以下、実施形態について図面に従って説明する。
尚、各図面における各部材は、各図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて図示している。
(第1の実施形態)
本実施形態では電気泳動表示装置と、この電気泳動表示装置を製造する特徴的な例について、図1〜図9に従って説明する。図1(a)は、電気泳動表示装置の構造を示す概略斜視図であり、図1(b)は電気泳動表示装置の構造を示す模式平面図である。
図1(a)に示すように、電気泳動表示装置1は第1基板としての下部基板2と第2基板としての上部基板3とが重なった構造になっている。下部基板2及び上部基板3の法線方向をZ方向とし、+Z方向側に上部基板3が位置する。観察者が電気泳動表示装置1を見るときには+Z方向側から見ることとする。上部基板3の+Z方向側の面が画像表示面3aである。下部基板2及び上部基板3はX方向及びY方向に延在する。下部基板2は上部基板3より−Y方向に長い形状になっている。下部基板2の−Y方向側では+Z方向側の面にフレキシブルケーブル4が設置されている。フレキシブルケーブル4は図示しない駆動回路に接続され、フレキシブルケーブル4を介して電源と駆動信号が供給される。
図1(b)に示すように、電気泳動表示装置1は下部基板2と上部基板3との間には隔壁5が設置されている。隔壁5はX方向に延在する長方形の形状を有する液室6を区画する。図中画液室6は図を見易くするためにY方向に9個並べて配置されている。液室6の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、Y方向に600個並べて配置されている。液室6は第1室としてのシアン液室7、第2室としてのマゼンタ液室8及び第3室としてのイエロー液室9により構成されている。
シアン液室7はシアン色を表示する部分であり、マゼンタ液室8はマゼンタ色を表示する部分である。イエロー液室9はイエロー色を表示する部分になっている。そして、電気泳動表示装置1には−Y方向側から+Y方向側に向けてシアン液室7、マゼンタ液室8及びイエロー液室9がこの順を繰り返して配置されている。各液室6には画素部10が設定されている。図中各液室6には図を見易くするためにX方向に15個の画素部10が配置されている。液室6の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、Y方向に約600個並べて配置されている。画素部10の個数は特に限定されないが本実施形態では、例えば、X方向に約300個並べて配置されている。画素部10の大きさは特に限定されないが本実施形態では、例えば、X方向の長さが80μm、Y方向の長さが60μmになっている。電気泳動表示装置1の大きさも特に限定されないが本実施形態では、例えば、下部基板2はX方向の長さが30mmであり、Y方向の長さが40mmになっている。
上部基板3とフレキシブルケーブル4との間には下部基板2上に波形分配部11が設置されている。波形分配部11はフレキシブルケーブル4を介して伝送された信号を各画素部10に分配する回路である。
図2は電気泳動表示装置の構造を示す部分概略分解斜視図であり、電気泳動表示装置1の一部分をZ方向に分解した図である。図2に示すように、下部基板2は第1基板としての第1基材12を備えている。第1基材12は、ガラス、プラスチック、セラミック、シリコン等からなり絶縁性のある基板である。第1基材12は+Z方向から見える画像表示面3aとは反対側に配置されるため不透明な材質でもよい。
第1基材12上には素子層13が設置されている。素子層13には電圧供給線13a、制御信号線13b、半導体素子13c及び貫通電極13d等が設置されている。半導体素子13cはTFT(Thin Film Transistor)素子であり、スイッチングを行う素子である。素子層13の上には絶縁層14が設置され、絶縁層14の上には第1電極としての画素電極15が設置されている。絶縁層14は素子層13と画素電極15とを絶縁する層である。素子層13には貫通電極13dが設置され、貫通電極13dは画素電極15と接続されている。半導体素子13cと接続して貫通電極13dが設置されている。これにより、半導体素子13cは画素電極15と電気的に接続されている。画素電極15は画素部10毎に分離されている。第1基材12、素子層13、絶縁層14及び画素電極15等により下部基板2が構成されている。
素子層13の材質は半導体が形成できる材質であれば良く特に限定されず、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム、炭化珪素、IGZO(インジウムガリウム亜鉛酸化物)等を用いることができる。絶縁層14の材質は絶縁性があり成形しやすい材質であれば良く特に限定されず、ガラス、樹脂、酸化シリコンや窒化シリコン等を用いることができる。本実施形態では、例えば、絶縁層14の材質にはアクリル樹脂を用いている。
画素電極15の材質は導電性のある材質であれば良く特に限定されず、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ITO(インジウム錫酸化物)の他、銅箔上にニッケル膜や金膜を積層した物、アルミニウム箔上にニッケル膜や金膜を積層した物を用いることができる。本実施形態では、例えば、画素電極15はアルミニウム箔上に金膜を設置した構造になっている。
画素電極15上には隔壁5が縞状に設置され、隔壁5によって液室6が区画されている。隔壁5の材質は絶縁性と強度があり形成しやすい材質であれば良く特に限定されず、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂を用いることができる。本実施形態では、例えば、感光性樹脂を用いている。これにより、画素部10を隔てる隔壁5の抵抗値が1×108Ω以上になっている。そして、隔壁5は下部基板2と上部基板3とを絶縁する。
シアン液室7には第1電気泳動分散液としてのシアン電気泳動分散液16が設置され、マゼンタ液室8には第2電気泳動分散液としてのマゼンタ電気泳動分散液17が設置されている。イエロー液室9には第3電気泳動分散液としてのイエロー電気泳動分散液18が設置されている。シアン電気泳動分散液16は白粒子としての白色荷電粒子21、黒粒子としての黒色荷電粒子22及び色粒子としてのシアン色荷電粒子23を有し、白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22及びシアン色荷電粒子23が分散媒24に分散している。同様に、マゼンタ電気泳動分散液17では白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22及び色粒子としてのマゼンタ色荷電粒子25が分散媒24に分散している。イエロー電気泳動分散液18では白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22及び色粒子としてのイエロー色荷電粒子26が分散媒24に分散している。
白色荷電粒子21の材料は、白色で帯電可能であり微細な粒子に形成可能であれば良く特に限定されない。白色荷電粒子21の材料は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子、高分子、コロイドを用いることができる。本実施形態では、例えば、白色荷電粒子21は二酸化チタンの粒子を正極に帯電して用いている。
黒色荷電粒子22は、黒色で帯電可能であり微細な粒子に形成可能であれば良く特に限定されない。黒色荷電粒子22の材料は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、酸窒化チタン等の黒色顔料からなる粒子、高分子、コロイドを用いることができる。本実施形態では、例えば、黒色荷電粒子22は酸窒化チタンを負極に帯電して用いている。
シアン色荷電粒子23はシアン色の粒子であれば良く特に限定さない。シアン色荷電粒子23はシアン色の粒子を負極に帯電して用いている。マゼンタ色荷電粒子25はマゼンタ色の粒子であれば良く特に限定さない。マゼンタ色荷電粒子25はマゼンタ色の粒子を負極に帯電して用いている。イエロー色荷電粒子26はイエロー色の粒子であれば良く特に限定さない。イエロー色荷電粒子26はイエロー色の粒子を負極に帯電して用いている。
白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26にはこれらの粒子に必要に応じて電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の帯電制御剤を用いることができる。他にも、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22にはチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
