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JP2015151514A - 光学用粘着剤組成物、光学用粘着シート、および画像表示装置 - Google Patents

光学用粘着剤組成物、光学用粘着シート、および画像表示装置 Download PDF

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JP2015151514A JP2014028458A JP2014028458A JP2015151514A JP 2015151514 A JP2015151514 A JP 2015151514A JP 2014028458 A JP2014028458 A JP 2014028458A JP 2014028458 A JP2014028458 A JP 2014028458A JP 2015151514 A JP2015151514 A JP 2015151514A
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Abstract

【課題】ディレイバブル発生を低減することができ、かつ段差追従性および粘着力に優れた粘着剤層を得ることができる光学用粘着剤組成物、該光学用粘着剤組成物を用いて得られる光学用粘着シート、ならびに、該光学用粘着シートを含む画像表示装置を提供する。【解決手段】光学用粘着剤組成物は、(a1)炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体3質量%以上18質量%以下と、(a2)炭素数1以上9以下の直鎖および/または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体42質量%以上95質量%以下と、(a3)水酸基含有単量体2質量%以上40質量%以下とを含む単量体混合物(ここで、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。)の(A)共重合体と、前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である架橋剤(B)とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、光学用粘着剤組成物、光学用粘着シート、および画像表示装置に関する。
近年、液晶表示装置などの画像表示装置や、画像表示装置と組み合わせて用いられる、タッチパネル等の入出力装置が広く用いられるようになっている。これらの画像表示装置や入出力装置の製造において、構成部材を貼り合わせる際に粘着剤組成物が用いられている(特許文献1)。
近年では意匠性を付与するために、タッチパネル式入出力装置や画像表示装置の周縁部に印刷部が設けられることがあり、この印刷部は数μm〜数十μmの印刷段差を有している。そのため、このような印刷面を粘着シートで貼り合わせる場合に、粘着剤が印刷段差に追従できずに段差部分に気泡が入り込んでしまい、意匠性を損ねてしまうという問題が生じている。
したがって、このような部材間に生じる段差および/または部材内に存在する段差を埋め合わせる性能(段差追従性)を向上させるために、気泡が生じにくく、かつ、段差に追従できる柔軟な粘着剤が求められている。
特開2002−327160号公報
本発明は、ディレイバブルの発生が低減され、かつ、段差追従性および粘着力に優れた粘着剤層を得ることができる光学用粘着剤組成物、該光学用粘着剤組成物を用いて得られる光学用粘着シート、ならびに、該光学用粘着シートを含む画像表示装置を提供する。
本発明者らは、このような課題を解決すべく鋭意研究した結果、炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する単量体を所定割合で含む単量体混合物から得られる共重合体を用いることにより、ディレイバブルの発生が低減され、かつ、段差追従性および粘着力に優れた粘着シートを得ることができることを見出した。
1.本発明の一態様に係る光学用粘着剤組成物は、(a1)炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体3質量%以上18質量%以下と、(a2)炭素数1以上9以下の直鎖および/または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体42質量%以上95質量%以下と、(a3)水酸基含有単量体2質量%以上40質量%以下と、を含む単量体混合物(ここで、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。)の(A)共重合体と、前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である(B)架橋剤と、を含む。
2.上記1に記載の光学用粘着剤組成物において、前記(A)共重合体は、重量平均分子量が5万以上70万以下であることができる。
3.上記1または2に記載の光学用粘着剤組成物において、前記単量体混合物は、(a4)窒素原子含有単量体0.1質量%以上5質量%以下をさらに含むことができる。
4.上記1ないし3のいずれかに記載の光学用粘着剤組成物において、前記単量体混合物における、アクリロイル基を有する単量体の合計が20質量%以上100質量%以下であることができる。
5.上記1ないし4のいずれかに記載の光学用粘着剤組成物において、前記(A)共重合体の酸価が1.0以下であることができる。
6.本発明の一態様に係る光学用粘着シートは、上記1ないし5のいずれかに記載の光学用粘着剤組成物より形成される粘着剤層を有する。
7.上記6に記載の光学用粘着シートは、タッチパネル式入出力装置または画像表示装置を構成する部材の貼り合わせに用いられることができる。
8.本発明の一態様に係る画像表示装置は、上記6または7に記載の光学用粘着シートを含む。
