JP2013010948A - ポリカーボネートポリオールの製造方法及び該ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン - Google Patents
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Abstract
【解決方法】ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを、触媒の存在下でエステル交換反応により重縮合反応する、特定の構造と物性を有するポリカーボネートポリオールの製造方法であって、反応器の少なくとも1つが、熱媒体を用いて反応器を加熱するための加熱手段および還流冷却器を具備した内容積20L以上の反応器であり、該熱媒体の温度と反応器中の反応液の温度差が少なくとも5℃以上であり、且つ全反応段階で留出するモノマーの合計量が、原料モノマーの総量に対して15重量%以下である、ポリカーボネートポリオールの製造方法。
【選択図】なし
Description
1)炭酸ジエステルから副生するモノヒドロキシ化合物の留出量が、モノヒドロキシ化合物の全理論生成量の50%未満の場合には、
a)温度110℃以上130℃未満では圧力10kPa〜4kPa、
b)温度130℃以上150℃未満では圧力14kPa〜6kPa、
c)温度150℃以上170℃未満では圧力20kPa〜8kPa、
d)温度170℃以上190℃未満では圧力30kPa〜10kPa、
であって、
2)炭酸ジエステルから副生するモノヒドロキシ化合物の留出量がモノヒドロキシ化合物の全理論生成量の50%以上の場合には、
a)温度110℃以上130℃未満では圧力6kPa〜0.01kPa、
b)温度130℃以上150℃未満では圧力8kPa〜0.01kPa
c)温度150℃以上170℃未満では圧力12kPa〜0.01kPa
d)温度170℃以上190℃未満では圧力16kPa〜0.01kPa
である、[1]から[9]のいずれかに記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
本明細書において“質量%”と“重量%”、“質量ppm”と“重量ppm”とは、それぞれ同義である。
本発明においては、副生するモノヒドロキシ化合物を留出する反応器の少なくとも1つとして、熱媒体を用いて反応器を加熱するための加熱手段および還流冷却器を具備した内容積20L以上の反応器を用いる。そして該熱媒体の温度と反応器中の反応液の温度差が少なくとも5℃以上であり、且つ全反応段階で留出するモノマーの合計量が、原料モノマーの総量に対して15重量%以下であるようにする。当該反応器の内容積は、好ましくは30L以上である。本発明では、反応器の内容積が大きくなるほど本発明の効果が大きくなる。
導入される熱媒体の温度は、達成したい反応液の温度によって、適宜決めればよいが、熱媒体の温度が高くなりすぎると、原料モノマーの留出量が多くなりすぎるため、最高温度が好ましくは240℃未満、より好ましくは230℃未満、さらに好ましくは220℃未満、特に好ましくは215℃未満、最も好ましくは210℃未満である。
尚、本発明において、熱媒体の温度とは、加熱手段に導入する前の温度、例えば加熱手段が熱媒体ジャケットである場合には、反応器の周囲(全周囲または部分的に)に設けられた熱媒体ジャケットに導入する前の熱媒体の温度をさす。また、本発明において、反応液の温度とは、熱伝対などの測定機器で測定される反応液の温度をいう。
ここで、本発明における、モノヒドロキシ化合物の理論留出量とは、原料として使用する炭酸ジエステルの2倍のモル数である。理論留出量の20%以上留出する反応器とは、バッチ式反応の場合には、原料として当初仕込んだ炭酸ジエステル化合物の量に対する、1つの反応器から留出するモノヒドロキシ化合物のトータルの量から算出して、理論留出量の20%以上となっている反応器を意味し、連続反応の場合には、原料として供給する炭酸ジエステルの単位時間当たりの量に対する、1つの反応器から留出する単位時間当たりのモノヒドロキシ化合物の量から算出して、理論留出量の20%以上となっている反応器を意味する。
1)炭酸ジエステルから副生するモノヒドロキシ化合物の留出量が、モノヒドロキシ化合物の全理論生成量の50%未満の場合には、
a)温度110℃以上130℃未満では圧力10kPa〜4kPa、
b)温度130℃以上150℃未満では圧力14kPa〜6kPa、
c)温度150℃以上170℃未満では圧力20kPa〜8kPa、
d)温度170℃以上190℃未満では圧力30kPa〜10kPa、
であって、
2)炭酸ジエステルから副生するモノヒドロキシ化合物の留出量が、モノヒドロキシ化合物の全理論生成量の50%以上の場合には、
a)温度110℃以上130℃未満では圧力6kPa〜0.01kPa、
b)温度130℃以上150℃未満では圧力8kPa〜0.01kPa
c)温度150℃以上170℃未満では圧力12kPa〜0.01kPa
d)温度170℃以上190℃未満では圧力16kPa〜0.01kPa
であることが好ましい。
還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において、45〜180℃であるのが好ましく、より好ましくは、80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下する傾向があり、逆に低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
本発明の方法において、全反応段階で留出するモノマーの合計量が、原料モノマーの総量に対して15重量%以下であることが肝要である。
ここで全反応段階で留出するモノマーの合計量(以下、「留出するモノマー量」と称する場合がある)とは、エステル交換反応の開始から終了までに留出したジヒドロキシ化合物の合計量であり、またジヒドロキシ化合物が炭酸ジエステルと反応して生成する物質のうち、ジヒドロキシ化合物成分(ジヒドロキシ化合物の水酸基部分の水素を除く)を含む物質に関しては、その物質の重量をジヒドロキシ化合物成分の重量に換算してジヒドロキシ化合物の重量に含めた量のことである。
留出するモノマー量は、少ない方が原料原単位の改善が大きい一方で、留出するモノマー量の低減には内温や加熱媒体温度を過度に低くしたり、圧力を過度に高くしたり、触媒量を増やしたり、重合時間を長くしたりする必要があり、ポリカーボネートポリオールの生産効率低下や、品質の悪化を招くため、その下限は通常0.2重量%、好ましくは0.4重量%、より好ましくは0.6重量%、さらに好ましくは1重量%、特に好ましくは2重量%である。
例えば、重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させるが、各分子量段階での熱媒体の温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりする可能性がある。
本発明の方法において、ポリカーボネートポリオールの製造は、触媒を用いて、好ましくは複数の反応器を用いて多段階で重合させることが好ましい。重合を複数の反応器で実施することが好ましい理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明において、反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせ、段階的にあるいは連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
本発明において、後述する触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、反応器に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、反応器に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
特にポリカーボネートポリオールの着色や熱劣化を抑制し、留出するモノマー量を原料モノマーの総量に対して10重量%以下とするためには、全反応段階における内温の最高温度が、220℃未満、特に150〜190℃であることが好ましい。本発明の方法において、副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジエステルやビスフェノール化合物等の原料として再利用することが好ましい。
<ジヒドロキシ化合物>
本発明の製造方法に用いるジヒドロキシ化合物は、炭酸ジエステルと重合することにより前記式(A)で表される構造となるものであれば如何なるものも使用することができる。前記式(A)におけるXは、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の基であり、直鎖または分岐鎖の鎖状基および環状基のいずれの構造が含まれていてもよい。Xを構成する元素としての炭素数は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、更に好ましくは6以下である。Xが有していてもよいヘテロ原子は、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等であり、化学的な安定性から好ましくは酸素原子である。Xの具体例としては、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−が挙げられ、−CH2−、−CH2CH2−がより好ましい。これらのジヒドロキシ化合物は、得られるポリカーボネートポリオールの要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法で用いるジヒドロキシ化合物が、ジヒドロキシ化合物(B)を含有する場合、本発明の製造方法で用いるジヒドロキシ化合物には、ジヒドロキシ化合物(A)ともジヒドロキシ化合物(B)とも解される化合物が含まれうる。
本発明のポリカーボネートポリオールが、このようなジヒドロキシ化合物を用いて製造される場合、当該ジヒドロキシ化合物を任意にジヒドロキシ化合物(A)またはジヒドロキシ化合物(B)と位置づければよい。ただし、特定のジヒドロキシ化合物をジヒドロキシ化合物(A)と位置づけた場合、当該ジヒドロキシ化合物を同時にジヒドロキシ化合物(B)と位置づけることはなく、逆の場合もまた同様である。
また、これら式(B)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物は、酸化的に劣化するとギ酸等の酸性物質を生成する場合があることから、pHが下がる傾向がある。従って式(B)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物の評価にpHを指標とすることもできる。pHは例えば、国際公開第2009/057609号に記載の方法、すなわちジヒドロキシ化合物の40%水溶液としてpHメーターで測定する方法が採用できる。
式(B)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物が酸化劣化すると、過酸化物を生じる。この過酸化物は、ポリカーボネートポリオールを製造する際や、ウレタン化反応の際の着色の原因になることがあるので、より少ない方が好ましい。式(B)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物中の過酸化物の量は、通常は式(B)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物重量に対して10ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。下限は特に限定されないが、通常0.01ppm以上である。
前記アルケニル基としては、例えばビニル基(エチレニル)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられ、特にビニル基、プロペニル基等がより好ましい。
