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JP2014219664A - レジスト組成物、レジストパターン形成方法及びレジスト用溶媒 - Google Patents

レジスト組成物、レジストパターン形成方法及びレジスト用溶媒 Download PDF

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Abstract

【課題】LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性に優れると共に、塗布性及び保存安定性にも優れるレジスト組成物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、感放射線性酸発生体及び溶媒を含有し、この溶媒が、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を含むレジスト組成物である。上記アルコール性水酸基は3級であることが好ましい。上記溶媒が、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート化合物をさらに含むことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、レジスト組成物、レジストパターン形成方法及びレジスト用溶媒に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるレジストパターンのさらなる微細化が要求されており、そのため、種々のレジスト組成物が検討されている。このようなレジスト組成物は、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線、電子線などの露光光の照射により、露光部に酸を生成させ、この酸の触媒作用により露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる。
かかるレジスト組成物には、単に解像性等に優れるだけでなく、高精度なパターンを高いプロセス安定性で得られることが要求され、そのため、LWR(Line Width Roughness)性能やCDU(Critical Dimension Uniformity)性能等のリソグラフィー性能に優れ、また、得られるレジストパターンにおいて欠陥の発生が少ないこと、さらに、シリコン膜等の上に塗布した際にハレーション、はがれ、はじき等が起こり難く、少量のレジスト組成物でも塗布が可能である等、塗布性に優れること、長期間の保存によっても、異物の発生がなく、感度を維持できる等、保存安定性に優れることなど様々な性能を満たすことが求められる。
このような要求を満たすため、レジスト組成物の各成分について検討されており、含有される溶媒についても種々検討されている(特開平7−261377号公報及び特開2002−268206号公報参照)。しかし、上記従来のレジスト組成物では、これらの要求をすべて満たすことはできていない。
特開平7−261377号公報 特開2002−268206号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性に優れると共に、塗布性及び保存安定性にも優れるレジスト組成物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、
酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、感放射線性酸発生体及び溶媒を含有し、
この溶媒が、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を含むレジスト組成物である。
本発明のレジストパターン形成方法は、
当該レジスト組成物でレジスト膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を有する。
本発明のレジスト用溶媒は、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を含む。
本発明のレジスト組成物及びレジストパターン形成方法によれば、優れた保存安定性及び塗布性を発揮しつつ、LWR及びCDUが小さくかつ欠陥が少ないレジストパターンを得ることができる。また、本発明のレジスト組成物は、450mmウエハ等の大型基板に対しても好適な塗布性を有する。本発明のレジスト用溶媒によれば、これを含有するレジスト組成物の保存安定性、塗布性、LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性を向上させることができる。また、本発明のレジスト用溶媒によれば、450mmウエハ等の大型基板に対しても、レジスト組成物の好適な塗布性を発揮させることができる。従って、これらは、今後ますます微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用に好適に用いることができる。
<レジスト組成物>
当該レジスト組成物(以下、「レジスト組成物(A)」ともいう)は、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)、感放射線性酸発生体(以下、「[B]酸発生体」ともいう)及び溶媒(以下、「[S]溶媒」ともいう)を含有し、この[S]溶媒は、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物(以下、「化合物(I)」ともいう)を含む。レジスト組成物(A)は、[S]溶媒が化合物(I)を含むことで、LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性に優れると共に塗布性及び保存安定性にも優れる。
なお、当該レジスト組成物における[B]酸発生体は、[A]重合体中の構造単位に組み込まれる形で含有されていてもよい。さらに、当該レジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、[C]酸拡散制御体、[D]フッ素原子含有重合体(以下、「[D]重合体」ともいう)等を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
<[S]溶媒>
[S]溶媒は、化合物(I)を含む。当該レジスト組成物は、[S]溶媒が化合物(I)を含むことで、LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性に優れると共に、塗布性及び保存安定性にも優れる。レジスト組成物(A)において、[S]溶媒は、化合物(I)を1種又は2種以上含んでいてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において化合物(I)以外の化合物(以下、「化合物(II)」ともいう)を含んでいてもよい。
以下、化合物(I)、化合物(II)について説明する。
[化合物(I)]
化合物(I)はケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物である。「ケトン性カルボニル基」とは、カルボニル基(C=O)のうち、この基の炭素原子に2個の炭素原子が結合しているものをいう。また、「アルコール性水酸基」とは、水酸基(OH)のうち、芳香環を構成していない炭素原子に結合しているものをいう。
レジスト組成物(A)が、[S]溶媒に化合物(I)を含むことで、上記効果を奏する理由については、必ずしも明確ではないが、例えば、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基が同一分子内に存在することで、これらの相乗効果により、高い溶解性を発揮しつつ、レジスト組成物に含有される各成分、特に酸発生剤等の成分を安定化してその分解を抑えて、異物等の発生を抑制していること等が挙げられる。
化合物(I)としては、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を共に有するものであれば特に限定されない。
化合物(I)は、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基以外にも、エーテル基等の他の官能基を有していてもよいが、他の官能基を有さないことが好ましい。
化合物(I)は、ケトン性カルボニル基を1個又は2個以上有していてもよいが、1個が好ましい。
また、化合物(I)は、アルコール性水酸基を1個又は2個以上有していてもよいが、1個が好ましい。
化合物(I)のアルコール性水酸基は、1級(1級炭素原子に結合する水酸基)、2級(2級炭素原子に結合する水酸基)、3級(3級炭素原子に結合する水酸基)のいずれであってもよいが、2級のアルコール性水酸基、3級のアルコール性水酸基が好ましく、3級のアルコール性水酸基がより好ましい。
化合物(I)のアルコール性水酸基はケトン性カルボニル基に対してα位、β位、及びγ位のいずれかに結合していることが好ましく、α位及びβ位のいずれかに結合していることがより好ましく、β位に結合していることがさらに好ましい。
化合物(I)は、上記構造を有することで上述の安定化効果が高まると考えられ、結果として、レジスト組成物(A)のLWR性能、CDU性能、欠陥抑制性、塗布性及び保存安定性を向上させることができる。
