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JP2015176935A - 分離再生装置および基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウエハW上の液体を確実に除去することができ、かつ運転コストの低減を図る。
【解決手段】分離再生装置30はフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、第1沸点をもつ第1のフッ素含有有機溶剤と、第1沸点より高い第2沸点をもつ第2のフッ素含有有機溶剤とを有する混合液体を生成する混合排液タンク31(混合液生成部)と、混合液のうち第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤を第1沸点と第2沸点との間の温度に加熱して気体状の第1のフッ素含有有機溶剤と液体状の第2のフッ素含有有機溶剤とに分離する蒸留タンク34と、蒸留タンク34からの第1のフッ素含有有機溶剤を液化して貯留する第1のタンク35と、蒸留タンク34からの第2のフッ素含有有機溶剤を貯留する第2のタンク36とを備えている。第1のタンク35および第2のタンク36に、余剰圧を混合排液タンク31側へ導く余剰圧戻しライン51、53、55が設けられている。
【選択図】図5

Description

本発明は、超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体を用いて基板の表面に付着した液体を除去する際、用いられる分離再生装置および基板処理装置に関する。
基板である半導体ウエハ(以下、ウエハという)などの表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程においては、薬液などの洗浄液によりウエハ表面の微小なごみや自然酸化膜を除去するなど、液体を利用してウエハ表面を処理する液処理工程が設けられている。
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液処理工程にてウエハの表面に付着した液体などを除去する際に、いわゆるパターン倒れと呼ばれる現象が問題となっている。パターン倒れは、ウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右(言い替えると凹部内)に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に付着した液体を除去する手法として超臨界状態や亜臨界状態(以下、これらをまとめて高圧状態という)の流体を用いる方法が知られている。高圧状態の流体(高圧流体)は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を抽出する能力も高いことに加え、高圧流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで、ウエハ表面に付着した液体を高圧流体と置換し、しかる後、高圧流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
例えば特許文献1では、液体と高圧流体との置換性の高さや、液処理の際の水分の持ち込み抑制の観点から、乾燥防止用の液体、及び高圧流体の双方にフッ素含有有機溶剤(特許文献1では「フッ素化合物」と記載している)であるHFE(HydroFluoro Ether)を用いている。また、フッ素含有有機溶剤は、難燃性である点においても乾燥防止用の液体に適している。
一方で、HFE、HFC(HydroFluoro Carbon)、PFC(PerFluoro Carbon)、PFE(PerFluoro Ether)などのフッ素含有有機溶剤は、IPA(IsoPropyl Alcohol)などと比べて高価であり、ウエハ搬送中の揮発ロスが運転コストの上昇につながる。このため、乾燥防止用の液体あるいは高圧流体として用いられるフッ素含有有機溶剤を使用後に、フッ素含有有機溶剤の混合液として貯留し、この混合液を分離再生して利用することができれば、運転コストを低減することができて都合が良い。
この場合、混合液から分離されたフッ素含有有機溶剤を大気開放系のタンク内に収納することが考えられている。しかしながら大気開放系のタンク内にフッ素含有有機溶剤を収納した際、タンクからフッ素含有有機溶剤が外方へ排出されることになり、その分フッ素含有有機溶剤の損失となってしまう。
特開2011−187570号公報
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、被処理体の表面に付着した液体を除去するために使用したフッ素含有有機溶剤を分離再生して利用し、このことにより運転コストの低減を図ることができる分離再生装置および基板処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、第1沸点をもつ第1のフッ素含有有機溶剤と、第1沸点より高い第2沸点をもつ第2のフッ素含有有機溶剤とを有する混合液を生成する大気開放系の混合液生成部と、前記混合液のうち第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤を前記第1沸点と前記第2沸点との間の温度に加熱するヒータを含み、前記第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤を気体状の前記第1のフッ素含有有機溶剤と液体状の前記第2のフッ素含有有機溶剤とに分離する蒸留タンクと、前記蒸留タンクからの前記第1のフッ素含有有機溶剤を液化して貯留する第1のタンクと、前記蒸留タンクからの前記第2のフッ素含有有機溶剤を貯留する第2のタンクとを備え、前記第1のタンクと前記混合液生成部との間、および前記第2のタンクと前記混合液生成部との間に、前記第1のタンクおよび前記第2のタンクからの余剰圧を前記混合生成部へ戻す余剰圧戻しラインを各々設け、各余剰圧戻しラインの先端を前記混合液生成部内の混合液のうちフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体の下方に配置したことを特徴とする分離再生装置である。
本発明は、フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、フッ素含有有機溶剤とを有する混合液を生成する混合液生成部と、前記混合液のうちフッ素含有有機溶剤を貯留するバッファタンクを備え、前記バッファタンクと前記混合液生成部との間に、前記バッファタンクからの余剰圧を前記混合液生成部へ戻す余剰圧戻しラインを設け、余剰圧戻しラインの先端を前記混合液生成部のうちフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体の下方に配置したことを特徴とする分離再生装置である。
本実施の形態によれば、被処理体の表面に付着した液体を確実に除去してパターンの倒壊を防ぐために使用したフッ素含有有機溶剤を分離再生して利用し、このことにより運転コストの低減を図ることができる。
図1は液処理装置の横断平面図。 図2は液処理装置に設けられている液処理ユニットの縦断側面図。 図3は液処理装置に設けられている超臨界処理ユニットの構成図。 図4は超臨界処理ユニットの処理容器の外観斜視図。 図5は本実施の形態による分離再生装置を示す概略系統図。 図6は本実施の形態の作用シーケンスを示す図。 図7は混合排液タンクの詳細を示す図。 図8はHFE7300とFC43の使用形態を示す図。 図9は比較例としての分離再生装置を示す図。
