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JP2015009723A - 車両用外装材の補強方法及び車両用補強外装材 - Google Patents

車両用外装材の補強方法及び車両用補強外装材 Download PDF

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Abstract

【課題】ボディ、ドア、バンパー等の車両用外装材に対して、従来必要であった金属製補強部材を省略しても、耐衝撃性、剛性、防振性等を付与することが可能であるとともに、全体として軽量化、コストダウンを図ることが可能な車両用外装材の補強方法及び車両用補強外装材を提供する。【解決手段】車両用外装材の内面に、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布し、該内面に沿ってポリウレア樹脂の補強層を形成する。硬化剤がポリアミンであり、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上であるポリウレア樹脂を用いる。【選択図】 図5

Description

本発明は、車両用外装材の補強方法及び車両用補強外装材に係わり、更に詳しくはボディ、ドア、バンパー等の車両用外装材に対して耐衝撃性、剛性、防振性等を付与する補強方法及び車両用補強外装材に関するものである。
車両のボディやドア等の上部構造体に用いる外装材は、薄い鋼板をプレス加工して立体的に形成し、それ自体で剛性を持たせている。そして、車両の側面からの衝撃に対して乗員を保護するために、外装材の内側に沿って金属製の補強部材が設けられている。この補強部材として、インパクトバーやレインフォースメントが付設されている。
例えば、特許文献1に示すように、ドアのアウタパネルの内側でバンパーの高さ位置にインパクトバーとレインフォースメントが併設された車両のドア構造が開示されている。それにより、他の車両との衝突の際に、アウタパネルが内側へ大きく凹むのをインパクトバーとレインフォースメントで防ぎ、乗員を保護することができる。ドア以外にも乗員の座部に対応するボディの側面や天井部分にも、外装材の内側に補強部材を設け、外装材の耐衝撃性を高めることもある。また、特許文献2には、複数のインパクトバーを備えるドアのアウタパネルの内側面に沿って衝撃吸収部材を添設した車両の側部衝撃吸収構造が開示されている。この衝撃吸収部材の例として、低発泡ウレタン、トリムのリブ増強やハニカム構造体、金属箔や紙や樹脂シート等で形成される筒状衝撃吸収材が挙げられている。
近年、自動車の上部構造体に用いる鋼板は、車体の軽量化を図るために厚さ0.6〜0.8mmの薄い鋼板が使用され、更に高張力鋼板を使用してより薄く軽量化する傾向にあり、平均的には100kgの軽量化により燃費約1km/リットルの節減になり、排出ガスも削減できるとされる。しかし、車両の外装材を薄くすればその分だけ軽量化を図れても、耐衝撃性を確保するために、剛性の高い金属製補強部材を用いる必要があったので、補強部材が軽量化の妨げになっていた。
特許文献3には、自動車車体鋼板の内側に貼り付けて剛性を補強するための補強シートが開示されている。この補強シートは、未加硫シートに拘束層を積層したものであり、自動車車体鋼板に未加硫シート側が接するように重ね合わせて貼り付けた後、自動車製造ラインにおけるオーブンを通過する等の方法により加熱・焼成され、架橋硬化することにより、該鋼板と強固に接着して積層体を形成するのである。しかし、補強シートは、予め所定の複雑な形状に裁断する必要があり、作業性が非常に悪く、またゴム材であるので補強効果が十分でない。
一方、ポリウレア樹脂は、硬化時間が早く、耐久性、防水性、耐薬品性を備え、伸び率も280%以上あるので、土木、建築分野でコンクリート面に吹き付けて防水処理するために使用されている。例えば、屋上駐車場の床面、トンネル、地下タンク、水泳用プール、水路等の内面に形成している。また、防錆効果も高いので船舶での使用実績もある。
特開2010−137754号公報 特開2009−173140号公報 特開2001−038842号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、ボディ、ドア、バンパー等の車両用外装材に対して、従来必要であった金属製補強部材を省略しても、耐衝撃性、剛性、防振性等を付与することが可能であるとともに、全体として軽量化、コストダウンを図ることが可能な車両用外装材の補強方法及び車両用補強外装材を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、車両用外装材の内面に、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布し、該内面に沿ってポリウレア樹脂の補強層を形成することを特徴とする車両用外装材の補強方法を構成した(請求項1)。
ここで、前記硬化剤がポリアミンであることが好ましい(請求項2)。
更に、前記ポリウレア樹脂は、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上であるとより好ましい(請求項3)。
そして、車両のボディ及びドアの外装材内面に、金属製の補強部材の代わりにポリウレア樹脂の補強層を形成してなるのである(請求項4)。あるいは、車両のボディ及びドアの外装材内面に、金属製の補強部材と併用してポリウレア樹脂の補強層を形成してなるのである(請求項5)。