前記アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等が挙げられ、エチニル基、プロピニル基等がより好ましい。
これらのアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基にさらに置換していても良い置環基としては、例えばニトリル基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子等が挙げられ、ニトロ基、ハロゲン原子等がより好ましい。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子が挙げられる。
使用可能な炭酸ジエステルとしては、本発明の効果を失わない限り限定されないが、アルキルカーボネート、アリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。このうちアリールカーボネートを使用すると速やかに反応が進行するという利点がある。しかしその一方で、アリールカーボネートを原料とすると沸点の高いフェノール類が副生するが、ポリカーボネートポリオール生成物中のフェノール類の残留量は、より少ない方が好ましい。このフェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となり得る上、刺激性物質でもあるためである。
ジアルキルカーボネートの例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、エチルイソブチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートである。
さらにアルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,3−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、1,3−ペンチレンカーボネート、1,4−ペンチレンカーボネート、1,5−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネート、2,4−ペンチレンカーボネート、ネオペンチルカーボネート等が挙げられ、好ましくはエチレンカーボネートである。
これらの中でもジアリールカーボネートが反応性に富み、工業的に製造する上で効率的であることから好ましく、中でも工業原料として容易にかつ安価に入手可能なジフェニルカーボネートがより好ましい。
<分子量・分子量分布>
本発明のポリカーボネートポリオールの製造方法で製造されるポリカーボネートポリオール(以下、「本発明のポリカーボネートポリオール」と称す場合がある)の数平均分子量(Mn)の下限は通常250であり、好ましくは500、さらに好ましくは700、特に好ましくは1,000である。一方、上限は通常5,000であり、好ましくは4,000、さらに好ましくは3,000である。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が前記下限未満では、ポリウレタンとした際に充分な硬度が得られない。一方前記上限超過では粘度が上がり、ポリウレタン化の際のハンドリングに支障がでてくる。
分子量分布が前記範囲を超える場合、このポリカーボネートポリオールを用いて製造したポリウレタンの物性が、低温で硬くなる、伸びが悪くなる等、悪化する傾向があり、分子量分布が前記範囲未満のポリカーボネートポリオールを製造しようとすると、オリゴマーを除く等の高度な精製操作が必要になる場合がある。
・GPCによる数平均分子量の測定
GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)を用いて、溶媒としてテトラヒドロフラン、標準サンプルとしてポリスチレン、カラムとしてTSK gel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5cm3/分、カラムオーブン温度40℃にて、数平均分子量を測定する。
JIS K1557−1(2007)に記載のアセチル化法により算出する。
本発明に係るポリカーボネートポリオールは基本的にポリマーの末端構造は水酸基である。しかしながら、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの反応で得られるポリカーボネートポリオール生成物中には、不純物として一部ポリマー末端が水酸基ではない構造のものが存在する場合がある。その構造の具体例としては、分子鎖末端がアルキルオキシ基またはアリールオキシ基のものであり、多くは炭酸ジエステル由来の構造である。アルキルオキシ基、アリールオキシ基の割合は、通常1H−NMRにより算出する。
本発明に係るポリカーボネートポリオールの水酸基価は、特に限定されないが下限は通常10mg−KOH/g、好ましくは20mg−KOH/g、より好ましくは35mg−KOH/gである。また、上限は通常400mg−KOH/g、好ましくは300mg−KOH/g、より好ましくは200mg−KOH/gである。水酸基価が前記下限未満では、粘度が高くなりすぎポリウレタン化の際のハンドリングが困難となる場合があり、前記上限超過ではポリウレタンとした時に強度や硬度が不足する場合がある。
本発明に係るポリカーボネートポリオールは、カーボネート基によりジヒドロキシ化合物が重合した構造が基本となっている。しかしながら、製造方法によっては、ジヒドロキシ化合物中のエーテル構造以外に、ジヒドロキシ化合物の脱水反応によりエーテル構造となったものが混入する場合があり、その存在量が多くなると耐候性や耐熱性が低下することがあるので、エーテル構造の割合が過度に多くならないように製造することが望ましい。
本発明に係るポリカーボネートポリオールは、室温付近で通常、液状からワックス状の固体という性状を呈しているが、加温することにより粘度を低下させることができ、ハンドリングしやすくなる。また、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系の溶媒、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒に溶解させることも可能で、移送や反応が行いやすくなる場合もある。
本発明に係るポリカーボネートポリオールの色は、得られるポリウレタンの色目に影響を与えない範囲が好ましく、着色の程度をハーゼン色数(JIS K0071−1(1998)に準拠)で表した場合の値(以下「APHA値」と表記する。)は特に限定されないが、100以下が好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは50以下である。
本発明のポリカーボネートポリオールの濁度は、三菱化学株式会社製積分球式濁度計PT−200にて、10mmのセルにポリカーボネートポリオールの50%塩化メチレン溶液を入れ、予め装置に設定されているポリスチレン検量線を使用して測定された値として、2.0ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0ppm以下、特に好ましくは0.5ppm以下である。濁度が2.0ppmより大きいと、ポリカーボネートポリオールを原料として得られるポリウレタンの透明性悪化を招いて商品価値を低下させたり、機械的物性を低下させたりすることがある。濁りは主に、触媒成分の失活・析出、溶解度の低い環状オリゴマー等の生成が原因と考えられ、濁度を低くするためには、ポリカーボネートポリオール製造時の触媒の種類や量の選択、熱履歴、重合中および重合終了後のモノヒドロキシ化合物の濃度や未反応モノマーの濃度を総合的に制御する必要がある。例えば、触媒自体のポリカーボネートジオールへの溶解度が低いと触媒の析出が起こり易くなり、濃度が高いと析出を助長する。一方、溶解度に劣る環状オリゴマーの生成を抑制するためには、モノマーであるジヒドロキシ化合物の選択や組合せも重要である。例えば、ホモポリマーの場合、環状オリゴマーが生成しやすい傾向にあるが、共重合にすることにより、安定な環状構造を取り難くなり、濁度が下がる傾向にある。また、ポリカーボネートポリオール製造時の温度が高いと、熱力学的に環状オリゴマーが生成し易くなるため、重合温度を低下させることは有効である。但し、低下させすぎると生産性に支障が出たり、過度に時間がかかって、色調の悪化を招いたり、濁度の悪化を招いたりするので好ましくない。
・フェノール類
本発明に係るポリカーボネートポリオール中に含まれるフェノール類の含有量は、特に限定されないが、少ないほうが好ましく、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、さらに好ましくは0.001重量%以下である。フェノール類は一官能性化合物なので、ポリウレタン化の際の重合阻害因子となる可能性がある上、刺激性物質であるためである。
本発明に係るポリカーボネートポリオール生成物中には、製造時の原料として使用した炭酸ジエステルが残存することがあるが、本発明に係るポリカーボネートポリオール中の炭酸ジエステルの残存量は限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常上限が5重量%、好ましくは3重量%、さらに好ましくは1重量%である。ポリカーボネートポリオールの炭酸ジエステル含有量が多すぎるとポリウレタン化の際の反応を阻害する場合がある。一方、その下限は特に制限はなく0.1重量%、好ましくは0.01重量%、さらに好ましくは0重量%である。
本発明に係るポリカーボネートポリオールには、製造時に使用したジヒドロキシ化合物が残存する場合がある。本発明に係るポリカーボネートポリオール中のジヒドロキシ化合物の残存量は、限定されるものではないが、少ないほうが好ましく、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは3重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以下であり、より好ましくは0.05重量%以下である。またジヒドロキシ化合物としてイソソルビド、イソマンニド、およびイソイディッドから選ばれる少なくとも1種のジヒドロキシ化合物(以下、「イソソルビド類」と略記することがある)を用いた場合には、ポリカーボネートポリオール中のイソソルビド類の残存量は少ない方が好ましく、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下であり、より好ましく3重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以下であり、特に好ましくは0.1重量%以下であり、最も好ましくは0.01重量%以下である。ポリカーボネートポリオール中のジヒドロキシ化合物の残存量が多いと、ポリウレタンとした際のソフトセグメント部位の分子長が不足し、望む物性が得られない場合がある。
本発明のポリカーボネートポリオールを製造する場合には、後述するように、重合を促進するために必要に応じてエステル交換触媒を用いることが可能である。その場合、得られたポリカーボネートポリオール中にその触媒が残存することがあるが、過度に多くの触媒が残存するとポリウレタン化反応の際に反応の制御が困難となり、ポリウレタン化反応を想定以上に促進してゲル化してしまい、均一なポリウレタンが得られない場合があり、残存しない方が好ましい。
・環状カーボネート
ポリカーボネートポリオール生成物中には、製造の際に副生した環状のカーボネートが含まれることがある。例えばジヒドロキシ化合物にネオペンチルグリコール等の、1,3−プロパンジオール骨格を有するジヒドロキシ化合物から選ばれる少なくとも1種のジヒドロキシ化合物(以下、「1.3−プロパンジオール類」と略記することがある。)を用いた場合、5.5−ジアルキル−1,3−ジオキサン−2−オンもしくはさらにこれらが2分子ないしそれ以上で環状カーボネートとなったもの等が環状化合物として生成してポリカーボネートポリオール中に含まれる場合がある。これらの環状化合物は、ウレタン化反応においてイソシアネート基と反応しなかったり、加熱時に副反応をもたらす可能性があり、ポリウレタン中に可塑剤の如く残存して最終製品等に不具合をもたらす可能性のある好ましくない不純物であるので、製造の段階でなるべく除去しておくのが望ましい。
