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JP2014121226A - モータ駆動装置 - Google Patents

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JP2014121226A
JP2014121226A JP2012276572A JP2012276572A JP2014121226A JP 2014121226 A JP2014121226 A JP 2014121226A JP 2012276572 A JP2012276572 A JP 2012276572A JP 2012276572 A JP2012276572 A JP 2012276572A JP 2014121226 A JP2014121226 A JP 2014121226A
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JP2012276572A
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Naoyuki Uchiyama
尚行 内山
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NTN Corp
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Abstract

【課題】 車両駆動用のモータに異常が発生した場合であっても、車両を安定して走行させることができるモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】 このモータ駆動装置は、車輪駆動用のモータ6と、モータ駆動回路部13と、駆動制御手段23とを備える。モータ6は、各相のモータコイルの巻線が、それぞれ複数の巻線系統9,10に分けられ、各巻線系統9,10の巻線が互いに同一のコアに巻かれた多重の巻線構造を有すると共に、各巻線系統毎に端子11,12を有し、端子11,12がモータ駆動回路部13,13に接続される。駆動制御手段23に、各巻線系統9,10の異常を判定する異常判定手段26と、異常判定手段26によりモータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、モータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いてモータ6を駆動させる異常時制御手段24とを設けた。
【選択図】 図4

Description

この発明は、電気自動車の車両駆動源となるモータに適用されるモータ駆動装置に関する。
電気自動車では、車両駆動のためのモータの性能低下や異常は、車両の走行性、安定性に大きく影響する。本件出願人は、モータ駆動用のコントローラを複数備え、モータに対して機能する状態にあるコントローラを使用する技術を提案している(特許文献1)。また二重巻線構造を備えたモータを駆動するモータ駆動装置(特許文献2)も提案されている。
特開2011−205823号公報 特開2007−151366号公報
電気自動車の左右一対の車輪をそれぞれ一対のモータで駆動する場合に、従来技術では、一方のモータのコイルに異常が発生した場合、そのモータについてはトルクを発生させることができず車両を安定して走行させることが困難となる。
この発明の目的は、車両駆動用のモータに異常が発生した場合であっても、車両を安定して走行させることができるモータ駆動装置を提供することである。
この発明のモータ駆動装置は、電気自動車の車輪2を駆動するモータ6と、直流電流を交流電流に変換して前記モータ6に接続されたモータ駆動回路部13と、このモータ駆動回路部13を制御する駆動制御手段23とを備えたモータ駆動装置において、
前記モータ6は、各相のモータコイルの巻線が、それぞれ複数の巻線系統9,10に分けられ、各巻線系統9,10の巻線が互いに同一のコアに巻かれた多重の巻線構造を有すると共に、前記各巻線系統毎に端子11,12を有し、これら端子11,12が前記モータ駆動回路部13に接続され、
前記駆動制御手段23に、
前記各巻線系統9,10の異常を判定する異常判定手段26と、
この異常判定手段26により前記モータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、前記モータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記モータ6を駆動させる異常時制御手段24とを設けたことを特徴とする。
