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JP2015503923A - 結腸直腸癌の解析のための方法およびバイオマーカー - Google Patents

結腸直腸癌の解析のための方法およびバイオマーカー Download PDF

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JP2015503923A JP2014550784A JP2014550784A JP2015503923A JP 2015503923 A JP2015503923 A JP 2015503923A JP 2014550784 A JP2014550784 A JP 2014550784A JP 2014550784 A JP2014550784 A JP 2014550784A JP 2015503923 A JP2015503923 A JP 2015503923A
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Abstract

本発明は生物学的サンプル(例えば組織サンプル、生検サンプル、便サンプル、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル)における、結腸直腸癌の検出のための方法およびバイオマーカー(例えば遺伝子発現バイオマーカー)に関する。いくつかの実施形態において、本発明の方法およびバイオマーカーは、結腸直腸癌患者に予後を提供する結腸直腸癌の検出における使用およびコンパニオン診断における使用を見出す。

Description

本願発明は生物学的なサンプル(例えば組織サンプル、生検サンプル、便サンプル、血液サンプル、血漿サンプルおよび血清サンプル)における結腸直腸癌の検出のための、方法およびバイオマーカー(例えば遺伝子発現バイオマーカー)に関する。いくつかの実施形態において本発明の方法およびバイオマーカーは、結腸直腸癌患者への予後を提供する、結腸直腸癌の検出における使用、およびコンパニオン診断における使用を見出す。
結腸直腸癌(CRC)は、世界規模の年間発病率120万人である、3番目に一般的に多い癌であり、死亡率はおよそ50%である。CRCの唯一の利用可能な治療上の処置は腫瘍性の組織の完全な外科的な切除である(Van Cutsem et al., Colon cancer: Management of locoregional disease, in Kelsen DP, Daly JM, Kern SE, et al (ed): Principles and practice of gastrointestinal oncology. Philadelphia, USA, Lippincott Williams & Wilkins, 2008, pp 581)。臨床病理学的な腫瘍の病期による疾患の程度の決定は、CRC患者のための第1の予後因子である(上記Van Cutstem et al.)。第III期の腫瘍と比較して第II期の腫瘍に位置する患者に対する好ましい結果にかかわらず、20%以上の第II期の患者は再発に苦しんでいる(Gray et al., Lancet 370:2020-2029, 2007)。さらに、第II期の患者に対する補助化学療法の調査は、矛盾する結果を示しており(Andre et al., Ann Surg Oncol 13:887-898, 2006; Sobrero A, Lancet Oncol 7:515-516, 2006; Kohne, Lancet Oncol 7:516-517, 2006)、外科手術は唯一の推奨される処置様式にとどまっている(Benson et al., J Clin Oncol 22:3408-3419, 2004)。第III期の疾患を有する患者にとっての大規模な臨床的な試行は、補助化学療法の処理による向上した生存率を一貫して示しており、これがこの群の患者の標準の治療を構成している(Andre et al., N Engl J Med 350:2343-2351, 2004)。しかし、第IIB期(T期4、リンパ節陰性)の患者間の著しく不十分な生存率は第IIIA期(T期1−2、リンパ節陽性)の疾患と比較して、この予後の階層化について改善の必要がある(O'Connell et al., J Natl Cancer Inst 96:1420-1425, 2004)。
したがって、主に第II期および第III期の患者に対する予後を予測することによる補助的な処置の必要のあるそれぞれの患者の同定は、主要な臨床的な懸念事項のままである。この目的のための通常の臨床的な使用においては、現在マーカーがない(Locker et al., ASCO 2006 J Oncol Pract 24:5313-5327, 2006)。したがって、予後の階層化のための分子マーカーの同定は、第II期および第III期の疾患を有している患者の有益な個人化した管理に先立つ様々な段階を示している。
本発明は生物学的サンプル(例えば、組織サンプル、生検サンプル、便サンプル血液サンプル、血漿サンプルおよび血清サンプル)における結腸直腸癌の検出のための方法およびバイオマーカー(例えば遺伝子発現バイオマーカー)に関する。いくつかの実施形態において、本発明の方法およびバイオマーカーは、結腸直腸癌患者へ予後を提供する結腸直腸がんの検出における使用、およびコンパニオン診断における使用が見出される。
例えば、いくつかの実施形態において、本願発明は被験者における直腸結腸癌の予後を決定するため、被験者の結腸直腸癌を診断するため、被験者における結腸直腸癌の素因を予測するため、被験者における結腸直腸癌の再発の可能性を予測するため、または特定の治療法を用いた処置に対する疾患を有する被験者を選択するための方法であって、a)例えば、OLFM4,CXCL9,DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EまたはWNT11から選択される1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上または7つすべての遺伝子の発現レベルを検出するための試薬に、結腸直腸癌と診断された被験者から得た生物学的サンプルを接触させること;およびb)インビトロの解析を用いて、遺伝子の発現レベルを検出することを包含しており前記1つ以上の遺伝子の変化した発現レベルは、被験者の予後不良の指標、被験者における結腸直腸癌の診断、被験者における結腸直腸癌の素因の予測、被験者における結腸直腸癌の再発の可能性の予測、または被験者が特定の治療法を用いた処置のための候補であるという指標を提供する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、1つ以上の遺伝子は、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、または(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つから選択される、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、または7つすべての遺伝子の組を含んでいる。いくつかの実施形態において、遺伝子は、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EおよびWNT11を含んでいる。いくつかの実施形態において、生物学的サンプルは、組織サンプル、生検サンプル、血液サンプルまたは便サンプルである。いくつかの実施形態において、被験者は以前に結腸直腸癌と診断されている。
いくつかの実施形態において、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つまたは(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つからなる群から選択される1つ以上の遺伝子の、前記遺伝子の参照の発現レベルと比べて減少した発現レベルが、前記被験者の予後不良と関連している。ならびに/または(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つまたは(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つから選択される1つ以上の遺伝子の、前記遺伝子の参照の発現レベルと比べて上昇した発現レベルが、前記被験者の予後不良と関連している。いくつかの実施形態において、予後不良は、結腸直腸癌の低下した生存率、前再発または転移を含んでいる。いくつかの実施形態において、参照のレベルは、結腸直腸癌と診断された被験者または結腸直腸癌と診断されていない被験者から得たレベルである。いくつかの実施形態において、予後は、5年間無再発生存率である。
いくつかの実施形態において、当該方法は、処置の手順の決定の段階を(例えば、予後不良であると同定された被験者には化学療法を行い、予後良好であると同定された被験者には化学療法を行わないことが挙げられるがこれに限定されない)をさらに包含している。いくつかの実施形態において、化学療法は、補助化学療法である。
いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は、第I期、第II期または第III期である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌の有益な試薬は、例えば、1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物とハイブリダイズする、1つもしくは複数の核酸プローブ、1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物の増幅および検出のための核酸プライマー、または前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物に特異的な抗原結合タンパク質である。いくつかの実施形態において、遺伝子産物は、遺伝子から転写されたRNAであり、前記結腸直腸の有益な試薬は1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物とハイブリダイズする、1つもしくは複数の核酸プローブ、または前記1つ以上の遺伝子の前記それぞれの遺伝子産物の増幅および検出のための核酸プライマーである。
いくつかの実施形態において、本発明は、被験者の結腸直腸癌を診断するための方法であって、a)例えば、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、または(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つから選択される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを検出するために、結腸直腸癌を有する被験者から得た生物学的サンプルを結腸直腸癌の有益な試薬に接触させること;およびb)インビトロのアッセイにおいて、結腸直腸癌の有益な試薬を用いて1つ以上の遺伝子の発現レベルを検出することを包含しており、1つ以上の遺伝子の変化した発現レベルは、前記被験者における結腸直腸癌と比べた予後不良の指標である方法を提供する。
さらなる実施形態において、本発明は、例えば、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、または(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つから選択される1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上または7つすべての遺伝子の、結腸直腸癌である、または結腸直腸癌の疑いがある被験者から得たサンプル中の変化した遺伝子発現を検出するための、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上または7つの有益な試薬を含んでいるキットを提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上の遺伝子は、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EおよびWNT11の組を含んでいる。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌の有益な試薬は、例えば、1つ以上の遺伝子のそれぞれの(複数の)遺伝子産物とハイブリダイズする(複数の)プローブ、1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物の増幅および検出のためのプライマーの(複数の)組、1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物に特異的な(複数の)抗原結合タンパク質、または前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物とハイブリダイズし、配列決定を可能にする(複数の)配列決定プライマーである。
本発明の更なる実施形態は、結腸直腸癌と診断された被験者の予後を決定するため、被験者における結腸直腸癌を診断するため、特定の処置の成功の可能性を決定するおよび/または前記処置のための患者を選択するための前述のキットのうちのいずれかの使用を提供する。
さらなる実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて、関連する技術分野の当業者に明らかである。
予後の遺伝子の発現特性開発のための解析のワークフローである。試験シリーズの95の第II期および第III期のCRCサンプルから選別された遺伝子発現データセットを生存モデルへの入力として使用した。Lasso罰則付き多変量モデルによる1000回の反復から、8つのモデルが生存予測に最適であるとして50回を超えて報告された(中央の棒グラフ)。それぞれの遺伝子発現の特性について、患者は不十分な生存率と関連のあるレベルで発現している遺伝子の量の可能性のある段階的な全ての増加に従い、予後良好および予後不良の群に二分された(下のパネル)。可能性のある28の全ての階層化について、患者の生存率との間の一変量の関連を試験し、22について有意な関連が得た(79%;濃青;ハザード比(HR)3.0から11.5の範囲)。 予後発現特性における遺伝子の統計的特徴。発現特性における7個の遺伝子は、生存モデルに含まれる他の3091の遺伝子と比較して(灰色;中央値P=0.3;平均分散0.3)、A)一変量Coxの比例ハザード解析においてP値が低く、(中央値P=0.02、予測能力のワルド検定)、B)遺伝子発現シグナルにおいて分散が高かった(中央値2.4、log2スケール)。C)特性における7個の遺伝子間の発現シグナルのピアソン相関は概して低かった(絶対値0.006から0.55の範囲)。 3つの独立した系統の、7個の遺伝子で階層化された第II期および第III期のCRC患者の生存曲線。A)試験シリーズにおいて予後不良の群に割り当てられた患者の10年間無再発生存率は9%であり、予後良好の群における患者に対する62%の生存率と比較して有意に低かった。対応するB)検証シリーズIおよびC)検証シリーズIIにおける患者の5年間生存率は、それぞれ、78%と比較して46%、および81%と比較して46%であった。 交差検証された部分尤度および罰則パラメーターとして機能する試験シリーズにおける有効な予測因子の数。罰則付き多変量のCoxの比例ハザードモデルを使用したLasso生存モデルアルゴリズムにより計算されたA)交差検証された部分尤度およびB)直腸結腸癌の試験シリーズにおいて罰則パラメーターλとして機能する試験シリーズにおける有効な予測因子の数。入力データは患者の10年間無再発生存率の情報と同様に、発現レベルの分散が0.2よりも高く、かつ一変量のCoxの比例ハザード解析における有意水準が0.5よりも小さい3098個の遺伝子から成る。交差検証された部分尤度は、1個抜き交差検証で計算される、選ばれた有効な予測因子の患者の生存を予測する能力を表し、最適な予測を高い値で示唆している。交差検証された部分尤度の分布は13より大きいいくつの罰則パラメーターλに最適な値に達し(およそ−252)、同等の予測能力を有する異なる大きさの遺伝子の発現特性の選択と対応していた(特性は0から12遺伝子の大きさの範囲)。 試験シリーズにおける7個の遺伝子の予後発現特性の遺伝子の発現。サンプルの相対的な量の密度基準が遺伝子発現に対してプロットされている(log2に変換されている)。 独立した3系統における各病期の患者の生存曲線。第II期(左)および第III期のCRC患者はそれぞれ7個の遺伝子の発現特性に従って階層化された。試験シリーズにおいて、A)第II期の予後良好および予後不良の患者には有意な10年間無再発生存率の違いがあった(それぞれ74%および0%;HR=6.6[2.7,16.1])。B)第III期の腫瘍の対応する生存率はそれぞれ45%および17%であった(HR=2.6[1.2,5.7])。検証シリーズIにおいて、C)予後不良の患者に対する57%と比較して、予後良好の第II期の患者の5年間無再発生存率は80%であった(HR=3.3[0.8、13.3]。D)第III期の患者に対応する生存率はそれぞれ73%および40%であった(HR=2.3[0.6から8.8]。E)第II期の腫瘍を有する検証シリーズIIにおける患者は予後良好および不良の群に分けられ、5年間無再発生存率はそれぞれ87%および72%であった(HR=1.8[0.4、7.9])。F)第III期の腫瘍の対応する生存率はそれぞれ74%および32%であった(HR=4.1[2.0、8.3])。 不十分な生存率と関連付けられるレベルで発現しているColoGuideProにおける遺伝子のサンプルごとの数における、qPCRおよびエクソンマイクロアレイデータ間の相関の証明。
〔定義〕
本発明の理解を容易にするため、若干数の用語および表現が以下に定義される;
本明細書において使用するとき、“感度”という用語は、真の陽性の数を真の陽性および偽の陰性の数の合計で割ることで計算される、解析(例えば方法、試験)の性能の統計学上の基準である。
本明細書において使用するとき、“特異性”という用語は、真の陰性の数を真の陰性および偽の陽性の数の合計で割ることで計算される、解析(例えば方法、試験)の性能の統計学上の基準である。
本明細書において使用するとき、“有益な”または“有益性”は、マーカーまたはマーカーのパネルの質、および、特に、陽性サンプルにおいてマーカー(またはマーカーのパネル)を見出す可能性を指す。
本明細書において使用するとき、“直腸結腸癌の有益な試薬”という用語は、本明細書に記載されている癌遺伝子発現マーカーの同定のために有益である試薬または複数の試薬を指している。いくつかの実施形態においては、試薬はプライマー、プローブ、または以下の遺伝子:OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EもしくはWNT11の遺伝子発現の産物(例えばRNA転写物またはタンパク質)の検出のための抗体である。
