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JP2016224123A - 感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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JP2016224123A
JP2016224123A JP2015107790A JP2015107790A JP2016224123A JP 2016224123 A JP2016224123 A JP 2016224123A JP 2015107790 A JP2015107790 A JP 2015107790A JP 2015107790 A JP2015107790 A JP 2015107790A JP 2016224123 A JP2016224123 A JP 2016224123A
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Abstract

【課題】MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性に優れる感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法を提供する。【解決手段】式(1)で表される第1構造単位を有し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する第1重合体、フッ素原子、ケイ素原子又はこれらの組み合わせを含む第2構造単位を有する第2重合体、感放射線性酸発生体、及び溶媒を含有し、第1重合体100質量部に対する第2重合体の含有量が、2.5質量部以上20質量部以下である感放射線性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
半導体デバイス、液晶デバイス等の各種電子デバイス構造の微細化に伴って、リソグラフィー工程におけるレジストパターンのさらなる微細化が要求されており、そのため、種々の感放射線性樹脂組成物が検討されている。このような感放射線性樹脂組成物は、ArFエキシマレーザー等の遠紫外線、極端紫外線(EUV)、電子線などの露光光の照射により、露光部に酸を生成させ、この酸の触媒作用により露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる。
かかる感放射線性樹脂組成物には、単に解像性等に優れるだけでなく、レジストパターンのマスク忠実性を示すMEEF(Mask Error Enhancement Factor)性能及び焦点深度に優れると共に、レジストパターンの断面形状の矩形性にも優れ、高精度なパターンを高い歩留まりで得られることが求められる。
また、レジストパターンの形成において、さらに微細なレジストパターンを形成する方法として液浸露光法が好適に用いられている。この方法では、露光レンズとレジスト膜との間を空気又は不活性ガスに比して屈折率が大きい液浸露光媒体で満たして露光を行う。この液浸露光法によれば、より高い解像性が得られ、レンズの開口数を増大させた場合でも、焦点深度が低下し難いという利点がある。
このような液浸露光法に用いられる感放射線性樹脂組成物には、レジスト膜から液浸露光媒体への感放射線性酸発生体等の溶出を抑制し、かつレジスト膜の表面の水切れが良いことが求められる。かかる感放射線性樹脂組成物としては、ベース重合体に加えて、レジスト膜の形成時にその表層に偏在化するフッ素原子含有重合体を含有するものが提案されている(国際公開第2007/116664号、特開2010−032994号公報及び特開2009−139909号公報参照)。
しかし、レジストパターンの微細化が線幅45nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、上記性能の要求はさらに高まり、上記従来の液浸露光法に用いられる感放射線性樹脂組成物では、これらの要求を満足させることはできていない。
国際公開第2007/116664号 特開2010−032994号公報 特開2009−139909号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性に優れる感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1)で表される第1構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する第1重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)、フッ素原子、ケイ素原子又はこれらの組み合わせを含む第2構造単位(以下、「構造単位(A)」ともいう)を有する第2重合体(以下、「[B]重合体」ともいう)、感放射線性酸発生体(以下、「[C]酸発生体」ともいう)、及び溶媒(以下、「[D]溶媒」ともいう)を含有し、[A]重合体100質量部に対する[B]重合体の含有量が、2.5質量部以上20質量部以下である感放射線性樹脂組成物である。
Figure 2016224123
(式(1)中、Rは、炭素数1〜20のヘテロ原子を含む1価の基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Xは、単結合又はカルボニル基である。)
上記課題を解決するためになされた別の発明は、レジスト膜を形成する工程、上記レジスト膜を露光する工程、及び上記レジスト膜を現像する工程を備え、上記レジスト膜を当該感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法である。
ここで、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。「環員数」とは、脂環構造、芳香環構造、脂肪族複素環構造及び芳香族複素環構造の環を構成する原子数をいい、多環の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、優れたMEEF性能及び焦点深度を発揮しつつ、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用に好適に用いることができる。
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]重合体、[C]酸発生体及び[D]溶媒を含有し、[A]重合体100質量部に対する[B]重合体の含有量が2.5質量部以上20質量部以下である。当該感放射線性樹脂組成物は、上記構成を備えることにより、MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性に優れる。当該感放射線性樹脂組成物が上記構成を有することで、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、ベース重合体である[A]重合体は構造単位(I)を有しており、ヘテロ原子を含むことで極性を有するR基を特定の位置に含むことで、剛直性及び現像液への溶解性が適度に高まると考えられる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能及び焦点深度が向上する。また、[A]重合体が構造単位(I)を有し、極性を有するR基を含むため、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含むことで撥水性を有する[B]重合体との相溶性が低下するので、[B]重合体のレジスト膜表層への偏在化が促進される。この偏在化の促進により、有機溶媒現像の場合、露光部において、[A]重合体と[B]重合体とのインターミキシング領域の現像液への溶解が低減される。一方、アルカリ現像の場合、未露光部において、レジスト膜表層に偏在する[B]重合体による[A]重合体の現像液への溶解抑制効果がより高まる。その結果、形成されるレジストパターンの断面形状の矩形性が向上すると考えられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[E]酸拡散制御体を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
<[A]重合体>
[A]重合体は、構造単位(I)を有し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する重合体である。
[A]重合体は、[C]酸発生体から生じる酸の作用により、露光部において現像液に対する溶解性が変化する。その結果、露光部及び未露光部のうちの一方が現像液に溶解することによりレジストパターンを形成することができる。[A]重合体は上記性質を有するものであれば特に限定されないが、酸解離性基を含む構造単位(II)を有することが好ましい。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、フェノール性水酸基等の酸性基が有する水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。[A]重合体は、構造単位(II)を有することで、酸の作用により現像液に対する溶解性を変化させることができる。
[A]重合体は、構造単位(I)以外に、構造単位(II)、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造のうちの少なくとも1つを含む構造単位(III)及び/又はヒドロキシ基を含む構造単位(IV)を有することが好ましく、構造単位(I)〜(IV)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体は、上記構造単位をそれぞれ1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される構造単位である。
Figure 2016224123
上記式(1)中、Rは、炭素数1〜20のヘテロ原子を含む1価の基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Xは、単結合又はカルボニル基である。
(R
が含むヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中で、Rの極性がより高くなり、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性がより向上する観点から、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子が好ましく、酸素原子及び窒素原子がより好ましく、酸素原子がさらに好ましい。
で表される炭素数1〜20のヘテロ原子を含む1価の基としては、例えば
炭素数1〜20の1価の炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に1又は2以上の2価のヘテロ原子含有基を含む基(a);
上記1価の炭化水素基又は基(a)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基などが挙げられる。
「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は、飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。但し、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。
炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
1価の炭化水素基としては、鎖状炭化水素基及び脂環式炭化水素基が好ましい。
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−O−、−CO−、−COO−及び−OCOO−が好ましい。
