2015166441 A JP 2015166441A
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butanediol
molding
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大 岩崎
Dai Iwasaki
大 岩崎
種田 祐路
Yuji Taneda
祐路 種田
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Nippon Ester Co Ltd
Unitika Ltd
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Nippon Ester Co Ltd
Unitika Ltd
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】ブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性に優れ、再生材のリサイクル性にも優れたブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂及び該樹脂からなるブロー成形品の提供。【解決手段】酸成分がテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分がエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとを主成分とし、かつエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70であるポリエステル樹脂であって、下記(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂。(1)結晶融点が160〜205℃、(2)極限粘度が0.5〜1.4、(3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下【選択図】なし

Description

本発明は、低温での成形が可能で、柔軟性や透明性に優れたブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。
一般に、プラスチック製のボトルなどを製造するにあたっては、成形の容易性、高生産性、成形機械や金型などの設備費が比較的安くてすむなどの点から、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むいわゆるダイレクトブロー成形法が採用されている。そして、このダイレクトブロー成形による場合は、成形を円滑に行うために、溶融状態で押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンするのを回避する必要があり、そのため、使用樹脂に高い溶融粘度が要求される。したがって、高い溶融粘度を有する樹脂として、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などがダイレクトブロー成形においては広く用いられている。
ダイレクトブロー成形品においても塩化ビニル樹脂からポリエステル樹脂への置き換えが検討されているが、ポリエステル樹脂は、一般にダイレクトブロー成形に適する高い溶融粘度を有していない。このため、押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンし、吹き込み成形が行えないという問題があり、また、ブロー時に結晶化が起こりやすいため、成形が可能であっても白化が生じ、透明性が不十分になるという問題があった。
また、特許文献1には、エチレン−2,6−ナフタレート単位90〜40モル%とエチレンイソフタレート単位10〜60モル%とを含有する共重合ポリエルテル樹脂からなるダイレクトブロー中空成形品が記載されており、ガスバリヤー性や透明性に優れていることが示されている。しかしながら、このような共重合ポリエステル樹脂は、融点が高いため、低温での成形ができないものであり、また得られる成形品は柔軟性に優れるという特徴を有するものではなかった。
特開平5−008283号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、低温でのブロー成形が可能で、透明性、柔軟性に優れたブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂を提供しようとするものである。さらに、本発明のブロー成形用ポリエステル樹脂からなり、透明性や柔軟性に優れたブロー成形品を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(イ)〜(ニ)を要旨とするものである。
(イ)酸成分がテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分がエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとを主成分とし、かつエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70であるポリエステル樹脂であって、下記(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂。
(1)結晶融点が160〜205℃
(2)極限粘度が0.5〜1.4
(3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下
(ロ)環状3量体の含有量が0.3質量%以下である、(イ)に記載のブロー成形用ポリエステル樹脂。
(ハ)(イ)、(ロ)のいずれかに記載のブロー成形用ポリエステル樹脂からなるブロー成形品。
本発明のポリエステル樹脂は、特定の組成からなる共重合ポリエステル樹脂であり、ブロー成形用に適した極限粘度、カルボキシル末端基濃度のものであるため、ブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、透明性、柔軟性に優れた各種ブロー成形品を生産性よく得ることができる。さらには、結晶融点が低いものであるため、低温での成形が可能であり、生産性に優れている。
