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JP2014132313A - 偏光板の製造方法、偏光板、積層光学部材、および画像表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法、偏光板、積層光学部材、および画像表示装置 Download PDF

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JP2014132313A
JP2014132313A JP2013000550A JP2013000550A JP2014132313A JP 2014132313 A JP2014132313 A JP 2014132313A JP 2013000550 A JP2013000550 A JP 2013000550A JP 2013000550 A JP2013000550 A JP 2013000550A JP 2014132313 A JP2014132313 A JP 2014132313A
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智久 前田
Kiyoshi Muto
清 武藤
Keiichi Shirakawa
慶一 白川
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】取扱いが容易で、薄肉化および軽量化が実現され、且つ外観の良い偏光板の製造方法、偏光板、積層光学部材、及び画像表示装置を提供する
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色した偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する偏光板の製造方法であって、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する際に、保護フィルムのうち一方または両方の保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みを43μm以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に保護フィルムが積層された偏光板の製造方法、偏光板、積層光学部材、および画像表示装置に関する。
偏光板は、液晶表示装置における偏光の供給素子として、また偏光の検出素子として広く用いられている。
偏光板は、通常、ポリビニルアルコールからなる偏光フィルム表面に、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルムなどからなる保護フィルムを接着したものが使用されている。
近年、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などモバイル機器に適用される液晶表示装置への展開、さらには大型テレビ用液晶表示装置への展開などに伴い、偏光板には薄肉軽量化が求められている。
一般的に、偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂にヨウ素等に代表される二色性染料を含浸させ、高倍率にて一軸延伸することにより製造されている。このため、偏光フィルムは延伸方向に平行な方向に裂け易く、偏光フィルム単独では取扱いが困難であった。したがって、通常は、偏光フィルム製造直後に、接着剤を用いて、偏光フィルムの少なくとも片面に、保護フィルムを積層した偏光板としている。
ところが、接着剤層を介して薄い保護フィルムを両面に貼合する場合においては、外観などの点から、保護フィルムを薄くすることが困難であった。
偏光板の製造方法として、特許文献1、2には、偏光フィルムの片面に保護フィルムを貼合した偏光板を製造する方法が開示されている。
一方、偏光板に各種の特性を付与するために、両面に保護フィルム(例えば、片面が位相差板)を貼合することが要望されている。
特開2007−292872号公報 特開2009−181042号公報
しかしながら、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合して、かつ得られた偏光板の総厚みを薄くする場合は、保護フィルム一枚当たりの厚みが薄いため、上記貼合時に保護フィルムに変形が生じて偏光板の外観が悪くなりやすいため、製造時の取扱いが困難であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、取扱いが容易で、薄肉化および軽量化が実現され、且つ外観の良い偏光板の製造方法、偏光板、積層光学部材、及び画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、適度な密着性を有し、必要に応じて剥離することが可能なフィルムを保護フィルムの外面に積層し、その保護フィルムを偏光フィルムに貼合し、製造時(特に貼合時)に一時的に厚みを増大させることにより、上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための本発明に係る偏光板の製造方法、偏光板、積層光学部材および画像表示装置は、以下の構成からなる。
(1)ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色した偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する偏光板の製造方法であって、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する際に、前記保護フィルムのうち一方または両方の保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、前記保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みを43μm以上とすることを特徴とする偏光板の製造方法。
(2)前記保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、次いで、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する前記(1)に記載の偏光板の製造方法。
(3)前記偏光フィルムと保護フィルムとの貼合および保護フィルムと剥離可能なフィルムとの積層または貼合を同時に行なう前記(1)に記載の偏光板の製造方法。
(4)偏光フィルムと保護フィルムとの貼合は、ニップロールにより行なわれる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法で得られた偏光板。
(6)前記(5)記載の偏光板が少なくとも1枚用いられていることを特徴とする積層光学部材。
(7)前記(5)記載の偏光板または前記(6)記載の積層光学部材が用いられていることを特徴とする画像表示装置。
剥離可能なフィルムは、たとえば偏光板をロールに巻き取る前、偏光板に粘着剤層を形成する場合など、必要がなくなった段階で剥離する。
本発明によれば、取扱いが容易で、薄肉化および軽量化が実現され、且つ外観の良い偏光板を製造でき、しかも、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面に異なる種類の保護フィルムを積層できるので、片面に保護フィルムが積層されている偏光板に比べ、その用途に応じて要求される各種の特性を付与できる。
本発明の偏光板の製造方法は、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する際に、保護フィルムのうち一方または両方の保護フィルムの、偏光フィルムに貼合される面とは反対側の面(外面)に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みを43μm以上とし、偏光フィルムの両面に保護フィルムが貼合された所定の厚みの偏光板を製造する方法である。
(偏光フィルム)