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、スルファニル基(−SH)等が挙げられる。これらの中で、Rの極性がより高くなり、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性がより向上する観点から、ヒドロキシ基、シアノ基及びニトロ基が好ましく、ヒドロキシ基がより好ましい。
としては、例えば脂肪族複素環構造を含む1価の基、脂肪族複素環基以外の1価のヘテロ原子含有基で置換された1価の炭化水素基等が挙げられる。
脂肪族複素環構造としては、例えば
ラクトン構造、環状カーボネート構造、環状アセタール構造、環状エーテル構造等の酸素原子含有複素環構造;
スルトン構造、環状スルホン構造、環状スルホキシド構造、環状チオアセタール構造、環状チオエーテル構造等の硫黄原子含有複素環構造などが挙げられる。
脂肪族複素環構造を含む1価の基としては、例えば1価のヘテロ原子置換又は非置換の脂肪族複素環基で置換された1価の炭化水素基等が挙げられる。
1価のヘテロ原子含有基で置換された1価の炭化水素基及び1価のヘテロ原子置換脂肪族複素環基で置換された1価の炭化水素基における1価のヘテロ原子含有基としては、例えば上述の1価のヘテロ原子含有基として例示したもの等が挙げられる。
脂肪族複素環基で置換された1価の炭化水素基及び1価のヘテロ原子で置換された1価の炭化水素基における1価の炭化水素基としては、例えば上述の1価の炭化水素基として例示したもの等が挙げられる。これらの中で、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性がより向上する観点から、脂環式炭化水素基が好ましく、シクロアルキル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
としては、環構造を含む基が好ましい。Rは環構造を含むことでより嵩高くなり、その結果、上述の[A]重合体の剛直性がより適度に高まり、また[A]重合体と[B]重合体との相溶性がより低下するため、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をさらに向上させることができる。環構造としては、例えば上記脂肪族複素環構造、上記脂環式炭化水素基における脂環構造等が挙げられる。
としては、ラクトン構造を含む基、環状カーボネート構造を含む基、アセタール構造を含む基及びヒドロキシ置換炭化水素基が好ましく、γ−ブチロラクトン構造を含む基、エチレンカーボネート構造を含む基、1,3−ジオキサシクロアルカン構造を含む基及びヒドロキシ置換脂環式炭化水素基がより好ましく、γ−ブチロラクトン−イル基、エチレンカーボネート−イルメチル基、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサシクロペンタン−5−イルメチル基及び3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル基がさらに好ましい。Rを上記基とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をさらに向上させることができる。
(R
で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に1又は2以上の2価のヘテロ原子含有基を含む基(a)、上記炭化水素基及び基(a)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。これらの基としては、上記Rで例示した各基と同様の基等が挙げられる。
としては、これらの中で、1価の炭化水素基が好ましく、1価の鎖状炭化水素基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
(X)
Xとしては、構造単位(I)を与える単量体の合成がより容易になる観点から、単結合が好ましい。
構造単位(I)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−10)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−10)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016224123
これらの中で、MEEF性能及び焦点深度をより向上できる観点から、構造単位(I−1)〜(I−4)が好ましく、構造単位(I−2)〜(I−4)がより好ましい。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%が好ましく、3モル%がより好ましく、5モル%がさらに好ましく、7モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、50モル%がより好ましく、25モル%がさらに好ましく、15モル%が特に好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
構造単位(I)を与える化合物(以下、「化合物(i)」ともいう)は、例えば下記式(i)で表される。
Figure 2016224123
上記式(i)中、Rは、炭素数1〜20のヘテロ原子を含む1価の基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Xは、単結合又はカルボニル基である。
化合物(i)は、例えばβ−ハロメタクリル酸エステルと、ヒドロキシ化合物(R−X−OH)とを、トリエチルアミン等の塩基存在下、適当な溶媒中で反応させることにより合成することができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、酸解離性基を含む構造単位である(但し、構造単位(I)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(II)を有することにより、露光により[C]酸発生体から生じる酸の作用によって、現像液に対する溶解性の変化をより高めることができ、当該感放射線性樹脂組成物の感度を高めることができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
構造単位(II)としては、例えば下記式(P)で表される構造単位等が挙げられる。下記式(P)中の−CRで表される基は酸解離性基である。
Figure 2016224123
上記式(P)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の脂環構造を表す。
としては、構造単位(II)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
、R及びRで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記式(1)のRとして例示した1価の炭化水素基と同様の基等が挙げられる。これらの中で、鎖状炭化水素基及び脂環式炭化水素基が好ましい。
これらの基が互いに合わせられ構成される炭素数3〜20の脂環構造としては、例えば
シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
構造単位(II)としては、下記式(P−1)〜(P−5)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)〜(II−5)」ともいう)が好ましい。
Figure 2016224123
上記式(P−1)〜(P−5)中、R〜Rは、上記式(P)と同義である。i、j及びkは、それぞれ独立して、1〜4の整数である。L1aは、炭素数1〜19の2価の有機基である。
上記式(P−5)におけるL1aとしては、2価の炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましく、メタンジイル基及びエタンジイル基がさらに好ましく、メタンジイル基が特に好ましい。
構造単位(II)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
Figure 2016224123
上記式中、Rは、上記式(P)と同義である。
構造単位(II)としては、構造単位(II−1)、(II−4)及び(II−5)が好ましく、1−アルキル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び1−アルキルシクロペンタン−1−イルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましい。
構造単位(II)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して10モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度をより高めることができ、その結果、MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をさらに向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造のうちの少なくとも1つを含む構造単位である(但し、構造単位(I)を除く)。[A]重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性をより調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンと基板との密着性を向上させることができる。
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
Figure 2016224123
Figure 2016224123
上記式中、RL1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(III)としては、これらの中で、ノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、オキサノルボルナンラクトン構造を含む構造単位、γ−ブチロラクトン構造を含む構造単位、エチレンカーボネート構造を含む構造単位及びノルボルナンスルトン構造を含む構造単位が好ましく、ノルボルナンラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、オキサノルボルナンラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、ノルボルナンラクトン−イルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、γ−ブチロラクトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、エチレンカーボネート−イルメチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及びノルボルナンスルトン−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位がより好ましい。
[A]重合体が構造単位(III)を有する場合、構造単位(III)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%がさらに好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をさらに向上させることができる。
[構造単位(IV)]
構造単位(IV)は、ヒドロキシ基を有する構造単位である。[A]重合体は構造単位(IV)を有することで、現像液への溶解性を調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