そして、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂から得られるものであるため、透明性、柔軟性に優れており、種々の用途に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂はブロー成形用に好適なものであり、中でも、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むダイレクトブロー成形法、もしくは射出成形でパリソンを形成し、これを延伸ブロー成形する延伸ブロー成形法に好適なものである。
本発明のポリエステル樹脂は、酸成分がテレフタル酸(以下、TPAと略記することがある。)を主成分とするものであり、中でもテレフタル酸は、酸成分の90モル%以上であることが好ましく、さらには95モル%以上であることが好ましい。テレフタル酸は、ポリエチレンテレフタレートの酸成分として知られているように、ポリエステル一般に共通の好ましい物性を与えるのに寄与する。テレフタル酸の割合が90モル%未満であると、このような樹脂から得られる成形体は結晶性に劣るものとなる。
一方、ポリエステル樹脂中のグリコール成分は、エチレングリコール(以下、EGと略記することがある。)と1,4−ブタンジオール(以下、BDと略記することがある。)を主成分とするものであり、中でも両成分の割合が80モル%以上であることが好ましく、さらには85モル%以上であることが好ましい。
そして、両者の質量比(EG/BD)は、80/20〜30/70であり、中でも70/30〜40/60であることが好ましい。この範囲を外れると、ポリエステル樹脂の融点が高くなる。また、ポリエステル樹脂の結晶性が悪くなったり、重縮合反応中にテトラヒドロフランが生成したり、ポリエステルの熱安定性の悪化を招く。このため、ブロー成形を低温で行うことができず、また、高温でブロー成形を行ったとしても、樹脂のドローダウンが生じ、成形が困難になったり、成形できたとしても厚みムラのある成形品となる。
また、得られるブロー成形品の柔軟性を向上させるためには、ポリエステル樹脂中のグリコール成分に、共重合成分としてポリテトラメチレングリコールが含有されていることが好ましい。ポリテトラメチレングリコールの含有量(共重合量)は、0.1〜20モル%であることが好ましく、中でも0.1〜15モル%であることが好ましい。
さらには、ポリエステルを構成する成分として、本発明の目的を損なわない範囲において、上記したテレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−ブタンジオールに加えて、次のような成分が共重合されていてもよい。イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の成分が挙げられる。
なお、上記したポリエステルを構成する成分としてのテレフタル酸、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール及び他の成分には、これらのエステル形成性誘導体が概念として含まれる。そしてこのようなエステル形成性誘導体を共重合成分として併用してもよい。
そして、本発明のポリエステル樹脂は下記(1)〜(3)の条件を同時に満足するものである。
(1)結晶融点が160〜205℃
(2)極限粘度が0.5〜1.4
(3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下
まず、本発明のポリエステル樹脂は、(1)の条件として結晶融点を有するものであり、その結晶融点は、160〜205℃であり、中でも180〜200℃であることが好ましい。結晶融点が160℃未満であると、得られるダイレクトブロー成形品の耐熱性が不足する。一方、205℃を超えると、ブロー成形時の熱処理温度を高温にしなければならないため、コスト的に不利となる。
次に(2)の条件として、本発明のポリエステル樹脂は、極限粘度(IV)が、0.5〜1.4であることが必要であり、中でも0.6〜1.2であることが好ましい。なお、極限粘度(IV)は、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定するものである。
極限粘度が0.5未満の場合は、樹脂の粘度が低いため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。一方、極限粘度が1.4を超える場合は、成形時の温度を上げる必要があり、コスト的に不利となり、また、得られる成形品は色調や透明性に劣るものとなる。
さらに(3)の条件として、本発明のポリエステル樹脂は、カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下であることが必要であり、中でも30当量/t以下であることが好ましく、さらには28当量/t以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度を35当量/t以下とすることによって、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じることがないため、粘度低下を抑えることができ、安定した成形が可能となる。カルボキシル末端基濃度が35当量/tを超える場合は、たとえ、樹脂の極限粘度が上記したような範囲のものであったとしても、ブロー成形時の熱処理によって、樹脂の熱分解が生じ、樹脂の粘度が低下する。このため、パリソンのドローダウンが大きくなって、成形が困難になり、得られたとしても、成形品は厚みムラが生じたものとなる。
また、本発明のポリエステル樹脂中には、酸化防止剤が含有されていてもよい。中でもヒンダードフェノール系抗酸化剤は、ポリエステル樹脂中の0.01〜2.0質量%となるように添加されていることが好ましく、中でも0.1〜1.0質量%であることが好ましい。ヒンダードフェノール系抗酸化剤を適量添加することにより、フタル酸成分の熱分解を抑制する効果を有するものとなり、ポリエステル樹脂の色調が良好となる。また、酸化防止剤が分解して、ペンタエリスリトール(4官能成分)が生成し、これがポリエステルの分子鎖中に組み込まれることで、ポリエステル樹脂の粘性が高いものとなる。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤が0.01質量%未満では上記のような効果を奏することが困難となる。一方、2.0質量%を超えると、重縮合反応速度の低下やポリエステル樹脂の着色が生じやすくなるので好ましくない。