本明細書において使用するとき、“転移”という用語は、ある臓器または身体の一部から生じた癌細胞が身体の他の部分に移動し、増殖を続ける過程を意味する。転移した細胞はその後さらに転移する可能性のある腫瘍を形成する。このように転移は癌が最初に生じた身体の部分から身体の他の部分へ広がることを表す。本明細書において使用するとき、“転移した直腸結腸癌細胞”という用語は転移した直腸結腸癌細胞、すなわち直腸結腸癌以外の身体の部分に位置する直腸結腸癌細胞を指すことを意味する。
本明細書において使用するとき、“ある個体が転移した直腸結腸癌細胞に影響されやすい疑いがある”とは、転移した直腸結腸癌の発症の、平均より高いリスクのある個体を指すことを意味する。直腸結癌が発症する特別なリスクを持つ個体の例は、家族の病歴が家族の構成員の平均より高い直腸結腸癌発生率を示しているおよび/またはすでに直腸結腸癌を発症し、有効な治療を受け、それゆえ再燃および再発のリスクに直面している個体である。転移した直腸結腸癌を発症する平均より大きなリスクに寄与し、それにより転移した直腸結腸癌細胞に影響されやすい疑いがある個体と分類されることになる他の因子は、個体の特異的な遺伝的、医学的、および/または行動的背景および特徴に基づき得る。
本明細書において使用するとき、“新生物”という用語は任意の新規および異常な組織の成長を表す。したがって新生物は良性新生物または悪性新生物であり得る。“新生物特異的マーカー”という用語は、新生物の存在を示すのに使用される任意の生物学的物質を指す。生物学的物質の例としては、核酸、ポリペプチド、炭水化物、脂肪酸、細胞構成成分(例えば細胞膜およびミトコンドリア)および細胞全体が含まれるが、これらに限定されない。“直腸結腸癌新生物特異的マーカー”という用語は、直腸結腸癌の新生物(例えば前癌状態の直腸結腸癌新生物、悪性直腸結腸癌新生物、転移直腸結腸癌新生物)の存在を示すのに使用される任意の生物学的物質を指す。直腸結腸癌新生物特異的マーカーの例は、本明細書に記載されている13個の遺伝子の特性が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書において使用するとき、“アンプリコン”という用語はプライマー対を用いて生成された核酸を指す。アンプリコンは典型的には一本鎖DNA(例えば非対称な増幅の結果物)であるが、RNAまたは二本鎖DNAであり得る。
本明細書において使用するとき、核酸の文脈における“増幅する”もしくは“増幅”という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの一部の複数の複製の生産を指しており、一般的には少量のポリヌクレオチド(例えば単一のポリヌクレオチド分子)の生産から開始し、増幅産物またはアンプリコンは検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅は種々の化学的および酵素的工程を含む。1つのまたはごく少数の標的または鋳型DNA分子の複製から、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリガーゼ連鎖反応(LCR;例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている米国特許第5、494、810号を参照)において多数のDNA複製を生成することは複製の形態である。さらなる複製の種類としては、アリール特異的PCR(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている。米国特許第5,639,611号を参照)アッセンブリー特異的PCR(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている米国特許第5,965,408号を参照)、ヘリカーゼ依存複製(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている米国特許第7、662、594号を参照)、ホットスタートPCR(例えばそれぞれその全文が参照によって本明細書に援用されている米国特許第5、773、258号および第5、338、671号を参照)、インターシークエンス特異的PCR、インバースPCR(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されているTriglia et al.,(1988)Nucleic Acid Res.,16:8186を参照)、ライゲーション仲介PCR(例えばその全文が参照によってそれぞれ本明細書に援用されている、Guilfoylw R. et al.,Nucleic Acid Research,25:1854-1858(1997);米国特許第5、508、169号を参照)、メチル化特異的PCR(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている、Herman et al.,(1996)PNAS 93(13)9821-9826を参照)、ミニプライマーPCR、複合ライゲーション依存プローブ増幅(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている、Schouten et al.,(2002)Nucleic Acid Research 30(12)e57を参照)、マルチプレックスPCR(例えばそれぞれその全文が参照によって本明細書に援用されているChamberlain et al.,(1988)Nucleic Acid Research 16(23)11141-11156;Ballabio et al.,(1990)Human Genetics 84(6)571-573;Hayden et al.,(2008)BMC Genetics 9:80を参照)、ネステッドPCR、オーバーラップエクステンションPCR(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている、Higuchi et al.,(1988)Nueclic Acid Research 16(15)7351-7367を参照)、リアルタイムPCR(例えばそれらの全文が参照によって本明細書にそれぞれ援用されている、Higuchi et al.,(1992)Biotechnology 10:413-417;;Higuchi et al.,(1993)Biotechnokogy 11:1026-1030)、逆転写PCR(例えばその全文が参照によって本明細書に援用されている、Bustin,S.A.(2000)J.Molcular Endocrinology 25:169-193を参照)、固相PCR、サーマルアシメトリックインターレーストPCRおよびタッチダウンPCR(例えばそれらの全文が参照によってそれぞれ本明細書に援用されている、Don et al.,Nucleic Acid(1991)19(14)4008;Roux,K.(1994)Biotechniques 16(5)812-814;Hecker et al.,(1996) Biotechniqes20(3)478-485を参照)が挙げられるがこれらに限定されない。ポリヌクレオチドの増幅はデジタルPCR(例えばそれらの全文が参照によってそれぞれ本明細書に援用されている、Kalinia et al.,Nucleic Acid Research.25;1999-2004),(1997);Vogelstein and Kinzler,Proc Natl Acad Sci USA.96;9236-41,(1999);国際公開第WO05023091A2号;米国特許出願公開第20070202525号を参照)を使用することにより行うこともできる。
本明細書において使用されるとき、“相補的な”または“相補”という用語は、塩基対の規則と関連付けられた、ポリヌクレオチド(すなわちヌクレオチドの配列)との関連で使用される。例えば“5’−A−G−T−3’”という配列は“3’−T−C−A−5’”という配列と相補的である。相補は核酸塩基の一部のみが塩基対の規則に適合している“部分的な”ものでもあり得る。または核酸間で“完全に”または“全体が”相補であり得る。核酸鎖間の相補の度合いは、ハイブリダイゼーションの効率および強度に顕著な影響がある。これは核酸間の結合に依存する検出と同様、増幅反応において特に重要である。
本明細書において使用されるとき、“プライマー”という用語は、天然に生じた、精製された制限酵素消化物内の場合、および合成的に生産された場合のいずれであっても、核酸と相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件(例えばヌクレオチドおよび生体触媒等の誘導剤(例えばDNAポリメラーゼまたは類似物)の存在下および適切な温度およびpHにおいて)で合成の開始点として働き得るオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは一般的には増幅における最大の効率のためには一本鎖であるが、選択的には二本鎖であり得る。二本鎖である場合、プライマーは一般的には伸長産物の準備のために使用される前に、最初に処理されて鎖を分離される。ある実施形態においては、プライマーはオリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは誘導剤の存在下において伸長産物の合成を開始するのに十分な長さである。プライマーの正確な長さは、多くの因子(温度、プライマー源および使用法が挙げられる)に依存する。特定の実施形態においては、プライマーは捕捉プライマーである。
本明細書において使用されるとき、“核酸分子”という用語は、DNAまたはRNAが挙げられるがこれらに限定されない、任意の核酸を含んでいる分子を指す。当該用語は、4アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシル−メチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチル−アミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルシュード−ウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2、2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチル−シトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシ−アミノ−メチル−2−チオウラシル、5−メトキシ−アミノ−メチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソジン、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル-2−チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、N−ウラシル−5−酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシンおよび2、6−ジアミノプリンンが挙げられるがこれらの限定されない、DNAおよびRNAの公知の塩基の任意のアナログを含む配列を包含する。
本明細書において使用されるとき、“ヌクレオ塩基”という用語は、“ヌクレオチド”、“デオキシヌクレオチド”、“ヌクレオチド残基”、“デオキシヌクレオチド残基”、“ヌクレオチド三リン酸(NTP)”、または“デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)”を含む、当技術分野において使用される他の用語と同義である。
“オリゴヌクレオチド”は、少なくとも2つの核酸単量体(例えばヌクレオチド)を含み、一般的には3つを超える単量体を含み、より一般的には10を超える単量体を含む核酸を指す。オリゴヌクレオチドの正確な大きさは一般的には、オリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途を含む、様々な因子に依存する。さらなる例証のため、オリゴヌクレオチドは一般的には200残基を下回る長さであるが(例えば15から100の間)、本明細書において使用されるときは、この用語はより長いポリヌクレオチド鎖を含む。オリゴヌクレオチドはしばしばその長さにより称される。例えば24残基のオリゴヌクレオチドは“24mer”と称される。一般的には、ヌクレオシド単量体はリン酸ジエステル結合またはそれらのアナログ(ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニリデート、ホスホラミデート、および、対イオンが存在する場合は、結合した対イオン(例えばH、NH4+、Na、およびその類似物)を含む類似物が挙げられる)により結合している。さらに、オリゴヌクレオチドは一般的には一本鎖である。オリゴヌクレオチドは任意に、既に存在するもしくは天然の配列からの単離、DNAの複製もしくは増幅、逆転写、クローニングおよび適切な配列の制限酵素による消化、またはNarang et al.,(1979)Meth Enzymol.68:90-99のリン酸トリエステル法;Brown et al.,(1979)Meth Enzymol.68:109-151のリン酸ジエステル法;Becaucage et al.,(1981)Tetrahedron Lett.22:1859-1862のジエチルホスホラミダイト法;Matteucci et al.,(1981)J Am Chem Soc.103:3185-3191のトリエステル法;自動化合成法;または“PROCESS FOR PREPARINGPOLYNUCLEOTIDE”と題された、Caruthers et al.,へ1984年7月に公布された、米国特許第4,458,006号の固体支持体法合成を含むが、これに限定されない方法、または当業者に知られているその他の方法を含む、任意の適切な方法で調製される。これらのその全文が参照によって本明細書に援用されている。
生物高分子の“配列”は、生物高分子における単量体の順序および種類(例えばヌクレオチド等)を表す。核酸の配列(例えば塩基配列)は一般的には5’から3’の方向に読まれる。
本明細書において使用されるとき、“被検者”という用語はヒト、非ヒトの霊長類、げっ歯類、および類似のものを含むが、それだけに限定されない、特定の処置をうけるものである動物(例えば哺乳類)を表す。一般的には、“被検者”および“患者”という用語はヒトの被検者に関しては交換可能である。
本明細書に用いられるとき、“ヒト以外の動物”という用語は、げっ歯類、非ヒトの霊長類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウマ、イノシシ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、鳥類等の脊椎動物が挙げられるがこれらに限定されない、非ヒトの全ての動物を指す。
“遺伝子”という用語は、ポリペプチド、RNA(mRNA、tRNAおよびrRNAを含むがそれだけに限定されない)または前駆体を生産するのに必要なコーディング配列を構成する核酸(例えばDNA)配列を指す。ポリペプチド、RNA、または前駆体は、全長または断片の、所望の活性または機能的な特性(例えば酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達等)を保っている限り、コーディング配列全長にコードされていてもよく、任意のコーディング配列の任意の部分にコードされていてもよい。この用語は同様に、遺伝子がmRNA全長の長さに対応するように、構造遺伝子のコーディング領域および5’および3’末端の両方においてコーディング領域に、いずれかの当該末端から1kbの距離において隣接して位置する、これに含まれる配列を包含する。コーディング領域の5’に位置し、mRNAに存在する配列は、5’非翻訳配列と呼ばれる。コーディング領域の3’または下流に位置し、mRNAに存在する配列は3’非翻訳領域と呼ばれる。“遺伝子”という用語は、cDNAおよびゲノムの形態の遺伝子の両方を包含する。ゲノムの形態またはクローンの遺伝子は、“イントロン”または“介在領域”または“介在配列”と呼ばれる非コーディング領域により分断されたコーディング領域を含んでいる。イントロンは核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子の区分である;イントロンはエンハンサー等の調節エレメントを含み得る。イントロンは核または最初の転写物から除去される、または“スプライシングされる(spliced out)”;イントロンはそれゆえメッセンジャーRNA(mRNA)を処理する転写にはおいては存在しない。mRNAは翻訳の間に新生ポリペプチドにおける配列またはアミノ酸の順序を特定するために機能する。
“座”という用語は本明細書で使用されるとき、染色体または連鎖地図における核酸の配列を指し、コーディング配列ならびに遺伝子調節に関わる5’および3’の配列を包含する。
本発明は生物学的サンプル(例えば、組織サンプル、生検サンプル、便サンプル、血液サンプル、血漿サンプル、血清サンプル)における結腸直腸癌の検出のための方法およびバイオマーカー(例えば遺伝子発現バイオマーカー)に関する。いくつかの実施形態において、本発明の方法およびバイオマーカーは、結腸直腸癌患者へ予後を提供する結腸直腸癌の検出における使用、およびコンパニオン診断における使用が見出される。
補助化学療法は、第III期のCRCにおける生存を向上させ、これらの患者の標準的な処置として受け入れられる。大多数の第II期CRC患者は、外科手術のみで治療されるが、まだ再発を示している第II期のCRC患者の何割かは、補助化学療法が役に立っているという示唆がある。このことは、高リスクの第II期の患者のより正確な予測のためのバイオマーカー、また、結果として向上した個人化した癌治療の必要性を強調するものである。一方で、第III期における患者は、外科手術のみによって治療され、補助化学療法を受けるべきではない。もしそれらが診断のときに正確に指摘されている場合、深刻な副作用は患者に対し生活の質を向上させることを妨害し得る。
