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JP2014040614A - 粘着剤組成物及び粘着テープ - Google Patents

粘着剤組成物及び粘着テープ Download PDF

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JP2014040614A JP2013251452A JP2013251452A JP2014040614A JP 2014040614 A JP2014040614 A JP 2014040614A JP 2013251452 A JP2013251452 A JP 2013251452A JP 2013251452 A JP2013251452 A JP 2013251452A JP 2014040614 A JP2014040614 A JP 2014040614A
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Abstract

【課題】十分なタック性を有し、プライマー処理に対する耐性を有するアクリル系粘着剤を提供する。
【解決手段】(a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー45〜79.5質量%;
(b−1)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜50質量%;
(c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
前記百分率は(a)モノマー、(b−1)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とする、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は粘着剤組成物及びそれを用いた粘着テープに関する。
低温で優れたタック性を有し、十分な凝集力及び保持力を有する粘着剤が、粘着テープの分野、特に、建築分野のシーリング用マスキングテープにおいて必要とされている。シーリング作業は、1)シーリング材による汚染を防止したい部位にマスキングテープを施す、2)シーリング材用のプライマーを塗布する、3)シーリング材を塗布する、4)シーリング材の乾燥又は硬化後にマスキングテープを剥がす、という工程を含む。
シーリング用マスキングテープとして、アクリル系粘着剤が検討されている。アクリル系粘着剤としては、以下のものが知られている。
特許文献1(特開平6−346039号公報)は「水系エマルジョン粘着剤組成物において、(A)(1)アクリレートモノマー100重量部、及び(2)カルボニル基含有モノマー0.1〜5重量部を含んで成るモノマーの重合により得られたポリマーであって、−75℃〜−45℃のガラス転移点及び1×10〜4×10dyn/cm2の貯蔵弾性率を有するポリマー;並びに(B)前記(2)のカルボニル基含有モノマー中の該カルボニル基1モルに対して0.02〜0.5モルの量の多官能性ヒドラジド化合物、を含んで成る粘着剤組成物」を記載している。特許文献1はアクリレートモノマーのアルキル基の炭素数が9以下であることを記載している。
特許文献2(特表平7−502560号公報)は、再剥離型低溶融粘度アクリル系感圧接着剤として「a)アルキル基の炭素原子数が12〜26個である高級アルキルアクリレート10〜50重量%、
b)アルキル基の炭素原子数が4〜12個である低級アルキルアクリレート50〜90重量%、
c)前記高級アルキルアクリレート及び低級アルキルアクリレートと共重合可能な少なくとも1種の極性モノマー、並びに、
d)実質的な接着剤の移行を防止するための十分な凝集強さを接着剤に付与する十分量の架橋剤:を含んで成り、室温では実質的に粘着性を示す了クリル系感圧接着剤」を記載している。架橋剤として、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレート、発色団置換ハロメチル−S−トリアジン、べンゾフェノン、アセトフェノン、シラン、モノエチレン系不飽和芳香族ケトン及びこれらの組み合わせが挙げられている。溶融塗布型粘着剤において、光架橋することにより、粘着剤の凝集力を向上し、被着体への耐移行性を改善している。
特許文献3(特表平9−505103号公報)は、「(a)25から97重量部の一価アルコールのアクリル酸エステルであって、この単独重合体は0℃より小さいTgを有し、
(b)3から75重量部の非極性エチレン性不飽和単量体であって、この単独重合体は10.50より大きくない溶解パラメーター及び15℃より大きいTgを有し、そして
(c)0から5重量部の極性エチレン性不飽和単量体であって、この単独重合体は10.50より大きい溶解パラメーター及び15℃より大きいTgを有するものを含む出発物質の反応生成物を含む感圧接着剤であって、ここで、アクリル酸エステル、非極性エチレン性不飽和単量体及び極性エチレン性不飽和単量体の相対的量は、室温において72時間放置した後ポリプロピレンの面に対して、反応生成物の90°剥離接着力が少なくとも2ポンド/0.5インチであるように選定される感圧接着剤」を記載している。
特許文献4(特表平10−511126号公報)は「(a)(1)アルデヒド基またはケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマーと、(2)アルキル基の炭素数4から14のアルキル(メタ)アクリレートエステルと、ビニルエステルと、これらの混合物からなる群より選ばれるべースモノマーと、(3)油に可溶性である開始剤との懸濁重合生成物である感圧接着剤粒子と、
(b)前記接着剤微粒子を互いに架橋させるためのポリヒドラジド架橋剤を含む再剥離性感圧接着剤」を記載している。
特許文献5(特開2007−131857号公報)は「100重量部の次の成分(a)〜(d)
(a)アルキル基の炭素数が1〜9のアクリル酸アルキルエステル65〜98.4質量%、(b)水酸基及び/又はカルボキシル基を含有する共重合可能な不飽和モノマー0.5〜5質量%、(c)アルキル基の炭素数が16〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1〜20質量%、(d)反応性乳化剤0.1〜5質量%を含有するアクリル系共重合体と架橋剤0.1〜5重量部からなる粘着剤組成物であって、該組成物を25℃で貼付した時の20分後のステンレス板に対する粘着力が50g/インチ以下、貼付後、95℃で4時間加熱した後の粘着力が150g/インチ以下であり、更に、ポリエステルフィルム基材に塗工したときの糊面の表面抵抗値が1011Ω以下であることを特徴とする表面保護フィルム用粘着剤組成物」を記載している。
