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JP2015208315A - 水不溶性成分を含む液状組成物 - Google Patents

水不溶性成分を含む液状組成物 Download PDF

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JP2015208315A JP2014094015A JP2014094015A JP2015208315A JP 2015208315 A JP2015208315 A JP 2015208315A JP 2014094015 A JP2014094015 A JP 2014094015A JP 2014094015 A JP2014094015 A JP 2014094015A JP 2015208315 A JP2015208315 A JP 2015208315A
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Abstract

【課題】水と油とを含む液状組成物において、比重が1g/cm以上の水不溶性の固形物を安定分散させて、該固形物本来の色を発色させ、耐熱安定性及び乳化安定性を有する液状組成物を得る。
【解決手段】セルロース及び比重が1g/cm以上の水不溶性成分と油を含む液状組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、水不溶性成分を含む液状組成物に関する。
近年、食文化の多様化にともない、水と油を含む調味液やソースにおいても、形態や味付け、内容物が多様化している。たとえば、穀物や小麦粉製品、野菜、果物、肉類、水産物、豆類などにかけたり和えたりするものがある。特に油を含むことにより、脂質の栄養補給のみならず、コク等の食感を付与することができる。
特許文献1には、液体調味料原料に、乳化剤、増粘安定剤、及び不溶性微結晶粉末セルロースを添加した水中油滴型乳化調味組成物が開示されている。該文献によると、これら成分の組み合わせにより、冷凍・解凍しても乳化エマルジョンにおける水と油との分離を防止できるとされている。
特許文献2には、リゾリン脂質と微結晶セルロースの組み合わせによるパスタソースが開示されている。該文献によると、パスタソースとパスタを和えて保温しても、パスタへの吸水を抑制できるとされている。実施例には、微結晶セルロースとリゾレシチンを含むカルボナーラソースや、きのこクリームソースが開示されている。
また、これら調味液やソースには、野菜や果物、ゴマなど、さまざまな具材を含むものも近年多くみられる。中でも、独特の味や風味、プチプチした食感から、にしん由来のカズノコやスケトウダラ由来のタラコなど、魚由来の魚卵を含むものも注目されている。
特許文献3には、魚卵粒と魚卵ペースト状物、油脂を含有する魚卵粒入りソース類が開示されている。該文献によると、魚卵粒、魚卵ペースト状物、及び油脂を含有することにより、魚卵粒がソース中に好適に分散され、かつ魚卵粒特有の風味や粒々感を有するソース類が得られることが開示されている。
特許文献4には、ゴマを含有する調味料が開示されている。該文献によると、ゴマとセルロース系安定剤及びキサンタンガムを配合することにより、ドレッシングは分離やゲル化がなく、保存安定性に優れるとされている。
特開2000−210047号公報 特開2009−60812号公報 特開2003−284535号公報 特開2004−159530号公報
水と油を含む調味液やソースやドレッシングであって、さらにゴマやたらこ等の水不溶性の固形物を含む場合においては、分離した該固形物が他の成分とまざるようによくふってから使用するかわりに、該固形物を安定に分散させたものが望まれている。特に魚卵のように比重が1g/cm以上の固形物は沈降しやすいために安定分散させることは容易ではない。
特許文献1には、乳化ドレッシング類において不溶性微結晶粉末セルロースを含有させると、加熱時でも粘度を維持することができることが記載されている。また、該乳化ドレッシング類は室温付近まで冷却されると不溶性微結晶粉末セルロースが部分的に沈降することによる粘度低下が発生するので、この粘度低下を防ぐためにゼラチンを添加してエマルションの保持と安定化効果を持たせる必要があると記載されている。しかしながら、この不溶性微結晶セルロースの沈降により、冷解凍後の食感はざらつきを感じ、さらにゼラチンがゲル化するため、食感や口当たりがいいとは言い難い。さらに、特許文献1には固形物を分散安定させることについての記載はないが、魚卵の風味や食感(粒感)を維持する効果は低いと考えられる。
特許文献2には、リゾリン脂質と微結晶セルロースを含むパスタソースがパスタへの吸水を抑制する効果を有することが記載されている。しかしながら、リゾリン脂質で乳化された油は、特有の臭みがあり、特に魚卵を含む場合、魚卵の風味を打ち消してしまう問題があった。また、リゾリン脂質で乳化された油により、魚卵本来の発色や食感(粒感)が損ねられてしまう問題があった。
特許文献3には、油脂と魚卵と魚卵ペーストとを含むソース類の記載があり、具体的な油脂としてはショートニングが使用されている。しかしながら、当該ソースは、油脂の融点以上で加熱した場合は流動性があるが、融点以下(常温)では流動性を失うため、魚卵粒を均一に分散させたり室温でソースを他の食品に和えたりするのが難しい問題があった。また、油脂(ショートニング)によって魚卵本来の色や風味がマスキングされてしまう問題があった。
特許文献4のように、ドレッシングのような水と油を含む系において、ゴマのような比重が水よりも軽い成分、つまり1g/cm未満を分散安定させることは開示されているが、特許文献4ではキサンタンガムが必須成分である。つまり、そのドレッシングがキサンタンガムを含まない場合、ゴマ成分の比重が軽い故、ゴマが浮上してしまったり、水と油が層分離してしまう問題があった。また、当該ドレッシングを加熱した場合、キサンタンガムの劣化により、粘度や応力が低下してしまい、ドレッシングはだれやすくなってしまう問題があった。
そこで、本発明の課題は、水と油とを含む液状組成物において、比重が1g/cm以上の水不溶性の固形物を安定分散させて、該固形物本来の色を発色させ、耐熱安定性及び乳化安定性を有する液状組成物を得ることである。
本発明者らは、上記課題に鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、セルロースと水不溶性成分及び油を含む液状組成物により上記の課題が解決され得ることを見出した。特に、本発明の好適な態様によると、水不溶性成分を均一に分散安定させ得、さらには水不溶性成分本来の色を発色させ、また粒感や風味をマスキングしないことを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)セルロース、及び比重が1g/cm以上の水不溶性成分及び25℃で流動性を持つ油を含む液状組成物。
(2)前記セルロースが結晶又は微細繊維状セルロース複合体である、(1)に記載の液状組成物。
(3)前記セルロースが結晶セルロースである、(1)に記載の液状組成物。
(4)前記液状組成物に含まれるセルロースが0.01〜10質量%である、(1)乃至(3)のいずれかに記載の液状組成物。
(5)25℃と60℃で測定されるシアレート5s−1の応力の比が0.1以上である、(1)乃至(4)のいずれかに記載の液状組成物。
(6)前記水不溶性成分が魚卵であることを特徴とする、(1)乃至(5)のいずれかに記載の液状組成物。
