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JP2016066700A - パワー半導体モジュール - Google Patents

パワー半導体モジュール Download PDF

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JP2016066700A JP2014194626A JP2014194626A JP2016066700A JP 2016066700 A JP2016066700 A JP 2016066700A JP 2014194626 A JP2014194626 A JP 2014194626A JP 2014194626 A JP2014194626 A JP 2014194626A JP 2016066700 A JP2016066700 A JP 2016066700A
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英一 井出
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Abstract

【課題】組立性に優れ、小型化が可能なパワー半導体モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係るパワー半導体モジュールは、パワー半導体素子と、前記パワー半導体素子のエミッタパッドと金属接合部材を介して電気的に接続されるエミッタ導体と、前記パワー半導体素子のゲートパッドと金属接合部材を介して接続されるゲート導体と、前記エミッタ導体及び前記ゲート導体を実装する第1絶縁基板と、を備え、前記エミッタ導体は、前記エミッタパッドに向かって突出するとともに前記金属接合部材を介して当該エミッタパッドと接続される突出部を有し、前記ゲート導体は、前記突出部の前記突出方向に沿って形成される突起部を有し、前記突起部は、前記突出方向における当該突起部の高さを調整する調整部を有する。
【選択図】 図6

Description

本発明はパワー半導体モジュールに関し、特に大電流を制御する電力変換用のパワー半導体モジュールに関する。
近年、省エネのためにパワー半導体デバイスと呼ばれる半導体素子のスイッチングを利用した高効率な電力変換装置が自動車、鉄道、産業機器、電力機器等広い分野で利用されている。パワー半導体デバイスは、大電流をスイッチング制御するMOSFETチップやIGBTチップと、スイッチング時に発生する逆電圧を開放するダイオードチップを複数搭載する。このように用いられるパワー半導体デバイスは、通電による発熱量が大きく高効率に冷却し小型化できるパワー半導体モジュール構造が求められている。
本発明にかかわる従来技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているような両面冷却型のパワー半導体モジュール構造がある。
特許文献1では、IGBTチップのエミッタ電極とコレクタ電極、ダイオードチップのアノード電極とカソード電極に対し、チップの上下側に高耐圧で高熱伝導なセラミックス基板を設置して、それぞれはんだを用いて電気的に接合している。一方、IGBTチップのゲート電極については、ワイヤボンディングにより、下側のセラミックス基板に電気的に接合している。
特許文献2では、上側のセラミックス基板に回路配線に加え、エミッタ電極とゲート電極とを接合するための突起を高融点なロウ材を用いてさらに設置し、これらを低融点なはんだ材を用いて接合することで、ワイヤボンディングを使用しない構造としている。
特許第4967447号 特許第3879150号
特許文献1の構造では、IGBTチップのゲート電極に対し、ワイヤボンディング技術を用いて電気的に接合すると、下側のセラミックス基板にゲート回路を設ける必要があり、ゲート回路とコレクタ回路の絶縁距離確保のため、パワー半導体モジュールが大きくなる問題があった。
特許文献2の構造では、上側のセラミックス基板にエミッタ回路に加え、ゲート回路を設けた構造としているが、以下の課題があることがわかった。
高熱伝導なセラミックス基板は、熱膨張率が2〜4(ppm/℃)と小さい窒化アルミニウムや窒化珪素等のセラミックスに対し、熱膨張率が17〜23(ppm/℃)の銅やアルミニウムを回路とした構成となっている。高信頼な基板とするために、回路部材は、600〜1000℃という高温でセラミックスに強固に接合する。高温での接合の後に冷却する際、熱膨張差に起因した熱応力により基板が反らないように、回路を設けたセラミックスの裏側にメタライズ層を形成する。また、メタライズ層とゲート回路およびエミッタ回路との体積は、同程度にする必要がある。
これに対し、特許文献2では、セラミックス基板のゲート回路およびエミッタ回路に高融点なロウ材を用いてスペーサを接合した構造としている。この構造では、スペーサ接合後に回路側の体積が大きくなり、接合温度から室温に冷却後にセラミックス基板に反りが発生する。セラミックス基板に反りが発生すると、ゲート回路に設けた突起とIGBTのゲート電極の面内、積層方向で位置ずれが発生する。これにより、未接合によるオープン不良や、ロウ材溢れによるショート不良が発生して組立性に課題が生じた。
また、IGBTチップのゲート電極およびエミッタ電極と各スペーサとの接合、上下セラミックス基板の接合とを同時に行うと、各スペーサ、チップ、接合部材の厚みばらつきが存在し、供給後に隙間を持ち、特に設置面積が小さいゲート電極用のスペーサの位置決めができない課題がある。
IGBTチップのゲート電極の幅や奥行きは、ゲート/コレクタ回路間の絶縁距離を確保するためのスペーサの厚さに比較して小さい。これによりスペーサが自立できないため、供給や接合時の位置決めが困難となる。
また、これらの問題は、両面冷却型パワー半導体モジュールの耐圧を向上させるために、ゲート/コレクタ間の絶縁距離を増加、大電流のためにチップ搭載数を増加する際に顕著になり、組立性の改善が必要となる。
本発明は上記課題に鑑み、組立性に優れ、小型化が可能なパワー半導体モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明に係るパワー半導体モジュールは、パワー半導体素子と、前記パワー半導体素子のエミッタパッドと金属接合部材を介して電気的に接続されるエミッタ導体と、前記パワー半導体素子のゲートパッドと金属接合部材を介して接続されるゲート導体と、前記エミッタ導体及び前記ゲート導体を実装する第1絶縁基板と、を備え、前記エミッタ導体は、前記エミッタパッドに向かって突出するとともに前記金属接合部材を介して当該エミッタパッドと接続される突出部を有し、前記ゲート導体は、前記突出部の前記突出方向に沿って形成される突起部を有し、前記突起部は、前記突出方向における当該突起部の高さを調整する調整部を有する。