本発明に係るポリカーボネートポリオールのウレタン化反応における反応速度は、前記ポリカーボネートポリオールをN,N−ジメチルホルムアミドの溶液とし、ポリカーボネートポリオールのモル等量に対して0.98倍のジフェニルメタンジイソシアネートを添加して、動力源としてモーターを用いて所定時間100rpmで攪拌した後の前記モーターの負荷値[V]として評価することができる。ジフェニルメタンジイソシアネート添加後30分後のモーター負荷値の下限は通常0.10V、好ましくは0.13V、より好ましくは0.20V、上限は通常2.00V、好ましくは1.95V、より好ましくは1.90Vである。また、ジフェニルメタンジイソシアネート添加後60分後のモーター負荷値の下限は通常0.10V、好ましくは0.13V、より好ましくは0.20V、上限は通常2.00V、好ましくは1.95V、より好ましくは1.90Vである。前記下限未満の場合には、もはや重合が進行しない傾向があり、前記上限超過の場合には、非常に高い分子量となってしまうかゲル化してしまう傾向がある。
本発明のポリカーボネートポリオールは、構造(A)を与えるジヒドロキシ化合物、好ましくは、イソソルビドに代表されるジヒドロキシ化合物(B)、及び/又はジヒドロキシ化合物(C)等のジヒドロキシ化合物と、前述の炭酸ジエステルとを、エステル交換触媒を用いてエステル交換反応させることにより製造することができる。
例えば、(i)イソソルビド、イソマンニド、およびイソイディッドから選ばれる少なくとも1種のジヒドロキシ化合物、(ii)ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜15のジヒドロキシ化合物、および(iii)炭酸ジエステルを、エステル交換触媒存在下に反応させて製造することができる。
<エステル交換触媒>
エステル交換触媒として利用できる金属は、一般にエステル交換能があるとされている金属であれば制限なく用いることができる。
触媒金属の例を挙げると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の周期表1族金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2族金属;チタン、ジルコニウム等の周期表4族金属;ハフニウム等の周期表5族金属;コバルト等の周期表9族金属;亜鉛等の周期表12族金属;アルミニウム等の周期表13族金属;ゲルマニウム、スズ、鉛等の周期表14族金属;アンチモン、ビスマス等の周期表15族金属;ランタン、セリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等ランタナイド系金属等が挙げられる。これらのうち、エステル交換反応速度を高めるという観点から、周期表1族金属、周期表2族金属、周期表4族金属、周期表5族金属、周期表9族金属、周期表12金属、周期表13族金属、周期表14族金属が好ましく、周期表1族金属、周期表2族金属がより好ましく、周期表2族金属がさらに好ましい。周期表1族金属の中でも、リチウム、カリウム、ナトリウムが好ましく、リチウム、ナトリウムがより好ましく、ナトリウムがさらに好ましい。周期表2族金属の中でも、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましく、カルシウム、マグネシウムがより好ましく、マグネシウムがさらに好ましい。これらの金属は金属の単体として使用される場合と、水酸化物や塩等の金属化合物として使用される場合がある。塩として使用される場合の塩の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物塩;酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩等のカルボン酸塩;メタンスルホン酸やトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸塩;燐酸塩や燐酸水素塩、燐酸二水素塩等の燐含有の塩;アセチルアセトナート塩;等が挙げられる。触媒金属は、さらにメトキシドやエトキシドの様なアルコキシドとして用いることもできる。
エステル交換触媒の周期表1族金属を用いた化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、フェニルリン酸二ナトリウム;ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二セシウム塩、二リチウム塩;フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩;等が挙げられる。
本発明に係るポリカーボネートポリオールの製造において、炭酸ジエステルの使用量は、特に限定されないが、通常ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対するモル比で下限が好ましくは0.50、より好ましくは0.55、さらに好ましくは0.60、特に好ましくは0.65であり、上限は通常1.20、好ましくは1.15、より好ましくは1.10、さらに好ましくは1.00、特に好ましくは0.98である。炭酸ジエステルの使用量が前記上限超過では得られるポリカーボネートポリオールの末端基が水酸基でないものの割合が増加する、または、分子量が所定の範囲とならず本発明に係るポリカーボネートポリオールを製造できない場合があり、前記下限未満では所定の分子量まで重合が進行しない場合がある。
また、触媒として周期表2族金属の化合物を用いる場合は、その全金属原子の合計量として、原料として用いた全ジヒドロキシ化合物1molあたり好ましくは5μmol以上、より好ましくは7μmol以上、さらに好ましくは10μmol以上、好ましくは500μmol以下、より好ましくは300μmol以下、さらに好ましくは100μmol以下である。
反応原料の仕込み方法は、特に制限はなく、ジヒドロキシ化合物と炭酸エステルと触媒の全量を同時に仕込み反応に供する方法や、炭酸エステルが固体の場合まず炭酸エステルを仕込んで加温、溶融させておき後からジヒドロキシ化合物と触媒を添加する方法、逆にジヒドロキシ化合物を先に仕込んでおいて溶融させ、ここへ炭酸エステルと触媒を投入する方法、ジヒドロキシ化合物の一部と炭酸エステル類またはクロロ炭酸エステル類を反応させてジヒドロキシ化合物のジエステル炭酸塩誘導体を合成した後に残りのジヒドロキシ化合物と反応させる方法、等自由にその方法は選択できる。本発明に係るポリカーボネートポリオールにおいて分子鎖の末端がアルキルオキシ基またはアリールオキシ基である数の割合を5%と以下とするために、使用するジヒドロキシ化合物の一部を反応の最後に添加する方法を採用することも可能である。その際に最後に添加するジヒドロキシ化合物の量の上限は、仕込むべきジヒドロキシ化合物量の通常は20%、好ましくは15%、さらに好ましくは10%であり、下限は通常0.1%、好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%である。
この際の反応終了時の反応圧力は、特に限定はされないが、通常上限が、10kPa、好ましくは5kPa、より好ましくは1kPaである。これら軽沸成分の留出を効果的に行うために、反応系へ窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを少量通じながら該反応を行うこともできる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記リン系化合物の使用量は、特に限定はされないが、前述したように、使用されたエステル交換触媒とほぼ等モルであればよく、具体的には、使用されたエステル交換触媒1モルに対して上限が好ましくは5モル、より好ましくは2モルであり、下限が好ましくは0.8モル、より好ましくは1.0モルである。これより少ない量のリン系化合物を使用した場合は、前記反応生成物中のエステル交換触媒の失活が十分でなく、得られたポリカーボネートポリオールを例えばポリウレタン製造用原料として使用する時、該ポリカーボネートポリオールのイソシアネート基に対する反応性を十分に低下させることができない場合がある。また、この範囲を超えるリン系化合物を使用すると得られたポリカーボネートポリオールが着色してしまう可能性がある。
反応後は、前記のポリカーボネートポリオール生成物中の末端構造がアルキルオキシ基である不純物、アリールオキシ基である不純物、フェノール類、ジヒドロキシ化合物や炭酸エステル、副生する軽沸の環状カーボネート、さらには添加した触媒等を除去する目的で精製を行うことができる。その際の精製は軽沸化合物については、蒸留で留去する方法が採用できる。蒸留の具体的な方法としては減圧蒸留、水蒸気蒸留、薄膜蒸留等特にその形態に制限はなく、任意の方法を採用することが可能である。また、水溶性の不純物を除くために水、アルカリ性水、酸性水、キレート剤溶解溶液等で洗浄してもよい。その場合、水に溶解させる化合物は任意に選択できる。
本発明に係るポリウレタンは、上述の本発明に係るポリカーボネートポリオールを用いて得られるものである。
本発明に係るポリカーボネートポリオールを用いて本発明に係るポリウレタンを製造する方法は、通常ポリウレタンを製造する公知のポリウレタン化反応条件が用いられる。
また、本発明に係るポリカーボネートポリオールと過剰のポリイソシアネートとをまず反応させて末端イソシアネートのプレポリマーを製造し、さらに鎖延長剤を用いて重合度を上げてポリウレタンを製造することができる。
<ポリイソシアネート>
本発明に係るポリカーボネートポリオールを用いてポリウレタンを製造するのに使用されるポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環族または芳香族の各種公知のポリイソシアネート化合物が挙げられる。
また、本発明に係るポリウレタンを製造する際に用いられる鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する活性水素を少なくとも2個有する低分子量化合物であり、通常ポリオールおよびポリアミンを挙げることができる。
これらの中でも好ましい鎖延長剤は、得られるポリウレタンの物性のバランスが好ましい点、工業的に安価に多量に入手が可能な点で、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルシクロヘキサン、エチレンジアミン、1,3−アミノプロパン等である。
本発明に係るポリウレタンを製造する際には、得られるポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。
これらの鎖停止剤としては、水酸基を有するエタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール、アミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族モノアミンが例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応において、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒またはトリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート等のスズ系触媒等のスズ系の化合物、さらにはチタン系化合物等の有機金属塩等に代表される公知のウレタン重合触媒を用いることもできる。ウレタン重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に係るポリウレタンを製造する際、本発明に係るポリカーボネートポリオールに加えて、必要に応じて公知の他のポリオールを併用することも可能である。その際に使用可能な公知のポリオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリオキシアルキレングリコール類;ビスフェノールA,グリセリンのエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物等のポリアルコールのアルキレンオキシド付加物類;ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