<基板処理装置>
まず本発明による分離再生装置が組込まれた基板処理装置について説明する。基板処理装置の一例として、基板であるウエハW(被処理体)に各種処理液を供給して液処理を行う液処理ユニット2と、液処理後のウエハWに付着している乾燥防止用の液体を超臨界流体(高圧流体)と接触させて除去する超臨界処理ユニット3(高圧流体処理ユニット)とを備えた液処理装置1について説明する。
図1は液処理装置1の全体構成を示す横断平面図であり、当該図に向かって左側を前方とする。液処理装置1では、載置部11にFOUP100が載置され、このFOUP100に格納された例えば直径300mmの複数枚のウエハWが、搬入出部12及び受け渡し部13を介して後段の液処理部14、超臨界処理部15との間で受け渡され、液処理ユニット2、超臨界処理ユニット3内に順番に搬入されて液処理や乾燥防止用の液体を除去する処理が行われる。図中、121はFOUP100と受け渡し部13との間でウエハWを搬送する第1の搬送機構、131は搬入出部12と液処理部14、超臨界処理部15との間を搬送されるウエハWが一時的に載置されるバッファとしての役割を果たす受け渡し棚である。
液処理部14及び超臨界処理部15は、受け渡し部13との間の開口部から前後方向に向かって伸びるウエハWの搬送空間162を挟んで設けられている。前方側から見て搬送空間162の左手に設けられている液処理部14には、例えば4台の液処理ユニット2が前記搬送空間162に沿って配置されている。一方、搬送空間162の右手に設けられている超臨界処理部15には、例えば2台の超臨界処理ユニット3が、前記搬送空間162に沿って配置されている。
ウエハWは、ウエハ搬送路162に配置された第2の搬送機構161によってこれら各液処理ユニット2、超臨界処理ユニット3及び受け渡し部13の間を搬送される。第2の搬送機構161は、基板搬送ユニットに相当する。ここで液処理部14や超臨界処理部15に配置される液処理ユニット2や超臨界処理ユニット3の個数は、単位時間当たりのウエハWの処理枚数や、液処理ユニット2、超臨界処理ユニット3での処理時間の違いなどにより適宜選択され、これら液処理ユニット2や超臨界処理ユニット3の配置数などに応じて最適なレイアウトが選択される。
液処理ユニット2は例えばスピン洗浄によりウエハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の液処理ユニット2として構成され、図2の縦断側面図に示すように、処理空間を形成するアウターチャンバー21と、このアウターチャンバー内に配置され、ウエハWをほぼ水平に保持しながらウエハWを鉛直軸周りに回転させるウエハ保持機構23と、ウエハ保持機構2を側周側から囲むように配置され、ウエハWから飛散した液体を受け止めるインナーカップ22と、ウエハWの上方位置とここから退避した位置との間を移動自在に構成され、その先端部にノズル241が設けられたノズルアーム24と、を備えている。
ノズル241には、各種の薬液を供給する処理液供給部201やリンス液の供給を行うリンス液供給部202、ウエハWの表面に乾燥防止用の液体である第1のフッ素含有有機溶剤の供給を行う第1のフッ素含有有機溶剤供給部203a(第1の有機溶剤供給部)および第2のフッ素含有有機溶剤の供給を行なう第2のフッ素含有有機溶剤供給部203b(第2の有機溶剤供給部)が接続されている。第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤は、後述の超臨界処理に用いられる超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤とは、異なるものが用いられ、また第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤と、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤との間には、その沸点や臨界温度において予め決められた関係のあるものが採用されているが、その詳細については後述する。
また、ウエハ保持機構23の内部にも薬液供給路231を形成し、ここから供給された薬液及びリンス液によってウエハWの裏面洗浄を行ってもよい。アウターチャンバー21やインナーカップ22の底部には、内部雰囲気を排気するための排気口212やウエハWから振り飛ばされた液体を排出するための排液口221、211が設けられている。
液処理ユニット2にて液処理を終えたウエハWに対しては、乾燥防止用の第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤が供給され、ウエハWはその表面が第2のフッ素含有有機溶剤で覆われた状態で、第2の搬送機構161によって超臨界処理ユニット3に搬送される。超臨界処理ユニット3では、ウエハWを超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体と接触させて第2のフッ素含有有機溶剤を除去し、ウエハWを乾燥する処理が行われる。以下、超臨界処理ユニット3の構成について図3、図4を参照しながら説明する。
超臨界処理ユニット3は、ウエハW表面に付着した乾燥防止用の液体(第2のフッ素含有有機溶剤)を除去する処理が行われる処理容器3Aと、この処理容器3Aに超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体を供給する超臨界流体供給部4A(超臨界処理用の有機溶剤供給部)とを備えている。
図4に示すように処理容器3Aは、ウエハWの搬入出用の開口部312が形成された筐体状の容器本体311と、処理対象のウエハWを横向きに保持することが可能なウエハトレイ331と、このウエハトレイ331を支持すると共に、ウエハWを容器本体311内に搬入したとき前記開口部312を密閉する蓋部材332とを備えている。
容器本体311は、例えば直径300mmのウエハWを収容可能な、200〜10000cm程度の処理空間が形成された容器であり、その上面には、処理容器3A内に超臨界流体を供給するための超臨界流体供給ライン351と、処理容器3A内の流体を排出するための開閉弁342が介設された排出ライン341(排出部)とが接続されている。また、処理容器3Aには処理空間内に供給された高圧状態の処理流体から受ける内圧に抗して、容器本体311に向けて蓋部材332を押し付け、処理空間を密閉するための不図示の押圧機構が設けられている。
容器本体311には、例えば抵抗発熱体などからなる加熱部であるヒーター322と、処理容器3A内の温度を検出するための熱電対などを備えた温度検出部323とが設けられており、容器本体311を加熱することにより、処理容器3A内の温度を予め設定された温度に加熱し、これにより内部のウエハWを加熱することができる。ヒーター322は、給電部321から供給される電力を変えることにより、発熱量を変化させることが可能であり、温度検出部323から取得した温度検出結果に基づき、処理容器3A内の温度を予め設定された温度に調節する。
