JP2016049783A - ダンパ及びダンパの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダンパ22の制御装置36は、所定周波数の入力振動がばね下部材からダンパ本体30に入力されたときにおける電磁モータ66による回生効率が最大となるデューティ比又は回生効率が所定の効率閾値を上回る可変値又は固定値であるデューティ比を用いてスイッチング素子80を制御する。
【選択図】図1
Description
|v|>γeb/ψのとき、β=1
[A1.車両10の構成]
(A1−1.車両10の全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るダンパ22を有するサスペンション装置12を搭載した車両10の一部を簡略的に示す概略構成図である。サスペンション装置12は、各車輪24に対応するコイルばね20及びダンパ22と、車両10の車速Vを検出する車速センサ26とを有する。
コイルばね20は、車体28とスプリングシート48との間に配置され、路面300から車輪24に入力される振動(路面振動)を吸収する。
(A1−3−1.ダンパ22の全体構成)
ダンパ22は、コイルばね20(又は車体28)の変位を減衰させる。図1に示すように、ダンパ22は、ダンパ本体30と、油圧機構32と、モータ回路34と、電子制御装置36(以下「ECU36」という。)とを備える。
ダンパ本体30は、スプリングシート48に加え、油圧シリンダ40、ピストンヘッド42、ピストンロッド44及びピストンバルブ46を備える。油圧シリンダ40は、円筒状の部材であり、ピストンヘッド42により、その内部が第1油圧室50及び第2油圧室52に区画される。第1油圧室50及び第2油圧室52には油が充填されている。ピストンロッド44は、油圧シリンダ40の内周面と略等しい直径のピストンヘッド42をその一端に固定すると共に、他端が車体28に固定されている。ピストンバルブ46は、ピストンヘッド42内に形成され、第1油圧室50と第2油圧室52とを連通させる。スプリングシート48は、油圧シリンダ40の外周に形成されてコイルばね20の一端を支持する。
油圧機構32は、ダンパ22における油の流通を制御するものであり、油圧ポンプ60と、油流路62と、アキュムレータ64と、電磁モータ66(以下「モータ66」ともいう。)とを備える。油流路62内の油は、油圧ポンプ60によりその流れの向き及び圧力が制御される。モータ66は、ECU36からの指令に基づき油圧ポンプ60を動作させる。第1実施形態のモータ66は、直流(DC)式であるが、交流(AC)式としてもよい。
モータ回路34は、モータ66と電気的に連結された回路であり、キャパシタ70(蓄電装置)と、昇圧チョッパ回路72(以下「チョッパ回路72」ともいう。)と、ダイオード74とを備える。モータ66とモータ回路34を組み合わせることにより、モータ66の逆起電力によりモータ反力Fmot(換言すると、コイルばね20に対する減衰力)を発生させることが可能となる。加えて、モータ66による回生により発電を行うことができる。
図1に示すように、ECU36は、入出力部90、演算部92及び記憶部94を有する。入出力部90は、車速センサ26、スイッチング素子80等との信号の入出力を行う。
(A2−1.前提)
図2は、本実施形態のサスペンション装置12の動作を説明するための等価モデルを示す図である。図2における各種の値の内容は、下記の通りである。
x0:路面300の上下方向変位量[m]
x1:ばね下部材110の上下方向変位量[m]
x2:ばね上部材112の上下方向変位量[m]
M1:ばね下部材110の質量[kg]
M2:ばね上部材112の質量[kg]
k1:ばね下部材110のばね定数[N/m]
k2:コイルばね20のばね定数[N/m]
C2:ダンパ本体30の減衰係数[N/m/s]
u:電磁モータ66の制御量
本実施形態では、車両入力エネルギPin[W]のうち回生エネルギPreg[W]が占める割合を示す回生効率Ereg[%]を高く維持するようにスイッチング素子80を制御する。車両入力エネルギPinは、車両10に入るエネルギ(すなわち、入力振動のエネルギ)である。回生エネルギPregは、モータ66が回生するエネルギであり、ここでは、キャパシタ70に充電されるエネルギとして捉える。
Pin=∫k1(x0−x1)x1’dt (1)
Preg=C・Vc2/2 (2)
Ereg=Preg/Pin (3)
図4は、第1実施形態においてECU36がスイッチング素子80を制御するフローチャートである。図4のステップS1〜S5は、ECU36のDUT設定部100が実行する。ステップS6は、ECU36のSW制御部102が実行する。
