JP2016057270A - 日曜回し車、カレンダ機構、時計用ムーブメント及び時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】24時間で軸線O2回りに1回転する歯車本体50と、歯車本体に対して軸線方向に重なって配置されると共に、車軸51を介して歯車本体に連結され、歯車本体と共に軸線回りに回転する回転体52と、回転体に一体に形成され、回転体の回転に伴って日車27の内歯27aに係合する日回し爪53と、回転体に一体に形成され、回転体の回転に伴って曜車28の曜歯40aに係合する曜回し爪54と、歯車本体に設けられ、内歯及び曜歯に対する日回し爪及び曜回し爪の係合後、歯車本体の回転に伴って弾性変形することで弾性力を蓄積すると共に、蓄積した弾性力を回転体に伝達して回転体を回転方向に付勢する弾性部材55と、を備えている日曜回し車26を提供する。
【選択図】図4
Description
このような構成のもと、例えば特許文献1に記載の時計では、日車及び曜車を1日に1ステップ送るために、24時間で1回転する車に日回し爪及び曜回し爪を設けた日曜回し車を備えている。そのため、日曜回し車の回転によって、例えば24時に達した時点で日車を1ステップ分(1日分)だけ回転させて日付の切り換えを行うことができると共に、日付の切り換え後に、曜車を1ステップ分(1日分)だけ回転させて曜日の切り換えを行うことが可能とされている。
なお、上述した点は曜車も同様であり、日付の切り換えが終了した24時以降に、約1〜3時間程度かけて曜車を回転させはじめる必要がある。
この場合には、日回し爪が日車の歯部に接した時点(日送り開始時点)から、日回し車がある角度まで回転する間は、弾性アームが撓んでばね力を蓄えるので日車は動かない。そして、弾性アームのばね力が規制ジャンパによる規制力を超えた時、弾性アームが復元変形して蓄えていたばね力を開放するので、日回し爪を瞬間的に移動させる。これにより、日車を瞬間的に1ステップ分(1日分)だけ移動させることができ、瞬時に日付の切り換えを行うことができる。
ところが、曜回し爪を平面的にずれた位置に配置する場合には、ムーブメント内での新たなスペースを確保する必要があるが、ムーブメント内に新たなスペースを確保することは実際上困難である。また、曜回し爪を時計の厚さ方向に重なるように配置する場合には、ムーブメントの厚みがさらに厚くなってしまうという新たな課題を招いてしまう。
この時計は、24時間で1回転する日曜回し車と、日曜回し車に取り付けられたカムと、日回し爪及び曜送り爪が形成されると共にカムの外周面に接触する作動レバーと、作動レバーをカムに押し付けるばね部材と、を備えている。
また、日回し爪及び曜回し爪が一体に形成された回転体と歯車本体と弾性部材とを組み合わせるだけの少ない部品点数で日曜回し車を簡便に構成できるうえ、従来の作動レバーのような他部品との組み付け精度を考慮する必要がないので、組立性を向上することができる。さらに、日曜回し車以外の他部品の設置スペースを確保する必要がないうえ、回転体と歯車本体とを平面配置する必要もないので、必須な時計部品のレイアウト性の向上にも貢献することができる。
特に、歯車本体と弾性部材とを一体に形成することが可能であるので、日曜回し車の全体の厚みが厚くなることを効果的に抑制することができる。
特に、歯車本体と弾性部材とを別体に形成できるので、各々を精度良く形成できるうえ、歯車本体と回転体との間に弾性部材を配置させる構成であるので、全体の厚みが厚くなることを抑制し易い。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として機械式の腕時計を例に挙げて説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお、本実施形態では、ケース裏蓋から文字板に向かう方向を上側、その反対側を下側として説明する。
図2〜図4に示すように、ムーブメント10は、該ムーブメント10の基板を構成する地板20を有している。地板20の表側には、てんぷ、がんぎ車、アンクル等を含む図示しない脱進調速機構と、四番車21、図示しない三番車、二番車22及び図示しない香箱車を含む表輪列と、が少なくとも配置されている。
なお、地板20の裏側には、日ジャンパ29及び曜ジャンパ30を少なくとも押さえる図示しない裏物押さえが取り付けられており、この裏物押さえの裏側に上記文字板11がガラス2を通じて視認可能に配置されている。
