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JP2015221875A - 接着剤及び接続構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放熱する電子部品に対して優れた接着性と放熱性を有する接着剤及びこれを用いた接続構造体を提供する。【解決手段】 接着剤が、エポキシ化合物と、カチオン触媒と、アクリル酸とヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとを含むアクリル樹脂とを含有する。アクリル樹脂中のアクリル酸が、エポキシ化合物と反応し、アクリル樹脂の島13とエポキシ化合物の海12との繋がりを生じさせるとともに、酸化膜11aの表面を荒らしてエポキシ化合物の海12とのアンカー効果を強めるとともに、含有した半田粒子11を融解することで電極10との間で金属結合を形成し、接着剤と電極10の接着力を高め、金属結合面からの放熱特性を更に向上させることができる。【選択図】図2

Description

本発明は、電子部品同士を電気的に接続する接着剤に関し、特に発熱する電子部品と配線基板とを接続するとともに電子部品の熱を放熱する接着剤、及び電子部品と配線基板とが接続された接続構造体に関する。
LED等のチップ部品を回路基板に実装する手法として、エポキシ系接着剤に導電性粒子を分散させ、フィルム状に成形した異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を使用し、フリップチップ実装する方法が広く採用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。この方法によれば、チップ部品と回路基板との間の電気的接続が、異方性導電フィルムの導電性粒子で達成されるため、接続プロセスを短くすることができ、生産効率を向上させることができる。
特開2010−24301号公報 特開2012−186322号公報
近年のLED製品の中には、低コスト化のため、回路基板の配線の金属をAu、AgからAl、Cuに変更したものや、PET(Polyethylene terephthalate)基材上にITO(Indium Tin Oxide)配線が形成された透明基板を用いたものがある。
しかしながら、Al、Cu等の金属配線やITO配線の表面には、不動態、酸化被膜などの酸化物が形成されているため、従来のエポキシ系接着剤では、接着が困難であった。
また、接着が困難であるうえに、LED製品等の発熱する電子部品から十分に放熱をするためには、放熱用材料を接着剤に含有させなければならず、放熱用材料の含有により接着剤成分が少なくなり接着力を十分に保持することが困難であった。
また、放熱用材料として用いられる無機フィラーや金属フィラーを接着剤に含有させると、これらがスペーサーとなり、接着剤層を薄くすることができなくなってしまう。
本発明は、上述した従来技術における課題を解決するものであり、酸化膜に対して優れた接着性と、放熱する電子部品から外部への優れた放熱性とを有する接着剤及びこれを用いた接続構造体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る接着剤は、発熱する電子部品と配線パターンを有する基板とを接着する接着剤であって、半田粒子を含む樹脂バインダーからなることを特徴とする。
また、本発明に係る接続構造体は、配線パターンを有する基板と、配線パターンの電極上に形成された異方性導電膜と、異方性導電膜上に実装された発熱する電子部品とを備え、異方性導電膜が、樹脂バインダーと半田粒子とを含有し、前記半田粒子と前記電子部品の端子部分が金属結合していることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂バインダー内の半田粒子が電子部品の端子部分と金属結合することで、接着剤層と電子部品との間で優れた接着力を得るとともに、電子部品内で発生した熱を金属結合した半田粒子に拡散させ、より効率的に放熱することができる。
エポキシ化合物を海、及びアクリル樹脂を島としたときの海島モデルを示す断面図である。 半田粒子を説明する断面図である。 発光装置の一例を示す断面図である。 90度剥離強度試験の概要を示す断面図である。 LED実装サンプルの作製工程を説明するための図である。 ダイシェア強度試験の概要を示す断面図である。 放熱用材料としてダイヤモンド粒子を用いた場合を説明する図である。 放熱用材料として銅粉を用いた場合を説明する図である。 放熱用材料として窒化アルミ粉を用いた場合を説明する図である。 樹脂バインダーの放熱特性を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施の形態と称する。)について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
1.接着剤
2.接続構造体
3.実施例
<1.接着剤>
本発明が適用された接着剤は、脂環式エポキシ化合物又は水素添加エポキシ化合物と、カチオン触媒と、重量平均分子量が50000〜900000のアクリル樹脂と、半田粒子とを含有し、アクリル樹脂が、0.5〜10wt%のアクリル酸と、0.5〜10wt%のヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとを含むものである。
図1は、接着剤と酸化膜との界面において、エポキシ化合物を海、アクリル樹脂を島としたときの海島モデルを示す断面図である。この海島モデルは、エポキシ化合物の海12に分散したアクリル樹脂の島13が、配線11の酸化膜11a上に接した状態を示す硬化物モデルである。
この硬化物モデルにおいて、アクリル樹脂中のアクリル酸は、エポキシ化合物と反応し、アクリル樹脂の島13とエポキシ化合物の海12との繋がりを生じさせるとともに、酸化膜11aの表面を荒らしてエポキシ化合物の海12とのアンカー効果を強める。また、アクリル樹脂中のヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルは、ヒドロキシル基の極性により配線11に対して静電気的な接着力を得る。このように酸化膜11aに対してアクリル樹脂の島13及びエポキシ化合物の海12の硬化物全体で接着することにより、優れた接着力を得ることができる。
次に、半田粒子について説明する。具体的に、接着剤が、LED素子と、表面が酸化物とされた配線パターンを有するアルミニウム配線基板とを接着する例を用いて説明する。図2は、接着剤に含有する半田粒子の働きを説明する断面図である。
半田粒子1は、図2に示すように、上述の構成の樹脂バインダー3に、後述する導電性粒子2とともに添加される。半田粒子1は、導電性粒子2とともにLED素子の電極10とアルミ配線基板の配線11との間に分散配置され、圧着工程において融解され融解半田1aとなる。