化合物(I)の炭素数としては、溶解性をより向上させる観点から、3〜20の整数が好ましく、3〜10の整数がより好ましく、4〜8の整数がさらに好ましい。
上記1個のケトン性カルボニル基と、1個のアルコール性水酸基とを有する化合物としては、下記式(1−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2014219664
上記式(1−1)中、Rは、炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは、単結合又は炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。R〜Rのいずれか2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環構造を表してもよい。
上記R〜Rで表される炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキニル基などの鎖状炭化水素基;
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数3〜10のシクロアルケニル基などの脂環式炭化水素基;
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数7〜10のアラルキル基などの芳香族炭化水素基などが挙げられる。
で表される炭素数1〜10の2価の炭化水素基としては、例えば、上記R〜Rとして例示した基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記R〜Rのいずれか2つ以上が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環構造としては、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造等の脂環構造などが挙げられる。
これらの中で、Rとしては、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましく、メチル基がさらに特に好ましい。
及びRとしては、水素原子、鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子、アルキル基がより好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましく、水素原子、メチル基がさらに特に好ましい。また、R及びRとしては、少なくとも一方が炭化水素基であることが好ましく、両方が炭化水素基であることがより好ましい。
としては、単結合、鎖状炭化水素基が好ましく、単結合、アルカンジイル基がより好ましく、単結合、炭素数1〜5のアルカンジイル基がさらに好ましく、炭素数1〜5のアルキリデン基が特に好ましく、メタンジイル基がさらに特に好ましい。
化合物(I)としては、例えば、
4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−5−メチル−3−ヘキサノン、5−ヒドロキシ−3−ヘキサノン、5−ヒドロキシ−3−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−エチル−2−ヘキサノン、4−ヒドロキシ−2−ヘキサノン等の脂肪族ケトアルコール;
3−ヒドロキシ−1−シクロヘキシル−3−メチル−1−ブタノン、3−ヒドロキシ−1−シクロヘキシル−1−ブタノン、3−ヒドロキシ−1−シクロヘキシル−3−プロパノン等の脂環式ケトアルコール;
3−ヒドロキシ−1−フェニル−3−メチル−1−ブタノン、3−ヒドロキシ−1−フェニル−1−ブタノン、3−ヒドロキシ−1−フェニル−3−プロパノン等の芳香族アルコールなどが挙げられる。
これらの中で、3級のアルコール性水酸基を有するケトアルコールが好ましく、炭素数4〜10の脂肪族ケトアルコールがより好ましく、ケトン性カルボニル基のβ位に3級のアルコール性水酸基を有する炭素数6〜10の脂肪族ケトアルコールがさらに好ましく、ジアセトンアルコールが特に好ましい。
(化合物(II))
レジスト組成物(A)は、本発明の効果を損なわない範囲において、[S]溶媒が化合物(I)以外の化合物(II)を含んでいてもよい。
化合物(II)としては、例えば、アルコール化合物(化合物(I)に該当するものを除く)、エーテル化合物、ケトン化合物(化合物(I)に該当するものを除く)、アミド化合物、エステル化合物、炭化水素化合物等が挙げられる。
アルコール化合物としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のモノアルコール化合物;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール化合物;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル基含有アルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物などの多価アルコール部分エーテル化合物などが挙げられる。
エーテル化合物としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル化合物;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル化合物;
ジフェニルエーテル、アニソール(メチルフェニルエーテル)等の芳香環含有エーテル化合物等が挙げられる。
ケトン化合物としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン(メチル−n−ペンチルケトン)、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン化合物:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン化合物:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
アミド化合物としては、例えばN,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド化合物;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド化合物等が挙げられる。
エステル化合物としては、例えば、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル化合物;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート化合物;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート等のエーテル基含有アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート化合物などの多価アルコール部分エーテルカルボキシレート化合物;
γ−ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン化合物;
ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物;
ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
炭化水素化合物としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
これらの中で、化合物(II)としては、エステル化合物が好ましく、多価アルコール部分エーテルカルボキシレート化合物、ラクトン化合物がより好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート化合物、単環のラクトン化合物がさらに好ましく、プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、5員環又は6員環のラクトンが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンがさらに特に好ましい。
[S]溶媒における化合物(I)の含有率の下限としては、1質量%が好ましく、7質量%がより好ましく、12質量%がさらに好ましく、15質量%が特に好ましい。化合物(I)の含有率の上限としては、100質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、50質量%がさらに好ましく、35質量%が特に好ましい。[S]溶媒における化合物(I)の含有率を上記範囲とすることで、当該レジスト組成物のLWR性能、CDU性能、欠陥抑制性、塗布性及び保存安定性をさらに向上させることができる。
<[A]重合体>
[A]重合体は、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体である。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。当該レジスト組成物は、[S]溶媒中、[B]酸発生剤と共に[A]重合体を含有することで、良好な形状のレジストパターンを形成することができる。
