以下、本発明に係る電源装置及びその制御方法並びに光源装置について、実施形態を示して詳しく説明する。ここでは、実施形態として、LED(Light Emitting
Diode;発光ダイオード)を負荷とした駆動回路に適用した場合について説明するが、本発明は回路方式や負荷の種類を限定するものではなく、例えばLD(Laser Diode;レーザーダイオード)等を負荷とするものであってもよい。
<第1の実施形態>
(電源装置)
図1は、本発明に係る電源装置の第1の実施形態を示す概略ブロック図である。
本発明に係る電源装置の第1の実施形態においては、外乱による入力電圧の変化に応じて、PWM信号のDuty(デューティ;PWM制御におけるONタイム)を調整する回路構成及び制御方法を有している。
具体的には、第1の実施形態に係る電源装置は、例えば図1に示すように、大別して、デジタル電源制御部(PWM信号生成部)10と、デジタル電源パワー部(出力電圧制御部)20と、PWM調整部30と、を備えている。
デジタル電源制御部10は、ADC(アナログ−デジタルコンバータ)11と、演算回路を有するデジタル制御部12と、発振回路13と、を備え、負荷40への出力電流に応じたPWM信号を生成して、デジタル電源パワー部20に出力する。ここで、ADC11は、LED等の負荷40に供給される出力電流に応じたデジタル制御帰還信号を生成する。また、デジタル制御部(演算回路)12は、デジタル制御帰還信号に基づいて、デジタル電源パワー部20における動作を制御するためのPWM信号を生成して、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する。発振回路13は、デジタル制御部12における動作を規定する所定の周波数の動作クロック(基準クロック)を供給する。
デジタル電源パワー部20は、Duty調整回路(動作制御部)21と、スイッチング素子(SW)22及びダイオード(D)23を有する出力回路と、インダクタ(L)24及びコンデンサ(C)25を有する平滑回路と、電流検出用抵抗(Rs)26及び電流検出アンプ(AMP)27を有する出力電流検出回路と、を備えている。そして、デジタル電源パワー部20は、デジタル電源制御部10から出力されるPWM信号、及び、後述するPWM調整部30から出力されるDuty調整信号に基づいて、入力電圧Vin(入力信号)をPWM方式により所定の電圧値を有する出力電圧Vout(出力信号)に変換して、負荷40に供給する。
ここで、Duty調整回路21は、排他的論理和回路(XORゲート)を有し、上記のPWM信号とDuty調整信号を入力とする論理出力を、SW制御信号としてスイッチング素子(SW)22に出力する。スイッチング素子(SW)22は、Duty調整回路21から出力されるSW制御信号に基づいて導通状態(オン−オフ)が制御され、ダイオード(D)23は、スイッチング素子(SW)22の導通状態に基づいて動作する。また、平滑回路(インダクタ(L)24、コンデンサ(C)25)は、出力回路(スイッチング素子(SW)22、ダイオード(D)23)により生成された電圧成分を平滑化して、出力電圧Voutとして出力する。出力電流検出回路は、出力電流検出AMP27により、電流検出用抵抗(Rs)26の両端電圧の差分に基づいて出力電流を検出し、デジタル電源制御部10のADC11に出力電流の電流値に応じた検出信号を出力する。
PWM調整部30は、比較回路31と、DC成分カット回路32と、電圧パルス幅変換回路33と、電圧回数変換回路34と、ゲート及び位相シフト回路(図中では「ゲート&位相シフト」と記す)35と、を備えている。そして、PWM調整部30は、入力電圧Vinと出力電圧Voutに基づいて、PWM信号のDuty(ONタイム)を調整するためのDuty調整信号を生成し、デジタル電源パワー部20に出力する。ここで、比較回路31は、入力電圧Vinと出力電圧Voutを比較して、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差分に応じたレベルの比較出力を生成する。DC成分カット回路32は、上記比較出力について、直流成分をカットすることにより、入力電圧Vinの変動が発生したときの、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさ成分、及び、その変動量が正の値であるのか負の値であるのか(すなわち、入力電圧Vinが出力電圧Voutに対して増えたのか、減ったのか)を抽出する。電圧パルス幅変換回路33は、上記変動量の大きさに基づいて決定したパルス幅の信号を出力する。また、電圧回数変換回路34は、上記変動量の大きさに基づいて決定したパルス出力回数に応じた長さ信号を出力する。ゲート及び位相シフト回路35は、電圧回数変換回路34で決定された回数だけ、電圧パルス幅変換回路33で決定したパルス幅のパルス信号を、上記変動量が正の値であるか負の値であるかに応じて位相をシフトさせて、発振回路13から供給される基準クロックに同期したDuty調整信号として出力する。
(制御方法)
次に、上述したような回路構成を有する電源装置において、PWM調整部30により実行される制御方法(PWM信号のDuty調整方法)について説明する。
図2は、本実施形態に係る電源装置における制御方法を示すフローチャートである。また、図3は、本実施形態に適用される制御方法の概念を示す図である。ここで、図3(a)、(b)は、本実施形態に係るPWM信号のDuty調整方法に関わる構成を示す概念図であり、図3(c)、(d)は、本実施形態により実現されるPWM信号のDuty調整方法の概念を示すタイミングチャートである。また、図4、図5は、本実施形態に適用される制御方法の具体例を示すタイミングチャートである。ここで、図4は、本実施形態に係る電源装置において、入力電圧が上昇変動した場合のタイミングチャートであり、図5は、入力電圧が下降変動した場合のタイミングチャートである。
本実施形態に係る電源装置における制御方法(PWM信号のDuty調整方法)は、図2のフローチャートに示すように、まず、PWM調整部30の比較回路31により、入力電圧Vinと出力電圧Voutが比較され、その差分に比例したレベルの比較出力が生成される(ステップS101)。次いで、比較回路31からの比較出力に基づいて、DC成分カット回路32により、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差分が変化したか否かが判定される(ステップS102)。上記差分が変化したと判定された場合には、DC成分カット回路32により、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさ成分と、その変動量が正の値であるか、負の値であるかを抽出する(ステップS103)。一方、上記差分が変化したと判定されていないときは、ステップS101及びS102の処理を繰り返し実行する。すなわち、この状態においては、PWM調整部30からDuty調整信号は出力されず、デジタル電源パワー部20のスイッチング素子(SW)22にはデジタル電源制御部10(デジタル制御部12)において生成されたPWM信号がそのままSW制御信号として供給される。
次いで、電圧回数変換回路34により、抽出された上記変動量の大きさに応じた調整期間を算出する(ステップS104)。具体的には、電圧回数変換回路34は、抽出された変動量の大きさに基づいて、パルス出力回数を決定し、その回数に応じた調整期間を規定する長さ信号(調整期間信号)を出力する。また、ステップS104に前後して、あるいは、ステップS104と同時並行的に、電圧パルス幅変換回路33により、抽出された上記変動量の大きさに応じたDuty調整幅を算出する(ステップS105)。具体的には、抽出された変動量の大きさに基づいて、パルス幅を決定し、その幅に応じたDuty調整幅を規定する幅信号(Duty調整信号)を出力する。次いで、ゲート及び位相シフト回路35により、Duty調整幅が算出されたDuty調整信号を、抽出された上記変動量が正の値であるか負の値であるかに応じて位相をシフトさせて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する(ステップS106)。
このとき、Duty調整信号が電圧回数変換回路34により算出された調整期間の間に亘って出力されたか否かが常時監視される(ステップS107)。そして、Duty調整信号が調整期間の間に亘って出力されたと判定された場合には、Duty調整信号をデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する調整期間が終了したと判定して、ステップS101に戻って、上述したステップS101〜S107の一連の処理を繰り返し実行する。一方、Duty調整信号が調整期間の間に亘って出力されたと判定されなかった場合には、ステップS106に戻って、Duty調整信号をデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する動作を繰り返し実行する。
