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JP2015130433A - 光電変換素子 - Google Patents

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JP2015130433A
JP2015130433A JP2014001750A JP2014001750A JP2015130433A JP 2015130433 A JP2015130433 A JP 2015130433A JP 2014001750 A JP2014001750 A JP 2014001750A JP 2014001750 A JP2014001750 A JP 2014001750A JP 2015130433 A JP2015130433 A JP 2015130433A
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純一郎 安西
Junichiro Anzai
純一郎 安西
尚洋 藤沼
Naohiro Fujinuma
尚洋 藤沼
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Abstract

【課題】従来のヨウ素レドックス系電解質から構成される色素増感太陽電池よりも高い光電変換効率が得られる光電変換素子を提供する。
【解決手段】(1)増感色素が担持された半導体層15を備えた光電極と、半導体層15と対向するよう配置された対向電極17と、光電極と対向電極との間に配置された電荷輸送層20とを備えた光電変換素子10であって、電荷輸送層20には、互いに異なる酸化還元電位を持つ2種以上の酸化還元種が含まれていることを特徴とする光電変換素子10。(2)前記電荷輸送層に、前記酸化還元種を含有する2種以上の電解質が含まれている前記光電変換素子。(3)前記2種以上の酸化還元種として、2種以上のハロゲンを含む前記光電変換素子。(4)前記電解質が、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、臭素および臭素化合物からなる酸化還元対と、を含む前記光電変換素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
色素増感太陽電池は、透明基材と、透明基材の電解質側の板面に形成された透明導電膜と、透明導電膜の上に形成され且つルテニウム錯体等からなる増感色素を担持させた酸化チタンなどの半導体多孔質膜とからなる光電極と、これと間隔をあけて配置された対向基材と、対向基材の光電極側の板面に形成された白金等の触媒層とからなる対向電極とを持ち、これら電極の間に、電解質を充填させた電荷輸送層とを備えている(非特許文献1参照)。
上記電解質の一例としては、例えば、還元状態のレドックス( 以下、「還元体」という)I- と、酸化状態のレドックス( 以下、「酸化体」という)I -とからなるヨウ素レドックス・カップル(ヨウ素の酸化還元対)が挙げられる。このような電解質が例えばアセトニトリルのような誘電率の大きい有機溶媒に含有された電解液が、今日まで最良の電解液として用いられている。
色素増感太陽電池では以下の作用機構で光電変換が行われる。まず、光電極に入射した光は、酸化チタン多孔質膜に担持された増感色素により吸収される。光を吸収した増感色素では励起電子が発生し、励起電子は酸化チタンに移動し、透明導電膜を経由して出力される。さらに電子は外部の回路(負荷)を介して対向電極へと移動する。この時、励起電子を失った増感色素は、電荷輸送層に含まれる還元体I-から電子を受け取り、基底状態の増感色素に戻る。酸化された酸化体I -は対向電極(陽極)から電子を受け取り、再び還元体I-へ戻る。
色素増感型太陽電池の電圧値は、理論的には、半導体の伝導帯準位(光電極側)と電解質の酸化還元準位(対向電極側)の電位差によって決まると考えられている。ここで、電解質の酸化還元準位とは、対向電極が電解質に電子を受け渡すエネルギー準位のことであり、この準位において、酸化体で存在していた電解質は還元されて還元体へと変化し、色素へ電子を受け渡すことができるようになる。したがって、色素増感太陽電池が高電圧をとり得る条件とは、つまり、電解質の酸化還元準位を下げることである(特許文献1参照)。
特開2005−353289号公報