二番車22は、図示しないぜんまいが解けていくときの力を動力源として回転する香箱車の回転に基づいて軸線O1回りに回転する。この際、二番車22は脱進調速機構により、1時間に1回転するように正確に回転制御されている。筒かな23は、二番車22と一体に回転可能とされ、文字板11よりもガラス2側に突出している。そして、この突出した筒かな23の上端部に分針13が取り付けられている。
なお、筒かな23には、二番車22に対するスリップ機構が設けられており、後述する時刻修正を行うときに、二番車22に対して筒かな23がスリップしながら回転可能とされている。
なお、四番車21における車軸21aの上端部は、筒かな23の上端部よりもガラス2側に突出しており、この突出した車軸21aの上端部に秒針14が取り付けられている。
巻真7には、つづみ車及びきち車(いずれも図示しない)が取り付けられている。つづみ車は、巻真7の回転に伴って回転すると共に、巻真7の軸方向の移動に伴ってかんぬきによって巻真7に沿って移動する。このとき、つづみ車は巻真7の移動方向とは反対の方向に向けて移動する。
すると、日の裏車の回転力は、筒かな23及び筒車24に伝達されるので、これら各車が回転する。このとき、二番車22は香箱車や三番車との噛み合いによって一定の運針トルクが作用して回転が規制されているので、二番車22に対して筒かな23がスリップしながら相対的に回転する。これにより、巻真7の回転に伴って分針13を回転させることができ、分針13の時刻修正を行うことができる。また、巻真7の回転に伴って筒車24を回転させることができるので、時針12についても回転させることができ、時針12の時刻修正を行うことができる。
なお、本実施形態では、日曜回し車26の回転方向は、ムーブメント10を文字板11側から見た平面視で、CW方向(時計方向)とされている。
日アーム部29bの先端部には、日車27の内周縁側に向けて膨らむように形成された躍制部35が形成されている。日アーム部29bは、躍制部35を日車27側に予め押しつけるように取り付けられており、躍制部35を日車27の内歯27aに対して係合させている。
なお、日車27はCW方向に回転するので、日ジャンパ29のベース部29a側から躍制部35側に向かって回転する。よって、日車27に関する説明では、日ジャンパ29のベース部29a側を回転方向の上流側、躍制部35側を回転方向の下流側と定義する。
さらに、日車27が回転すると、弾性変形された日アーム部29bの復元力(軸線O1に対して径方向の外側に働く弾性復元力)により、躍制部35の傾斜面35cが内歯27aの後部をCW方向へ押圧し、日車27の回転を補助する。
これにより、日車27の回転規制が解除され、日車27を1つの内歯27a分だけCW方向に回転させることができる。なお、日車27が1つの内歯27a分だけ回転すると、日アーム部29bが復元変形して躍制部35の傾斜面35aが次の内歯27aに係合し、且つ傾斜面35cが下流側の内歯27aに係合するので、日車27は再び回転が規制される。
曜板41は、曜星車40の上面に重なって配置され、日車27の内側に収まる外形サイズとされている。曜板41のうち、曜星車40の上面に重なっている部分(内周縁側)が、曜星車40に対して例えば溶着等により一体に固定されている。これにより、曜星車40と曜板41とは常に同期して軸線O1回りに回転する。
なお、このように構成された曜車28の回転方向は、ムーブメント10を文字板11側から見た平面視で、CCW方向(反時計方向)とされ、日車27とは回転方向が逆とされている。
特に、本実施形態では、14歯ある曜歯40aの数に対応して、2週間分の曜文字が周方向に並ぶように明示されている。従って、曜歯40aの1歯分だけ曜星車40を回転させることで曜窓11bを通じて表示される曜文字を1日分だけ送ることが可能とされる。
曜アーム部30bの先端部には、曜星車40の外周縁側に向けて膨らむように形成された躍制部36が形成されている。曜アーム部30bは、躍制部36を曜星車40側に予め押しつけるように取り付けられており、躍制部36を曜星車40の曜歯40aに対して係合させている。
なお、曜車28はCCW方向に回転するので、曜ジャンパ30のベース部30a側から躍制部36側に向かって回転する。よって、曜車28に関する説明では、曜ジャンパ30のベース部30a側を回転方向の上流側、躍制部36側を回転方向の下流側と定義する。
さらに、曜星28が回転すると、弾性変形された曜アーム部30bの復元力(軸線O1に対して径方向の外側に働く弾性復元力)により、躍制部36の傾斜面36cが曜歯40aの後部をCCW方向へ押圧し、曜車28の回転を補助する。