特許文献6(特開平8−325544号公報)は「A)アルキル基の炭素数が14〜22でかつ分岐を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなるアクリレート系単量体、B)一般式:CH=CRCOOR”(Rは水素またはメチル基、R”は炭素数4〜8の炭化水素基または置換炭化水素基である)で表されるアクリレート系単量体、C)上記A及B成分と共重合可能なビニル系単量体のうち、A成分が30〜90重量%、B成分+C成分が70〜10重量%で、B成分が60〜0重量%、C成分が40〜0重量%である単量体混合物の共重合体を含有する再剥離型感圧接着剤」を記載している。特許文献7は乳化重合により再剥離型感圧接着剤を得ることを記載している。
特開平6−346039号公報 特表平7−502560号公報 特表平9−505103号公報 特表平10−511126号公報 特開2007−131857号公報 特開平8−325544号公報
アクリル系粘着剤は、耐候性に優れ、また、粘着付与剤や可塑剤を含まなくても優れた粘着性能を有するため、マスキングテープとして使用した場合に、使用後に貼り跡が生じない。特に、粒子状の粘着剤は凝集力が大きいため、この用途で広く使用されている。しかしながら、アクリル系粘着剤はシーリング材用のプライマーにより接着力が上昇するので以下の問題が生じることがある。マスキングを施す表面が粗い表面又はモルタルのように多孔性表面である場合には、基材上にアクリル系粘着剤層を有するマスキングテープを前述の粗い表面又は多孔性表面に貼ると、該表面とマスキングテープの間に隙間が生じる。その後、シーリング材用のプライマーを塗布すると、テープの縁部からプライマーが上記隙間に浸入する。これによって、粘着剤の上記表面への接着力が上昇し、テープ剥離時にマスキングテープの基材が破断することがあった。
プライマー処理における耐性を向上させるために、アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーに架橋を施すことが考えられる。しかしながら、充分な耐プライマー性が得られるよう十分に架橋を行うと、ポリマーのガラス転移点及び貯蔵弾性率が上昇して、結果的に、低温タック性が低下してしまう。このように、十分なタック性と十分な耐プライマー性との両方を併せ持つアクリル系粘着剤が望まれている。
本発明は、1つの態様によると、a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー45〜79.5質量%;
b)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜50質量%;
c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
(ここで、前記百分率はa)モノマー、b)モノマー及びc)モノマーの合計量を基準とする)を含むモノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物を提供する。
別の1つの態様によると a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー0〜79.5質量%;
b)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が分岐アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜99.5質量%;、
c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
(ここで、前記百分率はa)モノマー、b)モノマー及びc)モノマーの合計量を基準とする)を含むモノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物を提供する。
さらにもうひとつの態様として
a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー0〜79.5質量%;
b)(b−1)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び(b−2)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が分岐アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの混合物20〜99.5質量%;
c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
(ここで、前記百分率はa)モノマー、b)モノマー及びc)モノマーの合計量を基準とし、(b−1)成分は、0〜50質量%である)を含むモノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物を提供する。
本発明のさらに別の態様によると、さらに架橋剤を含む粘着剤組成物、及び、基材、及び、該基材上に上記の粘着剤組成物の層を含む粘着テープを提供する。
上述の構成の粘着剤は、低温でも十分なタック性を有するとともに、プライマー処理に対する耐性を有する。このような粘着剤の層を有するマスキングテープは、シーリング作業、特に、建築分野におけるシーリング作業の際に、マスキングテープを被着体に貼り付け、そしてプライマー処理を行った後に、粘着剤の被着体への接着力の上昇が有意に起こることがなく、作業後にマスキングテープを容易に取り外すことができる。
本発明の1態様のマスキングテープを用いたコンクリートボードのシーリング方法の工程図を示す。
本明細書に開示される粘着剤組成物は粒子状重合体を含み、当該粒子状重合体は、a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、b)アルキル基の炭素数が15〜24個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及びc)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー、