また本発明に係るパワー半導体モジュールは、前記ゲート導体と接続されるゲート端子と、前記エミッタ導体と接続されるエミッタ端子と、コレクタ端子と、を備え、前記ゲート端子と前記エミッタ端子と前記コレクタ端子は、前記ゲート端子の所定面と前記エミッタ端子の所定面と前記コレクタ端子の所定面が同一平面状に沿うように形成される。
パワー半導体モジュールの組立性、小型化を可能とするパワー半導体モジュールを提供できる。
本実施形態に関するパワー半導体モジュール901の斜視図である。 図1に示されるパワー半導体モジュール901の回路構成図である。 図1のパワー半導体モジュール901から封止材11を取り除いた斜視図である。 本実施形態に係るIGBT100の斜視図である。 図3に示されたセラミックス基板12の放熱部402と絶縁層302を除いたパワー半導体モジュール901の斜視図である。 図1の点線AA’部を矢印方向からみた断面図である。 セラミックス基板12とセラミックス基板13にIGBT100とDiode110を搭載する組立工程を示す斜視図である。 トランスファーモールド工程後の外観斜視図を示している。 他の実施形態に係り、図1のAA’ 断面であり、ゲート端子21が封止材11から引き出されている断面を示している 他の実施形態に係り、図1のBB’断面であり、エミッタ端子22が封止材11から引き出されている断面を示している。 他の実施形態に係り、図1のCC’断面であり、コレクタ端子23が封止材11から引き出されている断面を示している。 本発明の変形例であるパワー半導体モジュール903の断面模式図である。 本発明の変形例であるパワー半導体モジュール904の断面模式図である。 本発明の変形例であるパワー半導体モジュール905の断面模式図である。 他の実施形態に係るパワー半導体モジュール906の外観斜視図である。 パワー半導体モジュール906に対応する2in1の回路構成図である。 封止部11とセラミックス基板12の絶縁層302と放熱部402を除いたパワー半導体モジュール906の斜視図である。 図15のAA´を通る面から見たパワー半導体モジュール906の断面図である。 図15の点線DD’を通る平面から見たパワー半導体モジュール906の断面図であり、奥行き方向にある上アームIGBT100Uは省略している。
《第一の実施形態》
本実施形態に関するパワー半導体モジュールの一例を図1から図6を用いて説明する。
図1は、本実施形態に関するパワー半導体モジュール901の斜視図である。図2は、図1に示されるパワー半導体モジュール901の回路構成図である。
表面に位置する放熱面42と裏面に位置する放熱面43(図示せず)は、パワー半導体モジュール901の放熱面であり、互いに対向する。また、制御端子を構成するゲート端子21及びセンスエミッタ端子25、主電流を流すパワー端子を構成するエミッタ端子22及びコレクタ端子23は、同一方向に引き出されている。封止部11は、ゲート端子21、エミッタ端子22、コレクタ端子23、センスエミッタ端子25と放熱面42、放熱面43を除く領域に充填されている。
図3は、図1のパワー半導体モジュール901から封止材11を取り除いた斜視図である。本実施形態では、パワー半導体モジュール901に搭載されるパワー半導体デバイスとして、2枚のIGBT100および2枚のダイオード110が設けられている。2枚のIGBT100および2枚のダイオード110は、セラミックス基板12とセラミックス基板13の間に配置される。セラミックス基板12は、IGBT100やダイオード110が配置された側に回路パターンを構成するエミッタ回路202(図5に後述)を設け、かつIGBT100やダイオード110とは反対側に放熱部402を設ける。またセラミックス基板12は、エミッタ回路202と放熱部402の間に、セラミックス製の絶縁層302を設ける。セラミックス基板13は、IGBT100やダイオード110が配置された側に回路パターンを構成するコレクタ回路203(図5に後述)を設け、かつIGBT100やダイオード110とは反対側に放熱部403(不図示)を設ける。またセラミックス基板13は、エミッタ回路203と放熱部403の間に、セラミックス製の絶縁層303を設ける。
図4は、本実施形態に係るIGBT100の斜視図である。IGBT100の表面側には、主電極となるエミッタ電極102と制御電極であるゲート電極101、裏面側には主電極となるコレクタ電極103が設けられている。
エミッタ電極102は大電流を通電するため、ゲート電極101に比較して大きな占有面積を有している。本実施形態では、IGBT100表面の制御電極をゲート電極101のみとしたが、例えば、センスエミッタ電極やサーミスタ電極等、複数の制御電極を設けてもよい。その場合も、ゲート電極101に対して、後述する本実施形態に係る構成を適用することが可能である。また、IGBT100がMOSFETであっても同様に適用可能である。
図5は、図3に示されたセラミックス基板12の放熱部402と絶縁層302を除いたパワー半導体モジュール901の斜視図である。IGBT100のコレクタ電極103(図5中では不図示)とダイオード110のカソード電極113(図5中では不図示)は、コレクタ回路203に電気的に接続される。IGBT100のエミッタ電極102(図3参照)とダイオード110のアノード電極112(図3参照)はエミッタ回路202に電気的に接続される。IGBT100のゲート電極101は、突起部201Aを介して、ゲート回路201に電気的に接続される。また、エミッタ端子22、エミッタセンス端子25、ゲート端子21、ゲート回路201、エミッタ回路202は、図3に示される絶縁層302に機械的に接続され一体化されている。
図6は、図1の点線AA’部を矢印方向からみた断面図である。
IGBT100のコレクタ電極103は、金属接合部803を介してコレクタ回路203に電気的に接合されている。IGBT100のエミッタ電極102は、金属接合部802及び突出部202Aを介してエミッタ回路202に電気的に接合されている。IGBT100のゲート電極101は、突起部201Aと金属接合部801を介してゲート回路201に電気的に接合されている。
突起部201Aは、その一方の端部がゲート電極101と対向する位置に配置される。そして突起部201Aは、その一方の端部からゲート回路201まで延ばされ、ゲート回路201と繋がる。本実施形態においては、突起部201Aは、ゲート回路201と機械的に一体に形成され、具体的には一枚の導体板を屈曲することにより形成してもよい。