この構成によると、異常判定手段26は各巻線系統9,10の異常を判定する。異常判定手段26は、例えば、モータ印加電圧に対して、各巻線系統9,10における3相(U,V,W相)のモータコイルの出力電流の少なくともいずれか1つが定められた閾値よりも大きいか否かを判定する。例えば、実験、シミュレーション等によりモータ印加電圧に対するモータコイルの出力電流の基準値を求めておき、各相のモータコイルに例えば短絡異常等の異常が発生したときの出力電流を求める。この出力電流に例えば安全係数を見込んだ値を前記閾値とする。異常判定手段26は、各相のモータコイルの出力電流の少なくともいずれか1つが定められた閾値よりも大きいまたは小さいと判定したとき、その巻線系統9,(10)のモータコイルを異常と判定する。
異常時制御手段24は、異常判定手段26によりモータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、前記モータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記モータ6を駆動させる。この場合、例えば、片側の車輪2を駆動するモータ6のうち、いずれか一つの巻線系統9に異常が生じてこの巻線系統9からトルクを発生することができなくなっても、前記モータ6における異常が生じていない他の巻線系統10のみからトルクを発生することができる。したがって、駆動用の各車輪2が完全にトルクを失うことを回避でき、従来技術よりも車両を安定して走行させることが可能となる。よって、この車両を、修理工場や一時避難場所までレッカー車等で搬送することなく自走で移動することができる。また、モータ6の異常が、駆動可能な程度の場合であっても、異常と判定された巻線系統9,(10)をこの判定以後用いないようにする、換言すれば、異常と判定された巻線系統9,(10)に電流を供給しないようにすることで、モータ6を使い続けて異常が進むことを防止できる。
前記モータ6およびモータ駆動回路部13として、前記電気自動車の左右一対の車輪2,2をそれぞれ駆動する一対のモータ6,6、およびこれら一対のモータ6,6にそれぞれ接続されたモータ駆動回路部13,13を有し、
前記異常判定手段26は、前記一対のモータ6,6に対して個々に設けられ、
前記異常時制御手段24は、異常側モータ制御部24aと非異常側モータ制御部24bとを有し、
前記異常側モータ制御部24aは、前記異常判定手段26により前記モータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、この異常と判定されたモータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記異常と判定されたモータ6を駆動させ、
前記非異常側モータ制御部24bは、前記異常判定手段26により前記モータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、異常と判定されていない非異常側のモータ6における一部の巻線系統のみを用いてこの非異常側のモータ6を駆動させるようにしても良い。
この場合、一方のモータ6のいずれかの巻線系統9,(10)が異常のとき、前記一方のモータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記一方のモータ6を駆動させる。これと共に、異常と判定されていない他方のモータ6については、あえて一部の巻線系統のみを用いて前記他方のモータ6を駆動させる。これにより、左右両車輪2,2の最大出力トルクが同じになることで、従来技術よりも車両を安定して走行させることが可能となる。
前記モータ6およびモータ駆動回路部13として、前記電気自動車の左右一対の車輪2,2をそれぞれ駆動する一対のモータ6,6、およびこれら一対のモータ6,6にそれぞれ接続されたモータ駆動回路部13,13を有し、
前記異常判定手段26は、前記一対のモータ6,6に対して個々に設けられ、
前記異常時制御手段24は、異常側モータ制御部24aと非異常側モータ制御部24bとを有し、
前記異常側モータ制御部24aは、前記異常判定手段26により前記モータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、この異常と判定されたモータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記異常と判定されたモータ6を、1系統で流せる電流以下で駆動することになる。
一方前記非異常側モータ制御部24bは、前記異常判定手段26により前記モータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、異常と判定されていない非異常側のモータ6における全ての巻線系統9,10を用いてこの非異常側のモータ6を駆動させるようにしても良い。
通常走行で左右の車輪にかかるトルクが同一または略同一の場合、モータに流す電流の総和は左右で同一または略同一となるため、非異常側モータの全ての巻線系統9,10を用いて駆動させる場合、
非異常側モータの巻線系統9,10それぞれに流れる電流は、異常側モータの巻線系統10,(9)に流す電流よりも小さくすることができる。
