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JP2016084843A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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JP2016084843A JP2014217079A JP2014217079A JP2016084843A JP 2016084843 A JP2016084843 A JP 2016084843A JP 2014217079 A JP2014217079 A JP 2014217079A JP 2014217079 A JP2014217079 A JP 2014217079A JP 2016084843 A JP2016084843 A JP 2016084843A
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Abstract

【課題】スラスト方向及びラジアル方向の軸の振れ幅に対して、電極基板とエレクトレット基板とが、適切な基板間ギャップを保持可能な発電機能付き転がり軸受を提供する。【解決手段】第1の転がり軸受装置1Aを、ラジアル軸受2と、電極基板3と、エレクトレット基板4と、回路基板5と、ハウジング6とを含む構成とし、電極基板3をラジアル軸受2の内輪21のハウジング6側の端面に設け、エレクトレット基板4をハウジング6の電極基板3と対向する位置に設け、ラジアル軸受2を、電極基板3及びエレクトレット基板4の対向面間距離Lの変化を20μm以上70μm以下に抑えるスラスト方向の回転振れ精度を有するラジアル軸受から構成した。【選択図】図3

Description

本発明は、発電機能を有した転がり軸受装置に関する。
従来、エレクトレット材料を使った回転方式の発電装置として、例えば、特許文献1に開示された技術がある。この技術は、電極基板と、この電極基板に対向して設けられた対向電極にエレクトレット材料を設けてなるエレクトレット基板とを備えている。そして、電極基板とエレクトレット基板とを同じ軸回りに相対的に回転運動することで発電を行うものである。
特開2011−97807号公報
しかしながら、上記特許文献1の従来技術は、略球状の部材を介して電極基板とエレクトレット基板との基板間のギャップを50μm以下に保持するようにしている。ところが、スラスト方向及びラジアル方向の軸の振れ幅を考慮した設計となっていないため、基板間ギャップが小さくなり過ぎたり大きくなり過ぎたりすることで、発電能力が低下する可能性がある。また、軸の振れ幅が基板間ギャップよりも大きくなると、電極基板とエレクトレット基板とが接触して基板が破損する可能性がある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、スラスト方向及びラジアル方向の軸の振れ幅に対して、電極基板とエレクトレット基板とが、適切な基板間ギャップを保持可能な発電機能付き転がり軸受を提供することを目的としている。
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の転がり軸受装置は、回転輪と静止輪と回転輪及び静止輪との間に転動自在に設けられた転動体とを有する転がり軸受と、転がり軸受の回転輪と転がり軸受の静止輪側の部材とのいずれか一方に設けられた、エレクトレット材料によって形成されたエレクトレット電極と、回転輪と静止輪側の部材とのいずれか他方にエレクトレット電極と対向するように設けられた対向電極と、エレクトレット電極と対向電極とを負荷に接続する回路と、を備え、転がり軸受を、該転がり軸受のラジアル方向又はスラスト方向の回転振れによるエレクトレット電極と対向電極との対向面間距離の変化範囲を20μm以上70μm以下に抑える回転振れ精度を有する構成とした。
このような構成であれば、回転輪が静止している状態では、対面している対向電極とエレクトレット電極との間で静電誘導によって電気を蓄えることが可能となる。一方、回転輪が回転することでエレクトレット電極が回転し、エレクトレット電極と対向電極とが対面した状態で相対的に回転運動を行う。この回転運動によって、対向電極とエレクトレット電極との対向面の重なり面積が変化する。この重なり面積の変化によって電荷の移動が発生し電気を取り出すことが可能となる。
加えて、転がり軸受を、対向面間距離の変化範囲を20μm以上70μm以下に抑える回転振れ精度を有する構成とした。
これによって、転がり軸受の回転振れにより、対向面間距離が20μm未満の距離となった場合のクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができるという効果が得られる。加えて、対向面間距離が70μmを超える距離となった場合の静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことができるという効果が得られる。
〔形態2〕 更に、形態2の転がり軸受装置は、形態1の構成に対して、静止輪側の部材は、静止輪及び該静止輪に取り付けられるハウジングである。
つまり、静止輪又は該静止輪に取り付けられるハウジングのいずれか一方に、対向電極又はエレクトレット電極のいずれか一方を設けるようにした。
これによって、例えば、軸受側に一方の電極しか設けるスペースが無い場合などにハウジングに他方の電極を設けることで既存の軸受をそのまま用いて比較的低コストで当該転がり軸受装置を構成することができるという効果が得られる。
〔形態3〕 更に、形態3の転がり軸受装置は、形態2の構成に対して、回転輪及び静止輪のいずれか一方の端面又は周面にエレクトレット電極を設け、回転輪及び静止輪のいずれか他方の端面又は周面のうち、エレクトレット電極と対向する端面又は周面に対向電極を設けた。
このような構成であれば、回転輪の回転に伴って、その端面又は周面に設けられた対向電極又はエレクトレット電極の一方が回転し、静止輪の端面又は周面に設けられた対向電極又はエレクトレット電極の他方と対面した状態で、対向電極とエレクトレット電極とを相対回転運動させることが可能となる。
これによって、既存の軸受の回転輪及び静止輪の端面又は周面に電極を設けることで発電を行うことが可能となるので、既存の軸受をそのまま用いて当該転がり軸受装置を構成することが可能となる。その結果、軸受の設計変更等が発生せず、比較的低コストで当該転がり軸受装置を構成することができるという効果が得られる。
〔形態4〕 更に、形態4の転がり軸受装置は、形態2の構成に対して、回転輪の端面又は周面に、エレクトレット電極又は対向電極のいずれか一方を設け、ハウジングのエレクトレット電極又は対向電極のいずれか一方と対向する面にエレクトレット電極又は対向電極のいずれか他方を設けた。
このような構成であれば、回転輪の回転に伴って、その端面又は周面に設けられた対向電極又はエレクトレット電極の一方が回転し、ハウジングのエレクトレット基板又は対向電極のいずれか一方と対向する面に設けられたエレクトレット電極又は対向電極のいずれか他方と対面した状態で、対向電極とエレクトレット電極とを相対回転運動させることが可能となる。
これによって、既存の軸受の回転輪及びその静止輪に取り付けられるハウジングの端面又は周面に電極を設けることで発電を行うことが可能となるので、既存の軸受をそのまま用いて当該転がり軸受装置を構成することができるという効果が得られる。その結果、軸受の設計変更等が発生せず、比較的低コストで当該転がり軸受装置を構成することができるという効果が得られる。
〔形態5〕 更に、形態5の転がり軸受装置は、形態1乃至4のいずれか1の構成に対して、転がり軸受の対向面間距離の変化方向と交差する方向の振れ幅の分だけ、エレクトレット電極及び対向電極のいずれか一方の交差する方向の幅を他方よりも大きくした。
つまり、対向電極又はエレクトレット電極のいずれか一方の幅を、対向面間距離の変化方向と交差する方向の振れ幅分だけ対向電極又はエレクトレット電極のいずれか他方の幅よりも長い寸法に構成した。
これによって、交差方向の振れによるエレクトレット電極及び対向電極の対向面の重なり面積の変化を無くす又は低減することが可能となるので、発電量を安定化することができるという効果が得られる。
〔形態6〕 更に、形態6の転がり軸受装置は、形態1乃至5のいずれか1の構成に対して、エレクトレット電極と対向電極とを負荷に接続する回路は、スリップリング又は導電性シールを含んで構成されている。
このような構成であれば、回転輪の回転に伴って回転する対向電極又はエレクトレット電極の一方と、静止輪側の部材に設けられた対向電極又はエレクトレット電極の他方とを回転輪の回転を止めることなく負荷に電気的に接続することができるという効果が得られる。
〔形態7〕 更に、形態7の転がり軸受装置は、形態1乃至6のいずれか1の構成に対して、転動体が絶縁材料から構成されている。
つまり、転がり軸受を構成する転動体を、例えばセラミックス等の絶縁材料から構成するようにしたので、発電による回転輪及び静止輪側の部材との間の電食の発生を抑える又は低減することができるという効果が得られる。