ここで、LED素子の電極10は、Au又はAu−Snで構成されている。半田粒子1は、融点以上まで加熱されると融解し、凝固点以下まで冷却されると略柱状に凝固し、一方の端面1bが電極10と金属結合する。一方、半田粒子1は、配線11とは金属結合できない。これは、配線11上に酸化アルミによる酸化膜11aが存在するためであり、一般的な圧着工程では、融解半田1aとアルミ配線基板の配線11とは金属結合はできない。従って、融解半田1aがLED素子の電極10と、配線11との間で電気導通に寄与することはない。
しかし、融解半田1aは、端面1bにおいて電極10と金属結合をするため、電極10と融解半田1aとは一つの構造体を形成することとなる。この結果、LED素子と接着剤の間で接着力が高まる。具体的には、融解粒子1aが存在しない場合、LED素子の電極10と接着剤は2次元的な面で接触するのみであるが、LED素子の電極10と融解半田1aとによる構造体が3次元的な構造を有するため、結果的に電極10と接着剤との間で接着面積が増えることとなる。つまり、融解半田1aが電極10の一部と金属結合することにより接着剤に対して杭(アンカー)として機能するため、電極10と接着剤の間で接着強度を向上することができる。
また、融解半田1aは、電極10と金属結合することから、放熱用材料として用いられる他の粒子のように点接触ではなく、面接触となり、LED素子側から溶融半田1aを介して放熱を行うことができ、飛躍的に放熱特性を向上することができる。また、配線11との接触面も酸化膜11aを介してではあるが、面接触となり熱を伝達しやすくなり、この点においても放熱特性を向上することができる。なお、他の放熱用材料との比較は比較例中においても詳細に説明する。
半田粒子1は、例えばJIS Z 3282−1999に規定されている、Sn−Pb系、Pb−Sn−Sb系、Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Bi−Sn系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、Sn−In系、Sn−Ag系、Sn−Pb−Ag系、Pb−Ag系などから、電極材料や接続条件などに応じて適宜選択することができる。また、半田粒子1の形状は、粒状、燐片状などから適宜選択することができる。
なお、半田粒子1の平均粒径(D50)は、3μm以上、30μm未満とすることが好ましく、半田粒子1の添加量は、50質量部以上、150質量部未満とすることが好ましい。添加量が少なすぎると、上述のようなアンカー効果が期待できず、また、添加量を増やしすぎると、樹脂バインダー3が相対的に少なくなり、接着剤としての接着力が低下してしまうためである。
また、半田粒子1の融点は、実装温度以下のものを用いることが好ましい。このような融点の半田粒子1を用いると、実装(圧着工程)における加熱により半田粒子1を融解できるため、半田粒子1を融解するためだけの加熱工程を追加する必要がなくなる。すなわち、接着剤を硬化させるとともに半田粒子1aを融解することができる。また、融解半田1aを形成するためにLED素子や基板に過度な加熱ストレスを与えないためである。例えば、アルミ配線を用いた樹脂基板にLED素子を接着する場合では、樹脂基板の耐熱性を考慮して、180℃にて実装するため、この場合には、180℃以下であることが好ましい。
次に、脂環式エポキシ化合物としては、分子内に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましく挙げられる。これらは液状であっても、固体状であってもよい。具体的には、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、グリシジルヘキサヒドロビスフェノールA等を挙げることができる。これらの中でも、硬化物にLED素子の実装等に適した光透過性を確保でき、速硬化性にも優れている点から、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが好ましく使用される。
水素添加エポキシ化合物としては、先述の脂環式エポキシ化合物の水素添加物や、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等の公知の水素添加エポキシ化合物を使用することができる。
脂環式エポキシ化合物や水素添加エポキシ化合物は、単独で使用してもよいが、2種以上を併用することができる。また、これらのエポキシ化合物に加えて本発明の効果を損なわない限り、他のエポキシ化合物を併用してもよい。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、ジアリールビスフェノールA、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、クレゾール、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ベンゾフェノン、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、ビキシレノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル; グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、チレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるポリグリシジルエーテル; p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル; フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル; アミノフェノール、アミノアルキルフェノールから得られるグリシジルアミノグリシジルエーテル; アミノ安息香酸から得られるグリシジルアミノグリシジルエステル; アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、 ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホンなどから得られるグリシジルアミン; エポキシ化ポリオレフィン等の公知のエポキシ樹脂類が挙げられる。
カチオン触媒としては、例えば、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤、イミダゾール系潜在性硬化剤、スルホニウム系潜在性硬化剤などの潜在性カチオン硬化剤を挙げることができる。これらの中でも、速硬化性に優れるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤が好ましく使用される。
カチオン触媒の含有量は、少なすぎると反応性が無くなり、多すぎると接着剤の製品ライフが低下する傾向があるため、エポキシ化合物100重量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部である。