を含むモノマー混合物の粒子状重合体である。
上記a)モノマーは、重合体のガラス転移温度(Tg)を調整し、粘着剤組成物に所望の軽剥離性を付与し得る。
a)モノマーとしては、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソトリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。また、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートであってもよい。好ましいモノマーは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記b)モノマーは、極性が低く、プライマーの膨潤を抑え、耐プライマー性を改善し得る。また、重合体の弾性率を低下させ、粘着剤組成物にタック性を付与し得る。
b)モノマーとしては、たとえば、セチル(メタ)アクリレート(n−C16)、ステアリル(メタ)アクリレート(n−C18)、アラキル(メタ)アクリレート(n−C20)、ベヘニル(メタ)アクリレート(n−C22)などの直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート、イソセチル(メタ)アクリレート(iso−C16)、イソステアリル(メタ)アクリレート(iso−C18)、2−オクチルドデカニル(メタ)アクリレート(iso−C20)などの分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。好ましい直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、セチル(メタ)アクリレート(n−C16)、ステアリル(メタ)アクリレート(n−C18)であり、好ましい分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレートは、イソセチル(メタ)アクリレート(iso−C16)、イソステアリル(メタ)アクリレート(iso−C18)である。さらに好ましくは、ステアリル(メタ)アクリレート(n−C18)である。
上記c)モノマーは、モノマーを懸濁重合して得られる重合体の安定性及び粘着剤組成物の凝集力に寄与し得る。c)モノマーにおけるモノオレフィン系不飽和官能基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチリル基またはその他のビニル官能基であることができる。c)モノマーとしては、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルベンゾフェノン、アクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトンなどが挙げられる。好ましいモノマーとしてはジアセトン(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。これらのケトン基含有モノマーは後述する多官能ヒドラジドによる架橋が可能であり、したがって、水性懸濁液中では不活性であり、水分を除去すると短時間のうちに粒子間に粒子間架橋を形成することができる。
a)モノマー、b)モノマー及びc)モノマーの合計質量を100質量%とした場合のa)モノマー、b)モノマー、及びc)モノマーの配合割合について、以下の3つの場合に分けて説明する。
(I)(b)モノマーが、(b−1)モノマー(直鎖アルキル(メタ)アクリレート)である場合
b)モノマーが直鎖アルキル(メタ)アクリレートである場合には、得られる重合体が結晶性をもつため、溶剤による膨潤が起こりにくく、耐プライマー性の点において好ましい。この場合には、a)モノマー45〜79.5質量%、b)モノマー20〜50質量%、c)モノマーは0.5〜5質量%の量で用いることができる。さらに好ましくは、a)モノマー59〜74質量%、b)モノマー25〜40質量%、c)モノマーは1〜3質量%の量で用いられる。a)モノマーが45質量%未満の場合、低温での十分なタック性が得られず、79.5質量%より多くなると、耐プライマー性が低下する。b)モノマーが20質量%未満の場合、耐プライマー性に劣り、50質量%より多くなると、結晶化による弾性率の上昇により、粘着剤組成物の低温タックが十分でなくなることがある。また、c)モノマーが0.5質量%を下回ると、添加の効果が不十分であり、また、5質量%を超えると、接着力が上昇しすぎて、使用後に剥離しようとする際に剥離力が高くなりすぎる。
(II)(b)モノマーが、(b−2)モノマー(分岐アルキル(メタ)アクリレート)である場合
b)モノマーが分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである場合には、重合体の極性を下げる効果は直鎖の場合と同等であり、結晶性がなくなるため、弾性率を下げタックを十分に得ることができる。したがって、必ずしもa)モノマーを含まなくてもよい。
よって、この場合には、a)モノマー0〜79.5質量%、b)モノマー20〜99.5質量%、c)モノマーは0.5〜5質量%の量で用いることができる。さらに好ましい組成はa)モノマー18〜68質量%、b)モノマー30〜80質量%、c)モノマーは2〜5質量%の量で用いることができる。a)モノマーが79.5質量%より多くなると、耐プライマー性が低下する。b)モノマーが20質量%未満の場合、相対的にa)モノマーが増えるため耐プライマー性に劣る。c)モノマーの量は(I)と同様の理由により、0.5〜5質量%の範囲とすることができる。
(III )(b)モノマーが、(b−1)モノマー(直鎖アルキル(メタ)アクリレート)および(b−2)モノマー(分岐アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)を含む場合
この場合には、a)モノマー0〜79.5質量%、b)モノマー20〜99.5質量%、ただし(b−1)モノマーはb)モノマーの合計質量に対して、0〜50質量%、c)モノマーは0.5〜5質量%の量で用いられる。各モノマーの量は(I)および(II)と同様の理由により、上記範囲にすることができる。さらに好ましくはa)モノマー20〜55質量%、b−1)モノマー20〜35質量%、b−2)モノマー5〜35質量%、c)モノマーは2〜5質量%の割合で用いることができる。
