JP2014113512A - 医療用精製水の製造装置とその運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】RO水タンク6内のRO水をヒータ6aで加熱昇温させながら、活性炭装置2、NF装置3、RO装置5を含む循環ラインに循環させて殺菌する。殺菌後、RO水タンク6内のRO水を熱交換器8で冷却降温させながら、前記循環ラインに循環させて冷却する。
【選択図】図1
Description
そして、これらの精製水の製造装置を使用して精製水を製造する場合においては、衛生上の観点から、装置内を殺菌処理することが重要となる。
そして、図2には、精製水タンクの前(EDI装置と精製水タンクの間)に第2の熱交換器を設置した装置が示されている。図2の装置では、EDI装置から出た精製水の温度を第2の熱交換器で低下させた後に精製水タンクに貯水して、原水を第2の熱交換器を経由させることで昇温させた状態で原水タンクに送ることが記載されている。
また、特許文献2の発明で自然放冷した場合には、室温に戻るまで長時間を要することになり、著しく生産性を低下させる。
特許文献3の発明では、装置内を常時加熱された水が流通していることになるため、膜や樹脂に熱的負担を与えるおそれがあるほか、精製水タンク内の精製水温度が高いため、医療用精製水に使用する場合には緊急時の使用に対応できないおそれもある。
室温の原水で装置内を冷却する際、急激な降温を回避するために、間欠的に原水を供給しながら冷却する方法も従来から行われてきた。しかし、この方法では原水の間欠的給水の開始、停止の煩雑な調節、設定が必要であり、その上、間欠給水時の瞬間的な水温の急降下は避けられない。
特許文献4の発明では、熱水殺菌後の冷却方法についての記載がない。
活性炭による吸着装置(2)と、
ナノ濾過膜装置(以下「NF装置」という)(3)と、
逆浸透膜処理装置(以下「RO装置」という)(5)と、
RO装置(5)で処理された処理水(以下「RO水」という)を貯水する加熱手段(6a)
を備えたRO水タンク(6)と、
RO水タンク(6)と接続された、原水による冷却手段を備えた熱交換器(8)を有しており、
原水供給源と活性炭装置(2)が原水供給ライン(11,12)で接続され、
活性炭装置(2)とNF装置(3)が前処理水ライン(13)で接続され、
NF装置(3)とRO装置(5)がNF装置で処理された処理水(以下「NF水」という)ライン(14a)で接続され、
RO装置(5)とRO水タンク(6)がRO水ライン(18)で接続され、
RO水タンク(6)と取水部が取水ライン(19,20)で接続されており、
RO水タンク(6)と熱交換器(8)が、RO水タンク(6)から熱交換器(8)への入水ライン(19,21)と、熱交換器(8)からRO水タンク(6)への出水ライン(22)で接続されている、
医療用精製水の製造装置であって、
医療用精製水の製造運転の停止時において、熱水または冷却水を循環させる循環ラインを有しており、
前記循環ラインが、第1循環ラインと第2A循環ラインの組み合わせからなるものであり、
第1循環ラインが、RO水タンク(6)から、入水ライン(19,21)、熱交換器(8)、出水ライン(22)を通ってRO水タンク(6)に戻る循環ラインであり、
第2A循環ラインが、RO水タンク(6)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、NF装置(3)、NF水ライン(14a)、RO装置(5)、RO水ライン(18)を通ってRO水タンク(6)に戻る循環ラインである、医療用精製水の製造装置を提供する。
活性炭による吸着装置(2)と、
ナノ濾過膜装置(以下「NF装置」という)(3)と、
逆浸透膜処理装置(以下「RO装置」という)(5)と、
RO装置(5)で処理された処理水(以下「RO水」という)を貯水する加熱手段(6a)
を備えたRO水タンク(6)と、
RO水タンク(6)と接続された、原水による冷却手段を備えた熱交換器(8)を有しており、
原水供給源と活性炭装置(2)が原水供給ライン(12)で接続され、
活性炭装置(2)とNF装置(3)が前処理水ライン(13)で接続され、
NF装置(3)とRO装置(5)がNF装置で処理された処理水(以下「NF水」という)ライン(14a)で接続され、
RO装置(5)とRO水タンク(6)がRO水ライン(18)で接続され、
RO水タンク(6)とEDI装置(9)が第2RO水ライン(31)で接続され、