この場合、異常と判定されたモータ6で駆動される車輪2のトルクと、異常と判定されていないモータ6で駆動される車輪2のトルクとを、同一または略同一にすることができる。これにより、左右両車輪2,2の最大出力トルクが同一または略同一になることで、従来技術よりも車両を安定して走行させることが可能となる。
前記異常判定手段26は、各相のモータコイルの出力電流から、前記各巻線系統9,10に異常が発生したか否かを判定するものとしても良い。異常判定手段26は、例えば、モータコイルの出力電流が、定められた上下限閾値から外れたとき、前記モータコイルの異常が発生したと判定するものであっても良い。前記閾値は、実験、シミュレーション等によりモータ印加電圧に対するモータコイルの出力電流を求めておき、モータコイルに例えば短絡異常等の異常が発生したときの出力電流を求める。この出力電流に例えば安全係数を見込んだ値を閾値とする等、適宜に定めれば良い。
前記異常判定手段26により前記モータ6におけるいずれの巻線系統9,10も異常と判定されないとき、前記モータ6における全ての巻線系統9,10を用いて前記モータ6を駆動させる正常時制御手段25を、前記駆動制御手段23に設けても良い。
前記モータ6は、一部または全体が車輪内に配置されて前記モータ6と車輪用軸受4と減速機7とを含むインホイールモータ駆動装置を構成するものであっても良い。
前記異常判定手段26において、モータ6が正常と判定されている場合には、モータ6は正常時制御手段25が各巻線系統9,10に供給する電流を決定・制御する。
モータ6が正常な場合において、起動時や低速動作時のモータトルクリップル低減を目的として、モータ6における各巻線系統9,10に供給する電流位相をずらす位相差発生手段29を有するものとしても良い。
このように位相差発生手段29が、正常状態のモータ6における各巻線系統9,10に供給する電流位相をずらすことにより、擬似的にスキューの効果を生み出し、トルクリップルの影響を軽減することができる。したがって、モータ6のコギングトルクの低減を図ることができ、車両に対する乗員の乗り心地の向上を図ることができる。
この発明のモータ駆動装置は、電気自動車の車輪を駆動するモータと、直流電流を交流電流に変換して前記モータに接続されたモータ駆動回路部と、このモータ駆動回路部を制御する駆動制御手段とを備えたモータ駆動装置において、前記モータは、各相のモータコイルの巻線が、それぞれ複数の巻線系統に分けられ、各巻線系統の巻線が互いに同一のコアに巻かれた多重の巻線構造を有すると共に、前記各巻線系統毎に端子を有し、これら端子が前記モータ駆動回路部に接続され、前記駆動制御手段に、前記各巻線系統の異常を判定する異常判定手段と、この異常判定手段により前記モータにおけるいずれかの巻線系統が異常と判定されたとき、前記モータにおける他の巻線系統のみを用いて前記モータを駆動させる異常時制御手段とを設けた。このため、車両駆動用のモータに異常が発生した場合であっても、車両を安定して走行させることができる。
この発明の第1の実施形態に係る電気自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。 (A)は、同電気自動車に搭載されたモータ駆動装置のインバータ等の概略構成を示すブロック図、(B)は、同モータ駆動装置のモータの模式図である。 同モータ駆動装置のインバータ等の回路図である。 同モータ駆動装置の制御系のブロック図である。 この発明の他の実施形態に係るモータ駆動装置の制御系のブロック図である。 同モータ駆動装置のモータにおける各巻線系統に供給する電流位相をずらしたタイミングチャートである。 この発明のさらに他の実施形態に係るモータ駆動装置のインバータ等の要部の回路図である。 この発明のさらに他の実施形態に係る電気自動車の概略構成を示す平面図である。
この発明の第1の実施形態に係る電気自動車のモータ駆動装置を図1ないし図4と共に説明する。図1は、この実施形態に係るモータ駆動装置を装備した電気自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。この電気自動車は、車体1の左右の後輪となる車輪2が駆動輪とされ、左右の前輪となる車輪3が従動輪とされた4輪の自動車である。前輪となる車輪3は操舵輪とされている。この例の電気自動車は、駆動輪となる左右の車輪2,2を、それぞれ独立のモータ6,6により駆動するドライブユニット8,8を備えている。モータ6の回転は、減速機7および車輪用軸受4を介して車輪2に伝達される。ドライブユニット8は、モータ6の一部または全体が車輪2内に配置されて、モータ6、減速機7、および車輪用軸受4を含むインホイールモータ駆動装置を構成している。各車輪2,3には、図示外のブレーキが設けられている。