[A]重合体としては構造単位(I)を有する重合体である限り特に限定されない。[A]重合体は、構造単位(I)に加えて、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位(II)をさらに有することが好ましく、また、ヒドロキシ基を含む構造単位(III)等を有していてもよい。
以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(I)としては、酸解離性基を含む限り特に限定されず、例えば、カルボキシ基の水素原子を酸解離性基で置換した構造を有する構造単位、フェノール性水酸基の水素原子を酸解離性基で置換した構造を有する構造単位等が挙げられるが、下記式(2)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2014219664
上記式(2)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rは、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基若しくは炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の脂環構造を表す。
上記Rとしては、構造単位(II)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記R、R及びRで表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基等が挙げられる。
上記R、R及びRで表される炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記これらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成され表す炭素数3〜20の脂環構造としては、例えば、
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造等が挙げられる。
構造単位(I)としては、下記式(2−1)〜(2−4)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−4)」ともいう)が好ましい。
Figure 2014219664
上記式(2−1)〜(2−4)中、R〜Rは、上記式(2)と同義である。i及びjは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。
構造単位(I)としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2014219664
Figure 2014219664
上記式中、Rは、上記式(2)と同義である。
構造単位(I)としては、1−アルキル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%〜80モル%が好ましく、20モル%〜70モル%がより好ましく、30モル%〜65モル%がさらに好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該レジスト組成物の感度及び解像性がより向上し、結果として、LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性が向上する。上記含有割合が上記下限未満だと、当該レジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。上記含有割合が上記上限を超えると、レジストパターンの基板への密着性が低下する場合がある。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(I)に加えて、構造単位(II)をさらに有することで、現像液への溶解性をさらに調整することができ、その結果、当該レジスト組成物のLWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性を向上させることができる。また、当該レジスト組成物から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
構造単位(II)としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2014219664
Figure 2014219664
Figure 2014219664
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(II)としては、これらの中で、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、γ−ブチロラクトン構造を含む構造単位、エチレンカーボネート構造を含む構造単位、ノルボルナンスルトン構造を含む構造単位が好ましく、ノルボルナンラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ノルボルナンラクトン−イルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、γ−ブチロラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、エチレンカーボネート−イルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ノルボルナンスルトン−イルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位に由来する構造単位がより好ましい。
構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%〜80モル%が好ましく、25モル%〜70モル%がより好ましく、35モル%〜60モル%がさらに好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該レジスト組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性をより向上させることができる。上記含有割合が上記下限未満だと、当該レジスト組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性が低下する場合がある。上記含有割合が上記上限を超えると、当該レジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ヒドロキシ基を含む構造単位である。[A]重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性をさらに調整することができ、その結果、当該レジスト組成物のLWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性を向上させることができる。構造単位(III)としては、例えば、下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2014219664
上記式中、Rは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(III)としては、これらの中で、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%以下が好ましく、25モル%以下が好ましく、5モル%〜25モル%がさらに好ましい。上記含有割合が上記上限を超えると、当該レジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
[その他の構造単位]
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(III)以外にもその他の構造単位を有してもよい。上記その他の構造単位としては、例えば、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基等の極性基を含む構造単位、非解離性の脂環式炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。上記その他の構造単位の含有割合としては、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
[A]重合体の含有量としては、当該レジスト組成物の全固形分中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば、各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらの中で、AIBN、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの重合に使用される溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1,000以上50,000以下が好ましく、2,000以上30,000以下がより好ましく、3,000以上20,000以下がさらに好ましく、5,000以上15,000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該レジスト組成物の塗布性及び欠陥抑制性を向上させることができる。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