これにより、曜星車40の回転規制が解除され、曜星車40を1つの曜歯40a分だけCCW方向に回転させることができる。
なお、曜星車40が1つの曜歯40a分だけ回転すると、曜アーム部30bが復元変形して躍制部36の傾斜面36aが次の曜歯40aに係合し、且つ傾斜面36cが下流側の曜歯40aに係合するので、曜星車40は再び回転が規制される。
次に、上記日曜回し車26について詳細に説明する。
図3〜図7に示すように、日曜回し車26は、24時間で軸線O2回りに1回転する歯車本体50と、この歯車本体50に対して軸線O2方向に重なって配置されると共に車軸51を介して歯車本体50に連結され、歯車本体50と共に軸線O2回りに回転する回転ブロック(本発明に係る回転体)52と、回転ブロック52に一体的に形成された日回し爪53及び曜回し爪54と、内歯27a及び曜歯40aに対する日回し爪53及び曜回し爪54の係合後、歯車本体50の回転に伴って弾性変形することでばね力(弾性力)を蓄積する渦巻きばね(本発明に係る弾性部材)55と、を備えている。
なお、日曜回し車26は、車軸51の下端部が地板20に軸線O2回りに回転可能に支持されることで安定して回転する(図3参照)。
なお、日曜回し車26は、日回し爪53及び曜回し爪54が内歯27a及び曜歯40aに係合するまでは、全体が一体となってCW方向に回転する。
これら第1リブ56及び第2リブ57は、平面視三角形状に形成されていると共に、周方向に間隔をあけて配置されている。第1リブ56は、日回し腕部53aのうち、基端部と先端部との間に位置する中間部分に形成されている。第2リブ57は、日回し腕部53aの基端部に形成されている。
次に、上述のように構成された時計1の作用について説明する。
この時計1では、ぜんまいが解けていくときの力を動力源として香箱車が回転するので、図2に示すように、香箱車の回転力が二番車22に伝達されて、二番車22が軸線O1回りに回転する。また、二番車22に伝達された回転力は三番車、四番車21、日の裏車及び筒車24に伝達されるので、これら各車が回転する。
これにより、巻真7の回転に伴って分針13を回転させて、分針13の時刻修正を行うことができる。同時に、巻真7の回転に伴って筒車24が回転するので、時針12を回転させて時針12の時刻修正を行うことができる。
この際、日回し爪53の日爪53b、及び曜回し爪54の曜爪54bは、徐々に日車27の内歯27a及び曜星車40の曜爪54bに向かって接近する。なお、日車27及び曜星車40は、日ジャンパ29及び曜ジャンパ30によって回転方向の位置が適切に位置決めされている。
従って、日回し爪53及び曜回し爪54の回転を再開することができ、日車27をCW方向に回転させることができると共に、曜星車40をCCW方向に回転させることができる。
その結果、24時に達した時点で、日付及び曜日を瞬間的に同時に切り換えることができる。
さらに、日曜回し車26以外の他部品の設置スペースを確保する必要がないうえ、回転ブロック52と歯車本体50とを平面配置する必要もないので、必須な時計部品のレイアウト性の向上を図ることができる。しかも、歯車本体50と渦巻きばね55とが一体に形成されているので、日曜回し車26の全体の厚みを効果的に薄くすることができ、ムーブメント10全体の薄型化に貢献し易い。
渦巻きばね55に一定のばね力が蓄積されたタイミングで、突起ピン58と第1リブ56とが接触することで、回転ブロック52、日回し爪53及び曜回し爪54を歯車本体50に追従するように強制回転させることができる。従って、蓄積されたばね力と、日車27及び曜星車40を回転させるために必要な回転トルクとのバランスに関係なく、日車27及び曜星車40を回転させて、これらの回転規制を適切に解除できる。
従って、日付及び曜日の瞬間的な切り換えを所望のタイミングでより確実に行うことができ、24時に達した時点で日付及び曜日の切り換えを高精度に行うことが可能である。
次に、本発明に係る第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、渦巻きばね55を利用して日曜回し車26を構成したが、第2実施形態では板ばねを利用して日曜回し車を構成している。
なお、車軸51は地板20に対して打ち込みによって固定され、車軸51と歯車本体50とを回転可能に組み合わせるようにしてもよい。この場合、組立容易性が向上するといった利点がある。
