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JP2018138430A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2018138430A
JP2018138430A JP2017033647A JP2017033647A JP2018138430A JP 2018138430 A JP2018138430 A JP 2018138430A JP 2017033647 A JP2017033647 A JP 2017033647A JP 2017033647 A JP2017033647 A JP 2017033647A JP 2018138430 A JP2018138430 A JP 2018138430A
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groove
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pneumatic tire
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隼人 坂本
Hayato Sakamoto
隼人 坂本
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】小径で荷重支持性能を確保し、バックリング現象の発生しにくい耐久性・耐摩耗性に優れた省スペースで走行安定性能良好な空気入りタイヤの提供。【解決手段】タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たし、かつ、接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域をセンター領域とし、幅方向の各端部の領域をショルダー領域としたとき、センター領域の溝面積CAとショルダー領域の溝面積SAとの関係がCA<SAを満たす、空気入りタイヤ。A≦480…(1)[A=2×H1+D]、B≦1.0…(2)[B=SW×(2×H1+D)×10−5]、3≦C≦5.5…(3)[C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、径が比較的に小さな空気入りタイヤ(10インチ)が開示されている(非特許文献1参照)。
MICHELIN著チャレンジ・ビバンダム2011におけるミシュランの技術革新ドイツ・ベルリン2011年5月18日―22日プレスキットP.8−9
非特許文献1に開示されたタイヤは、このように小径でありながら、14インチ径のタイヤと同等のオンロード性能を発揮し、グリップ性能やブレーキ性能についても遜色なく発揮する、とされている。ここで、小径タイヤが装着される小型車両は、操舵時に必要な車両の旋回半径が小さく、いわゆる小回りが利くという利点がある。また、タイヤの径を小さくすることで、省スペース化でき、乗車スペースの足元の領域を広く確保することができる。上記のような小径タイヤは、径が小さいため、荷重支持性能が低い。このため、大舵角時の省スペース性を発揮しつつも荷重支持性能を高めるためには、タイヤ幅やビード径などの寸法を適切な関係で拡大する必要がある。しかしながら、タイヤ幅を広げる際には、路面との接地面における幅方向中央付近が浮き上がってしまうバックリング現象が発生し、その歪みによってタイヤの耐久性と耐摩耗性とに悪影響を及ぼすことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、小径ながらも荷重支持性能を確保しつつ、更に、バックリング現象の発生しにくい耐久性・耐摩耗性に優れた省スペース化を実現するとともに走行安定性能を改善した、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様による空気入りタイヤは、タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たし、かつ、接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域をセンター領域とし、幅方向の各端部の領域をショルダー領域としたとき、
前記センター領域の溝面積CAと前記ショルダー領域の溝面積SAとの関係がCA<SAを満たす空気入りタイヤである。
A≦480 …(1)
[A=2×H1+D]
B≦1.0 …(2)
[B=SW×(2×H1+D)×10−5
3≦C≦5.5 …(3)
[C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]
前記トレッド領域の材質は、温度60℃における損失正接tanδが0.05以上で0.20以下のゴムまたは樹脂またはゴムと樹脂とのブレンドであることが望ましい。
前記センター領域の溝面積CAに対する前記ショルダー領域の溝面積SAの比CA/SAが、0 ≦ CA/SA ≦ 0.8を満たすことが望ましい。
前記幅方向の各端部の前記ショルダー領域は、タイヤ周方向に延在する少なくとも1本の周方向主溝を、それぞれ有することが望ましい。
前記センター領域の周方向主溝の溝深さは、前記ショルダー領域の周方向主溝の溝深さよりも小さいことが望ましい。
前記ショルダー領域は、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝を有し、前記ラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aと周方向接地長Lとの比が0.3≦A/L≦0.8であることが望ましい。
前記センター領域の径方向内側に設けられたベルト層と、前記ベルト層の径方向外側に設けられた補強層とをさらに有することが望ましい。