ヒドロキシ基としては、例えばアルコール性水酸基、フェノール性水酸基等が挙げられる。これらの中で、アルコール性水酸基が好ましい。
構造単位(IV)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式中、RL2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
構造単位(IV)としては、アルコール性水酸基を含む構造単位が好ましく、アルコール性水酸基置換脂環式炭化水素基を含む構造単位がより好ましく、アルコール性水酸基置換多環脂環式炭化水素基を含む構造単位がさらに好ましく、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が特に好ましい。
[A]重合体が構造単位(IV)を有する場合、構造単位(IV)の含有割合の下限としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をさらに向上させることができる。
[その他の構造単位]
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(IV)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、例えばカルボキシ基、シアノ基、ニトロ基及びスルホンアミド基のうちの少なくとも1つを含む構造単位、非解離性の炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。これらの構造単位の含有割合の上限としては、20モル%が好ましく、10モル%がより好ましい。
[A]重合体の含有量の下限としては、当該感放射線性樹脂組成物の[D]溶媒以外の成分の総和(全固形分)に対して、60質量%が好ましく、70質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましく、85質量%が特に好ましい。
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤等を用い、適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
ラジカル重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらの中で、AIBN及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましく、AIBNがより好ましい。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの重合に使用される溶媒は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
重合における反応温度の下限としては、40℃が好ましく、50℃がより好ましい。上記反応温度の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましい。重合における反応時間の下限としては、1時間が好ましく、2時間がより好ましい。上記反応時間の上限としては、48時間が好ましく、24時間がより好ましい。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、1,000が好ましく、2,000がより好ましく、3,000がさらに好ましく、5,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、50,000が好ましく、30,000がより好ましく、15,000がさらに好ましく、10,000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)の上限としては、5が好ましく、3がより好ましく、2がさらに好ましく、1.7が特に好ましい。上記比の下限としては、通常1であり、1.1が好ましい。
本明細書における重合体のMw及びMnは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<[B]重合体>
[B]重合体は、構造単位(A)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物がフッ素原子及び/又はケイ素原子を有する[B]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に、[B]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表層に偏在化する傾向があり、液浸露光時における酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸液に溶出することを抑制することができる。また、この[B]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸液との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸液との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該感放射線性樹脂組成物が[B]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
[B]重合体としては、構造単位(A)を有する重合体である限り特に限定されないが、当該感放射線性樹脂組成物中の[A]重合体よりも、フッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きいことが好ましい。[B]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率が大きいことで上述の偏在化の度合いがより高くなり、得られるレジスト膜表面の撥水性及び溶出抑制性等の特性をより向上させることができる。
[B]重合体のフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、4質量%がさらに好ましく、7質量%が特に好ましい。上記合計質量含有率の上限としては、60質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。重合体のフッ素原子及びケイ素原子の合計質量含有率は、13C−NMRスペクトル測定等により重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
[B]重合体は下記(a)〜(c)のうちのいずれかの条件を満たすことが好ましい。
条件(a):アルカリ可溶性である。
条件(b):酸の作用によりアルカリ可溶性となる。
条件(c):アルカリの作用によりアルカリ可溶性となる。
[B]重合体が(a)〜(c)のうちのいずれかを満たすことにより、露光部等における[B]重合体のアルカリ現像液への溶解性を高めることができ、その結果、レジスト膜における[B]重合体の溶け残りを抑制することができる。結果として、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
[B]重合体は、構造単位(A)以外に、脂環式炭化水素基を含む第3構造単位(以下、「構造単位(B)」ともいう)を有することが好ましく、構造単位(A)及び(B)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[B]重合体は、これらの構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(A)]
構造単位(A)は、フッ素原子、ケイ素原子又はこれらの組み合わせを含む構造単位である。構造単位(A)としては、例えばフッ素原子を含む構造単位(以下、「構造単位(A−1)」ともいう)、ケイ素原子を含む構造単位(以下、「構造単位(A−2)」ともいう)等が挙げられる。
(構造単位(A−1))
構造単位(A−1)は、フッ素原子を含む構造単位である。構造単位(A−1)としては、例えばフッ素化アルキル基を含む構造単位(以下、「構造単位(A−1−1)ともいう)、後述する式(2)で表される基を含む構造単位(以下、「構造単位(A−1−2)」ともいう)、後述する式(3)で表される基を含む構造単位(以下、「構造単位(A−1−3)」ともいう)等が挙げられる。
(構造単位(A−1−1))
構造単位(A−1−1)はフッ素化アルキル基を含む構造単位である。[B]重合体は、構造単位(A−1−1)を有することでフッ素原子含有率を調整することができる。その結果、[B]重合体のレジスト膜における偏在化を促進することができ、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
フッ素化アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基、パーフルオロn−プロピル基、パーフルオロi−プロピル基、パーフルオロn−ブチル基、パーフルオロi−ブチル基、パーフルオロt−ブチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。これらの中で、2,2,2−トリフルオロエチル基及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基が好ましく、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基がより好ましい。
構造単位(A−1−1)としては、例えば下記式(F)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(F)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、−COO−、−SOONH−、−CONH−又は−OCONH−である。Rは、炭素数1〜10のフッ素化アルキル基である。
としては、構造単位(A−1−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Gとしては、−COO−が好ましい。
構造単位(A−1−1)を与える単量体としては、例えばトリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタン−1−イル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−イル(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中で、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
[B]重合体が構造単位(A−1−1)を有する場合、構造単位(A−1−1)の含有割合の下限としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、95モル%が好ましく、75モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましい。構造単位(A−1−1)の含有割合を上記範囲とすることで、レジスト膜表面の撥水性をより高めることができ、その結果、レジスト膜表面のより高い接触角を発現させることができる。
(構造単位(A−1−2))
構造単位(A−1−2)は、下記式(2)で表される基を含む構造単位である。[B]重合体は、構造単位(A−1−2)を有すると、アルカリ可溶性(上記条件(a))を高めることができる。
Figure 2016224123
上記式(2)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば[A]重合体の構造単位(I)におけるRとして例示したものと同様の基等が挙げられる。
としては、[B]重合体のアルカリ可溶性をより高める観点から、水素原子が好ましい。