これらの他のポリオールを使用する場合、本発明に係るポリカーボネートポリオールを用いることによる効果を十分に得る上で、全ポリオール中の本発明に係るポリカーボネートポリオールの割合は特に限定はされないが、通常30重量%以上、特に50重量%以上となるように用いることが好ましい。
本発明に係るポリウレタンを製造する際のポリウレタン形成反応は溶剤を用いて行ってもよい。
好ましい溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;およびトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いることも、2種以上の混合溶媒として用いることも可能である。
また、本発明に係るポリカーボネートポリオール、ポリジイソシアネート、および前記の鎖延長剤が配合されたポリウレタン樹脂組成物から、水分散液のポリウレタン樹脂を製造することもできる。
上述の反応試剤を用いて本発明に係るポリウレタンを製造する方法としては、一般的に実験ないし工業的に用いられる全ての製造方法が使用できる。
その例としては、本発明に係るポリカーボネートポリオールを含むポリオール、ポリイソシアネート、鎖延長剤を一括に混合して反応させる方法(以下、「一段法」という)や、まず本発明に係るポリカーボネートポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートを反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと鎖延長剤を反応させる方法(以下、「二段法」という)等がある。
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、本発明に係るポリカーボネートポリオールを含むポリオール、ポリイソシアネート、および鎖延長剤を一括に仕込むことで反応を行う方法である。
一段法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、本発明に係るポリカーボネートポリオールを含むポリオールの水酸基数と鎖延長剤の水酸基数およびアミノ基数の合計を1当量とした場合、下限は、通常0.7当量、好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は、通常3.0当量、好ましくは2.0当量、より好ましくは1.5当量、さらに好ましくは1.1当量である。
また、鎖延長剤の使用量は、特に限定されないが、本発明に係るポリカーボネートポリオールを含むポリオールの水酸基数からポリイソシアネートのイソシアネート基数を引いた数を1当量とした場合、下限は、通常0.7当量、好ましくは0.8当量、さらに好ましくは0.9当量、特に好ましくは0.95当量であり、上限は3.0当量、好ましくは2.0当量、より好ましくは1.5当量、特に好ましくは1.1当量である。鎖延長剤の使用量が多すぎると、得られるポリウレタンが溶媒に溶けにくく加工が困難になる傾向があり、少なすぎると、得られるポリウレタンが軟らかすぎて十分な強度や硬度、弾性回復性能や弾性保持性能が得られなかったり、高温特性が悪くなる場合がある。
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、予めポリイソシアネートと本発明に係るポリカーボネートポリオールを含むポリオールを、ポリイソシアネート/ポリオール反応当量比1.0〜10.00で反応させて、末端がイソシアネート基となったプレポリマーを製造し、次いでこれに多価アルコール、アミン化合物等の活性水素を有する鎖延長剤を加えることによりポリウレタンを製造する方法である。
二段法によるポリウレタン製造は以下に記載の(1)〜(3)のいずれかの方法によって行うことができる。
(1) 溶媒を用いずに、まず直接ポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールを含むポリオールを反応させてプレポリマーを合成し、そのまま以降の鎖延長反応に使用する。
(2) (1)の方法でプレポリマーを合成しその後に溶媒に溶かして、以降の鎖延長反応に使用する。
(3) 初めから溶媒を用いてポリイソシアネートとポリカーボネートポリオールを含むポリオールを反応させ、その後溶媒中で鎖延長反応を行う。
二段法におけるポリイソシアネートの使用量は、特に限定はされないが、ポリカーボネートポリオールを含むポリオールの水酸基の数を1当量とした場合のイソシアネート基の数として、下限が通常1.0、好ましくは1.05であり、上限が通常10.0、好ましくは5.0、より好ましくは3.0の範囲である。
鎖延長剤の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の当量に対して、下限が、通常0.1、好ましくは0.5、さらに好ましくは0.8であり、上限が通常5.0、好ましくは3.0、さらに好ましくは2.0の範囲である。
鎖延長反応は通常、各成分を0〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なり、特に制限はない。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に生産性が悪くなることがあり、また高すぎると副反応や得られるポリウレタンの分解が起こることがある。鎖延長反応は、減圧下で脱泡しながら行ってもよい。
触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等の1種または2種以上が挙げられ、安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ・ベ−タナフチルフェニレンジアミン、トリ(ジノニルフェニル)ホスファイト等の1種または2種以上が挙げられる。しかしながら、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施することが好ましい。
本発明に係るポリカーボネートポリオールを用いて、水系のポリウレタンエマルションを製造することも可能である。
その場合、ポリカーボネートポリオールを含むポリオールとポリイソシアネートを反応させてプレポリマーを製造する際に、少なくとも1個の親水性官能基と少なくとも2個のイソシアネート反応性の基を有する化合物を混合してプレポリマーを形成し、これを鎖延長剤と反応させてポリウレタンエマルションとする。
このようにして製造された水系ポリウレタンエマルションは、様々な用途に使用することが可能である。特に、最近は環境負荷の小さな化学品原料が求められており、有機溶剤を使用しない目的としての従来品からの代替が可能である。
本発明に係るポリカーボネートポリオールを用いて製造した本発明に係るポリウレタンには、熱安定剤、光安定剤、着色剤、充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘着防止剤、難燃剤、老化防止剤、無機フィラー等の各種の添加剤を、本発明に係るポリウレタンの特性を損なわない範囲で、添加、混合することができる。
リン化合物としては、PEP−4C、PEP−8、PEP−36、PEP−24G、HP−10(いずれも商品名:(株)アデカ製)Irgafos 168(商品名:BASFジャパン(株)製)等が挙げられる。
光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられ、具体的には「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、BASFジャパン(株)製)、「SANOL LS−2626」、「SANOL LS−765」(以上、三共社製)等が使用可能である。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料等の染料;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、マイカ等の無機顔料;およびカップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられる。
難燃剤の例としては、燐およびハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加および反応型難燃剤が挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、ポリウレタンに対し、下限が、好ましくは0.01重量%、より好ましくは0.05重量%、さらに好ましくは0.1重量%、上限は、好ましくは10重量%、より好ましくは5重量%、さらに好ましくは1重量%である。添加剤の添加量が少な過ぎるとその添加効果を十分に得ることができず、多過ぎるとポリウレタン中で析出したり、濁りを発生したりする場合がある。
本発明に係るポリウレタンを使用してフィルムを製造する場合、そのフィルムの厚さは、通常下限が10μm、好ましくは20μm、さらに好ましくは30μm、上限は通常1,000μm、好ましくは500μm、より好ましくは100μmである。 フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、また、薄過ぎるとピンホールを生じやすかったり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向がある。
<分子量>
本発明に係るポリウレタンの分子量は、その用途に応じて適宜調整され、特に制限はないが、GPCにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)として5万〜50万、特に10万〜30万であることが好ましい。分子量が前記下限よりも小さいと十分な強度や硬度が得られないことがあり、前記上限よりも大きいと加工性等ハンドリング性が悪化する傾向がある。
本発明に係るポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度55%で測定した引張破断伸度の下限が通常50%、好ましくは100%、さらに好ましくは150%であり、上限は通常400%、好ましくは350%、さらに好ましくは300%である。引張破断伸度が前記下限未満では加工性等ハンドリング性が悪化する傾向があり、前記上限を超えると十分な強度、硬度が得られない場合がある。
本発明に係るポリウレタンは、幅10mm、長さ100mm、厚み約50〜100μmの短冊状のサンプルに対して、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃、相対湿度55%で測定した100%モジュラスの下限が通常10MPa以上、好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上であり、上限は通常200MPa以下、好ましくは150MPa以下、さらに好ましくは100MPa以下である。100%モジュラスが前記下限未満では強度や硬度が不足する場合があり、前記上限を超えると加工性等ハンドリング性が悪化する傾向がある。
本発明に係るポリウレタンは、厚さ100μmのポリウレタンフィルムを形成し、幅10mmの短冊形に切り取り、50mmの幅で基準線を記したサンプルを気温23℃、相対湿度55%RHの恒温恒湿の状態にて、長さ方向に1MPaの荷重を加え、16時間経過後に荷重を外したときの基準線間の長さ(Lmm)を測定して求めたクリープ特性((L−50)/50)×100(%))の下限は特に制限はなく小さいほど好ましいが通常5%、好ましくは2%、より好ましくは1%で、上限が通常20%、好ましくは10%である。このクリープ特性が前記下限未満ではポリウレタンの粘度が高く加工時の負荷が大きくなる場合があり、前記上限を超えると強度や硬度が不足する場合がある。