本発明の、セルロース、水不溶性成分、及び油を含む組成物は、比重が1g/cm以上の水不溶性成分を液状組成物に均一に分散させることができる。さらに、好適な態様において、水不溶性成分の発色や食感(粒感)、風味に優れるものである。特に好適な態様において、室温と加熱時の応力の値の差が小さく、室温でも高温でも流動性に優れるため他の食材に和えるのに好適であり、耐熱安定性に優れ、熱を与えてもだれ難い特性がある。また、油脂がなくてもこれらの機能を発揮できるため、油っこさを感じにくく、すっきりとした食感が付与できる。
本発明は、セルロース、比重が1g/cm以上の水不溶性成分及び25℃で液状の油を含む液状組成物に関するものである。本発明について、以下具体的に説明する。
<セルロース>
特に断りのない限り、本発明の「セルロース」との用語は、当業者に通常受け入れられている定義に基づくセルロース、つまりD−グルコピラノースがβ1→4結合で連なった構造を持つ多糖類の総称(以下、「通常のセルロース」ということもある。)としてだけでなく、後述する結晶及び微細繊維状セルロース複合体、並びにそれらの混合物を意味するものとして用いられる。それらのうちで、通常のセルロースの原料としては、木材、竹、麦藁、稲藁、コットン、ラミー、バガス、ケナフ、ビート、ホヤ、バクテリアセルロース等が挙げられる。これらのうち、1種を使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。一般に入手できる、通常のセルロースとしては、粉末形態である通常のセルロース(以下、「粉末セルロース」という。)、例えばセルロースフロックや、結晶形態である通常のセルロース(以下、「結晶セルロース」という。)が挙げられる。
<セルロースの水分散体中の粒子形状>
本発明におけるセルロースは、微細な粒子形状であってよい。セルロースの水分散体中の粒子形状は、セルロースを0.1質量%濃度の純水懸濁液とし、高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を、デジタルマイクロスコープ((株)ハイロックス、商品名「HIROX KH−1300」)で形状観察した際に得られる粒子像の長径(L)と短径(D)の比(L/D)で表され、100〜150個のセルロース粒子の平均値として算出される値を採用する。
本発明におけるセルロースのL/Dは、9以下であることが好ましい。より好ましくは、7以下であり、6以下が特に好ましく、5以下が格別に好ましい。L/Dの下限値は1より大きいことが好ましく、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは3以上である。L/Dの値が大きいほど、セルロースは細長い形状であることを意味する。この範囲内であれば、液状組成物に含まれる場合に、ざらつきを感じにくく、また水不溶性成分の発色がよい。
<セルロースの水分散体中の平均粒子径>
本発明におけるセルロースの水分散体中の平均粒子径(一次粒子)は、1μmを超えることが好ましい。ここで、平均粒子径とは、粒子全体の体積に対して、積算体積が50%になるときの粒子の球形換算直径のことで、メジアン径とも呼ばれる。測定は、セルロースを0.1質量%濃度の純水懸濁液とし、該懸濁液を高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」、処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させた水分散体を試料として、当該試料に対してレーザー回折法(堀場製作所(株)製、商品名「LA−910」、超音波処理1分、屈折率1.20)を実施することで行う。当該レーザー回折法により得られた体積頻度粒度分布における積算50%粒子径を、前記のとおり、本発明のセルロースの水分散体の平均粒子径という。より好ましい粒子径の値は3μm以上であり、さらに好ましくは5μm以上であり、特に好ましくは7μm以上である。上限としては、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、25μm以下がさらに好ましく、20μm以下が特に好ましい。前記の範囲内であれば水不溶性成分の食感(粒感)や風味をマスキングしないことが可能である。
<セルロース粉末のかさ密度>
本発明において、セルロースを粉末状で使用する際の、当該セルロースのかさ密度の値は、0.1〜0.6g/cmであることが好ましい。この値は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載のボリュームメーターにて測定される。より好ましくは、0.2g/cm以上であり、さらに好ましくは0.25g/cmであり、特に好ましくは0.3g/cm以上であり、格別に好ましくは0.35g/cm以上である。上限としては、0.55g/cm以下がより好ましく、0.5g/cm以下がさらに好ましい。この範囲の値であれば、液状組成物中に均一に分散することができるため好ましい。
<粉末セルロース(粉末形態である通常のセルロース)>
本発明で使用できる前記粉末セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを処理した後、精製し、機械的に粉砕したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、粉末セルロースに該当するものである。粉末セルロースの平均重合度は、440より大きいことが好ましい。この値は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従い、測定することができる。当該粉末セルロースとしては、例えば、日本製紙(株)製の、KCフロックシリーズなどが挙げられる。
<結晶セルロース(結晶形態である通常のセルロース)>
本発明で使用できる結晶セルロースとは、繊維性植物からパルプとして得たα−セルロースを酸で部分的に解重合し、精製したものである。例えば、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)に記載の、結晶セルロースに該当するものである。結晶セルロースの平均重合度は、350以下であることが好ましい。この値は、第十五改正日本薬局方解説書(廣川書店発行)の、結晶セルロースの確認試験(3)に記載の、銅エチレンジアミン溶液による還元比粘度法に従い、測定することができる。より好ましくは、平均重合度が300以下である。この範囲であれば、液状組成物において、耐熱安定性に優れるからである。
なお、前記のとおり、本発明において、結晶セルロースと粉末セルロースとでは、好ましい平均重合度が異なり得ることに留意が必要である。
平均重合度を制御する方法としては、加水分解処理等が挙げられる。加水分解処理によって、セルロース繊維質内部の非晶質セルロースの解重合が進み、平均重合度が小さくなる。加水分解の方法は、特に制限されないが、酸加水分解、熱水分解、スチームエクスプロージョン、マイクロ波分解等が挙げられる。これらの方法は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。酸加水分解の方法では、セルロース系物質を水系媒体に分散させた状態で、プロトン酸、カルボン酸、ルイス酸、ヘテロポリ酸等を適量加え、攪拌させながら、加温することにより、容易に平均重合度を制御できる。この際の温度、圧力、時間等の反応条件は、セルロース種、セルロース濃度、酸種、酸濃度により異なるが、目的とする平均重合度が達成されるよう適宜調製されるものである。例えば、2質量%以下の鉱酸水溶液を使用し、100℃以上、加圧下で、10分以上セルロースを処理するという条件が挙げられる。この条件のとき、酸等の触媒成分がセルロース繊維内部まで浸透し、加水分解が促進され、使用する触媒成分量が少なくなり、その後の精製も容易になる。