なお、上述したPWM調整部30において実行される制御方法は、例えばステップS101における入力電圧Vinと出力電圧Voutとの比較を行う処理に先立って入力電圧Vinの遮断の有無や、制御方法(PWM信号のDuty調整方法)自体の終了指示の有無等を検出して、入力電圧Vinが遮断された場合や、処理終了が指示された場合には、一連の処理(ステップS101〜S107)を停止する。
これにより、本実施形態においては、電圧回数変換回路34で決定したパルス出力回数に応じた調整期間の間だけ、電圧パルス幅変換回路33で決定したパルス幅のDuty調整信号が、DC成分カット回路32により抽出された変動量が正の値であるか負の値であるかに応じて位相がシフトされて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力される。そして、Duty調整回路21の排他的論理和回路には、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12から出力されるPWM信号と、PWM調整部30から出力されるDuty調整信号と、が入力されて、その論理出力であるSW制御信号によりスイッチング素子(SW)22の導通状態が制御されて、後述するように出力電圧制御が実行される(図4及び図5参照)。
ここで、本実施形態においては、電圧回数変換回路34により、外乱による入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに応じて、PWM信号のDutyを調整する調整期間を算定(決定)する手法を示した。本発明は、この手法に限定されるものではなく、予め設定された固定期間を調整期間として適用するものであってもよい。これによれば、調整期間を決定するための処理を省略することができ、電源装置における処理負担を軽減することができる。この固定期間は、デジタル制御部12の制御遅延によって生じるデジタル制御の反応不可時間に相当する時間に設定される。
また、本実施形態においては、電圧パルス幅変換回路33により、外乱による入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに応じて、PWM信号のDutyの調整幅を算定(決定)する手法を示した。本発明は、この手法に限定されるものではなく、予め設定された固定値をDuty調整幅として適用するものであってもよい。これによれば、Duty調整幅を決定するための処理を省略することができ、電源装置における処理負担を軽減することができる。
また、本実施形態においては、電圧回数変換回路34により算出された調整期間内に、Duty調整回路21からスイッチング素子(SW)22に出力される複数のSW制御信号のパルス幅を、同じDutyになるように調整する手法を示した。本発明は、これに限定されるものではなく、調整期間内に出力される複数のSW制御信号のパルス幅を、SW制御信号(パルス信号)ごとに変化させるように調整するものであってもよい。
なお、上述した本実施形態に係る制御方法における、PWM信号の調整期間や、Duty調整幅の設定手法は、後述する他の実施形態においても同様に適用されるものである。
上述した出力電圧制御に適用されるPWM信号のDuty調整方法は、次のような概念に基づいて説明することができる。
本実施形態においては、図3(a)、(b)に示すように、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12から出力されるPWM信号Saと、PWM調整部30から出力され、PWM信号のDutyの調整幅を規定するDuty調整信号Sbと、に基づいて、PWM信号のDuty(ONタイム)を調整して、SW制御信号(調整後のPWM信号)Scとしてスイッチング素子(SW)22に出力するDuty調整回路21を有している。ここで、本実施形態においては、図3(b)に示すように、Duty調整回路21の一例として、排他的論理和回路(XORゲート)を適用した構成を示した。なお、Duty調整回路21は、この構成に限定されるものではなく、同等のDuty調整機能を実現することができるものであれば、他の構成を適用するものであってもよい。例えば、出力電圧制御において入力電圧Vinが上昇変動する場合には論理積回路(ANDゲート)を適用することができ、下降変動する場合には論理和回路(ORゲート)を適用することができる。
また、PWM調整部30から出力されるDuty調整信号Sbは、PWM信号SaのDuty調整幅を規定するとともに、入力電圧Vinの変動の増減に応じて極性符号が付与される。これにより、極性符号が正の場合にはSW制御信号(調整後のPWM信号)ScのDutyを調整幅分だけ増加(延長)させ、極性符号が負の場合にはSW制御信号ScのDutyを調整幅分だけ減少(制限)させることができる。このように、Duty調整信号Sbに極性を持たせることにより、入力電圧Vinの上昇、下降の両方の変動に対応させることができる。
すなわち、図3(c)に示すように、PWM信号の特定の立ち上がりタイミングを基準とした場合に、基準に対する位相の進みを正と規定して、PWM調整部30から出力されるDuty調整信号Sbの極性符号を正に設定することにより、Duty調整回路(排他的論理和回路)21における論理出力(調整結果)であるSW制御信号ScのDuty(ONタイム)を増加させることができる。一方、図3(d)に示すように、上記基準に対して位相の遅れを負と規定して、Duty調整信号Sbの極性符号を負に設定することにより、Duty調整回路(排他的論理和回路)21における論理出力(調整結果)であるSW制御信号ScのDuty(ONタイム)を減少させることができる。
具体的には、上述したPWM信号のDuty調整方法の概念に基づいて、次のような出力電圧制御が実行される。
まず、図4のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(上昇変動)した場合、PWM調整部30の電圧回数変換回路34により決定された回数に応じた調整期間だけ、電圧パルス幅変換回路33によりPWM信号のDutyを下げるように設定されたDuty調整信号が出力される。これにより、図3(d)に示したように、スイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号のパルス幅が減少されて、その結果、スイッチング素子(SW)22のDutyが小さく(ONタイムが短く)なるので、伝達エネルギーが適正化されて出力電圧Voutが安定化する。そして、調整期間終了後においては、Duty調整信号の出力が停止される。このときにはデジタル制御が正常に機能することになるので、上記と同様に、SW制御信号のDutyが継続的に調整されて、安定した出力電圧Voutが出力される。
一方、図5のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(下降変動)した場合、電圧回数変換回路34により決定された回数に応じた調整期間だけ、電圧パルス幅変換回路33によりPWM信号のDutyを上げるように設定されたDuty調整信号が出力される。これにより、図3(c)に示したように、SW制御信号のパルス幅が延長されて、その結果、スイッチング素子(SW)22のDutyが大きく(ONタイムが長く)なるので、伝達エネルギーが適正化されて出力電圧Voutが安定化する。そして、調整期間終了後においては、Duty調整信号の出力が停止される。このときにはデジタル制御が正常に機能することになるので、上記と同様に、SW制御信号のDutyが継続的に調整されて、安定した出力電圧Voutが出力される。
なお、図4、図5に示したタイミングチャートにおいては、後述する本発明の比較例における出力電圧Vout(Dutyが調整されない場合)を太点線で示した。
また、上述した実施形態において、Duty調整回路21にDuty調整信号が出力される調整期間中に、新たな入力電圧Vinの変化が生じた場合には、図3(a)、(b)に示したデジタル制御部12、Duty調整回路21及びPWM調整部30を有するPWM信号のDuty調整部により、次のような制御が実行される。すなわち、PWM信号のDuty調整幅を規定するDuty調整信号に極性を付与することにより、仮に、同一極性となる入力電圧Vinの変化が新たに起こった場合には、その変化の程度に応じてDutyの調整幅を加算する制御を行う。一方、仮に、極性が異なる入力電圧Vinの変化が新たに起こった場合には、その変化の程度に応じてDutyの調整幅を減算する制御を行う。そして、その結果を新たなDutyの調整幅としてSW制御信号に反映させることにより、調整期間中に新たな入力電圧変化が起こった場合であっても、安定した出力電圧Voutが出力される出力電圧制御を実現することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る電源装置の第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態においては、外乱による入力電圧の変化に応じて、PWM信号のDutyを調整する回路(Duty調整部)を備えた構成を示した。第2の実施形態においては、外乱による入力電圧の変化に応じて、PWM信号の周波数を調整する回路(周波数調整部)を備えた構成を有している。