EDI装置(9)と、EDI装置(9)で処理された処理水(以下「EDI水」という)を貯水するためのEDI水タンク(10)がEDI水ライン(32)で接続され、
EDI水タンク(10)が取水ライン(19)に接続されており、
RO水タンク(6)と熱交換器(8)が、RO水タンク(6)から熱交換器(8)への入水ライン(19,21)と、熱交換器(8)からRO水タンク(6)への出水ライン(22)で接続されている、
医療用精製水の製造装置であって、
医療用精製水の製造運転の停止時において、熱水または冷却水を循環させる循環ラインを有しており、
前記循環ラインが、第1循環ラインと第3A循環ラインの組み合わせからなるものであり、
第1循環ラインが、RO水タンク(6)から、入水ライン(31,21)、熱交換器(8)、出水ライン(22)を通ってRO水タンク(6)に戻る循環ラインであり、
第3A循環ラインが、EDI水タンク(10)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、NF装置(3)、NF水ライン(14a)、RO装置(5)、第1RO水ライン(18)、RO水タンク(6)、第2RO水ライン(31)、EDI装置(9)、EDI水ライン(32)を通ってEDI水タンク(10)に戻る循環ラインである、医療用精製水の製造装置を提供する。
さらに熱水殺菌時および冷却時における急激な温度変化に伴う製造装置内の機器や配管の膨張・収縮などの熱的影響が軽減されるため、従来技術と比べると製造装置(特に膜や樹脂)の損傷、配管継ぎ手の接続不良等をきたすことなく、安全で安定した運転を長期間継続することができる。
また、冷却運転は、原水の装置内への直接給水・冷却を行う場合の間欠給水の開始、停止などの煩雑な操作を必要とせず、簡便かつ円滑な冷却運転が可能となる。
(1)図1の医療用精製水の製造装置とその運転方法
<医療用精製水の製造運転>
原水(水道水または地下水)は、第1原水ライン11によりプレフィルター1に送られ、大きめの異物がある場合には除去される。原水は、原水源から直接取水してもよいし、原水タンクに貯水したものを使用してもよいが、以下においては原水タンク(図示せず)に貯水した水を使用する実施形態として説明する。
プレフィルター1で処理した水は、第2原水ライン12により活性炭による吸着装置(活性炭装置)2に送られ、原水中の塩素量などが低減される。
原水源から活性炭装置3までは、原水ポンプ61を駆動させて送水する。なお、原水の水質に応じて、プレフィルター1は設置しなくてもよい。また、人工透析用の精製水製造に用いる場合は、寒冷期に水温を上昇させるためのヒーター、もしくは熱交換器をプレフィルター1の手前に設けてもよい。
前処理水ライン13には開閉弁80が設けられており、より精密な温度制御のためにラインヒーター4aを設置することができる。
NF装置3公知のものを用いることができ、例えば、GE製DurathermHWSシリーズNF膜、特許文献4に記載されたもの等を用いることができる。
NF装置3は、処理能力(処理水の製造能力)が30〜5000L/hrのものを用いることができるが、前記範囲に限定されるものではなく、精製水の供給量に応じて、適宜選択することができる。
NF装置3で処理された処理水(NF水)は、RO装置ポンプ64を駆動させてNF水ライン14によりRO装置5に送られる。NF水ライン14aには、補助加熱手段としてのラインヒーター4bを設置することができる。
NF装置3で生じた濃縮水は、一部が濃縮水排出ライン16aから排出され、残部は濃縮水循環ポンプ63を駆動させて濃縮水返送ライン16bにより前処理水ライン13に返送される。
なお、原水量に対する精製水の回収率を高めるため、濃縮水排出ライン16aにUF装置(図示せず)を設けて濾過処理することもできる。ここで濾過処理した処理水は、原水タンクに返送して原水として使用する。
第1バイパスライン15は、前処理水ライン13の活性炭装置2と開閉弁80との間から分岐しており、NF水ライン14aと濃縮水返送ライン17bの接続部よりもNF装置3側(上流側)(但し、NF水ライン14aと第2バイパスライン14bとの接続部よりも下流側)に接続されている。
第1バイパスライン15の入口側と出口側には、それぞれ開閉弁78、79が設けられている。
第2バイパスライン14bは、NF水ライン14aの第1バイパスライン15とNF水ライン14aとの接続部よりNF装置3側(上流側)の位置から分岐しており、直接RO水タンク6に接続されていてもよいし、図示するようにライン20を介してRO水タンク6に接続されていてもよいし、さらにはRO水ライン18に接続されていてもよい。第2バイパスライン14bには開閉弁82を設ける。
