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JP2016145761A - 車輪速センサの誤差補正構造および回転検出装置付き車輪用軸受 - Google Patents

車輪速センサの誤差補正構造および回転検出装置付き車輪用軸受 Download PDF

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JP2016145761A JP2015023037A JP2015023037A JP2016145761A JP 2016145761 A JP2016145761 A JP 2016145761A JP 2015023037 A JP2015023037 A JP 2015023037A JP 2015023037 A JP2015023037 A JP 2015023037A JP 2016145761 A JP2016145761 A JP 2016145761A
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Abstract

【課題】 回転センサの周波数特性によるパルス誤差成分を補正し、高い精度で回転速度や回転位置が検出できて、その得られた回転速度や回転位置の演算処理によって車両や路面情報が精度良く検出できる車輪速センサの誤差補正構造を提供する。
【解決手段】 信号処理ユニット3は、回転センサ2の出力する回転信号に含まれる誤差を補正するセンサ誤差補正部4を有する。このセンサ誤差補正部4は、入力された回転信号を用いて走行中の車輪の回転速度を判別する回転速度判別部6と、誤差補正メモリ8と、誤差補正処理部7とを有する。誤差補正処理部7は、誤差補正メモリ8に記憶された誤差補正パターンを用い、回転速度判別部6で判別された回転速度に応じて回転信号の誤差の補正を行う。
【選択図】 図1

Description

この発明は、車輪速を検出する回転センサの誤差を、自動車の走行中に補正する車輪速センサの誤差補正構造に関する。
従来、パルスエンコーダの出力信号における、デューティ比や位相のずれを、予め記憶しておいた補正量を用いて補正する機能を備えた速度検出装置が提示されている(例えば特許文献2)。
また、 タイヤの回転センサ信号からスリップ率等を推定する方法が提示されており、数回転にわたるタイヤの回転信号から回転同期成分を平均化して検出する方法も提示されている(例えば、特許文献4)。
この他に、図11〜図13に示すように、エンコーダ2aの基準信号を逓倍したパルスを出力する回転検出装置で、逓倍出力に含まれる誤差を、逓倍パルスの識別情報を用いて補正する補正手段を備えたものが提示されている(例えば、特許文献3)。図13はその補正前後のパルス周期の変動を示す。
特開平08−128855号公報 特開2002−311040号公報 特開2008−249574号公報 特開2006−126164号公報
特許文献1〜3では、エンコーダのパルス出力に含まれる誤差を補正する方法が提案されている。また、特願2013−166409号では、着磁ピッチ誤差やエンコーダの取り付けによる誤差も補正する方法が提案されている。
しかしながら、逓倍回路の周波数特性により、走行速度に依存して、(エンコーダ極数×逓倍数)の誤差成分が変化する場合には、補正後にも誤差が生じてしまう。
この発明の目的は、回転センサの周波数特性によるパルス誤差成分を補正し、高い精度で回転速度や回転位置を検出できて、その得られた回転速度や回転位置の演算処理によって車両や路面情報が精度良く検出できる車輪速センサの誤差補正構造、およびこの車輪速センサの誤差補正構造を組み込んだ回転検出装置付き軸受を提供することである。
この発明の車輪速センサの誤差補正構造は、車輪1の回転速度を検出する回転センサ2と、この回転センサ2の出力する回転信号を処理する信号処理ユニット3とを備え、
前記信号処理ユニット3は、前記回転センサ2の出力する回転信号に含まれる誤差を補正するセンサ誤差補正部4を有し、このセンサ誤差補正部4は、入力された回転信号を用いて走行中の車輪の回転速度を判別する回転速度判別部6と、誤差補正用パターンを記憶した誤差補正メモリ8と、この記憶された誤差補正パターンを用い、前記回転速度判別部6で判別された回転速度に応じて前記回転信号の前記誤差の補正を行う誤差補正処理部7とを有する。