(電源装置)
図6は、本発明に係る電源装置の第2の実施形態を示す概略ブロック図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
第2の実施形態に係る電源装置は、例えば図6に示すように、上述した第1の実施形態と同様に、大別して、デジタル電源制御部10と、デジタル電源パワー部20と、PWM調整部30と、を備えている。
デジタル電源制御部10は、第1の実施形態と同様のADC11と、デジタル制御部12に加え、発振回路13に替えて、可変発振回路(動作制御部)14を備え、負荷40への出力電流、及び、後述するPWM調整部30から出力される周波数調整信号に基づいて、PWM信号の周波数を調整して、デジタル電源パワー部20に出力する。すなわち、可変発振回路14は、デジタル制御部12における動作を規定する動作クロック(基準クロック)の周波数を、後述するPWM調整部30から出力される周波数調整信号に基づいて、所定の調整期間の間だけ調整して供給する。
デジタル電源パワー部20は、第1の実施形態における構成に対して、Duty調整回路21を省略した構成を有し、デジタル電源制御部10から出力されるPWM信号(SW制御信号)に基づいて、スイッチング素子(SW)22の導通状態(オン−オフ)が直接制御される。
PWM調整部30は、第1の実施形態と同様の比較回路31と、DC成分カット回路32と、電圧回数変換回路34に加え、レベル変換回路36を備え、入力電圧Vinと出力電圧Voutに基づいて、PWM信号の周波数を調整するための周波数調整信号を生成し、デジタル電源制御部10に出力する。ここで、レベル変換回路36は、DC成分カット回路32により抽出された、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに比例する周波数調整信号を生成する。この周波数調整信号は、電圧回数変換回路34から出力される、パルス出力回数に応じた長さ信号により規定される調整期間の間だけ、上記変動量が正の値であるか負の値であるかに合わせて、規定の標準電圧値を中心にして、信号レベルを上げた状態、又は、下げた状態に設定して出力される。このように、上記の調整期間の間、周波数調整信号の制御電圧値を、標準電圧値に対して高く(上げた状態)、又は、低く(下げた状態)なるように変化させることにより、デジタル電源制御部10の可変発振回路14により生成される動作クロック(基準クロック)の周波数の値が、周波数調整信号の制御電圧値に比例して制御される。
(制御方法)
次に、上述したような回路構成を有する電源装置において、PWM調整部30により実行される制御方法(PWM信号の周波数調整方法)について説明する。
図7は、本実施形態に係る電源装置の信号制御方法を示すフローチャートである。また、図8は、本実施形態に適用される制御方法の概念を示す図である。ここで、図8(a)、(b)は、本実施形態に係るPWM信号の周波数調整方法に関わる構成を示す概念図であり、図8(c)は、本実施形態により実現されるPWM信号の周波数調整方法の概念を示すタイミングチャートである。また、図9、図10は、本実施形態に適用される制御方法の具体例を示すタイミングチャートである。ここで、図9は、本実施形態に係る電源装置において、入力電圧が上昇変動した場合のタイミングチャートであり、図10は、入力電圧が下降変動した場合のタイミングチャートである。なお、上述した第1の実施形態と同等の制御方法については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る電源装置における制御方法(PWM信号の周波数調整方法)は、図7のフローチャートに示すように、まず、PWM調整部30の比較回路31により、入力電圧Vinと出力電圧Voutが比較される(ステップS201)。次いで、比較回路31からの比較出力に基づいて、DC成分カット回路32により、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差分が変化したか否かが判定される(ステップS202)。上記差分が変化したと判定された場合には、DC成分カット回路32により、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさ成分と、その変動量が正の値であるか負の値であるかを抽出する(ステップS303)。一方、上記差分が変化したと判定されていないときには、ステップS201及びS202の処理を繰り返し実行する。すなわち、この状態においては、PWM調整部30からデジタル電源制御部10に、標準電圧値に設定された周波数調整信号が出力され、可変発振回路14により生成される、本来の(周波数調整されていない)周波数の動作クロックに基づいて生成されたPWM信号が、デジタル電源パワー部20のスイッチング素子(SW)22にそのままSW制御信号として供給される。
次いで、電圧回数変換回路34により、抽出された上記変動量の大きさに応じた調整期間を算出する(ステップS204)。また、ステップS204に前後して、あるいは、ステップS204と同時並行的に、レベル変換回路36により、抽出された上記変動量の大きさに比例した周波数を規定する周波数調整量を算出する(ステップS205)。そして、レベル変換回路36により、上記周波数調整量を規定する周波数調整信号に、抽出された上記変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性を付与して、デジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する(ステップS206)。
このとき、周波数調整信号が電圧回数変換回路34により算出された調整期間の間に亘って出力されたか否かが常時監視される(ステップS207)。そして、周波数調整信号が調整期間の間に亘って出力されたと判定された場合には、周波数調整信号をデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する調整期間が終了したと判定して、ステップS201に戻って、上述したステップS201〜S207の一連の処理を繰り返し実行する。一方、周波数調整信号が調整期間の間に亘って出力されたと判定されなかった場合には、ステップS206に戻って、周波数調整信号をデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する動作を繰り返し実行する。
なお、上述したPWM調整部30において実行される制御方法は、例えばステップS201における入力電圧Vinと出力電圧Voutとの比較処理に先立って入力電圧Vinの遮断の有無や、制御方法(PWM信号の周波数調整方法)自体の終了指示の有無等を検出して、入力電圧Vinが遮断された場合や、処理終了が指示された場合には、一連の処理(ステップS201〜S207)を停止する。
これにより、本実施形態においては、電圧回数変換回路34で決定したパルス出力回数に応じた調整期間の間だけ、レベル変換回路36で周波数調整量が規定された周波数調整信号が、DC成分カット回路32により抽出された変動量が正の値であるか負の値であるかに合わせて、所定の信号レベルに設定されて、デジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力される。そして、可変発振回路14において上記周波数調整信号に基づいて周波数が調整された動作クロック(基準クロック)が、デジタル制御部12の演算回路に供給されて、デジタル制御部12において当該周波数に応じた周期を有するPWM信号が生成される。スイッチング素子(SW)22は、このPWM信号(SW制御信号)に基づいて導通状態が制御されて、後述するように出力電圧制御が実行される(図9及び図10参照)。
ここで、本実施形態においては、電圧回数変換回路34により、外乱による入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに応じて、PWM信号の周波数を調整する調整期間を算定(決定)する手法を示した。本発明は、この手法に限定されるものではなく、予め設定された固定期間を調整期間として適用するものであってもよい。これによれば、調整期間を決定するための処理を省略することができ、電源装置における処理負担を軽減することができる。
また、本実施形態においては、レベル変換回路36により、外乱による入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに応じて、PWM信号の周波数の調整量を算定(決定)する手法を示した。本発明は、この手法に限定されるものではなく、予め設定された固定値を周波数調整量として適用するものであってもよい。これによれば、周波数調整量を決定するための処理を省略することができ、電源装置における処理負担を軽減することができる。
また、本実施形態においては、電圧回数変換回路34により算出された調整期間内に、デジタル制御部12からスイッチング素子(SW)22に出力される複数のSW制御信号を、同じ周波数(周期)になるように調整する手法を示した。本発明は、これに限定されるものではなく、調整期間内に出力される複数のSW制御信号の周波数(周期)を、SW制御信号(パルス信号)ごとに変化させるように調整するものであってもよい。
