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JP2015115283A - ナトリウム二次電池及び該ナトリウム二次電池に使用する正極材料の製造方法 - Google Patents

ナトリウム二次電池及び該ナトリウム二次電池に使用する正極材料の製造方法 Download PDF

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JP2015115283A JP2013258459A JP2013258459A JP2015115283A JP 2015115283 A JP2015115283 A JP 2015115283A JP 2013258459 A JP2013258459 A JP 2013258459A JP 2013258459 A JP2013258459 A JP 2013258459A JP 2015115283 A JP2015115283 A JP 2015115283A
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Yuki Yui
悠基 由井
政彦 林
Masahiko Hayashi
政彦 林
陽子 小野
Yoko Ono
陽子 小野
康恵 根本
Yasue Nemoto
康恵 根本
薫 朝倉
Kaoru Asakura
薫 朝倉
博人 北林
Hiroto Kitabayashi
博人 北林
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Abstract

【課題】コスト性に優れたナトリウム二次電池を提供すること。【解決手段】本発明は、物質の構造中にナトリウムイオンを含有するナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、金属ナトリウム、ナトリウム含有物質又はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含むナトリウム二次電池であり、前記ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質が、NaxFe2(SO4)3(0<x≰2)を含むことを特徴とするナトリウム二次電池に関する。更に本発明は、硫酸鉄と硫酸ナトリウムを混合する工程と、得られた混合物を100℃以上350℃以下で固相反応させる工程とを含む、NaxFe2(SO4)3(0<x≰2)の製造方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、コスト性に優れたナトリウム二次電池に関する。特に本発明は、NaFe(SO(0<x≦2)を正極に用いたコスト性に優れたナトリウム二次電池に関する。更に本発明は、NaFe(SO(0<x≦2)の製造方法に関する。
ナトリウムイオンの挿入及び脱離反応を用いるナトリウム二次電池は、現在、広範に使用されているリチウム二次電池よりも、ナトリウムの資源の優位性から、コスト性に優れた二次電池として期待されており、電極材料や電解質材料に関する研究開発が進められている。
久世らは、非特許文献1において、正極材料にNaFe0.4Mn0.3Ni0.3を、負極材料にハードカーボンを、電解液に1mol/L NaPF/PCを用いると、電流密度0.1mA/cmの場合、約125mAh/gの比較的大きな容量を示し、480サイクルにわたって充放電できることを報告している。
Komabaらは、非特許文献2において、NaCrOを正極材料として用いた場合、約120mAh/gの放電容量を示し、50回の安定した充放電サイクルが可能であることを報告している。
特許文献1には、NaCoOを正極材料として用いることで、約60mAh/gの放電容量を示すことが報告されている。
上記のように、ナトリウム二次電池においても、リチウム二次電池に匹敵するレベルの放電容量を報告している例があるが、これらは、非特許文献1及び2、又は特許文献1のように電極材料にレアメタルを含む場合が多く、コスト的に不利であると考えられる。
特開2007−35283号公報
久世ら、電気化学会第79回大会講演要旨集、3D33(2012年) Komaba et al., Electrochem. Commun., 12, (2010), 355
本発明は、コスト性に優れたナトリウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明のナトリウム電池は、物質の構造中にナトリウムイオンを含有するナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、金属ナトリウム、ナトリウム含有物質又はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及びナトリウムイオン導電性を有する電解質を含み、前記ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質が、NaFe(SO(0<x≦2)を含む。