分散媒24は流動性があって変質し難い材質であれば良く特に限定されない。分散媒24の材質には水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ぺンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロへキサン、メチルシクロへキサン等の脂環式炭化水素を用いることができる。他にも分散媒24の材質にはベンゼン、トルエン、キシレン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素を用いることができる。長鎖アルキル基を有するベンゼン類としてはヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等を用いることができる。他にも分散媒24としては、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素を用いることができる。他にも、分散媒24の材質には油類やシリコーンオイルを用いることができる。これらの物質は単独または混合物として用いることができ、さらに、カルボン酸塩のような界面活性剤等を配合してもよい。
シアン液室7とイエロー液室9との間には第2配管としてのマゼンタ配管27が設置されている。マゼンタ配管27にはマゼンタ電気泳動分散液17が設置されている。シアン液室7とマゼンタ配管27との間の隔壁5の厚みはシアン液室7とマゼンタ液室8との間の隔壁5の厚みより薄くなっている。同様に、イエロー液室9とマゼンタ配管27との間の隔壁5の厚みはイエロー液室9とマゼンタ液室8との間の隔壁5の厚みより薄くなっている。そして、Y方向におけるシアン液室7とイエロー液室9との距離はシアン液室7とマゼンタ液室8との間の距離と同じ距離になっている。Y方向におけるマゼンタ液室8とイエロー液室9との距離はシアン液室7とマゼンタ液室8との間の距離と同じ距離になっている。従って、各液室6のY方向の距離は同じ距離になっている。
隔壁5及び電気泳動分散液上には上部基板3が設置されている。上部基板3は第2基板としての第2基材28を備えている。第2基材28を覆って共通電極29が設置され、共通電極29の−Z方向側の面には接着層30が設置されている。共通電極29は複数の画素部10に渡って設置された共通電極になっている。従って、共通電極29は複数の画素電極15と対向する。接着層30は隔壁5と上部基板3とを接着する。そして、隔壁5は画素電極15と共通電極29とを絶縁する。
第2基材28の材質は光透過性、強度及び絶縁性があれば良く特に限定されない。第2基材28の材質にガラスや樹脂材料を用いることができる。本実施形態では、例えば、第2基材28の材質にガラス板を用いている。
共通電極29は、透明導電膜であれば良く特に限定されない。例えば、共通電極29にはMgAg、IGO(Indium−gallium oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、ICO(Indium−cerium oxide)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)等を用いることができる。本実施形態では、例えば、共通電極29にITOを用いている。
接着層30の材質は隔壁5と上部基板3とを接着可能であり、電気泳動分散液を変質させない材質であれば良く特に限定されない。例えば、接着層30の材質にはポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホンアミド、ポリカーボネート、ポリスルフィネート、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ゼラチン、フェノール樹脂、ビニル樹脂等が用いることができる。本実施形態では、例えば、紫外性硬化型のアクリル樹脂やエポキシ樹脂を用いている。
図3は、液室の配置を説明するための模式平面図であり、電気泳動表示装置1から上部基板3を除いた部分を示す。図3に示すように、電気泳動表示装置1にはシアン液室7、マゼンタ液室8及びイエロー液室9が各3個設置されている。3個のシアン液室7を−Y方向側から順に第1室としての下シアン液室7a、第1室としての中シアン液室7b、第1室としての上シアン液室7cとする。3個のマゼンタ液室8を−Y方向側から順に第2室としての下マゼンタ液室8a、第2室としての中マゼンタ液室8b、第2室としての上マゼンタ液室8cとする。3個のイエロー液室9を−Y方向側から順に第3室としての下イエロー液室9a、第3室としての中イエロー液室9b、第3室としての上イエロー液室9cとする。
下部基板2の+Y方向側の辺を上辺2a、+X方向側の辺を第2辺としての右辺2b、−Y方向側の辺を下辺2c、−X方向側の辺を第1辺としての左辺2dとする。下シアン液室7aの−X方向側に接続して第1配管としてのシアン配管31が設置されている。シアン配管31は左辺2dの第1開口部としてのシアン開口部32まで延在する。さらに、シアン配管31は中シアン液室7bの−X方向側の端及び上シアン液室7cの−X方向側の端と接続している。従って、シアン開口部32、下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cがシアン配管31によって接続されている。そして、シアン開口部32から下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cにシアン電気泳動分散液16を充填することができる。
上イエロー液室9cの+X方向側に接続して第3配管としてのイエロー配管33が設置されている。イエロー配管33は右辺2bの第3開口部としてのイエロー開口部34まで延在する。さらに、イエロー配管33は中イエロー液室9bの+X方向側の端及び下イエロー液室9aの+X方向側の端と接続している。従って、イエロー開口部34、下イエロー液室9a、中イエロー液室9b及び上イエロー液室9cがイエロー配管33によって接続されている。そして、イエロー開口部34から下イエロー液室9a、中イエロー液室9b及び上イエロー液室9cにイエロー電気泳動分散液18を充填することができる。
下マゼンタ液室8aの+X方向側に接続してマゼンタ配管27が設置されている。マゼンタ配管27は右辺2bの第2開口部としてのマゼンタ開口部35まで延在する。さらに、マゼンタ配管27は下マゼンタ液室8aの−X方向側の端と中マゼンタ液室8bの+X方向側の端と接続している。下マゼンタ液室8aと中マゼンタ液室8bとの間ではマゼンタ配管27は下イエロー液室9aと中シアン液室7bとの間を通って配置されている。さらに、マゼンタ配管27は中マゼンタ液室8bの−X方向側の端と上マゼンタ液室8cの+X方向側の端と接続している。中マゼンタ液室8bと上マゼンタ液室8cとの間ではマゼンタ配管27は中イエロー液室9bと上シアン液室7cとの間を通って配置されている。従って、マゼンタ開口部35、下マゼンタ液室8a、中マゼンタ液室8b及び上マゼンタ液室8cがマゼンタ配管27によって接続されている。そして、マゼンタ開口部35から下マゼンタ液室8a、中マゼンタ液室8b及び上マゼンタ液室8cにマゼンタ電気泳動分散液17を充填することができる。
各液室6には画素電極15が設置され、画素電極15と対向する場所が画素部10になっている。シアン液室7の画素部10ではシアン色の画素を表示し、マゼンタ液室8の画素部10ではマゼンタ色の画素を表示する。イエロー液室9の画素部10ではイエロー色の画素を表示する。電気泳動表示装置1ではこの3色を組み合わせてカラー画像を表示することができる。
電気泳動表示装置1ではZ方向からみたときの平面視でマゼンタ配管27、シアン配管31、イエロー配管33が互いに交差しない配置になっている。配管が交差するときには下部基板2と上部基板3との間の距離に2つの配管が位置するので配管が狭くなる。その結果、配管を流れる流体の抵抗が大きくなるので、各液室6に電気泳動分散液を充填する時間が長くなる。本実施形態では配管が互いに交差しない配置になっているので、配管を流れる流体の抵抗を小さくすることができる。従って、生産性良く各液室6に電気泳動分散液を充填することができる。
図4は電気泳動表示装置の電気制御ブロック図である。図4に示すように、電気泳動表示装置1は駆動装置36と接続して用いられる。駆動装置36は入力部37を備え、入力部37は電気泳動表示装置1に表示する画像を示す画像信号を出力する装置に接続され、画像信号を入力する。入力部37は制御部38と接続されている。そして、制御部38は記憶部41、第1波形形成部42及び第2波形形成部43と接続されている。
記憶部41は画像信号の他、画像信号から電気泳動表示装置1を駆動する信号を形成するときに用いる情報を記憶する。制御部38は第1波形形成部42及び第2波形形成部43を制御する部位である。制御部38は入力部37から入力した画像信号を第1波形形成部42及び第2波形形成部43に送信する。さらに、第1波形形成部42及び第2波形形成部43が波形を形成するときに用いる情報を送信する。
第1波形形成部42は半導体素子13cを駆動する駆動信号を形成する。そして、第2波形形成部43は共通電極29を駆動する電圧波形を形成する。第1波形形成部42及び第2波形形成部43はフレキシブルケーブル4を介して波形分配部11と接続させる。波形分配部11は第1波形形成部42及び第2波形形成部43から受信した波形信号を各画素電極15及び共通電極29に分配する。波形分配部11は制御信号線13bを介して半導体素子13cと接続され、半導体素子13cに画素毎の駆動信号を出力する。半導体素子13cは画素電極15と接続され、駆動信号に対応する電圧を画素電極15に出力する。さらに、波形分配部11は共通電極29に第2波形形成部43から受信した電圧波形を出力する。