また、本発明は、内面に、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布し、該内面に沿ってポリウレア樹脂の補強層を形成して補強したことを特徴とする車両用補強外装材を構成した(請求項6)。
本発明の車両用補強外装材は、前記硬化剤がポリアミンであることが好ましい(請求項7)。
更に、本発明の車両用補強外装材は、前記ポリウレア樹脂は、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上であるとより好ましい(請求項8)。
そして、本発明の車両用補強外装材は、前記外装材が車両のボディ及びドアの外装材であり、その内面に、金属製の補強部材の代わりにポリウレア樹脂の補強層を形成してなるのである(請求項9)。あるいは、前記外装材が車両のボディ及びドアの外装材であり、その内面に、金属製の補強部材と併用してポリウレア樹脂の補強層を形成してなるのである(請求項10)。
以上にしてなる本発明の車両用外装材の補強方法及び車両用補強外装材は、車両用外装材の内面に、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布し、該内面に沿ってポリウレア樹脂の補強層を形成するので、外装材の内面に沿った所定領域に面としてポリウレア樹脂の補強層を設けて補強することができ、その外側から加わる衝撃に対して、衝撃力が作用して凹む範囲ではポリウレア樹脂の補強層に引張り応力が作用し、その外側周辺では圧縮応力が作用するが、ポリウレア樹脂は初期弾性率が非常に高いので外装材の変形を弾性的に防止し、また衝撃力を吸収することができるのである。
特に、前記硬化剤がポリアミンであり、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上であるポリウレア樹脂を用いると、耐衝撃性に非常に優れている。また、ポリウレア樹脂は、イソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とがウレア結合して生成されるが、その反応は非常に早く、数秒で接触硬化するので、後工程を直ちに行うことができ、生産効率が良くなる。また、ポリウレア樹脂は、ポリウレタン樹脂に比べて結合力が強く、加水分解しないため、耐水・耐食・耐薬品性に優れている。
本発明の車両用補強外装材は、前記外装材が車両のボディ及びドアの外装材であり、その内面に、金属製の補強部材の代わりにポリウレア樹脂の補強層を形成したものであるので、全体として耐衝撃性を損なわず軽量化を図ることができる。あるいは、前記外装材が車両のボディ及びドアの外装材であり、その内面に、金属製の補強部材と併用してポリウレア樹脂の補強層を形成したものであるので、従来構造のものより更に耐衝撃性を高めることができる。また、外装材の広い面積にわたってポリウレア樹脂の補強層を形成することにより、防振性、防音性を高めることができ、また金属製の補強部材が存在しない箇所での剛性、耐衝撃性を新たに付与することができる。
内装部材を取り除いた状態の市販ドアの側面図である。 同じく金属製補強部材の1本を除去した状態のドアの側面図である。 図2の外装材の内面にポリウレア樹脂の補強層を形成した状態のドアの側面図である。 外装材とポリウレア樹脂の補強層の積層構造を示す部分断面図である。 各種グレードのポリウレア樹脂とウレタン樹脂のひずみ−応力図である。 図5のひずみが小さい領域の拡大図である。 各種グレードのポリウレア樹脂とウレタン樹脂の貯蔵弾性率とtanδのグラフである。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1〜図4は、ドアの外装材の内面にポリウレア樹脂の補強層を設ける実施形態を示し、図5〜図7には各種グレードのポリウレア樹脂の特性をウレタン樹脂と比較して示している。
本発明で対象とする車両用外装材としては、台車フレームに取付ける上部構造体、具体的にはボディ(側面板、ルーフ、床板を含む)、ドア、フード、トランクリッド、バンパー等が挙げられ、その他に車両に付属する剛構造の荷台材料、コンテナ等、基本的に薄い金属材料や場合によっては樹脂材料からなるものである。更に、炭素繊維強化樹脂で車両の外装材を構成する場合もある。
前記車両の外装材の内側には、耐衝撃性を高める金属製補強部材が適所に配置されている。これら補強部材としては、ドアインパクトバー、フロントバンパービーム、リアバンパービーム、クロスメンバー、フロントピラーレインフォース、センターピラーレインフォースおよびサイドシルなどがある。
本発明で使用するポリウレア樹脂は、イソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とからなり、硬化剤として特にポリアミンを用いたものである。ポリウレア樹脂は、イソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを混合することによって、ウレア結合が生成する反応によって硬化する。このウレア結合の生成反応は、数秒と非常に速いため、成形金型による通常の成形は困難である。そのため、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布する方法で基材表面に塗膜を形成する。