但し、RO膜モジュールは、膜素材、接着剤部材など耐熱性のものを用いた耐熱性RO膜モジュールを使用することが必要である。
RO装置5は、処理能力(処理水の製造能力)が30〜5000L/hrのものを用いることができるが、前記範囲に限定されるものではなく、精製水の供給量に応じて、適宜選択することができる。
RO水タンク6内には、主要加熱手段としてヒーター6aが設置されており、ヒーター6aによってRO水を加熱できるようになっている。
またRO水タンク6内には温度計が取り付けられ、タンク内の水温を外部から監視できるようになっている。
さらにタンク内の水温を均等にするため、必要に応じて撹拌装置を取り付けることもできる。
RO装置5で生じた濃縮水は、一部が濃縮水排出ライン17aから排出され、残部は濃縮水循環ポンプ65を駆動させて濃縮水返送ライン17bによりNF水ライン14aに返送される。
RO水タンク6の形状は特に制限されるものではないが、タンク内部への液の残留を防止して液の流れを円滑にする観点から、底部が円錐あるいは四角錐の錐状構造ものが好ましい。
第1取水ライン19には、取水ポンプ(UF装置ポンプ)66が設置されている。
第2取水ライン20は、さらにRO水タンク6に接続されており、取水されなかった精製水はRO水タンク6に返送される。
第1循環ラインは、RO水タンク6から、入水ライン21(一部取水ライン19を含んでいる)、熱交換器8、出水ライン22を通ってRO水タンク6に戻る循環ラインである。
熱交換器8は、第1原水ライン11とライン24で接続されており、熱交換器8内に冷却媒体としての原水を供給できるようになっている。
熱交換器8は、冷却に使用した原水の排水ライン25を有している。
熱水殺菌終了後の冷却運転開始直後は熱交換水が高温となっているため、排水ライン25内に温度計を備えた貯留ポットを設け、貯留ポット内の水温が所定温度に降下するまで原水と混合して冷却した後に排水することが望ましい。
なお、排水ライン25からの排水(原水)は水道水または地下水であるため、他の用途に利用することができる。
第2A循環ラインは、RO水タンク6から、取水ライン19、ライン23、原水供給ライン12、活性炭装置2、前処理水ライン13、NF装置3、NF水ライン14a、RO装置5、RO水ライン18を通ってRO水タンク6に戻る循環ラインである。
図1に示す製造装置による精製水の製造運転を継続して実施したときには、定期的に精製水の製造運転を停止して殺菌および冷却運転を実施する。
精製水の製造運転を停止した状態にて、ヒーター6aによりRO水タンク6内のRO水を加熱する。
加熱前のRO水の温度は室温であるか、または20〜30℃に調節されていることが望ましく、ヒーター6aによる加熱によって70℃以上の温度(好ましくは70〜100℃程度)まで、0.1〜5℃/分、好ましくは0.5〜4℃/分で少しずつ昇温させる。
前記加熱温度は前記範囲には制限されず、使用するRO膜モジュールに応じて適宜選択および変更することができる。
第1循環ラインの循環運転と並行して、第2A循環ラインの循環運転をする。このとき、開閉弁80は開け、開閉弁78、79は閉じておく。
NF装置3の加圧ポンプ62は停止しているが、濃縮水循環ポンプ63は作動させて、濃縮水返送ライン16bにも熱水を通水する。
またRO装置5の加圧ポンプ64は停止しているが、濃縮水循環ポンプ65は作動させて、濃縮水返送ライン17bにも熱水を通水する。
第1循環ラインの循環運転によりRO水タンク6内のRO水が温度ムラなく昇温され、かつ、RO水を少しずつ加熱昇温させながら第2A循環ラインに循環させることができる。
このため、最初から熱水を循環させた場合と比べると、第2A循環ライン内の装置(特に活性炭や分離膜及び配管継ぎ手、弁類)に対する熱的負荷を小さくすることができ、最終的には80〜90℃程度まで昇温させた熱水を循環させるため、十分な熱水殺菌も実施される。
また、第2A循環ラインは流路が長く、配管や装置からの放熱により熱水温度が降下するため、必要に応じてラインヒーター4a、4bにより加熱することで、殺菌媒体としての熱水の温度低下を防止するようにすることが望ましい。ラインヒーター4a、4bを設けることにより、より精密な加温速度、加熱温度の制御が容易となる。
殺菌運転は、十分な殺菌を実施し、かつ活性炭や分離膜への熱的影響を抑制するため、RO装置5内に通水される熱水の温度が80〜90℃程度になった後、少なくとも10分間循環させた後で停止することが好ましい。