第1実施形態に係る第1の転がり軸受装置1Aの構成例を示す分解斜視図である。 (a)は、第1実施形態に係る第1の転がり軸受装置1Aの構成例を示す分解側面図であり、(b)は、ラジアル軸受2の軸方向断面図であり、(c)は、ハウジング6の軸方向断面図である。 第1実施形態に係る第1の転がり軸受装置1Aの部分縦断面図である。 (a)は、第1実施形態に係る電極基板3の構成例を示す図であり、(b)は、第1実施形態に係るエレクトレット基板4の構成例を示す図である。 (a)〜(c)は、第1実施形態に係る電極基板3及びエレクトレット基板4のスラスト方向の回転振れによる対向面間距離Lの変化を説明するための部分断面図である。 (a)〜(c)は、第1実施形態に係る電極基板3及びエレクトレット基板4のラジアル方向の回転振れによるラジアル方向の変化を説明するための部分断面図である。 第1実施形態の変形例に係る第2の転がり軸受装置1Bの構成例を示す部分縦断面図である。 (a)は、第2実施形態に係る第3の転がり軸受装置1Cの構成例を示す分解側面図であり、(b)は、ラジアル軸受2Cの軸方向断面図であり、(c)は、ハウジング6Cの軸方向断面図である。 第2実施形態に係る第3の転がり軸受装置1Cの構成例を示す部分縦断面図である。 (a)は、第2実施形態に係る電極基板3Cの構成例を示す図であり、(b)は、第2実施形態に係るエレクトレット基板4Cの構成例を示す図であり、(c)は、第2実施形態に係る電極基板3C及びエレクトレット基板4Cの配設構成を示す図である。 (a)は、第3実施形態に係る第4の転がり軸受装置1Dの構成例を示す側面図であり、(b)は、ラジアル軸受2Dの軸方向断面図であり、(c)は、ハウジング6の軸方向断面図である。 第3実施形態に係る第4の転がり軸受装置1Dの構成例を示す部分縦断面図である。 (a)は、第3実施形態に係る電極基板3Dの構成例を示す図であり、(b)は、第3実施形態に係るエレクトレット基板4Dの構成例を示す図であり、(c)は、第3実施形態に係る電極基板3D及びエレクトレット基板4Dの配設構成を示す図である。 第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eの構成例を示す部分縦断面図である。 第4実施形態の変形例に係る第6の転がり軸受装置1Fの構成例を示す部分縦断面図である。 第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gの構成例を示す部分縦断面図である。 (a)〜(c)は、転がり軸受へのハウジングの取付方法の変形例を示す図である。
(第1実施形態)
(構成)
第1実施形態に係る第1の転がり軸受装置1Aは、図1及び図2(a)に示すように、ラジアル方向の荷重を主として受けるように構成された転がり軸受であるラジアル軸受2と、電極基板3と、エレクトレット基板4と、回路基板5と、ハウジング6とを含んで構成される。
この第1の転がり軸受装置1Aは、図1及び図2(a)中の符号2〜6で示す各構成部品を組み付けた際に、電極基板3と、エレクトレット基板4とが予め設計した間隔(エアギャップ)を空けて対面するように構成されている。そして、ラジアル軸受2が回転して、電極基板3とエレクトレット基板4とが対面しつつ相対的に回転運動することで発電するように構成されている。
ラジアル軸受2は、図2(b)及び図3の軸方向断面図に示すように、静止輪としての外輪20と、回転輪としての内輪21と、外輪20及び内輪21の間に転動自在に設けられた球状の転動体22とを備えている。
なお、第1実施形態では、ラジアル軸受2を転動体22の形状が球状の玉軸受から構成しているが、この構成に限らず、転動体22の形状が、円錐形状、円筒形状、針状、たる状などのころ軸受から構成してもよい。また、図2(a)及び図3中の一点鎖線は、第1の転がり軸受装置1Aが支持する回転軸(不図示)の軸方向を示す線である。
更に、内輪21には、図2(a)及び図3に示すように、ハウジング6側の端面の内周面側の端部に軸方向に突出する環状の突出部21pが設けられている。
また、第1実施形態では、発電時の内輪21及び外輪20の電位差による電食の発生を防ぐために、転動体22を、例えば、セラミックス等の絶縁材料から構成している。
回路基板5は、円環形状の基板の一方の面上に負荷50が設けられ、他方の面がハウジング6に固定された構成となっている。負荷50は、例えば、ラジアル軸受2の回転速度、回転方向、温度等を測定するセンサとその周辺回路などから構成されている。また、回路基板5の一方の面上には、発電した電気を蓄積する蓄電池を設け、この蓄電池を介してセンサ等の負荷50に給電する構成としてもよい。
ハウジング6は、図2(c)の軸方向断面図に示すように、円環形状の底部60と、該底部60の外径側端部から軸方向に突出する円筒形状の突出部61と、突出部61の先端部から内径側へと突出形成された取付爪部62とから構成されている。
図2(a)及び図3に示すように、外輪20の外周面の転動体22よりもハウジング6寄りの位置には、外輪20にハウジング6を取り付けるための取付溝20dが形成されている。
この構成によって、ハウジング6は、ハウジング6の取付爪部62を外輪20の取付溝20dに嵌め込むことで外輪20に取り付けられる。
また、第1の転がり軸受装置1Aは、図3に示すように、エレクトレット基板4が、内輪21のハウジング6側の端面に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。また、図3に示すように、電極基板3が、ハウジング6の底部60におけるエレクトレット基板4と対面する位置に、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。また、外輪20は、ハウジング6を介して固定支持される。
ここで、第1の転がり軸受装置1Aは、内輪21のハウジング6側の端面と底部60のエレクトレット基板4と対面する位置との間の間隔が、電極基板3とエレクトレット基板4とを配設した場合に、対向電極31とELC膜41bとが、予め設計した間隔(エアギャップ)を空けて対面するように構成されている。
なお、電極基板3を、内輪21のハウジング6側の端面に固定し、エレクトレット基板4を、底部60における電極基板3と対面する位置に固定する構成としてもよい。
次に、電極基板3及びエレクトレット基板4の詳細な構成を説明する。
電極基板3は、図4(a)中の上図に示すように、円環形状の薄板の基板30の一方の面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数の対向電極31を備えている。この対向電極31は、図4(a)中の下図(上図のA−A断面図)に示すように、基板30の一方の面上に、例えば、クロム、金、クロムの順で金属材料を蒸着させて形成する。
また、エレクトレット基板4は、図4(b)中の上図に示すように、円環形状の薄板の基板40の一方の面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数のエレクトレット電極41を備えている。このエレクトレット電極41は、図4(b)中の下図(上図のB−B断面図)に示すように、基板40の一方の面上に、例えば、クロム、金、クロムの順で金属材料を蒸着した電極41aを形成し、更に、電極41a上に、エレクトレット材料の膜41b(以下、「ELC膜41b」と称する場合がある)を成膜して形成する。
また、エレクトレット電極41に電荷を保持させるために、例えば、コロナ荷電装置を用いてエレクトレット電極41に高電圧を印加する。
上記構成によって、第1の転がり軸受装置1Aは、内輪21が静止している状態では、対面している対向電極31とエレクトレット電極41との間で静電誘導によって電気を蓄えることが可能である。一方、内輪21が回転することでエレクトレット基板4が回転し、エレクトレット基板4と電極基板3とが対面した状態で相対的に回転運動を行う。この回転運動によって、対向電極31とELC膜41bとの対向面の重なり面積が変化する。この重なり面積の変化によって電荷の移動が発生し電気を取り出すこと(発電)が可能となる。
なお、エレクトレット材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリプロピレンなどの高分子材料を用いることが可能である。特に、薄膜形成に適したフッ素樹脂である旭硝子社製のCYTOP(登録商標)や、Du Pont社製のテフロン(登録商標)AF(アモルファスフロロポリマー)などを用いることが望ましい。
また、上記回路基板5、基板30及び基板40の材料としては、例えば、紙フェノール、紙エポキシ、ガラスエポキシ、プラスチックフィルム、紙とガラスを混合したガラス・コンポジット基材等を用いることが可能である。
次に、電極基板3の対向電極31と、エレクトレット基板4のELC膜41bとの間の対向面間距離Lについて説明する。
第1実施形態では、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lを、図5(a)に示すように、ラジアル軸受2の静止時において「L=d」とする。この場合に、対向面間距離Lは、ラジアル軸受2の回転振れ(回転によるスラスト方向の振れ)によって、図5(b)に示す対向面間距離Lが最も短くなる最短距離dminと、図5(c)に示す対向面間距離Lが最も長くなる最長距離dmaxとの間で変化する。
ここで、対向面間距離Lが「20μm」よりも短い場合、電極基板3とエレクトレット基板4との間に生じるクーロン力の影響によって、電極基板3とエレクトレット基板4とが互いに引っ張り合い回転抵抗が生じる。また、クーロン力の影響により、電極基板3とエレクトレット基板4とが接触して、いずれか一方又は両方が破損する恐れがある。また、放電現象によって、エレクトレット基板4の帯電量が減少し発電量が少なくなる恐れがある。一方、対向面間距離Lが「70μm」よりも長い場合、静電気力が弱まり、電荷の移動量が減少して発電量が少なくなる。
そこで、第1実施形態では、ラジアル軸受2の回転時のスラスト方向の振れによる対向面間距離Lの最短距離dminが「20μm≦dmin」となり、かつ、最長距離dmaxが「dmax≦70μm」となる回転振れ精度を有するラジアル軸受2から、第1の転がり軸受装置1Aを構成するようにした。
例えば、静止時の対向面間距離dを、「45μm」とした場合に、対向面間距離「45μm」を中心値として、対向電極31とELC膜41bとが接近する方向の回転振れ精度及び離間する方向の回転振れ精度が共に25μm以下(即ち、回転時のスラスト方向の回転振れ幅の精度が「50μm」以下)となる等級のラジアル軸受2を用いて第1の転がり軸受装置1Aを構成する。
また、電極基板3の対向電極31と、エレクトレット基板4のELC膜41bとの対向面の重なり面積は、ラジアル軸受2の回転時のラジアル方向の振れによっても変化する。
内輪21の回転による重なり面積の変化に対して、ラジアル方向の回転振れによる意図しない重なり面積の変化は発電量を不安定にする要因となる。
そこで、第1実施形態の転がり軸受装置1Aは、図6(a)に示すように、電極基板3の対向電極31のラジアル方向の幅を、回転によるラジアル方向の振れ幅分だけエレクトレット基板4のELC膜41bの幅よりも長い寸法に構成している。ここでは、ラジアル方向の一方向である回転軸から遠ざかる方向を図6(a)〜(c)中の左方向とし、ラジアル方向の他方向である回転軸に近づく方向を図6(a)〜(c)中の右方向とする。