本発明において、粘着剤組成物に含まれる粒子状重合体は、上述のa)モノマー、b)モノマー及びc)モノマーを含むモノマー混合物を水中で重合することにより得られる。有用な開始剤は、(メタ)アクリレートまたはビニルエステルモノマーの懸濁ラジカル重合に適しているものであり、油に可溶で水に対する溶解度は一般に20℃の水100gあたりに1gと極めて低いものである。このような開始剤の例としては、アゾ化合物、ヒドロペルオキシド、ペルオキシド、べンゾフエノンやべンゾインエチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの開始剤が挙げられる。開始剤は一般に、モノマー全体に対して約0.01質量%〜2質量%、好ましくは0.05〜1質量%の量で用いられる。
上記重合により得られる粒子状重合体の粒径は0.1〜20ミクロン、好ましくは0.5から10ミクロンである。0.1ミクロン以下および20ミクロン以上の場合、粒子の分散安定性に劣る場合がある。
本発明の粘着剤組成物はa)モノマー、b)モノマー、及びc)モノマー以外に他のモノマーを少量で含むことができる。たとえば、多官能架橋剤モノマーを用いることができる。ラジカル重合可能なオレフイン系不飽和基を2個以上有する架橋剤である。このような多官能モノマーを重合時に添加することにより、粒子内部で架橋された重合体を得ることができる。(以後この架橋剤を、内部架橋剤と呼ぶ。)有用な多官能架橋剤としては、ジオールの(メタ)アクリル酸エステル(例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジールジ(メタ)アクレート)、トリオール(例えばグリセロールなど)の(メタ)アクリル酸エステルおよびテトロール(例えばペンタエリトリトールなど)の(メタ)アクリル酸エステル、ポリマー多官能(メタ)アクリレート(例えばポリ(エチレンオキシド)ジアクリレートおよびポリ(エチレンオキシド)ジメタクリレートなど)、ポリビニル化合物(例えば、置換および未置換のジビニルベンゼンなど)、二官能価ウレタンアクリレート、およびこれらの混合物が挙げられる。内部架橋剤は、粒子の内部で架橋するため、粒子自体の凝集力を向上させることができる。また、プライマーによる膨潤性も下げることができるため、耐プライマー性に対しても好ましい。内部架橋剤を用いる場合には、モノマーの合計に対して0.01〜0.5質量%の濃度で用いられるのが一般的であり、好ましい範囲は0.01〜0.1質量%である。0.01質量%以下の場合、十分な効果が得られず、0.5質量%を超えると、重合体粒子の貯蔵弾性率が上昇し、結果として室温で触れてもタック性のないものとなる場合がある。
さらに、上述の懸濁重合体粒子間を架橋するための架橋剤(以後この架橋剤を、外部架橋剤と呼ぶ。)として、多官能ヒドラジドを用いることができる。多官能ヒドラジドは本質的に水性懸濁液中の重合体粒子に対して非反応性であると考えられる。しかしながら、乾燥によって水性懸濁液から水分を除去すると、カルボニル基含有モノマーによって粒子中に生成されたカルボニル基とヒドラジノ種との間で脱水縮合反応が起こる。好ましい系において、この反応は周囲条件下で高速に進行し、粒子間に共有結合が形成される。このように、粘着性粒子は粒子間すなわち外部的に架橋されているとみなすことができる。多官能ヒドラジドは水性懸濁液中で不活性であることに加え、水分を除去すると短時間のうちに粒子間に粒子間共有架橋を形成できるので有用である。このように粒子間架橋を施すことにより、粘着剤から粒子の脱落を防ぐことができ、糊残りが起きにくくなる場合がある。有用な多官能ヒドラジドの例としては、オキサリルジヒドラジド、マロニルジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、グルタリルジヒドラジド、アジポイルジヒドラジド(ADH)、マレイルジヒドラジド、セバコイルジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド、フマロイルジヒドラジド、イソフタルジヒドラジド、テレフタルジヒドラジド、アミノポリアクリルアミド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(VDH)およびこれらの混合物が挙げられる。特に好ましい多官能ヒドラジドとしては、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(VDH)およびアジポイルジヒドラジドが挙げられる。多官能ヒドラジドは、一般に懸濁重合体からなる粘着性粒子に対し0.01〜0.5質量%の量で用いられる。好ましい範囲は0.01〜0.1質量%である。0.01質量%以下の場合、十分な効果が得られず、0.5質量%を超えると、重合体粒子の貯蔵弾性率が上昇し、結果として室温で触れてもタック性のないものとなる場合がある。
粒子状アクリル重合体の分子量の指標として、ゴム状弾性領域での貯蔵弾性率と損失弾性率の比である損失因子(tanδ)の値で議論することができる。具体的には、100℃でのtanδの値が0.3以上の場合には、マスキングテープ用の粘着剤としては分子量が小さく、したがって凝集力に劣るため糊残りの原因となる可能性がある。また、0.1以下の場合、粘着剤組成物の流動性が乏しく、十分な初期接着力が得られない場合がある。なお、貯蔵弾性率と損失弾性率は、実施例において示した方法により測定される。
本発明の粘着剤組成物は、上述のとおりに懸濁重合した重合体から水分を除去していくことで得ることができる。粘着剤組成物は、被着対象に応じてさまざまなフィルム状基材にコーティングし、乾燥することにより、再剥離性粘着テープ、特にマスキングテープとして使用することができる。テープの基材の材質としては、紙、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、塩化ビニル樹脂、酢酸セルロース、ポリアセテート、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、木綿等の単独またはこれらの混合物が使用可能である。
