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JP2008037327A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】高速耐久性を維持しながら操縦安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤを提供することを課題とする。
【解決手段】空気入りラジアルタイヤ10は、カーカス層12と、カーカス層12のクラウン部12Cのタイヤ径方向外側にベルト層14と、を有しており、車両に対して内側となる装着内側Iが指定されている。また、空気入りラジアルタイヤ10は、装着内側Iのベルト端部14Iのみを包み込むようにベルト端部14Iのタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に折り返されるベルト端補強層26を有する。装着外側14Eにはベルト端補強層は配置されていない。この結果、ネガティブキャンバーのために接地圧が高くなる装着内側Iにはベルト端補強層26を配置して高速耐久性が確保される。そして、コーナリング時に接地面積が広がる装着外側14Eでは、剛性を低くして接地面積がスムーズに広がるようにして操縦安定性を向上させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高速耐久性を有する空気入りラジアルタイヤに関する。
空気入りラジアルタイヤでは、高速走行における耐久性(高速耐久性)の向上を図ることが従来から行われてきている(例えば特許文献1〜3参照)。例えば特許文献1では、ベルト層のタイヤ幅方向両端部を包む(フォールドする)ベルト端補強層を設けること、すなわち、ベルト端補強層を折り返したフォールドベルト構造をベルト層のタイヤ幅方向両端部に形成すること、により高速耐久性を向上させることが開示されている。
しかし、このようにタイヤ幅方向両側のベルト端部を包み込む構造にすると、ベルト端部の剛性が上昇するので、特に低荷重時における接地性が悪化し易くなって操縦安定性能が悪化し易いという難点があった。
特開2001−233018号公報 特開昭62−134302号公報 特開平8−164702号公報
本発明は、上記事実を考慮して、高速耐久性を維持しながら操縦安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤを提供することを課題とする。
本発明者は、空気入りラジアルタイヤの走行中における状態について検討した。そして、以下のことを見い出した。
空気入りラジアルタイヤは基本的にはネガティブキャンバーで車両に装着される。このため、車両からみてタイヤの装着内側(IN側)では、高速耐久性を確保するために補強層が必要である。また、コーナリング中では、車両のロール運動に伴い、タイヤの対地キャンバー角がネガティブから0あるいはポジティブ方向へ変化するため、タイヤの装着外側(装着OUT側)がコーナリング性能に大きく影響を及ぼしており、接地性が重要となる。
そこで、タイヤの装着内側、装着外側でそれぞれ要求される仕様を満たすことを鋭意検討し、実験を行って検討を重ね、本発明を完成するに至った。
請求項1に記載の発明は、一対のビードコアの間をトロイド状に延びる少なくとも1層のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン部のタイヤ径方向外側に少なくとも2層からなるベルト層とを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤ幅方向両側のうち車両に対する装着内側が指定されていて、前記装着内側のベルト端部のみを包み込むように前記ベルト端部のタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に折り返される少なくとも1層のベルト端補強層を有することを特徴とする。
ベルト端補強層は、通常、多数のコードを配列してゴム被覆した部材である。
請求項1に記載の発明では、ネガティブキャンバーのために接地圧が高くなる装着内側には、ベルト端部を包み込むようにベルト端補強層を配置して高速耐久性を確保している。そして、コーナリング時に接地面積が広がる装着外側にはベルト端補強層を配置しておらず、剛性(主に周方向剛性)を低くして接地面積がスムーズに広がるようにして操縦安定性を向上させている。これにより、高速耐久性を維持しながら従来よりも操縦安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤとすることができる。
請求項2に記載の発明は、前記ベルト端補強層を構成するコードがタイヤ周方向に対して10〜40度の角度をなして配列されていることを特徴とする。
ベルト端補強層を形成する際、ベルト端補強層を構成する部材をベルト層のタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に折り返して形成する。このベルト端補強層を構成するコードがタイヤ周方向に対してなす角度(コード角度)が10度に満たないと裁断工程での作業性が悪くなるおそれがあり、40度を越えるとベルト端補強層のタイヤ周方向剛性が低くなって高速耐久性を維持できなくなるおそれがある。
請求項3に記載の発明は、前記ベルト端補強層のうち前記ベルト層よりもタイヤ径方向内側部分の幅及びタイヤ径方向外側部分の幅が、何れも、前記ベルト層の幅の5〜20%の範囲内にされていることを特徴とする。