及びRで表される炭素数1〜20のフッ素化アルキル基としては、例えばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロメチル基等が挙げられる。これらの中でトリフルオロメチル基が好ましい。
及びRとしては、フッ素原子及びトリフルオロメチル基が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
構造単位(A−1−2)としては、例えば下記式(2−1)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(2−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。Zは、上記式(2)で表される基である。
としては、構造単位(A−1−2)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
としては、2価の炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましく、1,2−プロパンジイル基がさらに好ましい。
構造単位(A−1−2)としては、1−(ヒドロキシ−ジ(トリフルオロメチル)プロパン−2−イル)(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
[B]重合体が構造単位(A−1−2)を有する場合、構造単位(A−1−2)の含有割合の下限としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、15モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、50モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。構造単位(A−1−2)の含有割合を上記範囲とすることで、[B]重合体のアルカリ可溶性をさらに高めることができる。
(構造単位(A−1−3))
構造単位(A−1−3)は、下記式(3)で表される基を含む構造単位である。下記式(3)で表される基は、アルカリ現像液の作用により開裂する。その結果、[B]重合体は、構造単位(A−1−3)を有することで、アルカリの作用によりアルカリ可溶性となる性質(上記条件(c))をより高めることができる。
Figure 2016224123
上記式(3)中、Aは、*−COO−又は*−OCO−である。*は、Rに結合する部位を示す。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。但し、R及びRの少なくとも一方は、フッ素原子を含む基である。
上記式(3)で表される基において、Aが*−COO−の場合はRが、Aが*−OCO−の場合は−CORが、アルカリの作用により解離することができる。
で表される1価の炭化水素基としては、例えば[A]重合体の式(1)のRとして例示した炭化水素基と同様の基等が挙げられる。Rで表される2価の炭化水素基としては、例えば上記1価の炭化水素基から1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
及びRにおける置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、オキシ炭化水素基、アシル基、−COO−等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子及び−COO−が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
としては、1,1−ジフルオロブタン−2−イル基及びノルボルナンラクトンジイル基が好ましい。
としては、メチル基及び1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル基が好ましい。
構造単位(A−1−3)としては、例えば下記式(3−1)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(3−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。Yは、上記式(3)で表される基である。
としては、構造単位(A−1−3)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
としては、単結合が好ましい。
構造単位(A−1−3)としては、1−メトキシカルボニル−1,1−ジフルオロブタン−2−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び5−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシカルボニル)ノルボルナンラクトン−2−イル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
[B]重合体が構造単位(A−1−3)を有する場合、構造単位(A−1−3)の含有割合の下限としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。構造単位(A−1−3)の含有割合を上記範囲とすることで、[B]重合体のアルカリの作用によるアルカリ可溶性をさらに高めることができる。
(構造単位(A−2))
構造単位(A−2)は、ケイ素原子を含む構造単位である。
構造単位(A−2)としては、例えば下記式(a)で表される基を含む構造単位(以下、「構造単位(A−2−1)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(a)中、Rは、炭素数1〜10の2価の炭化水素基である。R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の1価の炭化水素基、−SiR’、−SiR’若しくは−OSiR’であるか、又はこれらが互いに合わせられこれらが結合するケイ素原子と共に構成される環員数3〜10の環構造を表す。R’は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。但し、R10、R11及びR12のうちの少なくともいずれかは−SiR’、−SiR’又は−OSiR’である。
構造単位(A−2)としては、例えば下記式(a−1)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(a−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Lは、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。Tは、上記式(a)で表される基である。
としては、構造単位(A−2)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
としては、単結合が好ましい。
構造単位(A−2)としては、トリメチルシリル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が好ましい。
[B]重合体が構造単位(A−2)を有する場合、構造単位(A−2)の含有割合の下限としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。構造単位(A−2)の含有割合を上記範囲とすることで、[B]重合体は、レジスト膜表面の撥水性をより高めることができる。
[構造単位(B)]
構造単位(B)は、脂環式炭化水素基を含む構造単位である。[B]重合体は、構造単位(B)を有することで、[A]重合体との相溶性が低下すると考えられる。その結果、レジスト膜表層への[B]重合体の偏在化がより促進され、当該感放射線性樹脂組成物の断面形状の矩形性をより向上させることができる。
脂環式炭化水素基は、酸解離性基でも非酸解離性基でもよい。脂環式炭化水素基が酸解離性基であると、[B]重合体は、酸の作用によりアルカリ可溶性となる性質(上記条件(b))をより高めることができる。
酸解離性基としては、例えば[A]重合体の構造単位(II)における酸解離性基として例示した基のうち、脂環式炭化水素基であるもの等が挙げられる。これらの中で、1−アルキル置換の単環のシクロアルキル基及び2−アルキル置換の多環のシクロアルキル基が好ましく、1−アルキル置換の単環のシクロアルキル基がより好ましく、1−アルキルシクロペンタン−1−イル基がさらに好ましく、1−メチルシクロペンタン−1−イル基及び1−i−プロピルシクロペンタン−1−イル基が特に好ましい。
非酸解離性基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の2級のシクロアルキル基;
シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基等の1級のシクロアルキル基などが挙げられる。これらの中で、2級のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
[B]重合体が構造単位(B)を有する場合、構造単位(B)の含有割合の下限としては、[B]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、30モル%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましい。構造単位(B)の含有割合を上記範囲とすることで、レジスト膜表層への[B]重合体の偏在化がさらに促進され、その結果、当該感放射線性樹脂組成物の断面形状の矩形性をさらに向上させることができる。
[その他の構造単位]
[B]重合体は、構造単位(A)及び構造単位(B)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、構造単位(B)以外の酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(C−1)」ともいう)、ラクトン構造、環状カーボネート構造及びスルトン構造のうちの少なくとも1つを含む構造単位(以下、「構造単位(C−2)」ともいう)等が挙げられる。[B]重合体は、構造単位(C−1)を有することにより、アルカリの作用によりアルカリ可溶性となる性質(上記条件(c))をより高めることができる。構造単位(C−1)としては、例えば[A]重合体の構造単位(II)として例示した構造単位のうち、脂環式炭化水素基を含まないもの等が挙げられる。構造単位(C−2)としては、例えば[A]重合体の構造単位(III)として例示した構造単位と同様のもの等が挙げられる。
その他の構造単位の含有割合の上限としては[B]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%が好ましく、20モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましい。
[B]重合体の含有量の下限は、[A]重合体100質量部に対して、2.5質量部であり、3質量部が好ましく、3.5質量部がより好ましく、4質量部がさらに好ましく、4.5質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部であり、15質量部が好ましく、10質量部がより好ましく、8質量部がさらに好ましく、6質量部が特に好ましい。[B]重合体の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。[B]重合体の含有量が上記下限未満であるか又は上記上限を超えると、レジスト膜表層への[B]重合体の偏在化の度合いが過少又は過剰となると考えられ、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性のうちのいずれかが低下する。
[[C]酸発生体]