しかしながら、単に酸化還元準位の低い電解質を用いるだけでは、増感色素によって異なる最高被占軌道への電子移動、すなわち、上記励起電子を失った増感色素が還元体から電子を受け取って基底状態に戻ることを阻害する場合があり、必ずしも光電変換特性の改善につながるものではなかった(非特許文献2)。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、従来のヨウ素レドックス系電解質から構成される色素増感太陽電池よりも高い光電変換効率が得られる光電変換素子の提供を課題とする。
(1) 増感色素が担持された半導体層を備えた光電極と、前記半導体層と対向するよう配置された対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に配置された電荷輸送層とを備えた光電変換素子であって、前記電荷輸送層には、互いに異なる酸化還元電位を持つ2種以上の酸化還元種が含まれていることを特徴とする光電変換素子。
(2) 前記電荷輸送層に、前記酸化還元種を含有する2種以上の電解質が含まれていることを特徴とする前記(1)に記載の光電変換素子。
(3) 前記2種以上の酸化還元種として、2種以上のハロゲンを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(4) 前記電解質が、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、臭素および臭素化合物からなる酸化還元対と、を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)の何れか一項に記載の光電変換素子。
(5) 前記電解質が、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、コバルト錯体化合物からなる酸化還元対と、を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(6) 前記電荷輸送層に有機溶媒が含まれることを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか一項に記載の光電変換素子。
(7) 前記電荷輸送層にイオン液体が含まれることを特徴とする前記(1)〜(6)の何れか一項に記載の光電変換素子。
本発明の光電変換素子によれば、従来のヨウ素レドックス系電解質から構成される色素増感太陽電池よりも高い光電変換効率を得ることができる。
本発明にかかる光電変換素子の一例を示す断面図である。
《光電変換素子》
図1に、本発明にかかる光電変換素子の第一実施形態の断面図を示す。光電変換素子10は、色素増感太陽電池であって、光電極基板11と、対向電極基板12と、電荷輸送層20とを備えている。光電極基板11は、透明基材13と、透明基材13の一方の板面上に形成された透明導電膜14と、透明導電膜14の上に形成された半導体層15と、半導体層15及び増感色素(不図示)からなる光電極とによって構成されている。対向電極基板12は、透明基材13と一定の厚み寸法をおいて配置された対向基材16と、対向基材16の板面上に形成された対向導電膜17からなる対向電極とによって構成されている。電荷輸送層20は、半導体層15と対向導電膜17との間の空隙部に充填されており、電荷輸送層20の側方は、封止材21によって封止されている。
透明基材13は、透明導電膜14の基台となる部材であり、色素増感太陽電池の製造及び利用に適用可能であって透明な材質で構成されていれば、種類等は特に限定されない。透明基材13としては例えば、透明なガラスや透明な樹脂材料からなるフィルム基材が好適である。このようなガラスとしては、フロートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。また、このような樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等が挙げられる。
透明導電膜14は、スパッタリング法や印刷法により透明基材13の一方の板面上に形成されている。透明導電膜14には、例えば、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化スズ(SnO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が用いられる。
半導体層15は、増感色素を吸着又は担持可能であり、光励起された増感色素から電子を受け取り、透明導電膜へ電子を渡すことが可能なn型半導体であれば特に制限されない。このような半導体層の材料としては、例えば金属酸化物半導体、金属カルコゲナイド等の半導体からなる微粒子が好ましく、酸化チタン微粒子がより好ましい。