予後遺伝子発現特性は、主に乳癌患者に対する癌の管理において予測値を示している(Glas et al., BMC Genomics 7:278, 2006)。CRCに対しても、いくつかの研究によって第II期および第III期の腫瘍に主に焦点を当てた予後の遺伝子発現が報告されている(Arango et al., Gastroenterology 129:874-884, 2005; Barrier et al., J Clin Oncol 24:4685-4690, 2006; Bertucci et al., Oncogene 23:1377-1391, 2004; Eschrich et al., J Clin Oncol 23:3526-3535, 2005; Wang et al., J Clin Oncol 22:1564-1571, 2004)。しかし、これらの研究は、一般的に小規模のサンプルサイズおよび/または独立したサンプルシリーズにおける試験の欠如に限定されている(Lu et al., Clin Colorectal Cancer 8:207-214, 2009)。より最近では、より大規模な研究によって、遺伝子発現特性に対する潜在的な予後予測値、または種々の大きさの遺伝子発現特性を示されている(Jorissen et al., Clin Cancer Res 15:7642-7651, 2009; O'Connell et al., J Clin Oncol 28:3937-3944, 2010; Salazar et al., J Clin Oncol 29:17-24, 2011; Smith et al., Gastroenterology 138:958-968, 2010)。しかし、不必要な大きい特性、および過剰適合の増大した危険性により低減された頑強性を生じる可能性のある、提案された特性に含まれている多量の予後情報を考慮している研究はこれまでになかった。さらに、独立した予測ポテンシャルの試験は、一般的に患者一人のシリーズのみに限定されていた。
本発明の実施形態の開発の工程の間に行われた実験によって、Cox比例ハザードにおけるL(lasso)罰則付加および交差検証による種々の選択を用いた7つの遺伝子の発現に基づく第II期および第III期のCRCのための非冗長予後遺伝子特性を開発した(Goeman et al., Biom J 52:70-84, 2009)。この特性の予後値を、異なるマイクロアレイプラットフォームにおいて解析された2系統の独立した患者シリーズにおいてポジティブに検証した。また、発現特性は試験シリーズと2系統の独立した検証シリーズとの両方において、腫瘍の病期および種々の他の臨床病理学的なパラメーターに独立した不十分な予後の重要な予測因子であった。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、第II期および第III期の結腸直腸癌を有する患者のための診断および予後を共に予測する1つ以上の遺伝子の組を提供する。この発現特性は、試験シリーズと、異なるマイクロアレイプラットフォームにおいて解析された2つの独立した検証シリーズとの両方における不十分な予後の重要な予測因子である。また、予後の階層化は、腫瘍の病期および他の臨床病理学的なパラメーターと独立している。当該セットにおける遺伝子は、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EおよびWNT11のうちの1つ以上である。
本明細書に報告されている、7遺伝子の発現特性は、第II期および第III期のCRC患者の予後の階層化についての最小規模で報告されているもののうちの1つである。以前に公表された特性は、23〜数百の範囲にあるむしろ大量の遺伝子を典型的に含んでおり、生存モデルの開発の間の、これの解釈にはほとんど焦点を当てていなかった(上記Arango et al.;上記Barrier et al.;上記Bertucci et al.;上記Eschrich et al.;上記Wng et al.;上記Jorissen et al.;上記Smith et al.)。遺伝子発現プロファイルに基づく、予後予測に関する主要な統計学的な事項は、データの高次元数に関連する。試験の組の腫瘍に示された限定された異種性への、大きく、複雑な遺伝子モデルの過剰適合は、独立した予測力を弱める。この危険性は交差検証時に合わせたパラメーターを用いた遺伝子発現データの罰則付加によって低減され得る(van Houwelingen et al., Stat Med 25:3201-3216, 2006)。本研究において、lassoが罰則付加および同時の変数の選択に用いられた(Goeman, Biom J 52:70-84, 2009; Tibshirani J R Statist Soc B 58:267-288, 1996; Tibshirani, Stat Med 16:385-395, 1997)。試験シリーズのlassoモデルの反復は、独立したサンプルにおける予後値を予測することにおける困難性を説明する、適切な罰則条件を調整するいくつかのモデルを生じた。独立した予測値を確認するために、試験シリーズから得た他の提案されたモデルにおいて示された7遺伝子の特性の選択が、検証シリーズIにおける独立したサンプルにおける試験によって行われた。
大規模な臨床試験における予測モデルの予想された試験は、それらの予後値の評価のための強力な手段を提供する。近年、第III期の臨床試験では、第II期のCRC患者におけるColoPrint試験(PARSC−試験)(NCT00903565)の評価のための患者を採用している(PARSC試験:A prospective study for the assessment of recurrence risk in stage II colon cancer patients using ColoPrint (PARSC), 2010)。第II期および第III期のCRCに対する18遺伝子の発現に基づく予後予測因子であるColoPrintは、独立した患者シリーズにおいて近年検証された(一変量HR=2.5、P=0.005)(Salazar et al., J Clin Oncol 29:17-24, 2011)。その他の試験であるOncotype DXは、第II期のCRCのための12遺伝子の再発予測因子であり(Genomic Health, I: Oncotype DX colon cancer assay, 2011)、4つの研究間の1800人以上の患者における、予め選択された遺伝子の解析から開発された(O'Connell et al., J Clin Oncol 28:3937-3944, 2010)。その予測値はQUASAR−試験(上記Gray et al.)から採用された患者において試験されたが、この最初の検証研究(Kerr et al., J Clin Oncol 27:4000, 2009)におけるポジティブな結果の報告にかかわらず、より多くの証明が臨床試験におけるその値の全評価に必要である(Webber et al., PLoS Curr 2:RRN1177, 2010)。
これらの試験は、少数の遺伝子の発現レベルに基づいているが、特性中の共変動の示唆が存在する(最新の研究における第II期および第III期CRCの試験シリーズにおいて解析されるとき、ColoPrint試験とOncotype DX試験とにおける遺伝子の組にたいして、それぞれ0.70および0.88以上の発現値のピアソン相関;p<0.0001)。本研究において、およびlassoモデルによれば、7つの提案された遺伝子は、互いに弱い相関関係のみ有している(最強のピアソン相関は0.55)。したがって、特性における重複がほとんどなく、低減された共変動は、それぞれの遺伝子の独立した予測ポテンシャルを向上させる(Naes et al., J Chemom 15:413-426, 2001)。
本明細書において見られる2つの独立したシリーズにおいて生存による患者の強力かつ重要な階層化は、試験シリーズに加えて、以前の研究における単一の検証シリーズにおける遺伝子発現特性について報告されていたものと比較できる(上記Jorissen et al.;上記O’Connell et al., supra; Salazar et al.;上記Smith et al.)。外部検証シリーズIIは、これらの調査のうちの2つから得たデータの集合であり(上記Jorissen et al.;上記Smith et al.)、公共のレポジトリから得た臨床情報に対応する2つの主要なデータセットを包含している。これらのサンプルを遺伝子レベルのマイクロアレイ(Affymetrix HG-U133 Plus2.0)における解析をした。一方で、2つの組織内のデータセットをエクソンレベルのマイクロアレイによって解析した(Affymetrix GeneChip Human Exon 1.0 ST)。両方の種類のマイクロアレイにおいて解析された検証シリーズにおける7遺伝子の発現特性の良好な成果は、頑強性を示唆している。試験シリーズにおける、発現した完全長の配列を交差する、それぞれの遺伝子を標的とする多数のプローブを用いた、より信頼性の高い発現測定は、これに貢献し得る。
7遺伝子の発現特性は、補助化学療法を用いて処置していないCRC患者の過去のシリーズから開発された。当該特性は現在行われている処置方針にしたがって処理された患者においても十分に生じていることが見出された。多変数のモデル(例えば腫瘍の病期が挙げられる)において、特性は3系統の患者シリーズのすべてにおいて独立した予後の予測因子であった。
臨床的に有効な予後試験は、発現測定および続く結果の解釈に対する大型の資源を必要としない(Koscielny, Sci Transl Med 2:14ps2, 2010; Haibe-Kains et al., Bioinformatics 24:2200-2208, 2008)。7遺伝子の特性に対して選択された遺伝子は、異なる発現測定の信頼性を増大させる、発現シグナルにおいて高い分散を有している。また、患者の階層化は、閾値外で発現された遺伝子の数の集合の単純な原理に基づいている。このストラテジーは、lasso生存モデルの固有の部分として概算された、多変量の回帰係数に基づくPIの算定結果を用いて比較した場合に同様の予後の階層化を生じた。このことは、本明細書に提案されている単純な階層化の規則は一般的に用いられるものに対する有効な代替物であるが、より複雑な数学モデルである。
〔I.診断方法およびスクリーニング方法〕
上述したように、本発明の実施形態は、癌マーカー遺伝子(例えば、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EまたはWNT11)の変化したレベルの発現の検出を利用する、診断方法、予後診断方法およびスクリーニング方法およびこれらの組み合わせを提供する。いくつかの実施形態において、方法およびキットは、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EまたはWNT11から選択される1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上または7つすべての癌マーカー遺伝子の、被験者における変化した遺伝子発現の検出を利用するか検出可能である。いくつかの実施形態において、方法およびキットは、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EまたはWNT11から選択される、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つすべての癌マーカー遺伝子の、被験者における変化した遺伝子発現の検出を利用するか検出可能である。いくつかの実施形態において、方法およびキットは、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、または(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからから選択される、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つすべての癌マーカー遺伝子の、被験者における変化した遺伝子発現の検出を利用するか検出可能である。いくつかの実施形態において、方法およびキットは、遺伝子産物(例えば、RNA転写物またはタンパク質、または表1のカラムAに列挙されているマーカー遺伝子の、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上又は7つすべて)の検出のための結腸直腸癌に有効な試薬を利用する。いくつかの実施形態において、カラムBに列挙されている1つ以上の癌マーカー遺伝子は、カラムAにおける対応する癌遺伝子に置換され得、適切な結腸直腸癌に有効な試薬が当該方法またはキットに利用され得る。
典型的な、これに限定されない実施形態を以下に記載する。
Figure 2015503923
当該遺伝子を含んでいると思われる任意の患者のサンプルが、本発明の実施形態の方法に従って試験され得る。これに限定されない実施例の方法によって、サンプルは組織(例えば、結腸直腸生検サンプルまたは他の組織サンプル)、血液、便またはそれらの画分(例えば血漿および血清など)であり得る。
いくつかの実施形態において、患者のサンプルは、偽遺伝子または偽遺伝子を含んでいる細胞のためのサンプルを単離または濃縮するために計画された予備の処理に供される。当業者に知られている種々の技術がこの目的(遠心;免疫捕捉;細胞溶解;および拡散標的捕捉(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、欧州特許第1409727号を参照)に使用され得る。
本発明は、結腸直腸癌のための予後の検出および提供に特異的ないくつかのマーカーを例証しているが、単独で、または本明細書に記載されているマーカーとの組み合わせにおいて、結腸直腸癌の存在または非存在と関連している任意のマーカーが用いられ得る。本明細書に用いられているマーカーとしては、例えば、その産物またはその変異またはその産物の欠損が結腸直腸新生物またはその予後の特徴である、核酸が挙げられる。与えられた解析において採用した特定のマーカーの組に依存して、統計的解析は異なる。例えば、マーカーの特定の組み合わせは、結腸直腸癌に非常に特異的であり、ポジティブな結果の統計学的重要性は高い。しかし、かかる特異性は、感度の損失において達成され得る(例えば、ネガティブな結果が結腸直腸癌の存在においてさえ生じ得る)。同様の理由により、異なる組み合わせが非常に高感度になり得る(例えば、いくつかの偽のネガティブであるが、低い特異性を有するもの)。
特定のマーカーの組み合わせは、異なる人種群もしくは性別、異なる地理的分布、異なる疾患の段階、異なる程度の特異性または異なる程度の感度によって、最適の機能を示すものが用いられ得る。また、特定の組み合わせは疾患の進行における治療方針の効果に対して特に高感度である特定の組み合わせが特に開発され得る。被験者は、その特定の治療および/または手順の効果を測定するために、治療および/または手順後に監視され得る。
また、他の癌、疾患、感染および代謝条件に対するマーカーは、複合体形態またはパネル形態における包含が意図される。
当該方法は特定の種類の動物に限定されない。いくつかの実施形態において、動物はヒトである。いくつかの実施形態において、結腸直腸新生物は前癌状態である。いくつかの実施形態において、結腸直腸新生物は悪性である。いくつかの実施形態において、結腸直腸新生物は癌の病期(例えば第I、II、IIIまたはIV期)を考慮しない結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、結腸直腸癌は第II期である。
(A.DNAおよびRNAの検出−結腸直腸癌に有効な試薬)
本発明の癌マーカー遺伝子は、当業者に知られている種々の核酸技術(核酸配列;核酸ハイブリダイゼーション;および核酸増幅が挙げられるがこれらに限定されない)を用いて検出される。
[1.配列決定]
核酸配列決定技術の例証となる限定されない例としては、連鎖停止(chain terminator)(Sanger)配列決定およびダイターミネーター(dye terminator)配列決定が挙げられるがこれらに限定されない。当業者であれば、RNAは細胞内で安定性が低く、ヌクレアーゼ攻撃を起こしやすいため、実験的にRNAは通常配列決定の前にDNAに逆転写されることを認識する。
連鎖停止配列決定は、改変したヌクレオチドの基質を用いたDNA合成反応の配列特異的な停止を用いている。伸長は、その領域における鋳型に相補する短い、放射標識された、または他の標識がされた、オリゴヌクレオチドのプライマーを用いることによって鋳型DNAにおける特定の部位において開始される。オリゴヌクレオチドプライマーは、DNAポリメラーゼ、標準的な4つのデオキシヌクレオチド塩基、および低濃度の、1つの連鎖停止ヌクレオチド(もっとも一般的にはジ−デオキシヌクレオチド)を用いて伸長される。この反応は、ジ−デオキシヌクレオチドとして交替するそれぞれの塩基を有する、4つの分離したチューブ中で反復される。DNAポリメラーゼによる連鎖停止ヌクレオチドの限定された組み入れは、その特定のジ−デオキシヌクレオチドが用いられた場所においてのみ停止される、一連の関連するDNA断片をもたらす。それぞれの反応チューブに対し、断片は、スラブポリアクリルアミドゲルまたは粘性ポリマーで充填されたキャピラリーチューブにおける電気泳動によってサイズ分離される。配列は、ゲルの上部から底部までスキャンするときに、標識したプライマーから可視化された印を生成するレーンを読むことによって決定される。
ダイターミネーター配列決定は、ターミネーターを選択的に標識する。完全な配列決定は、異なる波長で蛍光を発する蛍光色素を用いたジ−デオキシヌクレオチド連鎖停止剤のそれぞれを標識することによって単一の反応において実行され得る。
種々の核酸配列決定方法は、本開示の方法(例えば連鎖停止(Sanger)配列決定法、ダイターミネーター配列決定法、およびハイスループット配列決定法が挙げられる)における使用を意図される。これらの配列決定方法の多くは、当技術分野において知られている(例えば、全文が参照によって明細書に援用される、Sanger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:5463-5467 (1997); Maxam et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74:560-564 (1977); Drmanac, et al., Nat. Biotechnol. 16:54-58 (1998); Kato, Int. J. Clin. Exp. Med. 2:193-202 (2009); Ronaghi et al., Anal. Biochem. 242:84-89 (1996); Margulies et al., Nature 437:376-380 (2005); Ruparel et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:5932-5937 (2005), and Harris et al., Science 320:106-109 (2008); Levene et al., Science 299:682-686 (2003); Korlach et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:1176-1181 (2008); Branton et al., Nat. Biotechnol. 26(10):1146-53 (2008); Eid et al., Science 323:133-138 (2009)を参照のこと)。
