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JP2017068432A - 工程編成支援装置、工程編成支援方法 - Google Patents

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JP2017068432A JP2015191297A JP2015191297A JP2017068432A JP 2017068432 A JP2017068432 A JP 2017068432A JP 2015191297 A JP2015191297 A JP 2015191297A JP 2015191297 A JP2015191297 A JP 2015191297A JP 2017068432 A JP2017068432 A JP 2017068432A
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Abstract

【課題】効率的な工程編成の導出を正確かつ編成に係る人員負担の軽減を図りながら実現する。
【解決手段】一又は複数の作業を含む工程の編成について支援を行う工程編成支援装置として、測定対象の作業を実行する作業者について、複数の身体部位に対応する検出点と該検出点を結ぶ線により簡易モデル化した状態で、各時点での作業者の身体状態の情報を取得する検出情報取得部と、検出情報取得部で得た情報に基づき、作業者の作業に対する評価値を算出する評価値算出部と、編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの評価値に基づいて、前記複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行う出力制御部とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、工程編成支援装置、工程編成支援方法に関し、製造工場等の製造ラインにおける一群の工程について、例えばライン設計者等の人員が工程の編成を行うことについて支援を行うための技術に関する。
特開2001−101422号公報 特開2015−125578号公報
特許文献1には、作業中の人体及び作業対象物の状態と人体の負担を関連づけ、人体及び作業対象物の状況をモニタリングするとともに作業改善に有効なデータを提供できる技術が開示されている。
特許文献2には、作業姿勢等について、客観的評価と主観的評価とに基づいて姿勢の評価を行う技術が開示されている。
自動車製造工程には作業者による部品の組み立て作業が多い。この作業を長時間継続することで、作業負担が増加し、時間と共に作業効率を低下させるケースが多くなっている。
この作業負担は、作業者の感覚的な声として取り上げられることが通常である。また、作業者の得手不得手の影響によって工程に対する感想や疲労具合も異なる。特に作業者は個人毎に、得意な作業や苦手な作業が異なるため、各工程についての向き・不向きもある。
ところが、これらの負担感や、向き・不向きというようなことは、あくまで作業者本人が主観的に感じることであって、これらを客観的に判断することが困難であった。
多数の工程や多数の作業を含む製造ラインにおいて、各工程への人員配置管理などのためには、このような主観的な感想ではなく、工程毎の各作業者の作業負荷や状況を客観的かつ定量的に評価することが求められている。
また、製造効率の向上を図る上では、作業負担(作業負荷)や作業者の向き・不向き等を考慮して一群の工程を編成することが望ましい。しかしながら、実際にどのような工程編成とすることが効率的であるかを客観的かつ定量的に判断することは困難である。また、想定され得る複数の工程編成について実際に作業を実行させて作業者からの感想に基づいて最適な工程編成を導出することも考えられるが、その場合には編成に係る人員負担が増大し、コストや時間等の面で現実的ではない。
そこで本発明は、効率的な工程編成の導出を正確かつ編成に係る人員負担の軽減を図りながら実現することを目的とする。
本発明に係る工程編成支援装置は、一又は複数の作業を含む工程の編成について支援を行う工程編成支援装置であって、測定対象の作業を実行する作業者について、複数の身体部位に対応する検出点と該検出点を結ぶ線により簡易モデル化した状態で、各時点での前記作業者の身体状態の情報を取得する検出情報取得部と、前記検出情報取得部で得た情報に基づき、前記作業者の前記作業に対する評価値を算出する評価値算出部と、編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値に基づいて、前記複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行う出力制御部とを備える。
即ち作業者の身体状態を簡易モデルにより検出し、各身体部位、例えば関節部などについての検出点や線の位置や変化(移動ベクトル)により、作業者の動作を把握できるようにする。そして検出点又は線についての情報、つまり身体の各部位(腕、腰、足)などの個別のデータに基づき、作業者の作業に対する評価値を算出し、編成内容を異ならせた複数の工程編成ごとに得られる評価値に基づき、該複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行っている。このとき、評価値としては、作業者の身体状態についての実測データに基づき算出するため、客観的かつ定量的な値を得ることが可能である。また、編成シミュレーションにより複数の工程編成ごとの評価値を得ているため、想定され得る複数の工程編成について作業者に実際に作業を行わせるという負担は不要となる。
上記の工程編成支援装置においては、前記検出情報取得部で得た情報における前記検出点又は線の変化により作業者の姿勢又は動作を判定する動作判定部を備え、前記評価値算出部は、前記動作判定部で判定した作業者の姿勢又は動作に基づき算出した作業負担値を前記評価値として得ることが考えられる。
これにより、編成シミュレーションでは編成内容の異なる工程編成ごとの作業負担値が得られ、該作業負担値に基づいて一又は複数の工程編成が選択される。
上記の工程編成支援装置においては、前記評価値算出部は、前記検出情報取得部で得た情報における前記検出点又は線についての情報を測定対象の作業について設定された基準情報と比較して前記作業者の該作業に対する適応値を算出し、該適応値を前記評価値として得ることが考えられる。
これにより、編成シミュレーションでは編成内容の異なる工程編成ごとの適応値が得られ、該適応値に基づいて一又は複数の工程編成が選択される。
上記の工程編成支援装置においては、前記評価値算出部は、複数の作業者にそれぞれ前記一群の工程を実行させた場合における前記作業者ごとの前記評価値を算出し、前記出力制御部は、前記編成シミュレーションとして、前記複数の作業者がそれぞれ実行した前記一群の工程間で作業を組み替えるシミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値に基づいて、一又は複数の工程編成を選択することが考えられる。
これにより、作業者としての人員の編成も含めて、効率的となる工程編成を導出することが可能となる。