IGBT100のアクティブ部で発生した熱は、セラミックス基板13を伝熱する経路と、突出部202Aからセラミックス基板12を垂直方向に伝熱する経路の二つを通る。このような二つの放熱経路を有するパワー半導体モジュールを両面冷却型のパワー半導体モジュールと定義する。
大電流が流れることで、発熱量が大きいエミッタ電極102とエミッタ回路202の接合部となる突出部202Aは放熱経路となるため、垂直方向に空間をできるだけ形成しないような構成としている。一方、大電流が流れないゲート電極101の接合部となる突起部201Aは、垂直方向に空間を形成した構成としている。
エミッタ回路202に設けた突出部202Aは、封止材11の絶縁特性から決まるエミッタ回路202とコレクタ回路203の間の絶縁距離を制御する機能を持つ。さらに突出部202Aは、ゲート回路201とコレクタ回路203間の絶縁距離も同時に制御できるよう、以下に述べるように、エミッタ回路202に平行に設置できる構成としている。
突出部202Aは、接合プロセス時に自立できるように、設置面の幅や奥行きを厚みよりも大きい形状としている。次に、金属接合部802の厚みよりも突出部202Aの厚みを大きくし、接合時の傾きや厚みばらつきが小さくなるようにしている。さらに、組立性を向上するため、突出部202Aのエミッタ電極102への設置面の幅や奥行きは、エミッタ電極102よりも小さくしている。
突出部202Aには、低電気抵抗かつ低熱抵抗になるよう、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、モリブデン、タングステン、カーボン、それらの合金、複合材を選択した方が望ましい。また、それらを組み合わせ、銅やアルミニウムに対する低熱膨張な中間層を設置してもよい。本実施例では、中間層を省略した構造としている。
絶縁層302及び絶縁層303は、絶縁耐圧が高い窒化アルミニウム、窒化珪素、アルミナ等が用いられる。特に、熱伝導率の高い窒化アルミニウムや窒化珪素が望ましい。絶縁層302及び絶縁層303の厚さは、パワー半導体モジュールに必要な絶縁特性にあわせ、0.1〜1.5mmの範囲に設定される。また、絶縁層302と絶縁層303の厚さを同等にすることで、パワー半導体モジュールの熱応力による変形を小さくすることができる。絶縁層302と絶縁層303として樹脂をマトリックスし、アルミナや窒化ホウ素やイットリアや窒化アルミ等の高熱伝導フィラーを混合したシート状の構成を用いることも可能である。ただし、樹脂を用いた場合は、耐熱性の観点より金属接合部801ないし803の接合後に取り付けるプロセスが望ましい。
IGBT100の主電極であるエミッタ電極102やコレクタ電極103を搭載するエミッタ回路202やコレクタ回路203には、電気抵抗が低い銅やアルミニウム、それらの合金が用いられる。回路よりも低熱膨張な絶縁層302及び絶縁層303との間に、低熱膨張で熱伝導率が高いモリブデンやタングステンやカーボン、それらの材料と銅やアルミニウムとの複合材からなる中間層を設置してもよい。本実施例では、中間層を省略した構造としている。エミッタ回路202とコレクタ回路203の厚さは、必要な電流容量にあわせ、0.2〜2.0mmの範囲に設定される。
放熱部402及び放熱部403には、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、それらの合金が用いられる。また、回路側と同様に、放熱部402及び放熱部403と絶縁層302及び絶縁層303の間に低熱膨張で熱伝導率が高いモリブデンやタングステンやカーボン、それらの材料と銅やアルミニウムとの複合材からなる中間層を設置してもよい。本実施例では、中間層を省略した構造としている。
エミッタ回路202及びコレクタ回路203と放熱部402及び放熱部403は、例えば、絶縁層302及び絶縁層303と強固な接合ができるロウ材を用いて接合される。この時、絶縁層302及び絶縁層303をはさんで、エミッタ回路202及びコレクタ回路203と放熱部402及び放熱部403の熱膨張率差とヤング率から求まる熱応力が等しくなるようにする方が望ましい。例えば、エミッタ回路202及びコレクタ回路203と放熱部402及び放熱部403が同一組成の材料を用いていれば、体積を近づけた形状とする。また、絶縁層302及び絶縁層303の幅に対し、エミッタ回路202及びコレクタ回路203と放熱部402及び放熱部403のいずれかの幅、あるいは両方の幅を小さくすることで、封止部11の沿面距離を長く設定した方が望ましい。
封止部11には、例えば、接着性のあるノボラック、多官能、ビフェニル、フェノール型のエポキシ樹脂系、アクリル系、シリコン系、ビスマレイミドトリアジン系、シアネートエステル系を基にした樹脂を用いることができる。これらの樹脂に、SiO2、Al23、AlN、BNなどのセラミックスやゲル、ゴムなどのフィラーを含有させ、熱膨張係数をIGBT100やゲート回路201やエミッタ回路202やコレクタ回路203に近づけて、熱膨張係数の差を低減する。このような樹脂を用いることにより、使用環境時の温度上昇に伴って発生する熱応力が大幅に低下するため、パワー半導体モジュール901の寿命を延ばすことが可能となる。回路部材に低熱膨張な材料を用い、低熱応力化している場合は、シリコーンゲル等を用いることも可能である。
封止部11に上述の樹脂を用いで封止する前には、回路、端子、セラミックス絶縁層、放熱部、半導体チップ、金属接合部に対して封止材11と密着強度を向上する処理を施すほうが望ましい。例えば、ポリアミドイミドやポリイミドなどの塗布膜を形成する手法をとる。
ゲート電極101、エミッタ電極102、コレクタ電極103を接合する金属接合部801ないし803は、例えば、はんだ材や微細金属粒子、酸化金属粒子を主体とした低温焼結接合材等が用いられる。はんだ材には、封止材11の硬化温度よりも融点が高い錫、ビスマス、亜鉛、金等が主成分であるはんだを用いることができる。酸化金属粒子には、AgO、Ag2O、CuO等のはんだ材と同等の低温で還元可能な酸化金属が適用可能である。AgO、Ag2O、CuOを用いた場合には、金属接合部は焼結銀や焼結銅層となる。
セラミックス基板12のエミッタ回路202とゲート回路201は、絶縁層302との接合後にエッチングで回路パターンを作製したり、あるいは接合前にプレス等で打ちぬき回路パターンを作製したりする。ゲート回路201側に設けた突起部201Aは、絶縁層302にエミッタ回路202と放熱部402を接合する際、ロウ材を供給しない未接合部とするとともに、曲げ加工することで作製できる。
以下に、本実施形態で得られる効果を説明する。