即ち、図6(b)に示すように、ELC膜41bの左方向の振れ及び対向電極31の右方向の振れによって生じる最大振れ幅d1と、図6(c)に示すように、ELC膜41bの右方向の振れ及び対向電極31の左方向の振れによって生じる最大振れ幅d2とを加算した「d1+d2」分だけ対向電極31のラジアル方向の幅を、ELC膜41bのラジアル方向の幅よりも長い寸法に構成している。ここで、最大振れ幅d1及びd2は、例えば、実験によって測定した測定値に基づき決定する。
以上の構成によって、図6(b)に示すように、例えば、電極基板3が右方向に振れて、かつ、エレクトレット基板4が左方向に振れた場合に、トータルの振れ幅(ずれ幅)はd1以下となるため重なり面積は変化しない。同様に、図6(c)に示すように、例えば、電極基板3が左方向に振れて、かつ、エレクトレット基板4が右方向に振れた場合に、トータルの振れ幅(ずれ幅)はd2以下となるため重なり面積は変化しない。
更に、第1の転がり軸受装置1Aは、図3に示すように、ハウジング6と内輪21の突出部21pとの間の隙間を密封するように設けられた、黒鉛や導電性樹脂等の導電性材料から形成された導電性シール70を備えている。加えて、転がり軸受装置1Aは、外輪20と内輪21とのハウジング6とは反対側の端部間の隙間を密封するように設けられた、非導電性材料から形成された非導電性シール80を備えている。
第1実施形態において、外輪20、内輪21及びハウジング6は導電性の金属材料から構成されている。従って、ハウジング6と内輪21とは、導電性シール70を介して通電可能に接続される。
第1の転がり軸受装置1Aは、更に、電極基板3の対向電極31と、エレクトレット基板4のエレクトレット電極41とを回路基板5上に設けられた負荷50と接続するための配線51〜53を備えている。
配線51は、ハウジング6と負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端とを電気的に接続する配線であり、配線52は、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と対向電極31とを電気的に接続する配線である。また、配線53は、エレクトレット電極41と内輪21とを電気的に接続する配線である。
配線51と配線52とは、エレクトレット電極41の帯電状態に応じて接続先が異なり、例えば、エレクトレット電極41がマイナスに帯電している場合は、配線51を電源供給端に接続し、配線52をグランド端に接続する。なお、エレクトレット電極41がプラスに帯電している場合は逆の接続となる。
従って、エレクトレット電極41は配線53及び導電性シール70を介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端と通電し、対向電極31は配線52を介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と通電する。
ここで、第1実施形態において、導電性シール70と、配線51〜53とから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50と電気的に接続するための回路が構成されている。
(動作)
第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aは、ラジアル軸受2の支持する回転軸(不図示)が回転することで内輪21が回転し、この回転に伴ってエレクトレット基板4が回転する。これにより、ハウジング6に設けられた電極基板3と内輪21に設けられたエレクトレット基板4とが対面しつつ回転軸回りに相対的に回転運動を行う。
電極基板3の対向電極31と、エレクトレット基板4のELC膜41bとは対面しているため、相対的な回転運動によって両者の対向する面の重なり面積が変化する。これによって、ELC膜41bに帯電された電荷が移動し、導電性シール70と、配線51〜53とを介して、負荷50に電流が流れる。
このとき、内輪21の回転に伴うラジアル軸受2のスラスト方向の回転振れによって、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lが変化するが、第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aは、対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のラジアル軸受2から構成されている。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、内輪21の回転に伴うラジアル軸受2のラジアル方向の振れによって、ELC膜41bが、対向電極31に対してラジアル方向に相対的に移動する。しかし、第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aは、ラジアル方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)分だけ対向電極のラジアル方向の幅をELC膜41bのラジアル方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのラジアル方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aは、ラジアル軸受2の転動体22を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電による外輪20と内輪21との電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(第1実施形態の変形例)
(構成)
次に、第1実施形態の変形例に係る第2の転がり軸受装置1Bの構成を説明する。
上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aは、対向電極31を負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一方と電気的に接続するために導電性シール70を用いていた。これに対して、第1実施形態の変形例に係る第2の転がり軸受装置1Bは、導電性シール70に代えてスリップリングを用いて電気的に接続する点が異なる。また、第2の転がり軸受装置1Bは、非導電性シール80を備えていない点も上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aと異なる。
以下、上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aと同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分のみを詳細に説明する。
第2の転がり軸受装置1Bは、図7に示すように、外輪20と内輪21とを電気的に接続するスリップリング71が、外輪20の内周面及び内輪21の外周面における転動体22よりもハウジング6側の位置に設けられている。
具体的に、スリップリング71は、図7に示すように、外輪20の内周面に一方の端面が固定された、樹脂材料等の絶縁材料で形成した厚肉の固定電極71aと、該固定電極71aの他方の端面に設けられたカーボン等の導電性材料で形成されたバネ要素を内蔵するブラシ71bとを備えている。また、ブラシ71bは、配線54を介して外輪20と電気的に接続されている。
更に、スリップリング71は、高い剛性を有するセラミックス材料や複合樹脂材料等の絶縁材料で製作された円筒状部材71cと、この円筒状部材71cの外周面に設けられた、銅等の導電性を有する金属材料からなる電極リング71dとを備えている。円筒状部材71cは、内輪21を内側に嵌め込んだ状態で設けられる。また、電極リング71dは、配線55を介して内輪21と電気的に接続される。
ブラシ71bは、内輪21と共に回転する電極リング71dを押圧して、外輪20と内輪21とを電気的に接続する。これにより、配線53及びスリップリング71を介して、エレクトレット電極41と外輪20とが電気的に接続される。
外輪20はハウジング6と電気的に接続されているため、エレクトレット電極41は、配線53、内輪21、スリップリング71、外輪20、ハウジング6及び配線51を介して、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端に電気的に接続される。
一方、対向電極31は、配線52を介して、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端に電気的に接続される。
ここで、第1実施形態の変形例において、スリップリング71と、配線51〜55とから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50に電気的に接続するための回路が構成されている。
以上、第2の転がり軸受装置1Bは、上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aと同様に、スラスト方向の回転振れによる対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のラジアル軸受2から構成している。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、第2の転がり軸受装置1Bは、上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aと同様に、ラジアル方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)の幅分だけ対向電極のラジアル方向の幅をELC膜41bのラジアル方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのラジアル方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第2の転がり軸受装置1Bは、上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aと同様に、ラジアル軸受2の転動体22を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電による外輪20と内輪21との電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(第2実施形態)