半導体層15の形態としては、緻密層であっても多孔質層であってもよいが、光電変換効率を高める観点から、多孔質層であることが好ましく、前記微粒子同士が焼結又は粉体吹付け法による物理的衝突により接合された多孔質層がより好ましい。
酸化チタン(TiO)は、一般にアナターゼ型とルチル型とに大別され、その他にブルッカイト型や非晶質の酸化チタンが知られている。酸化チタン微粒子同士の電気的接合を向上させる点から、酸化チタン微粒子としては、アナターゼ型TiOが好ましい。なお、酸化チタン微粒子は、アナターゼ型TiOとルチル型TiOの混合物であってもよく、ルチル型TiOのみであってもよい。色素増感太陽電池の光電極としては、酸化チタン多孔膜の比表面積と入射光利用効率を適度に高める点から、酸化チタン微粒子の平均粒径は、10nm以上500nm以下であることが好ましい。
半導体層15に吸着又は担持される増感色素は、光電変換素子10に照射された光によって励起されると電子を放出する化合物である。放出された電子は、バンドギャップが広く、紫外域にしか吸収帯を持たない半導体層15に受け渡されて、さらに透明導電膜14に移動する。このような増感色素としては、例えばルテニウム錯体、シアニンやクロロフィルといった有機色素が挙げられる。吸収する波長域が広い上に、光励起の寿命が長く、半導体層15に受け渡された電子が安定する点から、増感色素としては、ルテニウム錯体が好適であり、具体的にはシス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)(N3と呼ばれる)、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のビス−テトラブチルアンモニウム塩(N719と呼ばれる)、トリ(チオシアナト)−(4,4’,4’’−トリカルボキシ−2,2’:6’,2’’−ターピリジン)ルテニウムのトリス−テトラブチルアンモニウム塩(N749と呼ばれる)、シス−ジ(チオシアナト)−(2, 2’ −ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ビス(5’−ヘクチルチオ−5−(2, 2’−ビチエニル))ビピリジル)ルテニウム(II)のモノ−テトラブチルアンモニウム塩(CYC-B11と呼ばれる)が好適である。
対向基材16は、対向導電膜17の基台となる部材であり、色素増感太陽電池の製造及び利用に適用可能な材質で構成されていれば、種類等は特に限定されない。対向基材16としては例えばガラスや樹脂材料からなるフィルム基材が好適である。このようなガラスとしては、フロートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。また、このような樹脂材料としては、透明基材13と同様に、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド等が挙げられる。
対向導電膜17は、スパッタリング法や印刷法により対向基材16の透明基材13側の板面上に形成されている。対向導電膜17としては、後に説明する電荷輸送層20の酸化還元反応に対する触媒能を有するものが選ばれ、例えば、金、白金等の金属触媒の他にも、カーボンナノチューブ、グラファイト(黒鉛)等の導電性炭素や、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等のp型半導体として働く導電性高分子等が挙げられる。なお、対向基材16及び対向導電膜17は、光電変換素子10に照射される光に対して透明でなくてもよいが、光照射方向の自由度確保という観点からは透明であることが好ましい。
封止材21の材料は、電荷輸送層を光電極と対向電極の間に封止可能な材料であれば特に制限されず、例えば光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂との混合物等が挙げられる。
電荷輸送層20には電解質が含まれる。この電解質は、異なる酸化還元電位を持つ2種以上の(複数種の)酸化還元種が含まれており、前記電解質は異なる酸化還元電位を持つ2種以上の酸化還元種の混合物であることが好ましい。
本明細書および特許請求の範囲において、「酸化還元種」とは、酸化状態と還元状態の両方を取り、増感色素を還元し得る(増感色素に電子を与え得る)元素をいう。この意味において「酸化還元種」の用語は「レドックス」と呼び換えることができる。また、「酸化還元対」とは、単一の酸化還元種が構成する酸化体と還元体との組み(対)をいう。
