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JP2016128543A - 共役ジエン重合体の製造方法 - Google Patents

共役ジエン重合体の製造方法 Download PDF

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JP2016128543A
JP2016128543A JP2015003278A JP2015003278A JP2016128543A JP 2016128543 A JP2016128543 A JP 2016128543A JP 2015003278 A JP2015003278 A JP 2015003278A JP 2015003278 A JP2015003278 A JP 2015003278A JP 2016128543 A JP2016128543 A JP 2016128543A
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diene polymer
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常盤 哲司
Tetsuji Tokiwa
哲司 常盤
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】混合装置及び該混合装置から重合容器への供給路に対して、共役ジエン重合体が付着することを抑制し、かつ、高分子量及び高変性率の共役ジエン重合体を得ることのできる、共役ジエン重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】精製剤の存在下で、共役ジエンモノマーを精製し、精製された共役ジエンモノマーを得る、精製工程と、
開始剤の存在下で、前記精製された共役ジエンモノマーを重合させ、共役ジエン重合体を得る、重合工程と、を有し、
前記精製剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、該精製剤の量は、前記共役ジエンモノマーの質量に対し、10ppm以上500ppm以下であり、
前記開始剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記精製工程において、前記共役ジエンモノマーの温度が、5℃以上50℃以下である、共役ジエン重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、共役ジエン重合体の製造方法に関する。
共役ジエンモノマーを、炭化水素溶媒中で、有機アルカリ金属及び/又は有機アルカリ土類金属を開始剤として、アニオン重合する際には、共役ジエンモノマー及び溶剤に含まれる不純物(特に水、アセチレン、アレン類)が、重合中の共役ジエンモノマー及び共役ジエン重合体、並びに、重合後の共役ジエン重合体の活性末端と反応してしまう。そのため、共役ジエン重合体の活性末端は失活し、重合後に変性反応を行う場合の変性率が低下してしまうこと、及び重合後の共役ジエン重合体の分子量が十分に高くできないことの問題が生じる。これらの問題が生じないように、共役ジエンモノマー及び溶剤を精製することが必要となり、共役ジエンモノマーを精製する方法として、共役ジエンモノマーに含まれる水、酸素、アセチレン類等の不純物を蒸留によって除去する方法が一般的に採用されている。また、より経済的かつ効果的に共役ジエンモノマーに含まれる不純物を除去する方法として、共役ジエンモノマー及び溶剤を、重合前に予め有機リチウム化合物と接触混合させた後に、重合させる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特開昭59−176311号公報 特開2006−274010号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の方法では、重合前に共役ジエンモノマーと有機リチウムを接触混合させた時点で、共役ジエンモノマーが重合を開始してしまう。そのため、両者が接触混合される混合装置に、及び、混合装置から重合容器に共役ジエンモノマーを送る配管に、共役ジエン重合体が付着してしまい、付着量が増加すると配管が閉塞してしまう。また、この方法では、共役ジエンモノマー中の不純物を十分に除去できないために、高分子量及び高変性率の共役ジエン重合体を得ることができない。
そこで、本発明は、混合装置及び該混合装置から重合容器への供給路に対して、共役ジエン重合体が付着することを抑制し、かつ、高分子量及び高変性率の共役ジエン重合体を得ることのできる、共役ジエン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の精製剤による精製工程と特定の開始剤による重合工程とを有し、該精製剤の量が所定の範囲内にあり、該精製工程において、共役ジエンモノマーの温度が、特定の範囲内にある、共役ジエン重合体の製造方法を用いることで、混合装置及び該混合装置から重合容器への供給路に対して共役ジエン重合体が付着することを抑制し、かつ、共役ジエンモノマーに含まれる不純物を有効に無害化することに起因して、共役ジエンモノマー及び共役ジエン重合体の活性末端の失活を抑制できることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]精製剤の存在下で、共役ジエンモノマーを精製し、精製された共役ジエンモノマーを得る、精製工程と、
開始剤の存在下で、前記精製された共役ジエンモノマーを重合させ、共役ジエン重合体を得る、重合工程と、を有し、
前記精製剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、該精製剤の量は、前記共役ジエンモノマーの質量に対し、10ppm以上500ppm以下であり、
前記開始剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記精製工程において、前記共役ジエンモノマーの温度が、5℃以上50℃以下である、共役ジエン重合体の製造方法。