また、本発明の結晶セルロースと粉末セルロースとでは、水に分散させたときの状態が異なる。当該水分散液状態の比較としては、セルロースを水に分散させ、ホモジナイザーで磨砕して分散液を作製し、その状態を目視観察して比較すると、結晶セルロースは全体が白色不透明なクリーム状を呈し分離が生じないのに対し、粉末セルロースは分離が生じ上澄み液と沈殿とに分かれる。例えば、セルロース含有量が10質量%となるよう、水及びセルロースを量り取り、25℃雰囲気下にてTKホモミキサー(特殊機化工業(株)製、MARKII)で12,000rpmで10分間撹拌して分散液を作製し、この分散液を高圧ホモジナイザー(APV社製 マントンゴーリンホモジナイザー 圧力15MPa)処理した白色の懸濁液を、25℃で1時間静置後の懸濁安定状態で比較することができる。
<結晶セルロース粉末>
本発明で使用する結晶セルロースは、粉末として利用することができる。本発明では、結晶セルロースが粉末化されているものを「結晶セルロース粉末」といい、したがってこれは、前記の「粉末セルロース」とは区別される。結晶セルロース粉末は、加水分解処理された天然セルロース系物質を乾燥することにより得られる。この場合、加水分解処理により得られる反応溶液から、加水分解処理されたセルロース系物質を含む固形分を単離し、これを適当な媒体に分散させて調製した分散液を乾燥してもよいし、また、同加水分解溶液がそのままの状態でセルロース分散液を形成している場合は、この分散液を直接乾燥してもよい。天然セルロース系物質は植物性でも、動物性でも、或いは微生物由来でもよく、例えば、木材、竹、コットン、ラミー、ホヤ、バガス、ケナフ、バクテリアセルロース等のセルロースを含有する天然物由来の繊維質物質であることが好ましい。原料として、上記物質のうち一種の天然セルロース系物質を使用してもよいし、二種以上を混合したものを使用してもよい。また、精製パルプの形態で使用することが好ましいが、パルプの精製方法には特に制限はなく、溶解パルプ、クラフトパルプ、NBKPパルプ等いずれのパルプを使用してもよい。
上記製法において、加水分解処理されたセルロース系物質を含む固形分を、その後適当な媒体に分散させる場合に用いられる媒体としては、工業的に使用されるものであれば特に制限はないが、例えば、水及び/又は有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2−メチルブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類等が挙げられる。特に、有機溶剤は医薬品に使用されるものが好ましく「医薬品添加剤事典2000」(薬事日報社(株)発行)に溶剤として分類されるものが挙げられる。水、有機溶媒は、それを単独で使用しても、二種以上を併用することも自由であり、一種の媒体で一旦分散させた後、その媒体を除去し、異なる媒体に分散させてもよい。
乾燥方法も特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び有機溶剤と共に乾燥する乾燥方法でもよい。
<結晶セルロース粉末の平均粒子径(乾燥粉体)>
結晶セルロース粉末の平均粒子径(乾燥粉体、二次凝集体)は、20〜100μmであることが好ましい。当該結晶セルロースの平均粒子径の測定は、乾燥粉体で二次凝集体の状態で結晶セルロース粉末を篩上で振とうさせ、分画し、粒径に対する重量頻度を測定するような、公知の篩分けによる方法により行うことができる。典型的には、ロータップ式篩振盪機(平工作所製、シーブシェーカーA型)により、JIS標準篩(Z8801−1987)を用いて、試料10gを10分間篩分することにより分画し、得られた粒度分布における累積重量50%粒径を、結晶セルロースの乾燥粉体の平均粒子径とすることができる。当該平均粒子径は、より好ましくは40μm以上であり、さらに好ましくは45μm以上であり、特に好ましくは50μm以上である。この範囲の値であれば、液状組成物に配合した場合、油っこさの抑制に効果があるからである。
<結晶セルロース複合体>
結晶セルロース複合体とは、主成分である結晶セルロースに水溶性高分子が複合化されたものである。複合化とは、結晶セルロースの表面が、水素結合等の化学結合により、水溶性高分子で被覆された形態を意味する。したがって、結晶セルロース複合体は、結晶セルロース粉末と水溶性高分子とを単に混合した状態ではなく、水溶性高分子が結晶セルロース表面を被覆した状態である。そのため、結晶セルロース複合体を水系媒体中に分散させると、該水溶性高分子が結晶セルロース表面から剥離することなく、表面から放射状に広がった構造を形成し、水中でコロイド状となる。このコロイド状で存在する結晶セルロース複合体は、それぞれの静電反発や立体反発、ファンデルワールス力等の相互作用によって、高次のネットワーク構造を形成することができる。
本発明における水溶性高分子とは、親水性高分子物質のことであり、ここで親水性とは、常温のイオン交換水に、一部が溶解する特性を有することである。定量的に親水性を定義すると、この水溶性高分子0.05gを、50mLのイオン交換水に、攪拌下(スターラーチップ等による)で平衡まで溶解させ、目開き1μmのメンブレンフィルターで処理した際に、通過する成分が、水溶性高分子中に1質量%以上含まれることである。
本発明に使用できる水溶性高分子は、化学構造の一部に糖又は多糖を含むもので、そのようなものとして多糖類を用いる場合には、ジェランガム、サイリウムシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアガム、タラガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、キトサン、アラビアガム、ガッティガム、グルコマンナン、トラガントガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、HMペクチン、LMペクチン、アゾトバクター・ビネランジーガム、カードラン、プルラン、デキストラン、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体が好適な例として挙げられる。
また、結晶セルロース複合体は、水系媒体への分散性を高める目的で、上記の水溶性高分子に加えて、又はそれに替えて、高分子物質ではない親水性物質を含んでもよい。親水性物質は、ゲル化剤として水系媒体中に分散させた際の、崩壊剤、または導水剤として機能する。したがって、結晶セルロース表面に親水性物質を被覆することで、さらに分散しやすくなる。
要するに、高分子物質ではない親水性物質とは、冷水への溶解性が高く粘性を殆どもたらさない有機物質であり、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、乳糖、マルトース、ショ糖、α−、β−、γ−シクロデキストリン等のオリゴ糖類、ブドウ糖、果糖、ソルボース等の単糖類、マルチトール、ソルビット、エリスリトール等の糖アルコール類等が適している。これらの親水性物質は、2種類以上組み合わせてもよい。上述の中でも、澱粉加水分解物、デキストリン類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の親水性多糖類が分散性の点で好ましい。親水性物質の中には、デキストリン類のように、水溶性高分子としての機能も、僅かではあるがあわせ持つものもある。そのような親水性物質を用いる場合でも水溶性高分子をあわせて用いることが望ましいが、そのような場合には水溶性高分子を用いなくてもよい別の態様もある。その他の成分の配合については、組成物の水中での分散及び安定性を阻害しない程度に配合することは自由である。