セラミックス基板12を作成する途中に、エミッタ回路202とゲート回路201を接合後のエッチングや接合前のプレス等で回路パターンを作製でき、面内方向に高精度に位置決めできる。
ゲート回路201はロウ材により、絶縁層302に強固に接合されており、曲げ加工により突起部201Aを作製する際、精度良く高さを調整することできる。例えば、突起部201Aや突出部202Aをはんだよりも高融点なロウ材を用いて接合して形成すると、絶縁層302の表裏で対称性が変化し、セラミックス基板12の反りが発生する。これに対し、本実施例のように、曲げ加工で突起201Aを作製することで、曲げ前後にて回路側の体積変化はないため、再度はんだ材や微細金属粒子、酸化金属粒子を主体とした低温焼結接合材等によるIGBT100の接合の際に温度上昇が生じても、基板の反り変化は小さく組立性が向上する。
突起部201Aを突出部202Aと同様に両側に金属接合部材を設置し同時に接合する場合、突起201Aが自立できない課題がある。例えば、IGBT100のゲート電極がセラミックス基板12及び13に対し仮固定されていないと、スペーサの上下両側に設置したはんだ材が溶融する際に位置ずれが発生し、ゲート電極101とエミッタ電極102の間のショート不良等に対する組立性の改善が必要となる。これに対し、本実施例では、突起部201Aをゲート回路201に対し機械的に一体化しため、位置ずれは生じず、優れた組立性となっている。
例えば、突起部201Aと突出部202A間に、位置決めのために絶縁性の捕材を用いる場合、はんだ接合温度以上の耐熱性が必要となる。耐熱性の観点から、用いることが可能な絶縁樹脂は限定される。また、絶縁性で高融点なセラミックスを捕材に用いる場合は、セラミックスと金属製の突起部201Aや突出部202Aとの絶縁性を確保することが必要である。セラミックスと金属の剥離を防止するには、セラミックス基板12やセラミックス基板13と同様に高温での接合が求められる。高温での接合が別途必要となると生産性の改善が必要となる。
一方、補材を用いる場合には、セラミックス基板12やセラミックス基板13にIGBT100を搭載した後、封止材11で封止する際にも絶縁性を確保できるように、ボイド無く充填するための組立性の改善が必要となる。前述した絶縁性の補材を用いる場合は、補材を含んだ状態でボイド無く充填することが困難となる。補材とIGBT100間に封止材11が充填できるスペースをとる必要がでる。特に、封止材11にフィラーが含有していると充填性が落ちるため困難となる。すなわち、スペースをとるための補材形状と突起部201Aの位置精度の確保の両立が困難となる。これに対し、本実施例のように、突起部201Aがゲート回路に機械的に一体化されていれば、上記に掲げた絶縁性確保に対する組立性を改善できる。
本実施例では、ゲート回路201側に設けた突起部201Aは、エミッタ電極102の垂直方向に設けた突出部202Aとは異なり、当該垂直方向に対して角度を有して突出している。このように角度を有して突出させることで、突起部201Aの接合部とゲート回路201側に空間が形成する。例えば、突起部201Aとゲート電極101を接合する接合材としてはんだを用いた際、突出部202Aとの位置関係がずれ、余剰はんだが発生しても、この空間に金属接合部801が回り込むことができ、ショート不良を防止することができ、組立性が改善できる。
特に、接合性を向上するめっきを施すことで、突起部201Aに沿って余剰はんだがぬれ上がり、ショート不良を防止できる効果が増す。めっきの種類はNi、Pd、Ag、Au、はんだめっき等がある。突起部201Aは、ゲート電極101との接合投影面に貫通孔を形成してもよい。これにより、直上に設けた空間部へ回り込みやすくなる。貫通孔は複数でもよいし、形状は円柱でも直方体でもよい。
特に、突起部201Aの一部にベント部を設けることで、突起部201Aのベント部より下方(ゲート電極101に近い側)が上下方に移動することが可能となる。これにより、接合材の供給量が変化してもショート不良やオープン不良を防止でき、組立性が改善できる。本実施例の形態では、突起201Aに角度をもたせて、ゲート電極101側に突出する形態にしたため、容易にベント部を設けることができる。
一方、接合材として、微細金属粒子、酸化金属粒子を主体とした低温焼結接合材等を用いる場合については、接合(焼結)前後で体積が減少する。特に、接合時加圧を付与することが焼結密度を向上するために効果的である。よって、高放熱な特性が必要なエミッタ電極102の金属接合部802やコレクタ電極103の金属接合部803は、加圧力が有効的に付与できるように垂直方向に突出部202Aを設置している。次に、突起部201Aに対しては、突出部202Aの位置が変化しても上下に稼動できるよう、空間部を設けたために、未接合とならないような形状となっている。
従来のワイヤボンディングではなく、はんだ接合部や焼結金属部でゲート電極101を接合することで、接合面積の増加、熱応力の低減が可能となりパワーサイクル耐量が向上する。
また、金属接合部802と金属接合部803は、熱伝導率が高い接合部となる焼結銀や焼結銅とする方が望ましい。突起部201Aをゲート回路201側に設けるとともに、突起部201A上に空間を設けたので、金属接合部802および803を焼結銀や焼結銅とし、金属接合部801をはんだ材とすることも可能である。
以上のように、セラミックス基板12のエミッタ回路202とゲート回路201は、絶縁層302との接合後にエッチングでパターン作製、あるいは接合前にプレス等で打ちぬきパターンを作製することで面内方向に対し高精度に位置決めできる。
ゲート回路201側に高精度に設けた突起部201Aにより、ゲート電極101へのワイヤボンディング工程を省略でき、セラミックス基板12とセラミックス基板13とをIGBT100に同時に接合可能となり、生産性や組立性が向上する。
また、IGBT100を挟む上側のセラミックス基板12と下側のセラミックス基板14の対称性が向上し、小型化できるとともに、熱応力に対する信頼性が向上する。
従来のワイヤボンディングではなく、ゲート回路201と繋がる突起部201Aにより金属接合部801を介してゲート電極101を接合することで、接合面積の増加、熱応力の低減が可能となりパワーサイクル耐量が向上する。
金バンプやはんだ接合の厚みでは確保できない、例えば0.5〜5mmの突起部201Aを形成でき、ゲート回路201とコレクタ回路203との間の絶縁距離を確保できるため、両面冷却型パワー半導体モジュールの耐圧を向上することが可能となる。
図7から図9を用いて、本実施形態に係るパワー半導体モジュール901の製造プロセスについて説明する。