[2]前記重合工程は、前記共役ジエンモノマーと前記開始剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器中で連続的に前記精製された共役ジエンモノマーを重合させる工程である、[1]に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[3]前記精製工程は、前記共役ジエンモノマーと前記精製剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器への供給路中で該共役ジエンモノマーを精製する、[1]又は[2]に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[4]前記精製工程は、前記共役ジエンモノマーと前記精製剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器への供給路中で該共役ジエンモノマーと該精製剤とをスタティックミキサーにより混合する、[1]〜[3]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
[5]前記共役ジエン重合体を、変性剤により変性する、変性工程をさらに有し、
前記変性剤は、グリシジル基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の共役ジエン重合体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、混合装置及び該混合装置から重合容器への供給路に対して、共役ジエン重合体が付着することを抑制し、かつ、高分子量及び高変性率の共役ジエン重合体を製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の実施形態に制限するものではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔共役ジエン重合体の製造方法〕
本実施形態の共役ジエン重合体の製造方法は、精製剤の存在下で、共役ジエンモノマー(以下、単に「モノマー」ともいう。)を精製し、精製された共役ジエンモノマーを得る、精製工程と、開始剤の存在下で、該精製された共役ジエンモノマーを重合させ、共役ジエン重合体(以下、単に「重合体」ともいう。)を得る、重合工程と、を有する。また、当該精製剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、該精製剤の量は、当該共役ジエンモノマーの質量に対し、10ppm以上500ppm以下である。さらに、当該開始剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。またさらに、当該精製工程において、当該共役ジエンモノマーの温度が、5℃以上50℃以下である。
〔精製工程〕
本実施形態の精製工程は、精製剤の存在下で、共役ジエンモノマーを精製し、精製された共役ジエンモノマーを得る。モノマーに含まれる不純物は、少なくとも重合中に重合体の活性末端と反応し、その活性末端の活性を失活させる。重合工程に用いる前に、精製工程において、精製剤として有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物を用いて、不純物と反応させることにより、当該失活を抑制することができる。また、精製剤として用いる有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物は、その量がモノマー質量に対して、10ppm以上500ppm以下であり、50ppm以上400pmm以下であることが好ましく、100ppm以上300ppm以下であることがさらに好ましい。精製剤の量が10ppm以上であることで、失活の原因となる不純物の効果的な低減、及び、共役ジエン重合体に対して高い変性率を得ることができ、精製剤の量が500ppm以下であることで、精製工程での重合反応を抑制することに起因して、精製工程に用いる混合装置及び該混合装置から重合容器への供給路に対して重合体が付着することを抑制する。精製剤の量が、50ppm以上400ppm以下の範囲にあることで、重合体の重量平均分子量及び分子量分布の制御が容易である傾向にある。
<共役ジエンモノマー>
本実施形態の精製工程は、共役ジエンモノマーを精製する。精製する共役ジエンモノマーは、重合可能なモノマーであれば特に限定されず、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、及び1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共役ジエンモノマーに含まれる不純物として、具体的には、水、アルコール、フェノール、カテコール、アルデヒド、アミン等の活性水素を持つ有機化合物;メチルアセチレン、エチルアセチレン、ビニルアセチレン、フェニルアセチレン等のアセチレン類;1,2−ブタジエン、プロパジエン等のアレン類が挙げられる。これらの不純物を含有していると、重合後の共役ジエン重合体末端に対する変性反応が阻害されてしまうおそれがある。これらの不純物の量は、後述する精製工程によって調整されるが、その量が大きすぎる場合には、前処理により粗く調整しておくことが好ましい。よって、精製工程前の共役ジエンモノマー中の不純物は、共役ジエンモノマーの質量に対して、500ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。不純物の含有量の下限は、特に限定されず、検出限界以下であってもよい。不純物の量は、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーにより、特定の不純物に対する沸点、極性等の性質に応じて適切な方法を選択して測定することができる。
共役ジエンモノマーとしては、上記に挙げた共役ジエンモノマーと共重合することが可能な、芳香族ビニルモノマーも挙げられる。芳香族ビニルモノマーは、上記に挙げた共役ジエンモノマーと共重合可能なものであれば特に限定されず、具体的には、スチレン、m及びp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ジビニルベンゼンが挙げられる。これらの中では、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<精製剤>