上記の工程編成支援装置においては、前記作業者の作業所要時間を取得する所要時間取得部を備え、前記出力制御部は、前記編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値及び前記作業所要時間に基づいて、一又は複数の工程編成を選択することが考えられる。
これにより、作業所要時間の長さも考慮して工程編成の導出が可能となる。
上記の工程編成支援装置においては、前記検出情報取得部は、作業者を撮像した画像データの解析結果から、複数の前記検出点の三次元位置を取得することが考えられる。
作業者を撮像して撮像画像を解析すれば、その作業者の検出点の三次元位置を特定することができる。
本発明に係る工程編成支援方法は、一又は複数の作業を含む工程の編成について支援を行う工程編成支援方法であって、測定対象の作業を実行する作業者について、複数の身体部位に対応する検出点と該検出点を結ぶ線により簡易モデル化した状態で、各時点での前記作業者の身体状態の情報を取得する検出情報取得手順と、前記検出情報取得手順で得た情報に基づき、前記作業者の前記作業に対する評価値を算出する評価値算出手順と、編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値に基づいて、前記複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行う出力制御手順と、を情報処理装置が実行するものである。
これにより、情報処理装置を用いて上記した本発明に係る工程編成支援装置を実現できる。
本発明によれば、効率的な工程編成の導出を正確かつ編成に係る人員負担の軽減を図りながら実現することができる。
本発明の実施形態の工程編成支援システムのブロック図である。 実施形態の作業者の身体状態の簡易モデルの説明図である。 実施形態の簡易モデルによる姿勢・動作検出の説明図である。 実施形態で検出する各検出点の三次元位置情報及び工程の説明図である。 実施形態で求める各工程についての算出値の説明図である。 実施形態の演算部の処理のフローチャートである。 実施形態の作業負担評価情報の説明図である。 実施形態の作業負担評価情報の説明図である。 一群の工程をそれぞれ実行した作業者ごとに得られた作業負担値の例を示した図である。 一群の工程をそれぞれ実行した作業者ごとに算出された作業所要時間の例を示した図である。 実施形態の最適工程編成の情報提示例を示した図である。 評価値として適応値を用いて最適工程編成の選択を行う場合に実行されるべき処理を示したフローチャートである。 適応性判定処理例のフローチャートである。 図13の処理で算出された作業者及び工程ごとの適応値の例を示した図である。 作業負担の平準化の例についての説明図である。
<システム構成>
以下、本発明に係る工程編成支援装置の実施形態を説明する。なお、図1に示す演算部1が、本発明に係る工程編成支援装置の実施形態となる。図1は演算部1を含む工程編成支援システムの例を示している。
図1に示すように工程編成支援システムは、演算部1、データベース部2、記憶部3、表示部4、通信部5、印刷部6、撮像部10、駆動部11、センサ20、受信部21、検出値生成部22を有している。
撮像部10は、製造ラインに設置されたビデオカメラであり、工程作業を行う作業者を撮像する。図では二つの撮像部10を有する例を示しているが、通常は、製造ラインの各工程においてそれぞれ作業者を撮像できるようにより多くの数配置されていることが想定される。
これら1又は複数の撮像部10は、動画として撮像した各フレームの撮像画像データを演算部1に供給する。
なお、撮像部10はステレオ撮像を行うものとされ、ステレオ撮像された撮像画像信号は、画像解析において三角測量の原理を用いて奥行き方向の情報も得ることができる。
駆動部11は、撮像部10の撮像方向を変位させる装置で、例えばパン・チルト機構及びその駆動モータを有する。
センサ20は、例えば作業者が身体各所に装着するセンサや、作業位置に設置され、作業者の動きを検出するセンサ等が想定される。具体的には角速度センサ、加速度センサ、赤外線センサ、位置センサなどである。
各センサ20の検出信号は、有線又は無線で受信部21に供給され、受信部で受信した検出信号は、検出値生成部22で検出値にデコードされて演算部1に供給される。
なお、この図1のシステムでは撮像部10による作業者の撮像画像信号や、センサ20による検出値は、いずれも作業者の姿勢や動作を検出するための情報である。このため少なくとも撮像部10、センサ20のいずれか一方が用いられればよい。もちろん互いの情報を補足又は補正するために、両方が用いられてもよい。
演算部1は例えばコンピュータ装置により構成される。即ち演算部1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM( Read Only Memory)、RAM( Random Access Memory )、インターフェース部等を備えており、CPUはROMに記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMはCPUが各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
なお演算部1としての情報処理装置は、1つのコンピュータ装置で実現されてもよいし、複数のコンピュータ装置が連携して実現されてもよい。
この演算部1は、本システムのための処理機能として、画像解析部1a、カメラ制御部1b、検出情報取得部1c、動作判定部1d、評価値算出部1e、出力制御部1fが設けられる。これらの各部はソフトウエアにより実行される処理機能を仮想的にブロック化して示したものである。
画像解析部1aは撮像部20から供給される撮像画像データとしての各フレームデータを解析する処理を行う。
本例の場合、作業者を主に関節等の検出点と、検出点を結ぶ線の情報で簡易化した簡易モデルとして検出する。
図2に簡易モデルの例を示す。人体の各所について検出点Pを設定する。図では検出点P0〜P20を一例として示している。例えば腰部、頭部、首、手足の関節部分など、主に姿勢に応じて変位する箇所を検出点Pとする。
各検出点Pは、それぞれ特定の他の検出点Pと線で結ばれる。
例えば検出点P1は検出点P2,P3,P6とそれぞれ線で結ばれている。
検出点P2は検出点P1とのみ線で結ばれている。
検出点P3は検出点P1、P4と線で結ばれている。
これらのように、各検出点P1〜P20は、それぞれ線で結ばれている検出点が規定されていることで、点と線により人体を表現する簡易モデルが形成される。
図3は作業者の姿勢を簡易モデルで表した例である。図3AはX−Y平面、図3BはZ−Y平面、図3CはX−Z平面で、各検出点の位置を示し、また各検出点間の線を示している。つまり、各検出点P0〜P20について三次元座標位置を検出することで、その時点の作業者の姿勢を検出することができる。
図1の画像解析部1aは、このような簡易モデルで作業者の姿勢を検出するために、作業者の画像から、各検出点P0〜P20の位置(x,y,zの三次元座標値)を検出する。
なお、撮像画像データから作業者の身体を的確に検出するために作業服(ユニフォーム)や帽子の色を予め登録しておき、工場設備や製品の色と明確に区別できるようにすることが好適である。