前記補強層は、前記トレッド領域の径方向内側で前記ベルト層の外側に設けられたアンダーゴムを含み、前記アンダーゴムの温度60℃における損失正接tanδが、前記トレッド領域のキャップゴムの温度60℃における損失正接tanδ以下であることが望ましい。
少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝を有し、前記主溝と前記ラグ溝とによって囲まれたトレッドブロックの角部の、少なくとも1つに面取りを設けることが望ましい。
前記空気入りタイヤが回転方向を指定されたタイヤであり、前記トレッドブロックのトレッド表面から見た面取りの長さLaが、前記トレッドブロックのタイヤ周方向長さLbkに対して0≦La/Lbk≦0.3であることが望ましい。
本発明にかかる空気入りタイヤは、小径ながらも荷重支持性能を確保しつつ、更に、バックリング現象の発生しにくい耐久性・耐摩耗性に優れた省スペース化を実現するとともに走行安定性能を向上できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの子午断面図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの一部を拡大した断面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤのトレッド領域の例を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域を模式的に示す図である。 図5は、本発明の実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域の溝面積比を説明するための図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの一部を拡大した断面図の他の例を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤの一部を拡大した断面図の他の例を示す図である。 図8Aは、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤを赤道面に平行な面に沿って切った場合のトレッドブロックの断面を示す図である。 図8Bは、図8Aのトレッドブロックの破線円の部分を拡大して示す図である。 図8Cは、トレッドブロックの角部の面取りの他の例を示す断面図である。 図9は、路面進入側の角部及び蹴り出し側の両方に面取りを設けたトレッドブロックの例を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、およびZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、およびθZ方向とする。
(空気入りタイヤの構造)
図1は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤ1の一例を示す断面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤ1の一部を拡大した断面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る空気入りタイヤ1のトレッド領域の例を示す図である。以下の説明においては、空気入りタイヤ1を適宜、タイヤ1、と称する。
タイヤ1は、中心軸(回転軸)AXを中心に回転可能である。図1及び図2はそれぞれ、タイヤ1の中心軸AXを通る子午断面を示す。タイヤ1の中心軸AXは、タイヤ1の赤道面CLと直交する。
本実施形態においては、タイヤ1の中心軸AXとY軸とが平行である。すなわち、本実施形態において、中心軸AXと平行な方向は、Y軸方向である。Y軸方向は、タイヤ1の幅方向又は車幅方向である。赤道面CLは、Y軸方向に関してタイヤ1の中心を通る。θY方向は、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向である。X軸方向およびZ軸方向は、中心軸AXに対する放射方向である。タイヤ1が走行(転動)する路面(地面)は、XY平面とほぼ平行である。
以下の説明においては、タイヤ1(中心軸AX)の回転方向を適宜、周方向、と称し、中心軸AXに対する放射方向を適宜、径方向と称し、中心軸AXと平行な方向を適宜、幅方向、と称する。
タイヤ1は、カーカス部2と、ベルト層3と、ベルトカバー4と、ビード部5と、トレッド部6と、インナーライナー7と、サイドウォール部8とを有する。
カーカス部2、ベルト層3、およびベルトカバー4のそれぞれは、コードを含む。コードは、補強材である。コードを、ワイヤと称してもよい。カーカス部2、ベルト層3、およびベルトカバー4のような補強材を含む層をそれぞれ、コード層と称してもよいし、補強材層と称してもよい。
カーカス部2は、タイヤ1の骨格を形成する強度部材である。カーカス部2は、コードを含む。カーカス部2のコードを、カーカスコードと称してもよい。カーカス部2は、タイヤ1に空気が充填されたときの圧力容器として機能する。カーカス部2は、ビード部5に支持される。ビード部5は、Y軸方向に関してカーカス部2の一側および他側のそれぞれに配置される。カーカス部2は、ビード部5において折り返される。カーカス部2は、1枚以上の有機繊維のカーカスコードと、そのカーカスコードを覆うゴムとを含む。なお、カーカス部2は、ポリエステルのカーカスコードを含んでもよいし、ナイロンのカーカスコードを含んでもよいし、アラミドのカーカスコードを含んでもよいし、レーヨンのカーカスコードを含んでもよい。