この構成によると、誤差補正パターンを用い、回転速度に応じて回転信号の誤差の補正を行う。そのため、走行速度に依存する誤差、つまり回転センサ2の周波数特性によるパルス誤差成分を補正することができて、高い精度で回転速度や回転位置を検出することができる。これにより、回転速度や回転位置の演算処理によって得られる車両や路面情報の高精度な検出が可能となる。
例えば、回転センサ2に起因する誤差成分を除去することで、S/N比の高い回転速度変動成分を取得できる。これにより、路面、タイヤ、軸受およびドライブシャフトから入力される駆動力などにより発生する微小な回転変動をより高精度に取得可能となる。
この発明において、前記誤差補正メモリ8には回転速度に応じて異ならせた複数種類の誤差補正パターンが設定され、前記誤差補正処理部7は、前記複数種類の誤差補正パターンから前記回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを選択し、その選択した誤差補正パターンで前記補正を行うようにしても良い。
前記複数種類の誤差補正パターンは、例えば、車両に軸受を搭載する前に、数種類の回転速度でそれぞれ測定されたものとする。
この構成の場合、回転速度に応じた複数種類の誤差補正パターンを準備しておくため、走行時にはそれら複数種類の誤差補正パターンから走行の回転速度に応じた誤差補正パターン用い、補正に用いれば良く、走行時における補正のための処理が簡単で迅速に行える。
この発明において、前記誤差補正メモリ8には基準となる誤差補正パターンである一つの基準誤差パターンが設定され、前記誤差補正処理部7は、前記基準誤差パターンから、定められた規則に従い、前記回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを作成し、この作成した誤差補正パターンを用いて前記補正を行うようにしても良い。
この構成の場合、予め測定して準備しておく誤差補正パターンは一つで済み、事前の処理が簡単である。
この場合に、前記基準誤差パターンは、極低速で測定したパターンであり、前記誤差補正処理部7は、前記回転速度に応じたカットオフ周波数のローパスフィルタを用いて前記回転速度に対応する誤差補正パターンを作成するようにしても良い。
これは、回転速度に応じて回転センサ2の誤差成分の周波数特性が変化することを利用して、基準誤差パターンをカットする周波数を変えることで回転速度に応じた誤差補正パターンを作成するものである。ローパスフィルタのカットオフ周波数を変更するだけで済むため、制御が簡素に行える。
この発明の回転検出装置付き車輪用軸受は、この発明の上記いずれか構成の車輪速センサの誤差補正構造を備えた軸受である。
この構成の車輪用軸受によると、この発明の車輪速センサの誤差補正構造につき説明したと同様に、回転センサ2の周波数特性によるパルス誤差成分を補正し、高い精度で回転速度や回転位置を検出でき、その演算処理によって得られる車両や路面情報の検出が可能となる。
この発明の車輪速センサの誤差補正構造は、車輪の回転速度を検出する回転センサと、この回転センサの出力する回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、
前記信号処理ユニットは、前記回転センサの出力する回転信号に含まれる誤差を補正するセンサ誤差補正部を有し、このセンサ誤差補正部は、入力された回転信号を用いて走行中の車輪の回転速度を判別する回転速度判別部と、誤差補正用パターンを記憶した誤差補正メモリと、この記憶された誤差補正パターンを用い、前記回転速度判別部で判別された回転速度に応じて前記回転信号の前記誤差の補正を行う誤差補正処理部とを有するため、回転センサの周波数特性によるパルス誤差成分を補正し、高い精度で回転速度や回転位置を検出可能となる。そのため、その回転速度や回転位置の演算処理によって車両や路面情報の検出が高精度に得られる。
この発明の回転検出装置付き車輪用軸受は、この発明の車輪速センサの誤差補正構造を備えた軸受であるため、回転センサの周波数特性によるパルス誤差成分を補正し、高い精度で回転速度や回転位置を検出可能となる。そのため、その回転速度や回転位置の演算処理によって車両や路面情報の検出が高精度に得られる。
