JP2014201738A - 熱安定性に優れたポリカーボネートジオールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジヒドロキシ化合物と、カーボネート化合物とを、エステル交換触媒によりエステル交換反応し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
上記エステル交換反応をリン酸及び/又は亜リン酸の存在下で行い、リン酸及び亜リン酸の合計量が上記エステル交換触媒1モルに対して0.05モル倍以上0.9モル倍以下であることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
【選択図】なし
Description
特許文献2には、ブレンステッド酸またはリン酸化合物の存在下ポリカーボネートポリオールを製造することが開示されている。
これらの課題を解決すべく、ポリカーボネートジオールの着色を低減するために重合反応の際にリン系化合物を添加する等の試みがなされているが、十分ではない。
本発明の目的は、着色が少なく、更に、熱安定性に優れたポリカーボネートジオールを効率よく製造するポリカーボネートジオールの製造方法を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は、以下である。
[1]
ジヒドロキシ化合物と、カーボネート化合物とを、エステル交換触媒によりエステル交換反応し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
上記エステル交換反応をリン酸及び/又は亜リン酸の存在下で行い、リン酸及び亜リン酸の合計量が上記エステル交換触媒1モルに対して0.05モル倍量以上0.9モル倍以下であることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。
[2]
前記エステル交換触媒が長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素の化合物である[1]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[3]
前記ジヒドロキシ化合物と前記カーボネート化合物とリン酸及び/又はリン酸との混合物に前記エステル交換触媒を添加し、エステル交換反応する[1]又は[2]に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[4]
前記エステル交換触媒量がジヒドロキシ化合物1モルに対して1μモル倍以上200μモル倍以下である[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[5]
前記カーボネート化合物がジアリールカーボネートである[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[6]
エステル交換反応の進行に伴い、ポリカーボネートジオールの全分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が10モル%以下になった後に、ポリカーボネートジオールに、さらにリン酸及び/又は亜リン酸を添加し、次いで精製工程を有する[1]乃至[5]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
[7]
[1]乃至[6]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法により製造されたポリカーボネートジオールであって、積分球式濁度計にて測定した濁度が2.0ppm以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
[8]
[1]乃至[6]のいずれかに記載のポリカーボネートジオールの製造方法により製造されたポリカーボネートジオールであって、JIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、60以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
本発明のポリカーボネートジオールを製造する方法は、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物とを、エステル交換触媒によりエステル交換反応し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
上記反応をリン酸及び/又は亜リン酸の存在下で行い、リン酸及び亜リン酸の合計量が上記エステル交換触媒1モルに対して0.05モル倍量以上0.9モル倍以下であるポリカーボネートジオールの製造方法である。
ジヒドロキシ化合物は特に限定はされないが、下記式(A)で表される化合物(以下「ジヒドロキシ化合物(A)」と称す場合がある。)を含有することが好ましい。
ジヒドロキシ化合物(A)を含有するジヒドロキシ化合物を原料モノマーとしてポリカーボネートジオールを製造する場合、リン酸及び/又は亜リン酸の存在下にエステル交換触媒によりエステル交換反応する際に、リン酸及び亜リン酸の合計量が特定量であると、より着色が抑えられ、熱安定性に優れたポリカーボネートジオールとすることが可能となる。
ロパンジオールなどの2,2−ジアルキル置換1,3−プロパンジオール類が挙げられる。