板ばね72は、図11〜図13に示すように、歯車本体50に連結される連結板72aと、この連結板72aに基端部が接続され、先端部が自由端とされたばね部72bと、を備え、全体的に薄板状に形成されている。連結板72aは、例えば歯車本体50に形成された2つの凸部76に嵌合固定されている。これにより、板ばね72は、歯車本体50と共に軸線O2回りに回転する。
本実施形態の場合であっても、時刻が例えば22時よりも前の段階(すなわち、約2時間前までは)では、日曜回し車71の全体が一体となって軸線O2回りをCW方向に回転する。これにより、日回し爪53の日爪53b、及び曜回し爪54の曜爪54bは、徐々に日車27の内歯27a及び曜星車40の曜歯40aに向かって接近する。
従って、日回し爪53及び曜回し爪54の回転を再開することができ、日車27をCW方向に回転させることができると共に、曜星車40をCCW方向に回転させることができる。
なお、このとき本実施形態では、回転ブロック52、日回し爪53及び曜回し爪54は、歯車本体50に対して相対的に回転する。
同様に、日付表示を行う際、例えば日回し爪53によって日表示針が取り付けられた日星車を1歯ずつ回転させることで、日付を表示させても構わない。
1…時計
5、70…カレンダ機構
10…ムーブメント(時計用ムーブメント)
26、71…日曜回し車
27…日車
27a…日車の内歯
28…曜車
40a…曜車の曜歯
50…歯車本体
51…車軸
52…回転ブロック(回転体)
53…日回し爪
54…曜回し爪
55…渦巻きばね(弾性部材)
56…第1リブ(第1被係合部)
57…第2リブ(第2被係合部)
58…突起ピン(突起部)
72…板ばね(弾性部材)
81A…第1突起ピン(突起部)
81B…第2突起ピン(突起部)
Claims (8)
- 24時間で軸線回りに1回転する歯車本体と、
前記歯車本体に対して前記軸線方向に重なって配置されると共に、車軸を介して前記歯車本体に連結され、前記歯車本体と共に前記軸線回りに回転する回転体と、
前記回転体に一体に形成され、前記回転体の回転に伴って日車の内歯に係合する日回し爪と、
前記回転体に一体に形成され、前記回転体の回転に伴って曜車の曜歯に係合する曜回し爪と、
前記歯車本体に設けられ、前記内歯及び前記曜歯に対する前記日回し爪及び前記曜回し爪の係合後、前記歯車本体の回転に伴って弾性変形することで弾性力を蓄積すると共に、蓄積した弾性力を前記回転体に伝達して前記回転体を回転方向に付勢する弾性部材と、を備えていることを特徴とする日曜回し車。 - 請求項1に記載の日曜回し車において、
前記回転体、前記日回し爪及び前記曜回し爪のうちのいずれかに形成された第1被係合部と、
前記第1被係合部に対して前記歯車本体の回転方向上流側に位置するように前記歯車本体に設けられ、前記弾性部材が前記弾性力を蓄積した後に、前記歯車本体の回転に伴って前記第1被係合部に接触する突起部と、を備えていることを特徴とする日曜回し車。 - 請求項2に記載の日曜回し車において、
前記突起部に対して前記歯車本体の回転方向上流側に位置するように、前記回転体、前記日回し爪及び前記曜回し爪のうちのいずれかに形成された第2被係合部を備え、
前記突起部は、前記第1被係合部から前記突起部が離間する反対方向に向けて前記歯車本体が回転したときに、前記第2被係合部に接触することを特徴とする日曜回し車。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の日曜回し車において、
前記歯車本体は、前記軸線を中心に環状に形成され、
前記弾性部材は、前記軸線を中心に螺旋状に形成されると共に、内端部が前記車軸に固定され、且つ外端部が前記歯車本体に接続されることで、前記歯車本体の内側に配置された渦巻きばねであることを特徴とする日曜回し車。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の日曜回し車において、
前記回転体は、前記歯車本体に対して相対回転可能に前記車軸に連結され、
前記弾性部材は、前記歯車本体と前記回転体との間に配置され、前記歯車本体に固定された板ばねであることを特徴とする日曜回し車。 - 請求項1から5のいずれか1項に記載の日曜回し車と、
前記日車及び前記曜車と、を備えていることを特徴とするカレンダ機構。 - 請求項6に記載のカレンダ機構を備えていることを特徴とする時計用ムーブメント。
- 請求項7に記載の時計用ムーブメントを備えることを特徴とする時計。
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