超臨界流体供給部4Aは、開閉弁352が介設された超臨界流体供給ライン351の上流側に接続されている。超臨界流体供給部4Aは、処理容器3Aへ供給される超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体を準備する配管であるスパイラル管411と、このスパイラル管411に超臨界流体の原料である超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の液体を供給するため超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤供給部414と、スパイラル管411を加熱して内部の超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤を超臨界状態にするためのハロゲンランプ413と、を備えている。
スパイラル管411は例えばステンレス製の配管部材を長手方向に螺旋状に巻いて形成された円筒型の容器であり、ハロゲンランプ413から供給される輻射熱を吸収しやすくするために例えば黒色の輻射熱吸収塗料で塗装されている。ハロゲンランプ413は、スパイラル管411の円筒の中心軸に沿って411の内壁面から離間して配置されている。ハロゲンランプ413の下端部には、電源部412が接続されており、電源部412から供給される電力によりハロゲンランプ413を発熱させ、主にその輻射熱を利用してスパイラル管411を加熱する。電源部412は、スパイラル管411に設けられた不図示の温度検出部と接続されており、この検出温度に基づいてスパイラル管411に供給する電力を増減し、予め設定した温度にスパイラル管411内を加熱することができる。
またスパイラル管411の下端部からは配管部材が伸びだして超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の受け入れライン415を形成している。この受け入れライン415は、耐圧性を備えた開閉弁416を介して超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤供給部414に接続されている。超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤供給部414は、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤を液体の状態で貯留するタンクや送液ポンプ、流量調節機構などを備えている。
以上に説明した構成を備えた液処理ユニット2や超臨界処理ユニット3を含む液処理装置1は、図1〜図3に示すように制御部5に接続されている。制御部5は図示しないCPUと記憶部5aとを備えたコンピュータからなり、記憶部5aには液処理装置1の作用、即ちFOUP100からウエハWを取り出して液処理ユニット2にて液処理を行い、次いで超臨界処理ユニット3にてウエハWを乾燥する処理を行ってからFOUP100内にウエハWを搬入するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
次に、液処理ユニット2にてウエハWの表面に供給される第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤と、第2のフッ素含有有機溶剤をウエハWの表面から除去するために、処理容器31に超臨界流体の状態で供給される超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤について説明する。第1のフッ素含有有機溶剤、第2のフッ素含有有機溶剤および超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤は、いずれも炭化水素分子中にフッ素原子を含むフッ素含有有機溶剤である。
第1のフッ素含有有機溶剤、第2のフッ素含有有機溶剤および超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の組み合わせの例を(表1)に示す。
Figure 2015176935
(表1)の分類名中、HFE(HydroFluoro Ether)は、分子内にエーテル結合を持つ炭化水素の一部の水素をフッ素に置換したフッ素含有有機溶剤を示し、HFC(HydroFluoro Carbon)は炭化水素の一部の水素をフッ素に置換したフッ素含有有機溶剤を示す。また、PFC(PerFluoro Carbon)は、炭化水素の全ての水素をフッ素に置換したフッ素含有有機溶剤を示し、PFE(PerFluoro Ether)は、分子内にエーテル結合をもつ炭化水素の全ての水素をフッ素に置換したフッ素含有有機溶剤である。
これらのフッ素含有有機溶剤のうち、1つのフッ素含有有機溶剤を超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤として選んだとき、第2のフッ素含有有機溶剤には、この超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤よりも沸点の高い(蒸気圧が低い)ものが選ばれる。これにより、乾燥防止用の液体として超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤を採用する場合と比較して、液処理ユニット2から超臨界処理ユニット3へと搬送される間に、ウエハWの表面からの揮発するフッ素含有有機溶剤量を低減することができる。
より好適には、第1のフッ素含有有機溶剤の沸点は100℃前後であり(例えば98℃)、第2のフッ素含有有機溶剤の沸点は第1のフッ素含有有機溶剤の沸点より高い100℃以上(例えば174℃)であることが好ましい。沸点が100℃以上の第2のフッ素含有有機溶剤は、ウエハW搬送中の揮発量がより少ないので、例えば直径300mmのウエハWの場合は0.01〜5cc程度、直径450mmのウエハWの場合は0.02〜10cc程度の少量のフッ素含有有機溶剤を供給するだけで、数十秒〜10分程度の間、ウエハWの表面が濡れた状態を維持できる。参考として、IPAにて同様の時間だけウエハWの表面を濡れた状態に保つためには10〜50cc程度の供給量が必要となる。
また、2種類のフッ素含有有機溶剤を選んだ時、その沸点の高低は、超臨界温度の高低にも対応している。そこで、超臨界流体として利用される超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤として、第2のフッ素含有有機溶剤よりも沸点が低いものを選ぶことにより、低温で超臨界流体を形成することが可能なフッ素含有有機溶剤を利用することが可能となり、フッ素含有有機溶剤の分解によるフッ素原子の放出が抑えられる。
<分離再生装置>
次に基板処理装置に組み込まれた本実施の形態による分離再生装置について図5乃至図9により説明する。
図5乃至図9に示すように、分離再生装置30は、ウエハWを収納し、このウエハWに対して薬液、リンス液、第1のフッ素含有有機溶剤、および第2フッ素含有有機溶剤を供給して液処理を施す前述した液処理ユニット2と、液処理ユニット2からの排液を貯留するとともに、放出ライン65により大気と接続された大気開放系の混合排液タンク31とを備えている。このうち混合排液タンク31内には液処理ユニット2から排出ライン45を介して送られる排液(混合液)が貯留されるが、この混合液中には後述のようにリンス液である脱イオン水(De Ionized Water:DIW)、IPA、第1のフッ素含有有機溶剤、および第2フッ素含有有機溶剤が含まれる。