なお、上述した本実施形態に係る制御方法における、PWM信号の調整期間や、周波数調整量の設定手法は、後述する他の実施形態においても同様に適用されるものである。
上述した出力電圧制御に適用されるPWM信号の周波数調整方法は、次のような概念に基づいて説明することができる。
本実施形態においては、図8(a)、(b)に示すように、PWM調整部30から出力され、PWM信号の周波数の調整量を規定する周波数調整信号Seに基づいて、発振周波数を増加又は低下させた動作クロック(基準クロック)Sdを生成し、デジタル制御部12に出力する可変発振回路14を有している。ここで、本実施形態においては、図8(b)に示すように、可変発振回路14の一例として、制御電圧値で発振周波数が変化する水晶発振器が適用される。なお、可変発振回路14は、この構成に限定されるものではなく、同等の周波数調整機能を実現することができるものであれば、他の構成を適用するものであってもよい。これにより、デジタル制御部12において、PWM信号を作り出す動作クロックSdの周波数が変化することにより、スイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号(調整後のPWM信号)Sfの周波数も同様に変化することになる。
また、PWM調整部30から出力される周波数調整信号Seは、PWM信号の周波数調整量を規定するとともに、入力電圧Vinの変動の増減に応じて極性符号が付与される。これにより、極性符号が正に設定(標準電圧より高く設定)されている場合には、可変発振回路14により生成される動作クロックSdの周波数が高くなるように調整されて、SW制御信号(調整後のPWM信号)Sfの周波数を、調整量に応じて増加させることができる。一方、極性符号が負に設定(標準電圧より低く設定)されている場合には、動作クロックSdの周波数が低くなるように調整されて、SW制御信号Sfの周波数を、調整量に応じて低下させることができる。このように、周波数調整信号Seに極性を持たせることにより、入力電圧Vinの上昇、下降の両方の変動に対応させることができる。
すなわち、図8(c)のタイミングチャートの中央部に示すように、周波数調整信号Seを標準電圧より高く設定することにより、可変発振回路14により生成される動作クロックSdが速くなるため、SW制御信号Sfの周期が短くなって、その結果、スイッチング素子(SW)22のON時のパルス幅とOFF時のパルス幅とを共に短くすることができる。一方、図8(c)のタイミングチャートの右側部に示すように、周波数調整信号Seを標準電圧より低く設定することにより、可変発振回路14により生成される動作クロックSdが遅くなるため、SW制御信号Sfの周期が長くなって、その結果、スイッチング素子(SW)22のON時のパルス幅とOFF時のパルス幅とを共に長くすることができる。
具体的には、上述したPWM信号の周波数調整方法の概念に基づいて、次のような出力電圧制御が実行される。
まず、図9のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(上昇変動)した場合、PWM調整部30の電圧回数変換回路34により決定された回数に応じた調整期間だけ、レベル変換回路36によりPWM信号の周波数が高くなるように設定された周波数調整信号が出力される。これにより、図8(c)の中央部に示したように、スイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号の周期が減少して、その結果、スイッチング素子(SW)22のオン時間とオフ時間とが共に短くなる。これにより伝達エネルギーが適正化されて、出力電圧Voutが安定化する。そして、調整期間終了後においては、周波数調整信号の出力が停止される。このときにはデジタル制御が正常に機能することになるので、SW制御信号の周期が継続的に調整されて、安定した出力電圧Voutが出力される。
一方、図10のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(下降変動)した場合、電圧回数変換回路34により決定された回数に応じた調整期間だけ、レベル変換回路36によりPWM信号の周波数が低くなるように設定された周波数調整信号が出力される。これにより、図8(c)の右側部に示したように、SW制御信号の周期が増加して、その結果、スイッチング素子(SW)22のオン時間とオフ時間とが共に長くなる。これにより伝達エネルギーが適正化されて、出力電圧Voutが安定化する。そして、調整期間終了後においては、周波数調整信号の出力が停止される。このときにはデジタル制御が正常に機能することになるので、SW制御信号の周期が継続的に調整されて、安定した出力電圧Voutが出力される。
なお、図9、図10に示したタイミングチャートにおいては、後述する本発明の比較例における出力電圧Vout(周波数が調整されない場合)を太点線で示した。
また、上述した実施形態において、可変発振回路14に周波数調整信号が出力される調整期間中に、新たな入力電圧Vinの変化が生じた場合には、図8(a)、(b)に示したデジタル制御部12、可変発振回路14及びPWM調整部30を有するPWM信号の周波数調整部により、次のような制御が実行される。すなわち、PWM信号の周波数調整量を規定する周波数調整信号に極性を付与することにより、仮に、同一極性となる入力電圧Vinの変化が新たに起こった場合には、その変化の程度に応じて周波数の調整量を加算する制御を行う。一方、仮に、極性が異なる入力電圧Vinの変化が新たに起こった場合には、その変化の程度に応じて周波数の調整量を減算する制御を行う。そして、その結果を新たな周波数の調整量としてSW制御信号に反映させることにより、調整期間中に新たな入力電圧Vinの変化が起こった場合であっても、安定した出力電圧Voutが出力される出力電圧制御を実現することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る電源装置の第3の実施形態について説明する。
上述した第1又は第2の実施形態においては、外乱による入力電圧の変化に応じて、PWM信号のDuty又は周波数(周期)の何れか一方のみを調整する手段(Duty調整回路、周波数調整回路)を備えた構成を示した。第3の実施形態においては、外乱による入力電圧の変化に応じて、PWM信号のDuty及び周波数の双方を調整する回路を備えた構成を有している。
(電源装置)
図11は、本発明に係る電源装置の第3の実施形態を示す概略ブロック図である。ここで、上述した第1又は第2の実施形態と同等の構成については同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
第3の実施形態に係る電源装置は、例えば図11に示すように、上述した第1又は第2の実施形態と同様に、大別して、デジタル電源制御部10と、デジタル電源パワー部20と、PWM調整部30と、を備えている。
デジタル電源制御部10は、第2の実施形態と同様に、ADC11と、デジタル制御部12と、可変発振回路14と、を備え、負荷40への出力電流、及び、後述するPWM調整部30から出力される周波数調整信号に基づいて、PWM信号の周波数を調整して、デジタル電源パワー部20に出力する。
デジタル電源パワー部20は、第1の実施形態と同様の構成において、デジタル電源制御部10から出力される、周波数が調整されたPWM信号、及び、後述するPWM調整部30から出力されるDuty調整信号に基づいて、PWM信号のDutyを調整して、Duty調整回路21からスイッチング素子(SW)22にSW制御信号として出力する。これにより、デジタル電源パワー部20は、入力電圧Vinを所定の電圧値を有する出力電圧Voutに変換して、負荷40に供給する。
PWM調整部30は、第1の実施形態と同様の比較回路31と、DC成分カット回路32と、電圧パルス幅変換回路33と、電圧回数変換回路34と、ゲート及び位相シフト回路35に加え、第2の実施形態と同様のレベル変換回路36を備えている。そして、PWM調整部30は、入力電圧Vinと出力電圧Voutに基づいて、PWM信号のDuty(ONタイム)を調整するための、可変発振回路14から供給される基準クロックに同期したDuty調整信号を生成して、デジタル電源パワー部20に出力するとともに、PWM信号の周波数(周期)を調整するための周波数調整信号を生成して、デジタル電源制御部10に出力する。
(制御方法)
次に、上述したような回路構成を有する電源装置において、PWM調整部30により実行される制御方法(PWM信号のDuty調整方法及び周波数調整方法)について説明する。