ベルト層3は、タイヤ1の形状を保持する強度部材である。ベルト層3は、コードを含む。ベルト層3のコードを、ベルトコードと称してもよい。ベルト層3は、カーカス部2とトレッド部6との間に配置される。ベルト層3は、例えばスチールなどの金属繊維のベルトコードと、そのベルトコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルト層3は、有機繊維のベルトコードを2枚以上含んでもよい。本実施形態において、ベルト層3は、第1ベルトプライ3Aと、第2ベルトプライ3Bとを含む。第1ベルトプライ3Aと第2ベルトプライ3Bとは、第1ベルトプライ3Aのコードと第2ベルトプライ3Bのコードとが交差するように積層される。
ベルトカバー4は、ベルト層3を保護し、補強する強度部材である。ベルトカバー4は、コードを含む。ベルトカバー4のコードを、カバーコードと称してもよい。ベルトカバー4は、タイヤ1の中心軸AXに対してベルト層3の外側に配置される。ベルトカバー4は、例えばスチールなどの金属繊維のカバーコードと、そのカバーコードを覆うゴムとを含む。なお、ベルトカバー4は、有機繊維のカバーコードを含んでもよい。
ビード部5は、タイヤ1をリムに固定させる。ビード部5は、ビード50を有する。ビード50は、カーカス部2の両端を固定する強度部材である。ビード50は、スチールワイヤの束である。なお、ビード50は、炭素鋼の束でもよい。ビード50に隣接して硬質ゴム部51が設けられている。硬質ゴム部51は、ビードフィラーに相当し、タイヤ全体のケーシング剛性を高める機能を有する。
トレッド部6は、センター領域Ceと、Y軸方向に関してセンター領域Ceの両側に配置されたショルダー領域Shとを含む。トレッド部6は、カーカス部2を保護する。トレッド部6は、路面と接触する接地部を含む。
トレッド部6は、タイヤ径方向外側の表面に複数の溝20が形成されている。溝20は、タイヤ1の周方向に延びる主溝21C及び21Sと、少なくとも一部がタイヤ1の幅方向に延びるラグ溝(横溝)22と、を含む。溝20の周囲に、陸部が設けられる。陸部は、溝20と、その溝20に隣り合う溝20との間に設けられる。トレッド部6は、溝20の間に配置される複数の陸部を含む。なお、図3の破線で囲まれた接地領域は、接地輪郭9である。
主溝21C及び21Sは、タイヤ1の周方向に延びるストレート溝である。主溝21Cは、トレッド部6のセンター領域Ceに設けられる。主溝21Sは、トレッド部6のショルダー領域Shに設けられる。以下、主溝21C及び21Sを総称して主溝21と呼ぶことがある。タイヤ1が競技用タイヤである場合、主溝21は2つ以上設けられる。本例において、図2に示すように、タイヤ1は、4つの主溝21を有する。すなわち、タイヤ1は、2つの主溝21C及び2つの主溝21Sを有する。
主溝21は、内部に、トレッドウェアインジケータを有する。トレッドウェアインジケータは、タイヤ1の摩耗限度を示す。主溝21は、5.0[mm]以上の幅を有し、5.0[mm]以上の深さを有してもよい。
ラグ溝22の少なくとも一部は、タイヤ1の幅方向に設けられる。ラグ溝22の少なくとも一部は、トレッド部6のショルダー領域Shに設けられる。ショルダー領域Shは、幅方向(Y軸方向)に関してセンター領域Ceの一側(+Y側)および他側(−Y側)のそれぞれに配置される。ラグ溝22は、1.5[mm]以上の幅を有する。ラグ溝22は、4.0[mm]以上の深さを有してもよく、部分的に4.0[mm]未満の深さを有していてもよい。
インナーライナー7は、タイヤ1の内面に貼り付けられた気密保持性の高いゴム層である。サイドウォール部8は、カーカス部2を保護する。サイドウォール部8は、Y軸方向に関してトレッド部6の一側および他側のそれぞれに配置される。サイドウォール部8は、Y軸方向に関してトレッド部6の一側および他側のそれぞれに配置されるサイドウォールゴムを有する。
本実施形態において、タイヤの外径はODである。タイヤの総幅はSWである。トレッド接地幅はW1である。
タイヤの外径ODとは、タイヤ1をリムに組み付け、規定内圧を充填して、タイヤ1に荷重を加えないときの、タイヤ1の直径をいう。ビード直径Dとは、タイヤ1に適合するホイールのリムに接する部分の径をいう。
タイヤの断面高さH1とは、タイヤ1をリムにリム組みし、かつ規定内圧を充填した無負荷状態のときの、タイヤ外径ODとビード直径Dとの差の1/2をいう。
(タイヤ形状)
本実施の形態による空気入りタイヤ1は、タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たしている。なお、特に明記しない限り、長さの単位は[mm]である。
A≦480 …(1)
[A=2×H1+D]
B≦1.0 …(2)
[B=SW×(2×H1+D)×10−5
3≦C≦5.5 …(3)
[C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]
タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たすことにより、空気入りタイヤ1は外径が比較的小さな空気入りタイヤとなる。
式(1)は、省スペース性を高めるため、タイヤの「外径」を規定している。式(2)は、車両の静止時及び直進時の省スペース性を高めるため、「幅×外径」の上限を規定している。
式(3)はタイヤの負荷能力Wを確保するための式である。Cの値は、タイヤの最大負荷力[kN]と、ほぼ一致する値となる。式(3)は、Cを3以上とすることで荷重負荷能力を高くすることができ、Cを5.5以下、好ましくは5以下とすることで、剛性の増加を抑制し、操縦安定性を高くすることができる。接地形状を計測する負荷荷重は、式(3)によって規定されるCを0.75倍したものとする。負荷荷重の単位は[kN]である。
式(2)における総幅SW、断面高さH1は、内圧180kPaでリム組みされた状態において測定する。組むべきリムのリム幅Rは、リム組みしていない無負荷状態におけるタイヤ断面幅W0とタイヤ断面高さH0とに関する、下記の式(4)及び表1から導かれる測定用リム幅Rmを用いたものとする。すなわち、無負荷時の断面幅W0、断面高さH0を用いて、無負荷偏平率F0を計算した後、表1から対応する係数Kを得る。