本明細書における重合体のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本(以上、東ソー製)
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業製)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基等が生じ、[A]重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該レジスト組成物からレジストパターンを形成することができる、当該レジスト組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた酸発生基の形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[B]酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)−ヘキサン−1−スルホネート等が挙げられる。
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
[B]酸発生剤としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。[B]酸発生剤が下記構造を有することで、[A]重合体の構造単位(I)との相互作用等により、露光により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果当該レジスト組成物のLWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性を向上させることができる。
Figure 2014219664
上記式(3)中、R10は、環員数7以上の脂環構造を含む1価の基又は環員数7以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基である。R11は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Xは、1価の光分解性オニウムカチオンである。
10における「環員数」とは、脂環構造及び脂肪族複素環構造の環を構成する原子数をいい、多環の脂環構造及び多環の脂肪族複素環構造の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
上記R10で表される環員数7以上の脂環構造を含む1価の基としては、例えば、
シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基等が挙げられる。
上記R10で表される環員数7以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基としては、例えば、
ノルボルナンラクトン−イル基等のラクトン構造を含む基;
ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を含む基;
オキサシクロヘプチル基、オキサノルボルニル基等の酸素原子含有複素環基;
アザシクロヘプチル基、ジアザビシクロオクタン−イル基等の窒素原子含有複素環基;
チアシクロヘプチル基、チアノルボルニル基等のイオウ原子含有複素環基等が挙げられる。
10で表される基の環員数しては、上述の酸の拡散長がさらに適度になる観点から、8以上が好ましく、9〜15がより好ましく、10〜13がさらに好ましい。
10としては、これらの中で、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基、環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−イル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
上記R11で表される炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基が有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。
これらの中で、SO 基に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基が好ましく、SO 基に隣接する炭素原子に2個のフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基がより好ましく、1,1−ジフルオロメタンジイル基、1,1−ジフルオロエタンジイル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1,2−プロパンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロブタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンジイル基がさらに好ましい。
上記Xで表される1価の光分解性オニウムカチオンは、露光光の照射により分解するカチオンである。露光部では、この光分解性オニウムカチオンの分解により生成するプロトンと、スルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。上記Xで表される1価の光分解性オニウムカチオンとしては、例えば、S、I、O、N、P、Cl、Br、F、As、Se、Sn、Sb、Te、Bi等の元素を含む放射線分解性オニウムカチオンが挙げられる。元素としてS(イオウ)を含むカチオンとしては、例えば、スルホニウムカチオン、テトラヒドロチオフェニウムカチオン等が挙げられ、元素としてI(ヨウ素)を含むカチオンとしては、ヨードニウムカチオン等が挙げられる。これらの中で、下記式(X−1)で表されるスルホニウムカチオン、下記式(X−2)で表されるテトラヒドロチオフェニウムカチオン、下記式(X−3)で表されるヨードニウムカチオンが好ましい。
Figure 2014219664
上記式(X−1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Ra1〜Ra3並びにR及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRa1〜Ra3並びにR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(X−2)中、Rb1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は0〜7の整数である。Rb1が複数の場合、複数のRb1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Rb2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Rb2が複数の場合、複数のRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。qは、0〜3の整数である。
上記式(X−3)中、Rc1及びRc2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rc1、Rc2、R及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRc1、Rc2、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記Ra1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
上記Ra1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
上記Ra1〜Ra3、Rc1及びRc2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
上記Rb1及びRb2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。
これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
上記Ra1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R”、−SO−R”が好ましく、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
上記式(X−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(X−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(X−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(3)で表される酸発生剤としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−11)で表される化合物(以下、「化合物(3−1)〜(3−11)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2014219664