特に、建築用シーリング材の用途では、基材は紙、その中でも和紙が好ましい。ここでいう和紙とは、通常、流し漉きの手法により、機械的に抄紙して得られる紙を意味する。和紙は、汎用の処理剤で処理されたものであってもよい。例えば、粘着剤塗工時の粘着剤の裏抜けを防止するための目止め、基材強度の調整、あるいは基材の内部強度の改善等のため含浸処理が施された和紙を使用することができる。
和紙の原紙は、クラフトパルプを主原料とするものが好ましい。クラフトパルプ以外に、機械的強度や耐水性の改善のために、例えば、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、マニラ麻などの抄紙可能な繊維を併用してもよい。和紙には、バインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤が添加されていてもよい。和紙の含浸処理に使用する含浸剤としては、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、メチルメタクリレート−ブタジエンゴム(MBR)、アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴムラテックス、天然ゴム(NR)ラテックス、ポリ塩化ビニル(PVC)エマルジョン、アクリルエマルジョン等の水系処理剤;溶剤可溶なスチレンーブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンーイソプレンースチレンゴム(SIS)、スチレンーブタジエンースチレンゴム(SBS)、スチレンーエチレンーブチレンースチレンゴム(SEBS)等の合成ゴム、天然ゴム、アクリルポリマーの単体またはブレンドなどが挙げられる。ポリマーやこれらの混合物は、低温で適度な柔軟性があり、コストも安く、適度な引き裂き強度もち、再剥離の際に基材が破断することもなく、好適である。
本発明における基材の厚さは、10〜200μmが好ましい。10μm未満では、腰が弱く扱いづらく、また、機械的強度に乏しく、粘着テープの製造が困難になる。一方、この厚さが200μmを超えると、粘着テープ全体の厚さが厚くなり、取り扱いが困難になったり、耐クリープ性が低下する。更に、基材厚さに関しては、接着力、耐クリープ性、及び取り扱い性のバランスが良好な点で、50〜150μmがより好ましく、75〜120μmが最も好ましい。
建築用シーリングマスキング、塗装用マスキングの用途においては、テープを複雑な形状、曲面や凹凸面等の被着体に適用するため、機械化が困難であり、今でも人の手作業によるところが多い。したがってテープ使用時には手切れ性よく切れることが必要であり、また剥離時には破断しないことも必要とされる。このようなテープ基材としては、縦方向の引張強度が20〜30N/cm、縦方向の引裂強度が0.3〜0.5Nでかつ横方向の引張強度が8〜15N/cm、横方向の引裂強度が0.5〜0.7Nであることが望ましい。
本発明のマスキングテープを引きだして使用する際に、スムーズに引き出せるように、上記したような基材の外表面に、剥離処理層をさらに有していることが好ましい。離型処理層は、例えば塗布法、コーティング法などの常用な技法を使用して、それぞれの粘着テープに好適な任意の厚さで形成することができる。例えば、適当な離型処理層は、長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル樹脂層、フッ素系の合成樹脂層あるいはシリコーン系剥離剤などをコーティングしたものが用いられる。
基材には、粘着剤組成物との密着性を向上させるため、コロナ処理、プライマー処理やマット処理等を施すことが好適である。
粘着剤層の厚さは、マスキングテープの種類や使途などに応じて広く変更することができるが、通常、約3〜150μmであることが好ましく、さらに好ましくは、約10〜100μmである。粘着剤層の厚さが3μmを下回ると、接着力が不十分となり、貼りこんだ後にテープが浮き上がってしまう。反対に、粘着剤層の厚さが150μmを上回ると、再剥離時にテープを剥しにくくなり、作業性が悪くなったり、剥す際にテープが切れてしまったりするおそれがある。
粘着剤組成物の塗布方法は、懸濁重合により得られた重合体の懸濁液を、丸棒、メイヤーバー等によるキスコート、グラビヤ、ナイフ、エアーナイフ、コンマ、リバース、コンマリバース、リップ、ウルトラダイ、ギヤダイ等によって塗布する方法である。
本発明の粘着剤組成物は十分なタック性を有するとともに、プライマー処理に対する耐性を有する。このため、この粘着剤組成物の層を基材上に有する粘着テープは、プライマー処理を施す必要のあるシーリング作業のためのマスキングテープに有用である。特に、マスキングテープを貼り付ける被着体の表面に凹凸がある場合や被着体の表面が多孔性である場合に、被着体とマスキングテープの粘着剤層間に隙間ができるので、プライマーがその間に浸透しやすい。その結果、プライマーが粘着剤のぬれ広がりをうながし、あるいは、プライマーの溶剤が粘着剤を膨潤し、粘着剤が凹凸にしっかり接着してしまう。しかし、本発明の粘着剤組成物では上述の現象を起こさず、すなわち、十分な耐プライマー性を有するので、このような被着体の場合であっても、接着力の有意な上昇が観測されず、使用後に被着体から容易に除去することができる。
図1は建築用途における本発明のマスキングテープを用いたコンクリートボードのシーリング方法の工程図を示している。
まず、下地1の上にコンクリートボード2が配置されてなる壁において、下地1とコンクリートボードとの間に形成された目地にバックアップ材3を挿入する(工程a)。次に、コンクリートボード2の露出面の端部に沿ってマスキングテープ4を貼る(工程b)。次に、シーリング材6のコンクリートボード2に対する接着性を向上させるために、プライマー5を刷毛などの適切な手段を用いてコンクリートボード2の側面に塗付する(工程c)。次に、シーリング材6をシーリングガンなどの適切な手段を用いて充填する(工程d)。充填後、ヘラを用いてシーリング材6を押さえ、平滑にする(工程e)。最後に、所定の時間経過後、シーリング材6のタックがなくなったら、マスキングテープ4をはがす。
バックアップ材2はコンクリートボード2の左右と下地1の露出面の3つの面が接着しないようにするものである。シーリング材が3面に接着した場合、目地の伸縮にシーリングが自由に追随できないので亀裂が生じ、シールが損なわれる場合がある。また、シーリングの打ち替えが容易になること、さらにはより高価なシーリング材を節約できるといった効果も得られる。求められる要件としては、シーリング材と接着力が小さいこと、防湿性があること、伸縮にたえられること、価格が低いことが挙げられる。通常はポリエチレン製の発泡体が使用される。