本発明における偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系樹脂は、通常、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常約85モル%以上、好ましくは約90モル%以上、より好ましくは約99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体を挙げることができる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。上記酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体の具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常約1000〜10000程度、好ましくは約1500〜5000程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。通常、偏光フィルム製造における開始材料として、厚さが約5μm〜100μm、好ましくは約10μm〜80μmの未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが用いられる。フィルムの幅は、工業的には、約1500mm〜4000mmが実用的であるが、これに限定されるものではない。この未延伸フィルムを、膨潤処理、染色処理、ホウ酸処理、水洗処理の順に処理し、ホウ酸処理またはそれより前の工程で一軸延伸を施し、最後に乾燥して得られるポリビニルアルコール系偏光フィルムの厚みは、たとえば約1μm〜40μm程度である。
本発明における偏光フィルムの作製方法は特に限定されず、たとえば、(i)上記未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、空気あるいは不活性ガス中で一軸延伸後、膨潤処理、二色性色素による染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に処理し、最後に乾燥を行なう方法、(ii)上記未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理、二色性色素による染色処理、ホウ酸処理および水洗処理の順に処理し、ホウ酸処理工程および/またはその前の工程で湿式にて一軸延伸を行ない、最後に乾燥を行なう方法などが採用できる。
上記(i)および(ii)のいずれの方法においても、一軸延伸は、1つの工程で行なってもよいし、2つ以上の工程で行なってもよいが、複数の工程で行なうことが好ましい。延伸方法は、公知の方法を採用することができ、たとえばフィルムを搬送する2つのニップロール間に周速差をつけて延伸を行なうロール間延伸法;特許第2731813号公報に記載されるような熱ロール延伸法;テンター延伸法などが挙げられる。また、基本的に工程の順序は、上記の通りであるが、処理浴の数や、処理条件などに制約はない。また、上記(i)および(ii)の方法に記載されていない工程を必要に応じて付加してもよい。かかる工程の例としては、ホウ酸処理後に、ホウ酸を含まないヨウ化物水溶液による浸漬処理(ヨウ化物処理)またはホウ酸を含まない塩化亜鉛等を含有する水溶液による浸漬処理(亜鉛処理)工程等が挙げられる。
上記膨潤処理工程は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、次工程での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で行なわれる。処理条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつポリビニルアルコール系樹脂フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。上記(i)の方法のように、あらかじめ気体中で延伸したフィルムを膨潤させる場合には、たとえば約15℃〜70℃、好ましくは約30℃〜60℃の水または水溶液にフィルムを浸漬することにより膨潤処理が行なわれる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、好ましくは約60秒〜240秒程度である。上記(ii)の方法のように、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを未延伸の状態で膨潤させる場合には、たとえば約10℃〜50℃、好ましくは約20℃〜40℃の水または水溶液にフィルムを浸漬して行なわれる。フィルムの浸漬時間は、約30秒〜300秒、好ましくは約60秒〜240秒程度である。
膨潤処理における好ましい膨潤度は、1.05〜2.5倍である。ここで、膨潤度とは、膨潤後の質量/膨潤前の質量と定義される。膨潤度が小さいと、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム中の可塑剤除去が不十分となることが多く、膨潤度が大きいと、膨潤工程の後に行なわれる染色工程にて染色ムラが発生しやすい傾向にある。
上記(ii)の方法においては、当該膨潤処理工程中に一軸延伸処理が施されてもよい。この場合、延伸倍率は、3倍以下とすることが好ましい。延伸倍率とは、延伸後の長さ/初期状態の長さと定義される(以下同じ)。ここでの延伸倍率が高いと、染色工程において染色ムラが発生しやすくなる。
膨潤処理工程では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムが幅方向に膨潤して該フィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいため、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなどの公知の拡幅装置でフィルムのシワを取り除きつつ、フィルムを搬送することが好ましい。膨潤処理浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、該膨潤処理浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Control装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用したりすることも有用である。本工程では、フィルムの走行方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、たとえば膨潤処理浴前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。また、使用する膨潤処理浴は、純水の他、ホウ酸(特開平10−153709号公報に記載)、塩化物(特開平06−281816号公報に記載)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを約0.01質量%〜10質量%の範囲で添加した水溶液も使用可能である。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの端部にキズなどがあると膨潤処理工程やそれ以降の工程で該フィルムが破断しやすいため、端部のキズなどを取り除く目的で、膨潤処理浴に入る前の該フィルムの端部をスリットしても良い。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムはその特性から水分移動が容易に生じるため該フィルム幅が変動する場合がある。該フィルム幅が著しく変動すると膨潤処理工程にてシワが入るなどの問題も生じやすくなるため、膨潤処理浴に入る前の該フィルムに乾燥処理や加湿処理を施して、所定の水分率に制御してもよい。この場合、該フィルムを使用する環境(温度・湿度)にて寸法変化小さい水分率(平衡含水率)とする事が好ましい。