第2A循環ラインを用いた加熱、殺菌の循環運転においては、NF装置3の加圧ポンプ62、およびRO装置5の加圧ポンプ64を停止しているため、RO装置5への加熱水流量が減少し、流量制御や温度制御の調整が難しくなる場合がある。このような場合には、第2B循環ラインと第2C循環ラインの両方を使用した加熱、殺菌の循環運転を実施することが好ましい。
第2B循環ラインと第2C循環ラインの両方を使用した加熱、殺菌の循環運転においては、ラインヒーター4a、4bを作動させ、開閉弁78、79、80、81、82は開けておく。
このとき、開閉弁79を通ってNF水ライン14aに流入する加熱水がNF装置3側に逆流しないように、NF水ライン14aの開閉弁79の流入部より上流側に逆止弁(図示せず)を設けることが望ましい。
第2B循環ラインおよび第2C循環ラインの加熱、殺菌の循環運転は、上記の両方同時の循環運転とは別に、それぞれ単独で加熱、殺菌の循環運転を行うこともできる。
冷却運転は、次の手順で実施する。
熱水殺菌運転の終了後に、RO水タンク6内の加熱及びラインヒーター4a、4bの加熱を停止し、次いで開閉弁73を開けて、ライン24を通して熱交換器8に冷却媒体として原水を供給する。
そして、第1循環ラインの循環運転を実施しながらRO水を冷却する。このときの冷却速度は、流量調節弁72の流量を調整すること等で調整することができる。
第1循環ラインの循環運転によりRO水タンク6内の水温は少しずつ低下され、最終的には20〜30℃程度まで低下されることになる。降温速度は、好ましくは0.1〜5℃/分、より好ましくは0.5〜4℃/分で調節する。
このとき、NF装置3の加圧ポンプ62は停止しているが、濃縮水循環ポンプ63は作動させて、濃縮水返送ライン16bにも通水する。
またRO装置の加圧ポンプ64は停止しているが、濃縮水循環ポンプ65は作動させて、濃縮水返送ライン17bにも通水する。
このようにRO水の温度を少しずつ低下させながら第2A循環ライン、第2B循環ライン、第2C循環ライン中に循環させるため、最初から冷水(室温の水)を循環させた場合と比べると、第2A循環ライン、第2B循環ライン、第2C循環ライン内の装置(特に活性炭や分離膜及び配管継ぎ手、弁類)の急激な温度低下に伴う収縮などの熱的影響が軽減される。また、冷却運転は、原水の装置内への直接給水・冷却を行う場合の間欠給水の開始、停止などの煩雑な操作を必要とせず、簡便かつ円滑な冷却運転が可能となる。
UF装置7を含む循環ラインに対しても殺菌運転をしたときは、同様の冷却運転を実施する。UF装置7を含む循環ラインの冷却運転は、RO装置5を含む循環ラインおよび装置等の冷却運転と同時に行っても、別個に行ってもよい。
なお、熱水による殺菌運転と冷却運転は、中断することなく連続して実施することが望ましい。
また、熱水殺菌の終了後に医療用精製水の製造運転を行うが、人工透析治療が終了した夜間や休日も、第1循環ライン、第2A循環ライン、第2B循環ライン、第2C循環ライン、UF装置7を含む循環ラインの循環運転(RO水の循環運転)を継続することが、菌の生育を防止する上で好ましい。
図2の製造装置は、さらにEDI装置9とEDI水タンク10が付加されたこと、それに伴いラインが変更されたことが図1の製造装置とは異なっている。
EDI装置9としては、例えば、特開2007−252396号公報、特開2007−237062号公報、特開平11−244853号公報、特開2001−239270号公報、特開2001−353498号公報、特開2004−74109号公報に記載のもののほか、市販のEDI装置である、EDIシステムシリーズ,商品名MOLSEP(登録商標)(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)販売)、実施例で使用したもの等を用いることができる。
但し、イオン交換樹脂、イオン交換膜、接着剤などの部材は耐熱性のものを使用することが必要である。
RO水ライン31からの供給液量は、好ましくは50〜4500L/hrであり、
EDI処理水量(脱塩水量)は、好ましくは30〜4000L/hrであり、
濃縮水流量は、好ましくは供給液量の5%〜40%の流量であり、
印加電圧は30〜1000Vが好ましく、印加電流は0.2〜6A、印加電流密度で0.05〜4A/dm2が好ましい。
EDI水タンク10内には、必要に応じて加熱手段を設置することができる。
EDI装置10で生じた濃縮水は、濃縮水ライン33から排出される。
なお、EDI水タンク10とRO水タンク6は、開閉弁を備えた連通管34で連通されていてもよい。