[C]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により[A]重合体等の現像液に対する溶解性が変化する。その結果、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[C]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[C]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[C]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
上記オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、ヨードニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。
[C]酸発生剤の具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
[C]酸発生剤としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。[C]酸発生剤が下記構造を有することで、[A]重合体が有する極性構造との相互作用等により、露光により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。
Figure 2016224123
上記式(3)中、Rp1は、環員数6以上の環構造を含む1価の基である。Rp2は、2価の連結基である。Rp3及びRp4は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。Rp5及びRp6は、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基である。np1は、0〜10の整数である。np2は、0〜10の整数である。np3は、1〜10の整数である。np1が2以上の場合、複数のRp2は同一でも異なっていてもよい。np2が2以上の場合、複数のRp3は同一でも異なっていてもよく、複数のRp4は同一でも異なっていてもよい。np3が2以上の場合、複数のRp5は同一でも異なっていてもよく、複数のRp6は同一でも異なっていてもよい。Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
p1で表される環員数6以上の環構造を含む1価の基としては、例えば環員数6以上の脂環構造を含む1価の基、環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香環構造を含む1価の基、環員数6以上の芳香族複素環構造を含む1価の基等が挙げられる。
上記環員数6以上の脂環構造としては、例えば
シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環のシクロアルカン構造;
シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
上記環員数6以上の脂肪族複素環構造としては、例えば
ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などが挙げられる。
上記環員数6以上の芳香環構造としては、例えば
ベンゼン構造、ナフタレン構造、フェナントレン構造、アントラセン構造等が挙げられる。
上記環員数6以上の芳香族複素環構造としては、例えばフラン構造、ピラン構造、ベンゾピラン構造等の酸素原子含有複素環構造、ピリジン構造、ピリミジン構造、インドール構造等の窒素原子含有複素環構造などが挙げられる。
p1の環構造の環員数の下限としては、7が好ましく、8がより好ましく、9がさらに好ましく、10が特に好ましい。一方、上記環員数の上限としては、15が好ましく、14がより好ましく、13がさらに好ましく、12が特に好ましい。上記環員数を上記範囲とすることで、上述の酸の拡散長をさらに適度に短くすることができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をさらに高めることができる。
p1の環構造が有する水素原子の一部又は全部は、置換基で置換されていてもよい。上記置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中でヒドロキシ基が好ましい。
p1としては、これらの中で、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基及び環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基がより好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基、ノルボルナンスルトン−イル基及び5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−イル基がさらに好ましく、アダマンチル基が特に好ましい。
p2で表される2価の連結基としては、例えばカルボニル基、エーテル基、カルボニルオキシ基、スルフィド基、チオカルボニル基、スルホニル基、2価の炭化水素基等が挙げられる。Rp2で表される2価の連結基としては、カルボニルオキシ基、スルホニル基、アルカンジイル基及びシクロアルカンジイル基が好ましく、カルボニルオキシ基及びシクロアルカンジイル基がより好ましく、カルボニルオキシ基及びノルボルナンジイル基がさらに好ましく、カルボニルオキシ基が特に好ましい。
p3及びRp4で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基等が挙げられる。Rp3及びRp4で表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のフッ素化アルキル基等が挙げられる。Rp3及びRp4としては、水素原子、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
p5及びRp6で表される炭素数1〜20の1価のフッ素化炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のフッ素化アルキル基等が挙げられる。Rp5及びRp6としては、フッ素原子及びフッ素化アルキル基が好ましく、フッ素原子及びパーフルオロアルキル基がより好ましく、フッ素原子及びトリフルオロメチル基がさらに好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
p1としては、0〜5の整数が好ましく、0〜3の整数がより好ましく、0〜2の整数がさらに好ましく、0及び1が特に好ましい。
p2としては、0〜5の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0及び1がさらに好ましく、0が特に好ましい。
p3としては、1〜5の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、1〜3の整数がさらに好ましく、1及び2が特に好ましい。
で表される1価の感放射線性オニウムカチオンは、露光光の照射により分解するカチオンである。露光部では、この光分解性オニウムカチオンの分解により生成するプロトンと、スルホネートアニオンとからスルホン酸を生じる。上記Xで表される1価の感放射線性オニウムカチオンとしては、例えば下記式(X−1)で表されるカチオン、下記式(X−2)で表されるカチオン、下記式(X−3)で表されるカチオン等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(X−1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Ra1〜Ra3並びにR及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRa1〜Ra3並びにR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(X−2)中、Rb1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は0〜7の整数である。Rb1が複数の場合、複数のRb1は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。
b2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Rb2が複数の場合、複数のRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRb2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。qは、0〜3の整数である。
上記式(X−3)中、Rc1及びRc2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rc1、Rc2、R及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRc1、Rc2、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
a1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。
a1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
a1〜Ra3、Rc1及びRc2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
b1及びRb2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基等が挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
a1〜Ra3、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R”及び−SO−R”が好ましく、フッ素化アルキル基及び非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。R”は、非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
式(X−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。式(X−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。式(X−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0及び1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(3)で表される酸発生剤としては例えば下記式(3−1)〜(3−13)で表される化合物(以下、「化合物(3−1)〜(3−13)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(3−1)〜(3−13)中、Xは、1価の感放射線性オニウムカチオンである。
[C]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、上記式(X−1)で表されるカチオンを有する化合物及び上記式(X−2)で表されるカチオンを有する化合物がより好ましく、化合物(3−1)、(3−3)、(3−4)及び(3−13)がさらに好ましい。