本発明では、前記正極は、カーボン粒子を更に含むことができる。また、前記正極は、前記NaFe(SO(0<x≦2)及び前記カーボン粒子を粉砕混合するボールミル処理を行った材料を含むことが好ましい。
本発明では、電解質は、ナトリウムイオンを含む有機電解質、又は、固体電解質若しくはポリマー電解質であることが好ましい。なお、本明細書において、電解質が溶液(液体)である場合を「電解液」とも称する。
更に、本発明は、NaFe(SO(0<x≦2)の製造方法に関する。この製造方法は、硫酸鉄と硫酸ナトリウムを混合する工程と、得られた混合物を100℃以上350℃以下で固相反応させる工程とを含む。
上記製造方法の一実施形態では、固相反応させる工程は、真空中、アルゴン雰囲気中、又は窒素雰囲気中から選択される還元雰囲気下で焼成する工程を含む。
本発明によれば、コスト性に優れたナトリウム二次電池を提供することができる。
本発明のナトリウム二次電池の構成を示す概略図である。 本発明の一実施形態のナトリウム二次電池の構造を示す概略図である。 本発明の方法により合成したNaFe(SO(0<x≦2)のX線回折の測定結果を示す図である。 図2に示した本発明の実施形態のナトリウム二次電池の充放電曲線を示す図である。
本発明は、ナトリウム二次電池、特に、正極の材料にNaFe(SO(0<x≦2)[理論放電容量:119mAh/g(x=2の場合)]を含むものに関する。本明細書において、NaFe(SO(0<x≦2)を単に正極活物質とも称する。
本発明は、更に、上記NaFe(SO(0<x≦2)の製造方法に関する。
(I)ナトリウム二次電池
まず、本発明のナトリウム二次電池の実施形態について説明する。
本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極及び電解質を少なくとも含む。正極はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであり、負極は金属ナトリウム、ナトリウム含有物質、若しくはナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであり、電解質はナトリウムイオン導電性を有するものである。
本発明では、正極は、NaFe(SO(0<x≦2)を材料として含む。NaFe(SO(0<x≦2)は、後述するNaFe(SO(0<x≦2)の製造方法に記載の手順で得ることができる。本発明において、NaFe(SOは、x=2であることが特に好ましい。
本発明のナトリウム二次電池の正極は、NaFe(SO(0<x≦2)と、カーボン粉末のようなカーボン材料と混合したものを含むことが好ましい。
上述の正極は、例えば以下のような手段により調製することができるが、本発明はこれらに限定されない。
カーボン粉末(例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック粉末などカーボン類)、結着剤粉末(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)など)、及び、NaFe(SO(0<x≦2)を混合し、得られた混合物を有機溶剤(例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP))等の溶媒中に分散してスラリー状にした後、例えば銅箔又はアルミ箔のような金属箔上に塗布し、乾燥することにより、正極を調製できる。
別法として、前述のカーボン粉末、結着剤粉末、及び、NaFe(SO(0<x≦2)を混合し、次いでロールプレス機により圧延し、所定サイズに切り抜いてペレット状に成形することにより、正極を調製することもできる。
上記カーボン粉末、結着剤等は、例えば市販試薬として入手可能である。
また、本発明において、NaFe(SO(0<x≦2)、及びカーボン粉末の割合は、好ましくはNaFe(SO(0<x≦2):カーボン粉末=60:35〜90:5である。
本発明では、正極材料中のカーボン粉末と、NaFe(SO(0<x≦2)の均一性及び分散性を向上させ、二次電池の性能を改善するために、正極を製造する際に、カーボン粉末とNaFe(SO(0<x≦2)を混合し、ボールミル等の粉砕機により粉砕混合し、得られたボールミル(BM)処理混合物に、更に結着剤粉末を混合した後、上記のように圧延成形して正極の電極を形成してもよい。
本発明では、NaFe(SO(0<x≦2)(正極活物質)を含む正極の導電性を向上させるために、正極活物質を導電材料であるカーボン粒子と混合し、ボールミルで粉砕混合するボールミル処理を行うことが好ましい。このようなボールミル処理により、より優れた電池特性を得ることができる。ボールミル処理の時間は20時間以下が好ましい。更に、ボールミル処理の時間は、12〜20時間がより好ましく、12〜18時間が更に好ましく、14〜16時間が特に好ましい。
