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JP2014024913A - 高性能タイヤ用ゴム組成物及び高性能タイヤ - Google Patents

高性能タイヤ用ゴム組成物及び高性能タイヤ Download PDF

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JP2014024913A
JP2014024913A JP2012164946A JP2012164946A JP2014024913A JP 2014024913 A JP2014024913 A JP 2014024913A JP 2012164946 A JP2012164946 A JP 2012164946A JP 2012164946 A JP2012164946 A JP 2012164946A JP 2014024913 A JP2014024913 A JP 2014024913A
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Japan
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rubber composition
mass
rubber
performance
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JP2012164946A
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Shuichi Sakamoto
秀一 坂本
Takayuki Nagase
隆行 永瀬
Masanobu Nakamura
匡伸 中村
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できる高性能タイヤ用ゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いた高性能タイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、カーボンブラックと、酸性及び塩基性官能基を有する両性化合物とを含有する高性能タイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高性能タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた高性能タイヤに関する。
高性能タイヤのビードエイペックス用ゴム組成物には、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性等、種々の性能が要求され、これらの性能を確保するため、従来より様々な工夫がなされている。
例えば、操縦安定性を向上させるためには、カーボンブラックの配合量を増量してゴムの剛性を高めることが、有効な手段の一つであることが知られている。しかし、多量のカーボンブラックを配合すると、発熱が高くなりすぎることで、熱ダレが生じる傾向にあった。
そこで、操縦安定性を維持しながらも、熱ダレ性能を向上させるために、架橋密度を高めることが行われてきた。しかし、この手法では、操縦安定性や熱ダレ性能には、一定の効果が得られるものの、破壊特性が低下する傾向にあった。
また、特許文献1には、ジアミン化合物の添加によりカーボンブラックの分散性を向上し、低発熱性を改善する技術が提案されている。しかしながら、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善するという点については、未だに改善の余地を残している。
特許第2912845号
本発明は、前記課題を解決し、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できる高性能タイヤ用ゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いた高性能タイヤを提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、カーボンブラックと、酸性及び塩基性官能基を有する両性化合物とを含有する高性能タイヤ用ゴム組成物に関する。
上記両性化合物が下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014024913
(式(I)中、Rは、炭素数2〜30のアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。Aは、酸性官能基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、又は炭素数1〜20のアルコキシシリル基を表す。式(I)で表される化合物は、該化合物の金属塩でもよい。)
上記両性化合物が下記式(I−1)及び/又は下記式(I−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014024913
(式(I−1)中、pは2〜8の整数を表す。式(I−2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。)
上記式(I−2)中のMr+で表される金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンであることが好ましい。
上記高性能タイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含むことが好ましい。
上記高性能タイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が10〜50質量%であることが好ましい。
上記両性化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して0.5〜6質量部であることが好ましい。
上記高性能タイヤ用ゴム組成物は、ビードエイペックス用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した高性能タイヤに関する。
本発明によれば、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、カーボンブラックと、酸性及び塩基性官能基を有する両性化合物とを含有する高性能タイヤ用ゴム組成物であるので、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できる。
本発明の高性能タイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム(NR)及びジエン系合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、カーボンブラックと、酸性及び塩基性官能基を有する両性化合物とを含有する。
天然ゴムやジエン系合成ゴムに、カーボンブラックと、酸性官能基及び塩基性官能基の両官能基を有する両性化合物とを配合すると、該両性化合物の酸性官能基がゴムと反応し、塩基性官能基がカーボンブラック表面と反応するため、カーボンブラックの分散性が向上するとともに、カーボンブラックの拘束により発熱を適度に抑制できる。従って、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できる。