或いはパターンマッチングにより、人体構成部分における各検出点Pを判定することも考えられる。
さらに作業者がセンサ20を手首、足首等に装着して、それらの位置情報が検出できるようにした場合、撮像画像データから抽出した検出点Pの三次元位置情報を、センサ20による位置情報で補正するようなことも考えられる。
カメラ制御部1bは、駆動部11を制御して、撮像部10の撮像方向を変位させる。例えば工程作業中の作業者は、その作業のために位置を移動する。カメラ制御部1bは、このような作業者の移動によって撮像画像データから作業者がフレームアウトしないように、撮像部10の追従動作が実行されるように制御する。
具体的には画像解析部1aによって認識された作業者の位置の移動(各フレームでの作業者位置の変化)に応じて、駆動部11を駆動させる。
検出情報取得部1cは、各時点で、測定対象の作業を実行する作業者の複数の身体部位に対応する検出点Pと該検出点Pを結ぶ線により簡易モデル化した状態で、作業者の身体状態の情報を取得する。即ち画像解析部1aの検出結果や、或いはセンサ20による検出値を取得し、作業者の情報として管理する。具体的には1回の測定タイミング毎に、各検出点P0〜P20の三次元位置情報を取得し、検出結果として保存する。
図4Aは検出情報取得部1cが取得して保存する作業者の情報の例を示している。
例えば画像解析部1aが、撮像画像データの所定のフレーム間隔となるサンプルタイミングt(t0、t1、t2・・・)で各検出点P0〜P(n)(図2の例ではn=20)の三次元位置情報を検出するとする。検出情報取得部1cは、サンプルタイミングt毎に、検出点P0〜P(n)の三次元座標値を取得し、これを記憶する。この図4Aのような情報は、例えば1つの工程毎、作業者毎に取得し、記憶管理していく。
ここで、一つの工程には、一又は複数の作業が含まれる。サンプルタイミングt毎の作業者の三次元位置情報は、図4Aに示すように工程毎に記憶するのではなく、さらに作業単位まで細分化して記憶してもよい。
例えば製造ラインにおいて、工程A、B、C・・・・があり、一人の作業者が1つの工程を担当するとする。例えば工程Aには、作業a1〜a5があるとする。具体的な例としては、例えば1つの工程は、車体へタイヤの取り付け工程であって、各作業とは、タイヤのセット、装着、確認などの個々の作業となる。
いま、工程Aが図4Bのように5つの作業a1〜a5があるとすると、担当する作業者WM1は、ライン上の車体に対して、この工程A(作業a1〜a5)を繰り返し行うことになる。
図4Aのような各検出点P0〜P20の三次元位置情報は、サンプルタイミングt毎に取得・記憶していくことで、繰り返し行われる工程における検出点P0〜P20の三次元位置情報が時系列上で収集されていくことになる。
なお、図4Bではサンプルタイミングt0〜t99、t100〜t199で、それぞれ工程Aの1回が完了するものとして示しているが、これは説明上の一例に過ぎない。例えば同じ工程を同じ作業者が行う場合であっても、毎回同じ時間で完了するとは限らないためである。工程A内の各作業a1〜a5としての情報が、どのサンプルタイミングtの情報であるかは、各三次元座標値によって判定される姿勢や姿勢の変化、動きの変化等により判定できる。
動作判定部1dは、検出情報取得部1cで得た身体状態における検出点P又は線の変化により作業者の姿勢又は動作を判定する。検出点P又は線の変化は、図4Aのように取得した検出点P0〜P(n)の三次元座標値の変化で表される。図4Aでは検出点Pの情報を記憶するとしたが、線の情報は、各検出点Pを結ぶため、各検出点Pから把握することができる。そして動作判定部1dは、図4Aの情報の時系列上の変化により、作業者の姿勢や動作を判定する。
評価値算出部1eは、検出情報取得部1cで得た作業者の身体状態の情報に基づき、作業者の作業(測定対象の作業)に対する評価値を算出する。具体的に、本例における評価値算出部1eは、当該評価値として、動作判定部1dで判定した作業者の姿勢又は動作に基づいた作業負担値を算出する。
人の姿勢や動作に対しては、人間工学的にそれぞれ負担値を予め算出しておくことができる。例えば両手を上げている姿勢の負担、しゃがんだ姿勢の負担、腰をかがめた姿勢、或いは横への移動動作、体をひねる動作などについての負担値は、予め計算できる。また各姿勢や動作の継続時間によって負担も異なるが、その継続時間に応じた負担の値も予め設定できる。例えば両手を上げる姿勢は、一瞬であればさほど負担はないが、継続して上げている状態はかなり負担が大きくなる。
これら姿勢や動作、さらにはその時間に応じた負担値は、予め人間工学に沿って算出し、体系化してデータベース部2に登録しておく。
そして評価値算出部1eは、動作判定部1dで判定した工程や各作業における作業者の一連の動作、姿勢や、その継続時間に基づいて、工程或いは工程内の各作業についての作業負担値を算出する。例えば検出点Pまたは線の移動量から判定された動作や姿勢やその継続時間等についての負担値を求め、これらを加算、或いは重み付け加算等を行い、作業や工程における一連の動作(姿勢)としての作業負担値を算出する。具体的には、判定された作業中の姿勢、腕等の関節の角度、移動量等の個々について上記のデータベース部2における登録情報から対応する負担値をあてはめ、これらを用いて1つの作業や工程の作業負担値を算出する。
また例えば作業終了時まで通して作業負担値を算出し、疲労のピークや、作業延長時の影響度(疲労予測)を求めることもできる。
例えば評価値算出部1eは図5のように工程や作業に関しての算出値を記憶する。
なお算出値は、多様に想定される。例えば工程Aについての算出値MA1は、工程Aにおける作業負荷の総合負担値、MA2は作業者の肩に対する負担値、図示しないMA3は脚部に対する負担値、などとしてもよい。
また各作業に対しての算出値(例えば作業a1についての算出値Ma1−1、Ma2−2・・・)も、総合負担値、各部の負担値などとしてもよい。
工程や作業についての負担値(作業負荷)の計算例を示す。
Figure 2017068432
ここで、Disは各関節1フレームでの移動負荷、Kdisは疲労度に対する各関節移動量の重み、Posは姿勢負荷、Kposは疲労度に対する各関節角度の重みである。
Disは(数2)で求められる。
Figure 2017068432
ここで、X1、Y1、Z1は各関節の座標、X0、Y0、Z0は各関節1フレーム前の座標である。
Posは例えば(数3)で求められる。
Figure 2017068432
ここで、Uは各関節上方の体の重量、Kuは作業負荷に対する各関節上方の体重量の重み、Fは工程毎に設定される外力の合計、Kfは作業負荷に対する各関節上方の外力の重み、θは各関節の計算角度、Pは人間の姿勢つらさを示した定数である。
なお、以上の負担値(作業負荷)の計算例は一例に過ぎない。
出力制御部1fは、評価値算出部1eの算出結果に基づいて、測定対象の工程における作業負担評価情報などを提示する制御を行う。即ち作業負担評価情報を生成し、作業負担評価情報を記憶部3に記憶させたり、表示部4で表示させたり、通信部5により外部装置に送信したり、印刷部6により印刷出力させたりする制御処理を行う。