本実施形態の精製剤は、有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物であれば特に限定されず、重合開始剤と同一の種類でも異なっている種類でもよいが、同一の種類の方が、重量平均分子量及び分子量分布の制御の観点から好ましい。また、有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物としては、後述する開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物と同様のものが挙げられる。
精製工程時のモノマーは、単独でも、溶液状態でもよく、精製剤も、単独でも、溶液状態でもよいが、混合及び反応性の観点から、両者とも溶液状態であることが好ましい。また、溶液状態の場合は、後述する極性化合物を含んでもよい。
<溶剤>
本実施形態の溶剤は、精製工程、後述する重合工程及び変性工程のいずれで用いてもよい。溶剤を用いる場合は、モノマーと重合体が溶解するものであることが好ましく、溶剤を用いることにより、精製工程においてモノマーと精製剤との混合が容易となる傾向にあり、重合工程において溶液重合による重合方法を採用することができる。溶剤として、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;それらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
モノマーと精製剤の混合は、均一混合が可能であれば特に限定されないが、例えば、攪拌機を備えた混合槽で両者をバッチ式に混合する方法、両者を連続的に配管に供給し、配管内で連続的に混合する方法、スタティックミキサー、又はインラインミキサー等の混合器に連続的に供給し、連続的に混合する方法が挙げられる。
精製工程は、重合反応の安定性の観点から、モノマーと精製剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合溶液への供給路中で該モノマーを精製することが好ましい。
精製工程は、重合容器への供給口周辺のゲル付着防止の観点から、モノマーと精製剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器への供給路中で該モノマーと該精製剤とをスタティックミキサーにより混合することが好ましい。
精製工程において、モノマーの温度は、5℃以上50℃以下であり、10℃以上40℃以下であることが好ましく、10℃以上25℃以下であることがより好ましい。モノマーの温度が5℃以上であることで、モノマー中の不純物と精製剤との反応性が良いため精製の効果が高く、モノマーの温度が50℃以下であることで、精製工程での重合反応を抑え、混合槽及び混合器の混合装置、重合容器への供給路中での重合体の付着を抑えることができる。モノマーの温度が10℃以上40℃以下であることで、分子量及び分子量分布の制御性に優れる傾向にある。モノマーの温度とは、精製工程時における混合容器又は供給路の温度としても、測定することができる。ただし、モノマーの温度は、バイメタル式温度計を用い、感温部を溶液と接触するように配管内に挿入して測定することができる。
〔重合工程〕
本実施形態の重合工程は、開始剤の存在下で、精製工程で精製されたモノマーを重合させ、共役ジエン重合体を得る。また、開始剤としては、有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物を用いる。この重合工程における重合方法としては、例えば、共役ジエン重合体の原料となるモノマーを溶剤に溶解し、溶液重合により重合させる公知の方法が挙げられる。
<共役ジエン重合体>
本実施形態の共役ジエン重合体は、精製されたモノマーを重合させることによって得られる。重合体中に、結合した芳香族ビニルモノマーの量(以下、「結合芳香族ビニル量」という。)は、共役ジエン重合体の総量(100質量%)に対して、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、10質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。結合芳香族ビニル量がこのような範囲であることで、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスがより優れ、耐摩耗性及び破壊強度も満足する共役ジエン重合体の加硫物を得ることができる傾向にある。結合芳香族ビニル量は、例えば、後述する実施例に記載する方法により測定する。
共役ジエン重合体は、該共役ジエン重合体の共役ジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−又は3,4−結合)が、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、13モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であることで、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスがより優れ、耐摩耗性及び破壊強度も満足する共役ジエン重合体の加硫物を得ることができる傾向にある。ビニル結合量は、例えば、後述する実施例に記載する方法により測定する。
共役ジエン重合体が共重合体である場合、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
ランダム共重合体として、具体的には、ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、及びブタジエン−イソプレン−スチレンランダム共重合体が挙げられる。共重合体鎖中の各モノマーの組成分布は、例えば、統計的ランダムな組成に近い完全ランダム共重合体、及び組成分布に勾配があるテーパー(勾配)ランダム共重合体が挙げられる。共役ジエン重合体の結合様式、すなわち1,4−結合及び1,2−結合等の組成は、分子鎖によって均一であってもよいし、異なっていてもよい。
ブロック共重合体としては、例えば、ブロックが2個からなる2型ブロック共重合体、3個からなる3型ブロック共重合体、4個からなる4型ブロック共重合体が挙げられる。ここで、スチレン等の芳香族ビニルモノマーからなるブロックをSで表し、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエンモノマーからなるブロック及び/又は芳香族ビニルモノマーと共役ジエンモノマーとの共重合体からなるブロックをBで表すと、S−B2型ブロック共重合体、S−B−S3型ブロック共重合体、S−B−S−B4型ブロック共重合体等の式で表される。