制御系を説明する。車体1には、ECU21と、複数のインバータ装置22と、モータ6とを含むモータ駆動装置20が搭載されている。図2(A)に示すように、ECU21は、自動車全般の統括制御を行い、各インバータ装置22に指令を与える上位制御手段であり、相互にコントロール・エリア・ネットワーク(略称CAN)等で接続されている。各インバータ装置22は、ECU21の指令に従って各走行駆動用のモータ6の制御をそれぞれ行う。ECU21は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。ECU21と各インバータ装置22の弱電系とは、互いに共通のコンピュータや共通の基板上の電子回路で構成されていても良い。
図1に示すように、ECU21は、トルク配分手段48を有する。このトルク配分手段48は、アクセル操作部16の出力するアクセル開度の信号と、ブレーキ操作部17の出力する減速指令と、操舵手段15の出力する旋回指令とから、左右の車輪駆動用のモータ6,6に与える加速・減速指令をトルク値として生成し、各インバータ装置22へ出力する。トルク配分手段48は、ブレーキ操作部17の出力する減速指令があったときに、モータ6を回生ブレーキとして機能させる制動トルク指令値と、図示外のブレーキを動作させる制動トルク指令値とに配分する機能を有する。回生ブレーキとして機能させる制動トルク指令値は、各車輪駆動用のモータ6,6に与える加速・減速指令のトルク指令値に反映させる。
アクセル操作部16およびブレーキ操作部17は、それぞれアクセルペダルおよびブレーキペダル等のペダルと、そのペダルの動作量を検出するセンサとを有する。
操舵手段15は、ステアリングホイール15aと、その回転角度である操舵角を検出する操舵角検出センサ15bとを有する。バッテリ19は、車体1に搭載され、モータ6の駆動、および車両全体の電気系統の電源として用いられる。
図3に示すように、モータ6は、各相(U,V,W相)のモータコイルの巻線が、それぞれ複数の巻線系統(この例では第1,第2の巻線系統9,10)に分けられる。図2(B)に示すように、各巻線系統9,10の巻線は互いに同一のコア6bに巻かれた多重の巻線構造を有する。巻線系統9のU相の巻線9Uと、巻線系統10のU相の巻線10Uとが同一のコア6bに巻かれ、巻線系統9のV相の巻線9Vと、巻線系統10のV相の巻線10Vとが同一のコア6bに巻かれ、巻線系統9のW相の巻線9Wと、巻線系統10のW相の巻線10Wとが同一のコア6bに巻かれる。同図(B)左側に示すように、巻線9U(9V,9W)と10U(10V,10W)とをコア6bの長手方向一端側と他端側とに分けて巻いても良いし、同図(B)右側に示すように、巻線9Uと10Uとをコア6b全体に重畳させて巻いても良い。
またモータ6は、前記各巻線系統毎に端子11,12(図4)を有し、これら端子11,12がそれぞれモータ駆動回路部13,13に接続されている。なお端子11,12は共通の端子台に設けられている。モータ駆動回路部13と巻線系統9(10)をつなぐケーブルには、各相のモータコイルの出力電流を計測する電流検出センサ14が設けられている。
図4は、この電気自動車に搭載されたモータ駆動装置の制御系のブロック図である。同図4に示すように、各インバータ装置22はそれぞれパワー回路部18を有する。このパワー回路部18は、直流電流を交流電流に変換してモータ6に接続されたモータ駆動回路部13,13と、各モータ駆動回路部13,13を制御する駆動回路制御部38とを有する。同図3に示すように、各モータ駆動回路部13は、それぞれ複数の半導体スイッチング素子13aで構成され、前記駆動回路制御部38の内部に構成されているPWMドライバ(図示せず)は、入力された電流指令をパルス幅変調し、各半導体スイッチング素子13aにオンオフ指令を与える。
図4に示すように、このモータ駆動装置は、左右のモータを協調制御する左右輪協調駆動制御手段33を有する。この例では、左右輪協調駆動制御手段33は、ECU21に設けられる左右輪状態報告手段35と、各インバータ装置22に設けられる異常確認報告手段27と、駆動制御手段23とを有しており、駆動制御手段23は、異常判定手段26と、正常時制御手段25と、異常時制御手段24と、制御方法切替手段37とを有する。正常時制御手段25、異常時制御手段24、制御方法切替手段37、異常判定手段26、および異常確認報告手段27は、左右一対のモータ6,6に対して個々に設けられる。左右輪正常時は正常時制御手段25は、ECU21のトルク配分手段48から与えられるトルク指令等による加速・減速指令に従い、電流指令に変換してパワー回路部18のPWMドライバに電流指令を与える。正常時制御手段25は、モータ駆動回路部13からモータ6に流すモータ電流値を得て、電流フィードバック制御を行う。また、正常時制御手段25は、モータ6のロータの回転角を角度センサ(図示せず)から得て、ベクトル制御を行う。