混合排液タンク31からの混合液はポンプ46aが取付けられた供給ライン46を介して油水分離器32へ送られる。この排液(混合液)は次に油水分離器32において油水分離され、DIWおよびIPAは排出ライン47を介して外方へ排出され、第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤の混合液は、供給ライン48を介してバッファタンク33へ送られる。
次にバッファタンク33からの第1のフッ素含有有機溶剤と第2フッ素含有有機溶剤の混合液は、ポンプ49aが取付けられた供給ライン49を介して蒸留タンク34へ送られる。
蒸留タンク34は混合液中の第1沸点(例えば98℃)をもつ第1のフッ素含有有機溶剤(例えばHFE7300)と、第1沸点より高い第2沸点(例えば174℃)をもつ第2のフッ素含有有機溶剤(例えばFC43)とを分離して気体状の第1のフッ素含有有機溶剤と、液体状の第2のフッ素含有有機溶剤とを生成するものである。この蒸留タンク34は、混合液を加熱するヒータ34aを有し、混合液を加熱して第1沸点(例えば98℃)と第2沸点(例えば174℃)との間の温度(例えば120〜150℃)をもつようにする。なお、第1沸点および第2沸点は必ずしも大気圧における沸点ではない。例えば、蒸留タンク34の内圧を高くした場合は、周知のように沸点が高くなるため、ヒータ34aの温度は変化した第1沸点および第2沸点との間に温度をもつようにする。
蒸留タンク34において分離された気体状の第1のフッ素含有有機溶剤は供給ライン50を介して第1のタンク35へ送られ、この第1のタンク35内において第1のフッ素含有有機溶剤は液化して貯留される。
他方、蒸留タンク34からの液体状の第2のフッ素含有有機溶剤は、第2のタンク36へ送られて貯留される。
また第1のタンク35内の第1のフッ素含有有機溶剤は、第1の供給ライン38を介して液処理ユニット2へ戻される。
第1の供給ライン38にはポンプ39が取付けられ、また第1の供給ライン38には活性炭を含む有機物除去フィルタ40a、活性アルミナを含むイオン除去フィルタ40b、パーティクル除去フィルタ40cが取付けられている。また第1の供給ライン38には、第1の濃度計41が設けられている。
また第1のタンク35の上部には、第1のタンク35内の余剰圧を混合排液タンク31側へ戻す余剰圧戻しライン51が接続され、この余剰圧戻しライン51は後述する余剰圧戻しライン53と合流して合流ライン55に接続されている。そして合流ライン55は混合排液タンク31に達している。
他方、第2タンク36内の第2のフッ素含有有機溶剤は、第2の供給ライン42を介して液処理ユニット2側へ戻される。
第2の供給ライン42にはポンプ43が取付けられ、また第2の供給ライン42には活性炭を含む有機物除去フィルタ44a、活性アルミナを含むイオン除去フィルタ44b、パーティクル除去フィルタ44cが取付けられている。また第2の供給ライン42には第2の濃度計45が設けられている。
また第2のタンク36の上部には、第2のタンク36内の余剰圧を混合排液タンク31側へ戻す余剰圧戻しライン53が接続され、この余剰圧戻しライン53は余剰圧戻しライン51と合流して上述のように混合排液タンク31に達する合流ライン55に接続されている。
さらに第1のタンク35および第2のタンク36には、各々新規の第1のフッ素含有有機溶剤および新規の第2のフッ素含有有機溶剤を供給するための第1の新規供給ライン35aおよび第2の新規供給ライン36aが設けられている。
なお、第1の濃度計41および第2の濃度計45としては、濃度変化に対応する比重の変化を測定する比重計、あるいは濃度変化に対応する屈折率の変化を測定する光学測定器を用いることができる。
また、分離再生装置30の構成要素、例えばポンプ46a、49a、39、43および蒸留タンク34等は記憶部5aを有する制御部5により駆動制御される。
次に第1タンク35および第2タンク36に接続された余剰圧戻しライン51、53および合流ライン55について更に説明する。
余剰圧戻しライン51、53および合流ライン55は、第1のタンク35および第2のタンク36内の余剰圧力を大気開放系の混合排液タンク31に戻すことにより、第1のタンク35および第2のタンク36内の圧力を混合排液タンク31と同様の圧力に維持するものである。このことにより、蒸留タンク34からの第1のフッ素含有有機溶剤をスムースに第1のタンク35に導くことができ、また蒸留タンク34からの第2のフッ素含有有機溶剤をスムースに第2のタンク36に導くことができる。
また余剰圧戻しライン51には、リリーフ弁または圧力制御弁からなる逆止弁61が取付けられており、混合排液タンク31からの混合液が第1のタンク35内へ逆流することを防止している。さらに余剰圧戻しライン53にも、リリーフ弁または圧力制御弁からなる逆止弁63が取付けられており、混合排液タンク31からの混合液が第2のタンク36へ逆流することを防止している。
また第1のタンク35には、第1のタンク35内の圧力が負圧となった場合に大気を第1のタンク35内に導く大気導入管67が設けられ、この大気導入管67には第1のタンク35内の第1のフッ素含有有機溶剤が外方へ排出されることを防止するため、リリーフ弁または圧力制御弁からなる逆止弁68aが取付けられている。
さらに第2のタンク36には、第2のタンク36内の圧力が負圧になった場合に大気を第2のタンク36内に導く大気導入管68が設けられ、この大気導入管68には第2のタンク36内の第2のフッ素含有有機溶剤が外方へ排出されることを防止するため、リリーフ弁または圧力制御弁からなる逆止弁67aが取付けられている。
また合流ライン55には、ヒータ55aが取付けられており、このヒータ55aにより合流ライン55内のフッ素含有有機溶剤を気化した状態に保って混合排液タンク31内へ送るようにしている。
さらにまたバッファタンク33にも、バッファタンク33内の余剰圧力を大気開放系の混合排液タンク31へ戻す余剰圧力戻しライン52が接続されている。このようにバッファタンク33内の余剰圧力を余剰圧力戻しライン52を介して混合排液タンク31へ戻すことにより、バッファタンク33内の圧力を混合排液タンク31と同様の圧力に維持することができる。このため油水分離器32からの排液をスムースにバッファタンク33に導くことができる。
さらにバッファタンク33には、バッファタンク33内の圧力が負圧になった場合に大気をバッファタンク33内へ導く大気導入管66が設けられ、この大気導入管66にはバッファタンク33内のフッ素含有有機溶剤が外方へ排出されることを防止するため、リリーフ弁または圧力制御弁からなる逆止弁66aが取付けられている。
なお、第1のタンク35からの余剰圧戻しライン53、およびバッファタンク33からの余剰圧戻しライン52に各々逆止弁61、63、62を設けた例を示したが、これに限らず第1のタンク35、第2のタンク36、およびバッファタンク33を混合排液タンク31より高い位置に配置し、揚程を利用して第1のタンク35、第2のタンク36、およびバッファタンク33からの余剰圧を混合排液タンク31側へ戻してもよい。この場合、余剰圧戻しライン51、53、52には必ずしも逆止弁61、63、62を設ける必要はない。
さらに第1のタンク35からの余剰圧戻しライン51、第2のタンク36からの余剰圧戻しライン53、バッファタンク33からの余剰圧戻しライン52のうち、余剰圧戻しライン51、53のみを設けてもよく、この場合は余剰圧戻しライン52は不要となる。あるいは余剰圧戻しライン52のみを設けてもよく、この場合は余剰圧戻しライン51、53は不要となる。
さらにまた、第1のタンク35および第2のタンク36からの余剰圧戻しライン51、53を合流ライン55に合流させることなく、余剰圧戻しライン51、53を独立させて混合排液タンク31へ導いてもよい。