[C]酸発生体が[C]酸発生剤の場合、[C]酸発生剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましく、3質量部がさらに好ましく、5質量部が特に好ましい。上記含有量の上限としては、30質量部が好ましく、20質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましく、12質量部が特に好ましい。[C]酸発生剤の含有量を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物の感度がより適度に高くなり、その結果、MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性をより向上させることができる。[C]酸発生体は、1種又は2種以上を用いることができる。
<[D]溶媒>
[D]溶媒は、少なくとも[A]重合体、[B]重合体、[C]酸発生体及び所望により含有される[E]酸拡散制御体等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されず用いることができる。
[D]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール(メチルフェニルエーテル)等の芳香環含有エーテル系溶媒等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、ブタノン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン(メチル−n−ペンチルケトン)、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル等の酢酸エステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの中で、エステル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルアセテート系溶媒、ラクトン系溶媒及び環状ケトン系溶媒がより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン及びシクロヘキサノンがさらに好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、[D]溶媒を1種又は2種以上含有していてもよい。
<[E]酸拡散制御体>
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じて、[E]酸拡散制御体を含有してもよい。[E]酸拡散制御体は、露光により[C]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上すると共に、レジストとしての解像度がより向上する。さらに、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。[E]酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、適宜「[E]酸拡散制御剤」という)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[E]酸拡散制御剤としては、例えば下記式(4)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(II)」ともいう)、窒素原子を3個有する化合物(以下、「含窒素化合物(III)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(4)中、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
含窒素化合物(I)としては、例えばn−ヘキシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン等の芳香族アミン類等が挙げられる。
含窒素化合物(II)としては、例えばエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
含窒素化合物(III)としては、例えばポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等のポリアミン化合物;ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の重合体等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばピリジン、2−メチルピリジン等のピリジン類;N−プロピルモルホリン、N−(ウンデシルカルボニルオキシエチル)モルホリン等のモルホリン類;ピラジン、ピラゾール等が挙げられる。
含窒素化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニルピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。
また、[E]酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基としては、例えば露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物等が挙げられる。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(5−1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(5−2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記式(5−1)及び式(5−2)中、R16〜R20は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基又はハロゲン原子である。E及びQは、それぞれ独立して、OH、Rβ−COO、Rβ−SO 又は下記式(5−3)で表されるアニオンである。Rβは、アルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Figure 2016224123
上記式(5−3)中、R21は、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のフッ素化アルキル基又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。uが2の場合、2つのR21は同一でも異なっていてもよい。
上記光崩壊性塩基としては、例えば下記式で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016224123
上記光崩壊性塩基としては、これらの中で、スルホニウム塩が好ましく、トリアリールスルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウムサリチレート及びトリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネートがさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が[E]酸拡散制御体として[E]酸拡散制御剤を含有する場合、[E]酸拡散制御剤の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.3質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、20質量部が好ましく、15質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましい。
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は、上記[A]〜[E]以外にも、その他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分は、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、KP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、DIC社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。界面活性剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましい。
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物における脂環式骨格含有化合物の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、5質量部が好ましい。
[増感剤]
増感剤は、[C]酸発生剤等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物における増感剤の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、2質量部が好ましい。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]重合体、[C]酸発生体、[D]溶媒及び必要に応じて含有される[E]酸拡散制御体等を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線性樹脂組成物は、混合後に、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度([D]溶媒以外の成分の総和)の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましく、2質量%が特に好ましい。上記固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、30質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、8質量%が特に好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物は、上述のように、ベース重合体である[A]重合体と、レジスト膜の形成時にレジスト膜表層に偏在化する撥水性の[B]重合体とを含有しているので、液浸露光用として特に好適に用いることができる。
<レジストパターン形成方法>
当該レジストパターン形成方法は、レジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)を備える。当該レジストパターン形成方法においては、上記レジスト膜を上述の当該感放射線性樹脂組成物により形成する。
当該レジストパターン形成方法によれば、上述の当該感放射線性樹脂組成物を用いているので、優れたMEEF性能及び焦点深度を発揮しつつ、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。以下、各工程について説明する。
[レジスト膜形成工程]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物を用い、レジスト膜を形成する。このレジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知のもの等が挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。塗布した後に、必要に応じて、塗膜中の溶媒を揮発させるため、ソフトベーク(SB)を行ってもよい。SBの温度の下限としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましい。上記温度の上限としては、140℃が好ましく、120℃がより好ましい。SBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。上記時間の下限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。形成されるレジスト膜の平均厚みの下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましく、50nmがさらに好ましい。上記平均厚みの上限としては、1,000nmが好ましく、500nmがより好ましく、200nmがさらに好ましい。