また、特に本実施の形態における出力制御部1fは、編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの作業負担値(評価値)に基づいて、複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行うが、この点については後に改めて説明する。
データベース部2は、例えば上述のように姿勢や動作毎の負担値などが記憶されており、演算部1は作業負担値の算出のためなどに逐次参照できるようにされている。
記憶部3は、図4Aのような検出情報や、図5のような算出値の情報が記憶される。また演算部1が上記各機能を実行するためのプログラムが記憶される。
表示部4は、演算部1に接続された表示デバイスとされ、各種のユーザインターフェース画像や、作業負担評価情報を示す画像の表示を行う。
通信部5は、有線、無線で外部機器との通信を行ったり、LAN(Local Area Network)等の通信経路を介した通信を行う。演算部1は通信部5により例えば作業負担評価情報を他の情報処理装置等に提供できる。
印刷部6は、演算部1に接続されたプリンター等であり、演算部1の指示に応じて印刷動作を行う。
<処理手順>
図6を参照しながら演算部1の処理手順を説明する。演算部1は図1に示した各機能(1a〜1f)により、以下の処理を実行する。
図6Aは、一人の作業者が実行する一つの工程を対象として作業負荷の測定を行う処理を示している。演算部1は、後述する本例の編成シミュレーションを行う場合には、図6Aの処理を編成対象の一群の工程(製造ラインを構成する一群の工程)における各工程ごとに行う。具体的に、本例の編成シミュレーションを前提とした場合、複数の作業者の個々人にそれぞれ編成対象の一群の工程を実行させるが、この場合、図6Aに示す処理は、このように個々人の作業者が実行する一群の工程における各工程を対象として実行することになる。例えば、作業者A、Bの二人にそれぞれ一群の工程を実行させる場合においては、作業者Aが実行する一群の工程について図6Aに示す処理を工程ごとに実行すると共に、作業者Bが実行する一群の工程について図6Aに示す処理を工程ごとに実行する。なお、このように複数の作業者に工程を実行させる場合は、作業者ごとに設けた複数のコンピュータ装置がそれぞれ並行して図6Aに示す処理を行ってもよい。
図6Aにおいて、演算部1はステップS101で基本情報の読み込みを行う。例えば工程番号、工程内の作業の情報、作業者の情報、計測における各種パラメータ設定等を、オペレータによる操作もしくは自動設定に応じて読み込む。
ステップS102で演算部1は撮像及び/又はセンシングを開始する。即ち撮像部10からの撮像画像データの取り込みを開始する。またセンサ20の検出値の取り込みも開始する。
ステップS103で演算部1は、作業者認識を行う。即ち取り込みを開始した撮像画像データの画像解析により、作業者を認識する。例えば特定の色の作業服を着た人物を作業者として認識し、その作業者の身体位置を把握する。
ステップS104で演算部1は、作業者追尾を開始する。即ち画像上で認識した作業者がフレームアウトしないように駆動部11を制御する追尾制御を開始する。
ステップS105で演算部1は測定開始を待機する。即ち作業者が実際の工程作業に入るとともに測定を開始するトリガを待つ。このトリガはオペレータの指示、或いは特定の時刻、或いは製造ライン管理システムからの同期信号などが考えられる。
測定開始トリガに応じて演算部1はステップS106に進む。
ステップS106で演算部1は測定データを取得する。即ち検出情報取得部1cの機能により、画像解析部1aの解析結果の取得やセンサ20からの情報の取得を行い、例えば図4Aにおける1つのサンプルタイミングt(x)の情報として記憶管理する。
ステップS107で演算部1は、姿勢データモデル化を行う。つまり動作判定部1dの機能により、ステップS106で取得した各検出点Pの三次元座標値によって表現される作業者の簡易モデルから、作業者の姿勢、動作を判定する。
ステップS108で演算部1は、作業負担数値化を行う。即ち演算部1は評価値算出部1eの機能により、各種作業負担の計算を行い、その計算値を記憶する。
以上のステップS106〜S108の処理を、ステップS109で測定終了と判断されるまで繰り返す。
この間、ステップS108での計算値は、それぞれ各時点における図5のようなデータとして保存してもよいし、毎サンプルタイミングtの計算値の積算値として図5のようなデータを更新していくようにしてもよい。
測定終了となった後は、演算部1はステップS110で負担評価情報を生成し、またステップS111で負担評価情報を表示部4に表示させる。
これにより、或る作業者が実行する或る工程について、作業者の負担に関する負担評価情報が生成され、表示されることになる。
<作業負担評価情報の提示>
ここで、例えば製造ラインの各工程について、1日のスパンで図6Aの測定処理(S109までの処理)を行うと、1日の作業者の負担に関する負担評価情報を生成可能となる。
ここでは、作業負担評価情報の具体例について説明しておく。
図7Aは、工程別に算出した作業負担を数値化して示した例である。例えば工程毎に、各サンプルタイミングtでの作業負担値を積算し、1日の労働で作業者に与える負担の値を求めて、工程毎を比較できるように提示する。
1つの工程については、ステップS106で例えば図4Aのように各サンプルタイミングtでの作業者の身体状況が取得でき、さらにステップS107,S108の処理で単位期間毎に負担値が算出される。この負担値が測定終了まで積算されて保持されるようにすれば、各工程において図5のように保持した算出値(例えばMA1、MA2・・・)は、測定開始から終了までの工程の負担値となる。例えば1日の勤務における工程の負担値となる。従って、そのように得た積算値を工程毎に集めて負担評価情報とすることで、図7Aのように表示を行うことができる。
図7Bは、或る工程における作業別に算出した作業負担を数値化して示した例である。例えば1つの工程における作業毎に、各サンプルタイミングtでの作業負担値を積算し、1日の労働で作業者に与える負担の値を求めて、作業毎を比較できるように提示する。
1つの工程において各作業の負担度合いをみることができる。
工程内の各作業については、予め各作業による動作パターン等を登録しておけば、画像解析により、各サンプルタイミングtの期間の動作が、それぞれどの作業の実行中であるかが判別できる。従ってステップS108での負担値の算出を、各作業単位で分けて実行することが可能で、その各作業についての算出値を積算していけば、保持した算出値は測定開始から終了までの工程の負担値となる。例えば図5の算出値Ma1−1、Ma2−1・・・Ma5−1)は、測定開始から終了までの工程Aにおける各作業a1〜a5の負担値となる。例えば1日の勤務における各作業の負担値となる。従って、そのように得た積算値を工程毎に集めて負担評価情報とすることで、図7Bのような表示を行うことができる。
図7Cは、或る工程又は作業に関して、運動量負荷、姿勢負荷を、身体の部位毎に求めて提示する例である。このような情報により、当該工程又は作業では、作業者のどこに負荷がかかるかなどを知ることができる。