この発明の一実施形態に係る車輪速センサの誤差補正構造の概念構成を示すブロック図である。 同誤差補正構造による速度に応じた誤差補正パターンの生成方向の一例を示す説明図である。 時速50km/h相当データ抽出時の抽出データ自己相関パターンを示すグラフであり、(a)は速度補正なしの場合を、(b)は速度補正ありの場合をそれぞれ示す。 時速80km/h相当データ抽出時の抽出データ自己相関パターンを示すグラフであり、(a)は速度補正なしの場合を、(b)は速度補正ありの場合をそれぞれ示す。 同車輪速センサの誤差補正構造を適用する回転検出装置付き車輪用軸受の一例の破断正面図である。 同車輪用軸受をインボード側から見た一例の側面図である。 同車輪速センサの誤差補正構造を適用する回転検出装置付き車輪用軸受の他の例を示す破断正面図である。 同車輪用軸受をインボード側から見た一例の側面図である。 同車輪速センサの誤差補正構造を適用する回転検出装置付き車輪用軸受のさらに他の例を示す破断正面図である。 同車輪用軸受をインボード側から見た一例の側面図である。 同車輪速回転変動パターン抽出装置を適用する回転センサの一例を示す部分断面図および斜視図である。 同車輪速回転変動パターン抽出装置を適用する回転センサの他の例を示す部分断面図および斜視図である。 従来の補正例を示すグラフである。
この発明の一実施形態を図1ないし図4と共に説明する。この車輪速センサの誤差補正構造は、車輪1の回転速度を検出する回転センサ2と、この回転センサ2の出力する回転信号を処理する信号処理ユニット3とを備える。
回転センサ2は、換言すれば車輪速センサであり、車輪用軸受やドライブシャフト等に設置する。回転センサ2は、例えば図11または図12に示すように、磁気エンコーダ2aと磁気センサ2bとで構成され、磁気エンコーダ2aは、被検出部であるN,Sの磁極2aaを交互に有する。磁気エンコーダ2aの代わりに検出歯車(図示せず)を用いたものであっても良い。磁気センサ2bからは、磁気エンコーダ2aの回転によってサイン波またはコサイン波状の電圧信号を、回転センサ2により検出した回転速度信号である回転信号として出力する。逓倍回路2caを備えていてもよい。回転センサ2については、後に具体例を説明する。
図1において、信号処理ユニット3は、マイクロコンピュータ等の電子回路からなり、独立したECU(電子制御ユニット)等としても良く、また車両全体の制御を行うECUの一部として設けても良い。信号処理ユニット3には、回転センサ2の出力する回転信号に含まれる誤差を補正するセンサ誤差補正部4と、回転変動パターン抽出処理部5を設ける。回転変動パターン抽出処理部5は、回転センサ2で検出され、センサ誤差補正部4で補正された回転信号から、回転に同期した回転速度変動パターンを抽出する。
センサ誤差補正部4は、回転速度信号判別部6と、誤差補正メモリ8と、誤差補正処理部7とを有する。
回転速度信号判別部6は、回転センサ2が出力した回転センサ信号が入力され、走行中の車輪の回転速度を判別する。回転速度信号判別部6は、前記回転速度を判別の結果を、回転速度値として出力するようにしても、また複数段階に適宜に区分されたどの回転速度領域に属するかの情報として出力するようにしても良い。
誤差補正メモリ8には、回転センサ2の回転信号の誤差(エンコーダ2aの誤差であっても良い)を補正する誤差補正用パターンを記憶させておく。誤差補正用パターンは、例えば、車輪1の1回転分の回転に同期した回転速度変動パターンである。
誤差補正処理部7は、誤差補正メモリ8に記憶された誤差補正パターンを用い、回転速度判別部6で判別された回転速度に応じて前記回転信号の前記誤差の補正を行う。
誤差補正メモリ8は、第1の具体例では、回転速度に応じて異ならせた複数種類の誤差補正パターンが設定される。例えば、回転速度の範囲を、数区分ないし数十区分に適宜に区分した速度区分毎に誤差補正パターンを設定しておく。
その場合、誤差補正処理部5は、前記複数種類の誤差補正パターンから、最適な誤差補正パターン、具体的には回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを選択し、その選択した誤差補正パターンで補正を行う。回転速度判別部6が回転速度の区分を判別する場合は、その判別した区分に対応する誤差補正パターンを誤差補正メモリ8から選択する。回転速度判別部6が速度値を出力する場合は、その速度値がどの速度区分になるかを誤差補正処理部5で判別し、対応する誤差補正パターンを選択する。