アクリル樹脂は、重量平均分子量が50000〜900000である。図1に示す硬化物モデルにおいて、アクリル樹脂の重量平均分子量は、アクリル樹脂の島13の大きさに相関を示し、アクリル樹脂の重量平均分子量が50000〜900000であることにより、適度な大きさのアクリル樹脂の島13を酸化膜11aに接触させることが可能となる。アクリル樹脂の重量平均分子量が50000未満の場合、アクリル樹脂の島13と酸化膜11aの接触面積が小さくなり、接着力向上の効果が得られない。また、アクリル樹脂の重量平均分子量が900000超の場合、アクリル樹脂の島13が大きくなり、酸化膜11aに対してアクリル樹脂の島13及びエポキシ化合物の海12の硬化物全体で接着している状態とはいえず、接着力が低下する。
また、アクリル樹脂は、アクリル酸を0.5〜10wt%含み、より好ましくは1〜5wt%含む。アクリル樹脂中にアクリル酸が0.5〜10wt%含まれることにより、エポキシ化合物との反応によりアクリル樹脂の島13とエポキシ化合物の海12との繋がりが生じるとともに、酸化膜11aの表面が荒れてエポキシ化合物の海12とのアンカー効果が強まる。
また、アクリル樹脂は、ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルを0.5〜10wt%含み、より好ましくは1〜5wt%含む。アクリル樹脂中にヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルが0.5〜10wt%含まれることにより、ヒドロキシル基の極性により配線11に対して静電気的な接着力が得られる。
ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等を挙げることができる。これらの中でも、酸化膜に対する接着性に優れるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましく使用される。
また、アクリル樹脂は、アクリル酸及びヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル以外に、ヒドロキシ基を有さないアクリル酸エステルを含む。ヒドロキシ基を有さないアクリル酸エステルとしては、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ニトリル等を挙げることができる。
また、アクリル樹脂の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。アクリル樹脂の含有量がエポキシ化合物100質量部に対して1〜10質量部であることにより、アクリル樹脂12の島が、エポキシ樹脂13の海に良好な密度で分散した硬化物を得ることが可能となる。
また、本発明が適用された接着剤は、他の成分として、無機材料との界面における接着性を向上させるため、シランカップリング剤をさらに含有してもよい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、メタクリロキシ系、アミノ系、ビニル系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を込み合わせて用いてもよい。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。
また、接着剤は、流動性を制御し、粒子捕捉率を向上させるため、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、特に限定されないが、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができる。このような無機フィラーは、接着剤によって接続される接続構造体の応力を緩和させる目的によって適宜用いることができる。また、熱可塑性樹脂、ゴム成分等の柔軟剤等を配合してもよい。
このような接着剤によれば、アルミニウム等の難接着金属に対し、高い接着力を得ることができる。
また、接着剤は、導電性粒子を含有する異方性導電接着剤であってもよい。導電性粒子としては、公知の導電性粒子を用いることができる。例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を用いることができる。
導電性粒子の平均粒径としては、通常1〜10μm、より好ましくは2〜6μmである。また、接着剤成分中の導電性粒子の平均粒子密度は、接続信頼性及び絶縁信頼性の観点から、好ましくは1000〜100000個/mm2、より好ましくは30000〜80000個/mm2である。ここで、導電性粒子の含有量は、1〜20質量部とすることが好ましい。
このような異方性導電接着剤によれば、酸化膜を有するアルミニウム配線やITO配線に対し、優れた接続信頼性を得ることができる。
<2.接続構造体>
次に、本発明を適用した接続構造体について説明する。図3は、接続構造体の一例として、発熱する電子部品であるLED素子を示す断面図である。接続構造体は、配線パターン22を有する基板21と、配線パターン22の電極上に形成された異方性導電膜30と、異方性導電膜30上に実装された発光素子23とを備え、異方性導電膜30が、前述した異方性導電接着剤の硬化物からなる。この発光装置は、基板21上の配線パターン22と、発光素子23としてLED素子のn電極24とp電極25とのそれぞれに形成された接続用のバンプ26との間に、前述の異方性導電接着剤を塗布し、基板21と発光素子23とをフリップチップ実装することにより得られる。
なお、ここで説明したバンプ26は、AuやAu−Snの合金メッキを施したものを用いている。従って、バンプ26は、図2において説明した電極10に相当し、半田粒子1bは、バンプ26との間で金属結合することとなる。
本実施の形態では、前述した異方性導電接着剤を用いることにより、アルミニウムからなる配線パターンを有する基板を好適に用いることができる。これにより、LED製品の低コスト化を図ることができる。
また、ITO等の透明導電膜からなる配線パターンを有する透明基板を好適に用いることができる。これにより、例えばPET(Polyethylene terephthalate)基材上にITO(Indium Tin Oxide)配線が形成された透明樹脂基板にLED素子を実装することができる。
なお、必要に応じて、LED素子23の全体を覆うように放熱特性のよい透明モールド樹脂で封止してもよい。また、LED素子23に光反射層を設けてもよい。また、発光素子としては、LED素子の他、本発明の効果を損なわない範囲で公知の発熱する電子部品を使用することができる。