いくつかの実施形態において、大規模配列決定は、サンプル中のRNA分子の配列および頻度の解析を提供するために利用される。好適な大規模配列決定としては、次世代配列決定技術(一分子リアルタイム配列決定(Pacific Biosciences)、合成による配列決定(Illumina, Inc.)、454ピロシーケンス(Roche Diagnostics, Inc.)、SOLiD配列決定(Life Technologies, Inc.)およびイオン半導体配列決定(Life Technologies, Inc等)が挙げられるがこれらに限定されない。
いくつかの実施形態において第2世代(a.k.a. Next Generation or Next-Gen)第3世代(a.k.a. Next-Next-Gen)または第4世代(a.k.a. N3-Gen)配列決定(ピロシーケンス法、シーケンスバイライゲーション法、一分子配列決定法、シーメンスバイシンテシス法(SBS)、大規模並行クローン技術、大規模並行一分子SBS技術、大規模並行一分子リアルタイム技術、規模並行一分子リアルタイムナノポア技術等が挙げられるがこれらに限定されない)が利用される。その全文が参照によって本明細書に援用される、Genomics, 92: 255 (2008)において、MorozovaおよびMarraが当該技術のレビューを示している。当業者であれば、RNAは細胞内で安定性が低く、ヌクレアーゼ攻撃を起こしやすいため、実験的にRNAは通常配列決定の前にDNAに逆転写されることを認識する。
蛍光ベースの配列決定を包含する多くのDNA配列決定法(例えば、その全文が参照によって本明細書に援用される、Birren et al., Genome Analysis: Analyzing DNA, 1, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照のこと)は、本発明の実施形態における使用が見出される。いくつかの実施形態において分割されたアンプリコンの並行配列決定(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Kevin McKernan et al.に対する国際公開第2006084132号)が利用される。いくつかの実施形態において、並行オリゴヌクレオチド伸長によるDNA配列決定(両方ともそれらの全文が参照によって本明細書に援用される、Macevicz et al.に対する米国特許第5,750,341号、およびMacevicz et al.に対する米国特許第6,306,597号)が用いられる。配列決定技術のさらなる実施例としてはChurch polony技術(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Mitra et al., 2003, Analytical Biochemistry 320, 55-65; Shendure et al., 2005 Science 309, 1728-1732; 米国特許第6,432,360号、米国特許第6,485,944号、米国特許第6,511,803号)、454ピコタイターピロシーケンス技術(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Margulies et al., 2005 Nature 437, 376-380;米国特許20050130173号)Solexa一塩基付加技術(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Bennett et al., 2005, Pharmacogenomics, 6, 373-382; 米国特許第6,787,308号;米国特許第6,833,246号)、Lynx大規模並行特性配列決定技術(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Brenner et al. (2000). Nat. Biotechnol. 18:630-634; 米国特許第5,695,934号; 米国特許第5,714,330号)、およびAdessi PCRコロニー技術(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Adessi et al. (2000). Nucleic Acid Res. 28, E87;国際公開第00018957号)が挙げられる。
次世代配列決定(NGS)法は、より古い配列決定法と比較して低コストの目標を有している、大規模並行、ハイスループット戦略(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Voelkerding et al., Clinical Chem., 55: 641-658, 2009; MacLean et al., Nature Rev. Microbiol., 7: 287-296を参照のこと)の共通の特徴を共有している。NGS法は、鋳型の増幅を典型的に使用するものと使用しないものとに大まかに分割され得る。増幅を必要とする方法としては、454技術プラットフォーム(例えばGS20およびGS FLX)としてRocheによって市販されているピロシーケンス、Illuminaによって市販されている、Solexaプラットフォーム、およびApplied Biosystemsによって市販されている、the Supported Oligonucleotide Ligation and Detection(SOLiD)プラットフォームがそれぞれ挙げられる。また、一分子配列決定として知られている非増幅手法は、Helicos BioSciencesによって市販されているHeliScopeプラットフォームおよびそれぞれ、VisiGen、Oxford Nanopore Technologies Ltd.、Life Technologies/Ion Torrent, and Pacific Biosciencesによって市販されている新興のプラットフォームによって例示される。
ピロシーケンス(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Voelkerding et al., Clinical Chem., 55: 641-658, 2009; MacLean et al., Nature Rev. Microbiol., 7: 287-296; 米国特許第6,210,891号;米国特許第6,258,568号)において、鋳型DNAは断片化され、末端修復され、アダプターにライゲーションされ、アダプターに相補的なオリゴヌクレオチドを含んでいるビーズを有する単一の鋳型分子を捕捉することによって、インサイチュで増幅される。それぞれのビーズを含んでいる単一の鋳型は油中水型の微小小胞中で区画化され、鋳型がエマルジョンPCRとして参照される技術を用いてクローン的に増幅される。エマルジョンは増幅後に破壊され、ビーズは試験反応の間にフローセルとして機能するピコタイタープレートのそれぞれのウェルに入れられる。4つのdNTP試薬のそれぞれの順序づけられた反復導入は、シーケンス酵素およびルシフェラーゼ等の蛍光レポーターの存在下でフローセル中で生じる。適切なdNTPがシーケンスプライマーの3’末端に付加される事象において、結果として得られるATPの生成物は、CCDカメラを用いて記録されるウェル中の蛍光のバーストの原因となる。400塩基以上の読み取り長さを達成し、106の配列読み取りを達成し、結果として5億塩基以上の塩基対を得ることが可能である。
Solexa/Illuminaプラットフォーム(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Voelkerding et al., Clinical Chem., 55: 641-658, 2009; MacLean et al., Nature Rev. Microbiol., 7: 287-296; 米国特許第6,833,246号;米国特許第7,115,400号;米国特許第6,969,488号)では、シーケンスデータはより短い読み取りの形態において作成される。この方法において、一本鎖の断片化したDNAが末端修復されて、断片の3’末端への単一のA塩基のクレノウを介した付加を伴って、5’リン酸化ブラント末端を産生する。A付加はオリゴヌクレオチドアンカーに点在するフローセルの表面上の鋳型アダプター分子を捕捉するために続いて用いられる、T−オーバーハングアダプターオリゴヌクレオチドの付加を促進する。当該アンカーはPCRプライマーとして用いられるが、鋳型の長さおよび他の隣接するアンカーオリゴヌクレオチドへの近接性のため、PCRによる伸長は分子の“アーチ形成(arching over)”を生じ、近隣のアンカーオリゴヌクレオチドとハイブリダイズしてフローセルの表面上に架橋構造を形成する。DNAのこれらのループは変性されて分裂される。フォワード鎖は、続いて可逆ダイターミネーターを用いて配列決定される。組み込まれたヌクレオチドの配列は、dNTP付加の次のサイクルに先立って除去される蛍光とブロックとを伴って、組み込み後の蛍光の検出によって決定される。解析実行ごとに10億塩基対を超える全体の出力を伴って、配列の読み取り長さは36ヌクレオチド〜50ヌクレオチド以上に及ぶ。
また、SOLiD技術(それらの全文が参照によって本明細書にそれぞれ援用される、Voelkerding et al., Clinical Chem., 55: 641-658, 2009; MacLean et al., Nature Rev. Microbiol., 7: 287-296;米国特許第5,912,148号;米国特許第6,130,073号)を用いた核酸分子を配列決定することは、鋳型の断片化、オリゴヌクレオチドアダプターへのライゲーション、ビーズへの付着およびエマルジョンPCRによるクローンの増幅に関与している。これに従い、ビーズ付加した鋳型はガラスのフローセルの誘導体化した表面に固定化されており、アダプターオリゴヌクレオチドに相補するプライマーがアニーリングされる。しかし、このプライマーは、3’伸長のために利用するよりは、6つの変性塩基および4つの蛍光標識のうちの1つを伴う2つのプローブ特異的な塩基を含んでいる照会プローブへのライゲーションのための5’リン酸基を提供するために用いられる。SOLiDシステムにおいては、照会プローブはそれぞれのプローブにおける3’末端における2つの塩基の16個の可能性のある組み合わせおよび5’末端における4つの蛍光のうちの1つを有している。それによりそれぞれのプローブの同一性を示す蛍光色は、指定された色−空間コードスキームに対応して、複数回(通常7回)のプローブのアニーリング、ライゲーションおよび蛍光検出に変性が続き、次に、開始プライマーに相対する1塩基によって相殺されるプライマーを用いた、2回の配列決定が行われる。この方法では、鋳型配列は、計算的に再構築され、鋳型の塩基対は2回照会され、向上した正確性が得られる。配列読み取り長さは平均すると35ヌクレオチドであり、全体の出力は、シーケンス実行ごとに4億塩基を超える。
特定の実施形態において、ナノポア配列決定(参照によって本明細書に援用される、Astier et al., J. Am. Chem. Soc. 2006 Feb 8; 128(5):1705-10を参照のこと)が利用される。ナノポアシーケンスの背景にある理論は、ナノポアが電導性の流体に浸され、ポテンシャル(電圧)がそれを通して加えられるときに生じることに関連する。これらの条件下でナノポアを通ったイオンの伝導によるわずかな電流が観察され、電流の量はナノポアの大きさに対して非常に高感度である。核酸のそれぞれの塩基がナノポアを通過するとき、ナノポアを通った電流の大きさにおける変化の要因となる。このことは4つの塩基それぞれを区別し、それによりDNA分子の配列の決定を可能にする。
特定の実施形態において、Helicos BioSciencesによるHeliScope(それらの全文が参照によって本明細書に援用される、Voelkerding et al., Clinical Chem., 55: 641-658, 2009; MacLean et al., Nature Rev. Microbiol., 7: 287-296;米国特許第7,169,560;米国特許第7,282,337;米国特許第7,482,120号;米国特許第7,501,245号;米国特許第6,818,395号;米国特許第6,911,345号;米国特許第7,501,245号)が利用される。鋳型DNAは断片化され、3’末端において、最終的な蛍光標識を付加したアデノシンを用いてポリアデニル化される。変性されたポリアデニル化された鋳型断片は、フローセルの表面上でポリ(dT)オリゴヌクレオチドにライゲーションされる。捕捉された鋳型分子の開始の物理的な位置はCCDカメラによって記録され、次に標識が切断され、洗浄除去される。配列決定はポリメラーゼの付加および蛍光的に標識されたdNTP試薬の連続する付加によって達成される。組み込みの事象は、dNTPに対応する蛍光シグナルを生じ、シグナルはdNTP付加のそれぞれの連続の前にCCDカメラによって捕捉される。配列読み取り長さは25〜50ヌクレオチドにわたっており、解析実行ごとに10億塩基対を超える全体の出力を有している。
イオントレント技術はDNAの重合の間に遊離される水素イオンの検出に基づいたDNA配列決定方法である(すべての目的に対して、本明細書に参照によって援用される、Science 327(5970): 1190 (2010);米国特許明細書公開第20090026082号、第20090127589号、第20100301398号、第20100197507号、第20100188073号、および第20100137143号を参照のこと)。マイクロウェルは配列決定される鋳型DNA鎖を含んでいる。マイクロウェルの層の下は超高感度のISFETイオンセンサーである。すべての層は電子産業において用いられているものに類似した、CMOS半導体チップ中に含まれている。dNTPが成長した相補鎖に組み込まれて、超高感度イオンセンサーを作動させるイオンが遊離される。もしホモポリマーの繰り返しが鋳型配列中に存在している場合、複数のdNTP分子が単一のサイクル中で組み込まれる。このことは対応する遊離した水素の数および比例して高くなる電気的なシグナルを導く。この技術は、その技術中で改変されていないヌクレオチドまたは光学素子が用いられている、他の配列決定技術とは異なる。イオントレラントシーケンサーの塩基毎の正確性は実行ごとに100Mb以下が産生される、50塩基読み取りに対し、〜99.6%である。読み取り長さは100塩基対である。長さにおける5回繰り返しのホモポリマーの繰り返しに対する正確性は98%以下である。イオン半導体配列決定の利点は迅速な配列決定速度および低い先行費用および低い運転費用である。
いくつかの実施形態において、Stratos Genomics, Incによって開発された、Xpandomersの使用に関与する核酸配列決定手法が利用される。この配列決定工程は典型的に鋳型直接合成によって生成される娘鎖を準備することを包含している。娘鎖は一般的に標的の核酸の全てまたは部分の連続したヌクレオチド配列に対応する配列において結合する複数のサブユニットを含んでいる。それぞれのサブユニットは、つなぎ鎖(tether)、少なくとも1つのプローブまたは核酸塩基残基、および少なくも1つの選択的に切断可能な結合を含んでいる。選択的に切断可能な(複数の)結合は、娘鎖の複数のサブユニットよりも長い長さのXpandomerを生じる。Xpandomerは典型的に、つなぎ鎖および標的の核酸の全てまたは部分の連続するヌクレオチド配列に対応する配列における遺伝的な情報を分析するためのレポーターエレメントを含んでいる。Xpandomerのレポーターエレメントは続いて検出される。Xpandomerベースの手法に関連した更なる詳細は、それらの全文が参照によって本明細書に援用される、例えば、“High Throughput Nucleic Acid Sequencing by Expansion”と題される米国特許出願第20090035777号、2008年6月19日出願)に記載されている。
他の新生の単一分子配列決定方法としてはVisiGenプラットフォームを用いた合成によるリアルタイムシーケンスが挙げられる(それらの全文が参照によって本明細書にそれぞれ援用される、Voelkerding et al., Clinical Chem., 55: 641-58, 2009;米国特許第7,329,492号;米国特許第11/671956号;米国特許明細書第11/781166号)。当該方法においては、固定化され、プライム化したDNAの鋳型が、蛍光的に修飾されたポリメラーゼおよび蛍光アダプター分子を用いた鎖伸長に供され、ヌクレオチド付加において、検出可能な蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を生じる。
[2.ハイブリダイゼーション]
例示的なこれらに限定されない核酸ハイブリダイゼーション技術の例としては、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイおよびサザンブロッティングまたはノーザンブロッティングが挙げられるがこれらに限定されない。
インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)はプローブとして相補的なDNAまたはRNA鎖を用いて、組織の部分もしくは切片(インサイチュ)、または組織が十分に小さい場合は組織全体(全載ISH)において特定のDNAまたはRNA配列を局在化させる。DNAISHは染色体の構造を決定するために用いられる。RNAISHは、組織切片または全載組織中の、mRNAおよび他の転写物(例えば偽遺伝子)を測定および局在化させるために用いられる。サンプルの細胞および組織は、通常、部位における標的転写物を固定させるためおよびプローブの接触を増大させるために処理される。プローブは上昇した温度において、標的配列にハイブリダイズし、次に過剰のプローブが洗浄除去される。放射性、蛍光または抗原で標識された塩基のうちのいずれかで標識されたプローブは、それぞれオートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡または免疫組織化学を用いて、組織中で定量化される。また、ISHは放射活性で標識した、または他の非放射活性標識で標識した、2つ以上のプローブを用いて、同時に2つ以上の転写物を検出するために使用され得る。
いくつかの実施形態において、遺伝子発現は蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を用いて検出される。いくつかの実施形態において、FISHアッセイは細菌人工染色体(BACs)を利用する。これらはヒトゲノム配列決定プロジェクトにおいて大規模に用いられており(Nature 409: 953-958 (2001)を参照のこと)、特定のBACsを含んでいるクローンは、例えばNCBIなどの多くの資源間に配置され得る分配者を通じて利用可能である。ヒトゲノム由来のそれぞれのBACクローンはそれを明確に同定する参照名が与えられている。これらの名前は対応するGenBankの配列を見出すため、および分配者からクローンの複製を注文するために用いられ得る。