F0=H0/W0 … (4)
Figure 2018138430
そして、下記の式(5)によって、組むべきリムのリム幅Rを計算する。
R=K×W0 … (5)
測定用リム幅Rmは、例えば、3.5インチ,4.0インチ,4.5インチなど、0.5インチ刻みで設定されている。設定されている測定用リム幅Rmのうち、組むべきリムのリム幅Rに最も近いリムを選定する。
(トレッド領域)
ここで、本実施の形態による空気入りタイヤ1の接地するトレッド領域について説明する。図4は、本実施の形態による空気入りタイヤ1のトレッド領域を模式的に示す図である。図5は、本実施の形態による空気入りタイヤ1のトレッド領域の溝面積比を説明するための図である。
図4において、本実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域は、赤道面CLを通る位置にあるセンター領域Ceと、その両側の位置にあるショルダー領域Shとを有する。本実施の形態では、センター領域Ceは、トレッド領域を赤道面CLに沿って2等分した2つの領域について、さらに2等分した領域の赤道面CLに近い側の2つの領域を合わせた領域である。ショルダー領域Shは、センター領域Ceの外側に位置する領域である。つまり、トレッド接地幅W1に対し、センター領域Ceは接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域であり、ショルダー領域Shは、外側すなわち幅方向の各端部の領域である。
本実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域は、タイヤ1の周方向に延びる少なくとも1本の周方向主溝21と、少なくとも一部がタイヤ1の幅方向に延びるラグ溝22と、を有する。空気入りタイヤ1は、周方向主溝21がセンター領域Ceにあるので、排水性を確保することができる。
図5において、本実施の形態による空気入りタイヤのトレッド領域の面積比は、以下のようになっている。すなわち、トレッド領域を幅方向に関して、上記のようにセンター領域Ceと、ショルダー領域Shとに区分したとき、センター領域Ceの溝面積CAと、ショルダー領域Shの溝面積SAとの関係が、CA<SAを満たすことが好ましい。ただし、溝面積は、主溝、ラグ溝、細溝、サイプなど、すべての溝を含めた溝面積である。
また、ショルダー領域Shの溝面積SAに対する、センター領域Ceの溝面積CAの比CA/SAが、下記の式(6)を満たすことが好ましい。ただし、溝面積は、主溝、ラグ溝、細溝、サイプなど、すべての溝を含めた溝面積である。
0≦ CA/SA ≦0.8 … (6)
センター領域Ceの溝面積をショルダー領域Shの溝面積より小さくすることによって、トレッド部分の面外曲げ剛性を確保し、バックリング現象を抑制することができる。溝面積SAに対する溝面積CAの比CA/SAが0.8を越えるとバックリング現象の抑制効果が充分でない。より好ましくは、0.3≦CA/SA≦0.7である。なお、バックリング現象の抑制と排水性向上との両立を行うためには、接地面全体の溝面積比が、15%以上40%以下であることが好ましい。
外径の小さなタイヤは周方向の接地長さが短くなるため、ハイドロプレーニングの危険性が高まるという課題がある。水溜り進入時におけるトレッドの路面非接触域はタイヤ幅方向の中央付近に寄る傾向にあることから、トレッドのセンター領域Ceの排水を優先的に行うことが望ましい。
本実施の形態の空気入りタイヤ1は、ショルダー領域Shの溝面積SAに対する、センター領域Ceの溝面積CAの比CA/SAが式(6)を満たす。このため、センター領域Ceの溝面積CAがショルダー領域Shの溝面積SAよりも小さくなり、排水効率を高めることができる。また、センター領域Ceに溝を設け、溝面積SAに対する、溝面積CAの比CA/SAを0.05≦CA/SAとすることが好ましい。これにより、排水効率をより高めることができる。さらに、溝面積SAに対する、溝面積CAの比CA/SAが0.05≦CA/SA≦0.7を満たすことが好ましい。これにより、溝面積のバランスがより向上し、排水効率をより高めることができる。
ここで、溝面積SAに対する、溝面積CAの比CA/SA=0であることは、センター領域Ceの溝は全く無くても良いことを意味する。空気入りタイヤ1は、CA/SA=0の場合、ショルダー領域Shに全接地面積の10%以上の非接触面積があることが望ましい。
トレッドの接地面全体において、主溝の成分は、ラグ溝、細溝、サイプなどの主溝以外の溝の成分より大きいことが望ましい。すなわち、トレッドの接地面全体に対する主溝だけの面積比は、トレッドの接地面全体に対する主溝以外のすべての溝の面積比よりも大きいことが望ましい。ここで、トレッドの接地面全体に対する主溝だけの面積比は、0.15以上0.40以下であることが好ましい。また、トレッドの接地面全体に対する主溝以外のすべての溝の面積比は、0.05以上0.25以下であることがさらに好ましい。
図2から図5に示すように、タイヤ幅方向断面において、左右のショルダー領域Shに少なくとも1本の周方向主溝21を有している。ショルダー領域Shに少なくとも一本の周方向主溝があれば、タイヤ1全体の排水性を確保することができる。周方向主溝21の幅は、最大接地幅の2%以上10%以下が、好ましい。周方向主溝の幅が最大接地幅の2%未満だと排水性が十分に確保されず、最大接地幅の10%より大きいとブロック剛性が低くなってしまうことからコーナリング性能が悪化する。なお、最大接地幅が総幅の80%程度とすると、総幅145[mm]の時は溝幅2.3[mm]以上11.6[mm]以下が溝幅の目安、総幅245[mm]の時は3.9[mm]以上19.6[mm]以下が溝幅の目安である。ゆえに、実用的な範囲を充分にカバーしている。