本発明に係るポリウレタンは、剛性に富む構造(A)を有することに起因して高い硬度が得られるという特徴がある。具体的には例えば、厚さ約50〜100μmのフィルム状のサンプルを試験機(II形、学振形)に固定し、JIS L0849(2004)に準じて4.9Nの荷重にて摩擦試験を500往復行った際の重量減少割合({(試験前のサンプル重量−試験後のサンプル重量)/(試験前のサンプル重量)}×100)で表記すると、通常その重量減少割合の上限は2%、好ましくは1.5%、さらに好ましくは1.0%である。一方、この重量減少割合の下限は、通常0.1%、好ましくは0.05%、さらに好ましくは0.01%である。
本発明に係るポリウレタンは、多様な特性を発現させることができ、フォーム、エラストマー、塗料、繊維、接着剤、床材、シーラント、医療用材料、人工皮革、コーティング剤、水系ポリウレタン塗料等に広く用いることができる。
本発明に係るポリウレタンは、注型ポリウレタンエラストマーに使用できる。その具体的用途として、圧延ロール、製紙ロール、事務機器、プレテンションロール等のロール類、フォークリフト、自動車車両ニュートラム、台車、運搬車等のソリッドタイヤ、キャスター等、工業製品として、コンベアベルトアイドラー、ガイドロール、プーリー、鋼管ライニング、鉱石用ラバースクリーン、ギア類、コネクションリング、ライナー、ポンプのインペラー、サイクロンコーン、サイクロンライナー等がある。また、OA機器のベルト、紙送りロール、複写用クリーニングブレード、スノープラウ、歯付ベルト、サーフローラー等にも使用できる。
本発明に係るポリウレタンは、湿気硬化型の一液型塗料、ブロックイソシアネート系溶媒塗料、アルキド樹脂塗料、ウレタン変性合成樹脂塗料、紫外線硬化型塗料、水系ウレタン塗料等の成分として使用可能であり、例えば、プラスチックバンパー用塗料、ストリッパブルペイント、磁気テープ用コーティング剤、床タイル、床材、紙、木目印刷フィルム等のオーバープリントワニス、木材用ワニス、高加工用コイルコート、光ファイバー保護コーティング、ソルダーレジスト、金属印刷用トップコート、蒸着用ベースコート、食品缶用ホワイトコート等に適用できる。
本発明に係るポリウレタンを接着剤として使用する場合の形態としては、特に制限はなく、得られたポリウレタンを溶剤に溶解して溶剤型接着剤として使用することも、溶剤を用いずにホットメルト型接着剤として使用することも可能である。
本発明に係るポリウレタンは、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
本発明に係るポリウレタンを弾性繊維として使用する場合のその繊維化の方法は、紡糸できる方法であれば特に制限なく実施できる。例えば、一旦ペレット化した後、溶融させ、直接紡糸口金を通して紡糸する溶融紡糸方法が採用できる。本発明に係るポリウレタンから弾性繊維を溶融紡糸により得る場合、紡糸温度は好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以上235℃以下である。
本発明に係るポリウレタンは、医療用材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、また、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
以下において、各物性値の評価方法は下記の通りである。
[評価方法:ポリカーボネートポリオール]
重合による留出物中の1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルカーボネート、イソソルビドの濃度は、CDCl3に溶解して400MHz 1H−NMR(日本電子(株)製AL−400)を測定し、各成分のシグナルの積分値より算出した。
生成物をCDCl3に溶解して400MHz 1H−NMR(日本電子(株)製AL−400)を測定し、各成分のシグナルの積分値より算出した。その際の検出限界は、サンプル全体の重量に対するジフェニルカーボネートまたはジヒドロキシ化合物またはネオペンチルカーボネートまたはフェノールの重量として100ppmである。またフェノキシド末端の割合は、フェノキシド末端の1プロトン分の積分値と末端全体の1プロトン分の積分値の比から求めており、フェノキシド末端の検出限界は末端全体に対して0.05%である。また、エーテル結合の割合は、エーテル結合のα位の炭素に結合している1プロトン分の積分値と、カーボネート結合のα位の炭素に結合した1プロトン分の積分値の和に対するエーテル結合のα位の炭素に結合している1プロトン分の積分値で求めており、エーテル結合の検出限界は0.05%である。
NMRチャート上の下記ケミカルシフトの積分値からそれぞれの比率を求める。なお、ケミカルシフト値は組成により若干異なる場合があるので、その場合は積分値の取り方を適宜変更する場合がある。
δ5.22〜4.98ppmの積分値=a
δ4.79〜4.61ppmの積分値=b
δ4.61〜4.47ppmの積分値=c
δ3.68〜3.51ppmの積分値=d
δ2.73〜2.66ppmの積分値=e
δ1.52〜1.30ppmの積分値=f
ISBに由来する鎖末端の構造は2種存在し、それぞれを「ISB末端1」、「ISB末端2」とする。また末端以外のポリカーボネートポリオール中のISB由来構造部分を「ISB中」とする。同様に16HDに関して、「16HD末端」「16HD中」とする。それぞれのプロトン数を考慮し、以下の式によりそれぞれの数を計算する。
(ISB)末端1=b−e
(ISB)中=c−(ISB)末端1
(ISB)末端2=a−(ISB)末端1−(ISB)中×2
(16HD)末端=(d−e−(ISB)末端1)÷2
(16HD)中=(f−(16HD)末端×4)÷4
前記の値から((ISB)中+(ISB)末端1+(ISB)末端2)と((16HD)中+(16HD)末端)の比率を比べて全体比を求めた。
<NPG/16HD>
NMRチャート上の下記ケミカルシフトの積分値からそれぞれの比率を求める。なお、ケミカルシフト値は組成により若干異なる場合があるので、その場合は積分値の取り方を適宜変更する場合がある。
δ4.25〜4.05ppmの積分値=g
δ4.05〜3.87ppmの積分値=h
δ3.70〜3.57ppmの積分値=i
δ3.41〜3.30ppmの積分値=j
δ1.15〜1.12ppmの積分値=k
NPGに由来する末端を「NPG末端」とする。また末端以外のポリカーボネートポリオール中のNPG由来構造部分を「NPG中」とする。同様に16HDに関して、「16HD末端」「16HD中」とする。それぞれのプロトン数を考慮し、以下の式によりそれぞれの数を計算する。
NPG末端=j÷2
NPG中=(h−j)÷4
16HD末端=i÷2
16HD中=(g−16HD末端×2−k÷6×4)÷4
前記の値から(NPG中+NPG末端)と(16HD中+16HD末端)の比率を比べて全体比を求めた。
数平均分子量(Mn)は、上記のポリカーボネート中の各ジヒドロキシ化合物に由来する末端のプロトン数、末端以外の部位のプロトン数と各部位の分子量より計算した。
JIS K0071−1(1998)に準拠して、比色管に入れた標準液と比較して測定した。
JIS K1557−1(2007)に記載の手法により測定、算出した。
三菱化学株式会社製積分球式濁度計PT−200にて、10mmのセルにポリカーボネートジオールの50%塩化メチレン溶液を入れ、予め装置に設定されているポリスチレン検量線を使用して測定した。
<触媒量>
ポリカーボネートポリオール生成物を約0.1g測り取り、4mLのアセトニトリルに溶解した後、20mLの純水を加えてポリカーボネートポリオールを析出させ、析出したポリカーボネートポリオールをろ過にて除去した。そしてろ過後の溶液を純水で所定濃度まで希釈し、金属イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで分析した。なお、溶媒として使用するアセトニトリルの金属イオン濃度をブランク値として測定し、溶媒分の金属イオン濃度を差し引いた値をポリカーボネートポリオールの触媒金属イオン濃度とした。測定条件は以下の表1に示す通りである。分析結果と予め作成した検量線を使用し、マグネシウム濃度を求めた。
重合反応終了後のろ過はADVANTEC製のステンレスハウジング:1TSタイプ、ステンレスメッシュカートリッジフィルター:TMC−2−STCHを使用して行った。
直径50mm、高さ200mm、面積0.0314m2の内部コンデンサー、ジャケット付きの柴田科学株式会社製、分子蒸留装置MS−300特型を使用した。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD、沸点253℃)12.13kg、イソソルビド(ISB)15.00kg、ジフェニルカーボネート32.87kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液11.0mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物2.2g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が130℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を6.65kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を139℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、120分かけて圧力を4.00kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させつつ、25分間反応を継続した。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は138〜146℃であった。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには170℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を4.00kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は160℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、160℃、0.40kPaにて15分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は30.44kg(収率97.8%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明固体であり、分子量900、APHA50、全体比は16HD/ISB=50/50、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は2.15重量%、フェノール含有量は0.78重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は2.5重量%であった。