図7は、セラミックス基板12とセラミックス基板13にIGBT100とダイオード110を搭載する組立工程を示す斜視図である。ここでは、セラミックス基板12側に、ゲート端子21とセンスエミッタ端子25とエミッタ端子22とコレクタ端子23をタイバー20により一体化して同一方向、同一平面状に引き出されている。
IGBT100とダイオード110は、セラミックス基板12とセラミックス基板13の回路部に対し、金属接合部801〜803を介して搭載される。また、コレクタ端子23は、金属接合部804を介してコレクタ回路203に対し搭載される。IGBT100のコレクタ電極103とダイオード110のカソード電極113は、セラミックス基板13のコレクタ回路203上に平行に搭載される。IGBT100のエミッタ電極102とダイオード110のアノード電極112は、突出部202Aと金属接合部802を介して、セラミックス基板12のエミッタ回路202に平行に搭載される。
この時、IGBT100のエミッタ電極102とダイオード110のアノード電極112の搭載面の幅や高さを、突起202Aの厚みよりも大きくするとともに、金属接合部802の厚みを突起202Aの厚みよりも小さくすることで、突起202Aが自立できるようにしてある。
また、IGBT100のゲート電極101については、セラミックス基板12のゲート回路201が突起部201Aを有しており、金属接合部801を介して接合される。突起部201Aは、ゲート回路201と機械的、電気的に一体化している。また、ゲート回路201とエミッタ回路202は絶縁層302に固着しており、接合後にゲート回路201とエミッタ回路202とは略同一平面上に位置する。
さらに、コレクタ端子23については、帯状のタイバー20で絶縁層302に固着したエミッタ端子22やゲート端子21やセンスエミッタ端子25に一体化されていることで、接合後にゲート回路とエミッタ回路とは略同一平面上に位置する。
上述したように、IGBT100のゲート電極101の金属接合部801に対する突起部201Aの許容寸法裕度をエミッタ電極102の金属接合部802に対する突出部202Aの許容寸法裕度よりも大きくした。この構成により、エミッタ回路202とコレクタ回路203との間の絶縁距離を突出部202Aにより高精度に制御できるとともに、ゲート回路201とコレクタ回路203との間の絶縁距離を同時に制御する製造方法が可能となる。
図8は、トランスファーモールド工程後の外観斜視図を示している。封止部11を封止後にタイバー20を切断し、端子間の絶縁を確保することで、図1に示すパワー半導体モジュール901が完成する。
以上の構成により、IGBT100をはさむセラミックス基板12とセラミックス基板13の組立性が向上するため、放熱部402と放熱部403の平行度を向上することが可能となる。これにより、放熱面42と放熱面43の平行度も向上し、冷却器に取り付ける際のグリースやカーボンシート等の厚みばらつきが低減し、パワー半導体モジュール901の放熱性が向上する。
放熱面42と放熱面43の平行度を向上するために、封止材11で封止した後、研削してもよい。封止材11で封止されていることで、絶縁層302、絶縁層303、IGBT100、ダイオード110に機械的な損傷を及ぼさずに処理することが可能である。
また、本実施形態では、ゲート端子21とセンスエミッタ端子25とエミッタ端子22とコレクタ端子23に対し、セラミックス基板12と一体化して組立性を向上した例としている。図7に示すように、ゲート端子21とセンスエミッタ端子25とエミッタ端子22とコレクタ端子23は帯状のタイバー20を有し一体化されている。
本実施形態のように、ゲート端子21、エミッタ端子22、コレクタ端子23、センスエミッタ端子25を同一平面から引き出している。これにより、封止材11をトランスファーモールドの金型に設置する場合、端子間位置を高精度に位置決めできる。位置ずれが発生すると、樹脂漏れや型締め時の過大な応力が発生する。
ゲート端子21、エミッタ端子22、コレクタ端子23、センスエミッタ端子25をセラミックス基板12のエミッタ回路202にて形成しているため、高精度な位置決めを可能としており、前述した樹脂漏れや型締め時の応力発生を防止することができる。上述した複数の端子は、別体で用意してもよいし、両側に別々に設けてもよいが同一平面状になるように、帯状の一体部20を設け組立性を向上した方が望ましい。
本実施形態では、ゲート端子21、エミッタ端子22、コレクタ端子23、センスエミッタ端子25を同一方向から引き出した例を示した。この形状とすることで、端子も含めたパワー半導体モジュール901の外形体積を小型化できる。同一方向に端子を引き出す場合は、図3のように、エミッタ端子22やコレクタ端子23は、ゲート電極101が不要なダイオード110側から引き出すことで、引き出し端子の幅を広くとれ、パワー半導体モジュール901の大電流化が可能となる。また、エミッタ端子22とコレクタ端子23との間の絶縁距離間隔も広くとれ、パワー半導体モジュール901の高耐圧化が可能となる。エミッタ端子22やコレクタ端子23は多分岐して引き出すことも可能であり、その場合はエミッタ端子22とコレクタ端子23を交互に整列することで低インダクタンス化が可能となる。
本実施形態では、ゲート端子21を、パワー端子を構成するエミッタ端子22とコレクタ端子23と同方向に引き出したが、逆方向に引き出すことも可能である。その場合も、本構成を適用してエミッタ端子22とコレクタ端子23とゲート端子21と同一平面状に位置した方が望ましく、精度良く作製することが可能である。
本実施形態では、IGBT100毎にゲート端子21を用意したが、複数のIGBT100に対してゲート端子21を共有してもよい。また、ゲート端子21とパワー端子と同方向に引き出したが、それぞれ逆方向に引き出すことも可能である。その場合も、本構成を適用してパワー端子とゲート端子と同一平面状に位置した方が望ましく、精度良く作製することが可能である。
《第一の実施形態の変形例1》
図9から図11を用いて、組立性や絶縁性に優れたパワー半導体モジュール902の変形例を説明する。
図9から図11に示されるパワー半導体モジュール902の外形は、図1と同様である。図9は図1のAA’ 断面であり、ゲート端子21が封止材11から引き出されている断面を示している。引き出し部212は、ゲート回路201とゲート端子21を接続する。この引き出し部212は絶縁層302と向き合う沿面部213を設け、さらにゲート回路201よりも下部方向に屈曲している。また、引き出し部212に形成された屈曲部211を絶縁層302と絶縁層303に挟まれた空間に配置している。そして、コレクタ回路203の端部214は、屈曲部211と対向しないように図4よりも水平方向に縮小している。これにより、コレクタ回路203と引き出し部212との絶縁距離が十分に確保される。なお。水平方向への縮小は、上述したパターンエッチングにより高精度に作製可能である。