(構成)
次に、第2実施形態に係る第3の転がり軸受装置1Cの構成を説明する。
第2実施形態の第3の転がり軸受装置1Cは、上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aに対して、電極基板及びエレクトレット基板の構成及び配設構成が異なる。加えて、導電性シールの配設構成、内輪の形状、ハウジングの形状等が異なる。
以下、上記第1実施形態の第1の転がり軸受装置1Aと同様の構成部については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成部について詳細に説明する。
第3の転がり軸受装置1Cは、図8(a)及び図9に示すように、ラジアル軸受2Cと、電極基板3Cと、エレクトレット基板4Cと、回路基板5と、ハウジング6Cとを含んで構成される。また、図8(a)及び図9中の一点鎖線は、第3の転がり軸受装置1Cが支持する回転軸(不図示)の軸方向を示す線である。
ラジアル軸受2Cは、図8(b)の軸方向断面図に示すように、静止輪としての外輪20と、回転輪としての内輪21Cと、転動体22とを含んで構成される。図8(b)に示すように、内輪21Cの軸方向の長さは、外輪20の軸方向の長さよりも長い寸法に構成されている。また、内輪21Cの軸方向の一端部の端面と、外輪20の軸方向の一端部の端面とは同じ面位置となっている。この構成によって、図8(a)及び(b)に示すように、内輪21Cの軸方向の他端部が、外輪20の軸方向の他端部よりも突出する。
ハウジング6Cは、図8(c)の軸方向断面図に示すように、円環形状の底部60Cと、該底部60Cの外径側端部から軸方向に突出する円筒状の第1突出部61Cと、底部60Cの内径側端部から軸方向に突出する、第1突出部61Cよりも軸方向に長い円筒状の第2突出部63Cとから構成されている。更に、ハウジング6Cは、第1突出部61Cの先端部に内径側に突出形成された取付爪部62Cを備えている。
ここで、電極基板3Cは、図10(a)に示すように、円筒形状の薄板の基板30Cの内周面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数の対向電極31を備えている。
また、エレクトレット基板4Cは、図10(b)に示すように、基板30Cよりも小径の円筒形状の薄板の基板40Cの外周面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数のエレクトレット電極41を備えている。なお、電極基板3Cとエレクトレット基板4Cの径寸法は、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lがラジアル軸受2Cの予め設計した静止時の距離となるように設計されている。
そして、第3の転がり軸受装置1Cは、図9に示すように、円筒形状のエレクトレット基板4Cが、内輪21Cの外周面における転動体22よりもハウジング6C側に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。更に、円筒形状の電極基板3Cが、ハウジング6Cの第2突出部63Cの内周面におけるエレクトレット基板4Cと対面する位置に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。
ここで、第3の転がり軸受装置1Cは、第2突出部63Cと内輪21Cとの間の間隔が、電極基板3Cとエレクトレット基板4Cとを配設した場合に、対向電極31とELC膜41bとが、予め設計した間隔(エアギャップ)を空けて対面するように構成されている。
なお、電極基板3Cを、内輪21Cの外周面における転動体22よりもハウジング6C側に固定し、エレクトレット基板4Cを、第2突出部63Cの内周面における電極基板3Cと対向する位置に固定する構成としてもよい。
以上の構成によって、第3の転がり軸受装置1Cは、内輪21Cが静止している状態では、静電誘導によって対向電極31とエレクトレット電極41との間で電気を蓄えることができる。一方、内輪21Cが回転することでエレクトレット基板4Cが回転し、エレクトレット基板4Cと電極基板3Cとが対面した状態で相対的に回転運動を行う。この回転運動によって、電荷の移動が発生し電気を取り出すこと(発電)が可能となる。
また、基板30C及び基板40Cの材料は、上記第1実施形態の基板30及び基板40と同様の材料を用いることが可能である。
次に、電極基板3Cの対向電極31と、エレクトレット基板4CのELC膜41bとの間の対向面間距離Lについて説明する。
第2実施形態でも上記第1実施形態と同様の趣旨から、第3の転がり軸受装置1Cを、ラジアル軸受2Cの回転時のラジアル方向の振れによる対向面間距離Lの変化を、「20μm≦dmin」かつ「dmax≦70μm」に抑える回転振れ精度を有する等級のラジアル軸受2Cから構成している。
また、第2実施形態でも上記第1実施形態と同様の趣旨から、電極基板3Cの対向電極31のスラスト方向の幅を、回転によるスラスト方向の振れ幅分だけエレクトレット基板4CのELC膜41bの幅よりも長い寸法に構成している。
更に、第3の転がり軸受装置1Cは、図9に示すように、ハウジング6Cの第2突出部63Bと内輪21Cとの間の隙間を密封するように設けられた、黒鉛や導電性樹脂等の導電性材料から形成された導電性シール70Cを備えている。加えて、第3の転がり軸受装置1Cは、外輪20と内輪21Cとのハウジング6Cとは反対側の端部間の隙間を密封するように設けられた非導電性シール80を備えている。
また、第2実施形態において、外輪20、内輪21C及びハウジング6Cは導電性の金属材料から構成されている。従って、ハウジング6Cと内輪21Cとは、導電性シール70Cを介して電気的に接続される。
第3の転がり軸受装置1Cは、更に、電極基板3Cの対向電極31と、エレクトレット基板4Cのエレクトレット電極41とを回路基板5上に設けられた負荷50と接続するための配線51C〜52Cを備えている。
配線51Cは、ハウジング6Cと負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端とを電気的に接続する配線であり、配線52Cは、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と対向電極31とを電気的に接続する配線である。
これら導電性シール70C及び配線51C〜52Cによって、エレクトレット電極41が導電性シール70C及び配線51Cを介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端と通電し、対向電極31が配線52Cを介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と通電する。
ここで、第2実施形態において、導電性シール70Cと、配線51C〜52Cとから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50と接続するための回路が構成されている。
(動作)
第2実施形態の第3の転がり軸受装置1Cは、ラジアル軸受2Cの支持する回転軸(不図示)が回転することで内輪21Cが回転し、この回転に伴ってエレクトレット基板4Cが回転する。これにより、ハウジング6Cの第2突出部63Cに設けられたエレクトレット基板4Cと内輪21Cに設けられた電極基板3Cとが対面しつつ回転軸回りに相対的に回転運動を行う。
この相対的な回転運動によって両者の対向する面の重なり面積が変化する。これによって、ELC膜41bに帯電された電荷が移動し、導電性シール70Cと、配線51C〜52Cとを介して、負荷50に電流が流れる。
このとき、内輪21Cの回転に伴うラジアル軸受2Cのラジアル方向の回転振れによって、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lが変化するが、第2実施形態の第3の転がり軸受装置1Cは、対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のラジアル軸受2Cから構成されている。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、内輪21Cの回転に伴うラジアル軸受2Cのスラスト方向の振れによって、ELC膜41bが、対向電極31に対してスラスト方向に相対的に移動する。しかし、第2実施形態の第3の転がり軸受装置1Cは、スラスト方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)の幅分だけ対向電極のスラスト方向の幅をELC膜41bのスラスト方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのスラスト方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第2実施形態の第3の転がり軸受装置1Cは、ラジアル軸受2Cの転動体22を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電による外輪20と内輪21Cとの電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(第3実施形態)
(構成)
次に、第3実施形態に係る第4の転がり軸受装置1Dの構成を説明する。
第3実施形態の第4の転がり軸受装置1Dは、上記第1及び第2実施形態の第1及び第3の転がり軸受装置1A及び1Cに対して、電極基板及びエレクトレット基板の配設構成が異なる。加えて、導電性シールの配設構成、内輪の形状等が異なる。
以下、上記第1及び第2実施形態の第1及び第3の転がり軸受装置1A及び1Cと同様の構成部については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成部について詳細に説明する。