結晶セルロース複合体の製造方法としては、混練工程において結晶セルロースと水溶性高分子に機械的せん断力をあたえ、結晶セルロースを微細化させるとともに、結晶セルロース表面に水溶性高分子を複合化させることによって得られる。また、その他の添加剤などを添加しても良い。上述の処理を経たものは、必要に応じ、乾燥される。本発明の結晶セルロース複合体は上述の機械的せん断を経ていればよく、未乾燥のもの又はその後乾燥されたもの等、いずれの形態でもよい。
機械的せん断力を与えるには、混練機等を用いて混練する方法を適用することができる。混練機は、ニーダー、エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ライカイ機等を用いることができ、連続式でもバッチ式でもよい。これらの機種を単独で使用することも可能であるが、二種以上の機種を組み合わせて用いることも可能である。これらの機種は、種々の用途における粘性要求等により適宜選択すればよい。
混練時の温度は成り行きでもよいが、20〜100℃に制御することが好ましい。この温度範囲であれば、結晶セルロースの磨砕や、水溶性高分子との複合化が容易に進み、また熱による水溶性高分子の劣化が抑制され、結果として結晶セルロース複合体が形成するネットワーク構造が密になるからである。好ましくは、30〜95℃、より好ましくは40〜95℃である。混練の際の複合化反応や、摩擦等により発熱する場合にはこれを除熱しながら混練してもよい。温度を制御するためには、ジャケット冷却、放熱等の除熱を工夫することも自由である。
混練時の固形分は、20質量%以上とすることが好ましい。20質量%以上で混練することで、混練エネルギーが混練物に伝わりやすくなり、複合化が促進されるため好ましい。混練時の固形分は、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは35質量%以上であり、特に好ましくは40質量%以上である。上限は特に限定されないが、充分な混練効果と、均一な混練状態が得られることを考慮すると、現実的範囲は90質量%以下が好ましい。より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは60質量%以下である。また、固形分を上記範囲とするために、水を添加するタイミングとしては、混練工程の前に必要量を加水してもよいし、混練工程の途中で加水してもよいし、全加水量の一部毎につき両方実施しても良い。
ここで、混練エネルギーについて説明する。混練エネルギーとは混練物の単位質量当たりの電力量(Wh/kg)で定義するものである。混練エネルギーは、40Wh/kg以上とすることが好ましい。より好ましくは50Wh/kg以上であり、さらに好ましくは60Wh/kgである。混練エネルギーは、高い方が、複合化が促進されると考えられるが、混練エネルギーをあまり高くすると、工業的に過大な設備となること、設備に過大な負荷がかかることから、混練エネルギーの上限は1000Wh/kgとするのが好ましい。
結晶セルロース複合体を得るにあたって、前述の混練工程より得られた混練物を乾燥する場合は、棚段式乾燥、噴霧乾燥、ベルト乾燥、流動床乾燥、凍結乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の公知の乾燥方法を用いることができる。混練物を乾燥工程に供する場合には、混練物に水を添加せず、混練工程の固形分濃度を維持して、乾燥工程に供することが好ましい。乾燥後のセルロース複合体の含水率は1〜20質量%が好ましい。含水率を20%以下とすることで、べたつき、腐敗等の問題や運搬・輸送におけるコストの問題が生じにくくなる。より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。また、1%以上とすることで、過剰乾燥のため分散性が悪化することもない。より好ましくは1.5%以上である。
結晶セルロース複合体を市場に流通させる場合、その形状は、粉体の方が取り扱い易いので、乾燥により得られたセルロース複合体を粉砕処理して粉体状にすることが好ましい。但し、乾燥方法として噴霧乾燥を用いた場合は、乾燥と粉末化が同時にできるため、粉砕は必要ない。乾燥した結晶セルロース複合体を粉砕する場合、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の方法を用いることができる。粉砕する程度は、粉砕処理したものが目開き1mmの篩いを全通する程度に粉砕する。より好ましくは、目開き425μmの篩いを全通し、かつ、平均粒度(重量平均粒子径)としては10〜250μmとなるように粉砕することが好ましい。
<結晶セルロース複合体のコロイドセルロース成分量>
本発明における結晶セルロース複合体は、コロイド状セルロース成分を20質量%以上含有することが好ましい。ここでいうコロイド状セルロース成分の含有量とは、結晶セルロース複合体を、1質量%濃度で純水懸濁液とし、高剪断ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名「エクセルオートホモジナイザーED−7」処理条件:回転数15,000rpm×5分間)で分散させ、遠心分離(久保田商事(株)製、商品名「6800型遠心分離器」ロータータイプRA−400型、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G:Gは重力加速度)×15分間)し、遠心後の上澄みに残存する固形分(結晶セルロース複合体)の質量百分率のことである。より好ましくは40質量%以上であり、特に好ましくは、50質量%以上である。コロイド状のセルロース成分を多く含有することで、液状組成物に、滑らかな食感と、水不溶性成分の分散安定性を付与することが可能である。
<結晶セルロース複合体の特徴>
上述のセルロース中でも、液状組成物に配合した場合、食感(ざらつき)と耐熱安定性の点において、セルロースが結晶セルロースであることが好ましい。特に、液状組成物において、油の乳化安定や、水不溶性成分の分散安定、食感や風味の維持に優れる点においては、結晶セルロース複合体が好ましい。中でも、結晶セルロースと複合化する水溶性高分子として、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、サイリウムシードガムから選ばれたものを1つ以上複合化したものであれば、セルロースとの複合化が促進されやすいため、特に好ましい。より好ましくは、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラヤガム、サイリウムシードガムから選ばれるものを1つ以上複合化したものである。
<結晶セルロースと水溶性高分子の配合比>
結晶セルロース複合体は、結晶セルロースが50質量%〜99質量%に対し、水溶性高分子を1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは結晶セルロースが55質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは65質量%以上である。上限としては97質量%以下がより好ましく、95質量%以下であることがさらに好ましく、90質量%以下であることが特に好ましい。水溶性高分子のより好ましい配合比は、3質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上であり、10質量%以上であることが特に好ましい。この範囲内であれば、結晶セルロースと水溶性高分子の複合化が、促進されやすく、水不溶性成分の分散安定性や油の乳化安定性に効果を奏しやすいからである。