図5は電気泳動表示装置の動作を説明するための要部模式側断面図である。図5(a)に示すように、電気泳動表示装置1は画素電極15と共通電極29との間に電圧を印加して用いられる。そして、画素電極15と共通電極29との間の相対電圧を切り替えることにより表示を変更する。
画素電極15に対して共通電極29を低い電圧にする。このとき黒色荷電粒子22は負極の電圧に帯電しているので、黒色荷電粒子22は画素電極15に誘引される。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26も負極の電圧に帯電しているので、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は画素電極15に誘引される。白色荷電粒子21は正極の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子21は共通電極29に誘引される。その結果、下部基板2には黒色荷電粒子22が集合し、上部基板3には白色荷電粒子21が集合する。上部基板3側から電気泳動表示装置1を見るとき観察者は上部基板3を通して白色荷電粒子21を見ることができる。従って、画素部10は白色の表示となる。
図5(b)に示すように、画素電極15に対して共通電極29を高い電圧にする。このとき、黒色荷電粒子22は負極の電圧に帯電しているので、黒色荷電粒子22は共通電極29に誘引される。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26も負極の電圧に帯電しているので、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は共通電極29に誘引される。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は黒色荷電粒子22より直径が小さい粒子である。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は黒色荷電粒子22より流体抵抗が小さいので早く移動する。従って、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は黒色荷電粒子22より先に共通電極29に到達する。黒色荷電粒子22が共通電極29に到達するまえに画素電極15と共通電極29との間の電位差を小さくする。これにより、黒色荷電粒子22は共通電極29に到達しなくなる。
白色荷電粒子21は正極の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子21は画素電極15に誘引される。その結果、下部基板2には白色荷電粒子21が集合し、上部基板3にはシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26が集合する。上部基板3側から電気泳動表示装置1を見るとき観察者は上部基板3を通してシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26を見ることができる。従って、画素部10はシアン色、マゼンタ色及びイエロー色の表示となる。
図5(c)に示すように、画素電極15に対して共通電極29を高い電圧に維持する。このとき、黒色荷電粒子22は負極の電圧に帯電しているので、黒色荷電粒子22は共通電極29に誘引される。そして、黒色荷電粒子22が共通電極29に到達する。その結果、下部基板2には白色荷電粒子21が集合し、上部基板3にはシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26及び黒色荷電粒子22が集合する。上部基板3側から電気泳動表示装置1を見るとき観察者は上部基板3を通してシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26及び黒色荷電粒子22を見ることができる。黒色荷電粒子22はシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26より粒子の直径が大きく光を吸収するので画素部10は黒色の表示となる。このように、画素電極15と共通電極29との電位差を制御することにより各画素部10の色を制御することができる。
次に上述した電気泳動表示装置1の製造方法について図6〜図9にて説明する。図6は、電気泳動表示装置の製造方法のフローチャートであり、図7〜図9は電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。図6のフローチャートにおいて、ステップS1は隔壁設置工程に相当する。この工程は、下部基板2上に隔壁5を設置する工程である。次にステップS2に移行する。ステップS2は組立工程である。この工程は、接着層30にて隔壁5と上部基板3とを接着する工程である。次にステップS3に移行する。ステップS3は分散液充填工程である。この工程は、液室6に電気泳動分散液を充填する工程である。次にステップS4に移行する。ステップS4は封止工程である。この工程は、シアン開口部32、イエロー開口部34及びマゼンタ開口部35を塞いで液室6を封止する工程である。以上の工程により電気泳動表示装置1を製造する工程を終了する。
次に、図7〜図9を用いて図6に示したステップと対応させて製造方法を詳細に説明する。図7(a)〜図7(c)はステップS1の隔壁設置工程に対応する図である。図7(a)に示すように下部基板2を用意する。下部基板2には素子層13が設置されている。素子層13の設置方法は公知であり説明を省略する。
図7(b)に示すように、下部基板2上に隔壁5の材料となる感光性樹脂材料を塗布する。塗布方法はオフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷等の各種印刷法を用いて設置することができる。他にも、スピンコート法やロールコート法等のコート法を用いても良い。続いて、感光性樹脂材料を加熱乾燥して固化し樹脂膜5aを設置する。次に、樹脂膜5aをフォトリソグラフィー法によってパターニングしエッチングして隔壁5を形成する。その結果、図7(c)に示すように、下部基板2上に隔壁5が設置される。
図7(d)はステップS2の組立工程に対応する図である。図7(d)に示すように、ステップS2において、上部基板3を用意する。上部基板3には共通電極29及び接着層30が設置されている。共通電極29及び接着層30の設置方法は公知であり説明を省略する。隔壁5上に上部基板3を設置する。隔壁5上に上部基板3を搭載する。次に、下部基板2及び上部基板3を光透過型の治具にて挟んで固定する。続いて、接着層30に紫外線を照射する。接着層30は紫外線硬化型の接着剤であり、隔壁5と上部基板3とが仮固定される。次に、上部基板3が設置された下部基板2を加熱し接着層30を固化することにより上部基板3が隔壁5に固定される。下部基板2と上部基板3とが接合させた基板を接合基板44とする。
図8(a)〜図8(d)はステップS3の分散液充填工程に対応する図である。図8(a)に示すように、ステップS3において、充填装置45を用意する。充填装置45は下容器46aと上容器46bからなる密閉容器46を備えている。上容器46bと下容器46aとの間にはパッキンが設置され、気体の漏洩が防止されている。下容器46aには真空ポンプ47が設置され、真空ポンプ47は密閉容器46内を減圧する。
密閉容器46内には供給口としての受皿48が設置され、受皿48にはシアン電気泳動分散液16が投入されている。下容器46aには撹拌装置49が設置され、撹拌装置49にはモーターが設置されている。モーターの回転軸にはスクリュウ49aが設置され、撹拌装置49はスクリュウ49aを回転してシアン電気泳動分散液16を撹拌する。これにより、シアン電気泳動分散液16の白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22及びシアン色荷電粒子23が沈殿することを撹拌装置49が防止する。密閉容器46内に接合基板44を設置し、密閉容器46内を減圧する。これにより、シアン液室7内の空気が除去され、シアン液室7が真空状態になる。
図8(b)に示すように、接合基板44における左辺2dをシアン電気泳動分散液16に浸漬する。そして、密閉容器46内の圧力を大気圧にする。これにより、シアン電気泳動分散液16に気圧が作用し、シアン電気泳動分散液16がシアン開口部32から吸引される。そして、シアン電気泳動分散液16がシアン開口部32からシアン配管31を通過して下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cに充填される。1つのシアン開口部32からシアン電気泳動分散液16が吸引されるので、管理する場所が1カ所になっている。さらに、シアン開口部32が接合基板44の側面に設置されているのでシアン電気泳動分散液16に浸漬し易い。従って、電気泳動表示装置1はステップS3の製造工程を管理し易い構造になっている。