図12は、本実施形態に係る電源装置の信号制御方法を示すフローチャートである。また、図13は、本実施形態に適用される制御方法の具体例を示すタイミングチャートである。ここで、図13は、本実施形態に係る電源装置において、入力電圧が上昇変動した場合のタイミングチャートである。なお、上述した第1又は第2の実施形態と同等の制御方法については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る電源装置における制御方法(PWM信号のDuty及び周波数の調整方法)は、図12のフローチャートに示すように、まず、PWM調整部30の比較回路31により、入力電圧Vinと出力電圧Voutが比較される(ステップS301)。次いで、比較回路31からの比較出力に基づいて、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差分が変化したか否かが判定される(ステップS302)。上記差分が変化したと判定された場合には、DC成分カット回路32により、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさ成分と、その変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性を抽出する(ステップS303)。一方、上記差分が変化したと判定されていないときには、ステップS301及びS302の処理を繰り返し実行する。すなわち、この状態においては、PWM調整部30からデジタル電源制御部10に、標準電圧値に設定された周波数調整信号が出力され、可変発振回路14により生成される、本来の(周波数調整されていない)周波数の動作クロックに基づいてPWM信号が生成されて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力される。また、この状態においては、PWM調整部30からDuty調整信号は出力されないため、Duty調整回路21からデジタル電源パワー部20のスイッチング素子(SW)22に、デジタル電源制御部10(デジタル制御部12)において生成されたPWM信号がそのままSW制御信号として供給される。
次いで、電圧回数変換回路34により、抽出された上記変動量の大きさに応じた調整期間を算出する(ステップS304)。また、ステップS304に前後して、あるいは、ステップS304と同時並行的に、レベル変換回路36により、抽出された上記変動量の大きさに比例した周波数を規定する周波数調整量を算出する(ステップS305)。そして、レベル変換回路36により、上記周波数調整量を規定する周波数調整信号に、抽出された上記変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性を付与して、デジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する(ステップS306)。
また、ステップS304に前後して、あるいは、ステップS304と同時並行的に、電圧パルス幅変換回路33により、抽出された上記変動量の大きさに応じたDuty調整幅を算出する(ステップS307)。そして、ゲート及び位相シフト回路35により、上記Duty調整幅を規定するDuty調整信号を、抽出された上記変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性に応じて位相をシフトさせて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する(ステップS308)。
そして、ステップS306、S308において、周波数調整信号及びDuty調整信号が出力された状態で、周波数調整信号及びDuty調整信号が電圧回数変換回路34により算出された調整期間の間に亘って出力されたか否かが常時監視される(ステップS309)。そして、周波数調整信号及びDuty調整信号が調整期間に亘って出力されたと判定された場合には、周波数調整信号をデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力するとともに、Duty調整信号をデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する調整期間が終了したと判定して、ステップS301に戻って、上述したステップS301〜S309の一連の処理を繰り返し実行する。一方、周波数調整信号及びDuty調整信号が調整期間に亘って出力されたと判定されなかった場合には、ステップS306及びS308に戻って、周波数調整信号をデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する動作、及び、Duty調整信号をデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する動作を繰り返し実行する。
なお、上述したPWM調整部30において実行される制御方法は、例えばステップS301における入力電圧Vinと出力電圧Voutとの比較処理に先立って入力電圧Vinの遮断の有無や、制御方法(PWM信号の周波数及びDutyの調整方法)自体の終了指示の有無等を検出して、入力電圧Vinが遮断された場合や、処理終了が指示された場合には、一連の処理(ステップS301〜S309)を停止する。
これにより、本実施形態においては、電圧回数変換回路34で決定したパルス出力回数に応じた調整期間の間だけ、レベル変換回路36で周波数調整量が規定された周波数調整信号が、DC成分カット回路32により抽出された変動量が正の値であるか負の値であるかに合わせて、所定の信号レベルに設定されて、デジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力される。また、電圧パルス幅変換回路33で決定したパルス幅のDuty調整信号が、DC成分カット回路32により抽出された変動量が正の値であるか負の値であるかに応じて位相がシフトされて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力される。そして、可変発振回路14において上記周波数調整信号に基づいて周波数が調整された動作クロック(基準クロック)が、デジタル制御部12の演算回路に供給されて、デジタル制御部12において当該周波数に応じた周期を有するPWM信号が生成される。Duty調整回路21の排他的論理和回路には、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12から出力される、周期が調整されたPWM信号と、PWM調整部30から出力されるDuty調整信号と、が入力されて、その論理出力であるSW制御信号によりスイッチング素子(SW)22の導通状態が制御されて、後述するように出力電圧制御が実行される(図13参照)。
ここで、本実施形態においても、PWM調整部30により、外乱による入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに応じて、PWM信号の周波数及びDutyを調整する調整期間を算定(決定)する手法を示した。本発明は、この手法に限定されるものではなく、予め設定された固定期間を調整期間として適用するものであってもよい。これによれば、調整期間を決定するための処理を省略することができ、電源装置における処理負担を軽減することができる。
すなわち、本実施形態に係る出力電圧制御は、具体的には、図13のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(上昇変動)した場合、PWM調整部30の電圧回数変換回路34により決定された回数に応じた調整期間だけ、レベル変換回路36によりPWM信号の周波数が高くなるように設定された周波数調整信号が出力される。また、当該調整期間に、電圧回数変換回路34により決定された回数だけ、電圧パルス幅変換回路33によりPWM信号のDutyを下げるように設定されたDuty調整信号が出力される。これにより、スイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号のパルス幅が減少されて、その結果、スイッチング素子(SW)22のDutyが小さく(ONタイムが短く)なるので、伝達エネルギーが適正化されて出力電圧Voutが安定化する。そして、調整期間終了後においては、Duty調整信号の出力と周波数調整信号の出力とが停止され、デジタル制御が正常に機能することになるので、SW制御信号のDuty及び周期が継続的に調整されて、安定した出力電圧Voutが出力される。
なお、図13においては、出力電圧Voutの変化について示さなかったが、上述した第1及び第2の実施形態に示したタイミングチャート(図4、図5、図9、図10参照)と同様に、スイッチング素子(SW)22の導通状態を制御するSW制御信号の周期及びパルス幅に基づいて、出力電圧Voutが制御される。
また、図13においては、入力電圧Vinが上昇変動する場合の出力電圧制御について説明した。これは、一般に入力電圧Vinの変化については、上昇変動により出力電圧Voutが増大して、負荷40の損傷等を招く可能性が高いため、下降変動よりも上昇変動を防止又は抑制する対策の方が重要であることに対応するものである。なお、入力電圧Vinが下降変動する場合についても、上述した第1及び第2の実施形態に示した制御方法に基づいて、同様の出力電圧制御が実行される。
<第4の実施形態>