<微細繊維状セルロース複合体>
微細繊維状セルロース複合体とは、前記結晶セルロース複合体とはセルロースの形状(L/Dが大きく、細長い形状)の点で相違するものであるが、本発明においては結晶セルロース複合体と類似の機能を有しており、結晶セルロース複合体と同様に用いることができる。したがって、コロイドセルロース成分量や水溶性高分子との配合比に関する結晶セルロース複合体の説明は、微細繊維状セルロース複合体についてもそのまま当て嵌まる。
<水不溶性成分>
水不溶性成分は、水溶媒中に添加して攪拌した際、溶解せずに分散、或いは浮遊、沈降するものであり、典型的には、その比重が1g/cm以上であると本発明により液状組成物中に分散安定化され易い。好ましくは、比重が1.05g/cm以上であり、さらに好ましくは1.1g/cm以上である。上限としては、5g/cm以下であることが好ましく、4g/cm以下であることがより好ましい。
例えば、大根をはじめ、ニンジン、ニンニク、生姜、タマネギ、ナガイモ、ホウレンソウ、トマト、ネギ、シイタケ、リンゴ、ナシ、オレンジ、レモンなどの野菜や果物をすりおろしたものや、細かく刻んだもの、繊維質、乾燥粉砕したものなどを挙げることができる。そのほかにも、小豆粒やナッツ類、インゲン豆やそら豆、枝豆などの豆類、或いは、ゆず、れもん、すだち、かぼす、だいだい、ライム、みかん、オレンジなどの柑橘系の果物や、その他の果物などの果汁に含まれる水不溶性成分、コショウなどをはじめとするスパイスやハーブ、ココアが挙げられる。
また、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類や、ウコン、タンパク質(ミルクプロテイン、大豆タンパク、ホエイ、カゼインなど)、コラーゲン、コエンザイムQ10などの機能性食材が挙げられる。
さらに、肉や魚などの食肉や、魚卵も含む。食肉とは、動物性で、食することのできるものであれば、特に限定はない。食肉の一例としては、豚、牛、馬、山羊、羊、鶏、アヒル、七面鳥、鶉、ダチョウ、猪、鹿、熊、兎、マグロ、タイ、サケ、タラ、スケソウダラ、カツオ、カレイ、ヒラメ、ブリ、ハマチ、サメ、サンマ、サバ、アジ、イワシ、カンパチ、エビ、タコ、イカ、エイ、エソ、タチウオ、ホッケ、ニシン、ハモ、サワラ、ホタテ、などが挙げられる。魚卵とは、魚の卵のうち、食することができるものを意味する。たとえば、アンコウ、アユ、サケ、ベニザケ、マス、スケトウダラ、チョウザメ、トビウオ、ニシン、ハタハタ、ボラ、マダラ、マグロ、マダイ、フグ、ハモの卵などが例として挙げられるが、これに限られるものではなく、卵そのものでもよいし、塩や醤油等で味付けしたものでも構わない。形状は、卵の塊でもよいし、バラバラにばらしたものでもよく、その形態は問わない。
好ましくは、分散安定のしやすさや味の観点から、野菜や果物類、豆類、食肉、魚卵が好ましい。特に好ましくは、魚卵であり、サケ、マス、スケトウダラ、チョウザメ、トビウオ、ニシン、ボラ、マダラの卵が好ましい。極めて好ましくは、スケトウダラ、チョウザメ、トビウオ、ニシン、ボラ、マダラの卵である。水不溶性成分であれば、食材の種類や成分としては特に限定はない。これら水不溶性成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。
<水不溶性成分の形状>
水不溶性成分の大きさとしては、体積平均粒子径が0.1μm以上10mm以下が好ましい。体積平均粒子径が10mm以下であれば、本発明のセルロースが形成するネットワークに対して水不溶性成分が大きすぎることもないのでバランスが崩れず、懸濁安定化するので水不溶性成分が沈降しない。また、体積平均粒子径が0.1μm以上であれば、本発明のセルロースが形成するネットワークに対して水不溶性成分が小さすぎることもなく、ネットワークに水不溶性成分が引っかかるのですり抜けて沈降、或いは浮上してしまうこともないため、好ましい。より好ましい水不溶性成分の体積平均粒子径は、下限は1μm以上であり、5μm以上であることがさらに好ましい。上限としては、1mm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。
<油>
本発明において油とは、動物や植物から得られる疎水性の物質であり、食することができる成分を意味する。本発明においては、単独ないし2種以上を組み合わせた際に25℃で流動性を示す油の使用が意図される。
本発明の油の例示としては、ひまし油、桐油、サラダ油、ショートニング、白絞油、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、ベニバナ油、ひまわり油、米油、パーム油、ヤシ油、綿実油、麻実油、ブドウ油、けし油、からし油、小麦胚芽油、月見草油、杏仁油、アケビ油、山茶花油、胡桃油、茶油、白樺油、オリーブ油、エゴマ油、ピーナッツ油、アーモンド油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、ローレル油、マカダミアナッツ油、アルガン油、パンプキンシード油、ペカンナッツ油、ピスタチオ油、ホホバ油、カカオバター、ボリジ油、シアバター、マンゴーバター、サルバター、コーヒー豆油、モモ核油、チェリー核油、クランベリーシード油、ニーム油、キウイフルーツシード油、豚油、牛油、骨油、魚油、鶏油、鴨油、馬油、蟹油、バター、エミュー油、蘇油、ガマ油、卵黄油、肝油、鮫油などが挙げられる。これらのうちで、25℃で本来から流動性を示すものは、それを単独で用いてもよい。また、25℃で流動性を示さない油であっても、それを他の油と組み合わせることで25℃において流動化することができれば、25℃で流動性を示さない油を他の油と混合して用いてもよい。好ましくは、1種で25℃で流動性を持つ油である。たとえば、サラダ油、コーン油、大豆油、ごま油、菜種油、米油、ベニバナ油、ヤシ油、エゴマ油、ひまわり油、オリーブ油、ピーナッツ油、アーモンド油、魚油である。25℃で流動性を持つ油とは、25℃における油の粘度(B形粘度計、東機産業製TV−10、60rpmで30秒間回転後の測定値)が1〜1000mPa・sの範囲内のものである。流動性を持つ油は、流動性に優れるため液状組成物を作製する場合の作業性に優れ、また常温で固体の油と比べて魚卵等の不溶性成分の風味をマスキングしにくいからである。
<液状組成物>
本発明の液状組成物とは、水と油が乳化したものを意味する。液状とは、組成物が固化しておらず、流動性のある状態を意味し、本発明で意味する液状とは、25℃で液状となるものを意味する。
<セルロースの配合量>
本発明におけるセルロースは、液状組成物に対し、0.01質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.3質量%以上である。上限としては、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。この範囲内の添加量であれば、油と水を乳化させることができ、さらに水不溶性成分の発色や粒感をより感じやすくすることができるからである。
<油の配合量>
本発明における油は、液状組成物に対し、0.1質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは1質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、特に好ましくは20質量%以上である。上限としては、99質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以下であり、特に好ましくは50質量%以下である。この範囲内であれば、水と油を分離することなく乳化させることが可能であり、液状組成物はなめらかな食感となる。