回転変動パターン抽出処理部5においては、選択された誤差補正パターンで誤差補正された回転信号を用いて、車輪1の回転に同期した回転速度変動パターンを作成し、出力する。なお、回転変動パターン抽出処理部5は、検出対象となる情報により、例えば出力された回転速度変動パターンを使用する異常判断等の目的等に応じて、入力される回転信号につき、ローパスフィルタ(LPF)やハイパスフィルタ(HPF)によりフィルタ処理しても良く、また抽出データ数を設定してその設定数内のデータ数の出力を行うようにしても良い。
誤差補正メモリ8に保存される誤差補正パターンは、車両実装前に軸受単体で速度特性を測定したものとしても良い。この場合、速度特性を含めたセンサに起因する誤差が補正されるため、路面の状態などを高精度に検知することが可能となる。
第2の具体例では、誤差補正メモリ8は、軸受単体で測定した低速回転時の基準となる誤差補正パターンである基準誤差パターを1つ用意しておき、それに基づいて車両走行中の速度特性から、誤差補正処理部7で誤差補正パターンを作成する。この場合、誤差補正処理部7は、基準誤差パターンから、定められた規則に従い、回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを作成し、この作成した誤差補正パターンを用いて前記補正を行う。
前記「定められた規則」の例を示すと、回転速度に応じて回転センサ2の誤差成分の周波数特性が変化することを利用して、基準誤差パターンのローパスフィルタ(図示せず)でカットする周波数を変えることで、回転速度に応じた誤差補正パターンを作成する。
この場合、検出対象の情報に応じて、特定の周波数成分を予めカットした誤差補正パターンとしてもよい。例えば、軸受の転動体公転周期を検出する場合は、その周波数帯を除いた補正パターンを作成する。この場合、回転センサ2に起因する誤差だけでなく、外部から入力される変動成分、例えば、ドライブシャフトから入力される駆動トルクを除去することが可能となる。
上記構成の作用を説明する。図1に示した信号処理ユニット3では、回転センサ2の回転信号を用いて走行中のタイヤ1aの回転速度を測定し、タイヤ1aの回転に同期した回転速度変動パターンを、回転変動パターン抽出処理部5で抽出する。このように抽出した回転速度変動パターンが信号処理ユニット3から出力され、その出力を解析することで、車両や路面情報の検出が行われる。
ここで、車輪速センサである回転センサ2に用いられる磁気エンコーダ2aなどの検出ターゲットには、製造上のばらつきなどによるセンサ固有のピッチ誤差が含まれている。これは、予め測定した基準パターンを適用することによって、補正可能である。さらに、図11のように逓倍回路2caを有する場合は、逓倍回路2caの周波数特性により、走行速度に依存して、(エンコーダ極数×逓倍数)の誤差成分が重畳してしまう。このためS/N比の高い回転速度情報を抽出するために、この実施形態では、速度に応じた誤差補正パターンを用いて、誤差補正処理部7により補正処理を実行する。
速度に応じた誤差補正パターンは、前述の第1の具体例では、誤差補正メモリ8に、例えば、回転速度の範囲を適宜に区分した速度区分毎に誤差補正パターンを設定しておき、誤差補正処理部5は、前記複数種類の誤差補正パターンから、回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを選択し、その選択した誤差補正パターンで補正を行う。
前述の第2の具体例では、誤差補正メモリ8は、軸受単体で測定した低速回転時の基準となる誤差補正パターンである基準誤差パターンを1つ用意しておき、それに基づいて車両走行中の速度特性から、誤差補正処理部7で誤差補正パターンを作成する。この場合、誤差補正処理部7は、基準誤差パターンから、定められた規則に従い、回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを作成し、この作成した誤差補正パターンを用いて前記補正を行う。
回転変動パターン抽出処理部5による信号処理(回転変動パターン抽出処理)においては、ノイズ成分やセンサ誤差成分を抑制するために、LPFやHPFでフィルタ処理し、回転信号の速度データからタイヤのトレッドパターンに起因する成分を抽出する。また、路面の凹凸などによる回転非同期の外乱の影響を排除するために、十分な回転回数にわたる期間の回転信号を収集し、平均化または積算処理して特定の回転速度変動パターンを抽出する。抽出処理に平均化処理や積算処理を適用することで、効果的にタイヤの回転に同期しないランダムな回転変動の影響が排除される。