上記式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。例えば、ブロックBが芳香族ビニルモノマーと共役ジエンモノマーとの共重合体の場合、ブロックB中の芳香族ビニルモノマーは均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ブロックBに、芳香族ビニルモノマーが均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。さらには、ブロックBに、芳香族ビニルモノマー含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。共重合体中にブロックS、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量、組成等の構造は、同一でもよいし、異なっていてもよい。
共役ジエン重合体の重量平均分子量(Mw)は、加工性及びその物性の観点から、10万以上200万以下が好ましく、20万以上100万以下がより好ましく、25万以上50万以下がさらに好ましい。共役ジエン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.02以上6.0以下が好ましく、1.05以上5.0以下がより好ましく、1.07以上4.0以下がさらに好ましい。分子量分布が6.0以下であることにより、低ヒステリシスロス性が良好な傾向にある。また、分子量分布が1.02以上であることにより、シリカ配合物の混合性及び加工性が良好となる傾向にある。なお、分子量分布は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)である。また、重量平均分子量及び数平均分子量は、標準ポリスチレン試料を用いた検量式として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という。)から求められ、詳細には後述する実施例に記載する方法に準じて測定する。
共役ジエン重合体のムーニー粘度は、20以上120以下であることが好ましく、30以上110以下であることがより好ましく、40以上100以下であることがさらに好ましい。ムーニー粘度が120以下であることにより、シリカ配合物の混合性及び加工性が良好となる傾向にある。また、ムーニー粘度が20以上であることにより、加硫物性が良好となる傾向にある。
<開始剤>
本実施形態の開始剤は、有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物であれば特に限定されないが、安定性及び取扱い性の観点から、アルミニウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの有機アルカリ金属化合物及び/又は有機アルカリ土類金属化合物が好ましく、重合効率の観点から、有機リチウムがさらに好ましい。開始剤として用いる有機リチウムとしては、低分子化合物及び可溶化したオリゴマーの有機リチウムが挙げられ、また、有機基とリチウムの結合様式においては、炭素−リチウム結合からなる化合物、窒素−リチウム結合からなる化合物、及び錫−リチウム結合からなる化合物が挙げられる。
炭素−リチウム結合を有する有機リチウムとして、具体的には、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。
窒素−リチウム結合からなる有機リチウムとして、具体的には、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、及びリチウムモルホリドが挙げられる。
有機リチウムとしては、上記に挙げたモノ有機リチウムだけでなく、多官能有機リチウム、その多官能有機リチウムとモノ有機リチウムとの併用も挙げられる。これらの有機リチウムは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能有機リチウムとして、具体的には、1,4−ジリチオブタン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンの反応物、1,3,5−トリリチオベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエンとジビニルベンゼンとの反応物、及びn−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物との反応物が挙げられる。また、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機リチウムも挙げられる。
有機リチウムとしては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
有機リチウムを開始剤として用いる際は、取扱い性及び重合溶液への分散性を良くするために、炭化水素溶剤に希釈して溶液にしたものが用いられることが好ましい。炭化水素溶剤として、具体的には、C4〜C8の炭化水素溶剤、並びに、トルエン及びキシレンが挙げられる。さらに、炭化水素溶剤は環式でもよく、不飽和結合又は分岐構造を含んでいてもよい。沸点及び蒸気圧が製造工程上取り扱いやすいことから、C5,及びC6の炭化水素溶剤が好ましく、具体的には、ペンタン、ノルマルヘキサン、及びシクロヘキサンがより好ましい。
有機リチウムを上記炭化水素に希釈したときの濃度は、重合開始効率とモノマーとの均一混合性の観点から、該有機リチウムと該炭化水素の総量(100質量%)に対して、0.01質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上0.8質量%以下であることがより好ましい。
重合工程における、開始剤の量は特に限定されないが、モノマー全量(100質量部)に対して、0.001質量部以上0.06質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上0.05質量部以下であることがより好ましい。