シーリング材6に関して、建築用シーリング材に求められる要件としては、防湿性に優れること、伸縮にたえられること、耐候性に優れることが挙げられる。材料別には、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系、ポリサルファイド系、アクリル系、合成ゴム系等がある。このうちシリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系が多く使用されている。また1液系と2液系があり、それぞれ湿気硬化系、乾燥硬化エマルション系、乾燥硬化溶剤系あるいは反応硬化系等があるが、短時間で施工でき、環境負荷の少ない湿気硬化系や反応硬化系が多く使用されている。代表的な反応を以下に示す。
湿気硬化(シリコーン系)
1)-Si(OR)n + H2O → Si(OH)n + HOR
2) Si(OH)n + Si(OH)n → -Si-O-Si- + H2O
1)アルコキシ基が水分と反応し、ヒドロキシシリル基を形成する。
2)ヒドロキシシリル基が脱水反応し、Si-O-Si結合を形成し硬化する。
湿気硬化(ウレタン系)
1)-NCO + H2O → -NH2 + CO2 2)-NCO + -NH2 → -NHCONH-
1)イソシアネート基が水分と反応し、アミノ基を形成する。
2)ついでイソシアネート基とアミノ基が反応し、ウレア結合を形成し硬化する。
2液反応硬化
-NCO + HO- → -NH-CO-O-
シーリング材中の水酸基とイソシアネート基が反応し、ウレタン結合を形成し、硬化する。
建築用シーリング材は風雨にさらされ、また熱膨張や振動による応力がかかるため、界面で剥がれる場合が多い。したがって、シーリング材を用いる際には、プライマーを使用する場合が非常に多い。プライマーは、シーリング材をコンクリート、モルタル、サイディングボード等の躯体に強固に接着させるためのものであり、塗布により被着体に浸透し、易接着皮膜を形成する。一般にシーリング材の成分と相互作用の大きな官能基を有する樹脂を溶剤で希釈したものであり、たとえばイソシアネート基を含むポリウレタン樹脂やシランカップリング剤を主成分とし、酢酸エチル等の溶剤で希釈したものが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とポリエチレングリコールなどのポリオールとの付加反応で得られるものが知られている。シランカップリング剤としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基を有するものが一般的に用いられている。イソシアネート基はシーリング材に含まれる水酸基、カルボキシル基やアミノ基等に反応し、共有結合を形成することで強固に躯体に接着する。プライマーは溶剤中の溶液として使用される。溶剤は毒性が低く、適度な速度で揮発するものが用いられる。特に近年では、VOC(揮発性有機化合物)の問題があり、トルエン、キシレンのような芳香族溶剤に代わり、酢酸エチル、酢酸ブチルといったエステル系の溶剤が使用されている。
上述のとおり、従来のマスキングテープではプライマー処理による粘着剤組成物の膨潤又は溶解による浸透によって、多孔性基材や凹凸表面を有する基材の凹部に浸入することで接着力が上昇してしまう問題があった。しかし、本発明のマスキングテープは、このような接着力の上昇を防止し、使用後に容易に剥離することができる。このようなマスキングテープは、コンクリート、モルタル、サイディングボード等の多孔性基材もしくは凹凸表面を有する基材が通常に使用されている建築用途に特に有利に使用できる。しかし、本発明の効果を使用することができるいかなる用途にも使用されうることは理解されるべきである。
以下において、実施例を参照しながら本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの具体的な実施例に限定されるべきでない。実施例においてはモノマー成分、架橋剤の説明に以下のとおりの略号を用いる。
a)モノマー
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート(日本化薬株式会社製 AEH)
IBXA:イソボルニルアクリレート(共栄社化学株式会社 ライトアクリレート(商標)IBXA)
LMA:ラウリルメタクリレート(n−C12)(三菱レイヨン株式会社 アクリエステルLMA)
b−1)モノマー(直鎖アルキル)
CA:セチルアクリレート(n−ヘキサデシルアクリレート)(n−C16)
(日本油脂株式会社 CA)
SA:n−ステアリルアクリレート(n−C18)(大阪有機化学工業株式会社 STA)
SMA:n−ステアリルメタクリレート(n−C18)(三菱レイヨン株式会社 アクリエステルSMA)
b−2)モノマー(分岐アルキル)
CA:イソセチルアクリレート(iso−C16)(東邦化学工業株式会社製 HEDA16)
ISA:イソステアリルアクリレート(iso−C18)(新中村化学工業株式会社製 NKエステルISA)
c)モノマー
DAAM:ジアセトンアクリルアミド(日本化成株式会社製 DAAM)
a)モノマー、b)モノマー及びc)モノマー以外のモノマー(d)モノマー)
BA:n−ブチルアクリレート(三菱化学株式会社 アクリル酸ブチル)
AA:アクリル酸(東亜合成化学株式会社製 AA)
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート(和光純薬株式会社製 ヒドロキシエチルメタクリレート)
内部架橋剤
HDDA:ヘキサンジオールジアクリレート(共栄社化学株式会社製 ライトアクリレート1,6−HDDA)
外部架橋剤
ADH:アジポイルジヒドラジド(日本化成株式会社製 ADH)
VDH:1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素ファインケミカル株式会社製 VDH)
重合体(粘着性粒子)の合成