本発明は、ヒトの結腸直腸細胞、ヒトの結腸直腸組織または当該ヒトの結腸直腸細胞もしくはヒトの結腸直腸組織の周囲の体液においてFISHアッセイを行う方法をさらに提供する。特定の手順が当業者に知られており、本発明に容易に適応され得る。方法論による手引きは多くの参照(In situHybridization: Medical Applications (eds. G. R. Coulton and J. de Belleroche), Kluwer Academic Publishers, Boston (1992); In situ Hybridization: In Neurobiology; Advances in Methodology (eds. J. H. Eberwine, K. L. Valentino, and J. D. Barchas), Oxford University Press Inc., England (1994); In situHybridization: A Practical Approach (ed. D. G. Wilkinson), Oxford University Press Inc., England (1992)); Kuo, et al., Am. J. Hum. Genet. 49:112-119 (1991); Klinger, et al., Am. J. Hum. Genet. 51:55-65 (1992); and Ward, et al., Am. J. Hum. Genet. 52:854-865 (1993):が挙げられる)から得られ得る。また、市販されており、FISHアッセイを行うためのプロトコールを提供するキットが存在する(例えばOncor, Inc., ゲーサーズバーグ, MD)から入手可能である。方法論上の手引きを提供している特許としては、米国特許第5,225,326号;米国特許第5,545,524号;米国特許第6,121,489号および米国特許第6,573,043号が挙げられる。これらの全ての参照文献はそれらの全文が参照によって本明細書に援用され、特定の実験室にとって簡便な手順工程を確立するために、当技術分野における同様の参照および本明細書における実施例の項目において提供された情報とともに用いられ得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、ヌクレアーゼ保護アッセイを利用する。ヌクレアーゼ保護アッセイは、総濃度が低くても、公知の配列の1つ以上のRNA分子の同定に有効である。抽出されたRNAは、当該配列に対して相補するアンチセンスRNAまたはDNAプローブか、対象の配列と最初に混合され、相補鎖の配列は2本鎖RNA(またはDNA−RNAハイブリッド)を形成する。混合物は続いて一本鎖RNAのみを切断するが2本鎖RNAに対しては活性を有していないリボヌクレアーゼに曝露される。反応が完了まで到達した場合、高感度なRNA領域は非常に短いオリゴマーまたはそれぞれのヌクレオチドに分解される;残存しているRNA断片は添加されたアンチセンス鎖に相補するものであって対象の配列に含まれるものである。好適なヌクレアーゼ保護アッセイとしては、それらの全文が参照によってそれぞれが本明細書に援用される、米国特許第5,770,370号;欧州特許第2290101A3号;米国特許第20080076121号;米国特許第20110104693号に記載されているものが挙げられるがそれらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明はHTG Molecular Diagnostics, Inc.(Tuscon, AZ)によって提供される、定量的ヌクレアーゼ保護アッセイを利用する。
[3.マイクロアレイ]
様々な種類の生物学的アッセイは、マイクロアレイとよばれており、DNAマイクロアレイ(例えば、cDNAマイクロアレイおよびオリゴヌクレオチドマイクロアレイ);タンパク質マイクロアレイ;組織マイクロアレイ;トランスフェクションまたは細胞マイクロアレイ;化合物マイクロアレイ;および抗体マイクロアレイが挙げられるが、これらに限定されない。DNAマイクロアレイ(一般的に遺伝子チップ、DNAチップ、またはバイオチップとして知られている)は、発現プロファイリングまたは数千の遺伝子についての発現レベルの同時のモニタリングを目的とするアレイを形成する、固体表面(例えば、ガラス、プラスチックまたはシリコンチップ)に接着した微細なDNAスポットの集まりである。貼り付けたDNAフラグメントはプローブとして知られ、数千のプローブが単一のDNAマイクロアレイにおいて使用され得る。マイクロアレイは、疾患細胞および正常細胞における遺伝子発現を比較することによって、疾患の遺伝子または転写物(例えば、本明細書に記載されている遺伝子)を同定するために使用され得る。マイクロアレイは、種々の技術(ガラススライド上への微細な尖頭のピンを用いた印刷;予め作製したマスクを用いたフォトリソグラフィー;力学的マイクロミラー装置を用いたフォトリソグラフィー;インクジェット印刷;または微小電極アレイ上での電気化学が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて作製され得る。
サザンブロッティングおよびノーザンブロッティングが、それぞれ、特定のDNA配列またはRNA配列を検出するために使用される。サンプルから抽出されたDNAまたはRNAは、断片化され、マトリクスゲル上で電気泳動的に分離され、膜フィルターに移される。DNAまたはRNAを結合したフィルターは、目的の配列と相補的な標識されたプローブとのハイブリダイゼーションに供される。フィルターに結合したハイブリダイズしたプローブが検出される。当該手順の変形型は、逆ノーザンブロットであり、膜に付けられた基質核酸が単離されたDNAフラグメントのコレクションであり、プローブは組織から抽出されて標識されたRNAである。
[3.増幅]
核酸(例えば、癌マーカー遺伝子)は、検出の前にまたは検出と同時に増幅され得る。核酸増幅技術の例証的で非限定的な例としては、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT−PCR)、転写介在増幅法(TMA)、リガーゼ連鎖反応法(LCR)、鎖置換増幅法(SDA)、および核酸配列ベース増幅法(NASBA)が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、ある増幅技術(例えば、PCR)では増幅前にRNAがDNAへ逆転写される必要がある(例えば、RT−PCR)一方で、他の増幅技術ではRNAが直接増幅される(例えば、TMAおよびNASBA)ことがわかるであろう。
ポリメラーゼ連鎖反応法(米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、第4,800,159号および第4,965,188号,これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)は、一般的にPCRとよばれ、変性、プライマーペアの逆鎖へのアニーリング、およびプライマーの伸長の複数サイクルを用いて、ターゲットの核酸配列のコピー数を指数的に増加させる。RT−PCRといわれる変形型では、mRNAから相補的DNA(cDNA)を作製するために逆転写酵素(RT)が用いられ、次いでcDNAはPCRによって増幅されて、DNAの複数のコピーが生成する。PCRの他の種々の変形型については、例えば、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号および第4,800,159号;Mullis et al., Meth. Enzymol. 155: 335 (1987);ならびにMurakawa et al., DNA 7: 287 (1988),これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)を参照のこと。
転写介在増幅法(米国特許第5,480,784号および第5,399,491号,これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)は、一般的にTMAとよばれ、ターゲットの核酸配列のRNAの複数のコピーがさらなるコピーを自己触媒的に生成する実質的に一定の温度、イオン強度およびpHの条件下で、ターゲットの核酸配列の複数のコピーを自己触媒的に合成する。例えば、米国特許第5,399,491号および第5,824,518号(これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)を参照のこと。米国特許公開第20060046265号(その全体が参照として本書に援用される)に記載されている変形型において、TMAは、TMA処理の感度および精度を向上させるために、一部分のブロッキング、一部分のターミネーティングおよび一部分の他の改変の利用を任意に組み込んでいる。
リガーゼ連鎖反応法(Weiss, R., Science 254: 1292 (1991),その全体が参照として本書に援用される)は、一般的にLCRとよばれ、ターゲットの核酸の隣接領域とハイブリダイズする相補的DNAオリゴヌクレオチドのセットを2つ用いる。DNAオリゴヌクレオチドは、熱変性、ハイブリダイゼーションおよびライゲーションの反複サイクルにおいてDNAリガーゼによって共有結合させられ、検出可能な二重鎖のライゲ―ションされたオリゴヌクレオチド産物が生成する。
鎖置換増幅法(Walker, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 392-396 (1992);米国特許第5,270,184号および第5,455,166号,これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)は、一般的SDAとよばれ、プライマー配列ペアの、ターゲット配列の逆鎖へのアニーリング、dNTPαSの存在下でのプライマー伸長を用いた半ホスホロチオネート化二重プライマー伸長産物の生成、半修飾された制限エンドヌクレアーゼ認識部位のエンドヌクレアーゼ介在ニッキング、およびニックの3’末端からのポリメラーゼを介したプライマー伸長のサイクルを用いて、現存の鎖を置換し、次のラウンドのプライマーのアニーリング、ニッキングおよび鎖置換のための鎖を生成することによって、産物を幾何学的に増幅する。高温SDA(tSDA)では、基本的に同じ方法において、耐熱性エンドヌクレアーゼおよびポリメラーゼをより高い温度で用いる(欧州特許第0 684 315号)。
他の増幅方法としては、例えば:核酸配列ベース増幅法(米国特許第5,130,238号,その全体が参照として本書に援用される)(一般的にNASBAとよばれる);RNAレプリカーゼを用いてプローブ分子自体を増幅する方法(Lizardi et al., BioTechnol. 6: 1197 (1988),その全体が参照として本書に援用される)(一般的にQβレプリカーゼとよばれる);転写ベース増幅法(Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173 (1989));および自律配列複製法(Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874 (1990),これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)が挙げられる。公知の増幅方法のさらなる議論は、Persing, David H., “In Vitro Nucleic Acid Amplification Techniques” in Diagnostic Medical Microbiology: Principles and Applications (Persing et al., Eds.), pp. 51-87 (American Society for Microbiology, Washington, DC (1993)を参照のこと。
[4.検出方法]
増幅されていない核酸または増幅された核酸は、任意の従来法によって検出することができる。例えば、本明細書に記載の癌マーカー遺伝子は、検出可能に標識されたプローブとのハイブリダイゼーションおよび得られたハイブリッドの測定によって検出することができる。例証的で非限定的な検出方法の例を下記に記載する。
例証的な検出方法の1つであるHybridization Protection Assay(HPA)は、化学発光オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、アクリジニウムエステル標識(AE)プローブ)とターゲット配列とのハイブリダイシング、ハイブリダイズしていないプローブ上に存在する化学発光標識の選択的な加水分解、およびルミノメーターにおける残ったプローブから生成した化学発光の測定を含んでいる(米国特許第5,283,174号およびNorman C. Nelson et al., Nonisotopic Probing, Blotting, and Sequencing, ch. 17 (Larry J. Kricka ed., 2d ed. 1995,これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される、を参照のこと)。
別の例証的な検出方法は、リアルタイムにおける増幅過程の定量的評価を規定する。“リアルタイム”における増幅過程の評価は、増幅反応の間に連続的または定期的に反応混合物における単位複製配列の量を決定すること、および決定した値を用いてサンプル中に最初に存在するターゲット配列の量を算出することを含んでいる。サンプル中に存在する最初のターゲット配列の量をリアルタイム増幅に基づいて決定する様々な方法が当該技術分野においてよく知られている。これらとしては、米国特許第6,303,305号および第6,541,205号(これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)に開示された方法が挙げられる。サンプル中に最初に存在するターゲット配列の量を決定するがリアルタイム増幅に基づかない別の方法が、米国特許第5,710,029号(その全体が参照として本書に援用される)に開示されている。
増幅産物は、様々な自己ハイブリダイズプローブ(そのほとんどがステムループ構造を有する)の使用を通じてリアルタイムで検出され得る。そのような自己ハイブリダイズプローブは、プローブが自己ハイブリダイズ状態にあるか、ターゲット配列とのハイブリダイゼーションによる変質状態にあるかに応じて、別々に検出することが可能なシグナルを放出するように標識される。非限定的な例として、“分子トーチ”は、連結領域(例えば、非ヌクレオチドリンカー)によって連結され且つ予め決定されたハイブリダイゼーションアッセイ条件下で互いにハイブリダイズする自己相補性の異なる領域(“ターゲット結合ドメイン”および“ターゲット閉鎖ドメイン”とよばれる)を含む自己ハイブリダイズプローブの一種である。好ましい実施形態において、分子トーチは、ターゲット結合ドメイン中に、鎖置換条件下での増幅反応において存在するターゲット配列とのハイブリダイゼーションにおいて接近しやすい1〜約20塩基の長さの一本鎖塩基領域を含む。鎖置換条件下において、分子トーチの2つの相補的領域(完全にまたは部分的に相補的であり得る)のハイブリダイゼーションは、ターゲット配列の存在下(ターゲット結合ドメインに存在する一本鎖領域に結合して、ターゲット閉鎖ドメインの全てまたは一部を置換する)を除いて、好ましい。分子トーチのターゲット結合ドメインおよびターゲット閉鎖ドメインは、分子トーチが自己ハイブリダイズする場合と分子トーチがターゲット配列とハイブリダイズする場合とで異なるシグナルが生成することによって、ハイブリダイズしていない分子トーチの存在下で試験サンプル中におけるプローブ:ターゲット二本鎖の検出することができるように置かれた、検出可能な標識または相互作用する標識のペア(例えば、発光体/消光剤(例えば、DABCYLおよびEDANS)であり得る)を含んでいる。分子トーチおよび様々な種類の相互作用する標識ペアは、米国特許第6,534,274号(その全体が参照として本書に援用される)に開示されている。
自己相補性を有する検出プローブの別の例は、“分子ビーコン”である。分子ビーコンは、ターゲット相補配列を有する核酸分子、増幅反応において存在するターゲット配列の非存在下で閉じた構造においてプローブを保持する親和ペア(または核酸アーム)、およびプローブが閉じた構造である場合に相互作用する標識ペアを含んでいる。ターゲット配列とターゲット相補配列とのハイブリダイゼーションは、親和ペアの構成物を分離し、それによってプローブを開いた構造にシフトさせる。開いた構造へのシフトは、標識ペア(例えば、蛍光体と消光剤であり得る)の相互作用を低減させるので、検出可能である。分子ベーコンは、米国特許第5,925,517号および第6,150,097号(これらはそれぞれ、その全体が参照として本書に援用される)に開示されている。
他の自己ハイブリダイズプローブは、当業者によく知られている。非限定的な例として、米国特許第5,928,862号(その全体が参照として本書に援用される)に開示されているもの等の相互作用する標識を有するプローブ結合ペアが、本発明における使用に適合し得る。一塩基多型(SNPs)を検出するために使用されるプローブ系も本発明において利用され得る。さらなる検出系としては、米国特許公開第20050042638号(その全体が参照として本書に援用される)に開示されているような“分子サンドイッチ”が挙げられる。他のプローブ(挿入色素および/または蛍光染料を含むもの等)も、本発明における増幅産物の検出に有用である。例えば、米国特許第5,814,447号(その全体が参照として本書に援用される)を参照のこと。
(B.タンパク質の検出−結腸直腸癌有益な試薬)
本明細書に記載の癌マーカー遺伝子は、当業者に公知の種々のタンパク質技術(タンパク質シークエンシングおよびイムノアッセイが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、タンパク質として検出され得る。
[1.配列決定]
タンパク質配列決定の例証的で非限定的な例としては、質量分析およびエドマン分解が挙げられるが、これらに限定されない。
質量分析は、原則としては、あらゆる大きさのタンパク質の配列を決定することができるが、大きさが増すにつれて計算上困難になる。タンパク質は、エンドプロテアーゼによって分解され、得られた溶液は高速液体クロマトグラフィーカラムに通される。このカラムの末端において、溶液は高い陽電位にチャージされた細いノズルから質量分析計内へと噴射される。液滴におけるチャージによって、液滴は単一のイオンが残るまで断片化される。次いでペプチドが断片化され、フラグメントのチャージ比が測定される。マススペクトルはコンピュータによって解析され、しばしば、フラグメントの配列を決定するために、以前に配列が決定されているタンパク質のデータベースと比較される。次いで、この手順が別の消化酵素を用いて繰り返されて、タンパク質についての配列を組み立てるために配列中の重複が用いられる。