<重合反応用溶剤>
共役ジエンモノマーの重合反応は、重合反応用溶剤中で行う溶液重合反応が好ましい。重合反応用溶剤としては、共役ジエンモノマー、芳香族ビニルモノマーとそれら共重合体が溶解するものであれば特に限定されず、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;それらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
<極性化合物>
重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物は、芳香族ビニルモノマーを共役ジエンモノマーとランダムに共重合させるために用いることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる。また、重合速度の改善等にも効果がある。
極性化合物として、具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミラート、カリウム−t−ブチラート、ナトリウム−t−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらの極性化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。このような極性化合物(ビニル化剤)は、重合体共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量を用いることができる。
多くの極性化合物は、同時に共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニルモノマーの分布の調整及びスチレンブロック量の調整剤として用いることができる。共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているような、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合工程における重合温度は、重合が進行する温度であれば特に限定されないが、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、重合中の失活を抑制する観点から、120℃以下であることが好ましい。また、重合工程においては、共役ジエン重合体のコールドフローを防止する観点から、分岐をコントロールするためのジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニルモノマーを用いてもよい。
重合工程は、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率の観点からは、モノマーと開始剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器中で連続的に該精製されたモノマーを重合させる、連続式が好ましい。連続式を採用した場合は、重合容器に供給されるモノマーは、少なくとも供給後において、上述した精製工程で精製したモノマーである。ただし、バッチ式の場合は、重合容器にモノマーを供給した後、精製剤を添加して、重合を抑えつつ不純物と反応させて該モノマーを精製することもできるため、精製工程前のモノマーであってもよい。また、連続式を採用する場合は、精製工程はモノマーを重合容器に供給する前に実施するが、モノマーと精製剤を混合する手段として、攪拌機を備えた混合槽を用いる方法、重合容器への供給路中でスタッティクミキサー又はラインミキサーを使って連続的に混合する方法が挙げられる。
〔変性工程〕
本実施形態の共役ジエン重合体の製造方法は、上述のような方法で得た共役ジエン重合体を、変性剤により変性する、変性工程をさらに有してもよい。変性工程は、共役ジエン重合体の活性末端に対して、エポキシ基及び/又はアルコキシシリルキ基を有する変性剤を反応させることで、共役ジエン重合体を変性させる。
<変性剤>
エポキシ基を有する変性剤として、具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、及び、4,4’−ジグリシジル−ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルベンゼン、1,3,5−トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’−ジグリシジル−ジフェニルメチルアミン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物が挙げられる。これらの中では、ジグリシジルアミノ基を有する多官能化合物が好ましい。また、ジグリシジルアミノ基を有する多官能化合物の分子内のエポキシ基の数は2個以上であり、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましい。
アルコキシシリル基を有する変性剤として、具体的には、ジメトキシジメチルシラン、キシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、トリフェノキシビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)エチルシラン、トリ(2−メチルブトキシ)ビニルシラン、トリフェノキシフェニルシラン、テトラフェノキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、フェノキシジビニルクロロシラン、メトキシジエチルクロロシラン、ジフェノキシメチルクロロシラン、ジフェノキシフェニルヨードシラン、ジエトキシメチルクロロシラン、ジメトキシエチルクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリフェノキシクロロシラン、トリス(2−エチルヘキシルオキシ)クロロシラン、フェノキシメチルジクロロシラン、メトキシエチルジクロロシラン、エトキシメチルジクロロシラン、フェノキシフェニルジヨードシラン、フェノキシジクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ビス(2−メチルブトキシ)ジブロモシランが挙げられる。