<本実施の形態の作用>
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態においては、第1のフッ素含有有機溶剤としてHFE7300を用い、第2のフッ素含有有機溶剤としてFC43を用い、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤としてFC72を用いた場合の作用について説明する。
はじめに、FOUP100から取り出されたウエハWが搬入出部12及び受け渡し部13を介して液処理部14に搬入され、液処理ユニット2のウエハ保持機構23に受け渡される。次いで、回転するウエハWの表面に各種の処理液が供給されて液処理が行われる。
図6に示すように液処理は、例えばアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:DIW)によるリンス洗浄が行われる。
薬液による液処理やリンス洗浄を終えたら、回転するウエハWの表面に処理液供給部201からIPAを供給し、ウエハWの表面及び裏面に残存しているDIWと置換する。ウエハWの表面の液体が十分にIPAと置換されたら、第1のフッ素含有有機溶剤供給部203aから回転するウエハWの表面に第1のフッ素含有有機溶剤(HFE7300)を供給した後、ウエハWの回転を停止する。引き続いてウエハWを回転させ、第2のフッ素含有有機溶剤供給部203bから回転するウエハWの表面に第2のフッ素含有有機溶剤(FC43)を供給した後、ウエハWの回転を停止する。回転停止後のウエハWは、第2のフッ素含有有機溶剤によってその表面が覆われた状態となっている。この場合、IPAはDIWおよびHFE7300との親和性が高く、HFE7300はIPAおよびFC43との親和性が高いため、DIWをIPAにより確実に置換することができ、次にIPAをHFE7300により確実に置換することができる。次にHFE7300をFC43により容易かつ確実に置換することができる。
液処理を終えたウエハWは、第2の搬送機構161によって液処理ユニット2から搬出され、超臨界処理ユニット3へと搬送される。第2のフッ素含有有機溶剤として、沸点の高い(蒸気圧の低い)フッ素含有有機溶剤を利用しているので、搬送される期間中にウエハWの表面から揮発するフッ素含有有機溶剤の量を少なくすることができる。
処理容器3AにウエハWが搬入される前のタイミングにおいて、超臨界流体供給部4Aは、開閉弁416を開いて超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤供給部414から超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の液体を所定量送液してから開閉弁352、416を閉じ、スパイラル管411を封止状態とする。このとき、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の液体はスパイラル管411の下方側に溜まっており、スパイラル管411の上方側には超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤を加熱したとき、蒸発した超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤が膨張する空間が残されている。
そして、電源部412からハロゲンランプ413へ給電を開始し、ハロゲンランプ413を発熱させると、スパイラル管411の内部が加熱され超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤が蒸発し、さらに昇温、昇圧されて臨界温度、臨界圧力に達して超臨界流体となる。スパイラル管411内の超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤は、処理容器3Aに供給された際に、臨界圧力、臨界温度を維持することが可能な温度、圧力まで昇温、昇圧される。
こうして超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体を供給する準備が整った超臨界処理ユニット3に、液処理を終え、その表面が第2のフッ素含有有機溶剤で覆われたウエハWが搬入されてくる。
図3に示すように、処理容器3A内にウエハWが搬入され、蓋部材332が閉じられて密閉状態となったら、ウエハWの表面の第2のフッ素含有有機溶剤が乾燥する前に超臨界流体供給ライン351の開閉弁352を開いて超臨界流体供給部41から超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体を供給する。
超臨界流体供給部4Aから超臨界流体が供給され、処理容器3A内が超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体雰囲気となったら、超臨界流体供給ライン351の開閉弁352を閉じる。超臨界流体供給部4Aは、ハロゲンランプ413を消し、不図示の脱圧ラインを介してスパイラル管411内の流体を排出し、次の超臨界流体を準備するために超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤供給部414から液体の超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤を受け入れる態勢を整える。
一方、処理容器3Aは、外部からの超臨界流体の供給が停止され、その内部が超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体で満たされて密閉された状態となっている。このとき、処理容器3A内のウエハWの表面に着目すると、パターン内に入り込んだ第2のフッ素含有有機溶剤の液体に、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の超臨界流体62が接している。
このように第2のフッ素含有有機溶剤の液体と、超臨界流体とが接した状態を維持すると、互いに混じりやすい第2のフッ素含有有機溶剤、および超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤同士が混合されて、パターン内の液体が超臨界流体と置換される。やがて、ウエハWの表面から第2のフッ素含有有機溶剤の液体が除去され、パターンの周囲には、第2のフッ素含有有機溶剤と超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤との混合物の超臨界流体の雰囲気が形成される。このとき、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の臨界温度に近い比較的低い温度で第2のフッ素含有有機溶剤の液体を除去できるので、フッ素含有有機溶剤が殆ど分解せず、パターンなどにダメージを与えるフッ化水素の生成量も少ない。
こうして、ウエハWの表面から超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の液体が除去されるのに必要な時間が経過したら、排出ライン341の開閉弁342を開いて処理容器3A内からフッ素含有有機溶剤を排出する。このとき、例えば処理容器3A内が超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の臨界温度以上に維持されるようにヒーター322からの給熱量を調節する。この結果、超臨界処理用のフッ素含有有機溶剤の臨界温度よりも低い沸点を持つ第2のフッ素含有有機溶剤を液化させずに、混合流体を超臨界状態または気体の状態で排出でき、流体排出時のパターン倒れの発生を避けることができる。