ボールミル処理を行う場合の正極活物質とカーボン粒子の割合は、好ましくはNaFe(SO(0<x≦2):カーボン粒子=60:30〜90:5である。
本発明の正極は、ナトリウムイオンを含む有機電解質を電解質溶液として用いることができる。更に、本発明の正極を含むナトリウム二次電池は、ナトリウムイオンを通す固体電解質又はポリマー電解質を電解質として用いることもできる。
負極は、金属ナトリウム、ナトリウム含有合金のようなナトリウム含有物質、又はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含むものであれば特に限定されない。例えば、負極の例としては、金属ナトリウムのシート、又は金属ナトリウムのシートをニッケル、ステンレス等の金属箔に圧着したものなどを挙げることができる。このような金属ナトリウムのシートの負極は、金属ナトリウムをプレス機などでシート状に圧延して所望の形状に成形することで調製することができる。また、金属ナトリウムのシートを金属箔に圧着したものは、前記のように調製した金属ナトリウムのシートをニッケル、ステンレス等の金属箔に圧着して調製することができる。
また、上記のような金属ナトリウム以外の負極材料には、負極活物質として、ナトリウムと合金化する金属(例えば、スズ鉛など)など、又は、ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能なハードカーボンなどの材料(ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質)を含むものを挙げることができる。これらの負極活物質を含む負極は、例えば、銅箔又はアルミ箔のような金属箔に、負極活物質とポリフッ化ビニリデン(PVdF)のような結着剤をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)のような有機溶媒に分散させたスラリーを塗布し、乾燥するというような方法で調製することができる。
負極活物質と結着剤を混合して負極を調製する際の負極活物質と結着剤の割合は、好ましくは負極活物質:結着剤=60:5〜90:2である。
電解質としては、ナトリウムイオン導電性を有する物質で電子導電性を有しない物質であれば、ナトリウムイオンを含む有機電解質を使用することができる。また、ナトリウムイオンを含む固体電解質、ポリマー電解質などの固体状の電解質も、本発明の電解質として使用することができる。
電解質としては、ナトリウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(NaTFSI)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、六フッ化リン酸ナトリウム(NaPF)などのナトリウムイオンを含む金属塩を、例えば炭酸エチレン(EC)及び炭酸ジメチル(DMC)(体積比1:1)の混合溶媒、EC及び炭酸ジエチル(DEC)(体積比1:1)などのような混合溶媒、又は炭酸プロピレン(PC)のような単独溶媒に溶解した有機電解質を挙げることができる。
本発明のナトリウム二次電池の他の電解質として、ナトリウムイオン導電性を有する固体電解質(例えば、75NaS・25Pなどのガラス状物質、NASICON(Na Super Ionic Conductor、NaZrSiPO12等))、ナトリウムイオン導電性を有するポリマー電解質(例えば、上記有機電解質とポリエチレンオキシド(PEO)をコンポジット化した物質)などを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明では、ナトリウム二次電池で使用される公知のナトリウムイオンを通す固体電解質又はナトリウムイオンを通すポリマー電解質であれば使用することができる。
本発明のナトリウム二次電池はまた、セパレータ、電池ケース等の構造材料などの他の要素を含むこともできる。これらの要素についても、従来公知の二次電池に用いられる各種材料が使用でき、特に制限はない。
上記のような正極、負極、電解質等を使用する電池は、コイン形、円筒形、ラミネート形など従来の形状で作製することができる。そして、これらの二次電池の製造方法も従来と同様の方法を用いることができる。
例えば、本発明のナトリウム二次電池は、例えば、図1に示すような、正極及び負極と、これら両極に接する電解質からなる。本発明では、正極及び負極の間にセパレータが含まれていてもよい。有機電解質を電解質として用いる場合には、例えば、セパレータに電解質を含浸させて使用することもできる。また、有機電解質は、ポリマー電解質等に含浸させてもよい。また、固体電解質、ポリマー電解質等を用いる場合には、両極がこれらに接するように配置すればよい。
更に、図1には明記していないが、本発明のナトリウム二次電池は、正極、負極、電解質、セパレータ等を被う電池ケース等を含むことができる。本発明では、NaFe(SO(0<x≦2)を正極の材料として用いることが好ましく、NaFe(SO(x=2)を正極の材料として用いることが特に好ましい。
