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JP2017043202A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2017043202A
JP2017043202A JP2015166902A JP2015166902A JP2017043202A JP 2017043202 A JP2017043202 A JP 2017043202A JP 2015166902 A JP2015166902 A JP 2015166902A JP 2015166902 A JP2015166902 A JP 2015166902A JP 2017043202 A JP2017043202 A JP 2017043202A
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tread
groove
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road surface
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JP2015166902A
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隼人 坂本
Hayato Sakamoto
隼人 坂本
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】省スペース化を実現するとともに走行安定性能を改善した、空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、A≦480[A=2×H1+D]、B≦1.0[B=SW×(2×H1+D)×10−5]、3≦C≦5.5[C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]を満たす空気入りタイヤとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、径が比較的に小さな空気入りタイヤ(10インチ)が開示されている(非特許文献1参照)。
MICHELIN著チャレンジ・ビバンダム2011におけるミシュランの技術革新ドイツ・ベルリン2011年5月18日―22日プレスキットP.8−9
非特許文献1に開示されたタイヤは、このように小径でありながら、14インチ径のタイヤと同等のオンロード性能を発揮し、グリップ性能やブレーキ性能についても遜色なく発揮する、とされている。ここで、小径タイヤが装着される小型車両は、操舵時に必要な車両の旋回半径が小さく、いわゆる小回りが利くという利点がある。また、タイヤの径を小さくすることで、省スペース化でき、乗車スペースの足元の領域を広く確保することができる。上記のような小径タイヤが装着される小型車両は、例えば、横風の影響を受け易い。このため、空気入りタイヤの走行安定性が低いと、車両の走行性能に与える影響が大きくなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、省スペース化を実現するとともに走行安定性能を改善した、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様による空気入りタイヤは、タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たす空気入りタイヤである。
A≦480 …(1)
[A=2×H1+D]
B≦1.0 …(2)
[B=SW×(2×H1+D)×10−5
3≦C≦5.5 …(3)
[C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]
また、接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域をセンター領域とし、幅方向の各端部の領域をショルダー領域としたとき、前記センター領域はタイヤ周方向に延在する少なくとも1本の主溝を有し、かつ、前記センター領域の溝面積CAに対する前記ショルダー領域の溝面積SAの比SA/CAが、
0 ≦ SA/CA ≦ 0.8
を満たすことが好ましい。
少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝を有し、前記主溝と前記ラグ溝とによって囲まれたトレッドブロックの角部の、少なくとも1つに面取りを設けることが好ましい。