ジヒドロキシ化合物(B)を含有するジヒドロキシ化合物を原料モノマーとしてポリカーボネートジオールを製造する場合、リン酸及び/又は亜リン酸の存在下にエステル交換触媒によりエステル交換反応する際に、リン酸及び亜リン酸の合計量が特定量であると、より着色が抑えられ、熱安定性に優れたポリカーボネートジオールとすることが可能となる。
く、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビド(以下、「ISB」と略記することがある。)が、入手および製造のし易さ、硬度、耐擦性、耐光性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
シクロヘキサン、イソソルビド、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノールおよび4,4’−イソプロピリデンビス(2,2’−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン)等の環状基が分子内にあるジオール類、ジエタノールアミンおよびN−メチルージエタノールアミン等の含窒素ジオール類並びにビス(ヒドロキシエチル)スルヒド等の含硫黄ジオール類等を挙げることができる。これらのジオールは単独で(B)成分として用いても、または複数組み合わせて用いてもよい。
使用可能なカーボネート化合物としては、本発明の効果を損なわない限り限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。このうち反応性の観点からジアリールカーボネートが好ましい。
前記カーボネート化合物の使用量は、特に限定されないが、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比率で、下限が好ましくは0.35、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.60であり、上限は好ましくは1.00、より好ましくは0.98、さらに好ましくは0.97である。カーボネート化合物の使用量が上記上限超過では得られるポリカーボネートジオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加したり、分子量が所定の範囲とならない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法では、エステル交換触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)を用いる。
エステル交換触媒としては、一般にエステル交換能があるとされている化合物であれば制限なく用いることができる。
しまう原因となることがある。反対に触媒の使用量が多すぎると、エステル交換反応後に過度に多くの触媒が残存し、ポリカーボネートジオールが白濁したり、加熱により着色しやすくなったりする場合がある。またポリウレタンを製造する際には反応を阻害したり、反応を過度に促進したりする場合がある。
本発明の製造方法により製造するポリカーボネートジオールの核磁気共鳴法(NMR)から求めた数平均分子量(Mn)の下限は250であり、好ましくは500、より好ましくは750である。一方、上限は5,500であり、好ましくは4,500、より好ましくは3,500、さらに好ましくは3,000である。ポリカーボネートジオールのMnが前記下限未満では、ウレタンとした際に柔軟性が十分に得られない場合がある。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングを損なう可能性がある。
本発明の製造法により製造するポリカーボネートジオールの分子鎖末端は主に水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物との反応で得られるポリカーボネートジオールの場合には、不純物として一部分子鎖末端が水酸基ではないものが存在する可能性がある。その具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基又はアリールオキシ基のものであり、多くはカーボネート化合物由来の構造である。
又、ポリカーボネートジオールの分子鎖末端がカーボネート化合物に由来する末端基の数の割合は、全末端数に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
特性などの物性が不足する場合がある。
本発明のポリカーボネートジオールの製造方法では、エステル交換触媒をリン酸及び/又は亜リン酸の存在下で行う。リン酸及び亜リン酸の合計量は、エステル交換触媒1モルに対して、0.05モル倍以上0.9モル倍以下である。合計量の上限は好ましくは0.7モル倍、より好ましくは0.5モル倍、さらに好ましくは0.3モル倍であり、下限は好ましくは0.07モル倍、より好ましくは0.1モル倍、さらに好ましくは0.2モル倍である。リン酸及び亜リン酸の合計量が上記上限を超える場合には、エステル交換反応での反応性が低下する場合がある。また上記下限未満では、着色抑制効果が低く、ポリカーボネートジオールが着色してしまう可能性がある。
リン酸及び/又は亜リン酸と反応させる時間は特に限定するものではないが、通常0.
1〜5時間である。