また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の例としては、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂は、環状3量体の含有量が0.3質量%以下であることが好ましく、中でも0.2質量%以下であることが好ましい。環状3量体の含有量が0.3質量%以下であるポリエステル樹脂を成形に供することで、金型等の汚染の改善が認められ、表面荒れや白化などのない透明性に優れたブロー成形体を得ることができる。環状3量体の含有量が、0.3質量%を超えると、ブロー成形時に金型やノズルなどの装置類に付着し、汚染が生じる。そして、これらの汚染が成形品の表面肌荒れや白化などの原因となり、表面荒れや白化などが生じ、透明性に劣ったブロー成形体となりやすい。
また、通常、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエチレンテレフタレートにおける環状3量体の含有量は、1質量%程度であり、固相重合処理を行うことでも0.3〜0.5質量%程度までしか低下しない。一方、本発明のポリエステル樹脂中の環状3量体の含有量は、0.3質量%以下と非常に少ない。これは、ジオール成分において、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールが特定の比率で構成されることにより達成されるものである。
そして、本発明のポリエステル樹脂中には、チタン化合物やゲルマニウム化合物が、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10−5モル〜3.0×10−4モル含有されており、中でも6×10−5モル〜2.0×10−4モル含有されていることが好ましい。
チタン化合物やゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、これらの化合物の含有量が5×10−5モル未満であると、目標の重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、3.0×10−4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
チタン化合物としては、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、シュウ酸チタンカリウム等が好ましく用いられ、コストや重縮合触媒活性の点からテトラ−n−ブチルチタネートが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂中には、コバルト化合物が含有されていることが好ましい。コバルト化合物を含有することによって、色調に優れた樹脂とすることができ、より色調に優れたブロー成形品を得ることが可能となる。コバルト化合物は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1×10−5モル〜2.0×10−4モル含有されていることが好ましく、中でも3×10−5モル〜1.0×10−4モル含有されていることが好ましい。
コバルト化合物の含有量が1×10−5モル未満であると、ポリエステル樹脂の色調改良効果が小さく、一方、2.0×10−4モルを超えると、ポリエステルの透明性が悪くなり、経時安定性も悪くなるため、好ましくない。コバルト化合物は重合触媒として使用されることが好ましく、具体的には、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト等が挙げられる。中でも、重合触媒活性や得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、酢酸コバルトが好ましい。
また、本発明のポリエステル樹脂中には、上記のような酸化防止剤の他、着色防止剤として、例えば、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート等のリン化合物を用いることができ、これらのリン化合物は単独で使用しても2種以上使用してもよい。また、ポリエステル樹脂の熱分解による着色を抑制するために、酢酸マンガン等のマンガン化合物、アントラキノン系染料化合物、銅フタロシアニン系化合物等の添加剤が含有されていてもよい。
次に、本発明のポリエステル樹脂の製造方法について説明する。本発明におけるポリエステル樹脂は、エステル化反応、溶融重合反応工程を経て得られるものであることが好ましい。また、溶融重合反応工程後に固相重合反応工程を経てもよい。これらの工程や条件を特定のものにすることによって、本発明のポリエステル樹脂を得ることができる。
具体的には、例えば、次のような方法で製造することができる。
まず、温度230〜250℃で窒素ガス制圧下、ビス-(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート又はその低重合体の存在するエステル化反応槽に、エチレングリコールとテレフタル酸とからなり、両者の物質量(モル)比が1,1〜2.0のスラリーを連続的に添加し、滞留時間7〜8時間で平均重合度10以下のエステルオリゴマーを連続的に得る。次に、このテレフタル酸とエチレングリコールからなるエステルオリゴマーを溶融重縮合反応缶に移し、1,4−ブタンジオールを、エチレングリコール/1,4-ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70の範囲内となる量で加え、200〜230℃で反応を行う。なお、反応の温度が200℃未満では、反応が遅くなるばかりであり、また、エステルオリゴマーが固化してしまうおそれがある。また、230℃を超えると、1,4−ブタンジオールが反応中に分解してテトラヒドロフランとなり、所定の1,4−ブタンジオールの比率のポリエステル樹脂が得られない。