以上のような第1実施形態によれば、電磁モータ66による回生効率Eregが相対的に高くなるデューティ比DUT(最大効率デューティ比DUTemax)を用いてチョッパ回路72のスイッチング素子80を制御する(図4のS3、S4参照)。これにより、高い回生効率Eregで昇圧チョッパ回路72を作動させることが可能となる。
[B1.車両10Aの構成]
図5は、本発明の第2実施形態に係るダンパ22aを有するサスペンション装置12aを搭載した車両10Aの一部を簡略的に示す概略構成図である。第1実施形態と同様の構成要素には、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
(B2−1.回生効率)
図6は、第2実施形態におけるスイッチング素子80のデューティ比DUTと、回生エネルギPregと、回生効率Eregとの関係の一例を示す図である。第1実施形態では、回生効率Eregが最大となる最大効率デューティ比DUTemaxにデューティ比DUTを固定した(但し、一部の例外を除く。図4のS3、S4)。これに対し、第2実施形態では、回生効率Eregを高く保ちつつ、ばね上加速度X2’’、前後G及びロールGの影響を反映してスイッチング素子80のデューティ比DUTを可変とする。
(B2−2−1.ばね上)
図7は、第2実施形態及び比較例におけるばね上加速度X2’’の周波数f2、f2c[rad/s]と、ばね上加速度X2’’のパワースペクトル密度D2[(m/s2)2/(rad/s)]と、デューティ比DUTとの関係の一例を示す図である。図7の横軸に示す周波数f2、f2cの数値については、単位Hzで理解し易くするため、いずれも実際の数値を「1/3.14」倍していることに留意されたい(図8も同様である。)。また、ここにいう比較例は、昇圧チョッパ回路72を有しないダンパを備えるサスペンション装置である。
図8は、第2実施形態及び比較例におけるばね下加速度X1’’の周波数f1、f1c[rad/s]と、ばね下加速度X1’’のパワースペクトル密度D1[(m/s2)2/(rad/s)]と、デューティ比DUTとの関係の一例を示す図である。上記の通り、ここでの比較例は、昇圧チョッパ回路72を有しないダンパを備えるサスペンション装置である。
(B2−3−1.全体的な流れ)
図9は、第2実施形態においてECU36aがスイッチング素子80を制御するフローチャートである。図9のステップS11〜S16は、ECU36aのDUT設定部100が実行する。ステップS17は、ECU36aのSW制御部102が実行する。
図10は、第2実施形態において、ばね上加速度X2’’、前後G及びロールGに基づいてデューティ比DUTを更新するフローチャート(図9のS14の詳細)である。ステップS21において、ECU36aは、ばね上加速度X2’’に基づいて仮目標減衰力Fdtar_pを設定する。例えば、ばね上加速度X2’’がゼロとなるように仮目標減衰力Fdtar_pを設定する。仮目標減衰力Fdtar_pは、モータ66による減衰力Fdの暫定的な目標値である。
上記のような第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて又はこれに代えて、以下の効果を奏することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
上記各実施形態では、ダンパ22、22aを車両10、10Aに適用した例を説明した(図1、図5)。しかしながら、回生効率Eregに基づくデューティ比DUTの制御の観点からすれば、その他の装置(例えば、船舶、飛行機又は製造装置)にダンパ22、22aを適用することも可能である。
(C2−1.コイルばね20)
上記各実施形態では、路面振動(入力振動)を吸収するためのばねとしてコイルばね20を用いた(図1、図5)。しかしながら、例えば、路面振動(入力振動)を吸収する観点からすれば、その他の種類のばね(例えば、板ばね)を用いることも可能である。
上記各実施形態では、油圧機構32を備えるダンパ22、22aを用いた(図1、図5)。しかしながら、例えば、回生効率Eregに基づくデューティ比DUTの制御の観点からすれば、これに限らない。例えば、ボールねじ式、ラック&ピニオン式、ダイレクト式(リニアモータ)等の構成を適用可能である。
上記各実施形態では、モータ66による減衰力Fdを、油を介して伝達した(図1、図5)。しかしながら、例えば、モータ66による減衰力Fdを伝達する観点からすれば、油以外の流体(例えば、エア)を用いることも可能である。