本発明の製造方法で製造されたポリカーボネートジオールの濁度は、三菱化学株式会社製積分球式濁度計PT−200にて、10mmのセルにポリカーボネートジオールの50%塩化メチレン溶液を入れ、予め装置に設定されているポリスチレン検量線を使用して測定された値として、2.0ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。濁度が2.0ppmより大きいと、ポリカーボネートジオールを原料として得られるポリウレタンの透明性悪化を招いて商品価値を低下させたり、機械的物性を低下させたりすることがある。濁りは主に、触媒成分の凝集・析出、添加剤の凝集・析出、溶解度の低い環状オリゴマー等の生成が原因と考えられ、濁度を2.0ppm以下にするためには、ポリカーボネートジオール製造時の触媒、添加剤の種類や量の選択、熱履歴、エステル交換反応中およびエステル交換反応終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。例えば、触媒自体のポリカーボネートジオールへの溶解度が低いと触媒の析出が起こり易くなり、濃度が高いと析出を助長する。一方、溶解度に劣る環状オリゴマーの生成を抑制するためには、モノマーであるジヒドロキシ化合物の選択や組合せも重要である。例えば、ホモポリマーの場合、環状オリゴマーが生成しやすい傾向にあるが、共重合にすることにより、安定な環状構造を取り難くなり、濁度が下がる傾向にある。また、ポリカーボネートジオール製造時の温度が高いと、熱力学的に環状オリゴマーが生成し易くなるため、重合温度を低下させることは有効である。但し、低下させすぎると生産性に支障が出たり、過度に時間がかかって、色調の悪化を招いたり、濁度の悪化を招いたりする場合がある。
本発明の製造方法で製造されたポリカーボネートジオールの色は、ハーゼン色数(JIS −K0071−1:1998に準拠)で表した場合の値(以下「APHA値」と表記
する。)で60以下であることが好ましく、50以下がより好ましく、さらに好ましくは30以下、特に好ましくは20以下である。APHA値が60を越えると、ポリカーボネートジオールを原料として得られるポリウレタンの色調が悪化し、商品価値を低下させたり、熱安定性が悪くなったりする。APHA値を60以下にするためには、ポリカーボネートジオール製造時の触媒、添加剤の種類や量の選択、熱履歴、エステル交換反応中およびエステル交換反応終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。また、エステル交換反応中およびエステル交換反応終了後の遮光も効果的である。また、ポリカーボネートジオールの分子量の設定やモノマーであるジヒドロキシ化合物種の選定も重要である。特にアルコール性水酸基を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物を原料とするポリカーボネートジオールは、ポリウレタンに加工した場合に、柔軟性や耐水性、耐光性等の種々の優れた性能を示すが、芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とした場合より熱履歴や触媒による着色が著しくなる傾向にあり、APHA値を60以下にするのは容易ではない。
原料として例えばジフェニルカーボネート等の芳香族カーボネート化合物を使用した場合、ポリカーボネートジオール製造中にフェノール類が副生する。フェノール類は一官能性化合物なので、例えば、該ポリカーボネートジオールを原料としてポリウレタンを製造
する場合には、フェノール類が反応の阻害因子となる可能性がある上、フェノール類によって形成されたウレタン結合は、その結合力が弱いために、その後の工程等で熱によって解離してしまい、イソシアネートやフェノール類が再生し、不具合を起こす可能性がある。また、フェノール類は刺激性物質でもあるため、ポリカーボネートジオール中のフェノール類の残存量は、少ない方が好ましい。具体的にはポリカーボネートジオールに対する重量比として好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下、中でも100ppm以下であることが好ましい。ポリカーボネートジオール中のフェノール類を低減するためには、後述するようにポリカーボネートジオールのエステル交換反応の圧力を絶対圧力として1kPa以下の高真空としたり、ポリカーボネートジオールのエステル交換反応後に薄膜蒸留等の精製工程を行うことが有効である。
エステル交換反応の際の反応温度は、実用的な反応速度が得られる温度であれば任意に採用することが出来る。通常反応温度の下限は70℃であることが好ましく、100℃であることがより好ましく、130℃であることがさらに好ましい。反応温度の上限は、通常は250℃であることが好ましく、230℃であることがより好ましく、200℃であることがさらに好ましい。反応温度の上限を前記の値とすることにより、得られるポリカーボネートジオールが着色したり、エーテル構造が生成するなどの品質上の問題が生じるのを防ぐことができる。
ポリカーボネートジオールは通常反応中の溶液に含まれるフェノール等のヒドロキシアリールの含有量を45重量%以下にすることが好ましく、30重量%以下にすることがより好ましく、20重量%以下にすることがさらに好ましい。
なお、フェノール類の含有量を上限値以下とする方法としては、例えば、反応初期から減圧下で反応を行い、生成したフェノール類を留去することなどが挙げられる。
反応は常圧で行なうこともできるが、エステル交換反応は平衡反応であり、生成する軽沸成分を系外に留去することで反応を生成系に偏らせることができる。従って、通常、反応後半には、減圧条件を採用して軽沸成分を留去しながら反応することが好ましい。