電荷輸送層20に含まれる2種以上の酸化還元種は、互いに異なる酸化還元電位を有する。ここで、「酸化還元電位」とは、標準水素電極を基準としたときの標準酸化還元電位である。
電荷輸送層20に含まれる酸化還元種の種類は、2〜5種類が好ましく、2〜4種類がより好ましく、2又は3種が更に好ましい。
電荷輸送層20に、異なる酸化還元電位を持つ2種の酸化還元種、即ち第一の酸化還元種及び第二の酸化還元種が含有される場合、第一の酸化還元種の酸化還元電位と第二の酸化還元種の酸化還元電位との差は、0.01〜1.0Vが好ましく、0.05〜0.8Vがより好ましく、0.1〜0.6Vが更に好ましい。なお、第二の酸化還元種の酸化還元電位の方が、第一の酸化還元種の酸化還元電位よりも高い(プラスの酸化還元電位を持つ)ものとする。
電荷輸送層20に、異なる酸化還元電位を持つ3種以上の酸化還元種、例えば、第一〜第五の酸化還元種が含有される場合、各酸化還元種同士の酸化還元電位の差は0.1V以上であることが好ましい。
電荷輸送層20において、第一の酸化還元種の酸化状態及び還元状態の合計のモル数(A)と、第二の酸化還元種の酸化状態及び還元状態の合計のモル数(B)との比は、通常、A:B=90:10〜10:90が好ましく、A:B=80:20〜30:70がより好ましく、A:B=75:25〜50:50が更に好ましい。
なお、第二の酸化還元種の酸化還元電位の方が、第一の酸化還元種の酸化還元電位よりも高い(プラスの酸化還元電位を持つ)ものとする。
電荷輸送層20において、例えば、第一の酸化還元種としてヨウ素レドックスを含み、第二の酸化還元種として臭素レドックスを含む場合、ヨウ素レドックスの酸化状態及び還元状態を合計したモル数(α)と、臭素レドックスの酸化状態及び還元状態を合計したモル数(β)との比は、通常、α:β=90:10〜10:90が好ましく、α:β=80:20〜30:70がより好ましく、α:β=75:25〜50:50が更に好ましい。
なお、第二の酸化還元種の酸化還元電位の方が、第一の酸化還元種の酸化還元電位よりも高い(プラスの酸化還元電位を持つ)ものとする。
例えば、ヨウ素レドックス(I-, I -)の酸化還元電位は+0.54Vであり、臭素レドックス(Br-, Br -)の酸化還元電位は+1.09Vである。ここで、酸化還元電位は、前述のとおり、標準水素電極(SHE)を基準としたときの標準酸化還元電位である。
一例を挙げると、電荷輸送層20に含まれる第一の酸化還元種としてヨウ素レドックスを含む場合、当該電荷輸送層20におけるヨウ素:ヨウ素化合物の混合比(モル比)は1:10〜1:100が好ましく、1:20〜1:70がより好ましく、1:30〜1:50が更に好ましい。
一例を挙げると、電荷輸送層20に含まれる第二の酸化還元種として臭素素レドックスを含む場合、当該電荷輸送層20における臭素:臭素化合物の混合比(モル比)は1:10〜1:100が好ましく、1:20〜1:70がより好ましく、1:30〜1:50が更に好ましい。
第一の酸化還元種の酸化還元電位は、半導体層15に担持される増感色素のHOMO(最高被占軌道)のエネルギー準位よりも低い(マイナスの電位を持つ)ことが好ましい。その電位差(絶対値)は0.1〜1.0Vが好ましく、0.2〜0.9Vがより好ましく、0.3〜0.8Vがさらに好ましい。電荷輸送層20に混合される第n(n=2〜5の整数)の酸化還元種のうち、もっとも高い酸化還元電位と増感色素のHOMOのエネルギー準位との電位差は、−0.1〜0.3Vが好ましい。
電荷輸送層20には、前記酸化還元種を含有する2種以上の電解質が含まれていてもよい。前記酸化還元種は、前記電解質のアニオンを構成していてもよい。
電荷輸送層20に含まれる酸化還元種として、2種以上のハロゲンが含まれていてもよい。このハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、が挙げられる。ここに例示したハロゲンによって構成される酸化還元種は、互いに酸化還元電位が異なる。
なお、これらのハロゲンが酸化還元種として機能するためには、ハロゲン単独ではなく、ハロゲン化合物がハロゲンと共に電荷輸送層20に含まれていることが好ましい。
電荷輸送層20に含まれるハロゲンは、ハロゲン化合物として含有されていてもよい。電荷輸送層20が2種以上のハロゲンを含む場合、電荷輸送層20には2種以上のハロゲン化合物が含まれていてもよい。
