JP2016074991A - 着色グラシン紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】くすみのない鮮やかな色相を有する着色グラシン紙を提供することを課題とするものである。
【解決手段】少なくともパルプと有色の蛍光顔料とを含有し、坪量が42g/m2以下、密度が1.00g/cm3以上、透明度が60%以上である、着色グラシン紙。蛍光顔料の種類により、オレンジ系、グリーン系、ピンク系、イエロー系、その他の所望の色相となる。パルプとして晒クラフトパルプを使用し、また、定着剤を含有することが好ましい。本発明の着色グラシン紙は、薄い半透明の紙として各種の包装や容器用、封筒の透明窓用、離型紙用、保香や防湿などの機能紙用をはじめ様々な用途に使用することができる。
【選択図】なし
【解決手段】少なくともパルプと有色の蛍光顔料とを含有し、坪量が42g/m2以下、密度が1.00g/cm3以上、透明度が60%以上である、着色グラシン紙。蛍光顔料の種類により、オレンジ系、グリーン系、ピンク系、イエロー系、その他の所望の色相となる。パルプとして晒クラフトパルプを使用し、また、定着剤を含有することが好ましい。本発明の着色グラシン紙は、薄い半透明の紙として各種の包装や容器用、封筒の透明窓用、離型紙用、保香や防湿などの機能紙用をはじめ様々な用途に使用することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、着色グラシン紙に関するものであり、より詳細には、くすみの無い鮮やかな色相の発現を可能にした着色グラシン紙に関するものである。
グラシン紙は、高密度ですりガラスに似た透明性を有するもので、トレーシングペーパーのように半透明に抄造された紙であり、一般に、高度に叩解処理した化学パルプを用いて抄造された紙を、スーパーカレンダー等の仕上げ設備で緻密化して製造される。グラシン紙は、通常の紙よりも薄く透明性があるため、食品包装用、医薬品の包装用、板紙と貼合わせた経木箱、打ち抜き成型してケーキやチョコレートなどのカップ、封筒の透明窓用等とさまざまな用途に使用されている。その他シリコンなどの離型剤を塗工して粘着テープ、ラベルなどの離型紙として、また塩化ビニリデン、ワックスなどを塗工して保香紙、防湿紙などとしても使用されている。このように、グラシン紙は、様々な用途に使用されており、その目的によっては、原料に二酸化チタンを配合し透明でなく不透明にした乳白グラシン紙や、染料を添加して色をつけたカラーグラシン紙などもある。
着色された紙を製造する場合、従来、パルプ原料に染料を添加して抄紙する方法が知られており、抄紙機に一定量のパルプスラリーを供給するパルプ原料調整工程のミキシングボックス又はチェスト等に、一定量の染料を連続添加し、パルプに染料を定着させる方法がある。しかし、この方法では、添加されるのが染料だけであるため、色の風合いは増すものの、色相の鮮やかさに欠ける欠点がある。
また、濃厚で鮮明な色相を有し、且つ、耐水性の良好な着色紙の製造方法として、アニオン性直接染料、硫酸バンド、塩基性染料、定着剤、カチオン性直接染料をこの順に添加してパルプをバッチ染色し、抄紙する着色紙の製造方法が提案されている(特許文献1:特開2006−183169号公報)。
しかし、この特許文献1のアニオン性直接染料、硫酸バンド、塩基性染料、定着剤、カチオン性直接染料をこの順に添加してパルプをバッチ染色する製造方法の場合は、濃厚で鮮明な色相を具有させることは可能であるが、バッチ染色方法であって定着時間が長くとれるために定着率が高く、濃色の製造には有利であるものの、調色がバッチ毎にしかできないために色相の微調整が難しく、目的の色相に調整するのに時間がかかり、また、生産量の多い抄紙機では、着色損紙が大量に発生するという問題がある。
また、従来無かった全く新しい蛍光発色紙として、蛍光性物質を水溶性高分子物質及び填料と共に紙葉中に分散せしめたことを特徴とする蛍光発色紙の提案がなされている(特許文献2:特開2000−345495号公報)。しかし、この特許文献2に記載の発明の場合は、紙面全体に星状に蛍光凝集粒が発光し、従来にない蛍光発色紙を得ることはできるものの、くすみのない鮮やかな色相が得られないという問題があった。
更に、染料や顔料の紙への定着に優れ、均一な染色が出来、しかも容易に種々の色相に染色できる新規且つ改良された製造方法として、数平均繊維長が0.05〜0.3mm、軸比が50以上、かつ保水値が250%以上の微細フィブリル化セルロースに染顔料を担時せしめた洗顔料キャリヤーを、製紙用パルプを主材として調成した紙料に添加して混合した後、この紙料を抄紙することを特徴とする染色紙の製造方法の提案もある(特許文献3:特開平7−324300号公報)。
この特許文献3の方法の場合は、紙への定着性に優れ、均一な染色が可能とはなるが、脱墨古紙パルプを使用する場合は、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とすることになるため、当然のことながら、平均繊維長や軸比は様々なものとなる。そして、これを特定の繊維長とするためには、機械的せん断力を与えたり、せん断に化学処理を併用したりして微細化しなければならず、そのためには新たな設備や動力等が必要となるところから、その微細化は容易にはなし得ないという問題が生ずる。
このように、従来提案されている着色紙ないし蛍光発色紙の場合は、色相の鮮やかさに欠けるとか、色相の微調整が難しいとか、着色損紙が大量に発生するとか、あるいは、原料とする無選別古紙を特定の繊維長にするためのせん断処理等にコストがかかり、容易にはなし得ないといったような問題があった。