上記式(3−1)〜(3−11)中、Xは、上記式(3)と同義である。
[B]酸発生剤としては、これらの中でも、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩がより好ましく、化合物(3−2)〜(3−4)、(3−11)がさらに好ましい。
[B]酸発生体の含有量としては、[B]酸発生体が[B]酸発生剤の場合、当該レジスト組成物の感度及び現像性を確保する観点から、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましく、1質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。[B]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該レジスト組成物の感度及び現像性が向上する。[B]酸発生体は、1種又は2種以上を用いることができる。
<[C]酸拡散制御体>
当該レジスト組成物は、必要に応じて、[C]酸拡散制御体を含有してもよい。
[C]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、レジストとしての解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れたレジスト組成物が得られる。[C]酸拡散制御体の当該レジスト組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、適宜「[C]酸拡散制御剤」という)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[C]酸拡散制御剤としては、例えば、下記式(4)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
Figure 2014219664
上記式(4)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類;N−プロピルモルホリン、N−(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン、ピラゾール等が挙げられる。
また上記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
また、[C]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基としては、例えば、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば、下記式(5−1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(5−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2014219664
上記式(5−1)及び式(5−2)中、R15〜R19は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。E及びQは、それぞれ独立して、OH、Rβ−COO、Rβ−SO 又は下記式(5−3)で表されるアニオンである。但し、Rβは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Figure 2014219664
上記式(5−3)中、R20は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基である。uは、0〜2の整数である。
上記光崩壊性塩基としては、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2014219664
上記光崩壊性塩基としては、これらの中で、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートがさらに好ましい。
[C]酸拡散制御体の含有量としては、[C]酸拡散制御体が[C]酸拡散制御剤である場合、[A]重合体100質量部に対して、0〜20質量部が好ましく、0.1質量部〜15質量部がより好ましく、0.3質量部〜10質量部がさらに好ましい。[C]酸拡散制御剤の含有量が上記上限を超えると、当該レジスト組成物の感度が低下する場合がある。
<[D]重合体>
[D]重合体はフッ素原子含有重合体である([A]重合体に該当するものを除く)。当該レジスト組成物が、[D]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に、膜中の含フッ素重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍で偏在化する傾向があり、液浸露光時における酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[D]重合体の撥水性的特徴により、レジスト被膜と液浸媒体との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該レジスト組成物が[D]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト被膜を形成することができる。
[D]重合体としては、フッ素原子を有する重合体である限り、特に限定されないが、当該レジスト組成物中の[A]重合体よりも、フッ素原子含有率(質量%)が高いことが好ましい。[A]重合体よりもフッ素原子含有率が高いことで、上述の偏在化の度合いがより高くなり、得られるレジスト膜の撥水性及び溶出抑制性等の特性が向上する。
[D]重合体のフッ素原子含有率としては、1質量%以上が好ましく、2質量%〜60質量%がより好ましく、4質量%〜40質量%がさらに好ましく、7質量%〜30質量%が特に好ましい。[D]重合体のフッ素原子含有率が上記下限未満だと、レジスト膜表面の疎水性が低下する場合がある。なお重合体のフッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMRスペクトル測定により重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
[D]重合体としては、下記構造単位(Da)及び構造単位(Db)からなる群より選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。[D]重合体は、構造単位(Da)及び構造単位(Db)をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。
[構造単位(Da)]
構造単位(Da)は、下記式(6a)で表される構造単位である。[D]重合体は、構造単位(Da)を有することでフッ素原子含有率を調整することができる。
Figure 2014219664
上記式(6a)中、Rは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−CO−O−、−SO−O−NH−、−CO−NH−又は−O−CO−NH−である。Rは、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の1価の鎖状炭化水素基又は少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数4〜20の1価の脂肪族環状炭化水素基である。
上記Rで表される少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の鎖状炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
上記Rで表される少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数4〜20の脂肪族環状炭化水素基としては、例えば、モノフルオロシクロペンチル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロペンチル基、モノフルオロシクロヘキシル基、ジフルオロシクロペンチル基、パーフルオロシクロヘキシルメチル基、フルオロノルボルニル基、フルオロアダマンチル基、フルオロボルニル基、フルオロイソボルニル基、フルオロトリシクロデシル基、フルオロテトラシクロデシル基等が挙げられる。
上記構造単位(Da)を与える単量体としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、ジフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、モノフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ジフルオロシクロペンチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロノルボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロアダマンチル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロイソボルニル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロトリシクロデシル(メタ)アクリル酸エステル、フルオロテトラシクロデシル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの中で、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