上記染色処理工程は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で行なわれる。処理条件は、これらの目的が達成できる範囲で、かつポリビニルアルコール系樹脂フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、たとえば、約10℃〜45℃、好ましくは約20℃〜35℃の温度条件下、質量比でヨウ素/ヨウ化カリウム/水=約0.003〜0.2/約0.1〜10/100の濃度の水溶液を用いて、約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬処理を行なう。ヨウ化カリウムに代えて、他のヨウ化物、たとえばヨウ化亜鉛などを単独で用いてもよいし、他のヨウ化物とヨウ化カリウムとを併用してもよい。さらに、ヨウ化物以外の化合物、たとえばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。なお、ホウ酸を添加する場合の染色処理は、ヨウ素を含む点で下記のホウ酸処理と区別される。水100質量部に対し、ヨウ素を約0.003質量部以上含んでいるものであれば染色処理浴とみなすことができる。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合には、たとえば約20℃〜80℃、好ましくは約30℃〜70℃の温度条件下、質量比で二色性染料/水=約0.001〜0.1/100の濃度の水溶液を用いて、約30秒〜600秒、好ましくは約60秒〜300秒浸漬することにより染色処理を行なう。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを含有していてもよく、たとえば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。二色性染料は単独でもよいし、2種類以上の二色性染料を併用することもできる。
上記(ii)の方法においては、当該染色処理工程中に一軸延伸処理を施してもよい。一軸延伸は、染色処理浴前後のニップロールに周速差を持たせるなどの方法で行なわれる。また、膨潤処理工程での延伸処理と同様に、拡幅ロール(エキスパンダーロール)、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、染色処理浴中および/または浴出入り口に設置することもできる。
上記ホウ酸処理工程は、概して、水100質量部に対してホウ酸を約1〜10質量部含有する水溶液に、二色性色素で染色したポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより行なわれる。二色性色素がヨウ素の場合、水100質量部に対して、ヨウ化物を約1〜30質量部含有させることが好ましい。ヨウ化物としては、たとえばヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。また、ヨウ化物以外の化合物、たとえば塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ジルコニウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウムなどを共存させてもよい。
ここで、ホウ酸処理工程は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等のために実施される。架橋による耐水化のためにホウ酸処理が行なわれる場合には、必要に応じて、ホウ酸とともに、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤も使用することができる。なお、耐水化のためのホウ酸処理を、耐水化処理、架橋処理、固定化処理などの名称で呼称する場合もある。また、色相調整のためのホウ酸処理を、補色処理、再染色処理などの名称で呼称する場合もある。
ホウ酸処理工程において、耐水化のためのホウ酸処理と色相調整のためのホウ酸処理とは特に区別されるものではないが、その目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更することが好ましい。たとえば、上記(ii)の方法のように、未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理、染色処理した後、ホウ酸処理を行なう場合であって、ホウ酸処理が架橋による耐水化を目的としている場合には、水100質量部に対してホウ酸を約3〜10質量部、ヨウ化物を約1〜20質量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約50℃〜70℃、好ましくは約55℃〜65℃の温度で行なわれる。浸漬時間は、通常、約30〜600秒程度、好ましくは約60〜420秒、より好ましくは約90〜300秒である。また、上記(i)の方法のように、膨潤処理、染色処理および延伸処理が施されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、架橋による耐水化を目的としてホウ酸処理する場合、ホウ酸処理浴の温度は、通常、約50℃〜85℃、好ましくは約55℃〜80℃とするのがよい。その他は、上述した未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤処理、染色処理した後、ホウ酸処理を行なう場合と同様に行なえばよい。
耐水化のためのホウ酸処理の後、色相調整のためのホウ酸処理を行なうようにしてもよい。たとえば、二色性染料がヨウ素の場合、耐水化のためのホウ酸処理として、水100質量部に対してホウ酸を約1〜5質量部、ヨウ化物を約3〜30質量部含有するホウ酸処理浴を使用し、通常、約10℃〜45℃の温度でホウ酸処理が行なわれる。浸漬時間は、通常、約3〜300秒程度、好ましくは約10〜240秒である。続く色相調整のためのホウ酸処理は、耐水化のためのホウ酸処理に比べて、通常、低いホウ酸濃度、高いヨウ化物濃度、低い温度で行なわれる。
ホウ酸処理工程は、単一の工程からなっていてもよく、複数の工程からなっていてもよいが、通常、2〜5の工程で行なわれることが多い。この場合、各工程で使用する各ホウ酸処理浴の水溶液組成、温度は、適宜調整すればよく、上記の範囲内で、同じであっても異なっていてもよい。上記耐水化のためのホウ酸処理、色相調整のためのホウ酸処理をそれぞれ複数の工程で行なってもよい。
なお、ホウ酸処理工程中に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸が行なわれてもよい。この場合、ホウ酸処理工程の前に(たとえば染色処理工程)部分的な延伸処理があらかじめ行なわれていてもよいし、行なわれていなくてもよい。最終的な積算延伸倍率は、約3〜7倍、好ましくは約3.5〜6.5倍である。ここでいう積算延伸倍率とは、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの長さ方向の基準長さが、全ての延伸処理終了後のフィルムにおいてどれだけの長さになったかを意味し、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにおいて1mであった部分が全ての延伸処理終了後のフィルムにおいて5mになっていれば、そのときの積算延伸倍率は5倍となる。
上記ホウ酸処理工程の後、水洗処理が行なわれる。水洗処理は、たとえば、耐水化および/または色相調整のためにホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬、水をシャワーとして噴霧、あるいは浸漬と噴霧を併用することによって行なわれる。水洗処理における水の温度は、通常、約2〜40℃程度であり、浸漬時間は約2〜120秒程度であるのがよい。
ここで、延伸処理後のそれぞれの工程において、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの張力がそれぞれ実質的に一定になるように張力制御を行なってもよい。具体的には、染色処理工程で延伸を終了した場合、以後のホウ酸処理工程および水洗処理工程で張力制御を行なう。染色処理工程の前工程で延伸が終了している場合には、染色処理工程およびホウ酸処理工程を含む以後の工程で張力制御を行なう。ホウ酸処理工程が複数のホウ酸処理工程からなる場合には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗処理工程までのそれぞれの工程において張力制御を行なうか、最初から3段目までのホウ酸処理工程でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗処理工程までのそれぞれの工程において張力制御を行なうことが好ましいが、工業的には、最初または最初から2段目までのホウ酸処理工程でポリビニルアルコール系樹脂フィルムを延伸し、延伸処理を行なったホウ酸処理工程の次のホウ酸処理工程から水洗工程までのそれぞれの工程において張力制御を行なうことがより好ましい。なお、ホウ酸処理後に、上記したヨウ化物処理または亜鉛処理を行なう場合には、これらの工程についても張力制御を行なうことができる。