図8(c)に示すように、ステップS3において、充填装置50を用意する。充填装置50は密閉容器46、真空ポンプ47及び撹拌装置49を備えている。密閉容器46内には第1受皿51及び供給口としての第2受皿52が設置されている。第1受皿51にはイエロー電気泳動分散液18が投入され、第2受皿52にはマゼンタ電気泳動分散液17が投入されている。充填装置50には撹拌装置49が2台設置されている。そして、撹拌装置49はイエロー電気泳動分散液18及びマゼンタ電気泳動分散液17をそれぞれ撹拌する。これにより、イエロー電気泳動分散液18の白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22及びイエロー色荷電粒子26が沈殿することを撹拌装置49が防止する。同様に、マゼンタ電気泳動分散液17の白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22及びマゼンタ色荷電粒子25が沈殿することを撹拌装置49が防止する。
マゼンタ電気泳動分散液17及びイエロー電気泳動分散液18は液面の高さが管理されている。そして、イエロー電気泳動分散液18の液面は表面張力により第1受皿51の側壁より上容器46b側に位置している。同様に、マゼンタ電気泳動分散液17の液面は表面張力により第2受皿52の側壁より上容器46b側に位置している。そして、イエロー電気泳動分散液18の液面とマゼンタ電気泳動分散液17の液面とは同じ平面上に位置している。密閉容器46内に接合基板44を設置し、密閉容器46内を減圧する。これにより、イエロー液室9及びマゼンタ液室8内の空気が除去され、イエロー液室9及びマゼンタ液室8内が真空状態になる。
図8(d)に示すように、接合基板44における右辺2bのイエロー開口部34側をイエロー電気泳動分散液18に浸漬する。さらに、接合基板44における右辺2bのマゼンタ開口部35側をマゼンタ電気泳動分散液17に浸漬する。そして、密閉容器46内の圧力を大気圧にする。これにより、イエロー電気泳動分散液18に気圧が作用し、イエロー電気泳動分散液18がイエロー開口部34から吸引される。そして、イエロー電気泳動分散液18がイエロー開口部34からイエロー配管33を通過して下イエロー液室9a、中イエロー液室9b及び上イエロー液室9cに充填される。1つのイエロー開口部34からイエロー電気泳動分散液18が吸引されるので、管理する場所が1カ所になっている。さらに、イエロー開口部34が接合基板44の側面に設置されているのでイエロー電気泳動分散液18に浸漬し易い。
イエロー電気泳動分散液18の充填と並行して、マゼンタ電気泳動分散液17に気圧が作用し、マゼンタ電気泳動分散液17がマゼンタ開口部35から吸引される。そして、マゼンタ電気泳動分散液17がマゼンタ開口部35からマゼンタ配管27を通過して下マゼンタ液室8aに充填される。さらに、下マゼンタ液室8aからマゼンタ配管27を介して中マゼンタ液室8bに充填される。さらに、中マゼンタ液室8bからマゼンタ配管27を介して上マゼンタ液室8cに充填される。1つのマゼンタ開口部35からマゼンタ電気泳動分散液17が吸引されるので、管理する場所が1カ所になっている。さらに、マゼンタ開口部35が接合基板44の側面に設置されているのでマゼンタ電気泳動分散液17に浸漬し易い。従って、電気泳動表示装置1はステップS3の製造工程を管理し易い構造になっている。
図9はステップS4の封止工程に対応する図である。図9(a)に示すように、ステップS4において、液体定量吐出装置53を用意する。液体定量吐出装置53はディスペンサーとも称す。液体定量吐出装置53は本体部53aを備え、本体部53aにはポンプと液体を精度良く定量供給するコントローラーとが内蔵されている。本体部53aはチューブ53bを介してシリンジ53cに接続されている。シリンジ53cにはニードル53dが設置され、ニードル53dから封止剤54が供給される。封止剤54は紫外線硬化樹脂が主成分になっている。接合基板44の左辺2dを重力加速度方向と逆の方向に向ける。そして、シアン開口部32に封止剤54を塗布する。そして、封止剤54に紫外線を照射して封止剤54を硬化させる。
図9(b)に示すように、接合基板44の右辺2bを重力加速度方向と逆の方向に向ける。そして、液体定量吐出装置53を用いてイエロー開口部34及びマゼンタ開口部35に封止剤54を塗布する。そして、封止剤54に紫外線を照射して封止剤54を硬化させる。さらに、接合基板44を加熱乾燥することにより確実に封止剤54を硬化させる。最後に下部基板2にフレキシブルケーブル4を設置する。以上の工程により電気泳動表示装置1が完成する。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、電気泳動表示装置1はシアン液室7、マゼンタ液室8及びイエロー液室9を備えている。シアン液室7にはシアン電気泳動分散液16が設置され、マゼンタ液室8にはマゼンタ電気泳動分散液17が設置されている。イエロー液室9にはイエロー電気泳動分散液18が設置されている。シアン電気泳動分散液16、マゼンタ電気泳動分散液17及びイエロー電気泳動分散液18は電圧を印加することにより表示色を切り替えることができる。表示色を組み合わせることにより電気泳動表示装置1をカラー表示にすることができる。
(2)本実施形態によれば、下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cはシアン配管31により互いに接続されている。そして、シアン開口部32からシアン電気泳動分散液16を供給して下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cにシアン電気泳動分散液16を充填させることができる。従って、下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cに個別の開口部からシアン電気泳動分散液16を充填するときに比べて少ない個数のシアン開口部32からシアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填することができる。
同様に、下マゼンタ液室8a、中マゼンタ液室8b、上マゼンタ液室8cはマゼンタ配管27により互いに接続されている。1つのマゼンタ開口部35から複数のマゼンタ液室8にマゼンタ電気泳動分散液17を充填させることができる。同様に、下イエロー液室9a、中イエロー液室9b、上イエロー液室9cはイエロー配管33により互いに接続されている。1つのイエロー開口部34から複数のイエロー液室9にイエロー電気泳動分散液18を充填させることができる。従って、シアン開口部32、イエロー開口部34、マゼンタ開口部35はそれぞれ1カ所であり各開口部をそれぞれ受皿48、第1受皿51、第2受皿52に容易に短時間で位置合わせすることができる。その結果、生産性良く電気泳動表示装置1を製造することができる。
(3)本実施形態によれば、下部基板2の厚み方向からの平面視でシアン配管31とマゼンタ配管27とが交差しない配置になっている。シアン配管31とマゼンタ配管27とが交差するときに下部基板2の厚み方向において下部基板2と上部基板3との距離に対するシアン配管31が占める距離の比率を第1交差時比率とする。シアン配管31とマゼンタ配管27とが交差しないときには下部基板2と上部基板3との距離に対するシアン配管31が占める距離の比率を第1交差時比率より大きくすることができる。従って、シアン電気泳動分散液16がシアン配管31を流動するときの流体抵抗を小さくして流動し易くすることができる。
同様に、シアン配管31とマゼンタ配管27とが交差するときに下部基板2の厚み方向において下部基板2と上部基板3との距離に対するマゼンタ配管27が占める距離の比率を第2交差時比率とする。シアン配管31とマゼンタ配管27とが交差しないときには下部基板2と上部基板3との距離に対するマゼンタ配管27が占める距離の比率を第2交差時比率より大きくすることができる。従って、マゼンタ電気泳動分散液17がマゼンタ配管27を流動するときの流体抵抗を小さくして流動し易くすることができる。その結果、生産性良くシアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填し、マゼンタ液室8にマゼンタ電気泳動分散液17を充填することができる。
(4)本実施形態によれば、下部基板2上に隔壁5を設置している。隔壁5はシアン液室7、シアン配管31、マゼンタ液室8、マゼンタ配管27を区画する。シアン配管31はシアン液室7を互いに接続する。さらに、シアン配管31はシアン液室7と左辺2dに位置するシアン開口部32とを接続する。そして、マゼンタ配管27はマゼンタ液室8を互いに接続する。さらに、マゼンタ配管27はマゼンタ液室8と右辺2bに位置するマゼンタ開口部35とを接続する。