図10は、図1のBB’断面であり、エミッタ端子22が封止材11から引き出されている断面を示している。エミッタ端子22は、エミッタ回路202が延長するとともに、屈曲部222を設けることで、エミッタ回路202よりも下面に引き出し部221を配置するようにしてある。またエミッタ端子22は、ゲート端子21と同一平面上に位置してある。エミッタ端子22の近傍領域についても、コレクタ回路203の端部220は、引き出し部221や屈曲部222に対して絶縁距離を確保するために、水平方向に縮小している。つまりコレクタ回路203は、絶縁層302と絶縁層303の配列方向から見て、端部220が引き出し部221や屈曲部222と対向しないように形成される。水平方向への縮小は、上述したパターンエッチングにより高精度に作製可能である。
図11は、図1のCC’断面であり、コレクタ端子23が封止材11から引き出されている断面を示している。コレクタ端子23は、図9及び図10にて説示されたエミッタ端子22およびゲート端子21と同じ高さに位置している。また、コレクタ端子23は、屈曲部223を設けることで、コレクタ回路203よりも上方に引き出し部224を配置するようにしてある。エミッタ回路202の端部225は、引き出し部224及び屈曲部223との絶縁距離を確保するために、水平方向に縮小している。本実施例では、エミッタ側のセラミックス基板12の回路をコレクタ端子23としたので、エミッタ回路202の端部が水平方向に縮小した形態となる。つまりエミッタ回路202は、絶縁層302と絶縁層303の配列方向から見て、端部225が引き出し部224や屈曲部223と対向しないように形成される。別体やコレクタ回路203を伸長する場合は、上記と同様に、水平方向への縮小は、上述したパターンエッチングにて高精度に作製可能となる。
屈曲部223は、コレクタ回路203と金属接合部804で電気的に接合されている。金属接合部804は、例えば、はんだ材や微細金属粒子や酸化金属粒子を含んだ低温焼結接合材等が用いられる。
エミッタ端子22およびコレクタ端子23は、ゲート端子21と同じ高さから引き出されており、水平方向の間隔にて絶縁距離を確保している。
ここでは、屈曲部222や屈曲部223を絶縁層302と絶縁層303に挟まれる空間に配置した例を示した。これにより、エミッタ回路202や放熱部402、およびコレクタ回路203と放熱部403の絶縁沿面距離を長く確保することができ、絶縁性能を向上することができる。
エミッタ端子22やコレクタ端子23に屈曲部222や屈曲部223を設け、引き出し部221と引き出し部224を封止材11の側面の中央部付近まで延ばすことで、封止材11が露出する放熱部402と放熱部403との絶縁沿面距離を長くとれ、パワー半導体モジュール902の絶縁信頼性を向上することが可能となる。
本実施形態では、ゲート端子21、エミッタ端子22、コレクタ端子23、センスエミッタ端子25をセラミックス基板12のエミッタ回路202にて形成しているため、高精度な位置決めを可能としており樹脂漏れや型締め時の応力発生を防止することができる。さらに、型締めが必要な引き出し端子に、屈曲部を設けたため、IGBTやダイオード搭載部やセラミックス製の絶縁層への応力を緩和することができ、組立性が向上する。
《第一の実施形態の変形例2》
図12は、本実施形態に関するパワー半導体モジュール903であり、図1のAA’断面図である。本実施形態に係るパワー半導体モジュール903の外形は、図1と同じである。
変形例2の実施形態では、ゲート回路201の一部をスカイブ加工し、削り起こすことで突起部201Bの形状とした点が第一の実施形態と異なる。
突起部201Bは、セラミックス基板12のゲート回路201を半導体チップ(IGBT100等)の搭載前にスカイブ加工で削り起こすことで形成される。ゲート回路201は、パターンエッチングで高精度に加工できるため、これより形成した突起部201Bの位置を高精度に形成できる。また、ゲート回路201に流れる電流は、エミッタ回路202に流れる電流よりも小さいため、回路の断面積が減少しても問題がない。
これにより、ゲート回路201に対して、突起部201Bは機械的、電気的に一体化されている。また、突起部201Bは、ゲート回路201と絶縁層302との接触面に対して角度を有し、ゲート電極101の方向へ向かって形成される。
突起部201Bの端部226は、ゲート電極101の上面まで対向する位置まで延ばされる。この端部226は、ゲート回路201と突起部201Bにおいて、最も下方に配置される。突起部201Bにより、ゲート電極101とゲート回路201との間に空間部が設けられる。そして、ゲート電極101と突起部201Bの接合部となる金属接合部801の許容寸法範囲を向上できる構造としている。
また、セラミック基板12を構成する部材に貫通孔を形成し空間部へ回り込みやすくしてもよい。さらに、接合性を向上するめっきを施すことができる。めっきの種類はNi、Pd、Ag、Au、はんだめっき等がある。
さらに、突起部201B内にベント部を設けることで、ベント部の下方にて上下方向への調整機構を付与してもよい。この構成により、突起部201Bとゲート電極101間の間隔ばらつきに起因する金属接合部801の許容寸法範囲を増加でき組立性が向上する。
スカイブ加工による突起部201Bの形成では、引き出し端子21と同位置に配置することで、突起部201Bの長さに裕度を持たせることが可能である。
セラミックス基板12のゲート回路201側に上述の突出201Bを設置することで、セラミックス基板12と、セラミックス基板13とをIGBT100に同時に接合可能となり、ゲート電極101へのワイヤボンディング工程を省略でき生産性が向上する。
《第一の実施形態の変形例3》
図13は、本実施形態に関するパワー半導体モジュール904であり、図1のAA’断面図である。本実施形態に係るパワー半導体モジュール903の外形は、図1と同じである。
変形例3の実施形態では、ゲート回路201に接合されるボンディングワイヤによって形成された突起部201Cとした点が第一の実施形態と異なる。
突起部201Cは、ゲート回路201と超音波接合701により接続するために、銅製あるいはアルミニウム製のワイヤにより構成される。銅製のワイヤの場合はそのまま金属接合部801と接合可能である。また、アルミニウム製のワイヤの場合は、金属接合部801との接合前にめっきを施す。銅製ワイヤについても、接合性を向上するめっきを施すことができる。めっきの種類はNi、Pd、Ag、Au、はんだめっき等がある。ワイヤ径は数十〜数百μmであり、金属接合部801との接合時に反応してすべてが溶解しない範囲としている。