身体の各部に係る負担値自体は、例えば姿勢や動きを判定することで例えばデータベース部2から取得するような処理が可能である。例えばステップS107で或る姿勢を判定したときに、その姿勢における右手の負担値、左手の負担値、腰の負担値、右足の負担値、左足の負担値などをデータベース部2から取得する。ステップS108では、各部の負担値を測定開始から終了までの期間中に積算していけばよい。すると、測定終了時点で身体各部の負担値が求められていることになる。そのような積算値を集めて負担評価情報とすることで、図7Cのような表示を行うことができる。
図8Aは、或る工程又は作業に関して、検出点P0〜P20毎に、負担値を表示した例である。図7Cの場合と同様に、姿勢や動作に対応して設定された検出点P0〜P20毎に負担値を積算していくことで、例えば1日の勤務における各検出点P0〜P20の負担値を算出することができる。そのような積算値を集めて負担評価情報とすることで、図8Aのような表示を行うことができる。
このような情報により管理者やライン技術者等は、当該工程又は作業では、作業者のどこに負荷がかかるかをより詳細に知ることができる。
図8Bは、或る工程(又は作業)について、作業者毎に比較できる情報を提示する例である。図4Aのような検出情報を作業者コードに紐づけておくことで、例えば1つの工程について、作業者毎に負担値や所要時間を求めることができる。所要時間は、各サンプルタイミングtにおいて判定される姿勢・動作により計測できる。例えば姿勢や動作により、各作業の開始・終了、工程の開始・終了タイミングが判別できるため、その間のサンプルタイミング数で工程の所要時間や作業の所要時間を算出できる。
そこで同一の工程や作業について作業者毎の負担値を比較できるような負担評価情報を生成し、図示のように表示させる。これによって管理者は、各工程や作業について、作業者毎の負担値を指標とした特性、例えば習熟度や向き/不向きなどの特性を判断することができる。
以上の図7、図8は負担評価情報の一例である。これ以外にも多様な情報提示が考えられる。いずれにしても、工程や作業における各作業者の姿勢や動作を判定し、負担値を算出するようにしているため、それらの情報に基づいて多様な負担評価情報を生成し、表示させることができる。例えば時間帯別の負担値の提示、作業を延長した場合の予測される負担値の提示なども可能である。
<編成シミュレーション及び最適工程編成の選択>
次に図6Bに示す編成シミュレーション及び最適工程編成の選択のための処理について説明する。
前述のように本例の編成シミュレーションを行う場合は、複数の作業者の個々人にそれぞれ編成対象の一群の工程を実行させ、それら個々人の作業者が実行する一群の工程における各工程を対象として図6Aに示す処理を実行することで、作業者ごとに一群の工程における各工程ごとの作業負担値を得る。
図9は、このように一群の工程をそれぞれ実行した作業者ごとに得られた作業負担値の例を示している。図中では、編成対象の一群の工程(工程A〜工程N)をn(2以上の自然数)人の作業者(作業者WM1〜WMn)に実行させた場合に得られた作業者及び工程ごとの作業負担値を例示している。ここでは、説明の簡易化のため、工程A〜工程Nの各工程は全て1〜xの作業で構成されているものとしている。これら各工程における作業単位での作業負担値が、作業者ごとに得られている。なお、図9の例では、図中の「総合」として示すように、工程単位での総合的な作業負担値(工程内の各作業の作業負担値の合計値)を作業者ごとに算出するものとしている。
演算部1は、図9に示すようにして得られた作業者及び工程ごとの作業負担値の情報を例えば記憶部3に記憶させる。
また、本例では、演算部1は複数の作業者の個々人にそれぞれ編成対象の一群の工程を実行させた場合における、それら個々人の作業者の作業所要時間を算出し、記憶部3に記憶する。
図10は、このように一群の工程をそれぞれ実行した作業者ごとに算出された作業所要時間の例を示している。本例では、作業所要時間としては作業単位での所要時間を算出する。また本例では、作業所要時間としても工程単位での総合的な作業所要時間を算出している。演算部1は、図10に示すように作業者及び工程ごとに算出した作業所要時間の情報を記憶部3に記憶させる。
以上の前提を踏まえ、図6Bに示す処理を説明する。
演算部1はステップS201で、工程編成シミュレーション処理を実行する。具体的に本例では、作業者WM1〜WMnとしての複数の作業者がそれぞれ実行した一群の工程間で作業の組み替えを行い、編成内容の異なる複数の工程編成を得る。例えば、組み替えの手法としては、作業者MW1が実行した一群の工程をベースとして、工程Bの作業を作業者WM2による工程Bの作業と組み替え、工程Dの作業を作業者WM3による工程Dの作業と組み替えるなどである。なおこの点からも理解されるように、本例の編成シミュレーションによっては、作業の組み替えに伴い人員の組み替えも生じるものである。
この際、作業の組み替えは、予め定められた作業順序条件に従って行う。製造ラインにおける一連の工程においては、例えば或る作業と或る作業は同一人が順番に行うことが適切であるとか、或る作業は次の工程に組み入れてもよいとか、作業毎の特性がある。これらを予め条件化しておき、データベース部2に格納しておく。演算部1は各作業について、このような作業順序条件を確認し、該作業順序条件を満たす範囲内で作業組み替えのシミュレーションを行う。
このような工程編成シミュレーションを行うことで、編成内容の異なる複数の工程編成について、工程編成ごとの作業負担値及び作業所要時間が得られる。
続くステップS202で演算部1は、最適工程編成選択処理を実行する。すなわち演算部1は、ステップS201のシミュレーション処理で得られた編成内容の異なる複数の工程編成ごとの作業負担値及び作業所要時間に基づき、それら複数の工程編成のうちから最適とされる編成工程を選択する。具体的に演算部1は、シミュレーションで得られた個々の工程編成ごとに例えば作業負担値の合計値、及び作業所要時間の合計値を算出し、これら作業負担値の合計値と、作業所要時間の合計値とに基づき最適とされる工程編成を選択する。例えば、作業負担値の合計値に対し作業所要時間の合計値に応じた係数を乗じた値(以下「総合評価値」と表記)を最小とする工程編成を最適とされる工程編成として選択する。この際、総合評価値を最小とする工程編成が複数存在した場合には、それらの工程編成のうち、例えば作業負担値の合計値、又は作業所要時間の合計値が最小である工程編成を最適工程編成として選択すればよい。総合評価値を最小とする複数の工程編成間で作業負担値の合計値、及び作業所要時間の合計値が同値であった場合には、例えばそれら複数の工程編成を最適工程編成として選択する。
なお、上記の最適工程編成の選択手法はあくまで一例であり、他にも多様に考えられる。例えば、作業負担値の合計値を最小とする工程編成を最適工程編成として選択することを基本とし、該当する工程編成が複数存在した場合には、それら工程編成のうち作業所要時間の合計値が最小である工程編成を最適工程編成として選択する手法を採ることもできる。
また、最適工程編成の選択において、作業所要時間を選択の基準として用いることは必須ではない。
何れにしても、この場合における最適工程編成の選択処理としては、少なくとも作業負担の小さい工程編成が優先的に選択されるようにして行われればよい。
ステップS202の選択処理を実行したことに応じ、演算部1はステップS203で最適工程編成の情報を表示部4に表示させ、図6Bに示す処理を終える。