第1取水ライン19には、取水ポンプ(UF装置ポンプ)66が設置されている。
第2取水ライン20は、さらにRO水タンク6に接続されており、取水されなかった精製水はRO水タンク6に返送される。
第1循環ラインは、RO水タンク6から、入水ライン21(一部は第2RO水ライン31を含む)、熱交換器8、出水ライン22を通ってRO水タンク6に戻る循環ラインである。図2では、RO水タンク6から熱交換器8への送液は、EDI供給ポンプ67を用いているが、別のポンプ(図示せず)を用いて行うこともできる。
熱交換器8は、第1原水ライン11とライン24で接続されており、熱交換器8内に冷却媒体としての原水を供給できるようになっている。
熱交換器8は、冷却に使用した原水の排水ライン25を有している。
熱水殺菌終了後の冷却運転開始直後は熱交換水が高温となっているため排水ライン25内に温度計を備えた貯留ポットを設け、貯留ポット内の水温が所定温度に降下するまで原水と混合させて冷却した後に排水する。
なお、排水ライン25からの排水(原水)は水道水または地下水であるため、他の用途に利用することができる。
図2に示す製造装置による精製水の製造運転を継続して実施したときには、定期的に精製水の製造運転を停止して殺菌および冷却運転を実施する。
精製水の製造運転を停止した状態にて、ヒーター6aによりRO水タンク6内のRO水を加熱する。
加熱前のRO水の温度は20〜30℃に調節されており、ヒーター6aによる加熱によって70℃以上の温度(好ましくは70〜100℃程度)まで、好ましくは0.1〜5℃/分、より好ましくは0.5〜4℃/分で少しずつ昇温させる。
前記加熱温度は前記範囲には制限されず、使用するRO膜モジュールやEDI装置に応じて適宜選択および変更することができる。
第1循環ラインの循環運転と並行して、第3A循環ラインの循環運転をする。このとき、開閉弁80は開け、開閉弁78、79は閉じておく。
NF装置3の加圧ポンプ62は停止しているが、濃縮水循環ポンプ63は作動させて、濃縮水返送ライン16bにも熱水を通水する。
またRO装置5の加圧ポンプ64は停止しているが、濃縮水循環ポンプ65は作動させて、濃縮水返送ライン17bにも熱水を通水する。
さらに、EDI供給ポンプ67は通常のEDI運転時より低圧(EDI入口圧で0.1MPa)で作動させてEDI装置9に加熱RO水を供給する。
また、上記の加熱運転において、EDI水タンク10とRO水タンク6を接続する連通管34に設けられた開閉バルブを開き、両タンクの水を連通させることにより、EDI水タンク10内の加温を促進させるとともに、循環運転に伴う両タンクの水位をバランス良く、適正水位に保つこともできる。
第3A循環ラインを用いた加熱、殺菌の循環運転においては、NF装置3の加圧ポンプ62、およびRO装置5の加圧ポンプ64を停止しているため、RO装置5への加熱水流量が減少し、流量制御や温度制御の調整が難しくなる場合がある。このような場合には、第3B循環ラインと第3C循環ラインの両方を使用した加熱、殺菌の循環運転を実施することが好ましい。
第3B循環ラインと第3C循環ラインの両方を使用した加熱、殺菌の循環運転においては、ラインヒーター4a、4bを作動させ、開閉弁78、79、80、81、82は開けておく。
このとき、開閉弁79を通ってNF水ライン14aに流入する加熱水がNF装置3側に逆流しないように、NF水ライン14aの開閉弁79の流入部より上流側に逆止弁(図示せず)を設けることが望ましい。
第3B循環ラインおよび第3C循環ラインの加熱、殺菌の循環運転は、上記の両方同時の循環運転とは別に、それぞれ単独で加熱、殺菌の循環運転を行うこともできる。
第1循環ラインの循環運転によりRO水タンク6内のRO水が温度ムラなく昇温され、かつ、RO水を少しずつ加熱昇温させながら第3A循環ライン、または第3B循環ラインおよび第3C循環ラインの循環運転が実施される。
このため、最初から熱水を循環させた場合と比べると、第3A循環ライン、または第3B循環ラインおよび第3C循環ライン内の装置(特に活性炭や分離膜及び配管継ぎ手、弁類)に対する熱的負荷を小さくすることができ、最終的には70〜90℃程度まで昇温させた熱水を循環させるため、十分な熱水殺菌も実施される。
また、第3A循環ライン、第3B循環ライン、第3C循環ラインは流路が長く、配管や装置からの放熱により熱水温度が降下するため、必要に応じてラインヒーター4a、4bにより加熱することで、殺菌媒体としての熱水の温度低下を防止するようにすることが望ましい。ラインヒーター4a、4bを設けることにより、より精密な加温速度、加熱温度の制御が容易となる。