空気入りタイヤが回転方向を指定されたタイヤであり、前記トレッドブロックのトレッド表面から見た面取りの長さがタイヤ転動時の路面への進入側と路面からの蹴り出し側とにおいて異なり、路面への進入側の面取りの長さに対する路面からの蹴り出し側の面取りの長さの比が1より小さいことが好ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤによれば、省スペース化を実現するとともに走行安定性能を改善することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの一部を拡大した断面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド領域の例を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域を模式的に示す図である。 図5は、本発明の実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域の溝面積比を説明するための図である。 図6Aは、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤを赤道面に平行な面に沿って切った場合のトレッドブロックの断面を示す図である。 図6Bは、図6Aのトレッドブロックの破線円の部分を拡大して示す図である。 図6Cは、トレッドブロックの角部の面取りの他の例を示す断面図である。 図7は、路面進入側の角部及び蹴り出し側の両方に面取りを設けたトレッドブロックの例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、およびZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、およびθZ方向とする。
(空気入りタイヤの構造)
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤ1の一例を示す断面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤ1の一部を拡大した断面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド領域の例を示す図である。以下の説明においては、空気入りタイヤ1を適宜、タイヤ1、と称する。
タイヤ1は、中心軸(回転軸)AXを中心に回転可能である。図1及び図2はそれぞれ、タイヤ1の中心軸AXを通る子午断面を示す。タイヤ1の中心軸AXは、タイヤ1の赤道面CLと直交する。
本実施形態においては、タイヤ1の中心軸AXとY軸とが平行である。すなわち、本実施形態において、中心軸AXと平行な方向は、Y軸方向である。Y軸方向は、タイヤ1の幅方向又は車幅方向である。赤道面CLは、Y軸方向に関してタイヤ1の中心を通る。θY方向は、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向である。X軸方向およびZ軸方向は、中心軸AXに対する放射方向である。タイヤ1が走行(転動)する路面(地面)は、XY平面とほぼ平行である。
以下の説明においては、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向を適宜、周方向、と称し、中心軸AXに対する放射方向を適宜、径方向と称し、中心軸AXと平行な方向を適宜、幅方向、と称する。
タイヤ1は、カーカス部2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部6と、インナーライナー7と、サイドウォール部8とを有する。
カーカス部2、ベルト層3、およびベルトカバー4のそれぞれは、コードを含む。コードは、補強材である。コードを、ワイヤと称してもよい。カーカス部2、ベルト層3、およびベルトカバー4のような補強材を含む層をそれぞれ、コード層と称してもよいし、補強材層と称してもよい。
カーカス部2は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス部2は、コードを含む。カーカス部2のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス部2は、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス部2は、ビード部5に支持される。ビード部5は、Y軸方向に関してカーカス部2の一側および他側のそれぞれに配置される。カーカス部2は、ビード部5において折り返される。カーカス部2は、1枚以上の有機繊維のカーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。なお、カーカス部2は、ポリエステルのカーカスコードを含んでもよいし、ナイロンのカーカスコードを含んでもよいし、アラミドのカーカスコードを含んでもよいし、レーヨンのカーカスコードを含んでもよい。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する強度部材である。ベルト層3は、コードを含む。ベルト層3のコードを、ベルトコードと称してもよい。ベルト層3は、カーカス部2とトレッド部6との間に配置される。