膨潤処理工程から水洗処理工程までのそれぞれの工程における張力は同じであってもよく、異なっていてもよい。張力制御におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムへの張力は、特に限定されるものではなく、単位幅当たり、約50N/m〜2000N/m、好ましくは約100N/m〜1500N/mの範囲内で適宜設定される。張力が約50N/m未満であると、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにシワなどができやすくなる。一方、張力が約2000N/mを超えると、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの破断やベアリングの磨耗による低寿命化などの問題が生じる。また、この単位幅当たりの張力は、その工程の入口付近のフィルム幅および張力検出器の張力値から算出する。なお、張力制御を行なった場合に、不可避的に若干延伸・収縮される場合があるが、本発明においては、これは延伸処理に含めない。
特に延伸前のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの厚みが40μmより薄くなる場合には、張力が高くなると該フィルムが破断しやすくなるため、極力低張力とすることが望ましく、500N/m以下とする事がさらに好ましい。
張力制御するためのニップロール、フィルムの搬送方向を制御するためのガイドロールとしては、例えば、ゴムロール、ステンレススチール製研磨ロールおよびスポンジゴムロール等を使用することができる。ゴムロールとしては、NBR等からなり、その硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約60〜90度、好ましくは約70〜80度、表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.1〜5S、好ましくは約0.5〜1Sであることが好ましい。
ステンレススチール製研磨ロールとしては、SUS304、SUS316等からなり、膜厚の均一化を図るうえから、その表面粗さが、JIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して、約0.2〜1.0Sであるものが好ましい。
スポンジゴムロールとしては、スポンジの硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで、約20〜60度、さらには約25〜50度、密度が約0.4〜0.6g/cm3、さらには約0.42〜0.57g/cm3、そして表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して、約10〜30S、さらには約15〜25Sであることが好ましい。
水洗処理工程の後、最後に乾燥処理が行なわれる。乾燥処理は、張力を少しずつ変えて多くの段数で行なう方が好ましいが、設備上の制約等から、通常、2〜5段で行なわれる。2段で行なわれる場合、前段における張力は200〜1500N/mの範囲内に、後段における張力は300〜1200N/mの範囲内に設定されることが好ましい。張力が大きくなりすぎると、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの破断が多くなり、小さくなりすぎると皺の発生が多くなり好ましくない。また、前段の乾燥温度を30〜90℃の範囲内に、後段の乾燥温度を50〜100℃の範囲内に設定することが好ましい。温度が高くなりすぎると、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの破断が多くなり、また光学特性が低下し、温度が低くなりすぎるとスジが多くなり好ましくない。乾燥処理時間は、たとえば60〜600秒とすることができ、各段における乾燥時間は同一でも異なっていてもよい。時間が長すぎると生産性の面で好ましくなく、時間が短すぎると乾燥が不十分になり好ましくない。
また、シワ発生防止の目的で乾燥処理を行う前にポリビニルアルコール系樹脂フィルムの表面に風をあてても良い。
また、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの軟化点温度のフレにより該フィルム幅が変動する場合がある。該フィルム幅が著しく変動するとシワが入るなどの問題も生じやすくなるため、一定幅となるように乾燥処理前の該フィルムの両端をスリットしてもよい。
以上の工程を経て、一軸延伸され、二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムが得られる。偏光フィルムの厚みは、通常1〜40μm程度である。
乾燥処理後の偏光フィルムの水分率は、好ましくは3〜14質量%、より好ましくは3〜10質量%、さらに好ましくは3〜8質量%である。水分率が14質量%を超えると、偏光フィルムが乾熱環境下にて収縮し易くなる。なお、偏光フィルムの水分率は、105℃乾熱下で1時間保持した前後の重量変化から求められる。
(保護フィルム)
本発明における保護フィルムは、上述した偏光フィルムの両面に接着剤層を介して積層・貼合される。保護フィルムとしては、たとえば、シクロオレフィン系樹脂フィルム;酢酸セルロース系樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム;ポリカーボネート系樹脂フィルム;アクリル系樹脂フィルム;ポリプロピレン系樹脂フィルムなど、当分野において従来より広く用いられてきているフィルムを挙げることができる。
シクロオレフィン系樹脂は、適宜の市販品、たとえばTopas(Ticona社製)、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(三井化学(株)製)などを好適に用いることができる。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、たとえばエスシーナ(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)などの予め製膜されたシクロオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を用いてもよい。
シクロオレフィン系樹脂フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものであってもよい。延伸することで、シクロオレフィン系樹脂フィルムに任意の位相差値を付与することができ、位相差値を付与した場合には、シクロオレフィン系樹脂フィルムは、ある偏光を他の特定の偏光に変換する光学機能をもった位相差板として機能する。延伸は、通常、フィルムロールを巻き出しながら連続的に行われ、加熱炉にて、ロールの進行方向、その進行方向と垂直の方向、あるいはその両方へ延伸される。加熱炉の温度は、通常、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度近傍から〔ガラス転移温度+100℃〕の範囲が、採用される。延伸の倍率は、通常1.1〜6倍、好ましくは1.1〜3.5倍である。
シクロオレフィン系樹脂フィルムが延伸されたものである場合、その延伸方向は任意であるが、フィルムの流れ方向に対して、0°、45°、90°であるものが一般的である。延伸方向が0°であるフィルムの位相差特性は完全一軸性を帯びることが多く、45°、90°であるフィルムの位相差特性は弱い二軸性を帯びることが多い。その特性は表示装置の視野角に影響してくるが、適用する液晶表示装置のタイプや複合偏光板のタイプによって適時選択すればよい。位相差値は、通常λ/4、λ/2などと呼ばれるものが良く使われ、λ/4だと90〜170nm、λ/2だと200〜300nmの位相差範囲となることが多い。
また、シクロオレフィン系樹脂フィルムは、一般に表面活性が劣るため、偏光フィルムと接着させる表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を行うのが好ましい。中でも、比較的容易に実施可能なプラズマ処理、コロナ処理が好適である。