殺菌運転は、十分な殺菌を実施し、かつ活性炭や分離膜への熱的影響を抑制するため、RO装置5内に通水される熱水の温度が70〜90℃程度になった後、熱水の温度が70〜80℃の場合は、少なくとも30分間循環させ、熱水の温度が80〜90℃の場合は、少なくとも10分間循環させた後で停止することが好ましい。
熱水殺菌運転の終了後に、RO水タンク6内の加熱及びラインヒーター4a、4bの加熱を停止し、次いで開閉弁73を開けて、ライン24を通して熱交換器8に冷却媒体として原水を供給する。
そして、第1循環ラインの循環運転を実施しながらRO水を冷却する。このときの冷却速度は、流量調節弁72の流量を調整すること等で調整することができる。
第1循環ラインの循環運転によりRO水タンク6内の水温は少しずつ低下され、最終的には20〜30℃程度まで低下されることになる。降温速度は、好ましくは0.1〜5℃/分、より好ましくは0.5〜4℃/分で調節する。
このとき、NF装置3の加圧ポンプ62は停止しているが、濃縮水循環ポンプ63は作動させて、濃縮水返送ライン16bにも通水する。
またRO装置の加圧ポンプ64は停止しているが、濃縮水循環ポンプ65は作動させて、濃縮水返送ライン17bにも通水する。
このようにRO水の温度を少しずつ低下させながら第3A循環ライン、第3B循環ライン、第3C循環ライン中に循環させるため、最初から冷水(室温の水)を循環させた場合と比べると、第3A循環ライン、第3B循環ライン、第3C循環ライン内の装置(特に活性炭や分離膜及び配管継ぎ手、弁類)の急激な温度低下に伴う収縮などの熱的影響が軽減される。また、冷却運転は、原水の装置内への直接給水・冷却を行う場合の間欠給水の開始、停止などの煩雑な操作を必要とせず、簡便かつ円滑な冷却運転が可能となる。
UF装置7を含む循環ラインに対しても殺菌運転をしたときは、同様の冷却運転を実施する。UF装置7を含む循環ラインの冷却運転は、RO装置5を含む循環ラインおよび装置等の冷却運転と同時に行っても、別個に行ってもよい。
なお、熱水による殺菌運転と冷却運転は、中断することなく連続して実施することが望ましい。
また、熱水殺菌の終了後に医療用精製水の製造運転を行うが、人工透析治療が終了した夜間や休日も、第1循環ライン、第3A循環ライン、第3B循環ライン、第3C循環ライン、UF装置7を含む循環ラインの循環運転(RO水および/またはEDI水の循環運転)殺菌運転と冷却運転の組み合わせ)を継続することが、菌の生育を防止する上で好ましい。
2 活性炭装置
3 NF装置
4a、4b ラインヒーター
5 RO装置
6 RO水タンク
7 UF装置
8 熱交換器
9 EDI装置
10 EDI水タンク
14b 第2バイパスライン
15 第1バイパスライン
Claims (11)
- 活性炭による吸着装置(2)と、
ナノ濾過膜装置(以下「NF装置」という)(3)と、
逆浸透膜処理装置(以下「RO装置」という)(5)と、
RO装置(5)で処理された処理水(以下「RO水」という)を貯水する加熱手段(6a)を備えたRO水タンク(6)と、
RO水タンク(6)と接続された、原水による冷却手段を備えた熱交換器(8)を有しており、
原水供給源と活性炭装置(2)が原水供給ライン(11,12)で接続され、
活性炭装置(2)とNF装置(3)が前処理水ライン(13)で接続され、
NF装置(3)とRO装置(5)がNF装置で処理された処理水(以下「NF水」という)ライン(14a)で接続され、
RO装置(5)とRO水タンク(6)がRO水ライン(18)で接続され、
RO水タンク(6)と取水部が取水ライン(19,20)で接続されており、
RO水タンク(6)と熱交換器(8)が、RO水タンク(6)から熱交換器(8)への入水ライン(19,21)と、熱交換器(8)からRO水タンク(6)への出水ライン(22)で接続されている、医療用精製水の製造装置であって、
医療用精製水の製造運転の停止時において、熱水または冷却水を循環させる循環ラインを有しており、
前記循環ラインが、第1循環ラインと第2A循環ラインの組み合わせからなるものであり、
第1循環ラインが、RO水タンク(6)から、入水ライン(19,21)、熱交換器(8)、出水ライン(22)を通ってRO水タンク(6)に戻る循環ラインであり、