また、本発明における油の配合量のうち、50%以上は25℃で流動性を持つ油を使用することが好ましい。より好ましい流動性を持つ油の配合量は60%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは100%である。液状油を多く含むことにより、固体油独特の臭みやえぐみを感じにくく、なめらかな食感となりやすく、また作製した液状組成物を他の食材と和える際の作業性に好適である。
<水不溶性成分の配合量>
本発明における水不溶性成分は、液状組成物に対し、1質量%以上含まれることが好ましい。より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。上限としては、80質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。この範囲内であれば、液状組成物に好適な水不溶性成分の風味や味を付与することができるからである。
<応力>
本発明の液状組成物の応力の値は、動的粘弾性測定装置(ARES、TAインスツルメント製)を用いて測定することができる。測定方法としては、液状組成物のチキソトロピー性を、セルは二重円筒型を用い、サンプルをセルに投入し、温度25℃と60℃において、Geometry TypeをW couette、測定モードをThixotropic Loop、Initial Shear Rateを1s−1、Final Shear Rateを200s−1、Zone timeを60s、Delay Before Testを600s−1として測定する。25℃と60℃で測定した5s−1のときの応力値の比を、以下の式より求める。
応力の比=(60℃の値)/(25℃の値)
<応力の比>
上記の応力の比は、0.1以上10以下であることが好ましい。10以下以上であれば、液状組成物を他の食材にかけたり和えたりする際、常温でも喫食時を想定して加温する場合でも、変わらない食感を維持でき、さらに液状組成物を和えたのちに加温しても、液状組成物の粘度が下がってダレたりにくく、さらに水不溶性成分の分散安定性や発色、風味や粒感を維持しやすいため、好ましい。より好ましくは、5以下である。さらに好ましくは3以下であり、特に好ましくは1.5以下である。下限としては、0.01以上以下が好ましく、0.1以上以下がより好ましく、0.3以上以下がさらに好ましい。
<その他の加工食品>
本発明の液状組成物は、さまざまな食品と併せることができる。応用できる食品の例としては、穀物や小麦粉製品、野菜、果物、肉類、水産物、豆類がある。これら以外にも、プリン、ゼリー、ヨーグルトなどのデザート類、わらびもちや大福、おはぎ等の和菓子、アイスクリーム、ソフトクリーム、シャーベットなどの冷菓、飲料、みつまめ、ヨーグルトなどにアクセント付けとして添加される具材、嚥下障害者用食品、介護食、きざみ食、とろみ食などのユニバーサルデザインフード、チュアパックゼリー等のゼリー状飲料、ソース、タレ、ドレッシング、マヨネーズなどの調味料、各種練り調味料、米飯類、麺類、パンやスポンジケーキ等の小麦粉食品、フルーツソース、フルーツプレパレーション、ジャムなどの果実加工品、食品に区分される流動食類、健康食品や栄養強化食品、茶碗蒸しや煮こごりなどのゲル状食品、豆腐や厚揚げ、煮豆、味噌、豆乳を用いた大豆食品、ホイップクリームやチーズなどの乳製品、惣菜・弁当類、コーヒー、茶類、アイソトニック飲料、牛乳、乳飲料、豆乳類、抹茶、ココア、しるこ、ジュースなどの通常飲料として摂取されるもののゲル化物、ペットフード類などがあげられる。なお、レトルト食品、冷凍食品、電子レンジ用食品等のように、形態または使用時の調製の加工手法が異なっていてもよい。
本発明の液状組成物には、油及び水不溶性成分に加えてその他の成分が配合されていても良い。例えば、食品素材(畜肉、魚肉、豆・穀類及びその粉砕物、牛乳・乳製品、はっ酵乳、野菜、果物、果汁、食用油脂等)、嗜好飲料(コーヒー、茶類、ジュース、乳飲料、豆乳等)、調味料(みそ、しょうゆ、砂糖、塩、グルタミン酸ナトリウム等)、甘味料、糖類、糖アルコール類、香料、色素、香辛料、酸味料、乳化剤、界面活性剤、保存料、日持向上剤、抗菌剤、崩壊剤、消泡剤、発泡剤、pH調整剤、増粘安定剤、食物繊維、栄養強化剤(ビタミン、ミネラル、アミノ酸類等)、エキス類、タンパク質、でんぷん類、ペプチド、などが配合されていても良い。
<食品以外の用途>
本発明の液状組成物は、耐熱安定性や分散安定性、水不溶性成分本来の色を発色させ、また粒感や風味をマスキングしない効果に優れるため、食品用途だけではなく、医薬医療品、化粧品、工業製品用途にも応用できる。応用できる医薬医療品の例としては、経口医薬品、ホルモン剤などの経鼻医薬品、経腸医薬品、外皮用薬、経皮医薬品などの医薬品類、造影剤、医薬品に区分される流動食類、薬用化粧品、ビタミン含有保健剤、毛髪用剤、薬用歯磨き剤、浴用剤、殺虫剤・防虫剤、腋臭防止剤、口内清涼剤などの医薬部外品、人工軟骨、薬物担体、DNA担体、生体用接着剤、創傷被覆材、人工臓器などの生体材料、貼布剤、コーティング剤などがあげられる。
また、応用できる化粧品の例としては、美容成分含有ゲル状化粧料、パック、モイスチャークリーム、マッサージクリーム、コールドクリーム、クレンジングクリーム、洗顔料、バニシングクリーム、エモリエントクリーム、ハンドクリーム、日焼け止め用化粧料などの皮膚用化粧品、ファンデーション、口紅、リップクリーム、ほほ紅、サンスクリーン化粧料、まゆ墨、マスカラ等まつげ用化粧料、マニキュアや除光液等のつめ化粧料などの仕上げ用化粧品、シャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ポマード、チック、ヘアクリーム、香油、整髪料、ヘアスタイリング剤、ヘアスプレー、染毛料、育毛剤や養毛剤などの頭髪用化粧品、さらにはハンドクリーナーのような洗浄剤、浴用化粧品、ひげそり用化粧品、芳香剤、歯磨き剤、軟膏、貼布剤などがあげられる。
油及び水不溶性成分に加えてよいその他の成分としては、有機溶剤、可塑剤、油脂、緩衝液、燃料、火薬・爆薬類、酸、アルカリ、イオン性物質、マイクロカプセル、美容成分(美白成分、保湿成分等)、生理活性物質、薬効成分、医薬品添加物、農薬、肥料、消臭剤、殺虫剤、金属類、触媒、セラミック、塗料、インク、顔料、研磨剤、合成高分子(プラスチック、ゴム、合成繊維等)、天然由来高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、天然繊維等)、紙などが配合されていても良い。
本発明を、下記の実施例により説明する。ただし、これらは、本発明の範囲を制限するものではない。
まず、本発明の液状組成物の物性評価について説明する。
<応力の比>
液状組成物の応力の比は、動的粘弾性測定装置(ARES、TAインスツルメント製)を用いて測定することができる。測定方法としては、液状組成物のチキソトロピー性を、セルは二重円筒型を用い、サンプルをセルに投入し、温度25℃と60℃において、Geometry TypeをW couette、測定モードをThixotropic Loop、Initial Shear Rateを1s−1、Final Shear Rateを200s−1、Zone timeを60s、Delay Before Testを600s−1とし、25℃及び60℃で測定した。シアレートが5s−1のときの応力値の比を、以下の式より求めた。