さらに重縮合触媒を添加した後、溶融重縮合反応缶の温度を200〜260℃に昇温し、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限粘度となるまで溶融重縮合反応を行う。このようにして、所定の条件で溶融重縮合反応を行って製造された本発明のポリエステル樹脂は、ガス圧を利用してノズルから押出すことにより多数の棒状に払い出され、カットされてチップ形態として得られる。
本発明のポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度は30当量/t以下であるが、これは、上記のように、テレフタル酸とエチレングリコールからなるエステルオリゴマーに、ブタンジオールをエチレングリコール/ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70の範囲内となる量で加え、解重合反応を所定の温度で行うことで、達成される。
また、溶融重合反応工程後に固相重合反応工程を経る場合は、あらかじめ、ポリエステル樹脂を乾燥、結晶化させた後、通常、減圧下あるいは窒素などの不活性ガス流通下にて、ポリエステルの融点よりも20〜30℃低い温度で3時間〜50時間、反応器内にてポリエステルを反応させることにより行うことが好ましい。固相重合反応を行うことにより、極限粘度を更に高くしたり、含有オリゴマー量をさらに少なくすることができる。
なお、本発明のポリエステル樹脂は、上記したようにブロー成形に適したものであるが、射出成形や押出し成形、延伸法を採用しても、色調、透明性に優れた成形品(射出成形体、シート、フィルム等)を得ることができる。
次に、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂からなるものである。本発明のブロー成形品は、汎用のダイレクトブロー成形機や延伸ブロー成形機を用いて製造することが可能であり、成形機のシリンダー各部及びノズルの温度は、160〜250℃の範囲とするのが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度([η])
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(b)カルボキシル末端基濃度
得られたポリエステル樹脂0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(c)組成
得られたポリエステル樹脂を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの用量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(d)融点(Tm)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC−7型)を用い、昇温速度20℃/分で測定した。
(e)環状3量体含有量
得られたポリエステル樹脂100mgをヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、アセトニトリルを加え、抽出したのち、液体クロマトグラフィーを用いて以下の条件にて測定し、環状3量体の量を算出した。
カラム:Waters マイクロボンダスフィア
充填剤:Si−C18 5μ 100A
検出器: Waters 2996型 PDA検出器(光源波長 254nm)
測定時流速: 1ml/min
移動相溶媒 アセトニトリル/水=7/3及びアセトニトリル
(f)成形性
得られた成形品1、成形品2ともにサンプル数100個の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数は90個以上であることが好ましい。
(g)ヘーズ
得られた成形品1、成形品2ともに、それぞれ成形品から切り出してサンプル片(長さ3cm、幅3cm)100個を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数100の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(h)色調
得られたチップ状のポリエステル樹脂を、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。
(i)柔軟性
(f)の成形性で合格となったサンプルより任意に20個を選び出し、成形品を横に載置し、順に荷重をかける。このとき、成形品が4分の1程度たわむところで停止し、その際に成形品が割れる又はひびが入った個数を測定した。割れた又はひびが入った個数が2個以下までのものを合格とした。なお、(f)の成形性において合格サンプルが20個に満たなかったものは測定しなかった。
実施例1
ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート及びその低重合体の存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールとのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間として、エステル化反応率95%のエステルオリゴマーを連続的に得た。このエステルオリゴマー60.3kgを溶融重縮合反応缶に仕込み、1,4−ブタンジオールをエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとのモル比が55/45となる量(16.2kg)添加し、さらに、重縮合触媒として、テトラ−n−ブチルチタネートを、それぞれ加え、徐々に減圧して、最終的に圧力0.9hpa、温度250℃で4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してチップ状のポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、[η]=0.67、カルボキシル末端基濃度=28、Tm=181℃という特性を有するものであった。