突起部201Cは、一端部がゲート回路201と接続され、かつゲート電極101の近傍まで延ばされる。さらに突起部201Cは、ゲート電極101の対向空間において屈曲し、ゲート回路201までに延ばされ、他端部がゲート回路201と接続される。これにより、ゲート電極101と突起部201Cの接合部となる金属接合部801の許容寸法範囲を向上できる。
また、弾性変形可能なボンディングワイヤでループ状に突起部201Cを形成することで、ベント部を別途設けなくとも、ゲート電極101に対し上下方向への調整機構が付与でき、組立性が向上する。
ゲート回路201は、パターンエッチングにより作製されるとともに、突起部201Cは超音波接合701により接合されることで、面内方向に高い位置精度を有している。
IGBT100のゲート電極101と突起部201Cを超音波接合する場合よりも、ゲート回路201と突起部201Cを超音波接合する場合は、出力や押し付け荷重を大きくすることが可能である。これにより、超音波接合部701を、信頼性の高い接合強度とすることが可能である。
また、金属ワイヤにより構成される突起部201Cとゲート回路201の熱膨張率差は小さい。これにより、熱膨張率の小さいIGBT100にワイヤボンディングする場合に比較して、温度上昇にともない発生する超音波接合部の熱応力は小さくなる。
ゲート回路201側に高精度に設けた突起部201Cにより、ゲート電極201へのワイヤボンディング工程を省略でき、生産性や組立性が向上する。
《第一の実施形態の変形例4》
図14は、本実施形態に関するパワー半導体モジュール905であり、図1のAA’断面図である。本実施形態に係るパワー半導体モジュール905の外形は、図1と同じである。
変形例4の実施形態では、ゲート回路201に接合される突起部201Dは、リード形状を為す点が前述までの実施形態とは異なる。
突起部201Dは、プレス等で高精度に作製可能である。また、突起部201Dの厚みや径は、数十〜数百μmであり、かつ金属接合部801との接合時に反応してすべてが溶解しない範囲としている。さらに突起部201Dは、ゲート回路201と超音波接合できるように、銅やアルミニウム製としている。
突起部201Dが銅製のリードの場合はそのまま金属接合部801と接合可能である。また、突起部201Dがアルミニウム製のリードの場合は、金属接合部801と接合可能なめっきを施す。超音波接合部701以外を先にめっきしておくも可能である。めっきの種類はNi、Pd、Ag、Au、はんだめっき等がある。
突起部201Dは、その一端部がゲート回路201に接続され、かつゲート電極101の対向空間まで延ばされ、さらに他端部がゲート電極101に接続される。ゲート回路201とゲート電極101との間に空間を設けるように突起部201Dを立ち上げることにより、金属接合部801の許容寸法範囲を向上できる。また、突起部201Dの途中にベント部を設けてもよい。ゲート回路201は、パターンエッチングにより作製されるとともに、突起部201Dは超音波接合701により接合されることで、面内方向に高い位置精度を有している。
ゲート回路201側に高精度に設けた突起部201Dにより、ゲート電極201へのワイヤボンディング工程を省略できる。セラミックス基板12とセラミックス基板13とをIGBT100接合する際、同時にゲート電極101の接合が可能となり、生産性や組立性が向上する。
《第二の実施形態》
図15から図19を用いて本発明の他の実施形態であるパワー半導体モジュール906について説明する。図15は、本実施形態に係るパワー半導体モジュール906の外観斜視図である。図16は、パワー半導体モジュール906に対応する2in1の回路構成図である。本実施形態では、IGBT100とダイオード110が2個ずつ搭載されている。パワー半導体モジュール906は、上アーム用IGBT100Uと下アーム用IGBT100Lとを直列したものである。上アーム用ダイオード110Uは上アーム用IGBT100Uと電気的に並列に接続され、下アーム用ダイオード110Lは下アーム用IGBT100Lと電気的に並列に接続される。また、パワー半導体モジュール906の表裏面には、放熱面42と放熱面43が形成される。また、上アームゲート端子21Uと、下アームゲート端子21Lと、上アームセンスエミッタ端子25Uと、下アームセンスエミッタ端子25Lと、直流負極接続端子として機能する下アームエミッタ端子22Lと、直流正極接続端子として機能する上アームコレクタ端子23Uと、交流接続端子として機能する中間端子24Mがそれぞれ封止部11から同一方向に引き出されている。
図17は、封止部11とセラミックス基板12の絶縁層302と放熱部402を除いたパワー半導体モジュール906の斜視図である。図18は、図15のAA´を通る面から見たパワー半導体モジュール906の断面図である。上アーム用IGBT100Uのコレクタ電極103Uと上アーム用ダイオード110Uのカソード電極113Uは、上アーム用のコレクタ回路203Uに接続される。上アーム用IGBT100Uのエミッタ電極102Uとダイオード110Uのアノード電極112Uは、上アーム用のエミッタ回路202Uに接続されている。不図示であるが、下アーム用IGBT100Lのコレクタ電極103とダイオード110Lのカソード電極113は下アーム用のコレクタ回路203Lに接続され、下アーム用IGBT100Uのエミッタ電極102とダイオード110Uのアノード電極112は、下アーム用のエミッタ回路202Lに接続されている。また、上アーム用IGBT100U 及び下アーム用IGBT100Lにはセンスエミッタ電極が設けられており、ゲート電極101Uと同様の形態でセンスエミッタ回路205Uに接続されている。一方、第一の実施形態と異なる点は、上アームのセンスエミッタ回路202Uと下アームのコレクタ回路203Lとは、中間電極202Mを介して接続されている。このように、中間電極202Mにより上アーム回路と下アーム回路とが電気的に接続され、図16に示すような上下アーム直列回路が形成される。
上アームIGBT100Uおよび上アームダイオード110Uは、セラミックス基板12に設けられたゲート回路部201U、エミッタ回路部202Uとセラミックス基板13に設けられたコレクタ回路部203Uに搭載される。ゲート電極101Uへの搭載構造や方法は第一の実施形態と同様であるため、ここでは省略する。