本発明は、このような従来の製造方法における諸問題に鑑みてなされたもので、このような問題がなく、しかも、くすみのない鮮やかな色相の蛍光着色を有するグラシン紙を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、蛍光顔料を含有することに想い至り、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は、少なくともパルプと有色の蛍光顔料とを含有し、坪量が42g/m2以下、密度が1.00g/cm3以上、透明度が60%以上である、着色グラシン紙に関する。
本発明に係る着色グラシン紙は、蛍光顔料を含有することによって着色させたものであり、くすみのない鮮やかな色相を発現するものであり、本発明に係る方法によれば、そのような特徴を有するオレンジ系、グリーン系、ピンク系、イエロー系などの蛍光着色を有するグラシン紙を、効率的に得ることができる効果がある。
本発明に係る蛍光着色を有するグラシン紙は、パルプと蛍光顔料を含有し、着色させた蛍光着色紙であって、坪量が42g/m2以下、密度が1.00g/cm3以上、透明度が60%以上であることを特徴とするものである。
本発明において使用するパルプは特に制限されず、例えば、晒クラフトパルプを使用することが好ましい。晒クラフトパルプとしては、樹種は特に制限されず、LBKP、NBKPをそれぞれ単独又は適宜混合して使用することができる。また、晒クラフトパルプに加えて古紙パルプを使用することもできる。
本発明において、蛍光顔料は鮮やかさ増の作用を奏するところに特徴があり、蛍光顔料を含有することにより、くすみのない鮮やかな色相を得ることが可能となる。本発明において用いる蛍光顔料は着色用であって、水や油や有機溶剤に不溶又は難溶であり、分散状態で存在する粉体である。蛍光顔料には有機蛍光顔料と無機蛍光顔料とがあり、そのいずれも使用可能であるが、耐光性に優れ、色が鮮明であるという点からして、有機蛍光顔料を用いることが好ましい。また、本発明では、補色を目的として染料を添加することができる。染料は色の風合い増の作用を奏する。染料としては、直接染料、塩基性染料などが使用可能であるが、好ましくは、塩基性染料を用いることとする。
以下、本発明の具体的実施態様の一例として、オレンジ系、グリーン系、ピンク系、イエロー系の各着色グラシン紙について説明するが、本発明はこれらの色系に限定されるものではなく、各種色の蛍光顔料を単独又は併用して、さらに、必要に応じて各種色の染料を併用することによって、所望の着色を有するグラシン紙を得ることができる。
オレンジ系の着色グラシン紙を得るには、オレンジ色蛍光顔料、ピンク色蛍光顔料、黄色染料を、単独又は併用して用いることができる。特に、鮮やかなオレンジ系の着色が得られることから、ピンク色の蛍光顔料と黄色の染料を併用することがより好ましい。オレンジ色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−114 Orange」シンロイヒ株式会社製、ピンク色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製、黄色の染料としては、例えばメチン系カチオン染料「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
添加量は、所望のオレンジ系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、オレンジ色の蛍光顔料は対パルプ10%以上、ピンク色の蛍光顔料は対パルプ3〜10%(好ましくは対パルプ5%以上)、黄色の染料は対パルプ0.3〜1.5%(好ましくは対パルプ0.5%以上)とすることが好ましい。これらは適宜調整することができる。なお、ここにおける蛍光顔料及び染料の添加量、並びに、以下に述べる蛍光顔料及び染料の添加量は、有姿での添加である。
オレンジ系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が70以上、a*値が40以上、b*値が45以上、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が70未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が40未満であると赤色が弱くなり、b*値が45未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
添加量は、所望のオレンジ系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、オレンジ色の蛍光顔料は対パルプ10%以上、ピンク色の蛍光顔料は対パルプ3〜10%(好ましくは対パルプ5%以上)、黄色の染料は対パルプ0.3〜1.5%(好ましくは対パルプ0.5%以上)とすることが好ましい。これらは適宜調整することができる。なお、ここにおける蛍光顔料及び染料の添加量、並びに、以下に述べる蛍光顔料及び染料の添加量は、有姿での添加である。
オレンジ系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が70以上、a*値が40以上、b*値が45以上、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が70未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が40未満であると赤色が弱くなり、b*値が45未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