アルコキシシリル基を有する変性剤の中でも、分子内にN原子と複数個のアルコキシシリル基を有するものが好ましく、具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ,2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−4−アルキルピペラジン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルイミダゾリジン、1−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−3−アルキルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリアルコキシシリル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(アルキルジアルコキシシリル)−プロピル]−1−アルキル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−3−エチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシリル)−プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−イミダゾリジン、及び(2−{3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−テトラヒドロピリミジン−1−イル}−エチル)ジメチルアミンが挙げられる。これらの中でも、アルコキシシリル基を有する変性剤とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点と、加工性の観点とから、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンがより好ましい。
本実施形態において、変性率とは、変性剤と反応して、変性剤が有するエポキシ基及び/又はアルコキシシリルキ基(変性基)が置換し、分子末端に変性基を有する重合体(以下、「変性共役ジエン重合体」という。)の、重合体全量に対する組成を指し、重合体のポリスチレンゲルカラムのGPC測定によって得られたクロマトグラムのピーク面積(S0)に対する、シリカゲルカラムのGPC測定によって得られたクロマトグラムのピーク面積(S1)との比((S0)/(S1))を測定することによって求めることができる。変性率は、シリカ配合物の物性の観点から、0.5以上0.95以下であることが好ましく、重合体を長期保存した時の物性変化の観点から、0.6以上0.9以下であることがより好ましい。変性率の測定方法として、詳細には、後述する実施例に記載する方法により測定する。
重合工程後に、反応溶液に必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤として、具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。中和剤として、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸等のカルボン酸;無機酸の水溶液;炭酸ガスが挙げられる。
さらに、重合後のゲルの生成を防止する観点、及び、加工時の安定性を向上させる観点から、得られた共役ジエン重合体に対して、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤としては、公知のものを用いることができるが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、及び2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。後述する実施例及び比較例における各種物性及び評価は、下記の方法で測定及び評価した。
(物性1)結合スチレン量
共役ジエン重合体の試料を、クロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm)における吸収量により、共役ジエン共重合体100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所社製の商品名「UV−2450」)。また、結合スチレン量と結合ブタジエン量との合わせた量が100質量%として、結合ブタジエン量も算出した。
(物性2)ブタジエン部分のミクロ構造
共役ジエン重合体の試料に対して、赤外分光光度計(日本分光社製の商品名「FT−IR230」)を使用して、600〜1000cm-1の範囲で赤外線スペクトルを測定した。試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いた。その結果得られた吸光度よりハンプトンの方法の計算式(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、ビニル結合量(モル%)を求めた。
(物性3)重量平均分子量及び分子量分布
共役ジエン重合体の試料に対して、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本を連結して用いたGPCを使用して、試料及び標準ポリスチレンのクロマトグラムを測定した(ガードカラム;東ソー社製の商品名「TSKguardculmn HHR−H」、カラム;東ソー社製の商品名「TSKgel G6000HHR」、「TSKgel G5000HHR」、「TSKgel G4000HHR」)。標準ポリスチレンの測定結果から検量線を作成し、これにより重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。試料10mgを、20mlのTHFに溶解し、これを200μLのカラムに注入して測定した。測定はオーブン温度40℃、THFの流量1.0mL/分の条件で、東ソー社製の商品名「HLC8020」(検出器;RI)を用いて測定した。
(物性4)共重合体の変性率の測定
共役ジエン重合体の試料に対して、変性反応後の共重合体10mgを20mLのTHFに溶解し、この溶液0.1mLを上記の(物性3)で用いたGPCと同様の装置に注入した。GPCのカラムにポリスチレンゲルカラムを用いた場合のクロマトグラムのピーク面積(S0)に対する、シリカゲルカラムを用いた場合のクロマトグラムのピーク面積(S1)の比((S1/S0))を変性率とした。