保護フィルムに用いられ得る酢酸セルロース系樹脂は、セルロースの部分または完全酢酸エステル化物であって、たとえばトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。
このようなセルロースエステル系樹脂のフィルムとしては、適宜の市販品、たとえばKC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)などを好適に用いることができる。
また、位相差特性を付与した酢酸セルロース系樹脂フィルムも好適に用いられ、かかる位相差特性が付与された酢酸セルロース系樹脂フィルムの市販品としては、WV BZ 438(富士フィルム(株)製)、KC4FR−1(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。酢酸セルロースは、アセチルセルロースとも、セルロースアセテートとも呼ばれる。
セルロース系樹脂フィルムは、特に水系の接着剤を用いて偏光フィルムと積層させる場合には、偏光フィルムとの接着性を高めるため、ケン化処理が施される。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリの水溶液に浸漬する方法が採用できる。
上述したような保護フィルムは、ロール状態にあると、フィルム同士が接着してブロッキングを生じ易い傾向にあるので、通常はロール端部に凹凸加工を施したり、端部にリボンを挿入したり、プロテクトフィルムを貼合したりしてロール巻きとされたものが用いられる。
透明な保護フィルムの厚みは薄いものが好ましいが、薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣るものとなるが、本発明はそれを補うものである。一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったり、薄肉化への顧客要求に反するなどの問題が生じる。したがって、透明な保護フィルムの適当な厚みは、たとえば1〜50μmであり、好ましくは5〜40μm、より好ましくは10〜30μmである。
(剥離可能なフィルム)
本発明における剥離可能なフィルムは、偏光フィルムの両面に貼合される上述した保護フィルムの少なくとも一方に積層または貼合される。保護フィルムと剥離可能なフィルムとの剥離力は、0.001〜5N/25mmであり、好ましくは0.01〜2N/25mm、より好ましくは0.01〜0.5N/25mmである。剥離力が0.001N/25mm未満であると、保護フィルムと剥離可能なフィルムとの密着力が小さいため、剥離可能なフィルムが部分的な剥がれを生じることがある。また、剥離力が5N/25mmを超えると、偏光板からフィルムを剥離するのが困難となるため好ましくない。
剥離可能なフィルムとしては、例えば、それ単独で粘着性を有する自己粘着性樹脂フィルム、粘着材層を有するフィルムなどが挙げられる。ただし、粘着剤層を介在させる場合にあっては、偏光板から剥離可能なフィルムを剥離した際に、偏光板表面に粘着剤層残渣が残る場合があり得るため、自己粘着性の剥離可能なフィルムを用いて保護フィルム上に直接剥離可能なフィルムを積層させることが好ましい。
ここで、上記剥離力は、剥離可能なフィルムが積層または貼合された偏光板を25mm幅にカットし、偏光板から剥離可能なフィルムを180°方向に剥がすときの力を測定することにより求められる。剥離力の測定は、温度23±2℃、相対湿度50±5%の環境下で行なわれる。
剥離可能なフィルムは、厚みが薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣るものとなる。したがって、剥離可能なフィルムの適当な厚みは、たとえば約5〜200μm程度であり、好ましくは約10〜100μmである。
自己粘着性樹脂フィルムの材質としては、ハンドリングが容易であり、ある程度の透明性が確保され、かつ、産業上大量に生産されており安価であるという点で、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などを好ましく用いることができ、なかでも比較的柔らかい性質を有するポリエチレン系樹脂フィルムを用いるのが好ましい。また、これらの1種または2種以上を単層または多層状に成形したフィルムを剥離可能なフィルムとして用いることができる。
自己粘着性樹脂フィルムの市販品としては、たとえば、東レ(株)製のポリエチレン樹脂からなる「トレテック」(商品名)、トレデガー社製のポリエチレン樹脂からなる「ForceField1035」(商品名)などを挙げることができる。
粘着材層を有するフィルムにおける粘着剤層が形成される基材フィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などのフィルムを用いることができる。中でも、安価に入手できることから、ポリエチレン系樹脂やポリエチレンテレフタレート系樹脂のフィルムが好適に用いられる。
粘着剤層を有するフィルムを剥離可能なフィルムとする場合における粘着剤としては、保護フィルムと剥離可能なフィルムとの間の剥離力が0.001〜5N/25mmとなる限りにおいて、特に制限されるものではない。粘着剤の具体例としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などをベースポリマーとするものを挙げることができる。粘着剤には、ベースポリマーのほか、通常は架橋剤が配合される。ベースポリマーの種類や重合度、架橋剤との組み合わせなどを適宜設計することで、接着力を調整した粘着剤が市販されているので、それらの中から、偏光板における保護フィルムとの間の剥離力が上記範囲となるものを選択して使用すればよい。粘着剤層の厚みは、特に制限されず、たとえば5〜40μm程度とすることができる。
粘着剤層を有するフィルムが市販されており、このようなフィルムもまた本発明における剥離可能なフィルムとして好適に用いることができる。
市販品の具体例を挙げれば、ポリエチレン系樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されている「サニテクト」(商品名、(株)サンエー化研より販売)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されている「E−マスク」(商品名、日東電工(株)より販売)、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム表面に粘着剤層が形成されている「マスタック」(商品名、藤森工業(株)より販売)などである。これら市販の粘着剤付きフィルムも、接着力が各種に設計されているので、それらの中から、保護フィルムとの間の剥離力が0.001〜5N/25mmとなるものを選択して使用すればよい。
なお、剥離可能フィルムはフィッシュアイなどの欠陥が少ない方が好ましい。欠陥があると、保護フィルムに形状が転写され、偏光板の欠陥となる場合がある。
剥離可能なフィルム表面には、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理などの表面処理を行なってもよい。かかる表面処理により、剥離可能なフィルムと保護フィルムとの密着性を向上させたり、あるいは低下させることができ、これにより、剥離力を上記範囲内に調整することも可能である。
本発明の製造方法では、偏光フィルム、保護フィルムおよび剥離可能なフィルムの積層または貼合する順序としては、例えば、保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、次いで、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合してもよいし、偏光フィルムと保護フィルムとの貼合および保護フィルムと剥離可能なフィルムとの積層または貼合を同時に行なってもよい。
以下、保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、次いで、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する場合について説明するが、本発明の製造方法では、この積層または貼合する順序に限定されず、また他の順序で行なう場合も同様の接着剤や積層または貼合する方法などを採用することができる。