グリーン系の着色グラシン紙を得るには、グリーン色蛍光顔料、黄色蛍光顔料、青色蛍光顔料を、単独又は併用して用いることができる。特に、鮮やかなグリーン系の着色が得られることから、黄色と青色の蛍光顔料を併用することがより好ましい。グリーン色蛍光顔料としては、例えば水分散体型SW−112Green(シンロイヒ株式会社製)、黄色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型SW−115Lemon Yellow(シンロイヒ株式会社製)、青色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型SW−128Blue(シンロイヒ株式会社製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
添加量は、所望のグリーン系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、グリーン系の蛍光顔料は対パルプ10%以上、黄色の蛍光顔料は対パルプ2〜8%、青色の蛍光顔料は対パルプ1〜5%とすることが好ましい。また、染料を併用することができ、青色が強くなるとくすんだグリーンとなるため、黄色染料を添加することが好ましく、添加量としては対パルプ0.2〜0.8%とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
グリーン系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が80以上、a*値が−30以下、b*値が55以上、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が80未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が−30を超えると緑色が弱くなり、b*値が55未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
添加量は、所望のグリーン系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、グリーン系の蛍光顔料は対パルプ10%以上、黄色の蛍光顔料は対パルプ2〜8%、青色の蛍光顔料は対パルプ1〜5%とすることが好ましい。また、染料を併用することができ、青色が強くなるとくすんだグリーンとなるため、黄色染料を添加することが好ましく、添加量としては対パルプ0.2〜0.8%とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
グリーン系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が80以上、a*値が−30以下、b*値が55以上、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が80未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が−30を超えると緑色が弱くなり、b*値が55未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
ピンク系の着色グラシン紙を得るには、鮮やかなピンク系の着色が得られることから、ピンク色蛍光顔料を用いることができる。ピンク色の蛍光顔料としては、例えば例えば水分散体型「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
添加量は、所望のピンク系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、ピンク色の蛍光顔料は対パルプ5〜15%とすることが好ましい。また、染料を併用することができるが、黄色染料の場合、黄色が強くなるとくすんだピンクとなるため、添加量としては対パルプ0.01%以下とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
ピンク系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が70以上、a*値が40以上、b*値が0以下、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が70未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が40未満であると赤色が弱くなり、b*値が0を超えると黄色が強くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
添加量は、所望のピンク系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、ピンク色の蛍光顔料は対パルプ5〜15%とすることが好ましい。また、染料を併用することができるが、黄色染料の場合、黄色が強くなるとくすんだピンクとなるため、添加量としては対パルプ0.01%以下とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
ピンク系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が70以上、a*値が40以上、b*値が0以下、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が70未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が40未満であると赤色が弱くなり、b*値が0を超えると黄色が強くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