異常判定手段26は、電流検出センサ14,14で計測した各相のモータコイルの出力電流を電流検出回路部36より取得し、各巻線系統9,10に異常が発生したか否かを判定するものである。この異常判定手段26は、例えば、モータ印加電圧に対して、第1,第2の各巻線系統9,10における3相(U,V,W相)のモータコイルの出力電流の少なくともいずれか1つが定められた閾値範囲以内にあるか否かを判定する。モータ駆動トルクとモータ回転数に対してモータコイルの出力電流の基準値が一義的に定められる。例えば、実験、シミュレーション等によりモータ印加電圧に対するモータコイルの出力電流の基準値を求めておき、この出力電流に例えば安全係数を見込んだ値を前記閾値とする。異常判定手段26は、各相のモータコイルの出力電流の少なくともいずれか1つが定められた閾値範囲を外れたと判定したとき、その巻線系統9,(10)のモータコイルを異常と判定し、閾値範囲内と判定したとき、その巻線系統9,(10)のモータコイルを正常と判定する。
異常判定手段26によりモータ6におけるいずれの巻線系統9,10も異常と判定されないとき、正常時制御手段25により、前記モータ6における全ての巻線系統9,10を用いて前記モータ6を駆動させる。
異常時制御手段24は、モータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、前記モータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記モータ6を駆動させる。例えば、モータ6において、第1の巻線系統9における3相(U,V,W相)のモータコイルのうち、少なくともいずれか1相のモータコイルが異常と判定されたとき、異常時制御手段24の異常側モータ制御部24aは、前記モータ6における第2の巻線系統10のみを用いて前記モータ6を駆動させる。
異常確認報告手段27は、異常判定手段26によりモータ6のいずれかの巻線系統9,10が異常と判定したときに、ECU21に異常発生情報を出力する手段である。ECU21は、異常確認報告手段27から出力された異常発生情報を受けて、例えば、運転席の表示装置28に異常を知らせる表示を行わせると同時に、正常なモータを制御するインバータ22の異常確認報告手段27に対し、もう一方のモータの異常を出力する。
異常時制御手段24は、前記異常側モータ制御部24aと、非異常側モータ制御部24bとを有する。異常側モータ制御部24aは、異常判定手段26によりモータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、この異常と判定されたモータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記異常とされたモータ6を駆動させる。非異常側モータ制御部24bは、異常判定手段26によりモータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、異常と判定されていない非異常側のモータ6における一部の巻線系統9,(10)のみを用いてこの非異常側のモータ6を駆動させるようになっている。ただし、非異常側のモータは各巻線系統9,10の負担を軽減するため、両方の巻線を用いて非異常側のモータ6を駆動してもよい。この異常においてECU21におけるトルク配分手段48は、片側モータの異常を検出した場合、トルク指令の上限を正常時の1/2(=一系統分の巻線が出力できるトルクの最大値)に変更して各インバータ装置22に出力する。これにより異常側モータと非異常側モータはどちらも最大出力可能トルクが同じになるため安定した走行が可能となる。
例えば、図4の一対のモータ6,6のうち同図左側のモータ6の第1の巻線系統9のモータコイルが異常と判定されたとき、異常側モータ制御部24aは、左側のモータ6における第2の巻線系統10のみを用いて左側のモータ6を駆動させる。これと共に、非異常側モータ制御部24bは、異常と判定されていない右側のモータ6における一部の巻線系統のみ、例えば第2の巻線系統10のみを用いて右側のモータ6を駆動させる。異常と判定されていない右側のモータ6については、第1および第2の巻線系統9,10全てを用いて駆動させても良いし、あえて一部の巻線系統のみを用いて右側のモータ6を駆動させても良い。
作用効果について説明する。
異常判定手段26は各巻線系統9,10の異常を判定する。異常時制御手段24は、異常判定手段26によりモータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、前記モータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記モータ6を駆動させる。この場合、例えば、片側の車輪2を駆動するモータ6のうち、一つの巻線系統9に異常が生じてこの巻線系統9からトルクを発生することができなくなっても、前記モータ6における異常が生じていない他の巻線系統10のみからトルクを発生することができる。したがって、駆動用の各車輪2が完全にトルクを失うことを回避でき、従来技術よりも車両を安定して走行させることが可能となる。よって、この車両を、修理工場や一時避難場所までレッカー車等で搬送することなく自走で移動することができる。また、異常と判定された巻線系統9,(10)をこの判定以後用いないようにする、換言すれば、異常と判定された巻線系統9,(10)に電流を供給しないようにすることで、モータ6を使い続けて異常が進むことを防止できる。