そして、シアン開口部32からシアン配管31を経て複数のシアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填する。このとき、複数のシアン液室7はシアン配管31により接続されている為、複数のシアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填することができる。同様に、マゼンタ開口部35からマゼンタ配管27を経て複数のマゼンタ液室8にマゼンタ電気泳動分散液17を充填する。このとき、複数のマゼンタ液室8はマゼンタ配管27により接続されている為、複数のマゼンタ液室8にマゼンタ電気泳動分散液17を充填することができる。そして、シアン開口部32及びマゼンタ開口部35が封止される。従って、シアン液室7及びマゼンタ液室8の個数が多いときにもそれぞれ1つのシアン開口部32及びマゼンタ開口部35からシアン電気泳動分散液16及びマゼンタ電気泳動分散液17を充填することができる。このため、シアン開口部32と受皿48及びマゼンタ開口部35と第2受皿52との位置合わせが容易に短時間で行えるため生産性良くシアン電気泳動分散液16及びマゼンタ電気泳動分散液17を充填することができる。同様に、1つのイエロー開口部34と第1受皿51との位置合わせが容易に短時間で行えるため生産性良くイエロー電気泳動分散液18を充填することができる。
(第2の実施形態)
次に、電気泳動表示装置の一実施形態について図10及び図11を用いて説明する。図10は電気泳動表示装置の構造を示す模式平面図であり、上部基板3が透過した図になっている。図11は電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図であり、ステップS3の分散液充填工程を説明するための模式図である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、シアン開口部32、イエロー開口部34、マゼンタ開口部35がそれぞれ異なる辺に設置されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図10に示すように電気泳動表示装置57の接合基板58では上辺2aにイエロー開口部34が設置され、右辺2bにマゼンタ開口部35が設置されている。そして、左辺2dにシアン開口部32が設置されている。従って、3つの開口部がそれぞれ異なる辺に設置されている。次に、ステップS3の分散液充填工程の説明をする。
図11(a)に示すように、シアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填するとき、受皿48にシアン電気泳動分散液16を投入する。密閉容器46に接合基板58を入れて真空ポンプ47が密閉容器46内を減圧する。接合基板58の左辺2dをシアン電気泳動分散液16に浸漬させて、密閉容器46内の気圧を大気圧に戻す。シアン電気泳動分散液16は大気圧に押されてシアン開口部32からシアン配管31に入り、シアン配管31を通ってシアン液室7に入る。そして、下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cにはシアン電気泳動分散液16が充填される。
図11(b)に示すように、イエロー液室9にイエロー電気泳動分散液18を充填するとき、受皿48にイエロー電気泳動分散液18を投入する。密閉容器46に接合基板58を入れて真空ポンプ47が密閉容器46内を減圧する。接合基板58の上辺2aをイエロー電気泳動分散液18に浸漬させて、密閉容器46内の気圧を大気圧に戻す。イエロー電気泳動分散液18は大気圧に押されてイエロー開口部34からイエロー配管33に入り、イエロー配管33を通ってイエロー液室9に入る。そして、下イエロー液室9a、中イエロー液室9b及び上イエロー液室9cにはイエロー電気泳動分散液18が充填される。
図11(c)に示すように、マゼンタ液室8にマゼンタ電気泳動分散液17を充填するとき、受皿48にマゼンタ電気泳動分散液17を投入する。密閉容器46に接合基板58を入れて真空ポンプ47が密閉容器46内を減圧する。接合基板58の右辺2bをマゼンタ電気泳動分散液17に浸漬させて、密閉容器46内の気圧を大気圧に戻す。マゼンタ電気泳動分散液17は大気圧に押されてマゼンタ開口部35からマゼンタ配管27に入り、マゼンタ配管27を通ってマゼンタ液室8に入る。そして、下マゼンタ液室8a、中マゼンタ液室8b及び上マゼンタ液室8cにはマゼンタ電気泳動分散液17が充填される。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、シアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填するとき接合基板58の左辺2dをシアン電気泳動分散液16に浸漬させる。イエロー液室9にイエロー電気泳動分散液18を充填するとき、接合基板58の上辺2aをイエロー電気泳動分散液18に浸漬させる。マゼンタ液室8にマゼンタ電気泳動分散液17を充填するとき、接合基板58の右辺2bをマゼンタ電気泳動分散液17に浸漬させる。従って、それぞれ異なる辺を電気泳動分散液に浸して電気泳動分散液を各室に充填する為、シアン電気泳動分散液16とマゼンタ電気泳動分散液17とイエロー電気泳動分散液18とが混じることを抑制することができる。
(第3の実施形態)
次に、電気泳動表示装置の一実施形態について図12の電気泳動表示装置の構造を示す模式平面図を用いて説明する。図12は上部基板3が透過した図になっている。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、液室6がシアン液室、マゼンタ液室、イエロー液室、マゼンタ液室、シアン液室の順に並んでいる点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図12に示すように電気泳動表示装置61の接合基板62では下部基板2上に隔壁63が設置されている。隔壁63により下部基板2上にはシアン液室7、第2室としてのマゼンタ液室64及びイエロー液室9が区画されている。シアン液室7及びイエロー液室9は第1の実施形態と同じ液室6である。マゼンタ液室64ではY方向の幅がシアン液室7及びイエロー液室9の幅の半分の長さであり、マゼンタ液室64のX方向の長さはシアン液室7及びイエロー液室9の長さと同じの長さの形状になっている。従って、マゼンタ液室64の面積はシアン液室7の面積の半分であり、イエロー液室9の面積の半分になっている。
接合基板62にはシアン液室7及びイエロー液室9が各3個設置され、マゼンタ液室64が6個設置されている。シアン液室7及びイエロー液室9の配置は第1の実施形態と同じである。そして、シアン液室7とイエロー液室9との間にはマゼンタ液室64が配置され、上イエロー液室9cの+Y方向側にもマゼンタ液室64が配置されている。
−Y方向側から順に下シアン液室7aと下イエロー液室9aとの間のマゼンタ液室64を第2室としての下第1マゼンタ液室64aとし、下イエロー液室9aと中シアン液室7bとの間のマゼンタ液室64を第2室としての下第2マゼンタ液室64bとする。中シアン液室7bと中イエロー液室9bとの間のマゼンタ液室64を第2室としての中第1マゼンタ液室64cとし、中イエロー液室9bと上シアン液室7cとの間のマゼンタ液室64を第2室としての中第2マゼンタ液室64dとする。上シアン液室7cと上イエロー液室9cとの間のマゼンタ液室64を第2室としての上第1マゼンタ液室64eとし、上イエロー液室9cの+Y方向側のマゼンタ液室64を第2室としての上第2マゼンタ液室64fとする。
下シアン液室7a、中シアン液室7b及び上シアン液室7cがシアン液室7であり、下イエロー液室9a、中イエロー液室9b、上イエロー液室9cがイエロー液室9である。下第1マゼンタ液室64a、下第2マゼンタ液室64b、中第1マゼンタ液室64c、中第2マゼンタ液室64d、上第1マゼンタ液室64e、上第2マゼンタ液室64fがマゼンタ液室64である。
下シアン液室7aの面積は下イエロー液室9aの面積と同じ面積である。そして、下第1マゼンタ液室64aと下第2マゼンタ液室64bとの和は下シアン液室7a及び下イエロー液室9aと同じ面積になっている。同様に、中シアン液室7bの面積は中イエロー液室9bの面積と同じ面積になっている。そして、中第1マゼンタ液室64cと中第2マゼンタ液室64dとの和は中シアン液室7b及び中イエロー液室9bと同じ面積になっている。さらに、上シアン液室7cの面積は上イエロー液室9cの面積と同じ面積になっている。そして、上第1マゼンタ液室64eと上第2マゼンタ液室64fとの和は上シアン液室7c及び上イエロー液室9cと同じ面積になっている。従って、単位面積にしめるシアン液室7、マゼンタ液室64及びイエロー液室9の面積比率が同じ比率にしている為、各色の調整をし易くすることができる。
下第1マゼンタ液室64a〜上第2マゼンタ液室64fは同じ形状になっている。これにより、ステップS3の分散液充填工程において下第1マゼンタ液室64a〜上第2マゼンタ液室64fをマゼンタ電気泳動分散液17が流れるときの流体抵抗を同じにすることができる。従って、マゼンタ液室64の1つの流体抵抗が小さいときに比べて短時間にマゼンタ電気泳動分散液17をマゼンタ液室64に充填することができる。