なお、これらのハロゲン化合物が酸化還元種として機能するためには、ハロゲン化合物単独ではなく、ハロゲンがハロゲン化合物と共に電荷輸送層20に含まれていることが好ましい。
前記ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化された、リチウム、マグネシウム、カルシウム等の無機ハロゲン化合物、前記ハロゲンをカウンターアニオンとして含む、1-エチル-3メチルイミダゾリウム・ヨウ化物塩、1-エチル-3メチルイミダゾリウム・臭化物塩、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム・ヨウ化物塩、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム・臭化物塩等の有機ハロゲン化物塩が挙げられる。
電荷輸送層20には、ハロゲンおよびハロゲン化合物からなる酸化還元対が2種以上含まれていることが好ましい。つまり、電荷輸送層20に含まれる電解質が、ハロゲンおよびハロゲン化合物からなる酸化還元対を2組以上含む、酸化還元対の混合物であることが好ましい。前記電解質は、2種のハロゲンを有する2種以上の酸化還元対を含む電解質であってもよい。
電荷輸送層20に含まれる好適な電解質として、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、臭素および臭素化合物からなる酸化還元対と、を含む電解質が挙げられる。前記電解質は、ヨウ素レドックス及び臭素レドックスを有する2種以上の酸化還元対を含む電解質であってもよい。
前記ヨウ素化合物としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、1-エチル-3メチルイミダゾリウム・ヨウ化物塩、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム・ヨウ化物塩等が挙げられる。
前記電解質に含まれるヨウ素化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上のヨウ素化合物が前記電解質に含まれる場合、ヨウ素レドックスを有する2種以上の酸化還元対が前記電解質に含まれることになる。
前記臭素化合物としては、臭素リチウム、臭素マグネシウム、臭素カルシウム、1-エチル-3メチルイミダゾリウム・臭素物塩、1,2-ジメチル-3-プロピルイミダゾリウム・臭化物塩等が挙げられる。
前記電解質に含まれる臭素化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の臭素化合物が前記電解質に含まれる場合、臭素レドックスを有する2種以上の酸化還元対が前記電解質に含まれることになる。
電荷輸送層20にヨウ素レドックス及び臭素レドックスが含まれる場合、電荷輸送層20におけるヨウ素レドックスの酸化状態及び還元状態の合計のモル数と、臭素レドックスの酸化状態及び還元状態の合計モル数の比としては、ヨウ素レドックス:臭素レドックス=75:25〜50:50(モル比)が好ましい。
電荷輸送層20に含まれる好適な電解質として、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、コバルト錯体化合物からなる酸化還元対と、を含む電解質が挙げられる。前記電解質は、ヨウ素レドックス及びコバルトレドックスを有する2種以上の酸化還元対を含む電解質であってもよい。このヨウ素化合物の例としては、前述したヨウ素化合物の例が挙げられる。
前記コバルト錯体化合物としては、コバルト(II / III)トリス(2,2’-ビピリジン)、コバルト(II / III)トリス(4,4’-ジメチル-2,2-ビピリジン)、コバルト(II / III)トリス(4,4’-ジタート-ブチル-2,2-ビピリジン)、コバルト(II / III)トリス(1,10-フェナントロリン)、等が挙げられる。
前記電解質に含まれるコバルト錯体化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上のコバルト錯体化合物が前記電解質に含まれる場合、コバルトレドックスを有する2種以上の酸化還元対が前記電解質に含まれることになる。
電荷輸送層20にヨウ素レドックス及びコバルトレドックスが含まれる場合、電荷輸送層20におけるヨウ素レドックスの酸化状態及び還元状態の合計のモル数と、コバルトレドックスの酸化状態及び還元状態の合計モル数の比としては、ヨウ素レドックス:コバルトレドックス=90:10〜10:90(モル比)が好ましい。