超臨界流体による処理を終えたら、液体が除去され乾燥したウエハWを第2の搬送機構161にて取り出し、搬入時とは反対の経路で搬送してFOUP100に格納し、当該ウエハWに対する一連の処理を終える。液処理装置1では、FOUP100内の各ウエハWに対して、上述の処理が連続して行われる。
この間、図5に示すように、液処理ユニット2から混合排液タンク31内に排液が送られ、この混合排液タンク31内に排液(混合液)が貯留される。
この排液中にはDIW、IPA、第1のフッ素含有有機溶剤(HFE7300)、および第2のフッ素含有有機溶剤(FC43)が含まれる。また混合排液タンク31内の排液中、HFE7300とFC43は、ウエハWの一枚当り15ccずつ含まれており、このためHFE7300とFC43の混合比率は1:1となっている。この場合、混合排液タンク31はDIWおよびIPAからなるフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、第1のフッ素含有有機溶剤と、第2のフッ素含有有機溶剤とを含む混合液を生成する混合液生成部として機能する。
次に混合排液タンク31からの排液はポンプ46aにより供給ライン46を介して油水分離器32へ送られる。次に排液は油水分離器32において、油水分離され、DIWおよびIPAからなるフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体は排出ライン47を介して外方へ排出され、第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤の混合液は、供給ライン48を介してバッファタンク33へ送られる。
次にバッファタンク33からの第1のフッ素含有有機溶剤と第2フッ素含有有機溶剤の混合液は、ポンプ49aにより供給ライン49を介して蒸留タンク34へ送られる。
蒸留タンク34は混合液中の第1沸点(例えば98℃)をもつ第1のフッ素含有有機溶剤と、第1沸点より高い第2沸点(例えば174℃)をもつ第2フッ素含有有機溶剤とをヒータ34aにより加熱して分離し、気体状の第1のフッ素含有有機溶剤と、液体状の第2のフッ素含有有機溶剤とを生成する。この場合、混合液はヒータ34aにより大気圧(1atm)で第1沸点(例えば98℃)と第2沸点(例えば174℃)との間の温度120〜150℃)をもつ。この間、バッファタンク33内の余剰圧は、余剰圧戻しライン52により混合排液タンク31へ戻される。
蒸留タンク34において分離された気体状の第1のフッ素含有有機溶剤は供給ライン50を介して第1タンク35へ送られ、この第1のタンク35内において第1のフッ素含有有機溶剤は液化して貯留される。
他方、蒸留タンク34からの液体状の第2のフッ素含有有機溶剤は、第2のタンク36へ送られて貯留される。
また第1のタンク35内の第1のフッ素含有有機溶剤は、ポンプ39により第1の供給ライン38を介して液処理ユニット2へ戻される。この間、第1のタンク35内の第1のフッ素含有有機溶剤は、第1の供給ライン38に設置された活性炭を含む有機物除去フィルタ40a、活性アルミナを含むイオン除去フィルタ40b、およびパーティクル除去フィルタ40cにより清浄化される。また第1のフッ素含有有機溶剤は、第1の供給ライン38に設けられた濃度計41によりその濃度が測定される。また第1のタンク35内の余剰圧は、余剰圧戻しライン51および合流ライン55により混合排液タンク31側へ戻される。
他方、第2のタンク36内の第2のフッ素含有有機溶剤は、ポンプ43により第2の供給ライン42を介して液処理ユニット2側へ戻される。この間、第2のタンク36内のフッ素含有有機溶剤は、第2の供給ライン42に設置された活性炭を含む有機物除去フィルタ44a、活性アルミナを含むイオン除去フィルタ44b、およびパーティクル除去フィルタ44cにより清浄化される。また第2のフッ素含有有機溶剤は第2の供給ライン42に設けられた第2の濃度計45により、その濃度が測定される。
また第2のタンク36内の余剰圧は、余剰圧戻しライン53および合流ライン55により混合排液タンク31へ戻される。
次にバッファタンク33内の余剰圧、第1のタンク35内の余剰圧および第2のタンク36内の余剰圧の挙動について更に説明する。
上述のようにバッファタンク33内の余剰圧は、余剰圧戻しライン52を介して混合排液タンク31へ戻される。また、第1のタンク35内の余剰圧および第2のタンク36内の余剰圧は、各々余剰圧戻しライン51、53および合流ライン55を介して混合排液タンク31へ戻される。
この場合、図7に示すように混合排液タンク31は、大気開放系のタンクとなっており、内部にDIWおよびIPAからなるフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aと、第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤からなるフッ素含有有機溶剤31Bとが貯留されている。混合排液タンク31のフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aは、フッ素含有有機溶剤31Bに比べて軽いため、混合排液タンク31内において、フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aとフッ素含有有機溶剤31Bは略分離状態にあってフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aはフッ素含有有機溶剤31Bの上方に位置している。
また、バッファタンク33からの余剰圧戻しライン52の先端52aおよび第1のタンク35および第2のタンク36からの合流ライン55の先端55aは、いずれも混合排液タンク31内においてフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aの下方に位置している。このため混合排液タンク31内においてフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aは一種の水蓋として機能することになり、余剰圧戻しライン52および合流ライン55から送られるフッ素含有有機溶剤31Bを水蓋としてのフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31A下方に閉じ込めておくことができる。
また、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36からの余剰圧をスムースに大気開放系の混合排液タンク31に導くことができ、このことによりバッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36内を混合排液タンク31と略同一の圧力に維持することができる。
また、図7に示すように、液処理ユニット2からの排出ライン45の先端45aも、混合排液タンク31内においてフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aの下方に配置されている。