上記光学用粘着剤組成物が、(a1)炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体3質量%以上18質量%以下と、(a2)炭素数1以上9以下の直鎖および/または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体42質量%以上95質量%以下と、(a3)水酸基含有単量体2質量%以上40質量%以下と、を含む単量体混合物(ここで、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。)の(A)共重合体と、前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である(B)架橋剤と、を含むことにより、該光学用粘着剤組成物を用いて、ディレイバブルの発生が低減され、かつ、段差追従性および粘着力に優れた粘着剤層を得ることができる。
また、該粘着剤層は、透明性に優れているため、例えば、画像表示装置や入出力装置に好適に使用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る第1の入出力装置(タッチパネル式入出力装置)の構成を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る第2の入出力装置(タッチパネル式入出力装置)の構成を模式的に示す断面図である。 図3(a)は、公知の粘着シートの段差追従性について説明する断面図であり、図3(b)は、図2に示される画像表示装置(タッチパネル式入出力装置)に含まれる粘着シートの段差追従性について説明する断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、格別に断らない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
1.1.光学用粘着剤組成物
本発明の一実施形態に係る光学用粘着剤組成物は、(a1)炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体(本明細書において、単に「(a1)成分」と記載することもある。)3質量%以上18質量%以下と、(a2)炭素数1以上9以下の直鎖および/または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体42質量%以上95質量%以下(本明細書において、単に「(a2)成分」と記載することもある。)と、(a3)水酸基含有単量体2質量%以上40質量%以下(本明細書において、単に「(a3)成分」と記載することもある。)と、を含む単量体混合物(ここで、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。)の(A)共重合体と、前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である(B)架橋剤と、を含む。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて、ディレイバブルの発生が低減され、かつ、段差追従性および粘着力に優れた粘着剤層を得ることができる。
本発明において「ディレイバブル」とは、粘着剤層を成膜した後に、粘着剤層中に経時的に発生する気泡のことをいう。ディレイバブルの発生は、粘着剤層の透明性を低下させる原因のひとつである。このディレイバブルは、粘着剤層に熱が付加されたとき(例えば、粘着剤層を含む装置の駆動時)に生じることが多い。ディレイバブルの発生低減については、後述する作用効果の欄で詳しく説明する。また、段差追従性についても、後述する作用効果の欄で詳しく説明する。
1.1.(A)共重合体
(A)成分は、耐湿熱白化性を高める観点から、官能基を有することが好ましい。本発明において、湿熱白化とは、高温高湿条件(例えば60℃95%RH)にさらされた後に室温に戻した際に、粘着剤皮膜が白化(白濁)する現象である。また、官能基とは、後述する(B)架橋剤と反応して架橋構造を構築し得る架橋性官能基であって、例えば水酸基、アミノ基等が挙げられる。
また、(A)成分は、カルボキシル基を実質的に含まないことが好ましい。本発明において、「(A)成分がカルボキシル基を実質的に含まない」とは、例えば、前記単量体混合物における、カルボキシル基含有単量体の含有量が0.1質量%以下であることをいい、より具体的には、前記単量体混合物を構成する単量体として、カルボキシル基含有単量体を使用しないことをいう。
1.1.1.単量体混合物
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて、ディレイバブルの発生がより低減され、被着体(特に、ガラス)に対する粘着力に優れ、かつ、段差追従性により優れた粘着剤層を得ることができる点で、(A)成分は、上記(a1)成分、(a2)成分および(a3)成分を含む単量体組成物の共重合体であることが好ましく、上記(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分および(a4)成分を含む単量体組成物の共重合体であることがより好ましい。
本発明において、「(メタ)アクリル((metha)acrylic)」という表現は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む概念である。
また、本発明において、(A)成分は、アクリロイル基(CH=CH−C(=O)−)に由来する構成単位(−CH−CH−C(=O)−)および/またはメタクリロイル基(CH=C(CH)−C(=O)−)に由来する構成単位(−CH−C(CH)−C(=O)−)を有していてもよい。(A)成分がアクリロイル基に由来する前記構成単位を有する場合、(A)成分は、アクリロイル基を有する単量体を含む単量体混合物の共重合体であることができる。また、(A)成分がメタクリロイル基に由来する前記構成単位を有する場合、(A)成分は、メタクリロイル基を有する単量体を含む単量体混合物の共重合体であることができる。
本発明において、「(メタ)アクリル酸エステル単量体」とは、分子内に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。本発明において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の両方を含む概念である。より具体的には、(メタ)アクリル酸エステル単量体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、水酸基、アミノ基などの官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む概念である。
1.1.1−1.(a1)成分