ベルト端補強層のうちベルト層よりもタイヤ径方向内側部分及びタイヤ径方向外側部分の両者とも、幅が5%よりも小さいと幅が狭すぎて高速走行時のベルト端の膨出を押さえる作用を十分に発揮できずに高速耐久性を維持できなくなるおそれがあり、幅が20%を越えるとベルト端部の剛性が高くなりすぎて操縦安定性に悪影響が出やすくなるからである。
請求項4に記載の発明は、前記ベルト端補強層を構成するコードが芳香族ポリアミド繊維からなることを特徴とする。
このように高弾性率の芳香族ポリアミド繊維を用いることにより、高速走行時におけるベルト端の膨出をベルト端補強層によって押さえる作用を十分に発揮させることができる。
請求項5に記載の発明は、前記ベルト層及び前記ベルト端補強層のタイヤ径方向外側に、コードをゴム被覆してなるベルト補強層を配置することを特徴とする。
上記のようなベルト補強層を配置することによっても、高速走行時におけるベルト端の膨出変形を抑えることができるので、タイヤの高速耐久性を更に有利に確保することができる。なお、ベルト補強層を構成するコードの配列方向は特に限定しないが、例えばタイヤ周方向に沿って配列する。
本発明は上記構成としたので、以下の効果を奏することができる。
請求項1に記載の発明によれば、高速耐久性を維持しながら従来よりも操縦安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤとすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、高速耐久性を充分に維持しつつ、操縦安定性を充分に向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、高速耐久性を充分に維持しつつ、操縦安定性を充分に向上させることができる。
請求項4に記載の発明によれば、高速走行時におけるベルト端の膨出をベルト端補強層によって押さえる作用を十分に発揮させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、タイヤの高速耐久性を更に有利に確保することができる。
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る空気入りラジアルタイヤ10は、一対のビードコア11Cを有するビード部11と、一対のビードコア11Cの間をトロイド状に延びるカーカス層12と、カーカス層12のクラウン部12Cのタイヤ径方向外側のベルト層14と、ベルト層14のタイヤ径方向Dの外側のトレッド部18と、ビード部11とトレッド部18との間のサイドウォール部20と、を有する。本実施形態では、ベルト層14は2層のベルトで構成される。
トレッド部18はタイヤ踏面部を形成している。また、トレッド部18には、タイヤ赤道面CL上、及び、その両側に、タイヤ周方向に沿った複数本の周方向溝(主溝)22と、タイヤ周方向と交差する複数本の横溝(図示せず)とが形成されている。各横溝の端部は、周方向溝22に連通するか、又は、トレッド端を越えてタイヤ幅方向Wの外側へ排水可能なように延びている。
ここで、トレッド端とは、空気入りタイヤをJATMA YEAR BOOK(2004年度版、日本自動車タイヤ協会規格)に規定されている標準リムに装着し、JATMA YEAR BOOKでの適用サイズ・プライレーティングにおける最大負荷能力(内圧−負荷能力対応表の太字荷重)に対応する空気圧(最大空気圧)の100%を内圧として充填し、最大負荷能力を負荷したときのタイヤ幅方向最外の接地部分を指す。なお、使用地又は製造地においてTRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
この空気入りラジアルタイヤ10は、ネガティブキャンバーとなるように車両に装着されるタイヤであり、車両に対する装着方向が指定されている、すなわち、車両に対して内側となるように装着される装着内側Iが指定されている。
図2に示すように、空気入りラジアルタイヤ10には、装着内側Iのベルト端部14I(以下、装着内側ベルト端部14Iという)を包み込むように、タイヤ径方向Dの内側からタイヤ径方向Dの外側に折り返されるベルト端補強層26がこの装着内側Iのタイヤ部分に配置されている。ベルト端補強層26のタイヤ径方向内側部分26Aはカーカス層12とベルト層14との間に位置しており、ベルト端補強層26のタイヤ径方向外側部分26Bはベルト層14とトレッド部18との間に位置している。
装着内側Iとは逆側である装着外側Eには上記のようなベルト端補強層は設けられていない。従って、ベルト層14のベルト端部のうち装着内側ベルト端部14Iのみがベルト端補強層26によって覆われて補強されている。
ベルト端補強層26は、多数のコード27を配列してゴム被覆してなる部材である。本実施形態では、ベルト端補強層26を構成するこのコード27は芳香族ポリアミド繊維からなる。
また、本実施形態では、図1に示すように、ベルト端補強層26のタイヤ径方向内側部分26Aの幅B1及びタイヤ径方向外側部分26Bの幅B2は、何れも、ベルト層14の幅B3の5〜20%の範囲内にされている。
ベルト端補強層26を形成する際、コード27がタイヤ周方向Uに対してなす角度θが10〜40度の範囲内となるように、各コード27を配列してゴム被覆した部材を予め製造しておく。そしてこの部材をベルト層14のタイヤ径方向内側から外側に折り返して配置する。
以上説明したように、本実施形態では、ネガティブキャンバーで接地圧が高くなる装着内側Iには、装着内側ベルト端部14Iを包み込むようにベルト端補強層26を配置している。このように装着内側ベルト端部14Iのみをフォールドする構成であっても、従来と同等の高速耐久性を維持することができる。そして、コーナリング時に接地面積が広がる装着外側Eにはベルト端補強層を配置しておらず、剛性を低くして接地面積がスムーズに広がるようにして操縦安定性を向上させている。従って、従来に比べ、高速耐久性を維持しながら操縦安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤ10が実現されている。