本発明では、ゴム成分として、NR、ジエン系合成ゴム(イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)など)が使用される。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性がバランスよく得られるという理由から、NR、SBRが好ましい。
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。スチレン含量が10質量%未満であると、充分な操縦安定性が得られないおそれがある。該スチレン含量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。スチレン含量が30質量%を超えると、発熱性や温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなり、例えば、熱ダレ性能が低下する傾向がある。
なお、本発明において、SBRのスチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な操縦安定性、熱ダレ性能が得られないおそれがある。また、SBRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。50質量%を超えると、発熱性や温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなり、例えば、熱ダレ性能が低下する傾向がある。また、充分な破壊特性が得られない傾向がある。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。50質量%未満であると、発熱性や温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなり、例えば、熱ダレ性能が低下する傾向がある。また、充分な破壊特性が得られない傾向がある。また、NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、充分な操縦安定性、熱ダレ性能が得られないおそれがある。
本発明では、カーボンブラックが使用される。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は30m/g以上が好ましく、60m/g以上がより好ましい。30m/g未満では、充分な補強性が得られず、充分な操縦安定性、破壊特性、グリップ性能が得られないおそれがある。該NSAは、120m/g以下が好ましく、90m/g以下がより好ましい。120m/gを超えると、発熱が大きくなり、熱ダレ性能が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックのオイル吸収量(OAN)は、50ml/100g以上が好ましく、90ml/100g以上がより好ましい。50ml/100g未満では、充分な補強性が得られず、充分な操縦安定性、破壊特性、グリップ性能が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのOANは、200ml/100g以下が好ましく、125ml/100g以下がより好ましい。200ml/100gを超えると、ゴムが硬くなり、グリップ性能が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのOANは、ASTM D2414に準拠して測定される。
カーボンブラックのよう素吸着量(IA)は、好ましくは50mg/g以上、より好ましくは70mg/g以上である。50mg/g未満では、破壊特性、グリップ性能が低下する傾向にある。また、該IAは、好ましくは100mg/g以下、より好ましくは90mg/g以下である。100mg/gを超えると、発熱が大きくなり、熱ダレ性能が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのよう素吸着量は、JIS K 6217−1:2008に基づいて測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。50質量部未満では、充分な操縦安定性、グリップ性能、破壊特性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。100質量部を超えると、発熱が大きくなり、熱ダレ性能が低下する傾向がある。
本発明では、酸性官能基と塩基性官能基とを有する両性化合物が使用される。酸性官能基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、チオスルホン酸基(−SSOH)、ジチオカルボン酸基(−CSSH)、炭素数1〜20のアルキル基を有するチオアルキルカルボン酸基(−SRCOOH:Rは直鎖状又は分岐状のアルキル基)、フェノール性水酸基などが挙げられ、なかでも、チオスルホン酸基が好ましい。塩基性官能基としては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基などが挙げられる。両性化合物は、該化合物の金属塩でもよい。
上記両性化合物として、下記式(I)で表される化合物を好適に使用できる。
Figure 2014024913
(式(I)中、Rは、炭素数2〜30のアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。Aは、酸性官能基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、又は炭素数1〜20のアルコキシシリル基を表す。式(I)で表される化合物は、該化合物の金属塩でもよい。)
式(I)の窒素を含む官能基部分は、カーボンブラック表面に存在するカルボキシル基などの含酸素親水性官能基と反応することでカーボンブラックと結合し、酸性官能基部分は、ポリマーの二重結合と反応する。そのため、反応により、ポリマーが拘束されているため、適度に発熱性を抑えることも可能となる。よって、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できる。
のアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜12である。Rは直鎖状、分岐状のいずれでも良く、アルキレン基の具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基など、アルケニレン基の具体例としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基など、アルキニレン基の具体例としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基などが挙げられる。Rとしては、アルキレン基が好ましい。
Aの酸性官能基としては、前述の同様のものが挙げられる。R及びRの炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基など、アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられ、炭素数1〜20のアルコキシシリル基としては、トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基などが挙げられる。R及びRとしては、水素原子が好ましい。
本発明では、両性化合物として、下記式(I−1)で表される化合物及び/又は下記式(I−2)で表される化合物を使用することが好ましい。