この際の反応終了時の反応圧力は、上限が、10kPaであることが好ましく、5kPaであることがより好ましく、1kPaであることがさらに好ましい。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ、窒素、アルゴンおよびヘリウムなどの不活性ガスを流通しながら該反応を行うこともできる。
さらにこれら原料の留去を防ぐ意味で、反応器に還流管をつけて、ジヒドロキシ化合物とカーボネート化合物を還流させながら反応を行うことも可能であり、この場合、仕込んだ原料が失われず試剤の量比を正確に合わせることが出来るので好ましい。
エステル交換反応は、バッチ式または連続式に行うことができるが、本発明では製品の安定性等から連続式で行うことが好ましい。使用する装置は、槽型、管型および塔型のいずれの形式であってもよく、各種の攪拌翼を具備した公知の重合槽等を使用することができる。装置昇温中の雰囲気は特に制限はないが、製品の品質の観点から、窒素ガス等の不活性ガス中、常圧または減圧下で行われるのが好ましい。
前記ポリカーボネートジオールにリン酸及び/又は亜リン酸を添加し、次いで精製工程を有することが好ましい。精製工程とはポリカーボネートジオール生成物中の原料ジヒドロキシ化合物、原料カーボネート化合物、副生する軽沸の環状カーボネート、カーボネート化合物から副生するアルコール類、フェノール類および添加した触媒などを除去する目的で精製する工程であり、例えば、減圧蒸留、水蒸気蒸留および薄膜蒸留などが挙げられ、中でも薄膜蒸留が効果的である。
薄膜蒸留時の温度の下限を前記の値とすることにより、軽沸成分の除去効果が十分となる。また、上限を250℃とすることにより、薄膜蒸留後に得られるポリカーボネートジオールが着色するのを防ぐことができる。
また、薄膜蒸留直前のポリカーボネートジオールの保温の温度は、上限が250℃であることが好ましく、150℃であることがより好ましい。また、下限が80℃であることが好ましく、120℃であることがより好ましい。
また、水溶性の不純物を除くために、水、アルカリ性水、酸性水およびキレート剤溶解溶液などで洗浄してもよい。その場合水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートジオール]
ポリカーボネートジオールをCDCl3に溶解し、400MHz 1H−NMR(日本電子株式会社製AL−400)を測定し、各成分のシグナル位置より、フェノキシ基、ジヒドロキシ化合物、フェノールを同定し、積分値より各々の含有量を算出した。その際の検出下限界は、サンプル全体の重量に対するフェノールの重量として100ppm、ジヒドロキシ化合物は0.1重量%である。またフェノキシ基の割合は、フェノキシ基の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシ基の検出下限界は末端全体に対して0.1%である。またポリカーボネートの積分値より、ポリカーボネートジオールの数平均分子量を算出した。
各積分値は以下のケミカルシフトに従い算出した。なお、ケミカルシフト値は組成により若干異なる場合があるので、その場合は積分値の取り方を適宜変更する場合がある。
前記1H−NMRにより、以下ケミカルシフト値の積分値を取得した。尚、1,6ヘキ
サンジオールは「16HD」と略記する場合がある。
δ5.207〜4.973ppmの積分値=a
δ4.697〜4.599ppmの積分値=b
δ4.599〜4.464ppmの積分値=c
δ3.686〜3.501ppmの積分値=d
δ2.764〜2.717ppmの積分値=e
δ1.493〜1.295ppmの積分値=f
ISBに由来する鎖末端の構造は2種存在し、それぞれを「ISB末端1」、「ISB末端2」とする。また末端以外のポリカーボネートジオール中のISB由来構造部分を「ISB中」とする。同様に16HDに関して、「16HD末端」「16HD中」とする。それぞれのプロトン数を考慮し、以下の式によりそれぞれの数を計算する。
(ISB)末端1=b−e
(ISB)中=c−(ISB)末端1
(ISB)末端2=a−(ISB)末端1−(ISB)中×2
(16HD)末端=(d−e−(ISB)末端1)÷2
(16HD)中=(f−(16HD)末端×4)÷4
前記1H−NMRにより、以下ケミカルシフト値の積分値を取った。
δ4.25〜4.05ppmの積分値=g
δ4.05〜3.87ppmの積分値=h
δ3.70〜3.57ppmの積分値=i
δ3.41〜3.30ppmの積分値=j
δ1.15〜1.12ppmの積分値=k
NPGに由来する末端を「NPG末端」とする。また末端以外のポリカーボネートポリオール中のNPG由来構造部分を「NPG中」とする。同様に16HDに関して、「16HD末端」「16HD中」とする。それぞれのプロトン数を考慮し、以下の式によりそれぞれの数を計算する。
NPG末端=j÷2
NPG中=(h−j)÷4
16HD末端=i÷2
16HD中=(g−16HD末端×2−k÷6×4)÷4
10mLメスフラスコにポリカーボネートジオール1gを精秤し、アセトニトリルを加えて10mLに定容した。その溶液を100μL採取し、純水を900μL加えてポリカーボネートジオールを析出させ、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。ろ過後の溶液を用いてLCによる定量分析にて測定した。
カラム:Synergi 4μm Hydro−RP 250mmL×4.6mmI.D.