より具体的な一実施形態としては、図2に示すようなコインセル型の二次電池として本発明を適用することができる。図2に示されるように、コインセル型の二次電池は、正極1及び負極3を含み、これらの電極の間に電解液を含浸したセパレータ2をさらに含む。さらに二次電池構造体は正極ケース4、ガスケット5、及び負極ケース6を含むことができる。この二次電池は、例えば、上記の正極1、負極3、及び電解液を含浸したセパレータ2を、正極ケース4及び負極ケース6に所望の通りに配置し、各構成要素を配置した両ケースを固定することで調製することができる。
本発明では、セパレータに代えて又は加えて、上述したような固体電解質、ポリマー電解質等を使用することができる。
(II)NaFe(SO(0<x≦2)の製造方法
正極活物質であるNaFe(SO(0<x≦2)の合成方法を説明する。NaFe(SO(0<x≦2)は、以下の方法で得ることができる。
まず、硫酸ナトリウムと硫酸鉄を、所望のナトリウム:鉄の化学量論比となるように秤量して混合する。混合方法は、特に限定されない。例えば乳鉢での混合、一般的な機械的混合などを用いることができる。得られた混合物を、所望の形状(例えばペレット状など)に成形し、真空中、アルゴン雰囲気中、窒素雰囲気中などの還元雰囲気下において、100〜350℃で、3〜20時間焼成する。焼成物を冷却して、NaFe(SO(0<x≦2)粉末を得ることができる。本発明において、NaFe(SOは、x=2であることが特に好ましい。
得られたNaFe(SO(0<x≦2)は、例えば、X線結晶回折法などにより構造を確認することができる。
以下に図面を参照して、本発明のナトリウム二次電池についての実施例を詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、本発明の趣旨及び範囲を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
下記では、NaFe(SO(0<x≦2)の製造例、及び、実施例1〜8を示す。実施例1は、有機溶媒を用いた有機電解質を使用してナトリウム二次電池を作製した例であり、実施例2〜6は、ボールミル処理を施した正極を使用してナトリウム二次電池を作製した例であり、実施例7及び8は、それぞれ固体電解質及びポリマー電解質を使用してナトリウム二次電池を作製した例である。
(i)NaFe(SO(0<x≦2)の合成
(a)NaFe(SO(x=2)の合成の検討
試薬FeSO・7HO(関東化学、99.9%)を90℃、減圧下で、水和物を分解させ、FeSO・HOにした。FeSO・HOとNaSO(関東化学、99.0%)を化学量論比2:1になるように秤量し、メノウ乳鉢にて30分間混合した。混合した粉末を15MPaにて圧着成形して、ペレットを作製した。作製したペレットを真空ガス置換炉において、大気圧よりマイナス100kPa以上の減圧下(真空)、50℃、100℃、200℃、300℃、350℃及び400℃のそれぞれの温度で、12時間焼成した。焼成後の粉末をX線結晶回折法により測定し、それぞれの温度で得た焼成物が所望の化合物であるかどうかを検討した。結果を表1に示す。表1に示す結果から100℃、200℃、300℃及び350℃の焼成温度でNaFe(SOの粉末が得られたことが分かる。300℃で得られた粉末をX線結晶回折法により測定した。結果を図3に示した。得られた回折ピークは出発原料である硫酸鉄と硫酸ナトリウムに一致しないことを確認し、NaFe(SOの粉末を得たことが分かった。
Figure 2015115283
以下の実施例では、300℃で得られた粉末を用いて、ナトリウム二次電池を作成し、評価した。
(実施例1)
(i)ナトリウム二次電池の作製
ナトリウム二次電池は、以下の手順で作製した。
正極は、NaFe(SO、アセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末(ダイキン社製)を70:25:5の重量比で、らいかい機を用いて十分に粉砕・混合し、次いで、ロール成形して、シートペレット状の電極(厚さ:0.5mm)を作製した。このシート状電極を直径13mmの円形に切り抜いた。負極は、市販の試薬であるナトリウム塊(関東化学製)を、0.8mmの厚さまでプレスし、直径15mmの円形シート状に成形することによって作製した。電解質は、過塩素酸ナトリウム(NaClO)を1mol/Lの濃度で炭酸プロピレン(PC)に溶解した溶液(キシダ化学株式会社製)を用いた。セパレータは、リチウム二次電池用のポリプロピレン製のもの(セルガード社製)を用いた。