(溝深さ)
図2及び図3に示すように、空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向断面においてセンター領域Ceに設けられている周方向主溝21の深さが、ショルダー領域Shに設けられている周方向主溝21の溝深さよりも小さい。センター領域Ceの溝深さを、ショルダー領域Shの溝深さより浅くすることにより、センター領域Ceのトレッド面外曲げ剛性を高め、バックリング現象を抑制することができる。
空気入りタイヤ1は、センター領域Ceの周方向主溝21が、深さがタイヤ半径の3%以下であり、溝底と溝壁との間の曲面の半径が2[mm]以上であることが曲げ剛性確保と走行耐久性の観点から好ましい。例えば、タイヤ半径が240[mm]である場合、周方向主溝21の深さは、240*0.03=7.2[mm]以下である。
タイヤ1は、センター領域Ceの溝深さ(最大)Cdと、ショルダー領域Shの周方向主溝深さ(最大)Sdに関して、0.4≦Cd/Sd≦0.8を満たすことが好ましい。
空気入りタイヤ1は、ショルダー領域Shの接地幅端部からタイヤ赤道線へ向かって延びるラグ溝22を有する。ラグ溝22は、接地領域内に設けられている。ラグ溝22のタイヤ周方向配置間隔Aは、接地長Lの比で0.3≦A/L≦0.8である。ここで、接地長Lは、タイヤ周方向の最大接地長さである。
(トレッド部の材質)
空気入りタイヤ1は、ベルト層3より径方向外側にキャップゴム10を有する。キャップゴム10の材質は、温度60℃における損失正接tanδが0.05以上(好ましくは0.07以上)で0.20以下のゴムまたは樹脂またはゴムと樹脂とのブレンドである。なお、損失正接tanδは、損失弾性率/貯蔵弾性率で与えられる。小径のタイヤは、タイヤ全周長が短くなり、転動時のトレッドの接地頻度が大きい。そこで、発熱性を抑えた材料を使用することにより、接地頻度が大きくてトレッドが発熱することによる耐久性の悪化を防止し、タイヤ耐久性を向上させることができる。キャップゴム10には、例えば、天然ゴム及びSBR(スチレンブタジエンゴム)からなるゴム組成物を用いることができる。
(補強層)
図6は、空気入りタイヤ1の一部を拡大した断面図の他の例を示す図である。図6に示すように、空気入りタイヤ1は、センター領域Ceにおいて、ベルトカバー層4のタイヤ径方向外側に補強層4Aを有することが望ましい。補強層4Aは、タイヤ1のカーカス部2よりもタイヤ径方向外側に配置されている。補強層4Aは、有機繊維または金属繊維またはそれら組み合わせたものと、ゴムまたは樹脂またはそれら組み合わせたものとを合わせた複合材料によって成るものとする。補強層4Aは、赤道面CLを含む位置に設けることが望ましい。補強層4Aのタイヤ幅方向の幅W4Aは、接地幅W1の1/4以上1/2以下であることが望ましい。
補強層4Aがセンター領域Ce付近に配置されていることによって、空気入りタイヤ1は、センター領域Ceの面外曲げ剛性を高め、バックリング現象をより抑制することができる。補強層4Aの材質は、バックリング現象を抑制しつつも路面への追従性を両立するために、例えば、アラミドやポリエステル、ポリエチレン、ナイロンなどの有機繊維であることが好ましい。
空気入りタイヤ1は、ベルト層3の径方向外側でかつキャップゴム10の下層(タイヤ径方向の内側)に、キャップゴムの材質とは別の材料特性を持つアンダーゴムを有することが望ましい。
図7は、空気入りタイヤ1の一部を拡大した断面図の他の例を示す図である。図7に示すように、空気入りタイヤ1は、ベルト層3の径方向外側でかつキャップゴム10のタイヤ径方向の内側に、アンダーゴム10Uを有する。アンダーゴム10Uの材質は、温度60℃における損失正接tanδがキャップゴム10のそれよりも低いことが望ましい。アンダーゴム10Uには、例えば、天然ゴム(NR)またはジエン系合成ゴムのいずれか、あるいはこれらの混合系を用いることができる。
(トレッドブロックの角部の面取り)
トレッド領域において、主溝21とラグ溝22とで囲まれることによって、トレッドブロックが形成される。トレッドブロックの角部の少なくとも1つに面取りを設けてもよい。図8Aは、本実施の形態に係る空気入りタイヤ1を赤道面CLに平行な面に沿って切った場合のトレッドブロックの断面を示す図である。図8Aにおいては、トレッドブロックTBを誇張して示す。
図8Aにおいて、空気入りタイヤ1は矢印Y1方向に回転する。このとき、空気入りタイヤ1のトレッド領域に設けられているトレッドブロックTBは、角部C1が先に路面RMに接し、次に角部C2が路面RMに接する。このため、トレッドブロックTBの踏み込み側すなわち路面進入側の角部が角部C1であり、路面RMの蹴り出し側の角部が角部C2である。本例では、トレッドブロックTBのタイヤ周方向の角部C1に面取りを設ける。
図8Bは、図8AのトレッドブロックTBの破線円HCの部分を拡大して示す図である。図8Bは、トレッドブロックTBの断面図である。図8Bに示すように、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C1に面取りを有する。このため、トレッドブロックTBの踏面M1の周方向の長さは、トレッドブロックTBの周方向の長さLbkよりも、面取りの周方向の長さLa分だけ短い。
図8Bにおいて、本例では、踏面M1及び溝壁面M2は、いずれも平面である。面取りにより、踏面M1と溝壁面M2との間は、曲面KM1になっている。このため、トレッドブロックTBは、踏面M1から曲面KM1を経て溝壁面M2に繋がり、溝壁面M2から溝底面M3に至る形状を有する。