この場合、光電極を構成する増感色素としては、そのHOMOの準位と、上記レドックスが有する最低の酸化還元電位との差が−0.1〜0.3Vである増感色素が好ましい。
電荷輸送層20において、前述した酸化還元種、酸化還元対若しくは電解質を溶解又は分散する溶媒として、有機溶媒又はイオン液体(常温溶融塩)が含まれていてもよい。
前記有機溶媒としては、従来の色素増感太陽電池の電解液に使用される有機溶媒が適用可能であり、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記イオン液体としては、従来の色素増感太陽電池の電解液に使用されるイオン液体が適用可能であり、例えば、イミダゾリウム系イオン液体、ピリジニウム系イオン液体、脂肪族系イオン液体等が挙げられる。
電荷輸送層20において、前記有機溶媒と前記イオン液体とを併用してもよい。
また、電荷輸送層20を構成する有機溶媒がポリアクリロニトリル等のゲル化剤によってゲル化されていても構わない。
本発明にかかる第一実施形態の光電変換素子を製造する方法は特に制限されず、前述の電荷輸送層を使用すること以外は、公知の構成部材を常法により組み立てて製造することができる。
次に、本発明を以下の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
<光電極の作製>
透明導電基材として、表面抵抗10Ω/sqのFTO膜を形成したガラス基板(日本板硝子社製)を用いた。この基板のFTO膜が形成された面上に、スクリーン印刷法によってSolaronix社製 Nanoxideペーストを塗布し、大気雰囲気下500℃で30分の焼成を行い、膜厚約8μmの酸化チタン多孔質膜を形成した。
次に、ルテニウム錯体色素CYC-B11(田中貴金属工業社製)を、アセトニトリルとtert-ブチルアルコールの1:1 (vol) 混合溶媒に、濃度0.3mMとなるよう溶解した色素溶液を調製した。この色素溶液に、酸化チタン多孔質膜を形成した上記基板を約15時間浸漬し、酸化チタン多孔質膜に色素を吸着させ、色素増感太陽電池の光電極(陰極)を作製した。
<電解液の調製>
ヨウ素(25mM)、ヨウ化リチウム(0.1M)、1-エチル-3メチルイミダゾリウム・ヨウ化物塩(1.0M)、及びtert-ブチルピリジン(0.5M)を、各々括弧内の濃度になるようにアセトニトリルに溶解し、ヨウ素レドックス系電解液を得た。
臭素(25mM)、臭化リチウム(0.1M)、1-エチル-3メチルイミダゾリウム・臭化物塩(1.0M)、及びtert-ブチルピリジン(0.5M)を、各々括弧内の濃度になるようにアセトニトリルに溶解し、臭素レドックス系電解液を得た。
上記で得たヨウ素レドックス系電解液と、臭素レドックス系電解液とを、75:25(体積比)で混合したヨウ素/臭素の混合レドックス系電解液を得た。
<色素増感太陽電池の作製>
ガラス基板表面に白金膜が形成された対向電極を使用した。対向電極と光電極とを厚さ30μmの樹脂製スペーサを介して重ね合わせてクリップ止めし、両電極間に、電荷輸送層としての電解液を注入して、実施例1の色素増感太陽電池を作製した。
<色素増感太陽電池の評価>
ソーラーシミュレーター(型番:XES−301S、株式会社三永電機製作所製)を使用して光量100mW/cmの疑似太陽光を照射し、上記で作製した色素増感太陽電池の発電性能を評価した。その光電変換効率、短絡電流密度、開放電圧の結果を表1に示す。
また、後述する実施例2及び比較例1〜2の結果を表1に併記する。
Figure 2015130433
[実施例2]
実施例1で調製したヨウ素レドックス系電解液と、臭素レドックス系電解液との混合比を、50:50(体積比)に変更したヨウ素/臭素の混合レドックス系電解液を使用した以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、その発電性能を評価した。
[比較例1]
実施例1で調製したヨウ素レドックス系電解液のみを単独で使用し、臭素レドックス系電解液を混合しなかった以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、その発電性能を評価した。
[比較例2]
実施例1で調製した臭素レドックス系電解液のみを単独で使用し、ヨウ素レドックス系電解液を混合しなかった以外は、実施例1と同様に色素増感太陽電池を作製し、その発電性能を評価した。