(評価)スタティックミキサーとモノマーフィード配管内部の状況
以下の実施例及び比較例において、各共役ジエン重合体の重合後に、重合槽に接続するモノマーフィードの配管内部とスタティックミキサーの状況を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:重合体の付着なし
△:重合体の付着は確認できたが、配管内の閉塞なし
×:配管内が閉塞
(実施例1)
予め、水分等の不純物を除去した、1,3−ブタジエンを22.0g/分、スチレンを11.8g/分、n−ヘキサンを144g/分の条件で混合した後、n−ブチルリチウム0.0064g/分、シクロヘキサン10g/分をスタティックミキサーで混合し、10Lの重合槽の底部に連続的に供給した。混合時のn−ブチルリチウムはモノマーに対して189ppmで、スタティックミキサーで混合されてから、配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度は20℃であった。モノマー温度は、バイメタル式温度計を用い、感温部を溶液と接触するように配管内に挿入して測定した。
この重合槽の底部からは、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.040g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウム0.013g/分、n−ヘキサン10g/分で、供給し、重合槽の内温を90℃となるように重合反応を継続させた。重合槽は重合溶液で満たされ、槽の頂上部にから押出された重合溶液は、配管を通して容量10Lの変性反応槽の底部から供給された。
変性反応器の温度を85℃に保ち、変性剤としてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(表1中にて、「A」と略記する。)を0.42mmol/分の速度で反応槽底部から添加し、反応槽内を攪拌機で撹拌、混合しながら変性反応を実施した。変性反応槽の頂上部から押出された共重合体の溶液に酸化防止剤(BHT)に0.048g/分(n−ヘキサン溶液)を加えた後ドラムドライヤーで溶剤を除去し、重合体を得た。得られた共役ジエン共重合体(P1)を分析した結果、結合スチレン量35質量%、結合ブタジエン量65質量%、ブタジエン中のビニル結合量40モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が110万、分子量分布(Mw/Mn)は1.9、変性率は0.84であった。重合反応と変性反応を合わせて3,600時間継続した後、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止し、重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、重合体の付着は見られなかった。
(実施例2)
スタティックミキサーでモノマーと混合するn−ブチルリチウムを0.0142g/分とした他は実施例1と同様に行った。混合時のn−ブチルリチウムはモノマーに対して420ppmで、スタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度は42℃であった。得られた共役ジエン共重合体(P2)を分析した結果、結合スチレン量36質量%、結合ブタジエン量64質量%、ブタジエン中のビニル結合量39モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が105万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、変性率は0.75であった。重合反応と変性反応を合わせて3,600時間継続した後、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止し、重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、重合体の付着は見られなかった。
(実施例3)
スタティックミキサーでモノマーと混合するn−ブチルリチウムを0.0024g/分とした他は実施例1と同様に行った。混合時のn−ブチルリチウムはモノマーに対して70ppmで、スタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度は15℃であった。得られた共役ジエン共重合体(P3)を分析した結果、結合スチレン量35質量%、結合ブタジエン量65質量%、ブタジエン中のビニル結合量41モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が95万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、変性率は0.63であった。重合反応と変性反応を合わせて3,600時間継続した後、重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、重合体の付着は見られなかった。
(実施例4)
変性剤を、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表1中にて、「B」と略記する。)を0.20mmol/分に変更した他は、実施例1と同様に行った。スタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度は21℃であった。得られた共役ジエン共重合体(P4)を分析した結果、結合スチレン量35質量%、結合ブタジエン量65質量%、ブタジエン中のビニル結合量40モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が98万、分子量分布(Mw/Mn)は1.9、変性率は0.81であった。重合反応と変性反応を合わせて3,600時間継続した後、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止し、重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、重合体の付着は見られなかった。
(比較例1)