構造単位(Da)の含有割合としては、[D]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜95モル%が好ましく、10モル%〜90モル%がより好ましく、30モル%〜85モル%がさらに好ましい。このような含有割合にすることによって液浸露光時においてレジスト膜表面のより高い動的接触角を発現させることができる。
[構造単位(Db)]
構造単位(Db)は、下記式(6b)で表される構造単位である。[D]重合体は、構造単位(Db)を有することで疎水性が上がるため、当該レジスト組成物から形成されたレジスト膜表面の動的接触角をさらに向上させることができる。
Figure 2014219664
上記式(6b)中、Rは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R21は、炭素数1〜20の(s+1)価の炭化水素基であり、R21のR22側の末端に酸素原子、硫黄原子、−NR’−、カルボニル基、−CO−O−又は−CO−NH−が結合された構造のものも含む。R’は、水素原子又は1価の有機基である。R22は、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状炭化水素基又は炭素数4〜20の2価の脂肪族環状炭化水素基である。Xは、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。Aは、酸素原子、−NR”−、−CO−O−*又は−SO−O−*である。R”は、水素原子又は1価の有機基である。*は、R21に結合する結合部位を示す。R23は、水素原子又は1価の有機基である。sは、1〜3の整数である。但し、sが2又は3の場合、複数のR22、X、A及びR23はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記R23が水素原子である場合には、[D]重合体のアルカリ現像液に対する溶解性を向上させることができる点で好ましい。
上記R23で表される1価の有機基としては、例えば、酸解離性基、アルカリ解離性基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基等が挙げられる。
上記構造単位(Db)としては、例えば、下記式(6b−1)〜(6b−3)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2014219664
上記式(6b−1)〜(6b−3)中、R21’は、炭素数1〜20の2価の直鎖状、分岐状若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基である。R、X、R23及びsは、上記式(6b)と同義である。sが2又は3である場合、複数のX及びR23はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記構造単位(6b)の含有割合としては、[D]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜90モル%が好ましく、5モル%〜85モル%がより好ましく、10モル%〜80モル%がさらに好ましい。このような含有割合にすることによって、当該レジスト組成物から形成されたレジスト膜表面は、アルカリ現像において動的接触角の低下度を向上させることができる。
[構造単位(Dc)]
[D]重合体は、上記構造単位(Da)及び(Db)以外にも、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(Dc)」ともいう。)を有してもよい(但し、構造単位(Db)に該当するものを除く)。[D]重合体が構造単位(Dc)を有することで、得られるレジストパターンの形状がより良好になる。構造単位(Dc)としては、上述した[A]重合体における構造単位(I)等が挙げられる。
上記構造単位(Dc)の含有割合としては、[D]重合体を構成する全構造単位に対し、5モル%〜90モル%が好ましく、10モル%〜70モル%がより好ましく、15モル%〜60モル%がさらに好ましく、15モル%〜50モル%が特に好ましい。構造単位(Dc)の含有割合が上記下限未満だと、レジストパターンにおける現像欠陥の発生を十分に抑制できない場合がある。構造単位(Dc)の含有割合が上記上限を超えると、得られるレジスト膜表面の疎水性が低下する場合がある。
[他の構造単位]
また、[D]重合体は、上記構造単位以外にも、例えば、アルカリ可溶性基を含む構造単位、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を含む構造単位、脂環式基を含む構造単位等の他の構造単位を有していてもよい。上記アルカリ可溶性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、スルホ基等が挙げられる。ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する構造単位としては、上述した[A]重合体における構造単位(II)等が挙げられる。
上記他の構造単位の含有割合としては、[D]重合体を構成する全構造単位に対して、通常、30モル%以下であり、20モル%以下が好ましい。上記他の構造単位の含有割合が上記上限を超えると、当該レジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
当該レジスト組成物における[D]重合体の含有量としては、[A]重合体の100質量部に対して、0〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜15質量部がより好ましく、1質量部〜10質量部がさらに好ましい。[D]重合体の含有量が上記上限を超えると、当該レジスト組成物のパターン形成性が低下する場合がある。
<その他の任意成分>
当該レジスト組成物は、上記[S]及び[A]〜[D]以外にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業製)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F173(以上、DIC製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業製)等が挙げられる。当該レジスト組成物における界面活性剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して通常2質量部以下である。
(脂環式骨格含有化合物)
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。当該レジスト組成物における脂環式骨格含有化合物の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して通常5質量部以下である。
(増感剤)
増感剤は、[B]酸発生剤等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該レジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。当該レジスト組成物における増感剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して通常2質量部以下である。
<レジスト組成物の調製方法>
当該レジスト組成物は、例えば、[A]重合体、[B]酸発生体、[C]酸拡散制御剤、[D]重合体及びその他の任意成分、並びに[S]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。当該レジスト組成物は、混合後に、例えば、孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。当該レジスト組成物の固形分濃度としては、通常0.1質量%〜50質量%であり、0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましい。
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、
当該レジスト組成物でレジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)
上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)
を有する。
当該レジストパターン形成方法によれば、上述のレジスト組成物を用いているので、LWR及びCDUが小さく、現像欠陥が少なく、かつトップロスが抑制されたレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