<剥離可能なフィルムを積層または貼合する工程>
本発明の製造方法では、一方または両方の保護フィルムにおける偏光フィルムに貼合される面とは反対側の面(外面)に、剥離可能なフィルムを積層または貼合する。
保護フィルムに剥離可能なフィルムを積層または貼合する方法としては、例えば、ニップロールを用いて一対のロール間で加圧する方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
両方の保護フィルムに剥離可能なフィルムを積層または貼合する場合、積層または貼合する時機は特に限定されず、例えば、予め両方の保護フィルムに積層されていてもよいし、一方の保護フィルムに剥離可能なフィルムを積層または貼合した後、もう一方の保護フィルムに剥離可能なフィルムを積層または貼合してもよい。また、偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する際に同時に剥離可能なフィルムを積層または貼合してもよい。
<偏光フィルムと保護フィルムを貼合する工程>
本発明の偏光板の製造方法では、偏光フィルムの両面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合する。
貼合方法は、前記と同様に、ニップロールを用いて、片面ずつ逐次に、または両面を同時に貼合すれば良い。製造効率の面から両面同時貼合する事が好ましい。
偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する際、保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みが43μm以上、好ましくは45μm以上とするのがよい。合計の厚みが43μm以上であれば、取扱いが容易であり、且つニップロールによる加圧時にフィルムへの貼合圧力に対して、十分な厚みによる応力からひずみが低減するなどしてフィルムの外観が悪くなるのを抑制することができる。
接着剤層は、例えば、接着剤塗布装置などを用いて、偏光フィルムの両面、または保護フィルムの剥離可能なフィルムが積層または貼合された面とは反対側の面に塗布した後、ニップロールにより偏光フィルムと保護フィルムを貼合することで形成することができる。
接着剤の塗布手順は、特に限定されず、偏光フィルムに塗布する場合には、偏光フィルムの両面に同時に塗布してもよいし、片面ずつ逐次に塗布してもよく、保護フィルムに塗布する場合には、両方の保護フィルムに同時塗布してもよいし、一方の保護フィルムに塗布した後、他方の保護フィルムに塗布してもよい。
接着剤塗布装置としては、特に限定されず、例えば、ロールコーティング装置、グラビアコーティング装置、スプレーコーティング装置などが挙げられる。
接着剤は、例えば、水系の接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させた接着剤;光硬化性接着剤などを使用することができる。
水系の接着剤としては、たとえば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン樹脂などを用い、接着性を向上させるために、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物などを配合した組成物を用いることができる。このような水系の接着剤を用いた場合、接着剤層の厚みは、通常1μm以下となり、通常の光学顕微鏡で断面を観察しても、その接着剤層は事実上観察されない。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。このようなポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を接着剤として用いる。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤には、上述したように接着性を向上させるために、エポキシ化合物などを配合することができる。エポキシ化合物は、たとえば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られる、水溶性のポリアミドエポキシ樹脂を用いることができる。このようなポリアミドエポキシ樹脂の市販品としては、スミレーズレジン650(住化ケムテックス(株)製)、スミレーズレジン675(住化ケムテックス(株)製)、WS−525(日本PMC(株)製)などが挙げられる。エポキシ化合物を配合する場合、その添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。
接着剤として水系の接着剤を用いる場合には、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するため、積層フィルムを乾燥させる。乾燥は、適切な温度に保持された乾燥炉を連続的に通過させることにより行なわれ、たとえば、乾燥炉内を連続して通過させながら、乾燥後の偏光板をロール状に巻き取っていくことにより行なうことができるが、これに限定されるものではない。
乾燥の温度は、通常、30℃〜100℃、より好ましくは60℃〜100℃である。乾燥温度が高すぎると偏光板にカールが生じやすいため好ましくない。一方、乾燥温度が低すぎると水分を除去しづらくなる為好ましくない。
乾燥の時間は、通常、10〜1200秒、好ましくは50〜1000秒、より好ましくは100〜600秒である。乾燥時間が短すぎると乾燥不足で偏光フィルムと保護フィルムとが剥離し易くなり、1200秒超えると生産性の点から好ましくない。
乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上、また好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。接着剤層の厚みが大きくなりすぎると、偏光板の外観不良となりやすい。
また、前記した光硬化性接着剤としては、例えば光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤などの混合物が挙げられる。この場合には、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましい。
光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜1000mW/cm2であることが好ましい。光照射強度が0.1mW/cm2未満であると硬化反応時間が長くなる、すなわち長い照射時間をかけなければ硬化せず生産性向上に不利となる場合がある。また1000mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱および光硬化性接着剤の重合時の発熱により、光硬化性接着剤の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。
光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させると光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に制限されないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜5000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/cm2以上であることで重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また5000mJ/cm2以下であることで照射時間が長くなりすぎず良好な生産性を維持できる。
なお、活性エネルギー線照射後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.01μm以上3μm以下である。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、上記偏光フィルムの偏光度、透過率および色相などの偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行なうことが好ましい。