左右一対の車輪2,2をそれぞれ駆動する一対のモータ6,6のうち、一方のモータ6のいずれかの巻線系統9,(10)が異常のとき、前記一方のモータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記一方のモータ6を駆動させる。これと共に、異常と判定されていない他方のモータ6については、あえて一部の巻線系統のみを用いて前記他方のモータ6を駆動させる。これにより、左右両車輪2,2の最大出力トルクが同じになることで、従来技術よりも車両を安定して走行させることができる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図4に示すように、異常側モータ制御部24aは、異常判定手段26によりモータ6におけるいずれかの巻線系統9,(10)が異常と判定されたとき、この異常と判定されたモータ6における他の巻線系統10,(9)のみを用いて前記異常と判定されたモータ6を駆動させるため、非異常側モータ制御部24bは、異常と判定されていない非異常側のモータ6の全ての巻線系統9,10を用いてモータを駆動する場合、非異常側モータ6の巻線系統9,10それぞれに供給する電流は異常側モータ6の巻線系統10,(9)よりも小さい電流で駆動させる。例えば、非異常側のモータ6の巻線系統10,(9)に供給する電流の1/2倍の電流で非異常側モータ6の巻線系統9,10それぞれを駆動させる。但し、1/2倍の電流に限定されるものではない。
この構成によると、異常と判定されたモータ6で駆動される車輪2のトルクと、異常と判定されていないモータ6で駆動される車輪2のトルクとを、同一または略同一にすることができる。これにより、左右両車輪2,2の最大出力トルクが同一または略同一になることで、従来技術よりも車両を安定して走行させることが可能となる。
位相差を発生させてトルクリップルを軽減する手段は正常時に実施する。
図5に示すように、モータ6が両側とも正常な場合、正常時モータ制御部25は、モータ6における各巻線系統9,10に供給する電流位相をずらす位相差発生手段29を有する。ここで図6は、このモータ駆動装置のモータにおける各巻線系統9,10に供給する電流位相をずらしたタイミングチャートである。この例では、位相差発生手段29(図5)が、モータ6における、第1,第2の巻線系統9,10に流す電流位相をΔT時間ずらしている。すなわち位相差発生手段29により、第1の巻線系統9のU相と第2の巻線系統10のU相とがΔT時間の電流位相差を有し、第1の巻線系統9のV相と第2の巻線系統10のV相とがΔT時間の電流位相差を有し、第1の巻線系統9のW相と第2の巻線系統10のW相とがΔT時間の電流位相差を有するようになっている。
位相差発生手段29が、モータ6における各巻線系統9,10に供給する電流位相をずらすことにより、擬似的にスキューの効果を生み出し、トルクリップルの影響を軽減することができる。例えば、実車試験やシミュレーション等により、電流位相をずらす時間(位相差)ΔTを種々変更し、トルクリップルの影響を最も軽減できる位相差ΔTを適宜に決定し得る。決定された位相差ΔTは、例えば、ECU21の図示外のメモリに書換え可能に記憶され、位相差発生手段29が位相差を発生させるときに用いられる。
以上説明したように各巻線系統に供給する電流位相をずらすことで、モータ6のコギングトルクの低減を図ることができ、車両に対する乗員の乗り心地の向上を図ることができる。
位相差発生手段29はモータトルクリップルによる振動の影響が大きい低回転数域のみ有効とし、影響が小さくなる高速回転域では同位相にして十分なトルクを発生させる。
前記各実施形態では、1つのモータの各巻線系統に、2つのインバータモータ駆動回路部を接続しているが、この例に限定されるものではない。例えば、図7に示すように、1つのモータ駆動回路部13から第1,第2の巻線系統9,10へそれぞれ分岐する分岐線30,31を設け、駆動制御手段23によりオンオフ切換え可能なスイッチ32を設けても良い。
他の実施形態として、左右の前輪を駆動輪とし、左右の後輪を従動輪とした電気自動車に、このモータ駆動装置を適用しても良い。
また図8に示すように、左右の前後輪3,2を駆動輪とした4輪駆動式の電気自動車に、このモータ駆動装置を適用しても良い。
左右一対の車輪を1台のモータにより駆動させる電気自動車に、このモータ駆動装置を適用することも可能である。
各例では、モータに第1,第2の巻線系統を設けているが、この例に限定されるものではなく、例えば、各モータに3つ以上の巻線系統を設けても良い。
異常時制御手段を各インバータ装置にそれぞれ設けても良い。