次に、本発明に係る電源装置の第4の実施形態について説明する。
上述した第1乃至第3の実施形態においては、外乱による入力電圧の変化の大きさに応じて、又は、予め設定された固定期間を、PWM信号の調整期間として決定する手法を示した。第4の実施形態においては、PWM調整部により調整された実際のPWM信号の状態に応じて、PWM調整部の機能を無効にしてPWM信号の調整期間を終了し、デジタル制御による出力電圧制御に移行する手法を有している。
(電源装置)
図14は、本発明に係る電源装置の第4の実施形態を示す概略ブロック図である。ここで、上述した第1乃至第3の実施形態と同等の構成については同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
第4の実施形態に係る電源装置は、例えば図14に示すように、上述した第3の実施形態と同様に、大別して、デジタル電源制御部10と、デジタル電源パワー部20と、PWM調整部30と、を備えている。
デジタル電源制御部10は、第2又は第3の実施形態と同様に、ADC11と、デジタル制御部12と、可変発振回路14と、を備え、負荷40への出力電流、及び、後述するPWM調整部30から出力される周波数調整信号に基づいて、PWM信号の周波数を調整して、デジタル電源パワー部20に出力する。また、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12は、デジタル電源パワー部20のスイッチング素子(SW)22の導通状態を制御するSW制御信号の状態に基づいて、PWM調整部30の機能を有効又は無効に設定するPWM調整機能無効信号を出力する。具体的には、デジタル制御部12は、デジタル電源パワー部20から負荷40に供給される出力電流に応じて生成されるデジタル制御帰還信号に基づく、出力電圧制御に関わる演算結果(演算により推定されるPWM信号)と、PWM調整回路21により調整されてスイッチング素子(SW)22に供給されるSW制御信号(実際のPWM信号)の状態とを監視する。そして、デジタル制御部12は、両者が近似する状態になった場合には、PWM調整部30によるPWM信号の周波数及びDutyの調整機能を無効状態に設定するためのPWM調整機能無効信号を出力する。
デジタル電源パワー部20は、第1又は第3の実施形態において、Duty調整回路21からスイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号の状態を検出(図中、「PWM出力検出」と表記)するための信号路を備えた構成を有している。そして、デジタル電源パワー部20は、デジタル電源制御部10から出力される、周波数が調整されたPWM信号、及び、後述するPWM調整部30から出力されるDuty調整信号に基づいて、PWM信号のDutyを調整して、Duty調整回路21からスイッチング素子(SW)22にSW制御信号として出力する。これにより、デジタル電源パワー部20は、入力電圧Vinを所定の電圧値を有する出力電圧Voutに変換して、負荷40に供給する。
PWM調整部30は、第3の実施形態と同様の構成において、入力電圧Vinと出力電圧Voutに基づいて、PWM信号のDuty(ONタイム)を調整するための、可変発振回路14から供給される基準クロックに同期したDuty調整信号を生成して、デジタル電源パワー部20に出力するとともに、PWM信号の周波数(周期)を調整するための周波数調整信号を生成して、デジタル電源制御部10に出力する。また、PWM調整部30は、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12から出力されるPWM調整機能無効信号に基づいて、上記のPWM信号のDuty調整信号及び周波数調整信号を生成する機能を無効状態に設定する。ここで、レベル変換回路36は、DC成分カット回路32により抽出された、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさに比例する周波数調整信号を生成する。この周波数調整信号は、デジタル制御部12から出力されるPWM調整機能無効信号に基づいて規定される調整期間の終了タイミングまでの期間、上記変動量が正の値であるか負の値であるかに合わせて、標準電圧値に対して信号レベルを高く(上げ状態)、又は、低く(下げ状態)設定されて出力される。これにより、デジタル電源制御部10の可変発振回路14により生成される動作クロック(基準クロック)の周波数の値が、周波数調整信号の制御電圧値に比例して制御される。
(制御方法)
次に、上述したような回路構成を有する電源装置において実行される制御方法(PWM信号のDuty調整方法及び周波数調整方法)について説明する。
図15は、本実施形態に係る電源装置の信号制御方法を示すフローチャートである。また、図16は、本実施形態に適用される制御方法の具体例を示すタイミングチャートである。ここで、図16は、本実施形態に係る電源装置において、入力電圧が上昇変動した場合のタイミングチャートである。なお、上述した第3の実施形態と同等の制御方法については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る電源装置における制御方法(PWM信号のDuty及び周波数の調整方法)は、図15のフローチャートに示すように、まず、PWM調整部30の比較回路31により、入力電圧Vinと出力電圧Voutが比較される(ステップS401)。次いで、比較回路31からの比較出力に基づいて、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの差分が変化したか否かが判定される(ステップS402)。上記差分が変化したと判定された場合には、DC成分カット回路32により、入力電圧Vinの出力電圧Voutに対する変動量の大きさ成分と、その変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性を抽出する(ステップS403)。一方、上記差分が変化したと判定されていないときは、ステップS401及びS402の処理を繰り返し実行する。すなわち、この状態においては、上述した第3の実施形態と同様に、PWM調整部30から出力される、標準電圧値に設定された周波数調整信号に基づいて、可変発振回路14により本来の(周波数調整されていない)周波数の動作クロックが生成され、この動作クロックに基づいてデジタル制御部12によりPWM信号が生成されて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力される。また、この状態においては、PWM調整部30からDuty調整信号は出力されないため、Duty調整回路21からスイッチング素子(SW)22に、デジタル制御部12において生成されたPWM信号がそのままSW制御信号として供給される。
次いで、レベル変換回路36により、抽出された上記変動量の大きさに比例した周波数を規定する周波数調整量を算出する(ステップS404)。そして、レベル変換回路36により、上記周波数調整量を規定する周波数調整信号に、抽出された上記変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性を付与して、デジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する(ステップS405)。
また、ステップS404に前後して、あるいは、ステップS304と同時並行的に、電圧パルス幅変換回路33により、抽出された上記変動量の変化の大きさに応じたDuty調整幅を算出する(ステップS406)。そして、ゲート及び位相シフト回路35により、Duty調整幅を規定するDuty調整信号を、抽出された上記変動量が正の値であるか負の値であるかを示す極性に応じて位相をシフトさせて、デジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する(ステップS407)。
そして、ステップS405、S407において、周波数調整信号及びDuty調整信号が出力された状態で、PWM調整部30におけるPWM信号の周波数及びDutyの調整機能を無効状態に設定するPWM調整機能無効信号が、デジタル電源制御部10から出力されたか否かが常時監視される(ステップS408)。上記PWM調整機能無効信号がPWM調整部30に出力された場合には、周波数調整信号をデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力するとともに、Duty調整信号をデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する調整期間を終了(調整動作を中止)させて、ステップS401に戻って、上述したステップS401〜S408の一連の処理を繰り返し実行する。一方、上記PWM調整機能無効信号がPWM調整部30に出力されていない場合には、ステップS405及びS407に戻って、周波数調整信号をデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力する動作、及び、Duty調整信号をデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力する動作を繰り返し実行する。