一般的なポリウレア樹脂の特徴としては、硬化が早く空気中の湿気や水分の影響を受け難いこと、低温でも硬化が早く且つ良好な塗膜を形成できること、耐薬品性に優れていること、基材表面に対する接着性に優れていること、伸び率が280%以上ありクラック等に十分に追従して密着性を維持できること挙げられる。
ポリウレア樹脂には幾つかのグレードがあり、それぞれ特性は異なるので、車両の外装材の補強として最適なグレードのもの選択して用いる必要がある。本実施形態で使用するポリウレア樹脂は、引張り特性として、初期弾性率ならびに弾性限界の応力が高く、且つ伸びが大きくて降伏強度が高い樹脂が好適である。具体的には、LINE−X社製、商品名:PAXCON XS−350のポリウレア樹脂を用いた。
図1は、自動車の市販されているドア1を、内装部材を取り除いた状態で内側から見た側面図である。ドア1の外装材2は、アウタパネルとも呼ばれ、その内側には両側部にわたって上下に金属製の補強部材3,4が付設され、外側からの耐衝撃性を持たせている。上側の補強部材3はレインフォースメント、下側の補強部材4はインパクトバーと呼ばれることもある。実験のため同じドア1を2つ用意し、一方のドア1は図2に示すように上側の補強部材3を除去した。そして、図3に示すように、前記補強部材3を除去したドア1の外装材2の内面に、全面にわたってポリウレア樹脂を塗布して所定厚さの補強層5を設けた。図4は、その一部の断面を示し、外装材2の鋼板と補強層5のポリウレア樹脂が積層された単純な構造となっている。
前記車両用外装材2の内面に、ポリウレア樹脂の補強層5を形成するには、それぞれ独立した原料供給ホース(図示せず)から供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤(ポリアミン)とを、衝突混合スプレーガン(図示せず)で塗布する。塗布すると直ちに、イソシアネートとポリアミンとがウレア結合を生成して硬化する。
本発明の効果を確認するために、落下衝撃試験を行った。図1のオリジナル状態のドア(オリジナルドア)と、図3の上側の補強部材3を除去し、内面にポリウレア樹脂の補強層5を形成したドア(ポリウレア樹脂補強ドア)を、それぞれ外装材2の外面を上方に向けて樹脂製パレットで両側を支持して水平に静置する。そして、コンクリートブロックの表面を落下衝撃時の破砕を防ぐためにポリウレア樹脂で被覆した11kgの重りを用意し、2mの高さから前記ドアの中央部に落下させた。これらの落下衝撃試験をビデオ撮影して分析した。
その結果、オリジナルドアは、コンクリートブロックが衝突した瞬間に、外装材2が約140mm凹み、その後、若干復元するが、全体的に約80mmの凹みが残った。それに対して、ポリウレア樹脂補強ドアは、コンクリートブロックが衝突した瞬間に、外装材2が約30mm凹んだが、その後完全に元の形状に復元して全体的な凹みは全く無く、ブロックが当たった部分に約0.3mmの凹みが残っただけであった。
次に、本実施形態で使用したLINE−X社製、商品名:PAXCON XS−350と他のグレード(PX−100、PX−2100、SE−500)と参考にウレタン樹脂の特性を比較した結果を図5〜図7に示す。
貯蔵弾性率E’は、引張試験モードで測定した複素弾性率の実部であり、試料の硬さを表している。tanδは、損失正接であり、分子運動が始まる温度でピークが生じ、この温度がガラス転移温度に相当する。
<1.引張試験>
ポリウレア樹脂:XS−350は、弾性変形の限界応力(降伏強さ)が高く、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上であることが分かる。その他のグレードのポリウレア樹脂はあまり高くない(SE−500は不明)。また、ウレタン樹脂は、弾性変形の限界応力が小さい反面、破断応力が30MPaを超え、そのときの伸びも約380%と大きい。つまり、ウレタン樹脂は、小さな応力でもひずみが大きくなり、柔らかくゴムのような特性である。ポリウレア樹脂:PX−100及びPX−2100はほぼ同じ挙動を示している。XS−350は、特に高い応力限界及びひずみ(伸び)の大きさが、優れた耐衝撃性を示している。
<2.粘弾性試験>
ポリウレア樹脂:PX−100及びPX−2100は、引張試験と同様、ほぼ同じ挙動である。tanδピークが80℃付近と、190℃付近に2つ認められる。また、−15℃付近にショルダーが見られる。ポリウレア樹脂:XS−350は、−15℃付近および80℃付近に小さくてブロードなピークがあり、200℃以上に大きなピークがありそうである。ポリウレア樹脂:SE−500は、160℃付近に大きなピークがあり、−40℃付近にごく小さなピークが認められる。それに対して、ウレタン樹脂は、10℃より若干低温で大きなピークがある。
以上のことから、ポリウレア樹脂:PX−100及びPX−2100は、比較的柔らかで転移点の低い2種類のセグメントで構成され、ポリウレア樹脂:XS−350は、上記のセグメントが含まれているが、その量はごく少なく、これらより硬くて転移点の高いセグメントが主成分として存在すると推測できる。また、ポリウレア樹脂:SE−500は、剛直な構造と、少量のPX−100及びPX−2100よりは転移点の低いセグメントから構成されていると推測できる。
以上により、ポリウレア樹脂はウレタン樹脂よりも耐衝撃性に優れ、更に複数あるポリウレア樹脂のグレードのうち、XS−350が最も優れた耐衝撃性を備えていることが理解できる。
1 ドア、
2 外装材、
3 補強部材、
4 補強部材、
5 ポリウレア樹脂の補強層。