性能評価用テストセル(ナトリウム二次電池)は、図2に示すような2032コイン型のものを製造した。正極は、上記のペレット電極を正極ケース4にセットし、チタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)で覆い、その周縁部をスポット溶接により固定した。負極は、負極ケース6にチタンメッシュ(ニラコ製)(図示せず)をスポット溶接で固定し、その上にナトリウムシートを圧着することにより固定して調製した。次に、ペレットを固定した正極ケースに、セパレータ2をセットし、更にセパレータ2に電解質を注入し、ナトリウムシートを固定した負極ケースを被せ、コインセルかしめ機で正極ケース4及び負極ケース6をかしめることにより、ポリプロピレン製ガスケット5を含むコインセルを作製した。なお、ナトリウム二次電池の作製は、水分と酸素が共に0.1ppm以下のアルゴン雰囲気のグローブボックス中で行った。
(ii)充放電試験
ナトリウム二次電池の充放電試験は、市販の充放電測定システム(北斗電工社製)を用いて、正極活物質重量当たりの電流密度で10mA/gを通電し、充電終止電圧3.9V、放電終止電圧2.7Vの電圧範囲で充放電試験を行った。電池の充放電試験は、25℃の恒温槽内(雰囲気は通常の大気環境下)で測定を行った。
本実施例で作製したナトリウム二次電池の充放電曲線を、図4に示す。図より、NaFe(SOは充放電が可能であり,初回放電容量79mAh/g(NaFe(SO粉末重量当たりで規格化)、放電平均電位は3.3Vを示した。表2に、50サイクル目、100サイクル目の容量維持率を示す。表2より、1サイクル当たり約0.3%程度の容量減少しか見られず、安定したサイクル特性を有していることが分かる。
(実施例2〜6)
NaFe(SO粉末とアセチレンブラック粉末を、ボールミル(BM)で粉砕混合すること(ボールミル処理)により、電池性能の改善を試みた。ボールミル(BM)処理の効果の性能評価を以下に示すように行った。
NaFe(SOとアセチレンブラック粉末(重量比70:25)をミキサー中で数分程度混合した。この混合物に、直径7mmのアルミナ製ボールを加え、12時間(実施例2)、14時間(実施例3)、16時間(実施例4)、18時間(実施例5)及び20時間(実施例6)のBM処理を行った。なお、いずれのBM処理の場合も、NaFe(SO−アセチレンブラック混合物とボールの混合比率は、重量比で1:10とし、BM処理時の回転速度は300rpmとした。
得られたBM処理後のNaFe(SO−アセチレンブラック混合物は、PTFEバインダーを更に加え、らいかい機で混合し、実施例1と同様にして作用極ペレットを作製した。このペレットを用いて、実施例1と同様にして、コインセルを作製した。また、充放電試験も、実施例1と同様に行った。
充放電試験の結果を、表2に示す。BM処理時間が、18h(18時間)までは特性が著しく改善した。また、16hのBM処理において、100サイクル後の放電容量維持率も91%の高い値を達成した。これは、BM処理により、NaFe(SO粉末とアセチレンブラック粉末の接触性が向上し、粉末間の界面抵抗が減少したためであると推察される。一方、20hのBM処理では、放電容量などの電池性能は16時間のBM処理と比べて低下した。これは、BM処理時の局所的な熱の発生により、NaFe(SOの変性が起こったためであると考えられる。このように、本発明では、正極材料の活物質をBM処理することにより、電池性能が改善することが明らかとなった。
Figure 2015115283
(実施例7)
固体電解質としてNASICON(NaZrSiPO12)を、正極として実施例4の条件で作製したNaFe(SO/アセチレンブラック混合物を、負極としてナトリウム金属を、それぞれ使用した。
NASICONディスクは、以下の手順で調製した。まず、ZrO(NO・8HO(関東化学株式会社)、NHPO(関東化学株式会社)、及びNaSiO・9HO(関東化学株式会社)を、Na:Zr:Si:P=3:2:2:1の比率となるモル比で混合し、850℃で仮焼成を行った。得られた粉末をペレット成形機でディスク状に成形し、1100℃で24時間の本焼成を行った。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。なお、固体電解質はコインセル内に収まるようにディスク(厚さ:約1mm)状に作製し、図2のセパレータ2の部分にセットした。また、正極/固体電解質/負極のそれぞれの界面に隙間ができないように、コインセルケースに任意の厚さのコインセルと同材質のディスク状のスペーサーを溶接した。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、市販の放充電測定システムを用いて行った。
充放電試験の結果を表3に示す。実施例4と比較して、正極/電解質及び負極/電解質の界面の接触抵抗が増大するために、電圧は0.2Vの減少を示し、若干ではあるが放電容量も減少した。しかしながら、放電容量で示されるサイクル安定性に変化はみられなかった。本実施例により、固体電解質を含む本発明のナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
(実施例8)
ポリマー電解質として、PEO系高分子電解質膜を、正極として実施例4の条件で作製したNaFe(SO/アセチレンブラック混合物を、負極としてナトリウム金属を、それぞれ使用した。