上記各実施形態では、電磁モータ66は、直流式であった。しかしながら、例えば、回生効率Eregに基づくデューティ比DUTの制御の観点からすれば、これに限らない。例えば、モータ66は、交流式としてもよい。
(C3−1.変調方式)
上記各実施形態では、ECU36、36aは、スイッチング素子80をパルス幅変調(PWM)で制御した。しかしながら、例えば、チョッパ回路72の昇圧率を制御する観点からすれば、これに限らない。例えば、ECU36、36aは、パルス周波数変調(PFM)を用いてスイッチング素子80を制御してもよい。PFMを用いる場合、デューティ比DUTは、駆動信号Sdrのパルスの周波数に関連する。
第2実施形態の高効率領域Rehiは、デューティ比DUTの全範囲(0〜1)の半分を上回る広さであった(図6)。しかしながら、高効率領域Rehiをより重視する観点からすれば、高効率領域Rehiを図6の例よりも狭めることが可能である。
第1実施形態では、デューティ比DUTが最大効率デューティ比DUTemaxに到達するまでデューティ比DUTを徐々に増加させた(図4のS4)。しかしながら、例えば、最大効率デューティ比DUTemaxに焦点を当てた場合、デューティ比DUTをゼロから最大効率デューティ比DUTemaxに直接切り替えることも可能である。デューティ比DUTを最大効率デューティ比DUTemaxからゼロに移行する場合(図4のS5)も同様である。第2実施形態(図9のS15、S16)についても同様である。
20…コイルばね(ばね) 22、22a…ダンパ
30…ダンパ本体 36、36a…ECU(制御装置)
66、66a…電磁モータ 70…キャパシタ
72…昇圧チョッパ回路 74…ダイオード
80…スイッチング素子 84…リアクトル
110…ばね下部材 112…ばね上部材
DUT…デューティ比
DUTemax…最大効率デューティ比
Ereg…回生効率 Fd…減衰力
Pin…車両入力エネルギ(入力振動のエネルギ)
Rehi、Rehi2…高効率領域
THereg、THereg2…効率閾値
Vmot…モータ電圧(電磁モータの発電電圧)
Claims (5)
- ばねと並列に設置されたダンパ本体と、
前記ダンパ本体に入力される入力振動のエネルギを回生することで前記ばねに対する減衰力を発生させる電磁モータと、
前記電磁モータと直列に接続されたキャパシタと、
スイッチング素子及びリアクトルを備え、前記電磁モータの発電電圧を昇圧して前記キャパシタに出力する昇圧チョッパ回路と、
前記スイッチング素子のデューティ比を制御する制御装置と
を備えるダンパであって、
前記制御装置は、所定周波数の入力振動がばね下部材から前記ダンパ本体に入力されたときにおける前記電磁モータによる回生効率が最大となる前記デューティ比又は前記回生効率が所定の効率閾値を上回る可変値若しくは固定値である前記デューティ比を用いて前記スイッチング素子を制御する
ことを特徴とするダンパ。 - 請求項1に記載のダンパにおいて、
前記デューティ比は、オンデューティ比であり、
前記制御装置は、前記オンデューティ比を0.5から0.7の間に設定する
ことを特徴とするダンパ。 - 請求項1又は2に記載のダンパにおいて、
前記制御装置は、前記所定周波数の前記入力振動が前記ばね下部材から前記ダンパ本体に入力されたときにおける前記電磁モータによる前記回生効率が前記所定の効率閾値を上回る範囲において前記デューティ比を可変とする
ことを特徴とするダンパ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のダンパにおいて、
前記電磁モータは、整流子型単相交流モータであり、
前記電磁モータと前記キャパシタの間にはダイオードが配置される
ことを特徴とするダンパ。 - ばねと並列に設置されたダンパ本体と、前記ダンパ本体に入力される入力振動のエネルギを回生することで前記ばねに対する減衰力を発生させる電磁モータと、前記電磁モータと直列に接続されたキャパシタと、スイッチング素子及びリアクトルを備え、前記電磁モータの発電電圧を昇圧して前記キャパシタに出力する昇圧チョッパ回路と、前記スイッチング素子のデューティ比を制御する制御装置とを備えるダンパの制御方法であって、
前記制御装置は、所定周波数の入力振動がばね下部材から前記ダンパ本体に入力されたときにおける前記電磁モータによる回生効率が最大となる前記デューティ比又は前記回生効率が所定の効率閾値を上回る可変値若しくは固定値である前記デューティ比を用いて前記スイッチング素子を制御する
ことを特徴とするダンパの制御方法。
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