曲面KM1の溝壁面M2側の端部は点P1である。点P1は、曲面KM1と溝壁面M2との接続点である。踏面M1から点P1までの長さが、トレッドブロックTBの面取り深さDaである。曲面KM1の踏面M1側の端部は点P2である。点P2は、曲面KM1と踏面M1との接続点である。溝壁面M2から点P2までの長さが、トレッドブロックTBの面取りの周方向の長さLaである。
トレッドブロックTBは、曲面KM1による面取りに代えて、平面による面取りを有していてもよい。図8Cは、トレッドブロックTBの角部C1の面取りの他の例を示す断面図である。図8Cに示すように、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C1に面取りを有する。面取りにより、踏面M1と溝壁面M2との間は、平面HM1になっている。つまり、トレッドブロックTBは、踏面M1から平面HM1を経て溝壁面M2に繋がり、溝壁面M2から溝底面M3に至る形状を有する。
ここで、踏面M1と平面HM1との角度θM1は、90度より大きく、かつ、180度より小さな角度すなわち鈍角になっている。また、溝壁面M2と平面HM1との角度θM2は、90度より大きく、かつ、180度より小さな角度、すなわち鈍角になっている。
なお、タイヤ1の製造の際に成型金型の隅にゴムが入り込まないために生じる曲面又は平面は、本例における面取りではない。本例における面取りは、角部C1に対応する金型の内面の形状によって成型される曲面又は平面である。
図8B及び図8Cに示す面取り深さDaは、例えば、溝深さDMの15%以上70%以下、更に好ましくは25%以上70%以下である。また、図8Cに示す平面HM1による面取りの場合、溝壁面M2を延長した仮想面M4と平面HM1とのなす角度θMは、例えば、30度以上70度以下である。
外径が小さなタイヤは、外径の大きなタイヤよりも転動時のトレッドブロック歪みが大きいため接地圧が不均一になりやすい。そのため、トレッドブロックTBの角部C1に面取りを設けることにより、DRY路面及びWET路面でのグリップ性能を向上させ、かつ、トレッドブロックTBの偏摩耗を防止することができる。そして、トレッドブロックTBの踏み込み側すなわち路面進入側の角部C1と、路面の蹴り出し側の角部C2との少なくとも一方に面取りを設ければ、グリップ性能を向上させ、かつ、トレッドブロックTBの偏摩耗を防止することができる。
タイヤの外径が小さければ小さいほど、タイヤ回転時の路面進入側接地圧が高くなる傾向にある。このことから、トレッドブロックTBについては、周方向の角部である角部C1又はC2に面取りを設けることが望ましい。
図9は、路面進入側の角部及び蹴り出し側の両方に面取りを設けたトレッドブロックTBの例を示す図である。図9は、本実施の形態の空気入りタイヤを赤道面CLに平行な面に沿って切った場合のトレッドブロックの断面を示す図である。
図9に示すように、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C1に面取りを有し、曲面KM1になっている。また、トレッドブロックTBは、一点鎖線で示す角部C2に面取りを有する。
図9において、本例では、踏面M1、溝壁面M2及びM5は、いずれも平面である。面取りにより、踏面M1と溝壁面M2との間は、曲面KM1になっている。このため、トレッドブロックTBは、踏面M1から曲面KM1を経て溝壁面M2に繋がり、溝壁面M2から溝底面M3に至る形状を有する。曲面KM1の溝壁面M2側の端部は点P1である。点P1は、曲面KM1と溝壁面M2との接続点である。踏面M1から点P1までの長さが、トレッドブロックTBの面取り深さDaである。曲面KM1の踏面M1側の端部は点P2である。点P2は、曲面KM1と踏面M1との接続点である。溝壁面M2から点P2までの長さが、路面への進入側の面取りの周方向の長さLaである。
また、面取りにより、踏面M1と溝壁面M5との間は、曲面KM2になっている。このため、トレッドブロックTBは、踏面M1から曲面KM2を経て溝壁面M5に繋がり、溝壁面M5から溝底面M6に至る形状を有する。曲面KM2の溝壁面M5側の端部は点P3である。点P3は、曲面KM2と溝壁面M5との接続点である。曲面KM2の踏面M1側の端部は点P4である。点P4は、曲面KM2と踏面M1との接続点である。
なお、トレッドブロックTBは、曲面KM1及び曲面KM2による面取りに代えて、図8Cと同様に平面HM1による面取りを有していてもよい。
また、空気入りタイヤ1が、タイヤの回転方向が指定されており、少なくとも1箇所のトレッドブロックTBに周方向の角部に面取りが設けられている場合において、トレッドブロックTBの、トレッド表面から見た面取りのタイヤ周方向の長さLaが、トレッドブロックTBのタイヤ周方向長さLbkに対して0≦La/Lbk≦0.3であることが望ましい。さらに、0.01≦La/Lbk≦0.2であることがより好ましい。路面進入側の面取りを大きく設定することにより、接地面圧の更なる適正化を行うことができ、偏摩耗の抑制が可能となる。
式(1)、式(2)及び式(3)を満たす、外径の小さなタイヤは、転動時のトレッドブロックTBの歪みが大きいため、路面RMへの接地圧が不均一になりやすい。すなわち、外径の小さなタイヤは、タイヤ回転時に、トレッドブロックTBの路面進入側の接地圧が高くなる傾向にある。このことから、トレッドブロックTBの周方向の角部C1に面取りが設けられていることが望ましい。本実施の形態のように、トレッドブロックTBの角部に面取りを設けることによってDRY路面及びWET路面でのグリップ性能を向上させ、かつ、耐偏摩耗を防止することができる。
トレッドブロックTBにおいて、路面からの蹴り出し側の面取りよりも、路面への進入側の面取りを大きく設定することにより、接地面圧の更なる最適化を行うことができ、DRY路面及びWET路面でのグリップ性能をさらに向上できる。
(その他)
タイヤ外径ODに対する主溝21の溝深さDMは、例えば、0.008以上0.02以下である。