また、ベルト端補強層26うちベルト層14よりもタイヤ径方向内側の部分の幅B1及びタイヤ径方向外側の部分の幅B2は、何れも、ベルト層14の幅B3の5〜20%の範囲内にされている。これにより、高速耐久性を充分に維持しつつ、操縦安定性を充分に向上させることができる。
また、ベルト端補強層26を構成するコード27が高弾性率の芳香族ポリアミド繊維からなる。これにより、高速走行時における装着内側ベルト端部14Iの膨出をベルト端補強層26によって押さえる作用を十分に発揮させることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図3、図4に示すように、本実施形態に係る空気入りラジアルタイヤ30では、第1実施形態に比べ、ベルト端補強層26及びベルト層14のタイヤ径方向Dの外側に、タイヤ周方向Uに略沿った方向に配列したコード33をゴム被覆してなるベルト補強層(ベルト保護層)32が配置されている。
このようなベルト補強層32をベルト端補強層26及びベルト層14のタイヤ径方向外側に配置することによっても、高速走行時におけるベルト端の膨出変形を抑えることができる。従って、タイヤの高速耐久性を更に有利に確保することができる。
<試験例>
本発明の効果を確かめるために、本発明者は、第2実施形態の空気入りラジアルタイヤ10の一例(以下、実施例のタイヤという)、及び、従来例の空気入りラジアルタイヤの一例(以下、従来例のタイヤという)を用意した。本試験例では、タイヤサイズは全て235/45R17である。
そして、各タイヤについて、実車走行によりサーキットを一周するのにかかった走行時間(ラップタイム)を測定した。また、ドライバーのフィーリングによる評価も行った。
本試験例における各タイヤの諸条件、ラップタイム、及び上記評価内容を表1に示す。
Figure 2008037327
また、各タイヤについて測定されたラップタイムを図5に示す。表1、図5から判るように、1周目、2周目とも、実施例のタイヤのほうが従来例のタイヤに比べてラップタイムが短かった。また、表1から判るように、実施例のタイヤのほうが従来例のタイヤに比べてドライバーのフィーリングによる評価が良好である(すなわち操縦安定性が向上している)という結果になった。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
第1実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第1実施形態に係る空気入りラジアルタイヤで、ベルト端補強層が車両装着内側のベルト端部を覆っていること説明する模式的な斜視図である。 第2実施形態に係る空気入りラジアルタイヤのタイヤ径方向断面図である。 第2実施形態に係る空気入りラジアルタイヤで、ベルト端補強層が車両装着内側のベルト端部を覆い、更にベルト補強層が設けられていることを説明する模式的な斜視図である。 試験例で測定されたラップタイムを示すグラフ図である。
符号の説明
10 空気入りラジアルタイヤ
11C ビードコア
12 カーカス層
12C クラウン部
14 ベルト層
14I 装着内側ベルト端部(ベルト端部)
26 ベルト端補強層
26A タイヤ径方向内側部分
26B タイヤ径方向外側部分
27 コード
30 空気入りラジアルタイヤ
32 ベルト補強層
33 コード
B1 幅
B2 幅
B3 幅
θ 角度
I 装着内側
D タイヤ径方向

Claims (5)

  1. 一対のビードコアの間をトロイド状に延びる少なくとも1層のカーカス層と、前記カーカス層のクラウン部のタイヤ径方向外側に少なくとも2層からなるベルト層とを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、
    タイヤ幅方向両側のうち車両に対する装着内側が指定されていて、
    前記装着内側のベルト端部のみを包み込むように前記ベルト端部のタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に折り返される少なくとも1層のベルト端補強層を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記ベルト端補強層を構成するコードがタイヤ周方向に対して10〜40度の角度をなして配列されていることを特徴とする請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 前記ベルト端補強層のうち前記ベルト層よりもタイヤ径方向内側部分の幅及びタイヤ径方向外側部分の幅が、何れも、前記ベルト層の幅の5〜20%の範囲内にされていることを特徴とする請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記ベルト端補強層を構成するコードが芳香族ポリアミド繊維からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 前記ベルト層及び前記ベルト端補強層のタイヤ径方向外側に、コードをゴム被覆してなるベルト補強層を配置することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の空気入りラジアルタイヤ。
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