このポリエステル樹脂を用い、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製 MSE5043Y−A)を用い、押出温度195℃で樹脂を押出して円筒形パリソンを形成し(パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで成形し)、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローし、胴部の平均肉厚1.0mm、内径3.5cm、高さ11.5cmの円筒状のボトル(内容量100ccの中空容器)を得た。これを成形品1とする。
また、このポリエステル樹脂を用い、乾燥させた後、シリンダー各部およびノズル温度を230℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50TH型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形し、胴部の平均肉厚300μm、内径3.5cm、高さ15cmの円筒状のボトル(内容積150ccの中空容器)を得た。これを成形品2とする。
実施例2〜3、比較例1〜2
ポリエステル樹脂を製造する際のブタンジオールの添加量を変更し、組成を表1の値となるように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
実施例4
ポリエステル樹脂を製造する際の重合触媒の種類と量を変更し、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)を用い、これらの含有量が表1に示す値となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。なお、重合触媒としては、二酸化ゲルマニウム(表1中、Ge系と表記)、酢酸コバルト(表1中、Co系と表記)を用いた。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
実施例5〜8、比較例3
ポリエステル樹脂を製造する際のブタンジオールの添加量を変更し、組成を表1の値となるように変更し、かつ重合触媒の種類と量、及びヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)の含有量が表1の値となるように添加量を変更した以外は、実施例4と同様にしてポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
比較例4
重縮合反応時間を2.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
比較例5
エステル化反応器に、テレフタル酸とエチレングリコールをモル比1/1.6となるように投入し、さらにエチレングリコールとモル比が55/45となるように1,4−ブタンジオールを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間としてエステルオリゴマーを得た。ここに重合触媒として、テトラブチルチタネートを添加し、徐々に減圧して、最終的に圧力0.9hPa、温度280℃で4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してチップ状のポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、[η]=0.69、カルボキシル末端基濃度=38、Tm=179℃であった。
そして、得られたポリエステル樹脂を用いて、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形と延伸ブロー成形を行い、成形品1、2を得た。
実施例1〜8、比較例1〜5で得られたポリエステル樹脂及び成形品の特性値、評価結果を表1に示す。
Figure 2015166441
表1から明らかなように、実施例1〜8で得られたポリエステル樹脂は、本発明で規定する特性値を満足するものであったため、成形性よく、柔軟性、透明性に優れたブロー成形品を得ることができた。
これに対して、比較例1で得られたポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールの添加量が少なかったため、融点が高いものとなった。このため、成形品1、2を得る際の成形温度では成形が不可能であった。
比較例2、3で得られたポリエステル樹脂は、1,4−ブタンジオールの添加量が多かったため、融点が高いものとなった。このため、成形品1、2を得る際の成形温度では成形が不可能であった。
そこで、比較例1〜3においては、成形品1、2の成形加工温度を270℃に変更して実施したが、熱分解による粘度低下が生じ、いずれも成形品を得ることが出来なかった。
比較例4で得られたポリエステル樹脂は、極限粘度が低いものであったため、成形時のドローダウンが大きくなり、成形品1を得ることができなかった。成形品2を得ることはできたが、得られた成形品は厚みムラが生じたものとなった。
比較例5で得られたポリエステル樹脂は、カルボキシル末端基量が35を超えるものであったため、ブロー成形時の熱処理によって、樹脂の熱分解が生じ、成形時のドローダウンが大きくなった。このため、成形品1、2ともに厚みムラが生じたものとなり、柔軟性にも劣るものであった。

Claims (3)

  1. 酸成分がテレフタル酸を主成分とし、グリコール成分がエチレングリコールと1,4−ブタンジオールとを主成分とし、かつエチレングリコールと1,4−ブタンジオールの質量比が80/20〜30/70であるポリエステル樹脂であって、下記(1)〜(3)を同時に満足することを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂。
    (1)結晶融点が160〜205℃
    (2)極限粘度が0.5〜1.4
    (3)カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下
  2. 環状3量体の含有量が0.3質量%以下である、請求項1に記載のブロー成形用ポリエステル樹脂。
  3. 請求項1及び2のいずれかに記載のブロー成形用ポリエステル樹脂からなるブロー成形品。
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