ベルト層3は、例えばスチールなどの金属繊維のベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルト層3は、有機繊維のベルトコードを2枚以上含んでもよい。本実施形態において、ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのコードと第2ベルトプライ3Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー4は、コードを含む。ベルトカバー4のコードを、カバーコードと称してもよい。ベルトカバー4は、タイヤ1の中心軸AXに対してベルト層3の外側に配置される。ベルトカバー4は、例えばスチールなどの金属繊維のカバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルトカバー4は、有機繊維のカバーコードを含んでもよい。
ビード部5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビード部5は、ビード50を有する。ビード50は、カーカス部2の両端を固定する強度部材である。ビード50は、スチールワイヤの束である。なお、ビード50は、炭素鋼の束でもよい。ビード50に隣接して硬質ゴム部51が設けられている。硬質ゴム部51は、ビードフィラーに相当し、タイヤ全体のケーシング剛性を高める機能を有する。
トレッド部6は、センター領域Ceと、Y軸方向に関してセンター領域Ceの両側に配置されたショルダー領域Shとを含む。トレッド部6は、カーカス部2を保護する。トレッド部6は、路面と接触する接地部を含む。
トレッド部6は、タイヤ径方向外側の表面に複数の溝20が形成されている。溝20は、タイヤ1の周方向に延びる主溝21と、少なくとも一部がタイヤ1の幅方向に延びるラグ溝(横溝)22と、を含む。溝20の周囲に、陸部が設けられる。陸部は、溝20と、その溝20に隣り合う溝20との間に設けられる。トレッド部6は、溝20の間に配置される複数の陸部を含む。なお、図3の破線で囲まれた接地領域は、接地輪郭9である。
主溝21は、タイヤ1の周方向に延びるストレート溝である。主溝21の少なくとも一部は、トレッド部6のセンター領域Ceに設けられる。タイヤ1が競技用タイヤである場合、主溝21は2つ以上設けられる。本例において、図2に示すように、タイヤ1は、4つの主溝21を有する。
主溝21は、内部に、トレッドウェアインジケータを有する。トレッドウェアインジケータは、タイヤ1の摩耗限度を示す。主溝21は、5.0[mm]以上の幅を有し、5.0[mm]以上の深さを有してもよい。
ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ1の幅方向に設けられる。ラグ溝22の少なくとも一部は、トレッド部6のショルダー領域Shに設けられる。ショルダー領域Shは、幅方向(Y軸方向)に関してセンター領域Ceの一側(+Y側)および他側(−Y側)のそれぞれに配置される。ラグ溝22は、1.5[mm]以上の幅を有する。ラグ溝22は、4.0[mm]以上の深さを有してもよく、部分的に4.0[mm]未満の深さを有していてもよい。
インナーライナー7は、タイヤ1の内面に貼り付けられた気密保持性の高いゴム層である。サイドウォール部8は、カーカス部2を保護する。サイドウォール部8は、Y軸方向に関してトレッド部6の一側および他側のそれぞれに配置される。サイドウォール部8は、Y軸方向に関してトレッド部6の一側および他側のそれぞれに配置されるサイドウォールゴムを有する。
本実施形態において、タイヤの外径はODである。タイヤの総幅はSWである。トレッド接地幅はW1である。
タイヤの外径ODとは、タイヤ1をリムに組み付け、規定内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えないときの、タイヤ1の直径をいう。ビード直径Dとは、タイヤ1に適合するホイールのリムに接する部分の径をいう。
タイヤの断面高さH1とは、タイヤ1をリムにリム組みし、かつ規定内圧を充填した無負荷状態のときの、タイヤ外径ODとビード直径Dとの差の1/2をいう。
(タイヤ形状)
本実施の形態による空気入りタイヤ1は、タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たしている。なお、特に明記しない限り、長さの単位は[mm]である。
A≦480 …(1)
[A=2×H1+D]
B≦1.0 …(2)
[B=SW×(2×H1+D)×10−5
3≦C≦5.5 …(3)
[C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]
タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たすことにより、空気入りタイヤ1は外径が比較的小さな空気入りタイヤとなる。