図11は、最適工程編成の情報表示例を示している。
図示するように最適工程編成の情報としては、一群の工程についての工程順序と、各工程における作業順序と、各作業を実行する作業者の情報とを少なくとも表示する。換言すれば、工程編成を特定するための情報を少なくとも表示する。本例では、これらの情報に加えて、作業単位での作業者の割り当て情報、作業単位での作業負担値及び作業所要時間の情報や、工程単位での作業負担値(図中「工程負担値」)及び作業所要時間(図中「工程所要時間」)の情報、さらには一群の工程におけるトータルの作業負担値(図中「トータル負担値」)及び同トータルの作業所要時間(図中「トータル所要時間」)の情報も表示するものとしている。
なお、図6Bに示した処理に関して、ステップS202の段階で、最適工程編成の情報を記憶部3に記憶したり、印刷部6で印刷出力したり、通信部5で外部機器に送信してもよい。
<編成シミュレーション及び最適工程編成の選択の別例>
ここで、上記では最適工程編成の選択にあたり指標とする評価値として、作業負担値を用いる場合を例に挙げたが、作業者ごとに作業に対する適応値を算出し、該適応値を指標として最適工程編成の選択を行うこともできる。
この場合、図1に示した評価値算出部1eは、検出情報取得部1cで得た検出点又は線についての情報を、測定対象の作業について設定された基準情報と比較して、作業者の該作業に対する適応値を算出する。
例えば、1つの工程の各作業において、例えば理想的な姿勢や動作を基準とし、その基準となる姿勢や動作における各検出点P(P0〜P20)の位置や時系列上の変化を予め数値化してデータベース部2に格納しておく。例えば熟練者の工程作業を撮像して、各検出点P1〜P20の各時点の位置や変化を図4Aと同様に取得して、基準情報として記憶しておくようにしてもよい。或いは人間工学的な分析により、該当の作業において最も人への負担が小さい姿勢や動作を設定し、その場合の各検出点P0〜P20に相当するポイントの各時点の位置や変化を基準情報として記憶してもよい。
いずれにしても、そのような基準情報と、図4Aのような検出情報を比較することで、検出対象としている作業者にとっての、当該作業に適しているか否かを示す適応値を求める。本例における適応値は、対象の作業に対象の作業者が適しているか否かを数値化した情報である。例えば「0」から「100」の数値などとして、適応性を表すものとする。
この適応値の算出には、例えば各時点の各検出点P0〜P20についての基準情報との差分を求め、その差分が大きいほど、当該作業に適していないとする値となるような演算を行う。また各検出点P0〜P20の時系列上の移動軌跡や移動時間を基準情報と比較して、動作の円滑さ、動作効率などを分析し、それを数値化することも考えられる。いずれにしても、基準情報に近いほど、適応性あり(例えば適応値=100)、基準情報と乖離するほど、適応性なし(例えば適応値=0)などとなるような値を求める演算を行う。
図12は、評価値として適応値を用いて最適工程編成の選択を行う場合に実行されるべき処理を示している。なお、既にこれまでで説明した処理と同様の内容となる処理については同一ステップ番号を付して説明を省略する。図12に示す処理としても、先の図6Bに示した処理と同様、複数の作業者の個々人にそれぞれ編成対象の一群の工程を実行させ、それら個々人の作業者が実行する一群の工程における各工程を対象として図6Aに示す処理が実行された後に実行されるべきものである。
この場合、演算部1は、ステップS301で適応性判定処理を実行した上で、ステップS201の工程編成シミュレーション処理、ステップS202の最適工程編成選択処理、及びステップS203の表示処理を実行する。
図13は、ステップS301の適応性判定処理例である。
演算部1は、編成対象の一群の工程をそれぞれ実行させた作業者ごとに図13の処理を行う。
まずステップS401で演算部1は対象の作業者を選択する。本例では、複数の作業者WM1〜WMnにそれぞれ一群の工程を実行させているので、先ずは、例えば作業者WM1を選択する。
続くステップS402で演算部1は、処理対象とする作業を選択する。該ステップS402では、ステップS401で選択した作業者が実行した一群の工程における個々の作業を順次選択していく。
ステップS403で演算部1は、処理対象として選択した作業における、作業者の身体各部の個別データを抽出する。例えば作業a1を選択しているときは、図4Bのように、サンプルタイミングt0〜t15、t100〜t115、・・・の情報が作業a1についてのサンプルであるとすると、これらのサンプルタイミングにおける検出点P0〜P(n)の三次元座標値を抽出する。
ステップS404で演算部1は、抽出した個別データを作業a1について設定された基準情報の各該当データと比較する。
このため演算部1はデータベース部2から工程Aの作業a1に関する基準情報を取得する。例えば作業a1としての基準となる検出点P0〜P(n)の各時点の三次元座標値が、データベース部2に登録されている。このような基準情報と対象の作業者の身体各部の個別データを比較して差分値を求める。
そしてステップS405で演算部1は、差分値を用いて演算を行い、当該作業者の当該作業(例えば作業a1)に対する適応性を示す適応値を算出する。
差分値が小さいと言うことは、その作業者が基準情報との比較で姿勢や動きの差が小さいということであり、作業中に無駄な動きが少ないということである。逆に差分値が大きいことは無駄な動きが多いということである。
例えば各サンプルタイミングの差分値の積算、主要な検出点Pの情報の選択/重み付け、各検出点Pの変位の時間などとして、所定の演算を行って適応値を求める。この適応値は、対象の作業者の姿勢や動作が、基準となる姿勢や動作に対して類似しているか或いは乖離しているかを表す値となるようにする。
また図4Aのような情報によれば、1つの作業、1つの動作の所要時間も判定できる。従って、所要時間に応じた係数を用いて適応値を求めることも有効である。
ステップS406で演算部1は対象とした作業者が実行した作業のうち未処理の作業が存在するか否かを判別し、未処理の作業が存在すればステップS402に戻る。これにより対象とする作業者が実行した全ての作業について、ステップS403〜S405の処理が行われ、該作業者の各作業に対する適応値が求められる。
各作業についての適応値を求めたら、演算部1はステップS406からS407に進み、未処理の作業者が存在するか否かを判定し、未処理の作業者が存在すればステップS401に戻る。これにより作業者WM1〜WMnの各人についてステップS402〜S405の処理が行われ、作業者WM1〜WMnの各人ごとに各作業に対する適応値がそれぞれ求められる。
図14は、図13の処理で算出された作業者及び工程ごとの適応値の例を示している。この場合の演算部1は、図13に示すようにして得られた作業者/工程ごとの適応値の情報を記憶部3に記憶させる。
図12において、ステップS201の工程編成シミュレーションが行われると、編成内容の異なる複数の工程編成について、工程編成ごとの適応値が得られる。