ここで、PWM調整機能無効信号は、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12において生成される。デジタル制御部12は、デジタル電源パワー部20から負荷40に供給される出力電流に応じて生成されるデジタル制御帰還信号に基づく、出力電圧制御に関わる演算結果と、Duty調整回路21からスイッチング素子(SW)22に実際に出力される現在のSW制御信号(PWM信号)の状態とを監視する。そして、デジタル制御部12は、両者が特定の近似関係にあると判定した場合に、PWM調整部30におけるPWM信号の調整機能を無効状態に設定する(調整動作を中止させる)ためのPWM調整機能無効信号を出力する。
なお、上述したPWM調整部30において実行される制御方法は、例えばステップS401における入力電圧Vinと出力電圧Voutとの比較処理に先立って入力電圧Vinの遮断の有無や、制御方法(PWM信号の周波数及びDutyの調整方法)自体の終了指示の有無等を検出して、入力電圧Vinが遮断された場合や、処理終了が指示された場合には、一連の処理(ステップS401〜S408)を停止する。
これにより、本実施形態においては、デジタル電源制御部10のデジタル制御部12によりデジタル制御帰還信号に基づく演算結果と、スイッチング素子(SW)22に実際に出力されるSW制御信号の状態と、が特定の近似関係に至ったと判定されるまでの期間が、PWM信号の調整期間に設定される。すなわち、本実施形態においては、PWM信号の調整期間は、デジタル電源制御部10とデジタル電源パワー部20とを有するデジタル制御ループ部により、リアルタイムに出力電圧制御の状態を判定して決定される。そして、上述した第3の実施形態と同様に、この調整期間に、極性が付与された周波数調整信号がデジタル電源制御部10の可変発振回路14に出力されるとともに、極性に応じて位相がシフトされたDuty調整信号がデジタル電源パワー部20のDuty調整回路21に出力される。そして、Duty調整回路21における、周波数調整信号に基づいて周期が調整されたPWM信号と、Duty調整信号との論理出力が、SW制御信号としてスイッチング素子(SW)22に出力されて、後述するように出力電圧制御が実行される(図16参照)。
すなわち、本実施形態に係る出力電圧制御は、具体的には、図16のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(上昇変動)した場合、デジタル制御部12から出力されるPWM調整機能無効信号に基づいて規定される調整期間の終了タイミングまでの期間において、レベル変換回路36によりPWM信号の周波数が高くなるように設定された周波数調整信号が出力されるとともに、電圧パルス幅変換回路33によりPWM信号のDutyを下げるように設定されたDuty調整信号が出力される。この調整期間は制御遅延によって生じるデジタル制御の反応不可時間領域と同等の時間か、又は、それより長い時間となる。これにより、スイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号のパルス幅が制限されて、その結果、スイッチング素子(SW)22のDutyが小さく(ONタイムが短く)なるので、伝達エネルギーが適正化されて出力電圧Voutが安定化する。このような出力電圧制御の状態はリアルタイムに判定されて、デジタル制御が正常に機能するようになった時点でPWM調整機能無効信号が出力されて、PWM調整部30におけるPWM信号の調整機能が停止されるとともに、周波数調整信号の出力が停止されて周波数調整機能が停止される(すなわち、調整期間が終了する)。そして、上記調整期間終了後においては、デジタル制御が正常に機能することになるので、SW制御信号のDuty及び周期が継続的に調整されて、安定した出力電圧Voutが出力される。
なお、図16においても、出力電圧Voutの変化について示さなかったが、上述した第1及び第2の実施形態に示したタイミングチャート(図4、図5、図9、図10参照)と同様に、スイッチング素子(SW)22の導通状態を制御するSW制御信号の周期及びパルス幅に基づいて、出力電圧Voutが制御される。
また、本実施形態においては、PWM信号の調整方法として、PWM信号の周波数及びDutyの両方を調整する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1又は第2の実施形態に示したように、周波数及びDutyのうち、いずれか一方のみを調整する手法に適用するものであってもよい。
また、本実施形態においては、LEDを負荷として用いて、入力電圧をPWM信号に応じて出力電圧に変換し、負荷に出力電圧を印加したときに負荷に流れる電流の電流値と入力電圧と出力電圧との差分とに基づいてPWM信号を調整する構成について説明した。本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、入力電流をPWM信号に応じて出力電流に変換し、負荷に出力電流を印加したときに負荷に印加される電圧の電圧値と入力電流と出力電流との差分とに基づいてPWM信号を調整する構成であってもよい。
<作用効果の検証>
次に、上述した各実施形態に係る電源装置の作用効果について、具体的に説明する。ここでは、上述した特許文献1に記載された電源装置と同等の回路構成を比較対象として示し、本発明の作用効果の優位性について検証する。
図17は、本発明の比較対象となる電源装置の一例を示す概略ブロック図である。ここでは、比較対象となる電源装置(以下、「比較例」と記す)として、負荷(LEDやLD等)に一定の制御電流を流すための、デジタル制御定電流降圧型DC−DCコンバータ回路を示す。また、図18、図19は、比較例に適用される信号制御方法におけるタイミングチャートである。ここで、図18は、入力電圧が上昇変動した場合の信号制御方法のタイミングチャートであり、図19は、入力電圧が下降変動した場合の信号制御方法のタイミングチャートである。
本実施形態の比較例となる電源装置は、例えば図17に示すように、デジタル電源制御部10とデジタル電源パワー部20とを有するデジタル制御ループ部のみを備えた回路構成を有している。ここで、デジタル電源パワー部20は、上述した実施形態と同様に、入力電圧Vinを所定の電圧値を有する出力電圧Voutに変換して、負荷40に供給する。また、デジタル電源制御部10は、上述した実施形態と同様に、デジタル電源パワー部20から負荷40に供給される出力電流に応じて生成されるデジタル制御帰還信号に基づいて、デジタル電源パワー部20における動作を制御するためのPWM信号を生成して、デジタル電源パワー部20のスイッチング素子(SW)22に出力する。すなわち、比較例においては、上述した実施形態に示したような、入出力電圧を比較して、PWM信号のDutyや周波数を調整する調整信号を生成し、デジタル電源制御部10やデジタル電源パワー部20に出力するPWM調整部30を有するアナログ制御ループ部や、上記調整信号に基づいて、PWM信号のDutyを調整するDuty調整回路21、PWM信号の周波数を調整する可変発振回路14を備えていない。
このような比較例においては、図18のタイミングチャートに示すように、入力電圧Vinが急変(上昇変動)した場合、制御遅延によって生じるデジタル制御の反応不可時間領域において、上述した実施形態に示したような、デジタル制御部12(演算回路)から出力されるPWM信号(又は、スイッチング素子(SW)22に出力されるSW制御信号)のDutyを下げる制御は行なわれない。そのため、デジタル電源パワー部20から負荷40に供給される出力電圧Voutは、上記反応不可時間領域中に上昇する。そして、反応不可時間領域終了後においては、デジタル制御が機能することになるため、PWM信号のDutyを下げて、出力電圧Voutを下げる方向に制御が働くが、直ぐには出力電圧Voutには反映されず、本来の電圧値に復帰しない状態(安定しない状態)が継続することになる。
一方、図19のタイミングチャートに示すように、入力電圧が急変(下降変動)した場合にも、制御遅延によって生じるデジタル制御の反応不可時間領域において、上述した実施形態に示したような、PWM信号(又は、SW制御信号)のDutyを上げる制御は行なわれない。そのため、出力電圧Voutは上記反応不可時間領域中に降下する。そして、反応不可時間領域終了後においては、デジタル制御が機能することになるため、PWM信号のDutyを上げて、出力電圧Voutを上げる方向に制御が働くが、直ぐには出力電圧Voutには反映されず、本来の電圧値に復帰しない状態(安定しない状態)が継続することになる。
このように、比較例においては、外部要因(外乱)による入力電圧Vinの変動に対して、出力電圧Voutのデジタル制御の反応が遅いため、出力電圧Voutの電圧変動が大きい不安定になる状態が継続するという問題を有している。