式(1)は、省スペース性を高めるため、タイヤの「外径」を規定している。式(2)は、車両の静止時及び直進時の省スペース性を高めるため、「幅×外径」の上限を規定している。
式(3)はタイヤの負荷能力Wを確保するための式である。Cの値は、タイヤの最大負荷力[kN]と、ほぼ一致する値となる。式(3)は、Cを3以上とすることで荷重負荷能力を高くすることができ、Cを5.5以下、好ましくは5以下とすることで、剛性の増加を抑制し、操縦安定性を高くすることができる。接地形状を計測する負荷荷重は、式(3)によって規定されるCを0.75倍したものとする。負荷荷重の単位は[kN]である。
式(2)における総幅SW、断面高さH1は、内圧180kPaでリム組みされた状態において測定する。組むべきリムのリム幅Rは、リム組みしていない無負荷状態におけるタイヤ断面幅W0とタイヤ断面高さH0とに関する、下記の式(4)及び表1から導かれる測定用リム幅Rmを用いたものとする。すなわち、無負荷時の断面幅W0、断面高さH0を用いて、無負荷偏平率F0を計算した後、表1から対応する係数Kを得る。
F0=H0/W0 … (4)
Figure 2017043202
そして、下記の式(5)によって、組むべきリムのリム幅Rを計算する。
R=K×W0 … (5)
測定用リム幅Rmは、例えば、3.5インチ,4.0インチ,4.5インチなど、0.5インチ刻みで設定されている。設定されている測定用リム幅Rmのうち、組むべきリムのリム幅Rに最も近いリムを選定する。
(トレッド領域)
ここで、本実施の形態による空気入りタイヤ1の接地するトレッド領域について説明する。図4は、本実施の形態による空気入りタイヤ1のトレッド領域を模式的に示す図である。図5は、本実施の形態による空気入りタイヤ1のトレッド領域の溝面積比を説明するための図である。
図4において、本実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域は、赤道面CLを通る位置にあるセンター領域Ceと、その両側の位置にあるショルダー領域Shとを有する。本実施の形態では、センター領域Ceは、トレッド領域を赤道面CLに沿って2等分した2つの領域について、さらに2等分した領域の赤道面CLに近い側の2つの領域を合わせた領域である。ショルダー領域Shは、センター領域Ceの外側に位置する領域である。つまり、トレッド接地幅W1に対し、センター領域Ceは接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域であり、ショルダー領域Shは、外側すなわち幅方向の各端部の領域である。
本実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域は、タイヤ1の周方向に延びる少なくとも1本の周方向主溝21と、少なくとも一部がタイヤ1の幅方向に延びるラグ溝22と、を有する。空気入りタイヤ1は、周方向主溝21がセンター領域Ceにあるので、排水性を確保することができる。
図5において、本実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域の面積比は、以下のようになっている。すなわち、トレッド領域を幅方向に関して、上記のようにセンター領域Ceと、ショルダー領域Shとに区分したとき、センター領域Ceの溝面積CAに対する、ショルダー領域Shの溝面積SAの比が、下記の式(6)を満たすことが好ましい。ただし、溝面積は、主溝、ラグ溝、細溝、サイプなど、すべての溝を含めた溝面積である。
0≦ SA/CA ≦0.8 … (6)
外径の小さなタイヤは周方向の接地長さが短くなるため、ハイドロプレーニングの危険性が高まるという課題がある。水溜り進入時におけるトレッドの路面非接触域はタイヤ幅方向の中央付近に寄る傾向にあることから、トレッドのセンター領域Ceの排水を優先的に行うことが望ましい。本実施の形態の空気入りタイヤ1は、センター領域Ceの溝面積CAに対する、ショルダー領域Shの溝面積SAの比SA/CAが式(6)を満たす。このため、センター領域Ceの溝面積CAがショルダー領域Shの溝面積SAよりも大きくなり、排水効率を高めることができる。また、ショルダー領域Shに溝を設け、溝面積CAに対する、溝面積SAの比SA/CAを0.05≦SA/CAとすることが好ましい。これにより、排水効率をより高めることができる。さらに、溝面積CAに対する、溝面積SAの比SA/CAが0.05≦SA/CA≦0.7を満たすことが好ましい。これにより、溝面積のバランスがより向上し、排水効率をより高めることができる。
ここで、溝面積CAに対する、溝面積SAの比SA/CA=0であることは、ショルダー領域Shの溝は全く無くても良いことを意味する。空気入りタイヤ1は、SA/CA=0の場合、センター領域Ceに全接地面積の10%以上の非接触面積があることが望ましい。
センター領域Ceの周方向主溝の本数をN、センター領域Ceの周方向主溝の幅をH[mm]としたとき、N×Hの値が10[mm]以上であることが望ましい。