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)12.33kg、イソソルビド(ISB)15.25kg、ジフェニルカーボネート32.43kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液2.2mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.44g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が146℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を18.7kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を165℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、120分かけて圧力を9.33kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は167〜179℃であった。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには180℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を9.33kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は167℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、160℃、0.40kPaにて35分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は30.4kg(収率96.3%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明液体であり、分子量770、APHA50、全体比は16HD/ISB=50/50、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は4.17重量%、フェノール含有量は0.64重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は4.4重量%であった。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)14.52kg、イソソルビド(ISB)17.95kg、ジフェニルカーボネート37.53kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液5.3mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物1.06g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が151℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を17.3kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、115分かけて圧力を9.66kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は168〜179℃であった。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには175℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を9.33kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は164℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、160℃、0.40kPaにて75分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は35.6kg(収率96.2%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明液体であり、分子量790、APHA40、全体比は16HD/ISB=52/48、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は7.35重量%、フェノール含有量は0.30重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は4.0重量%であった。
(反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)14.52kg、イソソルビド(ISB)17.95kg、ジフェニルカーボネート37.53kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液2.6mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.52g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が145℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を17.3kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、115分かけて圧力を9.00kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。さらに160℃、0.40kPaにて60分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は35.5kg(収率95.8%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明液体であり、分子量770、APHA50、全体比は16HD/ISB=51/49、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は5.67重量%、フェノール含有量は0.65重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は4.7重量%であった。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)14.52kg、イソソルビド(ISB)17.95kg、ジフェニルカーボネート37.53kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液0.53mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.11g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が171℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を10.0kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を180℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、65分かけて圧力を6.67kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は188〜195℃であった。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには190℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を6.67kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は182℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、185℃、0.10kPaにて55分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は28.4kg(収率86.1%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明液体であり、分子量890、APHA40、全体比は16HD/ISB=43/57、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は1.9重量%、フェノール含有量は0.12重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は15.8重量%であった。
(反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)14.52kg、イソソルビド(ISB)17.95kg、ジフェニルカーボネート37.53kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液5.3mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物1.06g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温100℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、熱媒体オイル164℃、内温が160℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を30.0kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、熱媒体オイル164℃、内温を160℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、内温が低下しないように徐々に減圧を行い、さらに副生するフェノールを留出させた。結果、900分間かけて圧力を0.4kPaまで下げた。さらに0.4kPaにて55分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は36.6kg(収率98.8%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明液体であり、分子量700、APHA300、全体比は16HD/ISB=53/47、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は6.0重量%、フェノール含有量は0.45重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は0.4重量%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、留出液トラップ、コールドトラップ、真空ポンプを備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール(16HD)707.3g、イソソルビド(ISB):777.7g、ジフェニルカーボネート:1843.4g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:13.2mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:111mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を5.33kPaまで下げた。その後、内温130℃にて65分間で5.33kPaから4.00kPaまで下げ、その後4.00kPaにて80分間、副生するフェノールを留出させながら反応した。そして、140分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、内温を160℃まで上げ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応しポリカーボネートポリールを得た。この結果を下記表2に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は1641.4g(収率96.5%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明固体であり、分子量930、APHA60、全体比は16HD/ISB=53/47、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドの含有量は3.78重量%、フェノール含有量は1.14重量%で、フェノキシド末端、イソソルビド骨格以外のエーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は4.8重量%であった。