エドマン分解反応においては、配列を決定するペプチドを固体表面(例えば、ポリブレンでコーティングされたガラス繊維)に吸着させる。12%トリメチルアミンの穏やかな塩基性緩衝液と共にエドマン試薬であるフェニルイソチオシアネート(PCT)を、吸着したペプチドに添加し、N末端のアミノ酸のアミノ基と反応させる。次いで、末端アミノ酸誘導体を無水酸の添加によって選択的に分離することができる。誘導体を異性化し、置換されたフェニルチオヒダントインを得る。置換されたフェニルチオヒダントインを洗浄してクロマトグラフィーによって同定することができ、このサイクルが繰り返され得る。各工程の効率は約98%であり、これによって約50アミノ酸を確実に決定することができる。
[2.イムノアッセイ]
イムノアッセイの例証的で非限定的な例としては、免疫沈降;ウエスタンブロット;ELISA;免疫組織化学;免疫細胞化学;フローサイトメトリー;およびイムノPCRが挙げられるが、これらに限定されない。当業者に公知の様々な技術(例えば、比色定量、蛍光、化学発光、放射性)を用いて検出可能に標識されたポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が、イムノアッセイにおける使用に適している。
免疫沈降は、抗原に特異的な抗体を用いて当該抗体を溶液外に沈降させる手法である。このプロセスは、複合体中にあると思われるタンパク質をターゲットにすることによって、細胞抽出物に存在するタンパク質複合体を同定するために用いることができる。バクテリアから最初に単離された不溶性の抗原結合タンパク質(プロテインAおよびプロテインG等)によって複合体を溶液外に出す。抗体は、簡単に溶液外に単離することができるセファロースビーズに結合させることもできる。洗浄後、質量分析、ウエスタンブロッティングまたは複合体中の構成要素を同定するための他の任意の数の方法を用いて、沈殿物は分析され得る。
ウエスタンブロットまたはイムノブロットは、組織のホモジネートまたは抽出物の所定のサンプルにおけるタンパク質を検出する方法である。ゲル電気泳動を用いて、質量によって変性タンパク質を分離する。次いで、タンパク質をゲル外の膜(典型的には、ポリビニルジフルオライドまたはニトロセルロース)上に移し、目的のタンパク質に特異的な抗体を用いてタンパク質をプローブする。その結果、研究者は所定のサンプルにおけるタンパク質の量を調べ、いくつかの群の間のレベルを比較することができる。
ELISA(酵素免疫検定法(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)の略)は、サンプル中の抗体または抗原の存在を検出するための生化学的手法である。ELISAは、最小量の2つの抗体(そのうち1つは抗原に特異的であり、もう1つは酵素と共役している)を利用する。二次抗体が発色原基質または蛍光原基質にシグナルを生成させ得る。ELISAの変形型としては、サンドイットELISA、競合ELISA、およびELISPOTが挙げられる。ELISAは、サンプル中の抗原の存在および抗体の存在の何れかを評価するために行われ得るため、血清抗体濃度を決定するため、および抗原の存在を検出するための両方の有用なツールである。
免疫組織化学および免疫細胞化学は、それぞれ、組織または細胞中の抗原がそれらのそれぞれの抗体に結合する原理を通じて、組織切片または細胞中においてタンパク質を局在化させる過程を参照するものである。発色タグまたは蛍光タグで抗体をタグ化することによって可視化が可能でなる。発色タグの典型的な例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼが挙げられるが、これらに限定されない。蛍光タグの典型的な例としては、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)またはフィコエリトリン(PE)が挙げられるが、これらに限定されない。
フローサイトメトリーは、流体の流れに懸濁された微小粒子を、計数し、評価し、分類する手法である。フローサイトメトリーでは、光学的/電子的検出装置を流れる単一細胞の物理的および/または化学的な特徴を同時にマルチパラメトリック分析することができる。単一の周波数または色の光線(例えば、レーザー)が、水力学的に焦点を合わせた流体の流れ上へ向けられる。流れが光線を通過する場所に多数の検出計が向けられる;1つは光線を伴うライン(前方散乱またはFSC)およびそれに対する複数の垂線(側方散乱(SSC)および1以上の蛍光検出計)にある。ビームを通過する各懸濁粒子はいくつかの方法で光を散乱し、粒子における蛍光化学物質が、光源よりも低い周波数における放出光へと励起され得る。散乱光および蛍光の組み合わせが検出計によって拾われ、各検出計(各蛍光放出ピークに対して1つ)における輝度における変動を解析することによって、それぞれの粒子の物理的および化学的構造についての様々な事実を推定することが可能である。FSCは細胞体積と相関し、SSCは粒子の密度または内部の複雑性(例えば、核の形状、細胞質顆粒の量および種類、または膜の粗さ)と相関する。
イムノポリメラーゼ連鎖反応(IPCR)は、抗体に基づくイムノアッセイにおけるシグナル生成を増強させるために、核酸増幅技術を利用する。PCRのタンパク質同等物は存在しない、すなわち、核酸がPCRの間に複製されるのと同様の方法でタンパク質は複製されないため、検出強度を増強する唯一の方法は、シグナルの増幅による。ターゲットのタンパク質は、オリゴヌクレオチドに直接または間接的に共役された抗体に結合させる。結合していない抗体は洗浄され、残りの結合したタンパク質は増幅されたそれらのオリゴヌクレオチドを有している。タンパク質の検出は、標準的な核酸検出方法(リアルタイム法が挙げられる)を用いた、増幅されたオリゴヌクレオチドの検出によって行われる。
〔II.データ解析〕
いくつかの実施形態において、コンピュータに基づく解析プログラムが、検出アッセイによって生成された生データ(例えば、所定のマーカー(1つまたは複数)の発現レベル)を、臨床医のための予測値のデータに変換するために用いられる。臨床医は、任意の適切な手段を用いて予測データにアクセスすることができる。このように、いくつかの実施形態において、本発明は、遺伝学または分子生物学の教育を受けていないであろう臨床医が生データを理解する必要がないというさらなる利益を提供する。当該データは、その最も有用な形態において臨床医に直接与えられる。次いで、臨床医は被験者のケアを最適化するために、当該情報を直ちに利用することができる。
本発明は、アッセイを行う研究所、情報提供者、医療関係者および被験者からまたはこれらへ、当該情報を受けること、処理すること、および伝達することを可能にする任意の方法を意図する。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、サンプル(例えば、生検試料または血清または便サンプル)は被験者から得られ、世界の任意の場所(例えば、被験者が住む国または情報が最後に使用された国とは異なる国)にあるプロファイリングサービス(例えば、医療施設における臨床検査室、ゲノムプロファイリングビジネス等)に提出され、生データが生成される。サンプルが組織または他の生物学的サンプルを含んでいる場合、被験者は、サンプルを得てプロファイリングセンターに送るために医療センターを訪れてもよいし、自分自身でサンプルを回収して(例えば、尿サンプル)それをプロファイリングセンターに直接送ってもよい。サンプルが以前に決定された生物学的情報を含んでいる場合、当該情報は被験者によってプロファイリングサービスに直接送られてもよい(例えば、情報を含む情報カードがコンピュータによってスキャンされ、電子通信システムを用いて当該データがプロファイリングセンターのコンピュータへ送られてもよい)。プロファイリングサービスによって一旦受け取られると、当該サンプルは処理されてプロファイル(特に被験者にとって望ましい診断情報または予後情報について)が生成される(すなわち、発現データ)。
次いで、プロファイルデータは治療する臨床医による解釈に適したフォーマットにおいて準備される。例えば、生の発現データを提供する代わりに、準備されたフォーマットは、被験者についての診断またはリスク評価(例えば、疾患のない生存または転移の予後)を、特定の治療オプションについての勧めに沿って表してもよい。当該データは、任意の適切な方法によって臨床医に表示されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、プロファイリングサービスは、臨床医のために(例えば、ケアの時点において)印刷することができるまたはコンピュータのモニター上で臨床医に表示することができる報告書を生成する。
いくつかの実施形態において、当該情報は、まず、ケアの時点において、または地方の施設において解析される。次いで、生データは、さらなる解析のための中心的処理施設に送られる、および/または、生データを臨床医もしくは患者に有用な情報に変換される。中心的処理施設は、プライバシー(全てのデータは共通のセキュリティプロトコルを用いて中心的施設に保管される)、スピード、およびデータ解析の均一性における優位性を提供する。次いで、中心的処理施設は、被験者の治療後のデータの末路を管理することができる。例えば、中心的施設は、電子通信システムを用いて、臨床医、被験者または研究者にデータを提供することができる。
いくつかの実施形態において、被験者は、電子通信システムを用いて当該データに直接アクセスすることができる。被験者は、結果に基づき、さらなる処置またはカウンセリングを選択してもよい。いくつかの実施形態において、当該データは研究目的で使用される。例えば、当該データは、特定の症状または疾患のステージの有用な指標として、または治療方針を決定するためのコンパニオン診断として、マーカーの算入または排除をさらに最適化するために用いられてもよい。
〔III.構成物およびキット〕
本明細書に記載されている診断方法において使用される構成物としては、上記の1つ以上の結腸直腸癌に有効な試薬を含んでいつキットが挙げられるがこれに限定されない。ある実施形態において、キットは、結腸直腸癌またはその疑いがある被検体由来のサンプルにおいて、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、または(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つから選択される癌マーカー遺伝子の、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、または7つ全ての変化した遺伝子発現を検出する、結腸直腸癌に有効な試薬を含んでいる。
ある実施形態において、キットは検出試薬およびバッファーに加え、癌遺伝子マーカーに特異的な結腸直腸癌に有効な試薬を含んでいる。
好ましい実施形態において、結腸直腸に有効な試薬は、1つ以上の遺伝子のそれぞれの(複数の)遺伝子産物と選択的にハイブリダイズする(複数の)プローブ、1つ以上の遺伝子のそれぞれの(複数の)遺伝子産物を増幅する(複数の)プライマーの組、1つ以上の遺伝子のそれぞれの(複数の)遺伝子産物と結合する(複数の)抗原結合タンパク質、または1つ以上の遺伝子のそれぞれの(複数の)遺伝子産物とハイブリダイズし、配列決定を可能にする(複数の)配列決定プライマーである。本発明のプローブおよび抗体の構成物は、アレイの形態で提供され得る。好ましい実施形態において、キットは検出解析を行うために必要な構成要素(すべてのコントロール、アッセイを行うための指示、および結果の解析および表示のために必要な任意のソフトウェアが挙げられる)の全てを含んでいる。
ある実施形態において、キットは、被検体由来のサンプルにおいて癌の検出および同定のためのキットに含まれる試薬の使用するための指示を含んでいる。ある実施形態において、指示はさらに、米国食品医薬品局に求められたインビトロの診断製品の表示における用途の説明書を含む。米国食品医薬品局はインビトロ診断薬を医療機器として分類しており、510(k)の手続きによる承認を受けること求めている。510(k)の申請で求められる情報としては、1)インビトロ診断製品名(商品名または商標名、一般名または慣用名、および装置の分類名が挙げられる、;2)製品の用途;3)事業所製品登録番号、適用可能である場合は、510(k)における付託を行った所有者または管理者、連邦食品医薬品化粧品法の513項に基づいて分類された体外診断製品の分類、公知の場合は適切なパネル、またはもし所有者もしくは管理者が、当該機器はその項目に分類されないと判断する場合は、体外診断製品がかかる分類ではないという判断および判断の根拠の陳述書;4)求められる表示、体外診断製品、その用途、および使用の手引きを説明するのに十分な表示および告示;5)陳述を支持するデータを伴う、装置が米国において商業流通している比較可能な他の体外診断品と類似および/または相違していることを示す申し立て;6)510(k)の、実質的同等性の決定の根拠である、安全性および有効性のデータの要約;または510(k)FDAの実質的同等性の判断を支持する、安全性および有効性情報が何人にも書面での請求から30日以内に入手できるという陳述書;7)提出者が知る限り、市販前届出において提出された全てのデータは事実に即し、正確で、重大な事実の省略がないと確信しているという陳述書;8)FDAの実質的同等性の判断に必要な、体外診断製品に関する、要請される任意の追加情報である。追加情報はFDAのインターネットウェブページで入手可能である。
〔III.使用方法〕
本明細書で開示されているように、本発明は結腸直腸癌に有効な試薬、および被験者における結腸直腸癌の予後を決定するため、被験者の結腸直腸癌を診断するため、被験者における結腸直腸癌の素因を予測するため、被験者における結腸直腸癌の再発の可能性を予測するため、または特定の治療法を用いた処置のための疾患に罹患している被験者を選択するため方法を提供する。結腸直腸癌は第I期、第II期、第III期または第IV期の結腸直腸癌であり得る。ある好ましい実施形態において、本発明の実施形態は結腸直腸癌と診断された患者(例えば第II期の結腸直腸癌)の予後を提供するための構成物および方法を提供する。例えば、ある実施形態において、コントロールサンプル(例えば癌ではない結腸直腸の組織または第I期または第IV期の結腸直腸癌)と比較して、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EまたはWNT11のうち1つ以上の変化した発現は予後不良と関連している。とりわけ、ある実施形態において、コントロールサンプルの発現レベルと比較して、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、および/または(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つのうち、1つ以上の発現レベルの低下(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、または(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つのうち、1つ以上の発現レベルの低下は予後不良(例えば低下した生存率または増大した転移のリスク)と関連している。ある実施形態において、参照のレベルは第I段階または第IV段階の結腸直腸癌と診断された被検体のものである。ある実施形態において、参照のレベルは結腸直腸癌と診断されていない被検体のものである。ある実施形態において、参照のレベルと比較した発現レベルが予後不良の指標である。ある実施形態において、予後不良は生存の可能性の低下である。ある実施形態において、予後不良とは結腸直腸癌の再発または転移の可能性の増大である。ある実施形態において、予後は5年間無再発生存の可能性である。
ある実施形態において、予後の情報は被検体の治療の手順を決定するのに使用される。例えば、ある実施形態において、予後不良と判明した被検体には補助化学療法が施され得るが、予後良好と判明した被検体は手術のみで治療される。さらなる実施形態において、本発明のアッセイは、結腸直腸癌の治療薬の臨床試験に利用されている。上記の遺伝子産物のアッセイは、患者全体の集団に比べて、治療薬による処置がより有効または効果が低いものであると特定の患者集団を定義すると考えられている。それゆえ、本発明のある実施形態において、被検体が本発明のアッセイによりスクリーニングされ、上述された特定の遺伝子発現プロファイルを有する患者のみが特定の治療薬または治療方針を用いた処置のために選択される場合に、方法が提供される。
〔実験例〕
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施形態および局面を明示し、さらに説明するために提供され、その範囲を制限するものとは解釈されない。
(実施例1)
<材料および方法>
2人の別の患者から採取された、総計172個の新鮮な、凍結された第II期および第III期のCRC組織サンプルのシリーズを研究において分析した。試験シリーズは、オスロ地方の異なる病院で外科治療を受けた患者から採取された95個のサンプルを含んでいた(表1)。これらの患者は、生存者の長期追跡(10年をこえる)だけでなく、ほぼ等しい量の第II期および第III期の腫瘍、各ステージ間で同じ数の生存事象を含むように選択された。補助的な化学療法を受けた患者はいない。腫瘍のステージは、患者の生存率に有意な関連する唯一の臨床的特徴である(表3)。独立した検証シリーズは連続して収集され(95%の算入率)、オスロのアケル大学病院で治療のための切除を受けた77人の患者から構成された。これらの患者は現在の標準に従って補助的な治療を受けた。すなわち第III期の患者のための化学療法薬剤が定期投与された。このシリーズは、検証シリーズIとしてさらに記載されている(表1)。RNAをQiagen AllPrep DNA/RNAキット(キアゲン、BmbH、ヒルデン、ドイツ)を用いて標本から抽出した。臨床検体のマイクロサテライト不安定性(MSI)は前もって測定されている(Berg et al.,PLoS One 5:e13978,2010;Thorstensen et al.,Gastroenteology 121:1275-1280,2001)。
研究用バイオバンクは国内法に従って登録され、研究は地方医学研究倫理委員会の承認を受けている(2781番および236−1005−16141)。
加えて公的に入手可能な、合計215の第II期および第III期のCRC患者の2つの独立したシリーズからの遺伝子発現データが、NCBIのGeno Expression Omnibus(GEO)25の、アクセッション番号GSE14333およびGSE17538から得られた。2つのシリーズにおけるサンプル間に大幅な重複箇所が存在した(H・リー・モフィット癌センターから得られた97個の第II期および第III期のサンプル)。重複しないサンプルのみを本研究に含め、本明細書において検証シリーズIIとして言及されている。患者についての臨床情報はGEOの各項目から得られた(表1)。