トレッドの接地面全体において、主溝の成分は、ラグ溝、細溝、サイプなどの主溝以外の溝の成分より大きいことが望ましい。すなわち、トレッドの接地面全体に対する主溝だけの面積比は、トレッドの接地面全体に対する主溝以外のすべての溝の面積比よりも大きいことが望ましい。ここで、トレッドの接地面全体に対する主溝だけの面積比は、0.15以上0.40以下であることが好ましい。また、トレッドの接地面全体に対する主溝以外のすべての溝の面積比は、0.05以上0.25以下であることがさらに好ましい。
(トレッドブロックの角部の面取り)
トレッド領域において、主溝21とラグ溝22とで囲まれることによって、トレッドブロックが形成される。トレッドブロックの角部の少なくとも1つに面取りを設けてもよい。図6Aは、本実施の形態に係る空気入りタイヤ1を赤道面CLに平行な面に沿って切った場合のトレッドブロックの断面を示す図である。図6Aにおいては、トレッドブロックTBを誇張して示す。
図6Aにおいて、空気入りタイヤ1は矢印Y1方向に回転する。このとき、空気入りタイヤ1のトレッド領域に設けられているトレッドブロックTBは、角部C1が先に路面RMに接し、次に角部C2が路面RMに接する。このため、トレッドブロックTBの踏み込み側すなわち路面進入側の角部が角部C1であり、路面RMの蹴り出し側の角部が角部C2である。本例では、トレッドブロックTBのタイヤ周方向の角部C1に面取りを設ける。
図6Bは、図6AのトレッドブロックTBの破線円HCの部分を拡大して示す図である。図6Bは、トレッドブロックTBの断面図である。図6Bに示すように、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C1に面取りを有する。このため、トレッドブロックTBの踏面M1の周方向の長さは、トレッドブロックTBの周方向の長さTBLよりも、面取りの周方向の長さLa分だけ短い。
図6Bにおいて、本例では、踏面M1及び溝壁面M2は、いずれも平面である。面取りにより、踏面M1と溝壁面M2との間は、曲面KM1になっている。このため、トレッドブロックTBは、踏面M1から曲面KM1を経て溝壁面M2に繋がり、溝壁面M2から溝底面M3に至る形状を有する。
曲面KM1の溝壁面M2側の端部は点P1である。点P1は、曲面KM1と溝壁面M2との接続点である。踏面M1から点P1までの長さが、トレッドブロックTBの面取り深さDaである。曲面KM1の踏面M1側の端部は点P2である。点P2は、曲面KM1と踏面M1との接続点である。溝壁面M2から点P2までの長さが、トレッドブロックTBの面取りの周方向の長さLaである。
トレッドブロックTBは、曲面KM1による面取りに代えて、平面による面取りを有していてもよい。図6Cは、トレッドブロックTBの角部C1の面取りの他の例を示す断面図である。図6Cに示すように、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C1に面取りを有する。面取りにより、踏面M1と溝壁面M2との間は、平面HM1になっている。つまり、トレッドブロックTBは、踏面M1から平面HM1を経て溝壁面M2に繋がり、溝壁面M2から溝底面M3に至る形状を有する。
ここで、踏面M1と平面HM1との角度θM1は、90度より大きく、かつ、180度より小さな角度すなわち鈍角になっている。また、溝壁面M2と平面HM1との角度θM2は、90度より大きく、かつ、180度より小さな角度、すなわち鈍角になっている。
なお、タイヤ1の製造の際に成型金型の隅にゴムが入り込まないために生じる曲面又は平面は、本例における面取りではない。本例における面取りは、角部C1に対応する金型の内面の形状によって成型される曲面又は平面である。
図6B及び図6Cに示す面取り深さDaは、例えば、溝深さDMの15%以上70%以下、更に好ましくは25%以上70%以下である。また、図6Cに示す平面HM1による面取りの場合、溝壁面M2を延長した仮想面M4と平面HM1とのなす角度θMは、例えば、30度以上70度以下である。
外径が小さなタイヤは、外径の大きなタイヤよりも転動時のトレッドブロック歪みが大きいため接地圧が不均一になりやすい。そのため、トレッドブロックTBの角部C1に面取りを設けることにより、DRY路面及びWET路面でのグリップ性能を向上させ、かつ、トレッドブロックTBの偏摩耗を防止することができる。そして、トレッドブロックTBの踏み込み側すなわち路面進入側の角部C1と、路面の蹴り出し側の角部C2との少なくとも一方に面取りを設ければ、グリップ性能を向上させ、かつ、トレッドブロックTBの偏摩耗を防止することができる。
タイヤの外径が小さければ小さいほど、タイヤ回転時の路面進入側接地圧が高くなる傾向にある。このことから、トレッドブロックTBについては、周方向の角部である角部C1又はC2に面取りを設けることが望ましい。