図19は、図15の点線DD’を通る平面から見たパワー半導体モジュール906の断面図であり、奥行き方向にある上アームIGBT100Uは省略している。上アームのエミッタ回路202Uは、中間電極202Mと金属接合部804を介して電気的に接合されている。また、中間電極202Mは、エミッタ回路202202Uを伸長し屈曲した構成としている。中間電極202Mは、ゲート電極を接合する201Aと同様に上部に空間を有した形状としている。突出部202Aの金属接合部802に対する許容寸法裕度よりも、中間電極202Mの金属接合部804に対する許容寸法裕度の方が大きくなっている。
また、中間電極202Mと対向する下アームのエミッタ回路202Lと上アームのコレクタ回路203Lは、絶縁距離を確保するために水平方向に縮小している。これにより、突起202Aの高さを202U/203U間、202L/203L間の絶縁距離を必要以上に確保する必要が無くなり、パワー半導体モジュール906の小型化が可能となる。
突出部202Aは、上下アームのエミッタ回路/コレクタ回路を平行に位置制御できる形状としている。中間電極202Mや突起部201Aは干渉しないよう許容寸法裕度を向上している。また、上下アームのエミッタ回路202Uとエミッタ回路202Lは、セラミックス絶縁層302で一体化されているとともに、上下アームのコレクタ回路203Uとコレクタ回路203Lは、絶縁層303で一体化していることで、上下アーム間のばたつきを低減した構成となっている。これにより、放熱面42と放熱面43は平行にでき、冷却器に取り付ける際のグリースやカーボンシート等の厚みばらつきが低減し、パワー半導体モジュール906の放熱性が向上する。
突出部202Aは、上下アームのエミッタ回路/コレクタ回路を平行に位置制御できる形状としている。中間電極202Mや突起201Aは干渉しないよう許容寸法裕度を向上している。これにより、半導体チップ搭載数増加によるパワー半導体モジュール906の大電流化や突起202Aの厚さ増加によるパワー半導体モジュール906の高耐圧化の際の組立性の向上が可能となる。
上述した実施形態に記載された突起部201Aないし201Dは、突出部202Aの突出方向に沿って形成される。そして突起部201Aないし201Dは、突出方向における突起部201Aないし201Dの高さを調整する機能及び構造を有する。この調整する構造として、突起部201Aないし201Dの一部を屈曲させたベント部としてもよい。
11…封止部、12…セラミックス基板、13…セラミックス基板、20…タイバー、21…ゲート端子、21U…上アームゲート端子、21L…下アームゲート端子、22…エミッタ端子、22L…下アームエミッタ端子、23…コレクタ端子、23U…上アームコレクタ端子、24:中間端子、24M…中間端子、25…センスエミッタ端子、25U…上アームセンスエミッタ端子、25L…下アームセンスエミッタ端子、42…放熱面、43…放熱面、100…IGBT、100U…上アーム用IGBT、100L…下アーム用IGBT、101…ゲート電極、102…エミッタ電極、102U…エミッタ電極、103…コレクタ電極、103U…コレクタ電極、110…ダイオード、110U…上アーム用ダイオード、110L…下アーム用ダイオード、112…アノード電極、112U…アノード電極、113…カソード電極、113U…カソード電極、201…ゲート回路、201A…突起部、201B…突起部、201C…突起部、201D…突起部、202…エミッタ回路、202A…突出部、202U…エミッタ回路、202L…エミッタ回路、203…コレクタ回路、203U…コレクタ回路、203L…コレクタ回路、205U…センスエミッタ回路、211…屈曲部、212…引き出し部、213…沿面部、214…端部、220…端部、221…引き出し部、222…屈曲部、223…屈曲部、224…引き出し部、225…端部、226…端部、302…絶縁層、303…絶縁層、402…放熱部、403…放熱部、701…超音波接合、801…金属接合部、802…金属接合部、803…金属接合部、804…金属接合部、901…パワー半導体モジュール、902…パワー半導体モジュール、903…パワー半導体モジュール、904…パワー半導体モジュール、905…パワー半導体モジュール、906…パワー半導体モジュール

Claims (6)

  1. パワー半導体素子と、
    前記パワー半導体素子のエミッタパッドと金属接合部材を介して電気的に接続されるエミッタ導体と、
    前記パワー半導体素子のゲートパッドと金属接合部材を介して接続されるゲート導体と、
    前記エミッタ導体及び前記ゲート導体を実装する第1絶縁基板と、を備え、
    前記エミッタ導体は、前記エミッタパッドに向かって突出するとともに前記金属接合部材を介して当該エミッタパッドと接続される突出部を有し、
    前記ゲート導体は、前記突出部の前記突出方向に沿って形成される突起部を有し、
    前記突起部は、前記突出方向における当該突起部の高さを調整する調整部を有するパワー半導体モジュール。
  2. 請求項1に記載のパワー半導体モジュールであって、
    前記突起部は、前記ゲート導体部側で超音波接合により接続されるパワー半導体モジュール。
  3. 請求項1または2に記載のパワー半導体モジュールであって、
    前記調整部は、前記突起部の一部を屈曲させたベント部であるパワー半導体モジュール。
  4. 請求項1ないし3に記載のいずれかのパワー半導体モジュールであって、
    前記ゲート導体と接続されるゲート端子と、
    前記エミッタ導体と接続されるエミッタ端子と、
    コレクタ端子と、を備え、
    前記ゲート端子と前記エミッタ端子と前記コレクタ端子は、前記ゲート端子の所定面と前記エミッタ端子の所定面と前記コレクタ端子の所定面が同一平面状に沿うように形成されるパワー半導体モジュール。
  5. 請求項4に記載のパワー半導体モジュールであって、
    前記ゲート端子の一部と前記エミッタ端子の一部と前記コレクタ端子の一部と前記パワー半導体素子と前記第1絶縁基板を封止する封止部を備え、
    前記ゲート端子は、前記封止部の側面の中央部から引き出されるように、屈曲部を設けるパワー半導体モジュール。
  6. 請求項5に記載のパワー半導体モジュールであって、
    前記パワー半導体素子のコクレタパッドと金属接合部材を介して電気的に接続されるコレクタ導体と、
    前記コレクタ導体を実装する第2絶縁基板と、
    前記第2絶縁基板は、前記コレクタ導体の実装面が前記第1絶縁基板の前記エミッタ導体の実装面と向き合うように配置され、
    前記第1絶縁基板の前記エミッタ導体の実装面の垂直方向から見たとき、前記コレクタ導体は、前記屈曲部と対向しないように形成されるパワー半導体モジュール。
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