<3.実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、各種の異方性導電接着剤を作製し、これら異方性導電接着剤を用いて基板上にLED素子を搭載させてLED実装サンプルを作製し、LED素子の端子部分と半田粒子の合金形成の有無、熱抵抗値、及び対アルミ接着力について評価した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[ピール強度の測定]
異方性導電接着剤をセラミックからなる白色板上に厚さ100μmとなるように塗布し、1.5mm×10mmのアルミ片を180℃−1.5N−30secの条件で熱圧着し、接合体を作製した。
図4に示すように、テンシロンを用いて、接合体のアルミ片を引っ張り速度50mm/secで90°Y軸方向に引き剥がし、その引き剥がしに要したピール強度の最大値を測定した。
[LED実装サンプルの作製]
図5に示すように、LED実装サンプルを作製した。50μmピッチの配線基板(50μmAl配線−25μmPI(ポリイミド)層−50μmAl土台)51をステージ上に複数配列し、各配線基板51上に異方性導電接着剤50を約10μg塗布した。異方性導電接着剤50上に、Cree社製LEDチップ(商品名:DA3547、最大定格:150mA、サイズ:0.35mm×0.46mm)52を搭載し、熱加圧ツール53を用いてフリップチップ実装し、LED実装サンプルを得た。
[ダイシェア強度の測定]
図6に示すように、ダイシェアテスターを用いて、ツール54のせん断速度20μm/sec、25℃の条件で各LED実装サンプルの接合強度を測定した。
[合金形成の有無の評価]
各LED実装サンプルの外観を顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)等を用いてLED素子の電極部分と半田粒子との間で合金形成がなされているかを確認した。具体的に、合金形成がなされると、電極部分と半田粒子との間は融解半田により面接触をすることとなる。このため、溶融半田の広がり面積を見ることにより合金が形成されているか否か、すなわち金属結合しているか否かを判断することができる。
[熱抵抗値の評価]
過渡熱抵抗測定装置(CATS電子設計社製)を用いて、LED実装体の熱抵抗値(℃/W)を測定した。測定条件はIf=200mA(定電流制御)で行った。
[総合評価]
LED素子の端子部分と半田粒子の合金形成の有無、熱抵抗値がすべて「〇」であり、ピール強度が2.0N以上、ダイシェア強度が5.0N以上であるものを「OK」と評価し、それ以外を「NG」と評価した。
[実施例1]
脂環式エポキシ化合物(品名:セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)100質量部、潜在性カチオン硬化剤(アルミニウムキレート系潜在性硬化剤)5質量部、アクリル樹脂(アクリル酸ブチル(BA):15%、アクリル酸エチル(EA):63%、アクリル酸ニトリル(AN):20%、アクリル酸(AA):1w%、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA):1wt%、重量平均分子量Mw:70万)3質量部で構成された接着剤中に、半田融点150℃の半田粒子30質量部及び導電性粒子(品名:AUL704、積水化学工業社製)10質量部を分散させ、異方性導電接着剤を作製した。また、LED実装サンプルの作製における硬化条件は、180℃−1.5N−30secとした。
なお、半田粒子の平均粒子径は、5μm、7μm、10μm、12μm、25μmのものを実施例毎に用いた。上記範囲における粒子径では優位な差異は見いだせなかったため、粒子径毎の試験結果は割愛するが、少なくとも上記範囲の粒子径のものを用いることで本願実施例の結果を得ることができる。以下の実施例及び半田粒子を配合した比較例においても同様とする。
表1に、実施例1の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は17(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はOKであった。
[実施例2]
半田粒子の融点を150℃、配合を40質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、実施例2の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は16(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はOKであった。
[実施例3]
半田粒子の融点を150℃、配合を60質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、実施例3の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は16(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はOKであった。
[実施例4]
半田粒子の融点を150℃、配合を80質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、実施例4の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は15(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はOKであった。
[実施例5]
半田粒子の融点を170℃、配合を30質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、実施例5の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は16(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はOKであった。
[実施例6]
半田粒子の融点を170℃、配合を80質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、実施例6の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は16(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はOKであった。
[比較例1]
半田粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、比較例1の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は29(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例2]