PEO系電解質膜(厚さ:約2mm)は、以下の手順で調製した。
まず、PEO(Aldrich、Mw=6×10)及び溶質であるNaTFSI(キシダ化学)を、Na/O=1/18となるように、10重量%のBaTiOフィラー(BaTiOは、Aldrich製試薬(粒子径:<2μm)を用いた))と共にアセトニトリル溶媒(キシダ化学)に添加した。一晩攪拌した後、得られた溶液をPTFE板上に塗布し、アセトニトリルを完全に揮発させた。その後、真空下において90℃で12時間乾燥を行った。
実施例1と同様にして、コインセルを作製した。なお、ポリマー電解質はコインセル内に収まるようにディスク状に切り抜き、図2のセパレータ2の部分にセットした。また、正極/ポリマー電解質/負極のそれぞれの界面に隙間ができないように、コインセルケースに任意の厚さのコインセルと同材質のディスク状のスペーサーを溶接した。
電池の充放電試験は、実施例1と同様に、市販の放充電測定システムを用いて行った。
充放電試験の結果を表3に示す。実施例4と比較して、正極/電解質及び負極/電解質の界面の接触抵抗が増大するために、電圧は0.1Vの減少を示し、若干ではあるが放電容量も減少した。しかしながら、放電容量で示されるサイクル安定性に変化はみられなかった。本実施例により、ポリマー電解質を含む本発明のナトリウム二次電池が作動可能であることが確認された。
Figure 2015115283
(比較例)
比較例として、レアメタルを含む正極材料用いたナトリウム二次電池を作製した。正極材料としてNaCoOを評価した。NaCoOは、NaCOとCoを所定モル比(3:2)で混合し、1000℃で焼成を行うことにより合成した。
NaCoOを用いるコインセルは、実施例1と同様にして作製及び評価を行った。その結果を、表4に実施例4と比較して示す。
本比較例による電池は、実施例4と比較して、初期特性においては、放電容量で優れた特性を示した。しかしながら、サイクルによる容量の減少は著しく、100サイクル後には、初期の約30%の放電容量しか得られなかった。
一方、実施例4の場合、比較例よりも初期放電容量は劣る(但し、ナトリウム二次電池としては十分な性能である。)ものの、100サイクル後でも91%の放電容量を維持しており、安定性が高いことが分かった。これは、NaCoOの場合、遷移金属であるCoの溶出が起こっており、容量の減少を誘因したのではないかと考えられる。
以上のように、本発明によるNaFe(SO(0<x≦2)を用いたナトリウム二次電池は、コスト性に優れ、更に優れた充放電サイクル特性を有した高性能電池あることが分かった。
Figure 2015115283
本発明により、コスト性に優れたナトリウム二次電池を作製することができ、本発明のナトリウム二次電池は、様々な電子機器の駆動源等として使用することができる。
1 正極
2 セパレータ(電解質液を含浸)
3 負極
4 正極ケース
5 ガスケット
6 負極ケース

Claims (7)

  1. 物質の構造中にナトリウムイオンを含有するナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む正極、
    金属ナトリウム、ナトリウム含有物質又はナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質を含む負極、及び
    ナトリウムイオン導電性を有する電解質
    を含むナトリウム二次電池であって、
    前記ナトリウムイオンの挿入及び脱離が可能な物質が、NaFe(SO(0<x≦2)を含むことを特徴とするナトリウム二次電池。
  2. 前記正極は、カーボン粒子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウム二次電池。
  3. 前記正極は、前記NaFe(SO(0<x≦2)及び前記カーボン粒子を粉砕混合するボールミル処理を行った材料を含むことを特徴とする請求項2に記載のナトリウム二次電池。
  4. 前記電解質が、ナトリウムイオンを含む有機電解質であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  5. 前記電解質が、固体電解質又はポリマー電解質であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のナトリウム二次電池。
  6. 硫酸鉄と硫酸ナトリウムを混合する工程と、
    得られた混合物を100℃以上350℃以下で固相反応させる工程と
    を含む、NaFe(SO(0<x≦2)の製造方法。
  7. 前記固相反応させる工程が、真空中、アルゴン雰囲気中、又は窒素雰囲気中から選択される還元雰囲気下で焼成する工程を含むこと特徴とする請求項6に記載のNaFe(SO(0<x≦2)の製造方法。
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