<剥離可能なフィルムを剥離する工程>
偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、剥離可能なフィルムを剥離する。
剥離可能なフィルムを剥離する時機は、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後であれば、特に限定されず、たとえば偏光板をロールに巻き取る前や、後述する光学層や液晶セルに貼合するために偏光板に粘着剤層を形成する前など、剥離可能なフィルムの必要がなくなった段階で剥離すればよい。
(偏光板)
上記のようにして、保護フィルムが薄くても外観のよい偏光板が得られる。偏光フィルムと保護フィルムとの合計の厚みは、84μm以下であり、好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。
(光学部材)
偏光板の使用に際しては、一方の面、または両面に、光学機能を示す光学層を積層した光学部材とすることもできる。
光学部材の形成を目的に偏光板に積層する光学層としては、特に限定されないが、例えば、反射層、半透過型反射層、光拡散層、位相差板、集光板、輝度向上フィルム等、液晶表示装置等の形成に用いられる各種のものが挙げられる。
光学層としての前記反射層、半透過型反射層及び光拡散層は、後述する反射型偏光板、半透過型偏光板、拡散型偏光板、反射拡散両用型の偏光板を形成する場合に用いられるものである。
光学層としての位相差板は、液晶セルによる光波の位相差の補償等を目的として使用される。その例としては、特に限定されないが、各種プラスチックの延伸フィルム等からなる複屈折性フィルム、ディスコティック液晶やネマチック液晶が配向固定されたフィルム、フィルム基材上に上記の液晶層が形成されたもの等が挙げられる。
配向液晶層を支持するフィルム基材としては、特に限定されないが、トリアセチルセルロース等セルロース系フィルムが好ましく用いられる。
複屈折性フィルムを形成するプラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミド、非晶性ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。
延伸フィルムは、一軸や二軸等の適宜な方式で処理したものであってよい。
また、複屈折性フィルムは、熱収縮性フィルムとの接着下に収縮力及び/又は延伸力をかけることでフィルムの厚さ方向の屈折率を制御したフィルムでもよい。
なお、位相差板は、広帯域化等光学特性の制御を目的として、2枚以上を組み合わせて使用してもよい。
光学層としての集光板は、光路制御等を目的に用いられるもので、プリズムアレイシートやレンズアレイシート、あるいはドット付設シート等として、形成することができる。
光学層としての輝度向上フィルムは、液晶表示装置等における輝度の向上を目的に用いられるもので、その例としては、屈折率の異方性が互いに異なる薄膜フィルムを複数枚積層して反射率に異方性が生じるように設計された反射型直線偏光分離シート、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持した円偏光分離シート等が挙げられる。
光学部材としては、反射型偏光板、半透過型の偏光板、拡散型偏光板、反射拡散両用の偏光板などが挙げられる。
反射型偏光板は、視認側からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置に用いられ、バックライト等の光源を省略できるため、液晶表示装置を薄型化しやすい。
反射型偏光板は、例えば、偏光板における保護フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して、反射層を形成することで得られる。
半透過型の偏光板は、明所では反射型として表示し、暗所ではバックライト等の光源を用いて表示するタイプの液晶表示装置に用いられる。
半透過型の偏光板は、例えば、偏光板における保護フィルムにアルミニウム等の金属からなる箔や蒸着膜を付設して、ハーフミラーとした反射層を形成したり、パール顔料等を含有させて光透過性を示す反射板を偏光板に接着したりすることで得られる。
拡散型偏光板は、例えば、マット処理を施す方法、微粒子含有の樹脂を塗布する方法、微粒子含有のフィルムを接着する方法等、種々の公知の方法を用いて、偏光板における保護フィルムの表面に微細凹凸構造を形成することで得られる。
また、微粒子を含有する樹脂層やフィルムは、入射光及びその反射光が微粒子含有層を透過する際に拡散されて、明暗ムラをより抑制しうる等の利点も有している。
表面微細凹凸構造を形成するために配合する微粒子としては、例えば、平均粒径0.1〜30μmのシリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子等が利用できる。
反射拡散両用の偏光板は、例えば、上述した拡散型偏光板の微細凹凸構造面に、その凹凸構造が反映された反射層を設ける等の方法により得られる。この微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラツキを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点等を有する。
表面微細凹凸構造が反映された反射層は、例えば、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の蒸着やメッキ等の方法により、金属を微細凹凸構造の表面に直接付設することで形成できる。
(積層光学部材)
本発明の積層光学部材は、偏光板と、前述した反射層ないし半透過型反射層、光拡散層、位相差板、集光板、輝度向上フィルム等から、使用目的に応じて選択される1層又は2層以上の光学層とを組み合わせ、2層又は3層以上の積層体とすることができる。その場合、光拡散層や位相差板、集光板や輝度向上フィルム等の光学層は、それぞれ2層以上を配置してもよい。なお、各光学層の配置に特に限定はない。
積層光学部材を形成する各種光学層は、接着剤を用いて偏光板と一体化されるが、そのために用いる接着剤は、接着層が良好に形成されるものであれば特に限定されない。
接着作業の簡便性や光学歪の発生防止等の観点から、粘着剤(感圧接着剤とも呼ばれる)を使用することが好ましい。
粘着剤には、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等をベースポリマーとしたものを用いることができる。なかでもアクリル系重合体をベースポリマーにしたアクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度な濡れ性や凝集力を保持し、基材との接着性にも優れ、さらには耐候性や耐熱性等を有し、加熱や加湿の条件下で浮きや剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。
アクリル系粘着剤においては、メチル基、エチル基、ブチル基などの炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等からなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように配合して重合させた、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
偏光板への粘着剤層の形成は、例えば、トルエンや酢酸エチルなどの有機溶剤に粘着剤組成物を溶解又は分散させて固形分濃度10〜40重量%の液を調製し、これを偏光板上に直接塗工して粘着剤層を形成する方式や、予めセパレートフィルム上に粘着剤層を形成しておき、それを偏光板上に移着することで粘着剤層を形成する方式等により、行うことができる。
粘着剤層の厚さは、その接着力等に応じて決定されるが、1〜50μm程度の範囲が適当である。
また、粘着層には必要に応じて、ガラス繊維やガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料や着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が配合されていてもよい。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、サリチル酸エステル系化合物や、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等が挙げられる。