シアン液室7及びイエロー液室9に配置された画素電極15と同様に、マゼンタ液室64には画素電極65が配置されている。1つのマゼンタ液室64には画素電極65が14個配置されている。Y方向における画素電極65の幅は画素電極15の幅の半分の長さになっている。そして、下シアン液室7a、下第1マゼンタ液室64a、下イエロー液室9a、下第2マゼンタ液室64bが1つのカラー画素を構成する。シアン色及びイエロー色では1つのカラー画素に対して1つの画素電極15が設置されている。マゼンタ色では1つのカラー画素に対して2つの画素電極65が設置されている。そして、シアン色に対応する画素電極15とマゼンタ色を表示するときの画素電極65とイエロー色を表示するときの画素電極15は同じ面積になっている。従って、各色を調整し易くなっている。
下第1マゼンタ液室64aの+X方向側の端と接続して第2配管としてのマゼンタ配管66が設置されている。マゼンタ配管66は右辺2bのマゼンタ第1開口部67まで延在する。さらに、マゼンタ配管66は下第1マゼンタ液室64aの−X方向側の端と下第2マゼンタ液室64bの−X方向側の端とを接続している。さらに、マゼンタ配管66は下第2マゼンタ液室64bの+X方向側の端と中第1マゼンタ液室64cの+X方向側の端とを接続している。さらに、マゼンタ配管66は中第1マゼンタ液室64cの−X方向側の端と中第2マゼンタ液室64dの−X方向側の端とを接続している。さらに、マゼンタ配管66は中第2マゼンタ液室64dの+X方向側の端と上第1マゼンタ液室64eの+X方向側の端とを接続している。さらに、マゼンタ配管66は上第1マゼンタ液室64eの−X方向側の端と上第2マゼンタ液室64fの−X方向側の端とを接続している。さらに、上第2マゼンタ液室64fの+X方向側の端と接続してマゼンタ配管66が設置されている。マゼンタ配管66は右辺2bのマゼンタ第2開口部68まで延在する。
マゼンタ液室64とマゼンタ配管66とを加算した長さはシアン液室7とシアン配管31とを加算した長さより長くなっている。液室6と配管を加算した長さが長い方が電気泳動分散液を充填する時間が長くなる。そして、マゼンタ配管66はマゼンタ第1開口部67及びマゼンタ第2開口部68の2つの開口と接続されており、シアン配管31は1つのシアン開口部32と接続されている。従って、マゼンタ液室64にマゼンタ電気泳動分散液17を充填する時間がシアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填する時間より著しく長くなることを抑制することができる。
接合基板62の−X方向側ではシアン配管31とマゼンタ配管66とが交差しない配置になっている。接合基板62の+X方向側ではイエロー配管33とマゼンタ配管66とが交差しない配置になっている。シアン配管31は接合基板62の−X方向側に設置され、イエロー配管33は接合基板62の+X方向側に設置されている。これにより、シアン配管31とイエロー配管33とは交差しない配置になっている。従って、シアン配管31、イエロー配管33及びマゼンタ配管66はそれぞれ交差しない配置になっている。配管が交差する場所では断面積が狭くなるので流体抵抗が大きくなる。接合基板62では配管が交差しない配置になっているので短い時間で電気泳動分散液を充填させることができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、接合基板62では配管が交差しない配置になっているので短い時間で電気泳動分散液を充填させることができる。
(2)本実施形態によれば、単位面積にしめるシアン液室7、マゼンタ液室64及びイエロー液室9の面積比率が同じ比率になる為、各色の調整をし易くすることができる。
(3)本実施形態によれば、下第1マゼンタ液室64a〜上第2マゼンタ液室64fは同じ形状になっている為、マゼンタ電気泳動分散液17を充填させるときの流体抵抗が同じになる。従って、マゼンタ液室64の1つの流体抵抗が小さいときに比べて短時間にマゼンタ電気泳動分散液17をマゼンタ液室64に充填することができる。
(4)本実施形態によればシアン配管31には1つのシアン開口部32が設置され、イエロー配管33には1つのイエロー開口部34が設置されている。そして、マゼンタ配管66にはマゼンタ第1開口部67及びマゼンタ第2開口部68が設置されている。従って、マゼンタ液室64とマゼンタ配管66とを加算した長さがシアン液室7とシアン配管31とを加算した長さより長くなるときにもマゼンタ液室64にマゼンタ電気泳動分散液17を充填する時間がシアン液室7にシアン電気泳動分散液16を充填する時間より著しく長くなることを抑制することができる。
(第4の実施形態)
次に、電気泳動表示装置の一実施形態について図13〜図16を用いて説明する。図13は、電気泳動表示装置の構造を示す模式平面図であり、上部基板3が透過した図になっている。図14は液室を説明するための要部模式拡大平面図である。図15は電気泳動表示装置の製造方法のフローチャートであり、図16は電気泳動表示装置の製造方法を説明するための模式図である。本実施形態が第3の実施形態と異なるところは、液室6では隣り合う画素部10の間の幅が狭くなっている点にある。尚、第3の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図13に示すように電気泳動表示装置71の接合基板72では下部基板2上に隔壁73が設置されている。隔壁73により下部基板2上にはシアン液室74、マゼンタ液室75及びイエロー液室76が区画されている。マゼンタ液室75はY方向の幅がシアン液室74及びイエロー液室76の幅の半分の長さであり、マゼンタ液室75のX方向の長さがシアン液室74及びイエロー液室76の長さと同じの長さの形状になっている。従って、マゼンタ液室75の面積はシアン液室74の面積の半分であり、イエロー液室76の面積の半分になっている。
シアン液室74、マゼンタ液室75、イエロー液室76は第3の実施形態のシアン液室7、マゼンタ液室64、イエロー液室9にそれぞれ対応する。−Y方向側から順に+Y方向に向かって下シアン液室74a、下第1マゼンタ液室75a、下イエロー液室76a、下第2マゼンタ液室75bが配置されている。さらに、下第2マゼンタ液室75bの+Y方向側には中シアン液室74b、中第1マゼンタ液室75c、中イエロー液室76b、中第2マゼンタ液室75dがこの順に並んでいる。さらに、中第2マゼンタ液室75dの+Y方向側には上シアン液室74c、上第1マゼンタ液室75e、上イエロー液室76c、上第2マゼンタ液室75fがこの順に並んでいる。
下シアン液室74a、中シアン液室74b及び上シアン液室74cがシアン液室74であり、下イエロー液室76a、中イエロー液室76b、上イエロー液室76cがイエロー液室76である。下第1マゼンタ液室75a、下第2マゼンタ液室75b、中第1マゼンタ液室75c、中第2マゼンタ液室75d、上第1マゼンタ液室75e、上第2マゼンタ液室75fがマゼンタ液室75である。
左辺2dにはシアン開口部32が設置され、シアン開口部32、下シアン液室74a、中シアン液室74b、上シアン液室74cがシアン配管31により接続されている。右辺2bにはイエロー開口部34が設置され、下イエロー液室76a、中イエロー液室76b、上イエロー液室76cがイエロー配管33により接続されている。右辺2bにはマゼンタ第1開口部67及びマゼンタ第2開口部68が設置され、マゼンタ第1開口部67、マゼンタ第2開口部68、下第1マゼンタ液室75a〜上第2マゼンタ液室75fがマゼンタ配管66により接続されている。
シアン液室74及びイエロー液室76では画素電極15の位置する場所が画素部10である。隣り合う画素部10の間はY方向の幅が狭い狭部77になっている。X方向からみたとき狭部77の断面積は画素部10の断面積より狭い。シアン液室74及びイエロー液室76では画素部10と狭部77とが交互に配置されている。同様に、マゼンタ液室75では画素電極65の位置する場所が画素部10である。隣り合う画素部10の間はY方向の幅が狭い狭部77になっている。X方向からみたときマゼンタ液室75でも狭部77の断面積は画素部10の断面積より狭い。マゼンタ液室75でも画素部10と狭部77とが交互に配置されている。
シアン電気泳動分散液16、マゼンタ電気泳動分散液17及びイエロー電気泳動分散液18は白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22を含んでいる。図14に示すように、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22の直径はY方向の狭部77の幅より長くなっている。これにより、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22は狭部77を通過しない。一方、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26の直径は狭部77の幅より短くなっている。これにより、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は狭部77を通過する。これにより、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が画素部10間を移動することを防止することができる。