第2A循環ラインが、RO水タンク(6)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、NF装置(3)、NF水ライン(14a)、RO装置(5)、RO水ライン(18)を通ってRO水タンク(6)に戻る循環ラインである、医療用精製水の製造装置。 - さらに前処理水ライン(13)からNF装置(3)を通らずにNF水ライン(14a)に至る第1バイパスライン(15)と、NF水ライン(14a)からRO装置(5)を通らずにRO水タンク(6)に至る第2バイパスラインを有しており、
前記第1バイパスライン(15)を利用するとき、前記第2A循環ラインに代えて、RO水タンク(6)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、第1バイパスライン(15)、NF水ライン(14a)、RO装置(5)、RO水ライン(18)を通ってRO水タンク(6)に戻る第2B循環ラインを使用し、
前記第2バイパスラインを利用するとき、前記第2A循環ラインに代えて、RO水タンク(6)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、NF装置(3)を通った後、NF水ライン(14a)の第1バイパスライン(15)とNF水ライン(14a)との接続部よりNF装置(3)側の位置から、直接または他のラインを利用してRO水タンク(6)に戻る第2C循環ラインを使用する、請求項1記載の医療用精製水の製造装置。 - さらに取水ラインに限外濾過膜装置(7)が設けられており、限外濾過膜装置(7)とRO水タンク(6)が取水ライン(18)で接続されている、請求項1または2記載の医療用精製水の製造装置。
- 活性炭による吸着装置(2)と、
ナノ濾過膜装置(以下「NF装置」という)(3)と、
逆浸透膜処理装置(以下「RO装置」という)(5)と、
RO装置(5)で処理された処理水(以下「RO水」という)を貯水する加熱手段(6a)
を備えたRO水タンク(6)と、
RO水タンク(6)と接続された、原水による冷却手段を備えた熱交換器(8)を有しており、
原水供給源と活性炭装置(2)が原水供給ライン(11,12)で接続され、
活性炭装置(2)とNF装置(3)が前処理水ライン(13)で接続され、
NF装置(3)とRO装置(5)がNF装置で処理された処理水(以下「NF水」という)ライン(14a)で接続され、
RO装置(5)とRO水タンク(6)がRO水ライン(17)で接続され、
RO水タンク(6)とEDI装置(9)が第2RO水ライン(31)で接続され、
EDI装置(9)と、EDI装置(9)で処理された処理水(以下「EDI水」という)を貯水するためのEDI水タンク(10)がEDI水ライン(32)で接続され、
EDI水タンク(10)が取水ライン(19)に接続されており、
RO水タンク(6)と熱交換器(8)が、RO水タンク(6)から熱交換器(8)への入水ライン(31,21)と、熱交換器(8)からRO水タンク(6)への出水ライン(22)で接続されている、
医療用精製水の製造装置であって、
医療用精製水の製造運転の停止時において、熱水または冷却水を循環させる循環ラインを有しており、
前記循環ラインが、第1循環ラインと第3A循環ラインの組み合わせからなるものであり、
第1循環ラインが、RO水タンク(6)から、入水ライン(31,21)、熱交換器(8)、出水ライン(22)を通ってRO水タンク(6)に戻る循環ラインであり、
第3A循環ラインが、EDI水タンク(10)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、NF装置(3)、NF水ライン(14a)、RO装置(5)、第1RO水ライン(18)、RO水タンク(6)、第2RO水ライン(31)、EDI装置(9)、EDI水ライン(32)を通ってEDI水タンク(10)に戻る循環ラインである、医療用精製水の製造装置。 - さらに前処理水ライン(13)からNF装置(3)を通らずにNF水ライン(14a)に至る第1バイパスライン(15)と、NF水ライン(14a)からRO装置(5)を通らずにRO水タンク(6)に至る第2バイパスラインを有しており、
前記第1バイパスライン(15)を利用するとき、前記第3A循環ラインに代えて、EDI水タンク(10)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、第1バイパスライン(15)、RO装置(5)、第1RO水ライン(18)、RO水タンク(6)、第2RO水ライン(31)、EDI装置(9)、EDI水ライン(32)を通ってEDI水タンク(10)に戻る第3B循環ラインを使用し、