イエロー系の着色グラシン紙を得るには、鮮やかなイエロー系の着色が得られることから、黄色蛍光顔料を用いることができる。黄色の蛍光顔料としては、例えば上記した水分散体型SW−115Lemon Yellow(シンロイヒ株式会社製)、などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
添加量は、所望のイエロー系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、黄色蛍光顔料は対パルプ2〜8%とすることが好ましい。また、染料を併用することができ、黄色染料の場合、添加量としては対パルプ0.2〜0.8%とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
イエロー系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が90以上、a*値が−20以下、b*値が70以上、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が90未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が−20を超えると緑色が弱くなり、b*値が70未満であると黄色が強くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
添加量は、所望のイエロー系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、黄色蛍光顔料は対パルプ2〜8%とすることが好ましい。また、染料を併用することができ、黄色染料の場合、添加量としては対パルプ0.2〜0.8%とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
イエロー系の色相としては、着色グラシン紙のカラーL*値が90以上、a*値が−20以下、b*値が70以上、蛍光強度が0.1以上であることが好ましい。カラーL*値が90未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が−20を超えると緑色が弱くなり、b*値が70未満であると黄色が強くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.1未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかな着色グラシン紙となる。
また、本発明では、鮮明な色相を得るために、定着剤を含有することが好ましい。定着剤としては、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン重縮合物を挙げることができる。その添加率としては、全パルプ固形分に対して0.01〜3.5質量%添加とすることが好ましいが、適宜調整することができる。
また、本発明の場合、蛍光顔料のパルプ繊維への定着効果をより上げるために、硫酸バンドを添加することができる。その添加率としては、対パルプ0.5〜2%添加とすることが好ましいが、適宜調整することができる。なお、ここにおける硫酸バンドの添加量は、有姿での添加である。
本発明の上記着色グラシン紙を製造する好ましい方法としては、抄紙機に原料を供給するパルプ原料調整工程のミキシングボックス又はマシンチェスト内に、パルプ原料と共に一定量の蛍光顔料を連続添加して混合し、あるいは、前記ミキシングボックス又はマシンチェストに通じるパルプ原料配管の途中に配備されるスタティックミキサー内にパルプ原料と共に一定量の蛍光顔料を連続添加して混合することによって、前記パルプ原料に前記蛍光顔料を定着させ、染色された前記パルプ原料を抄紙する。定着剤を添加する場合は、蛍光顔料と共に添加する。このようにミキシングボックスやスタティックミキサーで混合すると、パルプ原料と蛍光顔料がよりよく混合され、ムラのない染色混合物が生成される。
さらに、本発明では、サイズプレス工程を設けて、サイズプレスにおいて塗布している塗工液に蛍光顔料及び/又は染料を添加することによって、補色することができる。塗工液は、水のみでも良いし、澱粉系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、セルロース系等の水溶性高分子、スチレン・ブタジエン系等の各種共重合体(ラテックス)を含有しても良い。これらは単独又は2種類以上混合して用いられる。本発明では水又は澱粉系が好ましい。この場合の蛍光顔料及び/又は染料の添加率としては、特に限定されないが、対水0.01〜10%濃度程度が好ましい。
また、色相に表裏差がある場合も、色相を調整したい面側に蛍光顔料及び/又は染料を外添することができる。その添加率としては、対水0.1〜0.4%添加とすることが好ましいが、適宜調整することができる。
色の調整は、抄紙機ドライヤーパートの後に設置されているオンラインカラー計において抄紙後の着色グラシン紙の色相を測定し、その測定結果に応じ、前記蛍光顔料の前記ミキシングボックス又は前記マシンチェストへの添加量の調整を行うことができる。さらに、リールパートで巻き上がった製品を調湿して色差計で測定し、より高精度に色相を調整するようにすることもできる。
以上、本発明の着色グラシン紙を製造するにあたり、好ましい実施態様として蛍光顔料を内添する場合について説明したが、本発明は内添に制限されるものではなく、蛍光顔料を外添して含有させても良い。内添の方が着色紙断裁面の切り口を均一に染色することができるため望ましい。外添の方法は特に限定されず、例えば、サイズプレス工程において蛍光顔料を含有する塗工液を塗布する方法や、別途塗工工程を設けて蛍光顔料を含有する塗工液を塗布する方法等が挙げられる。塗工液には、有機又は無機顔料や添加剤を含有することができる。