[レジスト膜形成工程]
本工程では、当該レジスト組成物でレジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば、回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、プレベーク(PB)を行ってもよい。PB温度としては、通常60℃〜140℃であり、80℃〜120℃が好ましい。PB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。形成されるレジスト膜の膜厚としては、10nm〜1,000nmが好ましく、10nm〜500nmがより好ましい。
液浸露光を行う場合で、当該レジスト組成物が撥水性重合体添加剤を含有していない場合等には、上記形成したレジスト膜上に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を避ける目的で、液浸液に不溶性の液浸用保護膜を設けてもよい。液浸用保護膜としては、(3)工程の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(例えば特開2006−227632号公報参照)、(3)工程の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(例えばWO2005−069076号公報、WO2006−035790号公報参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
[露光工程]
露光工程では、レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介するなどして(場合によっては、水等の液浸媒体を介して)露光光を照射し、露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光、電子線がさらに好ましい。
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば、水、フッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により[B]酸発生体から発生した酸による[A]重合体等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差が生じる。PEB温度としては、通常50℃〜180℃であり、80℃〜130℃が好ましい。PEB時間としては、通常5秒〜600秒であり、10秒〜300秒が好ましい。
[現像工程]
現像工程では、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。
上記現像に用いる現像液としては、
アルカリ現像の場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中でも、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
また、有機溶媒現像の場合、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、又は有機溶媒を含有する溶媒が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば上述のレジスト組成物の[E]溶媒として列挙した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
<レジスト用溶媒>
本発明のレジスト用溶媒は、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を含む。
当該レジスト用溶媒によれば、これを含有するレジスト組成物のLWR性能、CDU性能、欠陥抑制性、塗布性及び保存安定性を向上させることができる。また、当該レジスト用溶媒によれば、450mmウエハ等の大型基板に対しても、レジスト組成物の好適な塗布性を発揮させることができる。
これらのレジスト用溶媒は、上述のレジスト組成物(A)における[S]溶媒として説明している。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[Mw及びMn]
重合体のMw及びMnは、GPCにより、下記条件で測定した。
GPCカラム:G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本(以上、東ソー製)
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業製)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
13C−NMR分析]
13C−NMR分析は、核磁気共鳴装置(JNM−ECX400、日本電子製)を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを用いて行った。
<重合体の合成>
[A]重合体及び[D]重合体の合成に用いた各単量体を以下に示す。
Figure 2014219664
[[A]重合体の合成]
[合成例1]
化合物(M−1)10.6g(60モル%)及び化合物(M−7)9.4g(40モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、さらに、重合開始剤としてのAIBN0.86g(化合物の合計モル数に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に、この冷却した重合反応液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。このろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、60℃で17時間乾燥させて、白色粉末状の重合体(A−1)を得た(収量16.2g、収率81%)。重合体(A−1)のMwは6,400であり、Mw/Mnは1.55であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)に由来する構造単位及び(M−7)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ58.4モル%及び41.6モル%であった。
[合成例2〜7]
下記表1に示す種類及び使用量の各単量体を用いた以外は、合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜(A−7)を合成した。なお、使用する単量体の合計質量は20.0gとした。表1中の「−」は、該当する単量体を用いなかったことを示す。これらの重合体の各構造単位の含有割合、収率(%)、Mw及びMw/Mn比を表1に合わせて示す。
Figure 2014219664
[[D]重合体の合成]
[合成例7]
上記化合物(M−2)1.8g(20モル%)及び化合物(M−16)8.2g(20モル%)を10gの2−ブタノンに溶解し、さらに、重合開始剤としてのAIBN0.37g(化合物の合計モル数に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。5gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて4時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。この重合反応液を500mL分液漏斗に移液した後、アセトニトリル10g、イソプロパノール5g、n−ヘキサン65gを投入し、攪拌した後1時間静置した。その後、下層を回収し、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒置換を行うことにより、重合体(D−1)の酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液とした(収率77%)。重合体(D−1)のMwは、8,100であり、Mw/Mnは1.63であった。13C−NMR分析の結果、化合物(M−2)に由来する構造単位及び化合物(M−16)に由来する構造単位の含有割合は、それぞれ18.5モル%及び81.5モル%であった。
<レジスト組成物の調製>
レジスト組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
[[B]酸発生剤]
各構造式を下記に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−3:4−ブトキシナフタレン−1−イルテトラヒドロチオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート
B−5:トリフェニルスルホニウム6−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート
Figure 2014219664
[[C]酸拡散制御剤]
各構造式を下記に示す。
C−1:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
C−2:トリフェニルスルホニウムサリチレート