液浸露光を行う場合で、当該感放射線性樹脂組成物が撥水性重合体添加剤を含有していない場合等には、上記形成したレジスト膜上に、液浸液とレジスト膜との直接の接触を避ける目的で、液浸液に不溶性の液浸用保護膜を設けてもよい。液浸用保護膜としては、現像工程の前に溶媒により剥離する溶媒剥離型保護膜(特開2006−227632号公報参照)、現像工程の現像と同時に剥離する現像液剥離型保護膜(国際公開第2005/069076号及び国際公開第2006/035790号参照)のいずれを用いてもよい。但し、スループットの観点からは、現像液剥離型液浸用保護膜を用いることが好ましい。
[露光工程]
本工程では、レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜に、フォトマスクを介して露光光を照射し、露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じて、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらの中でも、遠紫外線、EUV及び電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV及び電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光、EUV及び電子線がさらに好ましく、ArFエキシマレーザー光が特に好ましい。
本工程における露光は液浸露光であることが好ましい。すなわち、フォトマスクと共に液浸液を介して露光することが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、レジスト膜表層に偏在化する撥水性の[B]重合体を含有しているので、液浸露光に特に好適である。
露光を液浸露光により行う場合、用いる液浸液としては、例えば水、フッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させる添加剤をわずかな割合で添加しても良い。この添加剤は、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、かつレンズの下面の光学コートに対する影響が無視できるものが好ましい。使用する水としては蒸留水が好ましい。
上記露光の後、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行い、レジスト膜の露光された部分において、露光により[B]酸発生体等から発生した酸による[A]重合体等が有する酸解離性基の解離を促進させることが好ましい。このPEBによって、露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性の差を増大させることができる。PEBの温度の下限としては、50℃が好ましく、70℃がより好ましく、80℃がさらに好ましい。上記温度の上限としては、180℃が好ましく、130℃がより好ましく、110℃がさらに好ましい。PEBの時間の下限としては、5秒が好ましく、10秒がより好ましい。上記時間の上限としては、600秒が好ましく、300秒がより好ましい。
[現像工程]
本工程では、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンを形成することができる。現像後は、水又はアルコール等のリンス液で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像工程における現像方法は、アルカリ現像であっても、有機溶媒現像であってもよい。
アルカリ現像の場合、現像に用いる現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ溶液等が挙げられる。これらの中で、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。アルカリ現像によりポジ型のレジストパターンが形成される。
有機溶媒現像の場合、現像液としては、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、上記有機溶媒を含有する溶媒等の有機溶媒含有液が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば上述の感放射線性樹脂組成物の[E]溶媒として列挙した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中でも、エステル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量の下限としては、80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、99質量%が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。有機溶媒現像によりネガ型のレジストパターンが形成される。
現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における各測定は下記方法により行った。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
東ソー社のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本及び「G4000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
13C−NMR分析]
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を用い測定溶媒として重クロロホルムを使用して、重合体の構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
<[A]重合体及び[B]重合体の合成>
[A]重合体及び[B]重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
Figure 2016224123
[[A]重合体の合成]
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
化合物(M−1)2.56g(10モル%)、化合物(M−9)9.30g(40モル%)、化合物(M−12)8.14g(50モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBN0.68g(単量体の総量に対して5.0モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を合成した(収量14.4g、収率72%)。重合体(A−1)のMwは6,700、Mw/Mnは1.51であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−9)及び(M−12)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ7.2モル%、43.3モル%及び49.5モル%であった。
[合成例2〜11](重合体(A−2)〜(A−11)の合成)
下記表1に示す単量体を用いた以外は、合成例1と同様の操作を行うことによって、重合体(A−2)〜(A−11)を合成した。用いた単量体の合計質量は20gとした。
[[B]重合体の合成]
[合成例12](重合体(B−1)の合成)
化合物(M−12)13.2g(70モル%)及び化合物(M−16)6.8g(30モル%)を、40gの2−ブタノンに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.789g(単量体の総量に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。次いで20gの2−ブタノンを入れた1,00mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。反応溶液を濃縮して40gの2−ブタノンを除去した後、40gのメチルイソブチルケトン及び120gのヘキサンを加えて混合し、1L分液漏斗に移液した。その後、120gのメタノール及び20gの水を加えて撹拌し30分静置した。その後、上層を回収した後に溶媒置換を行うことにより、固形分である重合体(B−1)を含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た(収率63%)。重合体(B−1)のMwは7,600、Mw/Mnは1.61であった。13C−NMR分析の結果、(M−12)及び(M−16)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ70.5モル%及び29.5モル%であった。
[合成例13〜17](重合体(B−2)〜(B−6)の合成)
下記表1に示す単量体を用いた以外は、合成例12と同様の操作を行うことによって、重合体(B−2)〜(B−6)を合成した。用いた単量体の合計質量は20gとした。
[合成例18](重合体(b−1)の合成)
化合物(M−15)20gを用いた以外は、合成例12と同様の操作を行うことによって、重合体(b−1)を含むメチルイソブチルカルビノール溶液を得た(収率65%)。重合体(b−1)のMwは7,200、Mw/Mnは1.60であった。13C−NMR分析の結果、(M−15)に由来する構造単位の含有割合は、100モル%であった。
Figure 2016224123
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[C]酸発生剤、[D]溶媒及び[E]酸拡散制御剤を以下に示す。
[[C]酸発生剤]
各構造式を以下に示す。
C−1:トリフェニルスルホニウム4−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2−トリフルオロブタン−1−スルホネート
C−2:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
C−3:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イル)−1,1−ジフルオロエタン−1−スルホネート
C−4:トリフェニルスルホニウム6−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロヘキサン−1−スルホネート
Figure 2016224123
[[D]溶媒]
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
D−2:シクロヘキサノン
D−3:γ−ブチロラクトン
[[E]酸拡散制御剤]
各構造式を以下に示す。
E−1:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
E−2:トリフェニルスルホニウムサリチレート
E−3:N−t−アミルオキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
Figure 2016224123
[感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例1]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]重合体としての(B−1)5質量部、[C]酸発生剤としての(C−1)8質量部、[D]溶媒としての(D−1)1,470質量部、(D−2)630質量部及び(D−3)100質量部並びに[E]酸拡散制御剤としての(E−1)2.7質量部を混合し、得られた溶液を孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例2〜22及び比較例1〜12]