上記の他、本発明の着色グラシン紙は、グラシン紙の製造方法として従来知られた方法に従い製造することができる。即ち、原料パルプを高叩解して抄造し、さらにスーパーカレンダー等で仕上げして得ることができる。叩解の程度は特に限定されないが、本発明の着色グラシン紙をJIS P−8220に規定されたパルプ離解方法で離解してJIS P−8121に規定される方法に従い離解フリーネスを測定したとき、離解フリーネスが50ml以下であることが好ましい。
また、グラシン紙は、いわゆるフィルムとは異なって木材パルプ繊維による網目状絡合構造からなり、ミクロンオーダーの気孔を有し透気性などフィルムにはない機能をもつものである。本来、セルロース自体は透明性の高い物質で、セロファンのようなフィルム類に近い透明性を持っており、グラシン紙においてはセルロース繊維間に存在する空隙により不透明性をもたらすこととなる。そして、セルロースと空気の光屈折率の差が透明性を阻害する要因となるため、グラシン紙の製造では内在する空気を除去して透明性を向上させるために、多段のスーパーカレンダーをはじめ種々な方法が採られている。本発明において、スーパーカレンダー等の処理条件は特に制限されず、グラシン紙製造における一般的な範囲で行うことができる。
本発明の着色グラシン紙は、坪量が42g/m2以下(好ましくは40g/m2以下)、密度が1.00g/cm3以上(好ましくは1.10g/cm3以上)、透明度が60%以上(好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上)であり、薄い半透明の紙として各種の包装や容器用、封筒の透明窓用、離型紙用、保香や防湿などの機能紙用をはじめ様々な用途に使用することができる。坪量が坪量42g/m2を超えると、紙層内の空隙が多くなりスーパーカレンダー等で処理しても良好な透明性が得られない。密度が1.00g/cm3未満でも、同じく良好な透明性が得られない。透明度が65%未満でも、グラシン紙として良好な透明性が得られない。また、本発明の着色グラシン紙は、王研式平滑度が2000秒以上であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明するが、言うまでもなく、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、本明細書において、数値範囲はその端点を含むものとして記載されている。
実施例1 (オレンジ)
LBKP(ろ水度25mlCSF)とNBKP(ろ水度25mlCSF)を60:40質量%の配合割合で混合したパルプスラリーに、パルプ絶乾質量当たり、定着剤(商品名「ジェットフィックスPA−401」里田化工株式会社製)を2.0質量%、ピンク蛍光顔料(商品名「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製)を7.0有姿%、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製)を0.6有姿%、硫酸バンドを1.5有姿%添加した後、坪量30.0/m2となるように手抄シートを作成し、色相を測定した。(定着剤、蛍光顔料、染料、硫酸バンドの配合率を表1に示す。以下同じ。)
LBKP(ろ水度25mlCSF)とNBKP(ろ水度25mlCSF)を60:40質量%の配合割合で混合したパルプスラリーに、パルプ絶乾質量当たり、定着剤(商品名「ジェットフィックスPA−401」里田化工株式会社製)を2.0質量%、ピンク蛍光顔料(商品名「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製)を7.0有姿%、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製)を0.6有姿%、硫酸バンドを1.5有姿%添加した後、坪量30.0/m2となるように手抄シートを作成し、色相を測定した。(定着剤、蛍光顔料、染料、硫酸バンドの配合率を表1に示す。以下同じ。)
実施例2 (薄オレンジ)
ピンク蛍光顔料の添加率を3.5有姿%、イエロー染料の添加率を0.3有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
ピンク蛍光顔料の添加率を3.5有姿%、イエロー染料の添加率を0.3有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例3 (オレンジ)
坪量が40.0g/m2となるようにした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
坪量が40.0g/m2となるようにした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例4 (グリーン)
定着剤の添加率を2.5質量%対パルプ、イエロー蛍光顔料(商品名「SW−115Lemon Yellow」シンロイヒ株式会社製)の添加率を4.0有姿%、ブルー蛍光顔料(商品名「SW−128Blue」シンロイヒ株式会社製)の添加率を2.0有姿%、イエロー染料を0.5有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
定着剤の添加率を2.5質量%対パルプ、イエロー蛍光顔料(商品名「SW−115Lemon Yellow」シンロイヒ株式会社製)の添加率を4.0有姿%、ブルー蛍光顔料(商品名「SW−128Blue」シンロイヒ株式会社製)の添加率を2.0有姿%、イエロー染料を0.5有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例5 (薄グリーン)
定着剤の添加率を2.5質量%、イエロー蛍光顔料の添加率を2.0有姿%、ブルー蛍光顔料の添加率を1.0有姿%、イエロー染料の添加率を0.25有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