C−3:N−(ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
C−4:N−(t−アミルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン
Figure 2014219664
[[S]溶媒]
S−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
S−2:ジアセトンアルコール(DAA)
S−3:γ−ブチロラクトン(GBL)
S−4:シクロヘキサノン(CHN)
S−5:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
S−6:メチルアミルケトン(MAK)
S−7:酢酸ブチル(BuAc)
[実施例1]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)6.19質量部、[C]酸拡散制御剤としての(C−1)5.25質量部、[D]重合体としての(D−1)5質量部、並びに[S]溶媒としての(S−1)2,264質量部、(E−2)566質量部及び(E−3)100質量部を混合し、レジスト組成物(J−1)を調製した。
[実施例2〜15及び比較例1〜4]
下記表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は実施例1と同様にして、レジスト組成物(J−2)〜(J−15)及び(CJ−1)〜(CJ−4)を調製した。
Figure 2014219664
<レジストパターンの形成>
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン製)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ARC66、ブルワーサイエンス製)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して各レジスト組成物を塗布し、100℃で50秒間PBを行った。その後23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(TWINSCAN XT−1900i、ASML社製)を用い、NA=1.35、Dipole35X(σ=0.97/0.77)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターン形成用のマスクパターンを介して露光した。露光後、下記表3に示すPEB温度で、50秒間PEBを行った。その後、2.38質量%TMAH水溶液を用い、23℃で30秒間パドル現像を行い、次いで、超純水を用いて7秒間リンスし、その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、40nmラインアンドスペース(1L/1S)のレジストパターンを形成した。
<評価>
上記形成したレジストパターンについて下記方法に従って測定することにより、各レジスト組成物を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(CG−4000、日立ハイテクノロジーズ製)を用いた。評価結果を表3に示す。
[感度]
上記レジストパターンの形成において、40nmラインアンドスペースのレジストパターンを形成する露光量を最適露光量(Eop)として求め、これを感度(mJ/cm)とした。感度は、40mJ/cm以下の場合は「良好」と、40mJ/cmを超える場合は「不良」と評価できる。
[LWR性能]
上記Eopで形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用い、パターン上部から観察した。線幅のばらつきを計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほど、ラインのがたつきが小さく良好である。LWR性能は、3.2nm以下の場合は「良好」と、3.2を超える場合は「不良」と評価できる。
[CDU性能]
上記レジストパターンの形成において、レジスト膜を、40nmラインアンドスペースのレジストパターンを形成するマスクパターンを介して上記Eopで全面露光した後、上記条件でPEB及び現像を行った。上記走査型電子顕微鏡を用いて膜上部から観察し、仕上がり寸法を全セル(102点)測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDU性能は、その値が小さいほど、ウエハ面内での各セルの仕上がり寸法のばらつきが小さく良好である。CDU性能は、1.5nm以下の場合は「良好」と、1.5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[欠陥抑制性]
上記レジストパターンの形成において、レジスト膜を、40nmラインアンドスペースのレジストパターンを形成するマスクパターンを介して上記Eopで全面露光した後、上記条件でPEB及び現像を行った。そのパターン欠陥の数を、欠陥評価装置(2810、KLAテンコール製)を用いて測定した。欠陥抑制性は、欠陥密度が1個/cm以下の場合は「○」と、1個/cmを越える場合は「×」と評価した。
[塗布性(シリコン膜上の塗布良好性)]
上記レジストパターンの形成において、塗布/現像装置(CLEAN TRACK LITHIUS Pro−i、東京エレクトロン製)を用いて、レジスト組成物のシリコン膜上への自動塗布を行い塗布性を評価した。シリコン膜上の塗布良好性は、ハレーション、はがれ、はじき等が認められない場合は「○」と、これらのうちの少なくともいずれかが認められた場合は「×」と評価した。
[塗布性(塗布最少必要量)]
上記塗布/現像装置による自動塗布において、0.5mL以下の塗布量で塗布に異常が認められない場合は、塗布最少必要量は「○」と、異常が認められた場合は「×」と評価した。
[保存安定性(異物)]
上記調製したレジスト組成物を、室温下、空気中で保存した場合の、0.2μm以下の異物の個数をパーティクルカウンター(KE−40、RION製)を用いて、定期的に測定した。0.2μm以下の異物の個数が10個/mL以下の場合が良好であり、これが6か月間継続した場合は、保存安定性(異物)は「○」と、6か月経過前に上記基準を超えた場合は「×」(基準を超えた時の経過時間を合わせて示す)と評価した。
[保存安定性(感度)]
上記調製したレジスト組成物を、室温下、空気中、密閉下で保存した場合の、感度を上記方法により定期的に測定した。この感度が、調製直後の感度の値に対して1%以内の変動であれば良好であり、これが6か月間継続した場合は、保存安定性(感度)は「○」と、6か月経過前に上記基準を外れた場合は「×」(基準から外れた時の経過時間を合わせて示す)と評価した。
Figure 2014219664
表3の結果から明らかなように、実施例のレジスト組成物は、LWR性能、CDU性能及び欠陥抑制性に優れると共に、塗布性及び保存安定性にも優れている。一方、比較例のレジスト組成物は、これらの性能を全て満たすことができておらず、特に、塗布性及び保存安定性が低いことがわかる。
本発明のレジスト組成物及びレジストパターン形成方法によれば、優れた保存安定性及び塗布性を発揮しつつ、LWR及びCDUが小さくかつ欠陥が少ないレジストパターンを得ることができる。また、本発明のレジスト組成物は、450mmウエハ等の大型基板に対しても好適な塗布性を有する。本発明のレジスト用溶媒によれば、これを含有するレジスト組成物のLWR性能、CDU性能、欠陥抑制性、塗布性及び保存安定性を向上させることができる。また、本発明のレジスト用溶媒によれば、450mmウエハ等の大型基板に対しても、レジスト組成物の好適な塗布性を発揮させることができる。従って、これらは、今後ますます微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、感放射線性酸発生体及び溶媒を含有し、
    この溶媒が、ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を含むレジスト組成物。
  2. 上記アルコール性水酸基が3級である請求項1に記載のレジスト組成物。
  3. 上記溶媒が、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート化合物をさらに含む請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物。
  4. 上記重合体が、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む構造単位をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載のレジスト組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレジスト組成物でレジスト膜を形成する工程、
    上記レジスト膜を露光する工程、及び
    上記露光されたレジスト膜を現像する工程
    を有するレジストパターン形成方法。
  6. ケトン性カルボニル基とアルコール性水酸基とを有する化合物を含むレジスト用溶媒。
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