下記表2及び表3に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作して感放射線性樹脂組成物(J−2)〜(J−22)及び(CJ−1)〜(CJ−12)を調製した。
Figure 2016224123
Figure 2016224123
<レジストパターンの形成>
[レジストパターン形成方法(1)(有機溶媒現像)]
(実施例1〜19及び比較例1〜3)
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚み105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して、感放射線性樹脂組成物を塗布し、下記表4に示すSB温度で60秒間SBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、42nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、下記表4に示すPEB温度で60秒間PEBを行った。その後、有機溶媒現像液としての酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、乾燥してネガ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が42nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅45nmのライン、39nmのスペースに形成される露光量を最適露光量とした。
[レジストパターン形成方法(2)(アルカリ現像)]
(実施例20〜22及び比較例7〜9)
上記レジストパターン形成方法(1)の場合と同様にして、レジスト膜の形成、露光及びPEBを行った後、上記酢酸n−ブチルの代わりに、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。SBは下記表5に示すSB温度で60秒間行い、PEBは下記表5に示すPEB温度で60秒間行った。
なお、比較例4〜6においては、下記「レジストパターン形成方法(a1)」に従い、比較例10〜12においては、下記「レジストパターン形成方法(a2)」に従い、[A]重合体を含有し[B]重合体を含有しない感放射線性樹脂組成物を用いてレジスト膜を形成し、このレジスト膜上に上層膜(トップコート)を形成して液浸露光を行うことによりレジストパターンを形成した。
(レジストパターン形成方法(a1)(有機溶媒現像)、比較例4〜6)
12インチのシリコンウェハ表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して、感放射線性樹脂組成物を塗布し、下記表4又は表5に示すSB温度で60秒間SBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、平均厚み90nmのレジスト膜を形成した。このレジスト膜上に、上層膜形成用組成物(合成例18で合成した重合体(b−1)100質量部とメチルイソブチルカルビノール5,000質量部とを混合し、得られた混合物を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過して調製したもの)を塗布して90℃で60秒間SBを行い、平均厚み30nmの上層膜を形成した。次に、上記ArFエキシマレーザー液浸露光装置を用い、42nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、下記表4又は表5に示すPEB温度で60秒間PEBを行った。その後、有機溶媒現像液としての酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、乾燥してネガ型のレジストパターンを形成した。
(レジストパターン形成方法(a2)(アルカリ現像)、比較例10〜12)
上記レジストパターン(a1)の場合と同様にして、レジスト膜の形成、上層膜の形成、露光及びPEBを行った後、上記酢酸n−ブチルの代わりに、アルカリ現像液としての2.38質量%TMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。レジスト膜形成におけるSBは下記表5に示すSB温度で60秒間行い、PEBは下記表5に示すPEB温度で60秒間行った。
<評価>
上記調製した感放射線性樹脂組成物の下記項目について、下記方法に従って評価した。レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を下記表4及び表5に示す。
[MEEF性能]
上記最適露光量において、5種類のマスクサイズ(40.0nmLine/84nmPitch、41.0nmLine/84nmPitch、42.0nmLine/84nmPitch、43.0nmLine/84nmPitch、44.0nmLine/84nmPitch)で解像されるレジストパターンの線幅を測定した。横軸をマスクサイズ、縦軸を各マスクサイズで形成された線幅として、得られた測定値をプロットし、最小二乗法により算出した近似直線の傾きを求め、この傾きをMEEF性能とした。MEEF性能は、その値が小さいほど良いことを示す。MEEF性能は、有機溶媒現像(レジストパターン形成方法(1))において、3.5以下である場合は「良好」と、3.5を超える場合は「不良」と評価できる。また、MEEF性能は、アルカリ現像(レジストパターン形成方法(2))において、4.0以下である場合は「良好」と、4.0を超える場合は「不良」と評価できる。
[焦点深度]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定値を焦点深度(nm)とした。焦点深度はその値が大きいほど良いことを示す。焦点深度は、有機溶媒現像(レジストパターン形成方法(1))において、50nm以上の場合は「良好」と、50nm未満の場合は「不良」と評価できる。また、焦点深度は、アルカリ現像(レジストパターン形成方法(2))において、35nm以上の場合は「良好」と、35nm未満の場合は「不良」と評価できる。
[断面形状の矩形性]
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの中間での線幅Lb及び膜の上部での線幅Laを測定し、La/Lbを算出して、断面形状の矩形性の指標とした。断面形状の矩形性は、0.90≦La/Lb≦1.10である場合は「A(良好)」と、0.80≦La/Lb<0.90又は1.10<La/Lb≦1.20である場合は「B(やや良好)」と、La/Lb<0.80又は1.20<La/Lbの場合は「C(不良)」と評価した。
Figure 2016224123
Figure 2016224123
表4及び表5の結果から、実施例の感放射線性樹脂組成物は、有機溶媒現像及びアルカリ現像の場合ともMEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性に優れることがわかる。一方、ベース重合体が構造単位(I)を有さない比較例の感放射線性樹脂組成物では、MEEF性能、焦点深度及び断面形状の矩形性の全てにおいて不十分であった。また、本発明における[A]重合体を含有し[B]重合体を含有しない感放射線性樹脂組成物により形成したレジスト膜上に上層膜を形成して液浸露光を行う比較例の場合は、断面形状の矩形性が不良であった。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、優れたMEEF性能及び焦点深度を発揮しつつ、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。従って、これらは、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造用に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される第1構造単位を有し、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する第1重合体、
    フッ素原子、ケイ素原子又はこれらの組み合わせを含む第2構造単位を有する第2重合体、
    感放射線性酸発生体、及び
    溶媒
    を含有し、
    上記第1重合体100質量部に対する上記第2重合体の含有量が、2.5質量部以上20質量部以下である感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2016224123
    (式(1)中、Rは、炭素数1〜20のヘテロ原子を含む1価の基である。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Xは、単結合又はカルボニル基である。)
  2. 上記第2重合体が、下記(a)〜(c)のうちのいずれかを満たす請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
    (a)アルカリ可溶性である。
    (b)酸の作用によりアルカリ可溶性となる。
    (c)アルカリの作用によりアルカリ可溶性となる。
  3. 上記第2重合体が、上記第2構造単位として、フッ素化アルキル基を含む構造単位、下記式(2)で表される基を含む構造単位、下記式(3)で表される基を含む構造単位又はこれらの組み合わせを有する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2016224123
    (式(2)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基である。R及びRは、それぞれ独立して、フッ素原子又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
    式(3)中、Aは、*−COO−又は*−OCO−である。*は、Rに結合する部位を示す。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。Rは、置換又は非置換の炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。但し、R及びRの少なくとも一方は、フッ素原子を含む基である。)
  4. 上記第2重合体が、脂環式炭化水素基を含む第3構造単位をさらに有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
  5. 上記式(1)のRが環構造を含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
  6. 上記式(1)のRが炭化水素基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
  7. 液浸露光用である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
  8. レジスト膜を形成する工程、
    上記レジスト膜を露光する工程、及び
    上記レジスト膜を現像する工程
    を備え、
    上記レジスト膜を請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法。
  9. 上記露光が液浸露光である請求項8に記載のレジストパターン形成方法。
  10. 上記現像工程において、現像液としてアルカリ溶液を用い、ポジ型のレジストパターンを形成する請求項8又は請求項9に記載のレジストパターン形成方法。
  11. 上記現像工程において、現像液として有機溶媒含有液を用い、ネガ型のレジストパターンを形成する請求項8又は請求項9に記載のレジストパターン形成方法。
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