図7は、路面進入側の角部及び蹴り出し側の両方に面取りを設けたトレッドブロックTBの例を示す図である。図7は、本実施の形態の空気入りタイヤを赤道面CLに平行な面に沿って切った場合のトレッドブロックの断面を示す図である。
図7に示すように、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C1に面取りを有し、曲面KM1になっている。また、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C2に面取りを有する。このため、トレッドブロックTBの踏面M1の周方向の長さは、トレッドブロックTBの周方向の長さTBLよりも、面取りの周方向の長さ(La+Lb)分だけ短い。
図7において、本例では、踏面M1、溝壁面M2及びM5は、いずれも平面である。面取りにより、踏面M1と溝壁面M2との間は、曲面KM1になっている。このため、トレッドブロックTBは、踏面M1から曲面KM1を経て溝壁面M2に繋がり、溝壁面M2から溝底面M3に至る形状を有する。曲面KM1の溝壁面M2側の端部は点P1である。点P1は、曲面KM1と溝壁面M2との接続点である。踏面M1から点P1までの長さが、トレッドブロックTBの面取り深さDaである。曲面KM1の踏面M1側の端部は点P2である。点P2は、曲面KM1と踏面M1との接続点である。溝壁面M2から点P2までの長さが、路面への進入側の面取りの周方向の長さLaである。
また、面取りにより、踏面M1と溝壁面M5との間は、曲面KM2になっている。このため、トレッドブロックTBは、踏面M1から曲面KM2を経て溝壁面M5に繋がり、溝壁面M5から溝底面M6に至る形状を有する。曲面KM2の溝壁面M5側の端部は点P3である。点P3は、曲面KM2と溝壁面M5との接続点である。踏面M1から点P3までの長さが、トレッドブロックTBの面取り深さDbである。曲面KM2の踏面M1側の端部は点P4である。点P4は、曲面KM2と踏面M1との接続点である。溝壁面M5から点P4までの長さが、路面からの蹴り出し側の面取りの周方向の長さLbである。
なお、トレッドブロックTBは、曲面KM1及び曲面KM2による面取りに代えて、図6Cと同様に平面HM1による面取りを有していてもよい。
また、空気入りタイヤ1が、タイヤの回転方向が指定されており、少なくとも1箇所のトレッドブロックTBに周方向の角部に面取りが設けられている場合において、トレッドブロックTBの、トレッド表面から見た面取りの長さが、タイヤ転動時の路面への進入側と路面からの蹴り出し側とにおいて異なる。路面への進入側の面取りの長さに対する路面への蹴り出し側の面取りの長さの比が1より小さいことが望ましい。つまり、路面進入側の長さLaと蹴り出し側の長さLbに関して、長さの比Lb/La<1であることが望ましい。すなわち、先に路面に接触する側に、より大きな面取りを設けることが望ましい。
式(1)、式(2)及び式(3)を満たす、外径の小さなタイヤは、転動時のトレッドブロックTBの歪みが大きいため、路面RMへの接地圧が不均一になりやすい。すなわち、外径の小さなタイヤは、タイヤ回転時に、トレッドブロックTBの路面進入側の接地圧が高くなる傾向にある。このことから、トレッドブロックTBの周方向の角部C1に面取りが設けられていることが望ましい。本実施の形態のように、トレッドブロックTBの角部に面取りを設けることによってDRY路面及びWET路面でのグリップ性能を向上させ、かつ、耐偏摩耗を防止することができる。
トレッドブロックTBにおいて、路面からの蹴り出し側の面取りよりも、路面への進入側の面取りを大きく設定することにより、接地面圧の更なる最適化を行うことができ、DRY路面及びWET路面でのグリップ性能をさらに向上できる。
路面進入側の面取りの周方向の長さLaと蹴り出し側の面取りの周方向の長さLbとの関係は、Lb/La≦0.8であることがより望ましい。ただし、Lb=0、すなわち面取りを設けなくてもよい。また、少なくとも一箇所のトレッドブロックTBにおいて、路面進入側の面取り深さDaと蹴り出し側Dbとの関係は、Db/Da<1を満たすことがより望ましい。
(その他)
タイヤ外径ODに対する主溝21の溝深さDMは、例えば、0.008以上0.02以下である。トレッドブロックTBの周方向の長さTBLに対する、路面進入側の角部C1の面取りの周方向の長さLaの比は、例えば、0.05以上0.40以下である。トレッドブロックTBの周方向の長さTBLに対する、蹴り出し側の角部C2の面取りの周方向の長さLbの比は、例えば、0.03以上0.35以下である。
なお、トレッド剛性を高めて操縦安定性を向上させ、かつ、偏摩耗を抑制するため、空気入りタイヤ1は、周方向に一周連続したトレッド陸部(リブ)を少なくとも1つ有することが望ましい。
(実施例)
実施例においては、評価タイヤに空気圧180kPaを充填し、性能評価を行った。測定用リム幅Rmのリムに評価タイヤを組付けた。実車テストは、最大90度の舵角を付与できる車両にて評価を行った。試験の結果を表2及び表3に示す。