実施例1〜4および比較例1〜3の反応結果を表2にまとめて示す。
(第1段階の反応)
原料に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)11.92kg、ネオペンチルグリコール(NPG、沸点210℃)15.76kg、ジフェニルカーボネート42.32kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液13.5mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物2.7g)を使用し、内温105℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認してから攪拌を開始した以外は実施例1と同様な方法にて反応を行った。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は141〜147℃であった。
実施例1と同様な方法にて反応を行った。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は31.7kg(収率96.6%)であった。この結果を下記表3に示す。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量810、APHA30、全体比は16HD/NPG=43/57、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は2.15重量%、副生物のネオペンチルカーボネートの含有量は1.79重量%、フェノール含有量は1.79重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は7.6重量%であった。
(第1段階の反応)
原料に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)11.92kg、ネオペンチルグリコール(NPG)15.76kg、ジフェニルカーボネート42.32kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液13.5mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物2.7g)を使用し、内温105℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認してから攪拌を開始し、還流器に蒸気を流さなかった以外は実施例1と同様な方法にて反応を行った。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は136〜146℃であった。
実施例1と同様な方法にて反応を行った。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は31.2kg(収率95.1%)であった。この結果を下記表3に示す。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量860、APHA20、全体比は16HD/NPG=44/56、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.99重量%、副生物のネオペンチルカーボネートの含有量は2.41重量%、フェノール含有量は0.62重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は8.2重量%であった。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)11.19kg、ネオペンチルグリコール(NPG)14.80kg、ジフェニルカーボネート44.01kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液2.5mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.50g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温105℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が131℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を18.0kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、110分かけて圧力を8.83kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は169〜176℃であった。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには180℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を8.00kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は170℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、160℃、0.40kPaにて145分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表3に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は27.9kg(収率89.0%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量1960、APHA30、全体比は16HD/NPG=45/55、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.17重量%、副生物のネオペンチルカーボネート含有量は2.81重量%、フェノール含有量は0.09重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は8.9重量%であった。
(第1段階の反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)10.90kg、ネオペンチルグリコール(NPG)14.41kg、ジフェニルカーボネート44.69kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液2.5mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.50g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には蒸気を流さず、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温105℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が147℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を18.7kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、120分かけて圧力を9.33kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させつつ、5分間反応を継続した。その際の重合反応槽の熱媒体オイルの温度は168〜174℃であった。この段階での留出量は理論フェノール生成量の80%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、窒素雰囲気下、第1段階で得られた反応液を移送した。重合反応槽ジャケットには201℃の熱媒体オイルを循環させ、還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。第1段階の反応液を移送後、5分間かけて圧力を9.33kPaまで下げた。その段階で反応液の温度は173℃に到達しており、副生したフェノールが留出し始めた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。その後、160℃、0.40kPaにて35分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表3に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は28.9kg(収率94.0%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量2010、APHA20、全体比は16HD/NPG=44/56、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.15重量%、副生物のネオペンチルカーボネート含有量は3.92重量%、フェノール含有量は0.24重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は5.1重量%であった。
(反応)
熱媒体ジャケット、攪拌機、還流器、コンデンサー、留出液タンク、コールドトラップ、真空ポンプを具備した180Lの重合反応槽に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)10.95kg、ネオペンチルグリコール(NPG)14.48kg、ジフェニルカーボネート44.56kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液5.0mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物1.00g)を入れ、窒素ガス置換した。還流器には約100℃の蒸気を冷媒として流し、コンデンサーには約45℃の温水を冷媒として流した。まず、重合反応槽のジャケットにオイルを循環して内容物を加熱溶解し、内温110℃にて内容物がほぼ完全に溶解したのを確認し攪拌を開始した。その後、内温が152℃に到達した時点で、5分間かけて圧力を17.3kPaまで下げ、副生するフェノールを留出させ始めた。その後、内温を160℃に保ち副生するフェノールを留出させながら、90分かけて圧力を10.0kPaまで下げ、さらに副生するフェノールを留出させた。その後、60分かけて圧力を0.40kPaまで下げつつ、フェノールおよび未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。さらに160℃、0.40kPaにて150分間反応を継続し、フィルターによりろ過を行いポリカーボネートポリオールを得た。この結果を下記表3に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は27.7kg(収率89.8%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量1930、APHA30、全体比は16HD/NPG=45/55、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.15重量%、副生物のネオペンチルカーボネート含有量は3.13重量%、フェノール含有量は0.05重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は7.6重量%であった。