応力の比=(60℃の値)/(25℃の値)
<水不溶性成分の分散安定>
液状組成物をビーカー等の容器に充填して1日間静置し、該液状組成物中に含まれる水不溶性成分の分散安定性を、目視により以下の4段階で評価した。◎:分散安定している水不溶性成分が、90%以上、○:分散安定している水不溶性成分が、70〜90%、△:分散安定している水不溶性成分が、20〜70%、×:分散安定している水不溶性成分が、20%未満
<水不溶性成分の発色>
液状組成物中に含まれる水不溶性成分の発色を、水不溶性成分そのもの(加熱調理前)の色を基準とし、パネル5名で、以下の4段階で評価した。なお、評価結果は、5名のうちで最も多かった評価を採用した。◎:加熱前の水不溶性成分の色と同等、○:加熱前の水不溶性成分の色にやや近い、△:加熱前の水不溶性成分の色とはやや異なる、×:加熱前の水不溶性成分の色ではない
<水不溶性成分の食感(粒感)>
液状組成物中に含まれる水不溶性成分の食感(粒感)を、水不溶性成分そのもの(加熱調理前)の食感(粒感)を基準とし、パネル5名で、以下の4段階で評価した。なお、評価結果は、5名のうちで最も多かった評価を採用した。◎:加熱前の水不溶性成分の粒感と同等、○:加熱前の水不溶性成分の粒感にやや近い、△:加熱前の水不溶性成分の粒感をあまり感じない、×:加熱前の水不溶性成分の粒感を全く感じない
<耐熱安定性>
液状組成物中の耐熱安定性を、以下の4段階で評価した。評価は、以下のようにして行った。まず、パスタ麺を100g茹で、液状組成物は70gを、品温が60℃となるよう加温した。これらを、よく合わさるように30秒間混ぜ合わせ、目開き5mmのざるにのせ、60℃雰囲気下に20分間放置した。20分後の液状組成物の状態を、パネル5名で、以下の4段階で評価した。なお、評価結果は、5名のうちで最も多かった評価を採用した。◎:ダレていない、○:一部でわずかにダレが発生、△:全体でダレがわずかに発生、×:全体でダレが激しく発生
<乳化安定>
液状組成物をビーカー等の容器に充填して1日間静置し、該液状組成物の乳化状態を、目視により以下の4段階で評価した。◎:分離・凝集がない(1%未満)、○:分離・凝集の発生が1%以上10%未満、△:分離・凝集の発生が10%以上30%未満、×:分離・凝集の発生が30%以上
<風味>
液状組成物中の風味を、パネル5名で、以下の4段階で評価した。なお、評価結果は、5名のうちで最も多かった評価を採用した。◎:かなり風味を感じる、○:やや風味を感じる、△:あまり風味を感じない、×:全く風味を感じない
<油っこさ>
液状組成物中の油っこさを、パネル5名で、以下の4段階で評価した。なお、評価結果は、5名のうちで最も多かった評価を採用した。◎:すっきりしている(油こっくない)、○:ややすっきりしている、△:やや油っこい、×:かなり油っこい
実施例1
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。次に、ウェットケーキ状の結晶セルロースと、キサンタンガム(丸善製薬(株)製、FJ)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)に結晶セルロース/キサンタンガムの質量比が90/10となるように投入し、固形分が44質量%となるよう、イオン交換水を添加した。126rpmで混練し、結晶セルロース複合体を得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は、60Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。得られた結晶セルロース複合体(以下、「結晶セルロース複合体A」という。)の平均重合度は220、粒子L/Dは3.6で、体積平均粒子径(水分散体)は8.2μm、かさ密度は0.51g/cm、コロイド状セルロース成分量は65質量%であった。
この結晶セルロース複合体Aを用いて、水不溶性成分としてたらこを用いて、たらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例2
実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を16質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を8質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を6質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を14.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例3
実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を51質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.5質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を2.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を22質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例4
実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.2質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を4.8質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例5
実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを4質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を46質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例6
実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を20質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を51質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例7
実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を40質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を32.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を5質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例8
セルロースとして、結晶セルロース複合体Aにかえて結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株)製、セオラスFD−101、平均重合度240、L/Dは3.5、平均粒子径(水分散体)は21.0μm、細孔容積は0.27cm/g、かさ密度0.29g/cm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてたらこパスタソースを試作した。結晶セルロースFD−101を0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例9