操舵輪の省スペース性の試験は、車両設計時に必要となるホイールハウスの体積を算出し、逆数をとり、従来例(基準タイヤ)を100とした指数で評価した。指数の値が大きいほど優れていることを示す。
WET操縦安定性の試験は、WET路面のテストコースのラップタイムの逆数をとり、従来例を100とした指数で評価した。指数の値が大きいほど優れていることを示す。
DRY操縦安定性の試験は、新品時のタイヤおよび摩耗限界時のタイヤについて、DRY路面のテストコースを走行して行った。DRY操縦安定性を、運転者の官能評価によって、従来例を100とした指数で評価した。指数の値が大きいほど優れていることを示す。
表2及び表3においては、タイヤ外径510[mm]、タイヤ総幅145[mm]、ビード直径12インチ、溝面積比SA/CAが「1」、トレッドブロックの面取りがないタイヤを基準タイヤとした。また、表2及び表3においては、前記のように、空気圧を180kPaとし、式(3)によって規定されるCを0.75倍したものを負荷荷重(単位は[kN])として接地形状を測定した時に、タイヤと路面との接地領域の外縁である接地輪郭9で囲まれる領域の総接地面積(すなわち、溝面積と接地面積との和)に対する接地輪郭9に含まれる範囲の主溝の溝面積の比の百分率が約30%となるトレッド溝形状とした。比較例1のタイヤとして、タイヤ外径470[mm]、タイヤ総幅155[mm]、ビード直径10インチ、溝面積比SA/CAが「1.2」、トレッドブロックの面取りがないタイヤを用意した。比較例2のタイヤとして、タイヤ外径470[mm]、タイヤ総幅155[mm]、ビード直径10インチ、溝面積比SA/CAが「0.7」、トレッドブロックの面取りがあり、面取り長さの比Lb/Laが「1.2」のタイヤを用意した。
実施例1から実施例20によると、溝面積比SA/CAが「0」以上で、「1」より小さい場合に良好な結果が得られた。また、溝面積比SA/CAが「0.1」以上で、「0.71」、「0.8」において、さらに良好な結果が得られた。特に、溝面積比SA/CAが「0.56」において、より良好な結果が得られた。
また、トレッドブロックの面取りがないタイヤよりも面取りがあるタイヤについて、良好な結果が得られた。面取り長さの比Lb/Laは「1」より小さい場合に、良好な結果が得られた。
以上のように、実施例の空気入りタイヤ1によれば、良好なWET操縦安定性及び良好なDRY操縦安定性が得られるので、車両の走行安定性を高めることができる。これにより、車両の燃費性能を高めることができる。
Figure 2017043202
Figure 2017043202
1 空気入りタイヤ
2 カーカス部
3 ベルト層
3A 第1ベルトプライ
3B 第2ベルトプライ
4 ベルトカバー
5 ビード部
6 トレッド部
7 インナーライナー
8 サイドウォール部
9 接地輪郭
20 溝
21 主溝
22 ラグ溝
50 ビード
51 硬質ゴム部
AX 中心軸
C1、C2 角部
Ce センター部
CL 赤道面
D ビード直径
M1 踏面
M2 溝壁面
M3 溝底面
Sh ショルダー部

Claims (4)

  1. タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たす空気入りタイヤ。
    A≦480 …(1)
    [A=2×H1+D]
    B≦1.0 …(2)
    [B=SW×(2×H1+D)×10−5
    3≦C≦5.5 …(3)
    [C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]
  2. 接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域をセンター領域とし、幅方向の各端部の領域をショルダー領域としたとき、
    前記センター領域はタイヤ周方向に延在する少なくとも1本の主溝を有し、かつ、前記センター領域の溝面積CAに対する前記ショルダー領域の溝面積SAの比SA/CAが、
    0 ≦ SA/CA ≦ 0.8
    を満たす請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝を有し、前記主溝と前記ラグ溝とによって囲まれたトレッドブロックの角部の、少なくとも1つに面取りを設けた請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記空気入りタイヤが回転方向を指定されたタイヤであり、
    前記トレッドブロックのトレッド表面から見た面取りの長さがタイヤ転動時の路面への進入側と路面からの蹴り出し側とにおいて異なり、
    路面への進入側の面取りの長さに対する路面からの蹴り出し側の面取りの長さの比が1より小さい
    請求項3に記載の空気入りタイヤ。
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