定着剤の添加率を2.5質量%、イエロー蛍光顔料の添加率を2.0有姿%、ブルー蛍光顔料の添加率を1.0有姿%、イエロー染料の添加率を0.25有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例6 (ピンク)
定着剤の添加率を2.5質量%、ピンク蛍光顔料の添加率を10.0有姿%、イエロー染料の添加率を0%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
定着剤の添加率を2.5質量%、ピンク蛍光顔料の添加率を10.0有姿%、イエロー染料の添加率を0%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例7 (薄ピンク)
定着剤の添加率を2.5質量%、ピンク蛍光顔料の添加率を5.0有姿%、イエロー染料の添加率を0%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
定着剤の添加率を2.5質量%、ピンク蛍光顔料の添加率を5.0有姿%、イエロー染料の添加率を0%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例8 (イエロー)
定着剤の添加率を0.5質量%、イエロー蛍光顔料の添加率を5.0有姿%、ピンク蛍光顔料の添加率を0%、イエロー染料の添加率を0.5有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
定着剤の添加率を0.5質量%、イエロー蛍光顔料の添加率を5.0有姿%、ピンク蛍光顔料の添加率を0%、イエロー染料の添加率を0.5有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
実施例9 (薄イエロー)
定着剤の添加率を0.5質量%、イエロー蛍光顔料の添加率を2.5有姿%、ピンク蛍光顔料の添加率を0%、イエロー染料の添加率を0.25有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
定着剤の添加率を0.5質量%、イエロー蛍光顔料の添加率を2.5有姿%、ピンク蛍光顔料の添加率を0%、イエロー染料の添加率を0.25有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
比較例1 (イエロー)
ピンク蛍光顔料の添加率を0%、イエロー染料の添加率を2.5有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
ピンク蛍光顔料の添加率を0%、イエロー染料の添加率を2.5有姿%とした以外は実施例1と同様に手抄シートを作成し、色相を測定した。
評価方法
坪量:坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
密度:JIS P 8118に準じて測定した。
透明度:村上色彩白色度計、色差値(UV−IN)JIS P8149に準拠して不透明度を測定し、100%から不透明度を差し引いたものを透明度とした。
色相:上記条件で抄紙した各着色グラシン紙につき、村上色彩白色度計を用いて測定したL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の計測値を表1に示す。表中の鮮明さの評価は目視によるものである。なお、色相は、村上色彩白色度計、色差値(UV−IN) JISP8150に準拠して測定し、蛍光強度は、村上色彩白色度計、JISP8148に準拠して測定した。
坪量:坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
密度:JIS P 8118に準じて測定した。
透明度:村上色彩白色度計、色差値(UV−IN)JIS P8149に準拠して不透明度を測定し、100%から不透明度を差し引いたものを透明度とした。
色相:上記条件で抄紙した各着色グラシン紙につき、村上色彩白色度計を用いて測定したL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の計測値を表1に示す。表中の鮮明さの評価は目視によるものである。なお、色相は、村上色彩白色度計、色差値(UV−IN) JISP8150に準拠して測定し、蛍光強度は、村上色彩白色度計、JISP8148に準拠して測定した。
表1に示す通り、本発明の実施例1〜9によれば、くすみのない鮮やかな色相の着色グラシン紙が得られた。一方、蛍光顔料を含有せず、染料を使用した比較例1の着色グラシン紙はくすんでおり、鮮やかな色相が得られなかった。
Claims (7)
- 少なくともパルプと有色の蛍光顔料とを含有し、坪量が42g/m2以下、密度が1.00g/cm3以上、透明度が60%以上である、着色グラシン紙。
- パルプが晒クラフトパルプである、請求項1又は2に記載の着色グラシン紙。
- 定着剤を含有する、請求項1に記載の着色グラシン紙。
- オレンジ系に着色した請求項1〜3のいずれかに記載の着色グラシン紙。
- グリーン系に着色した請求項1〜3のいずれかに記載の着色グラシン紙。
- ピンク系に着色した請求項1〜3のいずれかに記載の着色グラシン紙。
- イエロー系に着色した請求項1〜3のいずれかに記載の着色グラシン紙。
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- 2014-10-03 JP JP2014204468A patent/JP2016074991A/ja active Pending
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