なお、トレッド剛性を高めて操縦安定性を向上させ、かつ、偏摩耗を抑制するため、空気入りタイヤ1は、周方向に一周連続したトレッド陸部(リブ)を少なくとも1つ有することが望ましい。
(実施例)
実施例においては、評価タイヤに空気圧180kPaを充填し、性能評価を行った。測定用リム幅Rmのリムに評価タイヤを組付けた。実車テストは、最大90度の舵角を付与できる車両にて評価を行った。試験の結果を表2及び表3に示す。
操舵輪の省スペース性の試験は、車両設計時に必要となるホイールハウスの体積を算出し、逆数をとり、従来例(基準タイヤ)を100とした指数で評価した。指数の値が大きいほど優れていることを示す。
耐久性の試験は、ドラム試験機を用いて行った。ドラム試験機の速度ステップを上げながら、タイヤが破壊するまでの走行距離を指数で評価した。従来例を100とし、指数の値が大きいほど優れていることを示す。
耐摩耗性の試験は、実車摩耗試験によって行った。摩耗限界までの走行距離を指数で評価した。従来例を100とし、指数の値が大きいほど優れていることを示す。
WET操縦安定性の試験は、WET路面(水深が3[mm]の散水コース)を走行し、ラップタイムの逆数をとり、従来例を100とした指数で評価した。指数の値が大きいほど優れていることを示す。
表2及び表3においては、タイヤ外径510[mm]、タイヤ総幅145[mm]、ビード直径12インチ、溝面積比CA/SAが「1」、キャップゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.5」、アンダーゴムはなく、ショルダー領域Shの周方向主溝はなく、接地長Lに対するラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aの比A/Lは「1.1」、センター領域Ceの補強層はなく、トレッドブロック角部の面取りがなく、車両への装着時の回転方向の指定がないタイヤを基準タイヤとした。また、表2及び表3においては、前記のように、空気圧を180kPaとし、式(3)によって規定されるCを0.75倍したものを負荷荷重(単位は[kN])として接地形状を測定した時に、タイヤと路面との接地領域の外縁である接地輪郭9で囲まれる領域の総接地面積(すなわち、溝面積と接地面積との和)に対する接地輪郭9に含まれる範囲の主溝の溝面積の比の百分率が約30%となるトレッド溝形状とした。
比較例1のタイヤとして、タイヤ外径480[mm]、タイヤ総幅155[mm]、ビード直径10インチ、溝面積比CA/SAが「1.2」、キャップゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.5」、アンダーゴムはなく、ショルダー領域Shの周方向主溝はなく、接地長Lに対するラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aの比A/Lは「1.1」、センター領域Ceの補強層はなく、トレッドブロック角部の面取りがなく、車両への装着時の回転方向の指定がないタイヤを用意した。
比較例2のタイヤとして、タイヤ外径480[mm]、タイヤ総幅155[mm]、ビード直径10インチ、溝面積比CA/SAが「0.9」、キャップゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.2」、アンダーゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.5」、ショルダー領域Shの周方向主溝はなく、接地長Lに対するラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aの比A/Lは「1.1」、センター領域Ceの補強層はなく、トレッドブロック角部の面取りがなく、車両への装着時の回転方向の指定がないタイヤを用意した。
比較例3のタイヤとして、タイヤ外径480[mm]、タイヤ総幅155[mm]、ビード直径10インチ、溝面積比CA/SAが「0.9」、キャップゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.8」、アンダーゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.7」、ショルダー領域Shの周方向主溝はなく、接地長Lに対するラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aの比A/Lは「1.1」、センター領域Ceの補強層はなく、トレッドブロック角部の面取りがなく、車両への装着時の回転方向の指定がないタイヤを用意した。
比較例4のタイヤとして、タイヤ外径480[mm]、タイヤ総幅155[mm]、ビード直径10インチ、溝面積比CA/SAが「0.9」、キャップゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.8」、アンダーゴムの温度60℃における損失正接tanδが「0.7」、ショルダー領域Shの周方向主溝があり、ショルダー領域Shの溝深さに対するセンター領域Ceの溝深さの比が「0.8」、接地長Lに対するラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aの比A/Lは「0.8」、センター領域Ceの補強層があり、トレッドブロック角部の面取りがあり、車両への装着時の回転方向の指定があり、トレッドブロックTBのタイヤ周方向長さLbkに対する面取りのタイヤ周方向の長さの比La/Lbkが「0.4」のタイヤを用意した。
実施例1から実施例19によると、溝面積比CA/SAが「0」以上で、「1」より小さい場合に良好な結果が得られた。また、溝面積比CA/SAが「0.1」以上で、「0.8」、「0.7」において、良好な結果が得られた。特に、溝面積比CA/SAが「0.7」において、より良好な結果が得られた。