ヨウ素/臭素の混合レドックス系電解液を使用した実施例1及び2の色素増感太陽電池は、比較例1よりも、開放電圧値が高く、光電変換効率にも優れていた。
実施例1に比べると、実施例2においては短絡電流密度の減少により光電変換効率の低下傾向がみられ、さらに、臭素レドックス系電解液を単独で使用した比較例2においては著しく光電変換効率が劣化した。この原因としては、今回用いた増感色素CYC-B11の最高被占軌道と臭素レドックスの酸化還元電位が近いために、臭素レドックス系電解液を加える比率が、最適値を超過したことにあると考えられる。つまり、酸化された増感色素に対するBrからの電子注入が遅くなる又は起こり難くなることが、電圧向上効果を上回る電流値の低下を起こす原因になったと考えられる。
以上から、ヨウ素/臭素の混合レドックス系電解液を使用する場合において、光電極を構成する増感色素の最高被占軌道が今回のCYC-B11よりも高い場合には、臭素レドックス系電解液の混合割合を下げることが有効である。一方、その増感色素の最高被占軌道が今回のCYC-B11よりも低い場合には、臭素レドックス系電解液の混合割合を上げることが有効である。
CYC-B11よりも高いHOMO準位を有する増感色素としては、例えばNKX-2677(2-cyano-3-[5’(1,1,6,6-tetramethyl-10-oxo-2,3,5,6-tetrahydro-1H,4H,10H-11-oxa-3a-aza-benzo[de]anthracen-9-yl)-[2,2’]bithiophenyl-5-yl]acryic acid)が挙げられる。
CYC-B11よりも低いHOMO準位を有する増感色素としては、例えばクマリン343(CAS 55804-65-4)
(2,3,6,7-Tetrahydro-11-oxo-1H,5H,11H-[1]benzopyrano[6,7,8-ij]quinolizine-10-carboxylic acid)が挙げられる。
このように、ヨウ素/臭素の混合レドックス系電解液におけるヨウ素レドックスと臭素レドックスとの最適な混合比(モル比)は、使用する増感色素の最高被占軌道の高低に応じて調整することにより、実施例で使用した以外の増感色素を使用する場合においても、実施例と同様に優れた光電変換効率を有する光電変換素子を得ることができる。
10…光電変換素子、11…光電極基板、12…対向電極基板、13…透明基材(基材)、14…透明導電膜、15…半導体層(光電極)、16…対向基材、17…対向導電膜(対向電極)、20…電荷移動層、21…封止材

Claims (7)

  1. 増感色素が担持された半導体層を備えた光電極と、前記半導体層と対向するよう配置された対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に配置された電荷輸送層とを備えた光電変換素子であって、
    前記電荷輸送層には、互いに異なる酸化還元電位を持つ2種以上の酸化還元種が含まれていることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記電荷輸送層に、前記酸化還元種を含有する2種以上の電解質が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記2種以上の酸化還元種として、2種以上のハロゲンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記電解質が、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、臭素および臭素化合物からなる酸化還元対と、を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光電変換素子。
  5. 前記電解質が、ヨウ素およびヨウ素化合物からなる酸化還元対と、コバルト錯体化合物からなる酸化還元対と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  6. 前記電荷輸送層に有機溶媒が含まれることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の光電変換素子。
  7. 前記電荷輸送層にイオン液体が含まれることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の光電変換素子。
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