第4の転がり軸受装置1Dは、図11(a)及び図12に示すように、ラジアル軸受2Dと、電極基板3Dと、エレクトレット基板4Dと、回路基板5と、ハウジング6とを含んで構成される。また、図11(a)及び図12中の一点鎖線は、第4の転がり軸受装置1Dが支持する回転軸(不図示)の軸方向を示す線である。
ラジアル軸受2Dは、図11(b)の軸方向断面図及び図12に示すように、静止輪としての外輪20と、回転輪としての内輪21Cと、転動体22と、基板支持部23とを含んで構成される。
基板支持部23は、内輪21Dの外周面に円環形状に突出形成されて構成される。
ここで、電極基板3Dは、図13(a)に示すように、円筒形状の薄板の基板30Dの内周面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数の対向電極31を備えている。
また、エレクトレット基板4Dは、図13(b)に示すように、基板30Dよりも小径の円筒形状の薄板の基板40Dの外周面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数のエレクトレット電極41を備えている。なお、電極基板3Dとエレクトレット基板4Dの径寸法は、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lがラジアル軸受2Dの予め設計した静止時の距離となるように設計されている。
そして、第4の転がり軸受装置1Dは、図12に示すように、円筒形状のエレクトレット基板4Dが、内輪21Cの外周面に設けられた基板支持部23の外周面に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。更に、円筒形状の電極基板3Dが、外輪20の内周面における転動体22よりもハウジング6側のエレクトレット基板4Dと対面する位置に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。
この配設構成によって、図13(c)に示すように、電極基板3Dの内側にエレクトレット基板4Dが配され、対向電極31とELC膜41bとが予め設計した間隔(エアギャップ)を空けて対面する。また、基板支持部23によって、エレクトレット基板4が外輪20の近くに配設される。これによって、内輪21Cの近く(例えば、内輪21Cの外周面)に配設するよりも回転速度を上げることが可能となる。
なお、電極基板3Dを、基板支持部23の外周面に固定し、エレクトレット基板4Dを、外輪20の内周面における転動体22よりもハウジング6側のエレクトレット基板4Dと対面する位置に固定する構成としてもよい。
以上の構成によって、第4の転がり軸受装置1Dは、内輪21Cが静止している状態では、静電誘導によって対向電極31とエレクトレット電極41との間で電気を蓄えることができる。一方、内輪21Cが回転することでエレクトレット基板4Dが回転し、エレクトレット基板4Dと電極基板3Dとが対面した状態で相対的に回転運動を行う。この回転運動によって、電荷の移動が発生し電気を取り出すこと(発電)が可能となる。
次に、電極基板3Dの対向電極31と、エレクトレット基板4DのELC膜41bとの間の対向面間距離Lについて説明する。
第3実施形態でも上記第2実施形態と同様に、第4の転がり軸受装置1Dを、ラジアル軸受2Dの回転時のラジアル方向の振れによる対向面間距離Lの変化を、「20μm≦dmin」かつ「dmax≦70μm」に抑える回転振れ精度を有する等級のラジアル軸受2Cから構成している。
また、第3実施形態でも上記第2実施形態と同様に、電極基板3Dの対向電極31のスラスト方向の幅を、回転によるスラスト方向の振れ幅分だけエレクトレット基板4DのELC膜41bの幅よりも長い寸法に構成している。
更に、第4の転がり軸受装置1Dは、図12に示すように、ハウジング6と内輪21Cのハウジング6側の端部との間の隙間を密封するように設けられた、黒鉛や導電性樹脂等の導電性材料から形成された導電性シール70Dを備えている。なお、導電性シール70Dは、基板支持部23の上端側よりも回転速度が低い内輪21C側に設けている。
第3実施形態において、外輪20、内輪21C、基板支持部23及びハウジング6は導電性の金属材料から構成されている。従って、ハウジング6と内輪21C及び基板支持部23とは、導電性シール70Dを介して通電可能に接続される。
第4の転がり軸受装置1Dは、更に、電極基板3Dの対向電極31と、エレクトレット基板4Dのエレクトレット電極41とを回路基板5上に設けられた負荷50と接続するための配線56〜58を備えている。
配線56は、対向電極31と負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端とを電気的に接続する配線であり、配線57は、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端とハウジング6とを電気的に接続する配線である。また、配線58は、エレクトレット電極41と基板支持部23とを電気的に接続する配線である。
配線56と配線57とは、エレクトレット電極41の帯電状態に応じて接続先が異なり、例えば、エレクトレット電極41がマイナスに帯電している場合は、配線56を電源供給端に接続し、配線57をグランド端に接続する。なお、エレクトレット電極41がプラスに帯電している場合は逆の接続となる。
従って、これら配線56〜58によって、対向電極31が配線56を介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端と通電する。加えて、エレクトレット電極41が配線58、基板支持部23、内輪21C、導電性シール70D、ハウジング6及び配線57を介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と通電する。
ここで、第3実施形態において、導電性シール70Dと、配線56〜58とから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50と電気的に接続するための回路が構成されている。
(動作)
第3実施形態の第4の転がり軸受装置1Dは、ラジアル軸受2Dの支持する回転軸(不図示)が回転することで内輪21C及び基板支持部23が回転し、この回転に伴ってエレクトレット基板4Dが回転する。これにより、エレクトレット基板4Dのエレクトレット電極41と外輪20の内周面に設けられた電極基板3Dの対向電極31とが対面しつつ回転軸回りに相対的に回転運動を行う。
この相対的な回転運動によって両者の対向する面の重なり面積が変化する。これによって、ELC膜41bに帯電された電荷が移動し、導電性シール70Dと、配線56〜58とを介して、負荷50に電流が流れる。
このとき、内輪21Cの回転に伴うラジアル軸受2Dのラジアル方向の回転振れによって、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lが変化するが、第3実施形態の第4の転がり軸受装置1Dは、対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のラジアル軸受2Dから構成されている。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、内輪21Cの回転に伴うラジアル軸受2Dのスラスト方向の振れによって、ELC膜41bが、対向電極31に対してスラスト方向に相対的に移動する。しかし、第3実施形態の第4の転がり軸受装置1Dは、スラスト方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)の幅分だけ対向電極のスラスト方向の幅をELC膜41bのスラスト方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのスラスト方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第3実施形態の第4の転がり軸受装置1Dは、基板支持部23によって、エレクトレット基板4を外輪20の近くに配設するようにした。これによって、内輪21Cの近くに配設するよりも回転速度を上げることが可能となるので、発電電圧を上げることが可能となる。
また、第3実施形態の第4の転がり軸受装置1Dは、ラジアル軸受2Dの転動体22を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電による外輪20と内輪21Cとの電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(第4実施形態)
(構成)
次に、第4実施形態に係る第5の転がり軸受装置1Eの構成を説明する。
第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、上記第1〜第3実施形態の第1〜第4の転がり軸受装置1A〜1Dに対して、ラジアル軸受に代えてスラスト方向の荷重を主に受ける転がり軸受であるスラスト軸受から構成されている点が異なる。加えて、転がり軸受がスラスト軸受となったことで、電極基板及びエレクトレット基板の配設位置等も異なる。
以下、上記第1〜第3実施形態の第1〜第4の転がり軸受装置1A〜1Dと同様の構成部については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成部について詳細に説明する。
第5の転がり軸受装置1Eは、図14に示すように、スラスト軸受9と、電極基板3Eと、エレクトレット基板4Eと、回路基板5Eと、ハウジング6Eとを含んで構成される。なお、図14中の一点鎖線は、第5の転がり軸受装置1Eが支持する回転軸(不図示)の軸方向を示す線である。
スラスト軸受9は、図14に示すように、静止輪としてのハウジング軌道盤90と、回転輪としての軸軌道盤91と、ハウジング軌道盤90及び軸軌道盤91の間に転動自在に設けられた球状の転動体92と、該転動体92を周方向に略等間隔で保持する保持器93とを含んで構成される。
なお、第4実施形態では、スラスト軸受9を、転動体92の形状が球状の玉軸受から構成しているが、この構成に限らず、転動体92の形状が、円錐形状、円筒形状、針状、たる状などのころ軸受から構成してもよい。