注入量:50μL
溶離液:0.1%ぎ酸水溶液
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
10mLメスフラスコにポリカーボネートジオール1gを精秤し、アセトニトリルを加えて10mLに定容した。その溶液を100μL採取し、純水を900μL加えてポリカーボネートジオールを析出させ、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。ろ過後の溶液を用いてLCによる定量分析にて測定した。
カラム:CADENZA CD−C18 3μm 250mm×4.6mmI.D.
注入量:50μL
溶離液:水/アセトニトリル=95/5(容積比)
流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
10mLメスフラスコにポリカーボネートジオール1gを精秤し、アセトニトリルを加えて10mLに定容した。その溶液を用いてLCによる定量分析にて測定した。
カラム:CAPCELL PAK 3μm 75mmL×4.6mmI.D.MG
溶離液:水/アセトニトリル=95/5〜0/100 (容積比)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
JIS K0071−1(1998)に準拠して、比色管に入れた標準液と比較して測定した。試薬は色度標準液1000度(1mgPt/mL)(キシダ化学)を使用した。またAPHA50までは5刻みで溶液を調整し判定した。
三菱化学株式会社製積分球式濁度計PT−200にて、10mmのセルにポリカーボネートジオールの50%塩化メチレン溶液を入れ、予め装置に設定されているポリスチレン検量線を使用して測定した。
ポリカーボネートジオール0.1gを精秤し、4gのアセトニトリルに溶解した後、20gの純水を加えてポリカーボネートジオールを析出させ、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。そしてろ過後の溶液を純水で所定濃度まで希釈し、金属イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで分析した。なお、溶媒として使用するアセトニトリルの金属イオン濃度をブランク値として測定し、溶媒分の金属イオン濃度を差し引いた値をポリカーボネートジオールの触媒金属イオン濃度とした。更に、該金属イオン濃度分析より、長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素を抽出し、該元素の合計含有モル濃度を産出した。尚、測定条件は以下の表1に示す通りである。
ポリカーボネートジオール1gを精秤し、10mLのアセトニトリルに溶解した後、純水を滴下して100mLに定容後、析出したポリカーボネートジオールをろ過にて除去した。ろ過後の溶液のリン酸、亜リン酸をイオンクロマトグラフィーで分析した。なお、溶媒として使用するアセトニトリルのリン酸、亜リン酸濃度をブランク値として測定し、溶媒分のリン酸、亜リン酸濃度を差し引いた値をポリカーボネートジオールのリン酸、亜リン酸濃度とした。測定条件は以下の表2に示す通りである。
ポリカーボネートジオール1gを精秤し、89%硫酸10mLを加え、高温ホットプレートにて200℃から400℃になるまで加熱を行った。室温まで冷却後、69%硝酸を1mL添加し、再び高温ホットプレートにて200℃から400℃になるまで加熱を行った。硝酸添加、加熱の操作を分解液が透明になるまで繰り返した。室温まで冷却後、上記で得られた液を使用してICP−OES Vista−Pro(Agilent社製)で定量し、ポリカーボネート中のリン原子のモル濃度を算出した。
直径50mm、高さ200mm、面積0.0314m2の内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール(16HD):404.3g、イソソルビド(ISB):500.0g、ジフェニルカーボネート:1095.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:7.0mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:59mg)、亜リン酸0.0104gを入れ、次いで、5Lガラス製セパラブルフラスコの気相部を窒素ガス
により置換した。まず、内温を160℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。内容物が溶解したら5分間で圧力を21kPaまで下げ、160℃、21kPaで150分間反応した。そして、280分かけて圧力を0.40kPaまで下げた後、60分間かけて温度を170℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。尚、酢酸マグネシウムはエステル交換触媒である。
前記反応中のポリカーボネートジオールにおける全分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、NMRにて未検出になったことを確認後に、亜リン酸0.0122gを更に前記反応中のポリカーボネートジオールに添加しポリカーボネートジオールを得た。反応結果は表3に記載した。
5Lガラス製セパラブルフラスコに亜リン酸を入れなかったこと、反応中のポリカーボネートジオールに亜リン酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様に実施した。結果を表3に記載した。
5Lガラス製セパラブルフラスコに入れる亜リン酸の量を0.0104gより0.0207gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
但し、160℃、21kPaにて150分間反応したが、フェノールの留出が確認できなかったため反応途中で反応を終了した。