混合排液タンク31内において、余剰圧戻しライン52の先端52a、合流ライン55の先端55a、および排出ライン45の先端45aを確実にフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aの下方に配置させることができるよう、液面センサ70によりフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aの液面が検出される。この場合、液面センサ70により検出されたフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aの液面と、余剰圧戻しライン52の先端52aおよび合流ライン55の先端55aとの距離が、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36の内圧となる。従ってバッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36内の余剰圧をスムースに混合排液タンク31内へ導くためには、フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31Aの液面がなるべく低くなるよう調整することが好ましい。
この場合、余剰圧戻しライン52および合流ライン55中に浮き子等を設けて、余剰圧戻しライン52および合流ライン55内の圧力が一定となるよう調整してもよい。
このように、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36からの余剰圧を混合排液タンク31へ導くことにより、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36内を大気開放系の混合排液タンク31と略同一の圧力に維持することができる。このため油水分離器32からのフッ素含有有機溶剤の混合液をスムースにバッファタンク33へ導くことができ、かつ蒸留タンク34からの気体状の第1のフッ素含有有機溶剤をスムースに第1のタンク35へ導くことができる。さらに蒸留タンク34からの液体状の第2のフッ素含有有機溶剤をスムースに第2のタンク36へ導くことができる。
さらにまた、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36からの余剰圧を混合排液タンク31へ導くことにより、例えばバッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36を大気開放系のタンクとした場合に比べて、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36内のフッ素含有有機溶剤を混合排液タンク31へ戻して余剰圧中のフッ素含有有機溶剤の有効利用を図ることができる。
また、混合排液タンク31内において、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36から戻されたフッ素含有有機溶剤を含む余剰圧は、フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31A下方へ送られる。このため混合排液タンク31からフッ素含有有機溶剤が排気されるが、この排気されるフッ素含有有機溶剤の量を小さく抑えることができる。
ここで図9により本発明の比較例について述べる。図9に示す比較例はバッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36に余剰圧戻しラインを設けることなく、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36を大気開放系のタンクにより構成したものであり、他の構成は図5に示す構造と略同一である。
図9に示す比較例において、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36を大気開放系のタンクから構成したので、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36内のフッ素含有有機溶剤を含む余剰圧はそのまま大気へ開放してしまう。
これに対して本実施の形態によれば、バッファタンク33、第1のタンク35および第2のタンク36内のフッ素含有有機溶剤を含む余剰圧を混合排液タンク31へ戻すことにより、余剰圧中のフッ素含有有機溶剤の有効利用を図ることができ、さらに混合排液タンク31内において余剰圧中のフッ素含有有機溶剤をフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体31A下方へ導くことにより、混合排液タンク31から排気されるフッ素含有有機溶剤の量を更に小さく抑えることができる。
次に図8により、バッファタンク34における第1のフッ素含有有機溶剤(HFE7300)と第2のフッ素含有有機溶剤(FC43)とを含む混合液の混合比率と、蒸留タンク36内において混合液を分離する分離比率との関係を説明する。
上述のように、混合排液タンク31内の排液中、HFE7300とFC43は、ウエハWの一枚当り15ccずつ含まれており、このためHFE7300とFC43の混合比率は1:1となっている。また、バッファタンク34内におけるHFE7300とFC43の混合比率も1:1となる。
蒸留タンク34内では、混合液をヒータ34aにより加熱することにより、混合液は気体状のHFE7300と液体状のFC43とに分離されるが、この分離比率は混合液の混合比率に対応させて1:1となっている。
蒸留タンク34内において、混合液が気体状のHFE7300と液体状FC43とに分離比率1:1をもって分離され、ウエハWの一枚当り15ccのHFE7300と、15ccのFC43とが生成される。この場合、蒸留タンク34内における分離されたHFE7300の純度が例えば86%とすると、HFE7300とFC43の混合比率が1:1となっているため、蒸留タンク34内で分離されたFC43の純度も86%となる。
このため第1のタンク35から純度86%のHFE7300が、ウエハWの一枚当り15ccの量だけ液処理ユニット2側へ戻され、同時に第2のタンク36から純度86%のFC43がウエハWの一枚当り15ccの量だけ液処理ユニット2側へ戻される。
この場合、液処理ユニット2内において、まず純度86%のHFE7300が第1のフッ素含有有機溶剤としてウエハWに対して供給され、次に純度86%のFC43が第2のフッ素含有有機溶剤としてウエハWに対して供給される。
図8に示すように、純度86%のHFE7300(残りはFC43)をウエハWに対して供給しても、HFE7300の純度が67%以上の場合、パターンの倒壊はないので全く問題はない。またその後、純度86%のFC43(残りはHFE7300)をウエハWに対して供給しても、FC43とHFE7300は高い親和性をもって溶解するため、ウエハW上に十分なFC43の液盛りを形成することができる。
なお、バッファタンク34内のHFE7300がウエハWの一枚当り30ccの容量をもち、FC43がウエハWの一枚当り15ccの容量をもち、混合比率が2:1の場合、蒸留タンク34内での分離比率も2:1となる。