[マイクロアレイ発現解析]
172個のサンプルそれぞれから得られた1μgの全RNAを、Affymetrix GeneChip(登録商標) Whole Transcript(WT) Sense Target Labeling Assay Manual(アフィメトリックス社、サンタクララ、カリフォルニア州)に従い個別に処理した。断片化され、標識されたセンス鎖DNAを、Affymetrix GeneChip Human Exon 1.0 ST Array上で16〜18時間ハイブリダイズした。このアレイは、140万個のプローブのセットを含んでおり、そのうち、289,961個がよく注釈付された完全な長さのヒトmRNAを標的とするプローブのセットの“中心的”なセットに属する(アフィメトリックス社:GeneChip Exon Array Design、2009)。各遺伝子はそのコード配列の全長に沿って平均して40個のプローブの標的になっている(およそ10個のプローブのセットに相当する)。アレイの洗浄、染色および走査は、製造者のプロトコルに従って行った。
[遺伝子発現データの前処理]
マイクロアレイの走査イメージから得られた未加工の強度データを、Affymetrix GeneChip Command Console ソフトウェア(バージョン1.0)によって前処理した。発現の強度はサンプルごとに細胞強度(CEL)ファイルとして保存された。CELファイルを入力として使用して、ロバストマルチアレイ平均(RMA)アルゴリズムを適用し、2つの患者のシリーズのそれぞれの間のチップ内分位数標準化法のためのAffymetrix Expression Console 1.1ソフトウェアにおいて実行し、Affymetrix HuEx−1_0−st−v2.r2遺伝子コアライブラリーファイルを用いて遺伝子レベルにおいて完全に適合するプローブを集約した。ライブラリーファイルは22,011個の転写クタスターを定義づけており、そのうち17,617個がAffymetrix HuEx−1_0−st−v2.na31.hg19.transcript.csv注釈ファイルを用いて注釈付された遺伝子を標的としていた。マイクロアレイのデータの一部は、以前に公開されており(Sveen et al.,Genome Med 3:32,2011)、GEOから入手することができる(GSE30378およびGSE24550)。本研究のために、さらに12個のサンプルを試験シリーズに含め(GSM753769−GSE753780)、GSE30378の記録に修正されている。
検証シリーズIIのための遺伝子レベルの発現データを、Affymetrix HG−U133 Plus2.0 アレイ上で分析し、GEOからのCELファイルとしてダウンロードした(GSE14333およびGSE17538)。未加工のデータを、Affymetrix Expression Console 1.0を用いて前処理した。CELファイルをバックグラウンド校正し、分位数標準化し、Affymetrix HG−U133_Plus_2.cdfライブラリーファイルを適用してRMAアルゴリズムを用いて集約した。Affimetrix HG−U133_Plus_2.na31.annot.csvアノテーションファイルを用いて、41,779個の注釈付された遺伝子由来の転写物を標的とする合計54,657個のプローブが同定された。
[予後の遺伝子発現の特性の開発]
予後の予測のための遺伝子発現の特性を、95個のCRCサンプルの試験シリーズから関発した。遺伝子発現のデータセットから、発現レベルにおける分散が0.2より大きく、かつ一変量のCoxの比例ハザード解析によるP値(予測能力のワルド検定)が.5を下回る遺伝子のみが含まれるように選別した(n=3,098遺伝子)。この遺伝子セットを、L罰則を付加した(Lasso)評価に基づいた変数選択のためのアルゴリズムを用いた、罰則を付加した多変量のCoxの比例ハザード生存モデリングに供した(以下を参照)(Goman、Biom J 52:70−84、2009)。このモデルを用いて、予後の発現の特性を構成するよう選択された遺伝子の特性および番号が、試験シリーズにおける交差検証により決定された。予後の可能性を反映する、交差検証により計算された罰則パラメーターλが、生存モデリングにおいて遺伝子発現のシグナルに付加された。
得られた予後の発現の特性における遺伝子は、一変量危険率(HR)が1を超える遺伝子についてのデータセット内で80パーセンタイルを超え且つHRが1を下回る遺伝子について20パーセンタイルを下回る発現レベルにおいて、患者の低い生存率と関連があると考えられた。単純な分類規則を得るために、予後不良と関連のあるレベルで発現している、予後の特性における遺伝子の数に従って、患者を予後グループに階層分けした。また、比較のため、サンプルごとの予後指標(PI)を、特性における遺伝子の、発現量、およびLasso罰則が付加された多変量の回帰係数に基づいて計算し、予後の階層分けに使用した。
[統計解析]
さらなる統計解析をSPSS 16.0ソフトウェア(SPSS社、シカゴ、イリノイ州)を用いて行った。これらには一変量および多変量のCoxの比例ハザード解析(HRおよび95%信頼区間(CI)の推定)、予測能力のワルド検定、カルパン・メイヤーの生存プロットの作成、およびピアソンの相関解析が含まれる。両側検定でP値が0.05以下ならば有意差があるものと判断した。生存解析において、エンドポイントは無再発生存とした。再発とCRCによる死亡が想定される事象であり、事象のない患者は削除した。相関ヒートマップの作成はJ−Express 2011(モルマインAS、ベルゲン、ノルウェー)を用いて行った。
[試験シリーズからの遺伝子発現データセットの選別]
95個の第II期および第III期のCRCサンプルに由来する、Affymetrix GeneChip Human Exon 1.0 STアレイから得られた、ゲノム全体にわたる17,617個の遺伝子発現のデータセットを、生存モデリングのための試験シリーズとして使用した。得られた遺伝子発現の特性の予後値は、Affymetrix HG−U133 Plus2.0アレイ(検証シリーズII)で解析された別々の患者のシリーズにおいても試験され、両方のタイプのアレイにおいて遺伝子シンボルにより識別可能な遺伝子のみが保持された(n=15,851;ヒトゲノム構造GRCh37に基づく注釈)。このデータセットは、発現の分散が0.2より高く、かつ一変量のCoxの比例ハザード分析によるP値が.5を下回る遺伝子のみを含むように選択された(n=3,098遺伝子)。P値(予測能力のワルド検定)を、R 2.11.1において、Bioconductor package Weighted Gene Co-expression Network Analysis(WGCNA)(Langfelder et al.,BMC Bioinfomatics 9:559,2008)を用いて計算した。コードをComprehensive R Archive Network(CRAN)のウェブページ(Langfelder,P and Horvath,S:Package’WGCNA’,2010)から検索した。
Bioconductor libraryを開き、ワーキングディレクトリを準備するために使用されるコマンド:
library(WGCNA)
setwd(“A”) , A = path to working folder.
一変量のCoxの比例ハザード解析を用いて適切なフォーマットにおいて解析するためのデータを準備するために使用されるコマンド:
time<-c(B, …, C), B = time to recurrence or censoring for sample 1, C = time to recurrence or censoring for sample 95.
event<-c(D, …, E), D = 1 (recurrence) or 0 (censoring) for sample 1, E = 1 (recurrence) or 0 (censoring) for sample 95.
datExpr<-t(as.matrix(read.table("M.txt", header=TRUE, sep="\t", row.names=1, as.is=TRUE))), M = tab-delimited gene expression signal matrix with sample headings and one column with probe set ids.
入力されたデータに対して一変量のCoxの比例ハザード解析を実行し、結果をタブ区切りされたテキストファイル(‘univariateCox.txt’と呼ぶ)に書き込むために使用されるコマンド:
c<-standardScreeningCensoredTime(time, event, datExpr, fastCalculation=F)。
[予後の遺伝子発現の特性を開発するための解析のワークフロー]
第II期および第III期のCRCの試験シリーズから選別された遺伝子発現のデータセットを、Bioconductor package penalized(Goeman, JJ: penalized: L1 (lasso) and L2 (ridge) penalized estimation in GLMs and in the Cox model, 2010)への入力として使用した。この解析ツールは、遺伝子発現の特性を用いた、生存データの、Lasso罰則を付加した多変数のCoxの比例ハザードモデリングに用いられる、変数の選択と縮小を行うアルゴリズムを備えている(上述のGoeman et al.)。アルゴリズムは、95個のそれぞれのサンプルの1個抜き交差検証に基づいた入力変数のための罰則パラメーター(λ)を計算する。予後の発現の特性含まれる遺伝子の量はλの関数である。最適なλの値は交差検証において最もよく働いた特性と一致する、言い換えれば最も高い交差検証された部分的可能性となった。より高いλ値を適用すれば概して予後の発現特性に含まれる遺伝子の数は減り、予測は一変量の推定に近づくであろう。より低いλ値においては、予後の発現特性に含まれる遺伝子の数は増え、同時に特性を試験データ内の特定の予後との関連にあてはめすぎるリスクを増大させ、予測力を低下させる虞がある。アルゴリズムの最終段階のため、選択されたλ値を試験データセットのLasso罰則を付加されたモデリングのための調整パラメーターとして適用した。解析はバージョン2.11.1のRを用いて行われた。RのコードをCRANウェブページから検索した。(Goeman, JJ:Package 'penalized', 2010)。
罰則を付加されたバイオコンダクターライブラリーを開き、ワーキングディレクトリを準備するために使用されるコマンド:
library(penalized)
setwd(“A”) , A = path to working folder.
Commands used to read and set up the input data:
s<-Surv(time, event), time and event are vectors as described in the previous section.
exprData<-t(as.matrix(read.table("D.txt", header=TRUE, sep="\t", row.names=1, as.is=TRUE))), D = tab-delimited gene expression signal matrix with sample headings and one column with probe set id’s.
1個抜き交差検証による遺伝子発現データについての罰則パラメーターλを計算するために使用されるコマンド:
opt <- optL1(s, penalized=exprData, fold=10)
最適なλ値における交差検証の結果を返すために使用されるコマンド:opt
罰則付加された遺伝子発現シグナルを使用した生存モデリングを実行し、結果を返すために使用されるコマンド:
p<-penalized(s, penalized=exprData, lambda1=E), E = chosen λ1
show(p)
coefficients(p)
生存モデリングを1000回繰り返した。これらの反復中の交差検証により、試験シリーズにおいて最適な予測に適合するいくつかのモデルが見つかった。交差検証された部分尤度の分散は、さまざまな大きさの(12以下の遺伝子;図4)遺伝子発現の特性に一致する、13より大きいいくつかのλ値に対して、最適値(およそ−252)に達した。反復を通じて、7つの異なる遺伝子発現の特性が、それぞれ50回を超える最適な生存予測に合致することが見出された(図1)。最も頻繁に報告された特性(n=202回)は、1つの遺伝子(OLFEM、λの値は30から44)だけを含んでいた。他の最適な特性は2、7、8、9、11または12個の遺伝子を含んでいた(有効な予測因子に合致しないλ値(λ≧44)も報告された)。より小さな特性内の全ての遺伝子は、より大きな特性にも含まれていた(遺伝子置換は起きていない)。報告されている特性についてのλ値(λ>13)は最適な交差検証された部分尤度と全て関連していた。遺伝子1つだけの特性を除く、これら全ての特性について、患者の生存率と、低い生存率と関連のあるレベルで発現している遺伝子の数の増加との間には有意な関連があった(一変量HRが1を超える遺伝子についてのデータセット内で80パーセンタイルを超え且つ一変量HRが1を下回る遺伝子について20パーセンタイルを下回る発現レベルにおいて、遺伝子は患者の低い生存率と関係があると考えられた)。HR(2個、7個、8個、9個、11個および12個の遺伝子の特性についての、一変量のCoxの比例ハザード解析)は、1.6から1.9の範囲におよぶ(P<0.04)。さらに、予後良好のグループおよび不良のグループへの患者の分類を、可能性のある全ての段階的な、各特性に内包される低い生存率と関連のある遺伝子の量の増加について試験した(図1、下段のヒートマップ)。28個の予後不良の可能性のあるグループについては、22個が低い生存率と有意な関連があった(一変量のCoxの比例ハザード解析、HRの範囲は3.0から11.5;P<0.04)。
どの階層化の規則が最も個々のサンプルを予測することができたかを評価するために、異なる遺伝子特性に従った同一の患者の階層分けを検証シリーズIにおいて繰り返した。ここで、2群に分ける階層化の規則のうちの5つが、有意な予後の階層分けとなった(一変量のCoxの比例ハザード解析、HRの範囲は2.9から5.8;P<0.04)。両方のシリーズを通して最も優れた階層化の規則(一変量のCoxの比例ハザード解析によるP値の階層による)は、7個の遺伝子特性における3つもしくはそれより多い遺伝子を予後不良と関連付けられているレベルで発現しているときに、患者を予後不良のグループに割り当てた。試験シリーズにおいて、23%の患者はこの階層化の規則により予後不良のグループに割り当てられ、一方で17%の患者は検証シリーズIにおいて予後不良であると予測された。検証シリーズIにおいて患者の生存率と有意な関連のある他の4つの階層化の規則によると、6%以下の患者のみが生存率が低いと予測された。ゆえに、さらなる予後を予測する能力の評価のため、7個の遺伝子特性が使用された。
Lasso生存モデルの本来備えている部分として、罰則付加された多変量回帰係数を、遺伝子7個の特性における各遺伝子について計算した(表4;罰則パラメーターλ=16)。これらの回帰係数、および対応する遺伝子発現の値を用いて、各患者について予後係数(PI)を計算した。
PI=[(発現の値)Gene1・(回帰係数)Gene1]+[(発現の値)Gene2・(回帰係数)Gene2]+…
比較のため、PIを予後に従って患者を階層分けするために用いたところ、高いPIは予後不良を示唆していた。
検証シリーズIIにおいて、Affymetrix HG-U133 Plus2.0アレイでの解析により、発見された最適な発現特性における7つの遺伝子を標的とする12個のプローブセットが存在した。過剰なプローブセットのために、サンプルの中央値の発現値を使用した(補足表2)。
[7個の遺伝子の特性の評価]
3つのシリーズの全ての患者において、不十分な生存率を予測する7個の遺伝子の特性の遺伝子の量と患者の生存率の間には“用量効果”がある。すなわち、サンプルに関する不十分な生存率と関連したレベルで発現している遺伝子の量(試験シリーズにおいて0から4の範囲、および2系統の検証において0から5の範囲)の増加は、次第により不十分となる患者の生存率と関連がある。試験シリーズにおいて、一変量HRは1.8([1.5、2.3];P<0.001、予測能力のワルド検証シリーズ)であった。検証シリーズIおよびIIの対応するHRはそれぞれ1.5[1.0,2.1]および1.6[1.3、2.1]であった(それぞれP=0.04および<0.001)。
比較のために、サンプルに関するPIを、7個の遺伝子特性における遺伝子の発現値およびLasso罰則付き多変数回帰係数に基づいて計算した。PIは試験シリーズにおいて、また検証シリーズIおよびIIにおいて、それぞれ−0.2から1.4まで、−0.06から1.50までおよび−0.5から0.9までの範囲であった。PIに対する一変量のCoxの比例ハザード解析により3系統の全てにおいて生存率の有意な階層を示した(それぞれHR=17.7[6.7、46.7]、4.3[1.2、16.1]および4.7[1.6、13.8])。これらの結果をさらに、予後不良と関連のある7個の遺伝子の特性の遺伝子のサンプル数を計数することによる階層化の法則と比較するために、患者をPIが個々の試験シリーズを通じて80パーセンタイルを超える患者を予後不良群に割り当てることで二分した(7個のうち3個以上の遺伝子が予後不良と関連付けられているレベルで発現しているときに、およそ20%の患者の当該グループへの割り当てをシミュレートするため)。試験シリーズおよび検証シリーズIおよびIIにおける一変量HRはそれぞれ4.1[2.2、7.5]、2.1[0.8、5.5]、および2.6[1.4、4.7]であった(それぞれP≦0.001、0.1、および0.003)。それゆえ、7個の遺伝子特性の成績は不十分な生存率と関連のあるレベルで発現している遺伝子のサンプルに関する量およびPIの計算に基づいた階層化に類似しており、前者の手法において使用された、はるかに単純な原理が、一般に使用されている、後者の手法における回帰モデルを用いた戦略の有効な代替手段であることを示している。
[密度分布の計算およびプロットのためのRコード]
プロットする目的で、予後特性の遺伝子の発現シグナルの密度分布を試験シリーズの患者についてBioconductor package sm44を用いて計算した。適切なRコードはCRABのウェブページ45から検索した。
Bioconductor libraryを開くため、および入力データのセットアップのためのコマンド:library(sm)
variable<-c(A, …, B), A = gene expression signal for patient 1, B = gene expression signal for patient 95.