Figure 2014024913
(式(I−1)中、pは2〜8の整数を表す。式(I−2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。)
上記式(I−2)で表される化合物は任意の公知の方法により製造できる。例えば、ハロアルキルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩及びジハロアルカンを反応させて得られた化合物と、チオ硫酸ナトリウムとを反応させ、得られた化合物を加水分解する方法などが挙げられる。
具体的には、qが6の化合物の場合、6−ハロヘキシルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩及び1,6−ジハロヘキサンを反応させて得られた化合物と、チオ硫酸ナトリウムとを反応させ、得られた化合物を加水分解する方法などが挙げられる。
また、qが3の化合物の場合、3−ハロプロピルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩及び1,3―ジハロプロパンを反応させて得られた化合物と、チオ硫酸ナトリウムとを反応させ、得られた化合物を加水分解する方法などが挙げられる。
上記式(I−1)で表される化合物は、例えば、上記式(I−2)で表される化合物とプロトン酸とを反応させることにより製造できる。
本発明では、式(I−1)及び(I−2)で表される化合物の混合物も使用できる。該混合物は、式(I−1)で表される化合物と式(I−2)で表される化合物とを混合する方法、上記Mで示される金属を含有する水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩などを用いて式(I−1)で表される化合物の一部を金属塩化する方法、プロトン酸を用いて式(I−2)で表される化合物の一部を中和する方法により製造できる。このようにして製造した式(I−1)、(I−2)で表される化合物は、濃縮、晶析などの操作により、反応混合物から取り出すことができ、取り出された式(I−1)、(I−2)で表される化合物は、通常0.1〜5%程度の水分を含む。また、本発明では、式(I−1)で表される化合物のみ、又は式(I−2)で表される化合物のみを用いることもできる。更に、複数種の式(I−1)で表される化合物、式(I−2)で表される化合物を併用することもできる。
式(I−1)中、pは2〜8の整数を表し、2〜5が好ましい。式(I−2)中、qは2〜8の整数を表し、2〜5が好ましい。
r+で示される金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン及び亜鉛イオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。rは金属イオンの価数を表し、当該金属において可能な範囲であれば、限定されない。通常rは、金属イオンがアルカリ金属イオンの場合は1、コバルトイオンの場合は2又は3、銅イオンの場合は1〜3の整数、亜鉛イオンの場合は2である。上記製法によれば、通常、式(I−1)で表される化合物のナトリウム塩が得られるが、カチオン交換反応を行うことで他の金属塩に変換できる。
上記式(I−1)、(I−2)で表される化合物のメディアン径は、好ましくは0.05〜100μmの範囲であり、より好ましくは1〜100μmの範囲である。メディアン径は、レーザー回折法にて測定できる。
上記式(I−1)、(I−2)で表される化合物は、予め担持剤と混合してから使用してもよい。担持剤としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」第510〜513頁に記載されている「無機充てん剤、補強剤」が挙げられ、なかでも、カーボンブラック、シリカ、焼成クレー、水酸化アルミニウムが好ましい。担持剤の使用量は、特に限定されないが、上記式(I−1)及び/又は上記式(I−2)で表される化合物の合計量100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲が好ましい。
本発明のゴム組成物において、上記両性化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。0.5質量部未満であると、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5.5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。6質量部を超えると、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できないおそれがある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、クレー、タルクなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、オイルなどの軟化剤、芳香族系石油樹脂、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
本発明で使用できる軟化剤としては、特に限定するものではないが、例えば、オイルであればアロマチックオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油が挙げられる。これら軟化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、本発明の効果が好適に得られるという理由から、オイルの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜15質量部、より好ましくは1〜10質量部である。ここで、オイルの配合量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
本発明では、本発明の効果が好適に得られるという理由から、芳香族系石油樹脂を配合することが好ましい。芳香族系石油樹脂としては、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂、ロジン樹脂、DCPD樹脂などがあげられる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、フェノール系樹脂が好ましい。
フェノール系樹脂としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂などが挙げられる。上記フェノール樹脂は、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるものであり、上記変性フェノール樹脂は、カシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどの化合物を用いて変性したフェノール樹脂である。
フェノール系樹脂としては、硬化反応により良好な硬度が得られるという点から、変性フェノール樹脂が好ましく、カシューオイル変性フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂がより好ましい。
上記カシューオイル変性フェノール樹脂としては、下記式(1)で示されるものを好適に使用できる。
Figure 2014024913
式(1)中、pは、反応性が良く、分散性が向上する点で、1〜9の整数であり、5〜6が好ましい。