半田粒子の融点を150℃、配合を160質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、比較例2の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は16(K/W)、ピール強度は1.2Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は2.0Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例3]
半田粒子の融点を170℃、配合を160質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、比較例3の各評価結果を示す。合金形成が確認され、熱抵抗値は16(K/W)、ピール強度は1.2Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は2.0Nであっ4。よって、総合評価はNGであった。
[比較例4]
半田粒子の融点を200℃、配合を30質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、比較例4の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は26(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例5]
半田粒子の融点を200℃、配合を80質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、比較例5の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は23(K/W)、ピール強度は4.0Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例6]
半田粒子の融点を200℃、配合を160質量部とした以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表1に、比較例6の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は23(K/W)、ピール強度は1.2Nであった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は2.0Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例7]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径0.4μmのアルミナ粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表2に、比較例7の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は25(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.5Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例8]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径0.4μmのアルミナ粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表2に、比較例8の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は23(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は5.3Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例9]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径3μmのアルミナ粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表2に、比較例9の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は29(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.8Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例10]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径3μmのアルミナ粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表2に、比較例10の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は28(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は6.2Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例11]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径10μmのアルミナ粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表2に、比較例11の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は35(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は6.1Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例12]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径10μmのアルミナ粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表2に、比較例12の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は33(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は5.5Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例13]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径1.5μmの窒化アルミ粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例13の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は22(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.1Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