(画像表示装置)
本発明の偏光板、及び以上のような積層光学部材は、例えば液晶セルなどの片側又は両側に配置して、画像表示装置とすることができる。液晶セルなどの両側に用いる積層光学部材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。液晶セルなどの両側に配置される偏光板は、一方が本発明の偏光板であれば、もう一方は本発明の偏光板であってもよいし、従来公知の偏光板であってもよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例、比較例および参考例において、得られた偏光板の外観は、目視によって評価した。
<実施例1>
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、乾式で一軸延伸し、さらに緊張状態に保ったまま、純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の水溶液に浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の水溶液に浸漬し、引き続き純水で洗浄した後、乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの厚みは28μmであった。
得られた偏光フィルムの一方の面に、下記の保護フィルム1に予め剥離可能なフィルム1を積層したものを、他方の面に下記の保護フィルム2を、それぞれ水系のポリビニルアルコール系樹脂接着剤を介してニップロールにより貼合し、熱風で乾燥して偏光板を得た。保護フィルム1,2と剥離可能なフィルム1との合計の厚みは72μm、得られた偏光板の総厚みは100μmであった。外観に問題は見られなかった。
保護フィルム1:「ゼオノアZF14-20」(日本ゼオン(株)製、厚さ20μm)
剥離可能なフィルム1:ポリエチレン樹脂からなる「ForceField1035」(トレデガー社製、厚さ30μm)
保護フィルム2:ケン化したTacphan P920GL(ロンザ社製、厚さ22μm)
<実施例2>
実施例1で得られた偏光フィルムの一方の面に、下記の保護フィルム1を、もう一方の面に下記の保護フィルム2に予め剥離可能なフィルム2を積層したものを、それぞれ水系のポリビニルアルコール系樹脂接着剤を介してニップロールにより貼合し、熱風で乾燥して偏光板を得た。保護フィルム1,2と剥離可能なフィルム2との合計の厚みは110μm、得られた偏光板の総厚みは138μmであった。外観に問題は見られなかった。
保護フィルム1:「ゼオノアZF14-20」(日本ゼオン(株)製、厚さ20μm)
保護フィルム2:ケン化した「Tacphan P920GL」(ロンザ社製、厚さ22μm)
剥離可能なフィルム2:粘着剤付きポリエチレンテレフタレートフィルム「マスタック NBO−0424」(藤森工業(株)製、厚さ68μm)
<比較例1>
実施例1で得られた偏光フィルムの一方の面に、下記の保護フィルム1を、もう一方の面に下記の保護フィルム2を、それぞれ水系のポリビニルアルコール系樹脂接着剤を介してニップロールにより貼合し、熱風で乾燥して偏光板を得た。
保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みは42μm、得られた偏光板の総厚みは70μmであり、外観は樹皮のような凹凸が全面にできていた。
保護フィルム1:「ゼオノアZF14-20」(日本ゼオン(株)製、20μm)
保護フィルム2:ケン化した「Tacphan P920GL」(ロンザ社製、22μm)
<参考例1>
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを湿式で延伸しながら、純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の水溶液に浸漬し、その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の水溶液に浸漬し、引き続き純水で洗浄した後、乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの厚みは22μmであった。
得られた偏光フィルムの一方の面に、下記の保護フィルム1を、もう一方の面に下記の保護フィルム2を、それぞれ水系のポリビニルアルコール系樹脂接着剤を介してニップロールにより貼合し、熱風で乾燥して偏光板を得た。保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みは63μm、得られた偏光板の総厚みは85μmであり、外観に問題は無かった。
保護フィルム1:「ゼオノアZF14-23」(日本ゼオン(株)製、23μm)
保護フィルム2:「KC4UY」(コニカミノルタオプト(株)製、40μm)
<参考例2>
厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムを湿式で延伸しながら、純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の水溶液に浸漬し、その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の水溶液に浸漬し、引き続き純水で洗浄した後、乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。この偏光フィルムの厚みは11μmであった。
得られた偏光フィルムの一方の面に、下記の保護フィルム1を、もう一方の面に下記の保護フィルム2を、それぞれ水系のポリビニルアルコール系樹脂接着剤を介してニップロールにより貼合し、熱風で乾燥して偏光板を得た。保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みは45μm、得られた偏光板の総厚みは56μmであり、外観に問題は無かった。
保護フィルム1:「ゼオノアZF12」(日本ゼオン(株)製、20μm)
保護フィルム2:「KC2UY」(コニカミノルタオプト(株)製、25μm)
実施例1,2、比較例1および参考例1,2における偏光フィルム、保護フィルムおよび剥離可能なフィルムの厚み、実施例1,2、比較例1および参考例1,2で得られた偏光板の総厚みおよび外観の評価結果を表1に示す。なお、外観に問題が無かった場合は○とし、外観に問題があった場合は×とした。
Figure 2014132313

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色した偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する偏光板の製造方法であって、
    偏光フィルムの両面に保護フィルムを貼合する際に、前記保護フィルムのうち一方または両方の保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、前記保護フィルムと剥離可能なフィルムとの合計の厚みを43μm以上とすることを特徴とする偏光板の製造方法。
  2. 前記保護フィルムの外面に剥離可能なフィルムを積層または貼合し、次いで、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  3. 前記偏光フィルムと保護フィルムとの貼合および保護フィルムと剥離可能なフィルムとの積層または貼合を同時に行なう請求項1に記載の偏光板の製造方法。
  4. 偏光フィルムと保護フィルムとの貼合は、ニップロールにより行なわれる請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法で得られた偏光板。
  6. 請求項5記載の偏光板が少なくとも1枚用いられていることを特徴とする積層光学部材。
  7. 請求項5記載の偏光板または請求項6記載の積層光学部材が用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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