(a1)成分は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層のディレイバブル発生の低減、ならびに、良好な段差追従性に寄与することができる。すなわち、(a1)成分に含まれる炭素数10以上24以下の分岐アルキル基に起因して、該粘着剤層のディレイバブルの発生を低減することができ、かつ、柔軟性を有し、かつ、被着体に対して高い濡れ性を有する粘着剤層を得ることができるため、良好な段差追従性を達成することができる。
(a1)成分が前記単量体混合物の18質量%を超えると、(A)成分のガラス転移温度(Tg)が高くなりすぎ、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層が硬くなりすぎる結果、段差追従性が低下することがあり、一方、3質量%未満であると、該粘着剤層の被着体に対する粘着力が低くなり十分な信頼性を得られないことがある。
ディレイバブルの発生をより低減することができ、かつ、段差追従性をより良好にできる点で、前記単量体混合物における(a1)成分の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、一方、18質量%以下であることが好ましい。
(a1)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソラウリル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸イソペンタデシル、(メタ)アクリル酸イソヘキサデシル、(メタ)アクリル酸イソヘプタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸イソアラキジル、(メタ)アクリル酸イソベヘニル、(メタ)アクリル酸イソリグノセリル等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられ、このうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、前記単量体混合物から得られる粘着剤層により高い柔軟性を付与できる点で、(a1)成分の炭素数は10以上18以下であることがより好ましい。
また、ディレイバブルの発生をより低減することができ、かつ、段差追従性をより良好にできる点で、(a1)成分は、炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有し、かつ、ホモポリマーのTgが−45℃以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(この場合、Tgは通常−5℃以下である)であることが好ましい。ホモポリマーのTgが−45℃以上である(a1)成分を3質量%以上18質量%以下含む単量体混合物から得られる(A)成分を用いて得られた粘着剤層は、適度な接着力を有するため、ディレイバブルがより低減されている。
中でも、(a1)成分はアクリル酸イソステアリルおよびメタクリル酸イソデシルまたはいずれか一方であることがより好ましい。
1.1.1−2.(a2)成分
(a2)成分は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層の粘着力に寄与することができる。
(a2)成分が前記単量体混合物の95質量%を超えると、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層において、被着体への十分な濡れ性とディレイバブル耐性との両立が困難となり、外観不良を起こしやすい。一方、42質量%未満であると、粘着力に劣ることがある。
適度な柔らかさおよび粘着力を有する点で、前記単量体混合物における(a2)成分の含有量は、45質量%以上であることが好ましく、52質量%以上であることがより好ましく、一方、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、83質量%以下であることがさらに好ましい。
(a2)成分は、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル等の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;
(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;が挙げられ、このうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
(A)成分のTgを下げることができる(例えば、(A)成分のTgを0℃以下にできる)点で、(a2)成分は、ホモポリマーのTgが0℃以下であることが好ましく、−40℃以下であることがより好ましい。
(a2)成分は、例えば、分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることができ、なかでも、(a1)成分との相溶性に優れ、かつ、(A)成分のTgおよび得られる粘着剤の粘着力を調整できる点で、(a2)成分は、分岐状アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体(アクリロイル基を有する単量体)であることが好ましく、炭素数5以上9以下の分岐状アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単量体であることがより好ましく、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソオクチルまたはいずれか一方であることがさらに好ましい。
単量体混合物において、共重合体のTgを下げたり、被着体に対する馴染み性を調整したりできる観点で、(a2)成分の含有量に対する(a1)成分の含有量((a1)成分の含有量/(a2)成分の含有量)は0.03以上0.75以下であることが好ましく、0.10以上0.6以下であることがより好ましい。同様の観点から、(a1)成分および(a2)成分の合計は通常55質量%以上かつ98質量%以下であり、66質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
1.1.1−3.(a3)成分
前記単量体混合物は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層の耐白化性を高める観点から、(a3)水酸基含有単量体(単に「(a3)成分」ともいう。)2質量%以上40質量%をさらに含むことができる。