白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22の直径は特に限定されないが、本実施形態では、例えば、0.3μm以上3.0μm以下になっている。粒子の直径がこの範囲にあるとき、応答性良く粒子の移動を制御することができる。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26の粒径も特に限定されないが、本実施形態では、例えば、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22の直径の10%以下1%以上になっている。粒子の直径がこの範囲にあるとき、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22とは別の動きを色粒子にさせることができる。
電気泳動表示装置71のX方向に重力加速度が作用するとき、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22に重力が作用する。このとき、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22は画素部10間を移動しないので、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が一部の画素部10に偏ることを防止することができる。一方、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は小さいのでブラウン運動する。従って、白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26の偏りを抑制することができる。
次に上述した電気泳動表示装置71の製造方法について図15及び図16にて説明する。図15に示すように、ステップS1の隔壁設置工程が行われる。ステップS1は第1の実施形態と同様の工程である。ステップS1の次にステップS11に移行する。ステップS11は粒子設置工程である。この工程は、画素部10に白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22を設置する工程である。次にステップS2の組立工程に移行する。ステップS2は第1の実施形態と同様の工程である。ステップS2の次にステップS12に移行する。ステップS12は分散液充填工程である。この工程は、液室6に電気泳動分散液を充填する工程である。この工程充填する分散液には白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が含まれず、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25またはイエロー色荷電粒子26の色荷電粒子が含まれる。次に、ステップS4の封止工程に移行する。ステップS4は第1の実施形態と同様の工程である。以上の工程により電気泳動表示装置71を製造する工程を終了する。
次に、図16を用いてステップS11の粒子設置工程及びステップS2の組立工程の製造方法を詳細に説明する。尚、ステップS1、ステップS12、ステップS4は第1の実施形態と同様の工程であり、詳細の説明を省略する。図16(a)に示すように、ステップS11において下部基板2を用意する。下部基板2には隔壁73が設置されている。次に、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が分散媒に分散された溶液を用意する。溶液は蒸発して下部基板2に残らない液体であれば良く純水やアルコールを用いることができる。次に、この溶液を下部基板2に塗布する。塗布方法は溶液が所定の量が均等に塗布されれば良く特に限定されない。本実施形態では、例えば、スピンコーターを用いて溶液を塗布した。次に、溶液を乾燥して溶媒を除去する。その結果画素部10には白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が設置される。
図16(b)〜16図(d)はステップS2の組立工程に対応する図である。図16(b)に示すように、ステップS2において、隔壁73上に上部基板3を設置する。隔壁73上に上部基板3を搭載する。次に、下部基板2及び上部基板3を光透過型の治具にて挟んで固定する。続いて、接着層30に紫外線を照射する。接着層30は紫外線硬化型の接着剤であり、隔壁73と上部基板3とが仮固定される。次に、上部基板3が設置された下部基板2を加熱し接着層30を固化することにより上部基板3が隔壁73に固定される。以上の工程により、下部基板2と上部基板3とが接合された接合基板72が完成する。
図16(c)は狭部77に黒色荷電粒子22が挟まった様子を示す図であり、図16(d)は画素部10の様子を示す図である。図16(c)に示すように、狭部77に白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が挟まる場合がある。ステップS11において狭部77の上に白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が乗っている状態になったとき、ステップS2にて白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が狭部77に押し込められる。
隔壁高さ73aをH、狭部幅77aをWとする。そして、図16(d)に示すように、白色荷電粒子直径21a及び黒色荷電粒子直径22aをDとする。そして、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22の体積をVとする。そして、V<D×W×Hとなるように隔壁高さ73a、狭部幅77a、白色荷電粒子直径21a及び黒色荷電粒子直径22aを設定する。これにより、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22がつぶされて狭部77にて広がったときにも白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22は狭部77を塞がない。従って、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26が狭部77を通過することができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22はシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26より大きく狭部77を通過しない。これにより、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22が画素部10間を移動することを防止することができる。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は小さいのでブラウン運動する。従って、白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22に重力が作用するときにも白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22の偏りを抑制することができる。
(第5の実施形態)
次に、電気泳動表示装置の一実施形態について図17を用いて説明する。図17は、電気泳動表示装置の構造を示す模式側断面である。本実施形態が第1の実施形態と異なるところは、画素部10に白色荷電粒子21及び色粒子が設置され黒色荷電粒子22が除去されている点にある。尚、第1の実施形態と同じ点については説明を省略する。
すなわち、本実施形態では、図17に示すように電気泳動表示装置80ではシアン液室7にシアン電気泳動分散液81が設置される。シアン電気泳動分散液81では分散媒24の中に白色荷電粒子21及びシアン色荷電粒子23が分散している。マゼンタ液室8にはマゼンタ電気泳動分散液82が設置される。マゼンタ電気泳動分散液82では分散媒24の中に白色荷電粒子21及びマゼンタ色荷電粒子25が分散している。イエロー液室9にはイエロー電気泳動分散液83が設置される。イエロー電気泳動分散液83では分散媒24の中に白色荷電粒子21及びイエロー色荷電粒子26が分散している。シアン液室7、マゼンタ液室8及びイエロー液室9では画素電極15と共通電極29との間に電圧が印加される。そして、画素電極15と共通電極29との間の相対電圧を切り替えることにより表示を変更する。
図17(a)に示すように、画素電極15に対して共通電極29を低い電圧にする。このとき、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は負極の電圧に帯電しているので、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は画素電極15に誘引される。白色荷電粒子21は正極の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子21は共通電極29に誘引される。その結果、下部基板2にはシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26が集合し、上部基板3には白色荷電粒子21が集合する。上部基板3側から電気泳動表示装置80を見るとき観察者は上部基板3を通して白色荷電粒子21を見ることができる。従って、画素部10は白色の表示となる。