この場合、蒸留タンク34内で分離されるHFE7300の純度が例えば90%とすると、FC43の純度は80%となる。この際、液処理ユニット2において、純度90%のHFE7300がウエハWに対して30cc供給され、その後純度80%のFC43がウエハWに対して15cc供給される。ウエハWに対して供給されるHFE7300は純度90%をもつため、パターンが倒壊することはない。またその後純度80%のFC43をウエハWに対して供給しても、HFE7300とFC43が高い親和性をもって溶解するため、ウエハW上に十分なFC43の液盛りを形成することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、液処理ユニット2において、第1のフッ素含有有機溶剤がウエハWに供給され、その後第2のフッ素含有有機溶剤がウエハWに供給されるものを示したが、これに限るものではない。液処理ユニット2において、第2のフッ素含有有機溶剤がウエハWに供給され、その後第1のフッ素含有有機溶剤がウエハWに供給されるものであってもよく、液処理ユニット2から超臨界処理ユニット3へと搬送される間に、ウエハWの表面からの揮発するフッ素含有有機溶剤量を低減することができ、第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤が高い親和性をもって溶解するものであればよい。
また、上記実施の形態においては、混合液生成部における混合液の生成にてフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体として水およびIPA(アルコール)を用いることを示したが、これに限るのもではない。フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体であれば、水、IPAなどのアルコール、ケトン、エーテル、ベンゼンなどから1種以上選ばれる液体であればよい。また、フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体は、ウエハWに供給される場合に限らず、混合排液タンク31に直接供給されるようにしてもよい。
また、実施の形態においては、液処理ユニット2を示したが、限るものでない。超臨界処理ユニット3から排出される異なる沸点を有するフッ素含有有機溶剤の分離再生するために分離再生装置を適用することができる。このとき、超臨界処理ユニット3から排出されるフッ素含有有機溶剤が送られる混合排液タンク31内に予めフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体を供給し貯留しておき、この液体内にフッ素含有有機溶剤を排出させ混合液を生成し、その後、異なる沸点を有するフッ素含有有機溶剤を分離再生するようにしてもよい。
W ウエハ
1 液処理装置
2 液処理ユニット
3 超臨界処理ユニット
3A 処理容器
4A 超臨界流体供給部
5 制御部
30 分離再生装置
31 混合排液タンク
32 油水分離器
33 バッファタンク
34 蒸留タンク
34a ヒータ
35 第1のタンク
36 第2のタンク
38 第1の供給ライン
42 第2の供給ライン
51 余剰圧戻しライン
52 余剰圧戻しライン
52a 先端
53 余剰圧戻しライン
55 合流ライン
55a 先端
61 逆止弁
62 逆止弁
63 逆止弁
70 液面センサ

Claims (11)

  1. フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、第1沸点をもつ第1のフッ素含有有機溶剤と、第1沸点より高い第2沸点をもつ第2のフッ素含有有機溶剤とを有する混合液を生成する大気開放系の混合液生成部と、
    前記混合液のうち第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤を前記第1沸点と前記第2沸点との間の温度に加熱するヒータを含み、前記第1のフッ素含有有機溶剤と第2のフッ素含有有機溶剤を気体状の前記第1のフッ素含有有機溶剤と液体状の前記第2のフッ素含有有機溶剤とに分離する蒸留タンクと、
    前記蒸留タンクから流れてくる気体状の前記第1のフッ素含有有機溶剤を液化して貯留する第1のタンクと、
    前記蒸留タンクから流れてくる液体状の前記第2のフッ素含有有機溶剤を貯留する第2のタンクとを備え、
    前記第1のタンクと前記混合液生成部との間、および前記第2のタンクと前記混合液生成部との間に、前記第1のタンクおよび前記第2のタンクからの余剰圧を前記混合生成部へ戻す余剰圧戻しラインを各々設け、各余剰圧戻しラインの先端を前記混合液生成部内の混合液のうちフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体の下方に配置したことを特徴とする分離再生装置。
  2. 前記混合液生成部と前記蒸留タンクとの間に、混合液をフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、第1のフッ素含有有機溶剤および第2のフッ素含有有機溶剤とに分離する油水分離器を設けたことを特徴とする請求項1記載の分離再生装置。
  3. 各余剰圧戻しラインに逆流を防止する逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の分離再生装置。
  4. 前記逆止弁はリリーフ弁又は圧力制御弁からなることを特徴とする請求項3記載の分離再生装置。
  5. 前記第1のタンクおよび前記第2のタンクは、前記混合液生成部より高い場所に設置されて余剰圧戻しライン内の逆流を防止することを特徴とする請求項1または2記載の分離再生装置。
  6. フッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、フッ素含有有機溶剤とを有する混合液を生成する混合液生成部と、
    前記混合液のうちフッ素含有有機溶剤を貯留するバッファタンクを備え、
    前記バッファタンクと前記混合液生成部との間に、前記バッファタンクからの余剰圧を前記混合液生成部へ戻す余剰圧戻しラインを設け、余剰圧戻しラインの先端を前記混合液生成部のうちフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体の下方に配置したことを特徴とする分離再生装置。
  7. 前記混合液生成部と前記バッファタンクとの間に、混合液をフッ素含有有機溶剤に溶解せずなおかつ比重が軽い液体と、フッ素含有有機溶剤とに分離する油水分離器を設けたことを特徴とする請求項6記載の分離再生装置。
  8. 余剰圧戻しラインに逆流を防止する逆止弁を設けたことを特徴とする請求項6または7記載の分離再生装置。
  9. 前記逆止弁はリリーフ弁又は圧力制御弁からなることを特徴とする請求項8記載の分離再生装置。
  10. 前記バッファタンクは、前記混合液生成部より高い場所に設置されて、余剰圧戻しライン内の逆流を防止することを特徴とする請求項6または7記載の分離再生装置。
  11. 被処理体に第1沸点をもつ第1のフッ素含有有機溶剤と、第1沸点より高い第2沸点をもつ第2のフッ素含有有機溶剤を供給して液処理を行う液処理ユニットと、
    液処理後の被処理体に付着しているフッ素含有有機溶剤の液体をフッ素含有有機溶剤の超臨界流体と接触させて除去する超臨界処理ユニットと、
    前記液処理ユニットで液処理された被処理体を前記超臨界処理ユニットへ搬送する基板搬送ユニットと、を備え、
    前記液処理ユニットまたは/および前記超臨界処理ユニットに請求項1記載の分離再生装置が組み込まれている、ことを特徴とする基板処理装置。
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