(a3)成分は、後述する(B)架橋剤と架橋構造を構築し得る成分である。(a3)成分が前記単量体混合物の40質量%を超えると、(A)成分のTgが高くなりすぎる傾向があり、一方、2質量%未満であると、該粘着剤層の耐白化性に劣ることがある。前記粘着剤層の耐白化性により優れ、かつ、被着体との濡れ性をより高めることにより段差追従性をより良好にできる点で、前記単量体混合物における(a3)成分の含有量は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、11質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
(a3)成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等の(メタ)アクリル酸アルキレングリコールが挙げられ、このうち1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。なかでも、(a1)成分および(a2)成分との相溶性が優れている観点から、(a3)成分は、水酸基を含有するアクリル酸エステル単量体(アクリロイル基を有する単量体)であることが好ましい。
1.1.1−4.(a4)成分
前記単量体混合物は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物の凝集力を付与する観点から、(a4)窒素原子含有単量体(単に「(a4)成分」ともいう。)0.1質量%以上5質量%以下をさらに含むことができる。(a4)成分に含まれる窒素原子が、該粘着剤組成物内に存在する水素原子と結合して、該水素原子が該粘着剤組成物内で水素結合の形成に関与することにより、高い凝集力を発現することができる。より高い凝集力を発現できる観点で、単量体組成物中の(a4)成分の含有量は、0.2質量%以上4質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であることがより好ましい。
(a4)成分は例えば、アミド基またはアミノ基含有単量体であることが好ましい。(a4)成分がアミド基またはアミノ基含有単量体であることにより、(A)成分と後述の(B)成分との反応を促進し、また、アミド基またはアミノ基を構成する窒素原子に結合する水素原子が、粘着剤組成物内での水素結合の形成に関与することにより、より高い凝集力を発現することができる。
なお、(a4)成分が環状の窒素原子含有単量体である場合、適度な凝集力を発揮させる観点で、環状窒素原子含有単量体の含有率は0.5質量%未満(例えば、0質量%以上0.5質量%未満)であることが好ましく、0.1質量%未満(例えば、0質量%以上0.1質量%未満)であることが好ましい。
(a4)成分としては、アミノ基含有モノマーとして、例えば、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等の鎖状単量体が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド等の鎖状単量体が挙げられる。
環状窒素原子含有単量体の一例として、窒素系複素環含有単量体が挙げられる。窒素系複素環含有単量体としては、例えば、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタムが挙げられる。このうち、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
(a1)〜(a3)成分との共重合性に優れる観点から、(a4)成分は、鎖状単量体であることが好ましく、また、(メタ)アクリロイル基を有する単量体が好ましい。
1.1.1−5.(a5)成分
単量体混合物は、(a5)成分である前記(a1)〜(a4)成分以外の共重合性単量体を含んでいてもよい。(a5)成分は例えば、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸n−アラキジル、(メタ)アクリル酸n−ベヘニル、(メタ)アクリル酸n−リグノセリル等の炭素数10以上24以下の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体や、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ナフチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の芳香環基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等のエーテル基を有する(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリロイル基含有マクロモノマー:カルボキシル基含有単量体等が挙げられ、このうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。単量体組成物中の(a5)成分の含有量は0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
中でも、炭素数10以上24以下の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は結晶性を有するため、粘着剤層が硬くなり、気泡を巻き込みやすくなるため、単量体組成物中の炭素数10以上24以下の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の含有量は4質量%以下であることが好ましい。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、アコニット酸等のカルボン酸が挙げられる。(A)成分の酸価を1.0以下に調整することができる点で、(A)成分を調製するための単量体混合物におけるカルボキシル基含有単量体の含有量は0.1質量%以下であることが好ましい。
例えば、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物において、段差追従性をより高めることができ、かつ、ディレイバブルをより低減することができる観点から、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。この場合、前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分がいずれもアクリル酸エステル単量体(すなわち、アクリロイル基を有する単量体)であることもできる。