実際のパターンを例示する。図3,図4は、一定の速度範囲で抽出した回転速度変動パターンの自己相関パターンを示す。なお、各図(a) は極低速状態で測定した基準パターンによる補正のみを実施し、エンコーダピッチ誤差や取り付け誤差などの製造誤差を補正済みである。
図3,図4は、それぞれ時速50km/h、80km/h相当でデータ抽出した自己相関パターンを示す。速度補正をしていない図3(a),図4(a)は、は回転センサ2の逓倍誤差が大きく、その他の情報(路面の影響や軸受の回転ムラなど)を読み取ることは困難である。
速度補正をした図3(b),図4(b)では、回転センサ2の周波数特性による誤差の影響を大幅に低減している。このデータを利用することによって、高精度に所望の情報を取得することが可能となる。
この実施形態によると、このように、回転速度に対応した誤差補正用パターンを用い、回転センサ2に起因する誤差成分を除去することで、S/N比の高い回転速度変動成分を取得できる。これにより、路面、タイヤ、軸受およびドライブシャフトから入力される駆動力などにより発生する微小な回転変動をより高精度に取得可能となる。
図11は、回転センサ2の具体例を示す。この回転センサ2は、ラジアルタイプの磁気式であり、ターゲットとなる環状の磁気エンコーダ2aと、この磁気エンコーダ2aの外周面に対面してこの磁気エンコーダ2aの磁気を検出する磁気センサ2bとを有する。磁気エンコーダ2aは、N,Sの磁極2aaを交互に有し、磁気センサ2bからは正弦波状の回転信号を出力する。この正弦波状の回転信号は信号処理手段2cで矩形に整形され、矩形波のパルス信号として出力される。信号処理手段2cは、逓倍回路2caを有していても良く、その場合、逓倍された高分解能の回転信号を出力する。
磁気エンコーダ2aは、前記磁極2aaに軸方向に並んで、円周上の1か所にZ相(零相)検出用の磁極2abを有するものであっても良く、その場合、磁気センサ2bは、前記N,S交互の磁極2aaの検出用のセンサ部2baに加えて、Z相検出用の磁極2abを検出するセンサ部2bbが設けられる。このセンサ部2bbは、1回転で1回のZ相(零相)信号を出力する。
図12は、回転センサ2の他の例を示す。この回転センサ2は、アキシアルタイプの磁気式であり、環状の磁気エンコーダ2aと磁気センサ2bとがアキシアル方向に対面する。磁気エンコーダ2aは、断面L字状のセンサ取付リング2dのフランジ部に取付けられている。その他の構成は、図11に示したラジアルタイプの回転センサ2と同様である。なお、図12の例では図示を省略したが、このラジアルタイプの回転センサ2においても、前記と同様に零相用の磁極およびセンサ部、並びに逓倍回路を設けても良い。
なお、図11,図12は、いずれも磁気エンコーダ2aを有する回転センサ2を示したが、回転センサ2は、ターゲットがギヤ型の磁性体からなるパルサリング(図示せず)、いわゆる検出歯車であっても良い。その場合、磁気センサはパルサリングの歯部を検出して回転信号を出力する。
これら磁気エンコーダ2aやギヤ型のパルサリングを用いた磁気式の回転センサ2によると、温度変化や汚れなどの劣悪な環境に強い。磁気式の場合、光学式に比べて磁極を細かく設けることが困難であるが、逓倍回路2caを有すると、回転速度変動パターンを検出するために必要な分解能の回転信号が得られる。
図5〜図10は、前記回転センサ2が設けられる車輪用軸受の各例を示す。図5,図6に示す車輪用軸受30は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用であり、複列の中央に回転センサ2を設けた例を示す。この車輪用軸受30は、内周に複列の転走面33を形成した外方部材31と、これら各転走面33に対向する転走面34を形成した内方部材32と、これら外方部材31および内方部材32の転走面33,34間に介在した複列の転動体35とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する。この車輪用軸受30は、複列外向きアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体35はボールからなり、各列毎に保持器36で保持されている。内方部材32は、ハブ輪32aと、このハブ輪32aのインボード側端の外周に嵌合した内輪32bとでなり、各輪32a、32bの外周に前記転走面34が設けられている。外方部材31と内方部材32の間の軸受空間の両端は、シール37,38によりそれぞれ密封されている。