実施例1から実施例19によると、キャップゴム10のタイヤ径方向内側にアンダーゴム10Uがないタイヤよりもアンダーゴム10Uがあるタイヤについて、良好な結果が得られた。また、アンダーゴム10Uの温度60℃における損失正接tanδが、キャップゴム10の温度60℃における損失正接tanδ以下であるタイヤについて良好な結果が得られた。さらに、ショルダー領域Shに周方向主溝があり、ショルダー領域Shの溝深さに対するセンター領域Ceの溝深さの比が「1」より小さい場合、すなわちセンター領域Ceの周方向主溝の溝深さがショルダー領域Shの周方向主溝の溝深さよりも小さい場合に良好な結果が得られた。
実施例1から実施例19によると、接地長Lに対するラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aの比A/Lが「1」より小さい場合に良好な結果が得られた。また、センター領域Ceに補強層4Aがないタイヤよりも補強層4Aがあるタイヤについて、良好な結果が得られた。
実施例1から実施例19によると、トレッドブロックの面取りがないタイヤよりも面取りがあるタイヤについて、良好な結果が得られた。また、車両への装着時の回転方向の指定があり、トレッドブロックの長さLbkに対する路面への進入側の面取りの長さLaの比La/Lbkが「0.3」以下である場合に、良好な結果が得られた。なお、比較例4のように、比La/Lbkが「0.3」を超える場合、接地面積が減り、耐摩耗性が低下する。
以上のように、実施例の空気入りタイヤ1によれば、小径ながらも荷重支持性能を確保しつつ、更に、バックリング現象の発生しにくい耐久性・耐摩耗性に優れた省スペース化を実現するとともに走行安定性能を向上できる。
Figure 2018138430
Figure 2018138430
1 空気入りタイヤ
2 カーカス部
3 ベルト層
3A、3B ベルトプライ
4 ベルトカバー
4A 補強層
5 ビード部
6 トレッド部
7 インナーライナー
8 サイドウォール部
9 接地輪郭
10 キャップゴム
10U アンダーゴム
20 溝
21、21C、21S 主溝
22 ラグ溝
50 ビード
51 硬質ゴム部
Ce センター領域
CL 赤道面
Sh ショルダー領域

Claims (10)

  1. タイヤの総幅SWと、タイヤの断面高さH1と、ビード直径Dとが、式(1)、式(2)及び式(3)を満たし、かつ、接地するトレッド領域を、幅方向に4等分した場合の、4等分した4つの領域のうち幅方向の中央の2つの領域をセンター領域とし、幅方向の各端部の領域をショルダー領域としたとき、
    前記センター領域の溝面積CAと前記ショルダー領域の溝面積SAとの関係がCA<SAを満たす空気入りタイヤ。
    A≦480 …(1)
    [A=2×H1+D]
    B≦1.0 …(2)
    [B=SW×(2×H1+D)×10−5
    3≦C≦5.5 …(3)
    [C=W1.39×(D+W)×10−5、W=0.427×SW+0.637×H1]
  2. 前記トレッド領域の材質は、温度60℃における損失正接tanδが0.05以上で0.20以下のゴムまたは樹脂またはゴムと樹脂とのブレンドである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ショルダー領域の溝面積SAに対する前記センター領域の溝面積CAの比CA/SAが、
    0 ≦ CA/SA ≦ 0.8
    を満たす請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記幅方向の各端部の前記ショルダー領域は、タイヤ周方向に延在する少なくとも1本の周方向主溝を、それぞれ有する請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記センター領域の周方向主溝の溝深さは、前記ショルダー領域の周方向主溝の溝深さよりも小さい請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ショルダー領域は、少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝を有し、
    前記ラグ溝のタイヤ周方向配置間隔Aと周方向接地長Lとの比が0.3≦A/L≦0.8である請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記センター領域の径方向内側に設けられたベルト層と、前記ベルト層の径方向外側に設けられた補強層とをさらに有する請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記補強層は、前記トレッド領域の径方向内側で前記ベルト層の外側に設けられたアンダーゴムを含み、前記アンダーゴムの温度60℃における損失正接tanδが、前記トレッド領域のキャップゴムの温度60℃における損失正接tanδ以下である請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 少なくとも一部がタイヤ幅方向に延びるラグ溝を有し、タイヤ周方向に延在する周方向主溝と前記ラグ溝とによって囲まれたトレッドブロックの角部の、少なくとも1つに面取りを設けた請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記空気入りタイヤが回転方向を指定されたタイヤであり、
    前記トレッドブロックのトレッド表面から見た面取りの長さLaが、前記トレッドブロックのタイヤ周方向長さLbkに対して0≦La/Lbk≦0.3である
    請求項8に記載の空気入りタイヤ。
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