この場合におけるステップS202の最適工程編成選択処理では、演算部1は、ステップS201のシミュレーションにより得られた複数の工程編成ごとの適応値に基づき、それら複数の工程編成のうちから最適とされる工程編成を選択する。例えば、シミュレーション処理により得られた個々の工程編成ごとに適応値の合計値を算出し、該合計値を最大とする工程編成を最適工程編成として選択する(前述のように適応性があるほど適応値が大きくなることを前提とした場合)。
なお、この場合における最適工程編成の選択処理としては、少なくとも作業に対する適応性が高いとされる工程編成が優先的に選択されるように行われればよい。
この場合も最適工程編成の選択にあたり作業所要時間を考慮することもできる。
この場合、ステップS203の表示処理で表示する情報としては、例えば図11に示した情報における作業単位、工程単位、及びトータルの各「負担値」をそれぞれ該当する単位による「適応値」に置き換えた情報とすればよい。
なお、最適工程編成の選択は適応値と作業負担値の双方に基づき行うこともできる。一例としては、例えばステップS201の工程編成シミュレーションにより得られた複数の工程編成ごとに適応値の合計値、及び作業負担値の合計値を算出し、それら複数の工程編成ごとに、適応値の合計値に対し作業負担値の合計値に応じた係数を乗じた総合評価値を算出し、該総合評価値を最大とする工程編成を最適工程編成として選択する手法を挙げることができる。
<編成シミュレーション及び最適工程編成の選択のさらに別例>
上記では、作業負担値に基づく工程編成の選択として、作業負担値の小ささを指標として工程編成を選択することについて言及したが、該別例は、作業負担値に基づく工程編成選択の他の例を提案するものである。具体的には、編成対象の一群の工程について、工程ごとの作業負担を平準化(均等化)するということを基準に最適工程編成を選択するものである。
図15を参照して平準化の例を説明する。
図15Aは、平準化の前提となる負担評価情報の一例である。まず本例の平準化を行うにあたっては、編成対象の一群の工程を構成する各作業についての作業負担値を得ることが前提となる。図15Aでは、編成対象の一群の工程が工程A〜工程Eで成る場合において、該一群の工程を構成する作業ごとの作業負担値を得た場合の例を示している。なお図中の「総合」は、この場合も工程単位での作業負担値を意味している。
このような一群の工程における各作業の作業負担値は、一人の作業者に該一群の工程を実行させることで得てもよいし、該一群の工程を構成する作業を例えば工程ごと等の所定の作業単位に分割して複数の作業者にそれぞれ分担させて実行させることで得てもよい(例えば図15Aの例において工程ごとに分担させる場合は5人の作業者にそれぞれ対応する一の工程を実行させる)。
図15Aに示すような一群の工程における工程ごとの作業負担値は、例えば該一群の工程における各工程を対象として図6Aに示す処理を実行することで得る。
図15Aに示す例においては、図中に太枠で囲った工程Aと工程Eの負担値がそれぞれ「251」「257」でほぼ均等となっている。それ以外の工程B、Cは負担が比較的大きく、また工程Dは負担が比較的小さくなっている。
図15Bは、図15Aに示す編成による一群の工程に対する作業負担の平準化の一例を示している。
平準化にあたっては、作業負担の均等範囲を設定する。例えば各工程の負担値の平均値を求め、該平均値を中心とした±αの範囲を、均等範囲とする。図15の数値例に則して言えば、工程A〜工程Eについての作業負担値の平均値は「260」である。例えばα=10として、「250」〜「270」を均等範囲とする。これは、各工程の負担値が均等範囲内にあれば、各工程は、作業者にとってほぼ平等の負荷となるものとする範囲設定である。
平準化では、最も多くの工程、望ましくは全ての工程の作業負担値が均等範囲内となることを目標とする。図15Bでは、図15Aの工程編成における作業b1を工程Aに組み入れ、かつ作業c4を工程Dに組み入れることで、工程A〜工程Eが、全て均等範囲「250」〜「270」内となる例が示されている。これにより、工程A〜工程Eの全ての負担が略均等とされる。
この場合における演算部1は、上記のような平準化された最適な工程編成を導出するべく、図15Aに示したような一群の工程について得た作業負担値に基づき以下のような処理を実行する。
この場合の演算部1は、先の図6Bに示した場合と同様に、ステップS201の工程編成シミュレーション処理、ステップS202の最適工程編成選択処理、及びステップS203の表示処理を行う。この場合、ステップS201の工程編成シミュレーション処理では、前述した作業順序条件を満たす範囲内で対象の一群の工程について作業の組み替えを行って、編成内容の異なる複数の工程編成を得る。
ステップS202の最適工程編成選択処理では、ステップS201のシミュレーション処理で得られた複数の工程編成ごとに、作業負担値が前述した均等範囲内に収まっている工程の数を算出し、算出した工程の数が最も多い工程編成を最適工程編成として選択する。この場合、該当する工程編成が複数存在する場合は、それら複数の工程編成を最適工程編成として選択すればよい。
上記のような処理により、想定され得る複数の工程編成について作業者に実際に作業を行わせることを不要としながら、作業負担が平準化された工程編成を導出することができ、また導出した工程編成を製造ラインの管理者やライン設計技術者等の人員に提示することができる。
<まとめ>
以上、実施形態としての工程編成支援装置(演算部1)は、一又は複数の作業を含む工程の編成について支援を行う工程編成支援装置であって、測定対象の作業を実行する作業者について、複数の身体部位に対応する検出点と該検出点を結ぶ線により簡易モデル化した状態で、各時点での作業者の身体状態の情報を取得する検出情報取得部(同1c)と、検出情報取得部で得た情報に基づき、作業者の作業に対する評価値を算出する評価値算出部(同1e)と、編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの評価値に基づいて、前記複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行う出力制御部(同1f)とを備えている。
即ち作業者の身体状態を簡易モデルにより検出し、各身体部位、例えば関節部などについての検出点や線の位置や変化(移動ベクトル)により、作業者の動作を把握できるようにする。そして検出点又は線についての情報、つまり身体の各部位(腕、腰、足)などの個別のデータに基づき、作業者の作業に対する評価値を算出し、該評価値に基づき、編成内容を異ならせた複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行っている。このとき、評価値としては、作業者の身体状態についての実測データに基づき算出するため、客観的かつ定量的な値を得ることが可能である。また、編成シミュレーションにより複数の工程編成ごとの評価値が得られるため、想定され得る複数の工程編成について作業者に実際に作業を行わせるという負担は不要となる。
従って、上記した実施形態としての工程編成支援装置によれば、効率的な工程編成の導出を正確かつ編成に係る人員負担の軽減を図りながら実現することができる。
なお、上記のように作業者の身体状態の情報として複数の身体部位に対応する検出点と線を用いた単純化したデータを用いることで、処理の容易化、比較的小規模の演算システムでの実現容易性を得ることができる。