更に、軸軌道盤91には、図14に示すように、外周面側の下端部に軸方向と直交する方向に突出する環状の鍔部91pが設けられている。
また、第4実施形態では、発電時の軸軌道盤91及びハウジング軌道盤90の電位差による電食の発生を防ぐために、転動体92を、例えば、セラミックス等の絶縁材料から構成している。
また、回路基板5Eは、図14に示すように、円筒形状の基板の内周面上に負荷50が設けられ、外周面がハウジング6Eに、接着、締結等の慣用の方法で固定された構成となっている。
また、第5の転がり軸受装置1Eは、図14に示すように、エレクトレット基板4Eが、軸軌道盤91の外周面に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。また、電極基板3Eが、図14に示すように、ハウジング6の内周面における電極基板3Eと対面する位置に、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。また、ハウジング軌道盤90は、ハウジング6Eを介して固定支持される。
この配設構成によって、図14に示すように、電極基板3Eの内側にエレクトレット基板4Eが配され、対向電極31とELC膜41bとが予め設計した間隔(エアギャップ)を空けて対面する。
なお、電極基板3Eを、軸軌道盤91の外周面に固定し、エレクトレット基板4Eを、ハウジング6の内周面における電極基板3Eと対面する位置に固定する構成としてもよい。
次に、電極基板3E及びエレクトレット基板4Eの詳細な構成を説明する。
第4実施形態において、電極基板3E及びエレクトレット基板4Eは、上記第2実施形態の電極基板3C及びエレクトレット基板4Cと基本的に同様の構造を有している(図10参照)。
即ち、電極基板3Eは、円筒形状の薄板の基板30Eの内周面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数の対向電極31を備えている。
また、エレクトレット基板4Eは、基板30Eよりも小径の円筒形状の薄板の基板40Eの外周面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数のエレクトレット電極41を備えている。なお、電極基板3Eとエレクトレット基板4Eの径寸法は、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lがスラスト軸受9の予め設計した静止時の距離となるように設計されている。
上記構成によって、第5の転がり軸受装置1Eは、軸軌道盤91が静止している状態では、対面している対向電極31とエレクトレット電極41との間で静電誘導によって電気を蓄えることが可能である。一方、軸軌道盤91が回転することでエレクトレット基板4Eが回転し、エレクトレット基板4Eと電極基板3Eとが対面した状態で相対的に回転運動を行う。この回転運動によって、対向電極31とELC膜41bとの対向面の重なり面積が変化する。この重なり面積の変化によって電荷の移動が発生し電気を取り出すこと(発電)が可能となる。
また、第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と同様の趣旨から、スラスト軸受9の回転時のラジアル方向の振れによる対向面間距離Lの最短距離dminが「20μm≦dmin」となり、かつ、最長距離dmaxが「dmax≦70μm」となる回転振れ精度を有するスラスト軸受9から、第5の転がり軸受装置1Eを構成するようにした。
例えば、静止時の対向面間距離dを、「45μm」とした場合に、対向面間距離「45μm」を中心値として、対向電極31とELC膜41bとが接近する方向の回転振れ精度及び離間する方向の回転振れ精度が共に25μm以下(即ち、回転時のラジアル方向の回転振れ幅の精度が「50μm」以下)となる等級のスラスト軸受9を用いて第5の転がり軸受装置1Eを構成する。
また、電極基板3の対向電極31と、エレクトレット基板4のELC膜41bとの対向面の重なり面積は、スラスト軸受9の回転時のスラスト方向の振れによっても変化する。
軸軌道盤91の回転による重なり面積の変化に対して、スラスト方向の回転振れによる意図しない重なり面積の変化は発電量を不安定にする要因となる。
そこで、第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、上記第1〜第3実施形態と同様の趣旨から、電極基板3Eの対向電極31のスラスト方向の幅を、回転によるスラスト方向の振れ幅分だけエレクトレット基板4EのELC膜41bの幅よりも長い寸法に構成している。
具体的に、上記第1実施形態の図6(a)〜(c)において、ラジアル方向をスラスト方向に置き換えた場合と等価である。即ち、ELC膜41bのスラスト方向の一方向(図中左方向)の振れ及び対向電極31のスラスト方向の他方向(図中右方向)の振れによって生じる最大振れ幅d1と、ELC膜41bの右方向の振れ及び対向電極31の左方向の振れによって生じる最大振れ幅d2とを加算した幅「d1+d2」分だけ対向電極31のスラスト方向の幅を、ELC膜41bのスラスト方向の幅よりも長い寸法に構成している。
更に、第5の転がり軸受装置1Eは、図14に示すように、ハウジング6Eと軸軌道盤91の鍔部91pとの間の隙間を密封するように設けられた、黒鉛や導電性樹脂等の導電性材料から形成された導電性シール70Eを備えている。
第4実施形態において、ハウジング軌道盤90、軸軌道盤91及びハウジング6Eは導電性の金属材料から構成されている。従って、ハウジング6Eと軸軌道盤91とは、導電性シール70Eを介して通電可能に接続される。
第5の転がり軸受装置1Eは、更に、電極基板3Eの対向電極31と、エレクトレット基板4Eのエレクトレット電極41とを回路基板5E上に設けられた負荷50と接続するための配線51E〜53Eを備えている。
配線51Eは、ハウジング6Eと負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端とを電気的に接続する配線であり、配線52Eは、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と対向電極31とを電気的に接続する配線である。また、配線53Eは、エレクトレット電極41と軸軌道盤91とを電気的に接続する配線である。
配線51Eと配線52Eとは、エレクトレット電極41の帯電状態に応じて接続先が異なり、例えば、エレクトレット電極41がマイナスに帯電している場合は、配線51Eを電源供給端に接続し、配線52Eをグランド端に接続する。なお、エレクトレット電極41がプラスに帯電している場合は逆の接続となる。
従って、これら配線51E〜53Eによって、エレクトレット電極41が配線53E、導電性シール70E、ハウジング6E及び配線51Eを介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端と通電し、対向電極31が配線52Eを介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と通電する。
ここで、第4実施形態において、導電性シール70Eと、配線51E〜53Eとから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50と電気的に接続するための回路が構成されている。
(動作)
第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、スラスト軸受9の支持する回転軸(不図示)が回転することで軸軌道盤91が回転し、この回転に伴ってエレクトレット基板4Eが回転する。これにより、エレクトレット基板4Eのエレクトレット電極41とハウジング6Eの内周面に設けられた電極基板3の対向電極31とが対面しつつ回転軸回りに相対的に回転運動を行う。
この相対的な回転運動によって両者の対向する面の重なり面積が変化する。これによって、ELC膜41bに帯電された電荷が移動し、導電性シール70Eと、配線51E〜53Eとを介して、負荷50に電流が流れる。
このとき、軸軌道盤91の回転に伴うスラスト軸受9のラジアル方向の回転振れによって、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lが変化するが、第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のスラスト軸受9から構成されている。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、軸軌道盤91の回転に伴うスラスト軸受9のスラスト方向の振れによって、ELC膜41bが、対向電極31に対してラジアル方向に相対的に移動する。しかし、第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、スラスト方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)の幅分だけ対向電極31のスラスト方向の幅をELC膜41bのスラスト方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのスラスト方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、スラスト軸受9の転動体92を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電によるハウジング軌道盤90と軸軌道盤91との電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(第4実施形態の変形例)
(構成)
次に、第4実施形態の変形例に係る第6の転がり軸受装置1Fの構成を説明する。
上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eは、エレクトレット電極41を負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一方と電気的に接続するために導電性シール70Eを用いていた。これに対して、第4実施形態の変形例に係る第6の転がり軸受装置1Fは、導電性シール70Eに代えてスリップリングを用いて電気的に接続する点が異なる。