Claims (10)

  1. 車両用外装材の内面に、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布し、該内面に沿ってポリウレア樹脂の補強層を形成することを特徴とする車両用外装材の補強方法。
  2. 前記硬化剤がポリアミンである請求項1記載の車両用外装材の補強方法。
  3. 前記ポリウレア樹脂は、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上である請求項1又は2記載の車両用外装材の補強方法。
  4. 車両のボディ及びドアの外装材内面に、金属製の補強部材の代わりにポリウレア樹脂の補強層を形成してなる請求項1〜3何れか1項に記載の車両用外装材の補強方法。
  5. 車両のボディ及びドアの外装材内面に、金属製の補強部材と併用してポリウレア樹脂の補強層を形成してなる請求項1〜3何れか1項に記載の車両用外装材の補強方法。
  6. 内面に、それぞれ独立した原料供給ホースから供給されたイソシアネートと、アミノ基を有する硬化剤とを衝突混合スプレーガンで塗布し、該内面に沿ってポリウレア樹脂の補強層を形成して補強したことを特徴とする車両用補強外装材。
  7. 前記硬化剤がポリアミンである請求項6記載の車両用補強外装材。
  8. 前記ポリウレア樹脂は、ひずみ(伸び)が2%のとき引張り応力が10MPa以上、破断応力が20MPa以上である請求項6又は7記載の車両用補強外装材。
  9. 前記外装材が車両のボディ及びドアの外装材であり、その内面に、金属製の補強部材の代わりにポリウレア樹脂の補強層を形成してなる請求項6〜8何れか1項に記載の車両用補強外装材。
  10. 前記外装材が車両のボディ及びドアの外装材であり、その内面に、金属製の補強部材と併用してポリウレア樹脂の補強層を形成してなる請求項6〜8何れか1項に記載の車両用補強外装材。
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