前記第2バイパスラインを利用するとき、前記第3A循環ラインに代えて、EDI水タンク(10)から、取水ライン(19)、ライン(23)、原水供給ライン(12)、活性炭装置(2)、前処理水ライン(13)、NF装置(3)を通った後、NF水ライン(14a)の第1バイパスライン(15)とNF水ライン(14a)との接続部よりNF装置(3)側の位置から、直接または他のラインを利用してRO水タンク(6)に戻り、第2RO水ライン(31)、EDI装置(9)、EDI水ライン(32)を通ってEDI水タンク(10)に戻る第3C循環ラインを使用する、請求項4記載の医療用精製水の製造装置。 - さらに取水ラインに限外濾過膜装置(7)が設けられており、限外濾過膜装置(7)とEDI水タンク(10)が取水ライン(19)で接続されている、請求項4または5記載の医療用精製水の製造装置。
- 請求項1記載の医療用精製水の製造装置による医療用精製水の製造方法であって、
医療用精製水の製造方法が、医療用精製水の製造運転を停止した状態で殺菌と冷却のための運転をすることを含んでおり、
前記殺菌運転が、
加熱手段によりRO水タンク内のRO水を加熱して0.1〜5℃/分で温度を上げながら第1循環ラインに循環させる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して前記RO水を第2A循環ラインに循環させる運転を含んでおり、
前記冷却運転が、
前記加熱手段による加熱を停止した後、前記RO水を第1循環ラインに循環させながら0.1〜5℃/分で温度を下げる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して前記RO水を第2A循環ラインに循環させる運転を含んでいる、医療用精製水の製造装置の運転方法。 - 請求項2記載の医療用精製水の製造装置による医療用精製水の製造方法であって、
前記殺菌運転が、
第2A循環ラインに循環させる運転に代えて、第2B循環ラインと第2C循環ラインの両方に循環させる運転を含んでおり、
前記冷却運転が、
前記加熱手段による加熱を停止した後、前記RO水を第1循環ラインに循環させながら0.1〜5℃/分で温度を下げる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して前記RO水を第2B循環ラインと第2C循環ラインの両方に循環させる運転を含んでいる、医療用精製水の製造装置の運転方法。 - 請求項4記載の医療用精製水の製造装置による医療用精製水の製造方法であて、
医療用精製水の製造方法が、医療用精製水の製造運転を停止した状態で殺菌と冷却のための運転をすることを含んでおり、
前記殺菌運転が、
加熱手段によりRO水タンク内のRO水を加熱して0.1〜5℃/分で温度を上げながら、前記RO水を第1循環ラインに循環させる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して前記RO水を第3A循環ラインに循環させる運転を含んでおり、
前記冷却運転が、
前記加熱手段による加熱を停止した後、前記RO水を第1循環ラインに循環させながら0.1〜5℃/分で温度を下げる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して第3A循環ラインに循環させる運転を含んでいる、医療用精製水の製造装置の運転方法。 - 請求項5記載の医療用精製水の製造装置による医療用精製水の製造方法であって、
医療用精製水の製造方法が、医療用精製水の製造運転を停止した状態で殺菌と冷却のための運転をすることを含んでおり、
前記殺菌運転が、
加熱手段によりRO水タンク内のRO水を加熱して0.1〜5℃/分で温度を上げながら、前記RO水を第1循環ラインに循環させる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して前記RO水を第3B循環ラインと第3C循環ラインの両方に循環させる運転を含んでおり、
前記冷却運転が、
前記加熱手段による加熱を停止した後、前記RO水を第1循環ラインに循環させながら0.1〜5℃/分で温度を下げる運転と、
第1循環ラインに循環させる運転と並行して第3B循環ラインと第3C循環ラインの両方に循環させる運転を含んでいる、医療用精製水の製造装置の運転方法。 - 医療用精製水の製造運転を停止した後、次に医療用精製水の製造運転を再開するまでの間、精製水の循環運転を実施する、請求項7〜10のいずれか1項記載の医療用精製水の製造装置の運転方法。
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