C<-c(D, …, E), D = 1 for event (recurrence),or 0 for censoring for patient 1, E = 1 for event (recurrence),or 0 for censoring for patient 95.
このコマンドは、割り当てられた2つ群それぞれについての発現シグナルの密度の推定値を計算し、プロットするために使用される:
sm.density.compare(variable, group=C)
<結果>
[予後遺伝子発現特性の開発]
Lasso罰則を付加した多変量のCoxの比例ハザードモデリングを、試験シリーズの95の第II期および第III期のCRCから得られた、選別されたゲノム全体にわたる発現データセットに対し実行した。交差検証の最適な罰則の条件と適合するいくつかの生存モデルが存在していた(図4)。7個の異なる遺伝子発現特性が、1000回の反復を通じて、50回を超える試験シリーズそれぞれにおける最適な生存予測に適合した(大きさの範囲は1〜12遺伝子;図1)。これらの異なる特性は同じ遺伝子の組において拡張しており、より小さな特性はより大きなものの部分集合であった。
独立したサンプルにおいて、どの特性が最も高い予測能力を持つかのさらなる評価のため、これらの特性を検証シリーズIにおいて試験した。試験シリーズおよび検証シリーズIを通じて最も優れた階層化規則は、7個の遺伝子の特性の、3個以上の(任意の)遺伝子が予後不良と関連付けられたレベルで発現しているときに、患者を予後不良群に割り当てた(図5)。特性に包含される遺伝子は、OLFM4、CXCL9,DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5E、およびWNT11であった(表4)。lassoアルゴリズムに入力される遺伝子の最初の選択基準、およびアルゴリズムそれ自体によれば、7個の遺伝子は、遺伝子発現における大きな変動および低い相関と同様に、試験シリーズにおける患者の生存率と強い一変量の関連性があった(図2)。
[予後遺伝子発現特性の評価]
試験シリーズにおける第II期および第III期のCRC患者において(n=95)、および両方の独立した検証IおよびIIにおいて(それぞれn=77および215)7個の遺伝子の発現特性の成績を評価した。不十分な生存率を指し示すレベルで発現している遺伝子の量が増加している患者(サンプルごとの量の範囲は試験シリーズにおいて0から4、および2つの検証シリーズにおいて0から5の範囲であった)は、3つのシリーズすべてにおいて徐々に生存率が低くなった(HR≧1.5、P≦0.4、予測能力のためのワルド検証シリーズ)。
7個の遺伝子のうち3個以上が不十分な生存率と関連のあるレベルで発現している患者の予後不良群への割り当ては、結果として全ての系統の患者において有意な予後の階層化を生じさせた(図3)。試験シリーズにおいて、23%の患者(95人中22人)が予後不良群に割り当てられた。予後良好群においては62%と比較して、これらの患者の10年間無再発生存率は9%であった(一変量HR=4.0;95%CI、2.2〜7.2、P<0.001、予測能力のワルド検証シリーズ)。検証シリーズIおよびIIにおいて、それぞれ17%および14%の患者が(77人中13人、および215人中30人)予後不良群に割り当てられた。検証シリーズIにおける予後不良の患者の5年間無再発生存率は49%、比較して予後良好群は78%であった(一変量HR=2.9[1.1、7.5];P=0.03)検証シリーズIIにおける同様の生存率はそれぞれ46%および78%であった(一変量HR=3.8[2.1、7.1];P<0.001)。発現特性の予後値を対応するPIの成績を評価することで確認した。PIの上位20%の患者は残りの患者よりも著しく生存率が低かった。試験シリーズおよび検証シリーズIおよびIIにおける一変量HRはそれぞれ4.1[2.2、7.5]、2.1[0.8、5.5]、および2.6[1.4、4.7]であった(それぞれP≦0.001、0.1および0.003)。
遺伝子発現の特性もまた、腫瘍の病期および他の臨床的−病理学的なパラメーターを含む多変量モデルにおける、独立した低い患者生存率の予測因子である。多変量HRは試験シリーズ(補足表1)において、また検証シリーズIおよびII(表2)において、それぞれ4.1[2.2、7.5]、3.8[1.1、12.7]、および3.2[1.7、6.0]であった(それぞれP≦0.001、0.03、および0.001)。また、患者を各病期内において、生存率に従って正確に階層化した。
Figure 2015503923
Figure 2015503923
Figure 2015503923
Figure 2015503923
(実施例2)
この実施例は、TaqMan(商標)を用いたリアルタイム遺伝子発現定量によるマイクロアレイの結果の確認ならびに元の7個の遺伝子のパネルにおける遺伝子と置換され得る遺伝子の同定を説明する。ColoGuidePROを、アフィメトリックスマイクロアレイ(GeneChip Human Exon 1.0 ST)から得られた発現データによって開発し、他の遺伝子発現プラットフォームへの移動可能性を、19の第II期および20の第III期の結腸直腸癌のサンプルにおける同一の遺伝子をマイクロアレイおよびリアルタイムRT−PCRの両方によって解析することにより示した。これは最終的なRT−PCRに基づいた分類を意図したものではなく、RT−PCRに基づいた手法のそれ自体の可能性、および他の発現プラットフォームへの移動可能性という点についてのColoGidePROの頑強性を示すために確立された予備的なモデルである。
簡潔には、TaqMan(商標)プライマーおよびプローブを7個の遺伝子のパネルおよびコントロール遺伝子に対して選択し、試験した。アッセイの識別名を下の表5に示している。
Figure 2015503923
7個の遺伝子の特性の発現レベルをTaqManアッセイにより評価し、マイクロアレイおよびRT−PCRの間のピアソンの相関係数(r)を関連したP値とともに表6に示している。全ての遺伝子はr>0.75およびP値<0.0001であった。
Figure 2015503923
表5の試薬を被験者のサンプルにおいて遺伝子発現のレベルを解析するために使用した。結果を図7に示している。
プロットは、予後不良と関連のあるレベルで発現している、ColoGuideProにおけるサンプル毎の遺伝子の数の、qPCRおよびエクソンマイクロアレイデータ間の良好な相関を示している。現在サンプルのサブセットのみがqPCRで分析されているので(19の第2期および第3期のサンプル)、予後不良と関連がある遺伝子発現レベルを示すための最終的な閾値を決定していない。
ここで示される分類においては、qPCRデータの発現レベルの閾値を、各病期中のエクソンアレイデータに関して、遺伝子毎に同じ量の予後不良の被験者を分類するために設定した。ColoGuideProにおいて予後不良と関連付けられるレベル(マイクロアレイデータに使用された閾値)で7個中3個の遺伝子が発現しているときに被験者を予後不良のグループに割り当てることにより、19人の第2期の被験者のうち13人(84%)、および20人の第3期の被験者のうち16人(80%)がqPCRおよびエクソンマイクロアレイのデータによる同じ区分に分類した。
上記の明細書で言及された全ての刊行物および特許は、本明細書において参照よって援用される。本発明の記載された方法およびシステムの、多様な変更および変形は、本発明の範囲および意図から離れることなく当業者にとって明らかである。発明は特定の望ましい実施形態に関連付けられて説明されているが、請求の範囲の発明がかかる特定の実施形態によって不当に制限されるべきではないことは理解されるべきである。実際には、本発明を実施するための説明されている態様の、医学における当業者に明らかな多様な変形は、下記の特許請求の範囲内にあることが意図されている。

Claims (33)

  1. 被験者における結腸直腸癌の予後を決定するため、被験者の結腸直腸癌を診断するため、被験者における結腸直腸癌の素因を予測するため、被験者における結腸直腸癌の再発の可能性を予測するため、または特定の治療法を用いた処置のための疾患に罹患している被験者を選択するための方法であって、
    a)OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EおよびWNT11からなる群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを検出するための試薬に、結腸直腸癌と診断された被験者から得た生物学的サンプルを接触させること;および
    b)インビトロの解析を用いて、前記1つ以上の遺伝子の発現レベルを検出すること
    を包含しており
    前記1つ以上の遺伝子の変化した発現レベルは、被験者の予後不良の指標、被験者における結腸直腸癌の診断、被験者における結腸直腸癌の素因の予測、被験者における結腸直腸癌の再発の可能性の予測、または被験者が特定の治療法を用いた処置のための候補であるという指標を提供する、方法。
  2. 前記1つ以上の遺伝子は、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)、((SEMA3AまたはHAS2))のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される2つ以上の遺伝子の組を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記1つ以上の遺伝子は、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される3つ以上の遺伝子の組を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記1つ以上の遺伝子は、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される5つ以上の遺伝子の組を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記1つ以上の遺伝子は、OLFM4、CXXL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5E、およびWNT11の組を包含している請求項1に記載の方法。
  6. 前記生物学的サンプルは、組織サンプル、生検サンプル、血液サンプルおよび便サンプルからなる群から選択される、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記被験者が以前に結腸直腸癌と診断されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. (OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つおよび(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つからなる群から選択される1つ以上の遺伝子の、前記遺伝子の参照の発現レベルと比べて減少した発現レベルが、前記被験者の予後不良と関連している、請求項1に記載の方法。
  9. (DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される1つ以上の遺伝子の、前記遺伝子の参照の発現レベルと比べて上昇した発現レベルが、前記被験者の予後不良と関連している、請求項1に記載の方法。
  10. 前記予後不良は、低下した生存率を含んでいる、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記予後不良は、前記結腸直腸癌の再発または転移を含んでいる、請求項8または9に記載の方法。
  12. 前記参照の発現レベルは、結腸直腸癌と診断された被験者から得たものである、請求項8または9に記載の方法。
  13. 前記参照の発現レベルは、結腸直腸癌と診断されていない被験者から得たものである、請求項7または8に記載の方法。
  14. 前記予後が、5年間無再発生存率を含んでいる、請求項1から13のいずれか一項に記載に記載の方法。
  15. 処置の手順の決定の段階をさらに包含している、請求項1から14のいずれか一項に記載に記載の方法。
  16. 前記処置の手順が、予後不良であると同定された被験者には化学療法を行い、予後良好であると同定された被験者には化学療法を行わないことを包含している、請求項15に記載の方法。
  17. 前記化学療法は、補助化学療法である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記結腸直腸癌は、第I期、第II期または第III期である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記結腸直腸癌の有益な試薬は、前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物とハイブリダイズする、1つまたは複数の核酸プローブ、前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物の増幅および検出のための核酸プライマー、および前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物に特異的な抗原結合タンパク質からなる群から選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記遺伝子産物は、前記遺伝子から転写されたRNAであり、前記結腸直腸の有益な試薬が前記1つ以上の遺伝子の前記それぞれの遺伝子産物とハイブリダイズする、1つもしくは複数の核酸プローブ、または前記1つ以上の遺伝子の前記それぞれの遺伝子産物の増幅および検出のための核酸プライマーである、請求項19に記載の方法。
  21. 被験者の結腸直腸癌を診断するための方法であって、
    a)(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される、1つ以上の遺伝子の発現レベルを検出するために、結腸直腸癌を有する被験者から得た生物学的サンプルを結腸直腸癌の有益な試薬に接触させること;および
    b)インビトロのアッセイにおいて、前記結腸直腸癌の有益な試薬を用いて前記1つ以上の遺伝子の発現レベルを検出すること
    を包含しており、
    前記1つ以上の遺伝子の変化した発現レベルは、前記被験者における結腸直腸癌と比べた予後不良の指標である、方法。
  22. (OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される1つ以上の遺伝子の、結腸直腸癌である、または結腸直腸癌の疑いがある被験者から得たサンプル中の変化した遺伝子発現を検出するための、1つ以上の有益な試薬を含んでいる、キット。
  23. 前記1つ以上の遺伝子が、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される2つ以上の遺伝子の組を含んでいる、請求項22のキット。
  24. 前記1つ以上の遺伝子は、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される3つ以上の遺伝子の組を含んでいる、請求項22に記載のキット。
  25. 前記1つ以上の遺伝子は、(OLFM4またはCLCA1)のうちの1つ、(CXCL9またはGBP5)のうちの1つ、(UGT2B17またはADH1C)のうちの1つ、(DMBT1またはREG1A)のうちの1つ、(SEMA3AまたはHAS2)のうちの1つ、(NT5EまたはSLC35A1)のうちの1つ、および(WNT11またはPMEPA1)のうちの1つからなる群から選択される5つ以上の遺伝子の組を含んでいる、請求項22に記載のキット。
  26. 前記1つ以上の遺伝子は、OLFM4、CXCL9、DMBT1、UGT2B17、SEMA3A、NT5EおよびWNT11の組を含んでいる、請求項22に記載のキット。
  27. 前記1つ以上の結腸直腸の有益な試薬は、前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物と特異的にハイブリダイズする1つまたは複数のプローブである、請求項22から26のいずれか一項に記載のキット。
  28. 前記1つ以上の結腸直腸の有益な試薬が、前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物を増幅するプライマーの1つまたは複数の組である請求項22から26のいずれか一項に記載のキット。
  29. 前記1つ以上の結腸直腸の有益な試薬は、前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの遺伝子産物と結合する1つまたは複数の抗原結合タンパク質である、請求項22から26のいずれか一項に記載のキット。
  30. 前記1つ以上の結腸直腸の有益な試薬は、前記1つ以上の遺伝子のそれぞれの(複数の)遺伝子産物とハイブリダイズし、配列決定を可能にする(複数の)配列決定プライマーである、請求項22から26のいずれか一項に記載のキット。
  31. 結腸直腸癌と診断された被験者の予後を決定するための、請求項22から30のいずれか一項に記載のキットの、使用。
  32. 被験者における結腸直腸癌を診断するための、請求項22から30のいずれか一項に記載のキットの、使用。
  33. 特定の処置の成功の可能性を決定するおよび/または前記処置のための患者を選択するための、請求項22から30のいずれか一項に記載のキットの、使用。
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