芳香族系石油樹脂の軟化点は、好ましくは50℃以上、よリ好ましくは80℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下である。上記範囲内であると、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できる。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
芳香族系石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上である。2質量部未満では、操縦安定性、グリップ性能の改善効果が充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。25質量部を超えると、温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなり、例えば、熱ダレ性能が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、フェノール系樹脂を配合する場合、フェノール系樹脂の硬化作用を有する硬化剤を更に含むことが好ましい。これにより、本発明の効果が良好に得られる。上記硬化剤としては、上記硬化作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(HMT)、ヘキサメトキシメチロールメラミン(HMMM)、ヘキサメトキシメチロールパンタメチルエーテル(HMMPME)、メラミン、メチロールメラミンなどが挙げられる。なかでも、フェノール系樹脂の硬度を上昇させる作用に優れるという点から、HMT、HMMM、HMMPMEが好ましい。
硬化剤の含有量は、フェノール系樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。1質量部未満であると、充分に硬化できない場合がある。該含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。20質量部を超えると、硬化が不均一になるおそれや、押出し時にスコーチが発生するおそれがある。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スコーチ時間と加硫時間をバランスさせられるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。上記範囲内に調整することで、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。本発明のゴム組成物は、高性能タイヤのビードエイペックスに好適に使用できる。
本発明の高性能タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でビードエイペックス等の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、製造例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
3−ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩:関東化学(株)製
チオ硫酸ナトリウム・五水和物:関東化学(株)製
フタルイミドカリウム:関東化学(株)製
ジメチルホルムアミド:関東化学(株)製
1,6−ジブロモヘキサン:関東化学(株)製
ヒドラジン・一水和物:関東化学(株)製
(製造例1 S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸(両性化合物A))
窒素ガスで置換した反応容器に3−ブロモプロピルアミン臭化水素酸塩75g、チオ硫酸ナトリウム・五水和物85.26g、メタノール375ml、水375mlを加え、これらの混合物を70℃、5時間還流した。放冷した後、減圧下でメタノールを除去した。残渣に水酸化ナトリウム13.68gを加え、室温で1時間攪拌した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた残渣にエタノール600mlを加えて1.5時間還流した。熱ろ過を行い、ろ液を減圧下で濃縮し結晶を得た。結晶をろ過により取り出し、エタノールで洗浄し、更にヘキサンでの洗浄を行った。得られた結晶を真空乾燥し、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸ナトリウムを得た。
窒素ガスで置換した反応容器にS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸ナトリウム52g、水90ml、5mol/l塩酸を加え、得られた溶液を減圧下で濃縮し、ろ過により結晶を取り出した。得られた結晶を真空乾燥し、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸を得た。
Figure 2014024913
(製造例2 S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸(両性化合物B))
反応容器に、フタルイミドカリウム99.2g及びジメチルホルムアミド480mlを加えた。この混合物に1,6−ジブロモヘキサン200gとジメチルホルムアミド200mlとの混合物を室温で滴下した。滴下終了後、得られた混合物を120℃まで昇温して5時間還流し、放冷後、反応混合物から溶媒を留去した。酢酸エチルと水とを加えて分液した後、有機層を濃縮した。得られた残渣にヘキサンと酢酸エチルを加え、結晶を析出させた。結晶を取り出し、真空乾燥して、N−(6−ブロモヘキシル)フタルイミドを得た。
反応容器に、N−(6−ブロモヘキシル)フタルイミド40g、チオ硫酸ナトリウム・五水和物32.0g、メタノール200ml、水200mlを加え、これらの混合物を5時間還流させ、放冷後、反応混合物から溶媒を留去した。得られた残渣に、エタノール200mlを加えて1.5時間還流した。熱ろ過を行い、ろ液を減圧下で濃縮し結晶を得た後、静置した。結晶をろ過により取り出し、エタノールで洗浄し、更にヘキサンでの洗浄を行った。得られた結晶を真空乾燥し、6−フタルイミドヘキシルチオ硫酸ナトリウム塩を得た。
窒素置換した反応容器に、6−フタルイミドヘキシルチオ硫酸のナトリウム塩20.0g(54.7mmol)及びエタノール200mlを仕込み、得られた混合物にヒドラジン・一水和物4.25g(84.8mmol)を滴下した。滴下終了後、得られた混合物を70℃で5時間攪拌した後、減圧下でエタノールを留去した。残渣にメタノール100mlを加えて1時間還流させた。熱ろ過により結晶を取得し、これをメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム塩を得た。
窒素ガスで置換した反応容器に、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸ナトリウム26g、水45ml、5mol/l塩酸を加え、得られた溶液を減圧下で濃縮し、ろ過により結晶を取り出した。得られた結晶を真空乾燥し、S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸を得た。
Figure 2014024913