モノマーとn−ブチルリチウムがスタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度を55℃とした他は実施例1と同様に行った。得られた共役ジエン共重合体(P5)を分析した結果、結合スチレン量36質量%、結合ブタジエン量64質量%、ブタジエン中のビニル結合量39モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が90万、分子量分布(Mw/Mn)は3.2、変性率は0.75であった。重合反応と変性反応を合わせて700時間経過した時点で、重合槽へ供給されるモノマー溶液の流量が低下したため、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止した。重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、配管内壁に重合体が付着しており、配管断面の大部分が閉塞されていた。
(比較例2)
モノマーとn−ブチルリチウムがスタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度を1℃とした他は実施例1と同様に行った。得られた共役ジエン共重合体(P6)を分析した結果、結合スチレン量36質量%、結合ブタジエン量64質量%、ブタジエン中のビニル結合量39モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が120万、分子量分布(Mw/Mn)は3.5、変性率は0.45であった。重合反応と変性反応を合わせて3,600時間継続した後、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止し、重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、重合体の付着は見られなかった。
(比較例3)
スタティックミキサーでモノマーと混合するn−ブチルリチウムを0.0203g/分とした他は実施例1と同様に行った。混合時のn−ブチルリチウムはモノマーに対して600ppmで、スタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度は20℃であった。得られた共役ジエン共重合体(P7)を分析した結果、結合スチレン量35質量%、結合ブタジエン量65質量%、ブタジエン中のビニル結合量41モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が65万、分子量分布(Mw/Mn)は3.5、変性率は0.62であった。重合反応と変性反応を合わせて1500時間経過した時点で、重合槽へ供給されるモノマー溶液の流量が低下したため、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止した。重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、配管内壁に重合体が付着しており、配管断面の大部分が閉塞されていた。
(比較例4)
スタティックミキサーでモノマーと混合するn−ブチルリチウムを0.000169gとした他は実施例1と同様に行った。混合時のn−ブチルリチウムはモノマーに対して5ppmで、スタティックミキサーで混合されてから配管を通して重合槽に供給されるまでの溶液温度は20℃であった。得られた共役ジエン共重合体(P8)を分析した結果、結合スチレン量35質量%、結合ブタジエン量65質量%、ブタジエン中のビニル結合量41モル%であり、GPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)が75万、分子量分布(Mw/Mn)は3.3、変性率は0.38であった。重合反応と変性反応を合わせて3,600時間継続した後、重合槽へのモノマーと重合開始剤のフィードを停止し、重合槽に接続するモノマーフィードの配管とスタティックミキサーを取り外し、内部を観察した結果、重合体の付着は見られなかった。

Claims (5)

  1. 精製剤の存在下で、共役ジエンモノマーを精製し、精製された共役ジエンモノマーを得る、精製工程と、
    開始剤の存在下で、前記精製された共役ジエンモノマーを重合させ、共役ジエン重合体を得る、重合工程と、を有し、
    前記精製剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、該精製剤の量は、前記共役ジエンモノマーの質量に対し、10ppm以上500ppm以下であり、
    前記開始剤は、有機アルカリ金属化合物及び有機アルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記精製工程において、前記共役ジエンモノマーの温度が、5℃以上50℃以下である、共役ジエン重合体の製造方法。
  2. 前記重合工程は、前記共役ジエンモノマーと前記開始剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器中で連続的に前記精製された共役ジエンモノマーを重合させる工程である、請求項1に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  3. 前記精製工程は、前記共役ジエンモノマーと前記精製剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器への供給路中で該共役ジエンモノマーを精製する、請求項1又は2に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  4. 前記精製工程は、前記共役ジエンモノマーと前記精製剤とを重合容器に連続的に供給し、該重合容器への供給路中で該共役ジエンモノマーと該精製剤とをスタティックミキサーにより混合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
  5. 前記共役ジエン重合体を、変性剤により変性する、変性工程をさらに有し、
    前記変性剤は、グリシジル基及びアルコキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の共役ジエン重合体の製造方法。
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