以下、上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eと同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分のみを詳細に説明する。
第6の転がり軸受装置1Fは、図15に示すように、スラスト軸受9Fと、電極基板3Eと、エレクトレット基板4Eと、回路基板5Eと、ハウジング6Eと、スリップリング72とを含んで構成される。
図15に示すように、スラスト軸受9Fは、スリップリング72を設けるために、上記第4実施形態のスラスト軸受9Eのハウジング軌道盤90及び軸軌道盤91と比較して、ハウジング軌道盤90F及び軸軌道盤91Fのラジアル方向の寸法がハウジング6E側に長く構成されている。
即ち、第6の転がり軸受装置1Fは、図15に示すように、ハウジング軌道盤90Fと軸軌道盤91Fとを電気的に接続するスリップリング72が、ハウジング軌道盤90Fの下端面及び軸軌道盤91Fの上端面における転動体92よりもハウジング6E側の位置に設けられている。
スリップリング72は、図15に示すように、ハウジング軌道盤90Fの下端面に一方の端面が固定された、樹脂材料等の絶縁材料で形成した厚肉の固定電極72aと、該固定電極72aの他方の端面に設けられた、カーボン等の導電性材料で形成されたバネ要素を内蔵するブラシ72bとを備えている。また、ブラシ72bは、配線54Fを介してハウジング軌道盤90Fと電気的に接続されている。
更に、スリップリング72は、セラミックス材料や複合樹脂材料等の絶縁材料で製作された円筒状部材72cと、この円筒状部材72cの上端面に設けられた、銅等の導電性を有する金属材料からなる電極リング72dとを備えている。円筒状部材72cは、軸軌道盤91Fの上端にその円周方向に沿って設けられる。また、電極リング72dは、配線55Fを介して軸軌道盤91Fと電気的に接続される。
ブラシ72bは、軸軌道盤91Fと共に回転する電極リング72dを押圧して、ハウジング軌道盤90Fと軸軌道盤91Fとを電気的に接続する。これにより、配線53E及びスリップリング72を介して、エレクトレット電極41とハウジング軌道盤90Fとが電気的に接続される。
ハウジング軌道盤90Fはハウジング6Eと電気的に接続されているため、エレクトレット電極41は、配線53E、軸軌道盤91F、スリップリング72、ハウジング軌道盤90F、ハウジング6E及び配線51Eを介して、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端に電気的に接続される。
一方、対向電極31は、配線52Eを介して、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端に電気的に接続される。
ここで、第4実施形態の変形例において、スリップリング72と、配線51E〜53Eと、配線54F〜55Fとから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50に電気的に接続するための回路が構成されている。
以上、第6の転がり軸受装置1Fは、上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eと同様に、ラジアル方向の回転振れによる対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のスラスト軸受9Fから構成している。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、第6の転がり軸受装置1Fは、上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eと同様に、スラスト方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)の幅分だけ対向電極31のスラスト方向の幅をELC膜41bのスラスト方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのスラスト方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第6の転がり軸受装置1Fは、上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eと同様に、スラスト軸受9Fの転動体92を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電によるハウジング軌道盤90Fと軸軌道盤91Fとの電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(第5実施形態)
(構成)
次に、第5実施形態に係る第7の転がり軸受装置1Gの構成を説明する。
第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gは、上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eに対して、電極基板及びエレクトレット基板の構成及び配設構成が異なる。加えて、導電性シールの配設構成、ハウジング軌道盤の形状、軸軌道盤の形状、ハウジングの形状等が異なる。
以下、上記第4実施形態の第5の転がり軸受装置1Eと同様の構成部については、同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる構成部について詳細に説明する。
第7の転がり軸受装置1Gは、図16に示すように、スラスト軸受9Gと、電極基板3Gと、エレクトレット基板4Gと、回路基板5Gと、ハウジング6Gとを含んで構成される。また、図16中の一点鎖線は、第7の転がり軸受装置1Gが支持する回転軸(不図示)の軸方向を示す線である。
スラスト軸受9Gは、図16に示すように、静止輪としてのハウジング軌道盤90Gと、回転輪としての軸軌道盤91Gと、転動体92と、保持器93と、基板支持部94とを含んで構成される。
図16に示すように、軸軌道盤91Gのラジアル方向の長さは、ハウジング軌道盤90Gのラジアル方向の長さよりもハウジング6G側に長い寸法に構成されている。また、軸軌道盤91Gの内周面と、ハウジング軌道盤90Gの内周面とは同じ面位置となっている。この構成によって、図16に示すように、軸軌道盤91Gの外周部が、ハウジング軌道盤90Gの外周部よりも突出する。
基板支持部94は、軸軌道盤91Gの外周面側の上端面に周方向に沿って円筒形状に突出形成されて構成される。
また、回路基板5Gは、図16に示すように、円筒形状の基板の内周面上に負荷50が設けられ、外周面がハウジング6Gに、接着、締結等の周知の方法で固定された構成となっている。
また、第7の転がり軸受装置1Gは、図16に示すように、エレクトレット基板4Gが、基板支持部94の上端面に、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。また、電極基板3Gが、ハウジング軌道盤90Gの外周面側の下端面におけるエレクトレット基板4Gと対面する位置に、嵌合、接着、締結等の慣用の固定方法によって固定されている。
ここで、第7の転がり軸受装置1Gは、ハウジング軌道盤90Gの下端面と基板支持部94の上端面との間の間隔が、電極基板3Gとエレクトレット基板4Gとを配設した場合に、対向電極31とELC膜41bとが、予め設計した間隔(エアギャップ)を空けて対面するように構成されている。また、基板支持部94によって、エレクトレット基板4Gがハウジング軌道盤90Gの近くに配設される。これによって、軸軌道盤91Gの近く(例えば上端面)に配設するよりも回転速度を上げることが可能となる。
なお、電極基板3Gを、基板支持部94の上端面に固定し、エレクトレット基板4Gを、ハウジング軌道盤90Gの外周面側の下端面における電極基板3Gと対面する位置に固定する構成としてもよい。
次に、電極基板3G及びエレクトレット基板4Gの詳細な構成を説明する。
第5実施形態において、電極基板3G及びエレクトレット基板4Gは、上記第1実施形態の電極基板3及びエレクトレット基板4と基本的に同様の構造を有している(図4参照)。
即ち、電極基板3Gは、円環形状の薄板の基板30Gの一方の面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数の対向電極31を備えている。
また、エレクトレット基板4Gは、円環形状の薄板の基板40Gの対向電極31と対面する側の面上に、円周方向に沿って等間隔に設けられた複数のエレクトレット電極41を備えている。
上記構成によって、第7の転がり軸受装置1Gは、軸軌道盤91Gが静止している状態では、対面している対向電極31とエレクトレット電極41との間で静電誘導によって電気を蓄えることが可能である。一方、軸軌道盤91Gが回転することでエレクトレット基板4Gが回転し、エレクトレット基板4Gと電極基板3Gとが対面した状態で相対的に回転運動を行う。この回転運動によって、対向電極31とELC膜41bとの対向面の重なり面積が変化する。この重なり面積の変化によって電荷の移動が発生し電気を取り出すこと(発電)が可能となる。
次に、電極基板3Gの対向電極31と、エレクトレット基板4GのELC膜41bとの間の対向面間距離Lについて説明する。
第5実施形態でも上記第4実施形態と同様の趣旨から、スラスト軸受9Gの回転時のスラスト方向の振れによる対向面間距離Lの最短距離dminが「20μm≦dmin」となり、かつ、最長距離dmaxが「dmax≦70μm」となる回転振れ精度を有する等級のスラスト軸受9Gから、第7の転がり軸受装置1Gを構成している。
また、第5実施形態でも上記第4実施形態と同様の趣旨から、電極基板3Gの対向電極31のラジアル方向の幅を、回転によるラジアル方向の振れ幅分だけエレクトレット基板4GのELC膜41bの幅よりも長い寸法に構成している。
更に、第7の転がり軸受装置1Gは、図16に示すように、ハウジング6Gと軸軌道盤91Gとの間の隙間を密封するように設けられた、黒鉛や導電性樹脂等の導電性材料から形成された導電性シール70Gを備えている。なお、導電性シール70Gは、基板支持部94の上端側よりも回転速度が低い軸軌道盤91G側に設けている。