2…車輪
4…車輪用軸受
6…モータ
7…減速機
9…第1の巻線系統
9U,9V,9W…巻線
10…第2の巻線系統
10U,10V,10W…巻線
13…モータ駆動回路部
23…駆動制御手段
24…異常時制御手段
24a…異常側モータ制御部
24b…非異常側モータ制御部
26…異常判定手段
29…位相差発生手段

Claims (8)

  1. 電気自動車の車輪を駆動するモータと、直流電流を交流電流に変換して前記モータに接続されたモータ駆動回路部と、このモータ駆動回路部を制御する駆動制御手段とを備えたモータ駆動装置において、
    前記モータは、各相のモータコイルの巻線が、それぞれ複数の巻線系統に分けられ、各巻線系統の巻線が互いに同一のコアに巻かれた多重の巻線構造を有すると共に、前記各巻線系統毎に端子を有し、これら端子が前記モータ駆動回路部に接続され、
    前記駆動制御手段に、
    前記各巻線系統の異常を判定する異常判定手段と、
    この異常判定手段により前記モータにおけるいずれかの巻線系統が異常と判定されたとき、前記モータにおける他の巻線系統のみを用いて前記モータを駆動させる異常時制御手段と、
    を設けたことを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、前記モータおよびモータ駆動回路部として、前記電気自動車の左右一対の車輪をそれぞれ駆動する一対のモータ、およびこれら一対のモータにそれぞれ接続されたモータ駆動回路部を有し、
    前記異常判定手段は、前記一対のモータに対して個々に設けられ、
    前記異常時制御手段は、異常側モータ制御部と非異常側モータ制御部とを有し、
    前記異常側モータ制御部は、前記異常判定手段により前記モータにおけるいずれかの巻線系統が異常と判定されたとき、この異常と判定されたモータにおける他の巻線系統のみを用いて前記異常と判定されたモータを駆動させ、
    前記非異常側モータ制御部は、前記異常判定手段により前記モータにおけるいずれかの巻線系統が異常と判定されたとき、異常と判定されていない非異常側のモータにおける一部の巻線系統のみを用いてこの非異常側のモータを駆動させるモータ駆動装置。
  3. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、前記モータおよびモータ駆動回路部として、前記電気自動車の左右一対の車輪をそれぞれ駆動する一対のモータ、およびこれら一対のモータにそれぞれ接続されたモータ駆動回路部を有し、
    前記異常判定手段は、前記一対のモータに対して個々に設けられ、
    前記異常時制御手段は、異常側モータ制御部と非異常側モータ制御部とを有し、
    前記異常側モータ制御部は、前記異常判定手段により前記モータにおけるいずれかの巻線系統が異常と判定されたとき、この異常と判定されたモータにおける他の巻線系統のみを用いて前記異常と判定されたモータを駆動させ、
    前記非異常側モータ制御部は、前記異常判定手段により前記モータにおけるいずれかの巻線系統が異常と判定されたとき、異常と判定されていない非異常側のモータにおける全ての巻線系統を用いてこの非異常側のモータを駆動させるモータ駆動装置。
  4. 請求項1に記載のモータ駆動装置において、モータが正常状態の場合にモータを制御する正常時制御手段を有し、モータが正常な場合には各巻線系統に同位相の電流を流してモータを駆動するモータ駆動装置。
  5. 請求項4に記載のモータ駆動装置において、前記正常時モータ制御手段が各モータにおける各巻線系統に供給する電流位相をずらす位相差発生手段を有するモータ駆動装置。
  6. 請求項5に記載のモータ駆動装置において、モータトルクリップルによる振動の影響が大きい低速域のみ前記位相差発生手段を有効とし、影響が小さくなる高速域では前記位相差発生手段を無効として同位相の電流を流すモータ駆動装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のモータ駆動装置において、前記異常判定手段は、各相のモータコイルの出力電流から、前記各巻線系統に異常が発生したか否かを判定するモータ駆動装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか1項のモータ駆動装置において、前記異常判定手段により前記モータにおけるいずれの巻線系統も異常と判定されないとき、前記モータにおける全ての巻線系統を用いて前記モータを駆動させる正常時制御手段を、前記駆動制御手段に設けたモータ駆動装置。
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WO2017126389A1 (ja) * 2016-01-18 2017-07-27 Ntn株式会社 電動モータ装置

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