この車輪用軸受30において、内方部材32の両転走面34,34間の外周に、回転センサ2のエンコーダ2aが設けられ、このエンコーダ2aに対面する磁気センサ2bが、外方部材31に設けられた半径方向のセンサ取付孔40内に設置されている。回転センサ2は、例えば図11と共に前述したラジアルタイプのものである。
図7,図8に示す車輪用軸受30は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用であり、インボード側端に回転センサ2を設けた例を示す。この例では、回転センサ2には、図12と共に前述したアキシアルタイプのものが用いられている。具体的にはインボード側端のシール38における、内方部材32の外周面に圧入固定されるスリンガが、図12の例のセンサ支持リング2dを兼ねている。磁気センサ2bは、リング状の金属ケース39内に樹脂モールドされ、金属ケース39を介して外方部材31に固定される。その他の構成は、図5,図6に示した例と同様である。
図9,図10に示す車輪用軸受30は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ従動輪支持用であり、インボード側端に回転センサ2を設けた例を示す。この例では、外方部材31のインボード側端部の端面開口がカバー29で覆われており、このカバー29に回転センサ2の磁気センサ2bが取付けられている。その他の構成および作用効果は図5,図6に示した例と同様である。
1…車輪
1a…タイヤ
2…回転センサ
2a…磁気エンコーダ
2b…磁気センサ
2c…逓倍手段
3…信号処理ユニット
4…センサ誤差補正部
5…回転変動パターン抽出処理手段
6…回転速度判別部
7…誤差補正処理部
8…誤差補正メモリ

Claims (5)

  1. 車輪の回転速度を検出する回転センサと、この回転センサの出力する回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、
    前記信号処理ユニットは、前記回転センサの出力する回転信号に含まれる誤差を補正するセンサ誤差補正部を有し、このセンサ誤差補正部は、入力された回転信号を用いて走行中の車輪の回転速度を判別する回転速度判別部と、誤差補正用パターンを記憶した誤差補正メモリと、この記憶された誤差補正パターンを用い、前記回転速度判別部で判別された回転速度に応じて前記回転信号の前記誤差の補正を行う誤差補正処理部とを有する車輪速センサの誤差補正構造。
  2. 請求項1に記載の車輪速センサの誤差補正構造において、前記誤差補正メモリには回転速度に応じて異ならせた複数種類の誤差補正パターンが設定され、前記誤差補正処理部は、前記複数種類の誤差補正パターンから前記回転速度判別部で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを選択し、その選択した誤差補正パターンで前記補正を行う車輪速センサの誤差補正構造。
  3. 請求項1に記載の車輪速センサの誤差補正構造において、前記誤差補正メモリには基準となる誤差補正パターンである一つの基準誤差パターンが設定され、前記誤差補正処理部は、前記基準誤差パターンから、定められた規則に従い、前記回転速度判別部で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを作成し、この作成した誤差補正パターンを用いて前記補正を行う車輪速センサの誤差補正構造。
  4. 請求項1に記載の車輪速センサの誤差補正構造において、前記基準誤差パターンは、極低速で測定したパターンであり、前記誤差補正処理部は、前記回転速度に応じたカットオフ周波数のローパスフィルタを用いて前記回転速度に対応する誤差補正パターンを作成する車輪速センサの誤差補正構造。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車輪速センサの誤差補正構造を備えた回転検出装置付き車輪用軸受。
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