界面活性剤(株式会社花王製 ネオペレックスG−15)6.67gをイオン交換水に加え、100gとした。この水溶液に、下記の表1の配合量のモノマー組成物を調整し、水溶液に加えた。この混合物をホモジナイザー(プライミクス社製)で15分間処理した。その後、混合物を、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた2リットルのガラス製反応容器に移して、窒素パージした後に、攪拌しながら加熱して内温を50℃とした。これに、重合開始剤としてアゾビスバレロニトリル(和光純薬製 V−65)を0.2g添加し、重合反応を開始し、3時間反応後、65℃で2時間熟成し、重合を完結させた。懸濁液には凝集物が殆ど含まれず、保存安定性は良好であった。
なお内部架橋剤を用いる場合には、モノマー組成物に添加し重合を行う。また外部架橋剤を用いる場合には、重合が完結し、粒子状粘着組成物が形成された後に添加する。
粘着テープの作成
上記方法で合成した懸濁液を幅150mmのロール状樹脂含浸紙(3M社製)上に塗布し、乾燥した。乾燥後の塗膜の厚さが30μmであるテープが得られた。
粗面接着性の測定
サンドペーパーを均一な粗面にみたて、粗面接着性の評価を行った。プラスチック板に両面テープでサンドペーパー280番(3M社製)をサンドペーパーの研磨面がおもてになるように固定した。12mm幅、120mm長さにスリットし、片末端にフックを取り付けたサンプルを研磨面に貼り付け、2kgゴムローラーで1往復した。直後にプラスチック板をテープ貼り付け面が下面になるように固定し、フックに5gの錘をぶらさげ、錘のゆれを止めた。剥離の境界線にしるしをつけ、ストップウォッチで計測を開始した。サンプルを10分間放置し、100mm剥離した時間を記録した。もし、100mmの剥離距離が10分以内に達成できなければ、「10分超」と記録した。距離が長いほど、剥離した時間が長いほど好ましいが、実用上2秒以上であればよい。
剥離強度の測定
基本的な粘着特性を調べるために、上記の方法で得られたテープを12mm幅、100mm長さにスリットし、SUS304の板(20mm幅、120mm長さ)に貼り付け、2kgゴムローラーで1往復した。次いで90度方向に剥離した時の剥離力をテンシロン(Toyo Baldwin Co. Ltd., RTM-100)を用いて引張速度300mm/分で25℃において測定した。測定は一つのサンプルに付き3回行い、各測定における剥離力の平均値を表に示す。
プライマー高速剥離テスト
モルタル板の粗面に18mm幅、約120mm長さにスリットしたサンプルを手で貼り付けた。サンプルの長手方向の端面にシーリング用プライマー:ハマタイトプライマーNo.40(横浜ゴム株式会社製)を刷毛で塗った。室温で16時間放置後、手ですばやく剥離し、サンプルが切れる本数を記録した。また、剥離後のモルタル面を目視にて観察した。
エイジング試験
モルタル板の平滑面に18mm幅、約120mm長さにスリットしたサンプルを手で貼り付けた。65℃雰囲気下で16時間放置後、手で剥離し、被着体への糊残り、貼り跡の有無を目視により記録した。また、剥離後のテープの粘着面についても観察した。被着体へ全く糊残りない場合はA、糊残りは見られないがエッジ部にうっすら貼り跡が見られた場合をB、エッジ部にのみ糊残りが見られた場合をC、中央部分に糊残りは見られた場合Dと記録した。A,Bを使用可能なものとした。
oCでの低温タック試験
試験は5±1℃の室内でおこなった。サンプル及び試験機はすべて5oCの室内で10分以上放置した後用いた。サンプルの背面に両面テープを貼り付け、ローリングホイールタック試験機のサンプルを貼り付ける位置に両面テープ側を気泡が入らないように貼った。ローリングホイールをメチルエチルケトン(MEK)で拭いた後、ヘキサンで拭き、試験機にセットした。ストッパーをゆっくりと上げてホイールを転がし、ホイールが停止した位置に印をつけた。手でホイールを押さえながらゆっくりとホイールを動かし、ホイールとサンプルが最初に接触する位置に印をつけた。印をつけた2点間の距離を測定し、0〜49mmはA、50mm〜300mmはB、300mm以上はCと記録した。距離が短いほどタックが大きいことを示している。
動的粘弾性測定
動的粘弾性特性は、Rheometric Scientific社製Advanced Rheometric Expansion System(ARES)を用い、せん断モード、周波数1.0Hzおいて、温度5℃における貯蔵弾性率G’(Pa)と、ガラス転移温度(周波数1.0Hzにおける損失正接(tanδ)の極大値)及び温度100℃における損失正接(tanδ)を求めた。
好ましい粘弾性特性は、−せん断貯蔵弾性率G’の5℃における値が、10.0MPa以下であること。それを超える場合、タックが弱すぎる傾向がある。
−ガラス転移温度が、30℃以上の場合、接着力が高くなりすぎ、剥離時にのり残りする場合がある。
−損失正接の100℃における値が、0.10〜0.3であること。0.1以下の場合、ぬれ広がることが困難であり、0.3を超える場合、重合体の分子量が十分ではなく、凝集力が得られにくい。
Figure 2014040614
Figure 2014040614
1 下地
2 コンクリートボード
3 バックアップ材
4 マスキングテープ
5 プライマー
6 シーリング材
Figure 2014040614
本発明の実施態様の一部を以下の項目1−8に列記する。
[1]
(a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー45〜79.5質量%;
(b−1)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜50質量%;
(c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
前記百分率は(a)モノマー、(b−1)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とする、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
[2]
(a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー0〜79.5質量%;
(b−2)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が分岐アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜99.5質量%;
(c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