これに対して、上述した各実施形態に示した電源装置においては、周知のデジタル制御ループ部に加え、入出力電圧の比較手段やPWM信号の調整信号の生成手段を有するアナログ制御ループ部(PWM調整部30)と、PWM信号のDuty調整部(Duty調整回路21)及び周波数調整部(可変発振回路14)のうちの少なくともいずれか一方と、を備えた回路構成を有している。そして、本発明においては、各実施形態のタイミングチャートに示したように、入力電圧Vinと出力電圧Voutを監視して、その変動結果に基づいて変化の大きさに比例した調整信号が即座に生成されて、PWM信号のDutyや周波数が調整される。
すなわち、本発明においては、入出力電圧に突然の変動が発生した場合に、制御遅延によって生じるデジタル制御の反応不可時間領域では、一時的にアナログ制御ループによる出力電圧制御の補正動作を行い、デジタル制御が追いついて電圧変動後の帰還制御が定常状態になった時点(制御遅延が解消した時点)で、アナログ制御ループによる補正動作を停止する制御が実行される。
これにより、本発明に係る電源装置によれば、外乱による制御の不備(制御遅延による反応不可状態)を補うことができ、入出力電圧の変化の状況に応じて最適な帰還ループ特性で即座に制御することができる。したがって、本発明によれば、出力電圧制御の高速応答性と、出力電圧の速やかな安定性を有する電源装置を実現することができる。
<光源装置>
次に、上述した各実施形態に係る電源装置を備える光源装置の例について説明する。
上述した各実施形態に係る電源装置は、以下に示すように、プロジェクタやプリンタ等、種々の電子機器の光源装置として良好に適用することができる。
図20は、本発明に係る電源装置を備える光源装置の一構成例を示す概略構成図である。図21は、本発明に係る電源装置を備える光源装置の第1の例(プロジェクタ)を示す概略構成図であり、図22は、本発明に係る電源装置を備える光源装置の第2の例(プリンタ)を示す概略構成図である。ここで、上述した各実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付して示し、その説明を簡略化する。
本発明に係る電源装置を備える光源装置100は、図20に示すように、一次元配列又は二次元配列された複数の光源41と、各光源41の各々に対して個別に設けられたデジタル電源パワー部20及びPWM調整部30と、複数の光源41に対して共通に設けられた単一のデジタル電源制御部10と、を有している。ここで、デジタル電源制御部10と、デジタル電源パワー部20と、PWM調整部30は、上述した各実施形態と同等の構成及び機能を有している。また、負荷となる光源41は、LEDやLD等の発光素子が適用される。
このような構成を有する光源装置100において、PWM調整部30により、入力電圧Vinと出力電圧Voutを監視して、その変動結果に基づいて変化の大きさに比例した調整信号が生成されてデジタル電源パワー部20に出力される。そして、この調整信号に基づいてデジタル電源制御部10から出力されるPWM信号のDutyや周波数が調整されて、デジタル電源パワー部20における出力電圧制御が継続的かつ安定的に実行される。これにより、入力電圧Vinが変動した場合であっても、複数の光源41が所定の発光輝度(又は発光量)で安定的に発光駆動される。
図21に示すプロジェクタ210は、大別して、複数のLDが二次元配列された励起光光源211と、集光光学系212と、第1の発光色のLEDを有する第1の光源213と、時分割光発生装置214と、第2の発光色のLEDを有する第2光源215と、光源側光学系216と、表示素子217と、投影光学系218と、を備えている。ここで、励起光光源211、第1光源213、第2光源215は、図20に示した構成を有する光源装置100が適用される。これによれば、入力電圧に変動が生じた場合であっても、制御遅延による反応不可状態を補って、励起光光源211、第1光源213、第2光源215に配列された各光源(LDやLED)を、所定の発光輝度(又は発光量)で安定的に発光駆動させることができる。
また、図22に示すプリンタ220は、大別して、感光体ドラム221と、帯電ローラ222と、露光ヘッド223と、現像器224と、搬送ベルト225と、転写ローラ226と、定着ローラ227と、クリーニング部材228と、イレーサ光源229と、を備えている。ここで、露光ヘッド223は、複数のLEDが一次元配列され、図20に示した構成を有する光源装置100が適用される。そして、露光ヘッド223の各LEDから放射された光が、感光体ドラム221に照射されることにより、感光体ドラム221の外周表面に、印字情報や画像データに応じた静電潜像が形成される。これによれば、入力電圧に変動が生じた場合であっても、制御遅延による反応不可状態を補って、露光ヘッド223に配列された各光源(LED)を、所定の発光輝度(又は発光量)で安定的に発光駆動させることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
[1]
入力信号を、PWM信号に応じて出力信号に変換して負荷に出力する出力信号制御部と、
前記負荷への前記出力信号に応じてフィードバックされる帰還信号に基づいて前記PWM信号を生成するPWM信号生成部と、
前記入力信号の変動時における、前記入力電圧の前記出力信号に対する変動量の大きさ、及び、前記変動量が正の値であるか負の値であるかに応じて、前記PWM信号のオンタイムを規定するデューティ及び前記PWM信号の周波数の少なくとも一方に対応するパラメータを調整するための調整信号を生成するPWM調整部と、
前記調整信号に基づいて前記PWM信号の前記パラメータを調整して、前記出力信号制御部における前記入力信号の前記出力信号への変換動作を制御する動作制御部と、
を有することを特徴とする電源装置。
[2]
前記パラメータは前記デューティに対応しており、
前記動作制御部は、前記調整信号に基づいて前記PWM信号の前記デューティを調整して、前記出力信号制御部における前記変換動作を制御することを特徴とする[1]に記載の電源装置。
[3]
前記パラメータは前記周波数に対応しており、
前記動作制御部は、前記調整信号に基づいて前記PWM信号の前記周波数を調整して、前記出力信号制御部における前記変換動作を制御することを特徴とする[1]に記載の電源装置。
[4]
前記パラメータは前記デューティ及び前記周波数に対応しており、
前記動作制御部は、前記調整信号に基づいて前記PWM信号の前記デューティ及び前記周波数を調整して、前記出力信号制御部における前記変換動作を制御することを特徴とする[1]に記載の電源装置。
[5]
前記PWM調整部は、前記入力信号の変動が発生した直後から調整期間の間、前記調整信号の生成を継続し、前記調整期間の終了後は調整信号の生成を停止し、
前記動作制御部は、前記調整期間の間において、前記PWM信号の前記調整信号に基づく前記パラメータの調整を実行することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の電源装置。
[6]
前記PWM調整部は、前記入力信号の変動時に生じる前記変動量の大きさに応じて前記調整期間を算出することを特徴とする[5]に記載の電源装置。
[7]
前記調整期間は予め設定された固定期間に設定されることを特徴とする[5]に記載の電源装置。
[8]
前記PWM調整部は、前記動作制御部により前記パラメータが調整された前記PWM信号と、前記帰還信号に基づいて推定されるPWM信号との比較に基づいて前記調整期間を算出することを特徴とする[5]に記載の電源装置。
[9]
[1]乃至[8]のいずれかに記載の電源装置を備え、
前記負荷として一次元又は二次元配列された複数の発光素子を有し、
前記出力信号制御部と前記PWM調整部と前記動作制御部とが前記複数の発光素子の各々に対応して設けられていることを特徴とする光源装置。
[10]
入力信号を、PWM信号に応じて出力信号に変換して負荷に出力し、
前記負荷への出力信号に応じてフィードバックされる帰還信号に基づいて前記PWM信号を生成し、
前記入力信号が変動したときに、前記入力信号の変動が発生した直後から調整期間の間において、該入力信号の変動時における、前記出力信号に対する前記入力信号の変動量の大きさ、及び、前記変動量が正の値であるか負の値であるかに応じて、前記PWM信号のオンタイムを規定するデューティ及び前記PWM信号の周波数の少なくとも一方に対応するパラメータを調整するための調整信号の生成を継続し、
前記調整期間の間において、前記調整信号に基づいて前記PWM信号の前記パラメータを調整して、前記入力信号の前記出力信号への変換動作を制御し、
前記調整期間の終了後において、前記調整信号の生成を停止する、
ことを特徴とする電源装置の制御方法。
[11]
前記入力信号の変動時に生じる前記変動量の大きさに応じて前記調整期間を算出することを特徴とする[10]に記載の電源装置の制御方法。
[12]
前記調整期間を予め設定された固定期間に設定することを特徴とする[10]に記載の電源装置の制御方法。
[13]
前記動作制御部により前記パラメータが調整された前記PWM信号と、前記帰還信号に基づいて推定されるPWM信号との比較に基づいて前記調整期間を算出することを特徴とする[10]に記載の電源装置の制御方法。