また、第5実施形態において、ハウジング軌道盤90G、軸軌道盤91G、基板支持部94及びハウジング6Gは導電性の金属材料から構成されている。従って、ハウジング6Gと軸軌道盤91Gとは、導電性シール70Gを介して電気的に接続される。
第7の転がり軸受装置1Gは、更に、電極基板3Gの対向電極31と、エレクトレット基板4Gのエレクトレット電極41とを回路基板5G上に設けられた負荷50と接続するための配線56G〜58Gを備えている。
配線56Gは、対向電極31と負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端とを電気的に接続する配線であり、配線57Gは、負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端とハウジング6Gとを電気的に接続する配線である。また、配線58Gは、エレクトレット電極41と基板支持部94とを電気的に接続する配線である。
配線56Gと配線57Gとは、エレクトレット電極41の帯電状態に応じて接続先が異なり、例えば、エレクトレット電極41がマイナスに帯電している場合は、配線56Gを電源供給端に接続し、配線57Gをグランド端に接続する。なお、エレクトレット電極41がプラスに帯電している場合は逆の接続となる。
従って、これら配線56G〜58Gによって、対向電極31が配線56Gを介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの一端と通電する。加えて、エレクトレット電極41が配線58G、基板支持部94、軸軌道盤91G、導電性シール70G及び配線57Gを介して負荷50の電源供給端又はグランド端のうちの他端と通電する。
ここで、第5実施形態において、導電性シール70Gと、配線56G〜58Gとから、対向電極31とエレクトレット電極41とを負荷50と電気的に接続するための回路が構成されている。
(動作)
第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gは、スラスト軸受9Gの支持する回転軸(不図示)が回転することで軸軌道盤91Gが回転し、この回転に伴ってエレクトレット基板4Gが回転する。これにより、基板支持部94の上端面に設けられたエレクトレット基板4Gとハウジング軌道盤90Gに設けられた電極基板3Gとが対面しつつ回転軸回りに相対的に回転運動を行う。
この相対的な回転運動によっ対向電極31とELC膜41bとの対向する面の重なり面積が変化する。これによって、ELC膜41bに帯電された電荷が移動し、導電性シール70Gと、配線56G〜58Gとを介して、負荷50に電流が流れる。
このとき、軸軌道盤91Gの回転に伴うスラスト軸受9Gのスラスト方向の回転振れによって、対向電極31とELC膜41bとの対向面間距離Lが変化するが、第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gは、対向面間距離Lの変化範囲を20μm以上70μm以下の範囲内に抑える回転振れ精度を有する等級のスラスト軸受9Gから構成されている。
これにより、対向電極31とELC膜41bの20μm未満の距離への接近に伴うクーロン力の影響による回転抵抗の発生、接触による損壊及び放電現象による発電量の減少を防ぐことができる。加えて、対向電極31とELC膜41bの70μmよりも遠い距離への離間に伴う静電気力の弱まりによる発電量の減少を防ぐことが可能である。
また、軸軌道盤91Gの回転に伴うスラスト軸受9Gのラジアル方向の振れによって、ELC膜41bが、対向電極31に対してラジアル方向に相対的に移動する。しかし、第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gは、ラジアル方向の一方向の最大振れ幅d1と他方向の最大振れ幅d2との加算値(d1+d2)分だけ対向電極のラジアル方向の幅をELC膜41bのラジアル方向の幅よりも大きく構成している。
これにより、対向電極31及びELC膜41bのラジアル方向の移動による重なり面積の変化を防止又は低減することが可能となる。その結果、発電量を安定化することが可能となる。
また、第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gは、基板支持部94によって、エレクトレット基板4Gをハウジング軌道盤90Gの近くに配設するようにした。これによって、軸軌道盤91Gの近くに配設するよりも回転速度を上げることが可能となるので、発電電圧を上げることが可能となる。
また、第5実施形態の第7の転がり軸受装置1Gは、スラスト軸受9Gの転動体92を、セラミックス等の絶縁材料から構成している。これにより、発電によるハウジング軌道盤90Gと軸軌道盤91Gとの電位差による電食の発生を防止又は低減することが可能となる。
(変形例)
(1)上記第1〜第5実施形態では、対向電極31及びELC膜41bの対向面間距離Lの変化方向と直交する方向(スラスト方向又はラジアル方向)の幅を、ELC膜41bの幅よりも対向電極31の幅の方を回転による振れ幅分だけ長くする構成とした。この構成に限らず、ELC膜41bの上記直交する方向の幅を対向電極31の幅よりも回転による振れ幅分だけ長くする構成としてもよい。
(2)上記第1〜第5実施形態では、電極基板及びエレクトレット基板を、転がり軸受の内輪(又は軸軌道盤)、外輪(又はハウジング軌道盤)及びハウジングのいずれかに設ける構成とした。この構成に限らず、例えば、スラスト軸受の場合、電極基板又はエレクトレット基板を保持器に設ける等、発電が可能な範囲で他の構成としてもよい。
(3)上記第1〜第5実施形態では、内輪(又は軸軌道盤)及び外輪(又はハウジング軌道盤)との間の電気的接続を確保するために、導電性シール又はスリップリングを用いる構成とした。この構成に限らず、例えば、内輪(又は軸軌道盤)又は外輪(又はハウジング軌道盤)のいずれか一方に、いずれか他方と相対回転可能に接触する導電性のブラシを設ける構成など他の構成としてもよい。
(4)上記第1〜第3実施形態では、転がり軸受の外輪に設けられた溝に、ハウジングに設けられた取付爪部を嵌め込むことでハウジングを転がり軸受に取り付ける構成としたが、この構成に限らない。例えば、図17(c)に示す取付構成としてもよい。具体的に、図17(a)の軸方向断面図に示すように、転がり軸受装置を構成するラジアル軸受の外輪の外周面に取付段差部24を設ける。一方、図17(b)の軸方向断面図に示すように、転がり軸受装置を構成するハウジングを、円環形状の底部60と、底部60の外径側端部に軸方向に突出形成された円筒状の突出部61とを備えるハウジング6Eから構成する。このハウジング6Eは、上記第1実施形態のハウジング6から取付爪部62を無くした形状となる。また、このハウジング6E(突出部61)の内径は、取付段差部24の外径よりもわずかに小さく構成する。そして、図17(c)に示すように、取付段差部24の外周面にハウジング6Eの突出部61を外側から嵌め込むことで、わずかに小さな内径の突出部61の弾性力によって、ハウジング6Eを転がり軸受の外輪に固定支持することができる。
また、上記各実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1A〜1G 第1〜第7の転がり軸受装置、2,2C,2D ラジアル軸受、3,3C〜3G 電極基板、4,4C〜4G エレクトレット基板、5,5E,5G 回路基板、6,6C,6E,6G ハウジング、9,9F,9G スラスト軸受、20 外輪、21,21C 内輪、22,92 転動体、23,93 基板支持部、31 対向電極、41 エレクトレット電極、50 負荷、70,70C,70E,70G 導電性シール、90,90F,90G ハウジング軌道盤、91,91F,91G 軸軌道盤

Claims (7)

  1. 回転輪と静止輪と前記回転輪及び前記静止輪との間に転動自在に設けられた転動体とを有する転がり軸受と、
    前記転がり軸受の前記回転輪と前記転がり軸受の前記静止輪側の部材とのいずれか一方に設けられた、エレクトレット材料によって形成されたエレクトレット電極と、
    前記回転輪と前記静止輪側の部材とのいずれか他方に前記エレクトレット電極と対向するように設けられた対向電極と、
    前記エレクトレット電極と前記対向電極とを負荷に接続する回路と、を備え、
    前記転がり軸受を、該転がり軸受のラジアル方向又はスラスト方向の回転振れによる前記エレクトレット電極と前記対向電極との対向面間距離の変化範囲を20μm以上70μm以下に抑える回転振れ精度を有する構成とした転がり軸受装置。
  2. 前記静止輪側の部材は、前記静止輪及び該静止輪に取り付けられるハウジングである請求項1に記載の転がり軸受装置。
  3. 前記回転輪及び前記静止輪のいずれか一方の端面又は周面に前記エレクトレット電極を設け、前記回転輪及び前記静止輪のいずれか他方の端面又は周面のうち、前記エレクトレット電極と対向する端面又は周面に前記対向電極を設けた請求項2に記載の転がり軸受装置。
  4. 前記回転輪の端面又は周面に、前記エレクトレット電極又は前記対向電極のいずれか一方を設け、前記ハウジングの前記エレクトレット電極又は前記対向電極のいずれか一方と対向する面に前記エレクトレット電極又は前記対向電極のいずれか他方を設けた請求項2に記載の転がり軸受装置。
  5. 前記転がり軸受の前記対向面間距離の変化方向と交差する方向の振れ幅の分だけ、前記エレクトレット電極及び前記対向電極のいずれか一方の前記交差する方向の幅を他方よりも大きくした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
  6. 前記エレクトレット電極と前記対向電極とを負荷に接続する回路は、スリップリング又は導電性シールを含んで構成されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
  7. 前記転動体が絶縁材料から構成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
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