上記製造例1〜2で得られた両性化合物A〜Bのメディアン径(50%D)を、(株)島津製作所製SALD一2000J型を用い、レーザー回折法(測定操作は下記のとおり)により測定したところ、メディアン径(50%D)は66.7μmであった。得られた両性化合物A〜Bを粉砕し、そのメディアン径(50%D)を14.6μmに調製し、以下の実施例で使用した。
<測定操作>
両性化合物A〜Bを分散溶媒(トルエン)と分散剤(10質量%スルホこはく酸ジー2−エチルヘキシルナトリウム/トルエン溶液)との混合溶液に室温で分散させ、得られた分散液に超音波を照射しながら、該分散液を5分間撹拌して試験液を得た。該試験液を回分セルに移し、1分後に測定した。(屈折率:1.70−0.20i)
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol1502(E−SBR、スチレン含量:23.5質量%)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(NSA:75m/g、OAN:102ml/100g、IA:81mg/g)
両性化合物A:S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸(製造例1で調製)
両性化合物B:S−(6−アミノヘキシル)チオ硫酸(製造例2で調製)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
レジン:住友ベークライト(株)製のPR12686(上記式(1)で表されるカシューオイル変性フェノール樹脂、軟化点:100℃)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製の椿
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
硬化剤H:大内新興化学工業(株)製のノクセラーH(ヘキサメチレンテトラミン)
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を160℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をビードエイペックスの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、150℃の条件下で30分間プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を得た。
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(操縦安定性)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行なった。その際における、操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。数値が大きいほどドライ路面における操縦安定性に優れることを示す。
(熱ダレ性能)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行なった。その際に、走行3周目における操舵時のコントロールの安定性と、走行10周目における操舵時のコントロールの安定性をテストドライバーが比較評価し、比較例1を100として指数表示をした。数値が大きいほどドライ路面における熱ダレ性能(グリップ性能の持続性)に優れることを示す。
比較例1の熱ダレ性能=(比較例1の10周目の操舵時のコントロール安定性)/(比較例1の3周目の操舵時のコントロール安定性)
熱ダレ性能=((各例の10周目の操舵時のコントロール安定性)/(各例の3周目の操舵時のコントロール安定性))/(比較例1の熱ダレ性能)×100
(破壊特性)
JIS K6251:2010に基づいて、得られた加硫ゴム組成物からダンベル状6号形試験片を作製し、該試験片を用いて25℃雰囲気下において引張試験を実施して破断強度TB(MPa)、破断時伸びEB(%)を測定した。そして、TB×EB/2(MPa・%)を算出した。結果は、比較例1の結果を100として指数表示した。指数が大きいほど、破壊特性に優れることを示す。
Figure 2014024913
表1の結果より、天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、カーボンブラックと、酸性及び塩基性官能基を有する両性化合物とを含有する実施例は、操縦安定性、熱ダレ性能、破壊特性をバランスよく改善できた。

Claims (9)

  1. 天然ゴム及びジエン系合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1種と、カーボンブラックと、酸性及び塩基性官能基を有する両性化合物とを含有する高性能タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記両性化合物が下記式(I)で表される化合物である請求項1記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2014024913
    (式(I)中、Rは、炭素数2〜30のアルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基を表す。Aは、酸性官能基を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、又は炭素数1〜20のアルコキシシリル基を表す。式(I)で表される化合物は、該化合物の金属塩でもよい。)
  3. 前記両性化合物が下記式(I−1)及び/又は下記式(I−2)で表される化合物である請求項1記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2014024913
    (式(I−1)中、pは2〜8の整数を表す。式(I−2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。)
  4. 前記式(I−2)中のMr+で表される金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンである請求項3記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
  5. 天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムを含む請求項1〜4のいずれかに記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
  6. ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエンゴムの含有量が10〜50質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記両性化合物の含有量は、カーボンブラック100質量部に対して0.5〜6質量部である請求項1〜6のいずれかに記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
  8. ビードエイペックス用ゴム組成物として用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の高性能タイヤ用ゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した高性能タイヤ。
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