前記百分率は(a)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とする、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
[3]
(a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー0〜79.5質量%;
(b−1)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び(b−2)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が分岐アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの混合物20〜99.5質量%;
(c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
前記百分率は(a)モノマー、(b−1)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とし、(b−1)モノマーは、(b−1)モノマーおよび(b−2)モノマーの合計量に対して、0〜50質量%である、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
[4]
項目1〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物であって、さらに、内部架橋剤を(a)モノマー、(b−1)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準として、0.01〜0.5質量%含む粘着剤組成物。
[5]
項目1〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物であって、さらに、外部架橋剤を(a)モノマー、(b−1)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準として、0.01〜0.5質量%含む粘着剤組成物。
[6]
項目5記載の粘着剤組成物であって、外部部架橋剤が、多官能ヒドラジド化合物を含む粘着剤組成物。
[7]
基材、及び項目1〜5のいずれか1項記載の粘着剤組成物を含む層を含む粘着テープ。
[8]
基材が紙である項目6記載の粘着剤組成物を含む粘着テープ。

Claims (8)

  1. (a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー45〜79.5質量%;
    (b−1)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜50質量%;
    (c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
    前記百分率は(a)モノマー、(b−1)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とする、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
  2. (a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー0〜79.5質量%;
    (b−2)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が分岐アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜99.5質量%;
    (c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
    前記百分率は(a)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とする、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
  3. (a)アルキル基の炭素数が8〜14個であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー0〜79.5質量%;
    (b−1)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が直鎖アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び(b−2)アルキル基の炭素数が15〜24個であり、且つアルキル基が分岐アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーの混合物20〜99.5質量%;
    (c)ケトン基を有するモノオレフィン系不飽和モノマー0.5〜5質量%;
    前記百分率は(a)モノマー、(b−1)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準とし、(b−1)モノマーは、(b−1)モノマーおよび(b−2)モノマーの合計量に対して、0〜50質量%である、モノマー混合物の粒子状重合体を含む粘着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物であって、さらに、内部架橋剤を(a)モノマー、(b−1)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準として、0.01〜0.5質量%含む粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の粘着剤組成物であって、さらに、外部架橋剤を(a)モノマー、(b−1)モノマー、(b−2)モノマー及び(c)モノマーの合計量を基準として、0.01〜0.5質量%含む粘着剤組成物。
  6. 請求項5記載の粘着剤組成物であって、外部部架橋剤が、多官能ヒドラジド化合物を含む粘着剤組成物。
  7. 基材、及び請求項1〜5のいずれか1項記載の粘着剤組成物を含む層を含む粘着テープ。
  8. 基材が紙である請求項6記載の粘着剤組成物を含む粘着テープ。
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