例14]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径1.5μmの窒化アルミ粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例14の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は19(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は5.9Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例15]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径3μmのNi粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例13の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は28(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は7.9Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例16]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径3μmのNi粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例16の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値27(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は6.0Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例17]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径10μmのCu粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例17の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は41(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.12Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例18]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径10μmのCu粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例18の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値38(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は6.2Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例19]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径0.3μmのダイヤモンド粉末60質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例19の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値は21(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.3Nであった。よって、総合評価はNGであった。
[比較例20]
半田粒子に替えて放熱材料である平均粒径0.3μmのダイヤモンド粉末150質量部を樹脂バインダーに配合した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電接着剤を作製した。
表3に、比較例20の各評価結果を示す。合金形成は確認できず、熱抵抗値22(K/W)であった。また、LED実装サンプルのダイシェア強度は8.1Nであった。よって、総合評価はNGであった。
Figure 2015221875
Figure 2015221875
Figure 2015221875
比較例1は、半田粒子を配合しなかったため、融解半田による金属結合が生じず、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。
また、比較例2、3は、半田粒子を多く配合してしまったため、融解半田は形成されたものの、アルミ配線基板と異方性導電接着剤との間で接着力を低下させてしまい、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下してしまった。
また、比較例4,5,6は、半田粒子の融点が200℃とされているため、圧着工程において十分に半田が融解せず、融解半田による金属結合が生じず、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下し、また、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。
また、比較例7,8,9,10,11,12では、放熱材料としてアルミナ粉末を用いているため、融解半田による金属結合が生じず、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下し、また、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。アルミナ粉末の熱伝導率は40W/mKであるが、本願実施例との比較により半田粒子に替えて接着剤に含有しても所望の特性を得ることができなかった。
また、比較例13,14では、放熱材料として窒化アルミ粉末を用いているため、融解半田による金属結合が生じず、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下し、また、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。窒化アルミ粉末の熱伝導率は180W/mKであるが、本願実施例との比較により半田粒子に替えて接着剤に含有しても所望の特性を得ることができなかった。
ここで、放熱材料として窒化アルミを添加した場合について考察する。図7に示すように、樹脂バインダー3に窒化アルミ粒子61を添加した場合、半田粒子のように簡単に融解することがないため、粒形状が保持され、電極10と窒化アルミ粒子61とは点接触となる。従ってLED素子からの熱を伝える面積が非常に少なくなり、半田粒子を用いた場合と比較して放熱特性が悪くなってしまう。また、窒化アルミ粒子61と配線11の間における接触も点接触となる。従って、窒化アルミ粒子61から配線基板側への放熱特性も悪くなってしまう。