(反応)
原料に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)11.31kg、ネオペンチルグリコール(NPG)14.95kg、ジフェニルカーボネート43.74kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液0.51mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.10g)を用い、内温110℃にて内容物がほぼ完全に溶解した以外は比較例1と同様な方法で反応を行った。その際の熱媒体温度、内温、結果を下記表3に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は25.5kg(収率80.8%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量2830、APHA30、全体比は16HD/NPG=49/51、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.40重量%、副生物のネオペンチルカーボネート含有量は4.01重量%、フェノール含有量は0.32重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は18.5重量%であった。
(反応)
原料に、1,6−ヘキサンジオール(16HD)10.74kg、ネオペンチルグリコール(NPG)14.20kg、ジフェニルカーボネート45.06kg、酢酸マグネシウム4水和物水溶液4.9mL(濃度:200g/L、酢酸マグネシウム4水和物0.98g)を用い、内温110℃にて内容物がほぼ完全に溶解した以外は比較例2と同様な方法で反応を行った。この結果を下記表3に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は29.9kg(収率98.3%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量2030、APHA250、全体比は16HD/NPG=42/58、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.16重量%、副生物のネオペンチルカーボネート含有量は2.91重量%、フェノール含有量は0.74重量%で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は0.6重量%であった。
熱媒体ジャケット、攪拌機、留出液トラップ、コールドトラップ、真空ポンプを備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに1,6−ヘキサンジオール(16HD):424.4g、ネオペンチルグリコール(NPG):374.0g、ジフェニルカーボネート:1201.6g、酢酸マグネシウム4水和物水溶液:9.2mL(濃度:8.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:77.3mg)を入れ、窒素ガス置換した。まず、内温130℃まで昇温して内容物を加熱溶解させた。昇温・溶解したら5分間で圧力を6.00kPaまで下げ、130℃、6.00kPaで330分間反応した。そして、150分かけて圧力を4.0kPaまで下げた後、さらに30分かけて圧力を0.40kPaまで下げた。その後、90分間かけて温度を160℃まで上げつつ、フェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を留出させ除きながら反応した。この結果を下記表3に示す。得られたポリカーボネートポリオール生成物の収量は819.4g(収率86.8%)であった。
得られたポリカーボネートポリオール生成物の性状は常温で透明粘性液体であり、分子量850、APHA20、全体比は16HD/NPG=55/45、ジヒドロキシ化合物であるネオペンチルグリコールの含有量は0.03重量%、副生物のネオペンチルカーボネート含有量は0.28重量%、フェノール含有量は0.01重量%以下で、フェノキシド末端、エーテル結合は検出されなかった。また、残存ジフェニルカーボネートは定量限界以下(0.01重量%以下)であった。留出したモノマー量は13.1重量%であった。
実施例5〜9および比較例4〜6の反応結果を表3にまとめて示す。
実施例2で製造したポリカーボネートポリオールを薄膜蒸留した。薄膜蒸留後の水酸基価は143.0であった。そのポリカーボネートポリオールを予め加温し(例えば80℃)、500mLセパラブルフラスコに100.9gを加えた。さらに1,4−ブタンジオール:6.26gを添加し、ジオクチルスズジネオデカノエート:0.027gを滴下した。続いてジメチルアセトアミド(DMAc)を加えて、55℃設定のオイルバスフラスコを漬けて溶解させた。約60rpmで攪拌を開始し、次いでジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を常温・固体で48.7g添加した。その後、GPCで測定する重量平均分子量で15万を超える程度までMDIを徐々に3.0gまで添加し、固形分濃度32重量%のポリウレタン溶液を得た。このポリウレタン溶液を固形分濃度30重量%に希釈し、ドクターブレードにてニトフロンシート上に均一膜厚に塗布し、乾燥機で乾燥しポリウレタンフィルムを得た。
実施例7で製造したポリカーボネートポリオールを薄膜蒸留した。薄膜蒸留後の水酸基価は56.5であった。
そのポリカーボネートポリオールを予め加温し(例えば80℃)、500mLセパラブルフラスコに112.7gを加えた。さらに1,4−ブタンジオール:5.13gを添加し、ジオクチルスズジネオデカノエート:0.057gを滴下した。続いてジメチルホルムアミド(DMF)を加えて、55℃設定のオイルバスフラスコを漬けて溶解させた。約60rpmで攪拌を開始し次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を常温・固体で28.6gを添加した。その後、GPCで測定する重量平均分子量で15万を超える程度までMDIを徐々に0.1gまで添加し、固形分濃度36重量%のポリウレタン溶液を得た。このポリウレタン溶液を固形分濃度30重量%に希釈し、ドクターブレードにてニトフロンシート上に均一膜厚に塗布し、乾燥機で乾燥しポリウレタンフィルムを得た。
Claims (16)
- 下記式(A)で表される繰り返し単位を有し、且つ水酸基価が10mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるポリカーボネートポリオールの製造方法であって、
ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを、触媒の存在下でエステル交換反応により重縮合反応する工程を含み、
エステル交換反応によって副生するモノヒドロキシ化合物を留出する反応器の少なくとも1つが、熱媒体を用いて反応器を加熱するための加熱手段および還流冷却器を具備した内容積20L以上の反応器であり、該熱媒体の温度と該反応器中の反応液の温度差が少なくとも5℃以上であり、且つ全反応段階で留出するモノマーの合計量が、原料モノマーの総量に対して15重量%以下である、ポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物が、下記式(B)で表される構造を有するジヒドロキシ化合物、および下記式(C)で表されるジヒドロキシ化合物から選ばれる少なくとも1つのジヒドロキシ化合物を含有する、請求項1に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物のうち、少なくとも1種のジヒドロキシ化合物の大気圧での沸点が300℃以下である、請求項1または請求項2に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記重縮合反応を、複数の反応器を用いて多段階で行う、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記触媒として、周期表第2族金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を有する化合物を、その全金属原子の合計量として、原料として用いた全ジヒドロキシ化合物1molあたり5μmol以上500μmol以下用いる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記触媒が、マグネシウム化合物およびカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物である、請求項5に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記炭酸ジエステルが、ジアリールカーボネートである、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記エステル交換反応におけるいずれか1つの反応段階における反応液の最高温度が、190℃未満である、請求項1から請求項7の何れか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記エステル交換反応におけるいずれか1つの反応段階で使用する反応器に用いられる熱媒体の最高温度が、240℃未満である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 前記エステル交換反応において、
1)炭酸ジエステルから副生するモノヒドロキシ化合物の留出量が、モノヒドロキシ化合物の全理論生成量の50%未満の場合には、
a)温度110℃以上130℃未満では圧力10kPa〜4kPa、
b)温度130℃以上150℃未満では圧力14kPa〜6kPa、
c)温度150℃以上170℃未満では圧力20kPa〜8kPa、
d)温度170℃以上190℃未満では圧力30kPa〜10kPa、
であって、
2)炭酸ジエステルから副生するモノヒドロキシ化合物の留出量がモノヒドロキシ化合物の全理論生成量の50%以上の場合には、
a)温度110℃以上130℃未満では圧力6kPa〜0.01kPa、
b)温度130℃以上150℃未満では圧力8kPa〜0.01kPa
c)温度150℃以上170℃未満では圧力12kPa〜0.01kPa
d)温度170℃以上190℃未満では圧力16kPa〜0.01kPa
である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。 - 前記ジヒドロキシ化合物が、脂肪族ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のジヒドロキシ化合物を含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 得られるポリカーボネートポリオールの数平均分子量が、250以上5000以下である、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 得られるポリカーボネートポリオールの、JIS−K0071−1(1998)に準拠して測定したハーゼン色数が、100以下である、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 得られるポリカーボネートポリオールの、塩化メチレンで50%濃度に希釈した場合の濁度が、1.0ppm以下である、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法。
- 請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法によって得られるポリカーボネートポリオールを用いて得られるポリウレタン。
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