5Lガラス製セパラブルフラスコに酢酸マグネシウム4水和物水溶液を入れず、亜リン酸の量を0.0104gより0.2075gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
但し、160℃、21kPaにて180分間反応したが、フェノールの留出が確認できなかったため反応途中で反応を終了した。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた3Lガラス製セパラブルフラスコにネオペンチルグリコール(NPG):343.4g、ジフェニルカーボネート:1046.8g、85wt%リン酸0.0013gを入れ、3Lガラス製セパラブルフラスコの気相部を窒素ガスにより置換した。内温を140℃に昇温後、140℃で20時間加熱した。
その後、1,6−ヘキサンジオール(16HD):259.8g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:2.8mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:24mg)を3Lガラス製セパラブルフラスコに更に追加添加し、3Lガラス製セパラブルフラスコの気相部を窒素ガスにより置換した。次いで、内温を160℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。内容物が溶解したら5分間で圧力を20kPaまで下げ、160℃、20kPaで20分間反応した。そして、340分かけて圧力を1.3kPaまで下げた後、160℃で60分間フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。
前記反応中のポリカーボネートジオールにおける全分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が、NMRにて未検出になったことを確認後に、85wt%リン酸0.0091gを前記反応中のポリカーボネートジオールに添加しポリカーボネートジオールを得た。反応結果は表3に記載した。
表3に記載した仕込み重量に変更し、3Lガラス製セパラブルフラスコにリン酸を入れなかったこと、反応中のポリカーボネートジオールにリン酸を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様に実施した。結果を表3に記載した。
比較例2では亜リン酸添加量が触媒量に対して多いため、触媒が失活して反応速度が遅くなり、実質的には反応できないことがわかる。
比較例3では、金属触媒を添加せずに亜リン酸の添加のみで重合しようとしたが、実質的には反応できないことがわかる。
また実施例2、比較例4の比較により、適量の亜リン酸を添加してエステル交換反応した場合、エステル交換触媒の添加が遅くなると、色調の改善効果がより顕著になることがわかる。
上記の通り、適量のリン酸又は亜リン酸を添加してエステル交換反応を行うことで、生成するポリカーボネートジオールの色調が改善されることがわかる。
実施例1で得られたポリカーボネートジオールを20g/分の流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。結果を表4に記載した。
比較例2で得られたポリカーボネートジオール生成物を20g/分の流量で薄膜蒸留(ジャケットオイル温度:180℃、圧力:0.027kPa)を行った。結果を表4に記
載した。
Claims (8)
- ジヒドロキシ化合物と、カーボネート化合物とを、エステル交換触媒によりエステル交換反応し、数平均分子量が250以上5500以下であるポリカーボネートジオールを製造する方法であって、
上記エステル交換反応をリン酸及び/又は亜リン酸の存在下で行い、リン酸及び亜リン酸の合計量が上記エステル交換触媒1モルに対して0.05モル倍以上0.9モル倍以下であることを特徴とするポリカーボネートジオールの製造方法。 - 前記エステル交換触媒が長周期型周期表第1族元素(水素を除く)及び長周期型周期表第2族元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物と前記カーボネート化合物とリン酸及び/又はリン酸との混合物に前記エステル交換触媒を添加し、エステル交換反応することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
- 前記エステル交換触媒量がジヒドロキシ化合物1モルに対して1μモル倍以上200μモル倍以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
- 前記カーボネート化合物がジアリールカーボネートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
- エステル交換反応の進行に伴い、ポリカーボネートジオールの全分子鎖末端のうち、カーボネート化合物に由来する末端基の割合が10モル%以下になった後に、ポリカーボネートジオールに、さらにリン酸及び/又は亜リン酸を添加し、次いで精製工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法により製造されたポリカーボネートジオールであって、積分球式濁度計にて測定した濁度が2.0ppm以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリカーボネートジオールの製造方法により製造されたポリカーボネートジオールであって、JIS K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、60以下であることを特徴とするポリカーボネートジオール。
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