図17(b)に示すように、画素電極15に対して共通電極29を高い電圧にする。このとき、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は負極の電圧に帯電しているので、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26は共通電極29に誘引される。白色荷電粒子21は正極の電圧に帯電しているので、白色荷電粒子21は画素電極15に誘引される。その結果、下部基板2には白色荷電粒子21が集合し、上部基板3にはシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26が集合する。上部基板3側から電気泳動表示装置80を見るとき観察者は上部基板3を通してシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26を見ることができる。従って、画素部10はシアン色、マゼンタ色及びイエロー色が混合した色の表示となる。
シアン色、マゼンタ色及びイエロー色が混合した色は黒色に近い色になる。シアン液室7、マゼンタ液室8及びイエロー液室9の各室の画素電極15の電圧を制御することにより各室の色の濃さを制御することができる。このように、画素電極15と共通電極29との電位差を制御することにより各画素部10の色を制御することができる。
上述したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、液室6には黒色荷電粒子22が含まれていないので、黒色荷電粒子22を制御する必要がない。そして、白色荷電粒子21、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26の粒子を制御するので、画素電極15と共通電極29との間の電圧制御を容易にすることができる。
(第6の実施形態)
次に、電気泳動表示装置を搭載した電子機器の一実施形態について図18を用いて説明する。図18(a)は電子ブックの構造を示す概略斜視図であり、図18(b)は腕時計の構造を示す概略斜視図である。図18(a)に示すように、電子機器としての電子ブック86は板状のケース87を備えている。ケース87には蝶番88を介して蓋部89が設置されている。さらに、ケース87には操作ボタン90と表示部91とが設置されている。操作者は操作ボタン90を操作して表示部91に表示する内容を操作する。
ケース87の内部には電子ブック86を制御する制御部92と表示部91を駆動する駆動部93が設置されている。制御部92は駆動部93に表示データを出力する。駆動部93は表示データを入力して表示部91を駆動する。そして、駆動部93は表示部91に表示データに対応する内容を表示させる。表示部91には電気泳動表示装置1、電気泳動表示装置57、電気泳動表示装置61、電気泳動表示装置71及び電気泳動表示装置80のいずれかが用いられている。従って、電子ブック86は画素部10の個数が多くなっても生産性良く製造できる電気泳動表示装置を表示部91に備えた装置とすることができる。
図18(b)に示すように、電子機器としての腕時計96は板状のケース97を備えている。ケース97にはバンド98が設置され、操作者はバンド98を腕に巻いて腕時計96を腕に固定する。さらに、ケース97には操作ボタン99と表示部100とが設置されている。操作者は操作ボタン99を操作して表示部100に表示する内容を操作する。
ケース97の内部には腕時計96を制御する制御部101と表示部100を駆動する駆動部102が設置されている。制御部101は駆動部102に表示データを出力する。駆動部102は表示データを入力して表示部100を駆動する。そして、駆動部102は表示部100に表示データに対応する内容を表示させる。そして、表示部100には電気泳動表示装置1、電気泳動表示装置57、電気泳動表示装置61、電気泳動表示装置71及び電気泳動表示装置80のいずれかが用いられている。従って、腕時計96は画素部10の個数が多くなっても生産性良く製造できる電気泳動表示装置を表示部100に備えた装置とすることができる。
尚、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により種々の変更や改良を加えることも可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)
前記第1の実施形態では、液室6に白色荷電粒子21、黒色荷電粒子22、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26を設置した。シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26に換えてレッド色荷電粒子、グリーン色荷電粒子、ブルー色荷電粒子を用いても良い。この場合にも画素部10をカラー表示することができる。
(変形例2)
前記第1の実施形態では、1つの液室6の1つの画素部10に1つの画素電極15が設置された。1つの液室6の1つの画素部10に複数の画素電極15を設置してもよい。表示を細分化することができる。
(変形例3)
前記第1の実施形態では、白色荷電粒子21を正極に帯電させて、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26及び黒色荷電粒子22を負極に帯電させた。白色荷電粒子21を負極に帯電させて、シアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25、イエロー色荷電粒子26及び黒色荷電粒子22を正極に帯電させても良い。制御しやすい帯電状態にしてもよい。
(変形例4)
前記第1の実施形態では、下部基板2及び上部基板3の側面にシアン開口部32、イエロー開口部34及びマゼンタ開口部35が設置された。イエロー開口部34及びマゼンタ開口部35は上部基板3の+Z方向側に設置しても良く、下部基板2の−Z方向側に設置しても良い。開口部は製造し易い場所に設置しても良い。このときにも少ない開口部から電気泳動分散液を充填するので生産性良く電気泳動表示装置1を製造することができる。
(変形例5)
前記第1の実施形態では、シアン開口部32、イエロー開口部34及びマゼンタ開口部35が各1個設置された。液室6の個数が多いときには、シアン開口部32、イエロー開口部34及びマゼンタ開口部35の個数を各2個以上にしても良い。さらに、短時間に電気泳動分散液を充填することができる。尚、変形例1〜5の内容は、前記第2の実施形態〜第5の実施形態にも適用することができる。
(変形例6)
前記第3の実施形態では、下第1マゼンタ液室64aと下第2マゼンタ液室64bとのY方向の幅が同じ長さになっていた。下第1マゼンタ液室64aと下第2マゼンタ液室64bとのY方向の幅を異なる長さにしてもよい。このときに、下第1マゼンタ液室64aと下第2マゼンタ液室64bとのY方向の幅を加算した長さが下シアン液室7a及び下イエロー液室9aと同じ長さであるのが好ましい。カラー画素のシアン色、マゼンタ色、イエロー色の面積が同じになるので、色調を制御し易くすることができる。尚、変形例6の内容は、前記第4の実施形態にも適用することができる。
(変形例7)
前記第4の実施形態では、ステップS11の粒子設置工程で狭部77上に位置する白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22をステップS2の組立工程で狭部77に押し入れた。ステップS11において狭部77上に位置する白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22を除去してもよい。例えば、吸引して除去しても良く、静電気を作用させて除去しても良い。他にも、印刷法を用いて白色荷電粒子21及び黒色荷電粒子22を画素電極15及び画素電極65上に限定して設置しても良い。印刷法を用いるときには、ステップS11にてシアン色荷電粒子23、マゼンタ色荷電粒子25及びイエロー色荷電粒子26も設置しても良い。そして、ステップS12の分散液充填工程では分散媒24を液室6に充填しても良い。ステップS12の分散液充填工程においてさらに短時間で電気泳動分散液を充填することができる。
(変形例8)
前記第6の実施形態では、電子ブック86及び腕時計96に電気泳動表示装置1、電気泳動表示装置57、電気泳動表示装置61、電気泳動表示装置71及び電気泳動表示装置80を設置した例を示した。電気泳動表示装置1、電気泳動表示装置57、電気泳動表示装置61、電気泳動表示装置71及び電気泳動表示装置80は他の電子機器に設置してもよい。血圧、脈拍、血液成分を検出する装置に電気泳動表示装置1、電気泳動表示装置57、電気泳動表示装置61、電気泳動表示装置71及び電気泳動表示装置80を設置してもよい。このときにも、屋内及び屋外で視認性が良く消費電流が少なく、生産性良く製造できる表示装置を電子機器に設置することができる。