また、実施形態としての工程編成支援装置においては、検出情報取得部で得た情報における検出点又は線の変化により作業者の姿勢又は動作を判定する動作判定部(同1d)を備え、評価値算出部は、動作判定部で判定した作業者の姿勢又は動作に基づき算出した作業負担値を評価値として得ている。
これにより、編成シミュレーションでは編成内容の異なる工程編成ごとの作業負担値が得られ、該作業負担値に基づいて一又は複数の工程編成が選択される。
従って、作業負担の面で効率的となる工程編成を導出することができる。
また、実施形態としての工程編成支援装置においては、評価値算出部は、検出情報取得部で得た情報における検出点又は線についての情報を測定対象の作業について設定された基準情報と比較して作業者の該作業に対する適応値を算出し、該適応値を評価値として得ている。
これにより、編成シミュレーションでは編成内容の異なる工程編成ごとの適応値が得られ、該適応値に基づいて一又は複数の工程編成が選択される。
従って、作業者の得意不得意や向き・不向き等、作業者の作業に対する適応性の面で効率的となる工程編成を導出することができる。
さらに、実施形態としての工程編成支援装置においては、評価値算出部は、複数の作業者にそれぞれ一群の工程を実行させた場合における作業者ごとの評価値を算出し、出力制御部は、編成シミュレーションとして、複数の作業者がそれぞれ実行した一群の工程間で作業を組み替えるシミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの評価値に基づいて、一又は複数の工程編成を選択している。
これにより、作業者としての人員の編成も含めて、効率的となる工程編成を導出することができる。
さらにまた、実施形態としての工程編成支援装置においては、作業者の作業所要時間を取得する所要時間取得部を備え、出力制御部は、編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの評価値及び作業所要時間に基づいて、一又は複数の工程編成を選択している。
これにより、作業所要時間の長さも考慮して工程編成の導出を行うことができる。
また、実施形態としての工程編成支援装置においては、検出情報取得部は、作業者を撮像した画像データの解析結果から、複数の検出点の三次元位置を取得するようにしている。
即ちカメラで作業者を撮像し、撮像対象の人間の主に関節部を模した複数の点と、それを結ぶ線とに簡略化したデータに変換する。演算部1はこのような点又は線の移動ベクトルの検出結果から人間の動きを特定するシステムとしている。
上記のように作業者を撮像して撮像画像を解析すれば、その作業者の検出点の三次元位置を特定することができる。
またこの場合、作業者はセンサ等を身体に装着する必要をなくすことができ、センサ装着による違和感や作業性悪化を生じさせないようにすることができる。
なお、実施形態では、測定終了後に負担評価情報を表示するようにしたが、例えば測定中にリアルタイムで各工程や作業の負担値を表示してもよい。すると、負荷の大きい作業者を作業中に発見できたり、それに応じて人員の配置替えを行うなどの処置も可能となる。さらには、混流生産や品質状況に応じて作業の負担値が大きくなるとき等にも対応可能となる。例えば、一日の中で生産車種が切り替わったり、その日の状況や環境により品質が変わり一部手直しが入る等して、作業負担が変わるケースもあり、そのような場合に対応可能となるものである。
1…演算部、1a…画像解析部、1b…カメラ制御部、1c…検出情報取得部、1d…動作判定部、1e…評価値算出部、1f…出力制御部、1g…適応値算出部、2…データベース部、3…記憶部、4…表示部、5…通信部、6…印刷部、10…撮像部、20…センサ

Claims (7)

  1. 一又は複数の作業を含む工程の編成について支援を行う工程編成支援装置であって、
    測定対象の作業を実行する作業者について、複数の身体部位に対応する検出点と該検出点を結ぶ線により簡易モデル化した状態で、各時点での前記作業者の身体状態の情報を取得する検出情報取得部と、
    前記検出情報取得部で得た情報に基づき、前記作業者の前記作業に対する評価値を算出する評価値算出部と、
    編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値に基づいて、前記複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行う出力制御部と、を備えた
    工程編成支援装置。
  2. 前記検出情報取得部で得た情報における前記検出点又は線の変化により作業者の姿勢又は動作を判定する動作判定部を備え、
    前記評価値算出部は、
    前記動作判定部で判定した作業者の姿勢又は動作に基づき算出した作業負担値を前記評価値として得る
    請求項1に記載の工程編成支援装置。
  3. 前記評価値算出部は、
    前記検出情報取得部で得た情報における前記検出点又は線についての情報を測定対象の作業について設定された基準情報と比較して前記作業者の該作業に対する適応値を算出し、該適応値を前記評価値として得る
    請求項1に記載の工程編成支援装置。
  4. 前記評価値算出部は、
    複数の作業者にそれぞれ前記一群の工程を実行させた場合における前記作業者ごとの前記評価値を算出し、
    前記出力制御部は、
    前記編成シミュレーションとして、前記複数の作業者がそれぞれ実行した前記一群の工程間で作業を組み替えるシミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値に基づいて、一又は複数の工程編成を選択する
    請求項1に記載の工程編成支援装置。
  5. 前記作業者の作業所要時間を取得する所要時間取得部を備え、
    前記出力制御部は、
    前記編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値及び前記作業所要時間に基づいて、一又は複数の工程編成を選択する
    請求項1に記載の工程編成支援装置。
  6. 前記検出情報取得部は、作業者を撮像した画像データの解析結果から、複数の前記検出点の三次元位置を取得する
    請求項1に記載の工程編成支援装置。
  7. 一又は複数の作業を含む工程の編成について支援を行う工程編成支援方法であって、
    測定対象の作業を実行する作業者について、複数の身体部位に対応する検出点と該検出点を結ぶ線により簡易モデル化した状態で、各時点での前記作業者の身体状態の情報を取得する検出情報取得手順と、
    前記検出情報取得手順で得た情報に基づき、前記作業者の前記作業に対する評価値を算出する評価値算出手順と、
    編成対象の一群の工程について編成内容を異ならせた複数の工程編成を得る編成シミュレーションを行い、該編成シミュレーションにより得た工程編成ごとの前記評価値に基づいて、前記複数の工程編成のうちから一又は複数の工程編成を選択し、選択した工程編成の情報を提示する制御を行う出力制御手順と、
    を情報処理装置が実行する
    工程編成支援方法。
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