セルロースとして、粉末セルロース(日本製紙(株)製、W−400G、平均重合度450、L/Dは3.7、平均粒子径(水分散体)は27.7μm、細孔容積は0.23cm/g、かさ密度0.22g/cm)を用いて、実施例1と同様にしてたらこパスタソースを試作した。粉末セルロースW−400Gを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例10
セルロースとして、微細繊維状セルロース複合体(以下、「微細繊維状セルロース複合体B」という。)を用いた。当該微細繊維状セルロース複合体Bの調製において、まず市販の麦藁パルプ(平均重合度930、α−セルロース含有量68%)を、6×16mm角の短形に裁断し、固形分濃度が77質量%となるように水を添加した。これを、水とパルプチップができるだけ分離しないよう注意してカッターミル(カッティングヘッド/水平刃間隙:2.03mm、インペラー回転数3,600rpm)に1回通した。セルロース濃度が2質量%になるようにカッターミル処理品と水を量りとり、これらを混合して繊維の絡みがなくなるまで攪拌した。得られた水分散液を、高圧ホモジナイザー(処理圧力90MPa)で9パス処理し、微細繊維状セルロースのスラリーを得た。高分解能走査型顕微鏡(SEM)で観察したところ、L/Dが20〜250の極めて微細な繊維状のセルロースが観察された。この微細繊維状セルロースのスラリーに、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、デキストリン(Dex)を、微細繊維状セルロース/CMC/Dex=68/12/20となるようそれぞれ秤量して添加した。これを、攪拌型ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製、T.K.AUTO HOMO MIXER)を用いて、8,000rpmで30分間攪拌混合した後、前記の高圧ホモジナイザーを用いて20MPaで1パス処理し、微細繊維状セルロース混合液を得た。次いで、この混合液を、アプリケーターを用いて厚さ2mmでアルミニウム板状にキャストし、熱風乾燥機を使用して、120℃で45分間乾燥して、フィルム状とした。これを、カッターミル(不二パウダル(株)製)で、目開き1mmの篩を全通する程度まで粉砕し、微細繊維状セルロース複合体Bを得た。平均重合度は1320、L/Dは29、平均粒子径(水分散体)は35.8μmであった。
微細繊維状セルロース複合体Bを用いて、実施例1と同様にしてたらこパスタソースを試作した。微細繊維状セルロース複合体Bを0.5質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例11
セルロースの配合量を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、たらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを11質量%に対し、食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を40質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
実施例12
結晶セルロース複合体Aを用いて、からすみパスタソースを作製した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、食用オリーブ油(オリーブオイルエクストラバージン、(株)J−オイルミルズ)を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、からすみ(高野屋)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表1に示した。
Figure 2015208315
比較例1
セルロースを含まないこと以外は、実施例1と同様にして、たらこパスタソースを試作した。食用なたね油(日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株))を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表2に示した。
セルロースを配合しなかった場合、魚卵は分散安定できずに沈降してしまい、また魚卵の発色や粒感は感じにくかった。また、パスタ麺と和えた際に、ダレが発生し、また乳化安定できずに水層と油層に分離した。そのため、油層部分を試食すると、油っこく、滑らかな食感とは程遠かった。
比較例2
油をショートニングを使用すること以外は、実施例1と同様にして、結晶セルロース複合体Aを含むたらこパスタソースを試作した。結晶セルロース複合体Aを0.5質量%に対し、ショートニング(とっても便利なショートニング、(株)日清製粉グループ)を26質量%、食塩(伯方の塩、伯方塩業(株))を8質量%、チキンスープ(味の素KKコンソメチキン、味の素(株)、300mlの沸騰したお湯につきチキンスープの素(固形)を1個溶かしたもの)を6質量%、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)を3質量%、みりん(タカラ本みりん、宝酒造(株))を3質量%、食酢(穀物酢、ミツカン(株))を2質量%、さとう(ばら印の白砂糖、大日本明治製糖(株))を1.7質量%、タマリンドガム(グリロイド3S、大日本住友製薬(株))を0.3質量%、水を4.5質量%を容器に添加し、TKホモミキサー(MARKII、東機産業(株))を用いて、10,000rpmで10分間撹拌混合した。これに、たらこ(辛子めんたい、福さ屋(株)、あらかじめほぐしたもの)を45質量%添加し、へらで均一に混ざるよう撹拌した。撹拌後、耐熱袋に100g充填し、90℃で30分間加熱殺菌した。作製したたらこパスタソースの応力の比、水不溶性成分の分散安定性、水不溶性成分の発色、水不溶性成分の食感(粒感)、耐熱安定性、乳化安定性、風味、油っこさについて評価した結果を、表2に示した。
油としてショートニングを使用すると、魚卵の分散安定が悪く、塊状となっていた。また、発色や粒感、滑らか感が損なわれ、油っこい食感であった。また、耐熱安定性が悪く、パスタ麺と和えると、ダレが生じてしまった。
Figure 2015208315
本発明の液状組成物は、水に油が分散した組成物からなる食品、例えばソース・ドレッシングの分野で使用できる。

Claims (6)

  1. セルロース、及び比重が1g/cm以上の水不溶性成分及び25℃で流動性を持つ油を含む液状組成物。
  2. 前記セルロースが結晶又は微細繊維状セルロース複合体である、請求項1に記載の液状組成物。
  3. 前記セルロースが結晶セルロースである、請求項1に記載の液状組成物。
  4. 前記液状組成物に含まれるセルロースが0.01〜10質量%である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液状組成物。
  5. 25℃と60℃で測定されるシアレート5s−1の応力の比が0.1以上である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液状組成物。
  6. 前記水不溶性成分が魚卵であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液状組成物。
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