また、比較例15,16では、放熱材料としてNi粉末を用いているため、融解半田による金属結合が生じず、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下し、また、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。Ni粉末の熱伝導率は95W/mKであるが、本願実施例との比較により半田粒子に替えて接着剤に含有しても所望の特性を得ることができなかった。
また、比較例17,18では、放熱材料としてCu粉末を用いているため、融解半田による金属結合が生じず、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下し、また、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。Cu粉末の熱伝導率は400W/mKであるが、本願実施例との比較により半田粒子に替えて接着剤に含有しても所望の特性を得ることができなかった。
ここで、放熱材料としてCu粒子を添加した場合について考察する。図8に示すように、樹脂バインダー3にCu粒子62を添加した場合、半田粒子のように簡単に融解することがないため、粒形状が保持され、電極10とCu粒子62とは点接触となる点は、窒化アルミ粒子61の場合と同様である。また、Cu粒子62は、粒径が非常に大きいため、接着剤厚さが厚くなってしまう。高熱伝導率であるCu粒子を用いたとしても、接着剤層の厚さが接着剤層全体として放熱特性を妨げることとなり、所望の放熱特性を得ることができなかった。
また、比較例19,20では、放熱材料としてダイヤモンド粉末を用いているため、融解半田による金属結合が生じず、異方性導電接着剤とLED素子との間で接着力が低下し、また、熱抵抗値が大きくなりすぎてしまい、放熱特性が悪くなってしまった。ダイヤモンド粉末の熱伝導率は1500W/mKであるが、本願実施例との比較により半田粒子に替えて接着剤に含有しても所望の特性を得ることができなかった。
ここで、放熱材料としてダイヤモンド粒子を添加した場合について考察する。図9に示すように、樹脂バインダー3にダイヤモンド粒子63を添加した場合、接着剤層の厚みに比べダイヤモンド粒子が63が小さいため、LED素子の電極部分や、基板側の配線と接触できない。すなわち、LED素子から配線基板側へ熱伝達経路が形成されないため、高熱伝導率であるダイヤモンド粒子を用いたとしても、所望の放熱特性を得ることができなかった。
一方、実施例1〜6は、脂環式エポキシ化合物と、潜在性カチオン硬化剤と、アクリル酸(AA)とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)を有するアクリル樹脂とを配合しているため、光学用途の特性を有し、さらに、酸化膜を有するアルミニウム配線に対し、高い接着力及び優れた導通信頼性を得ることができ、また、半田粒子の融点が実装温度以下とされているため、圧着工程において半田粒子が融解し融解半田がLED素子の電極と金属結合し、高い接着力と優れた放熱特性を得ることができた。
なお、図10に、樹脂バインダーの放熱特性を参考に示す。樹脂Aは熱伝導率10W/mK、樹脂Bは熱伝導率30W/mK、樹脂Cは熱伝導率50W/mK、樹脂Dは熱伝導率70W/mKのものをそれぞれ調整した例である。一般的に、接着剤層中の放熱樹脂の体積率(vol%)が高くならなければ、放熱特性が得られないことがわかる。熱抵抗は、層厚/(接着面積×熱伝導率)で定義されるため、層厚を大きくしすぎると熱抵抗は高くなってしまうため、粒径の大きな放熱材料は層厚を大きくしてしまうため好ましくないことがわかる。
1 半田粒子、1a 融解半田、1b 端面(金属結合面)、2 導電性粒子、3 樹脂バインダー、10電極、11 配線、11a 酸化膜、12 エポキシ化合物の海、13 アクリル樹脂の島、21 基板、22 配線パターン、23 発光素子、24 n電極、25 p電極、26 バンプ、30 異方性導電膜、50 異方性導電接着剤、51 配線基板、52 LEDチップ、53 加熱ツール、54 ツール、60 窒化アルミ粒子、61 Cu粒子、62 ダイヤモンド粒子

Claims (10)

  1. 発熱する電子部品と基板とを接着する接着剤であって、
    半田粒子を含む樹脂バインダーとからなる接着剤。
  2. 前記樹脂バインダーは、脂環式エポキシ化合物又は水素添加エポキシ化合物と、カチオン触媒と、重量平均分子量が50000〜900000のアクリル樹脂とを含有し、
    前記アクリル樹脂が、0.5〜10wt%のアクリル酸と、0.5〜10wt%のヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルとを含む請求項1記載の接着剤。
  3. 前記半田粒子は、50質量部以上、150質量部未満の配合量である請求項1又は2記載の接着剤。
  4. 前記半田粒子は、平均粒径が3μm以上、30μm未満である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接着剤。
  5. 前記アクリル樹脂の含有量が、前記エポキシ樹脂100質量部に対して1〜10質量部である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接着剤。
  6. 前記ヒドロキシル基を有するアクリル酸エステルが、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルからなる群から選択される1種以上である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接着剤。
  7. 前記アクリル樹脂が、アクリル酸ブチルと、アクリル酸エチルと、アクリル酸エチルとを含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接着剤。
  8. 前記カチオン触媒が、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接着剤。
  9. 導電性粒子を含有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の接着剤。
  10. 配線パターンを有する基板と、
    前記配線パターンの電極上に形成された異方性導電膜と、
    前記異方性導電膜上に実装された発熱する電子部品とを備え、
    前記異方性導電膜が、樹脂バインダーと半田粒子とを含有し、前記半田粒子と前記電子部品の端子部分が金属結合している接続構造体。
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