また、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物では、該光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層がディレイバブルをより低減することができ、段差追従性に優れ、かつ、被着体(特に、ガラス)に対する良好な粘着力を達成できる観点から、(A)成分を得るための前記単量体混合物中における前記(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分および(a4)成分の合計量が80質量%以上100質量%以下であることができ、90質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
さらに、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物において、段差追従性をより高めることができ、かつ、ディレイバブルをより低減することができる観点から、前記単量体混合物における、アクリロイル基を有する単量体の合計が20質量%以上100質量%以下であることが好ましく、25質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、一方、99.9質量%以下であってもよい。
また、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物において、段差追従性をより高めることができ、かつ、ディレイバブルをより低減することができる観点から、前記単量体混合物における、メタクリロイル基を有する単量体の合計が0質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
1.1.2.Tg
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物では、該光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層の段差追従性により優れ、かつ、該粘着剤層と被着体との密着性を高めることができる観点から、(A)成分のTgは0℃以下であることが好ましく、0℃未満であることがより好ましく、−70℃以上−10℃以下であることがさらに好ましく、−70℃以上−30℃以下であることが特に好ましい。なお、本発明において、(A)成分のTgは、下記式(1)(FOXの式)により算出された値である。
1/Tg=Wa1/Tga1+Wa2/Tga2+Wa3/Tga3+Wa4/Tga4+Wa5/Tga5 ・・・・(1)
(式中、Tgは、(A)成分のガラス転移温度(K)を示し、Tga1,Tga2,Tga3はそれぞれ、構成単量体である(a1)成分,(a2)成分,(a3)成分,(a4)成分,(a5)成分から調製されたホモポリマーのガラス転移温度(Tg(K))を示し、Wa1,Wa2,Wa3,Wa4,Wa5はそれぞれ、(A)成分中に含まれる、構成単量体である(a1)成分,(a2)成分,(a3)成分,(a4)成分,(a5)成分の重量分率を示す。)
なお、上記式(1)により、Tgは、絶対温度(K)として算出されるので、必要に応じて摂氏温度(℃)に換算される。
また、代表的なモノマーから調製されたホモポリマーのガラス転移温度は、下記表1に示されるが、より具体的には、たとえば、ポリマーハンドブック4版(Polymer Handbook Third Edition, Wiley-Interscience,2003)などに記載されている。
Figure 2015151514
1.1.3.重量平均分子量
(A)成分は、重量平均分子量(Mw)が5万以上70万以下である。(A)成分の重量平均分子量が5万未満であると、粘着剤として十分な凝集力を得ることができず、耐久性に劣ることがあり、一方、70万を超えると、塗工時の作業性が劣るという観点から、(A)成分の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましく、15万であることがより好ましく、一方、60万以下であることが好ましく、40万以下であることがより好ましく、40万未満であることがさらに好ましい。
また、段差追従性を向上させる点で、分子量分布(Mw/Mn)が4より大きいことが好ましい。ここで、(A)成分の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、下記の条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を求めたものである。
<GPC測定条件>
測定装置:HLC−8120GPC(東ソー社製)
GPCカラム構成:以下の5連カラム(すべて東ソー社製)
(i)TSK−GEL HXL−H(ガードカラム)
(ii)TSK−GEL G7000HXL
(iii)TSK−GEL GMHXL
(iv)TSK−GEL GMHXL
(v)TSK−GEL G2500HXL
サンプル濃度:1.0mg/cmとなるように、テトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1.0cm/min
カラム温度:40℃
1.1.4.水酸基価
本発明において、水酸基価とは、試料1g中に含まれる水酸基をアセチル化するために要する水酸化カリウム(KOH)のmg数をいう。水酸基価は以下の方法により算出することができる。
本発明において、ポリマーの水酸基価は、共重合に用いられる水酸基含有単量体の分子量(M)、水酸基モノマーの配合量(Y質量%)を基に、以下の式(2)により算出される値である。
ポリマーの水酸基価(mgKOH)=Y/M×561 ・・・(2)
(A)共重合体の水酸基価は8以上172以下であることが好ましく、10以上150以下であることがより好ましく、20以上130以下であることがさらに好ましい。(A)共重合体の水酸基価が172を超えると、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層の段差追従性が低下することがあり、一方、8未満であると、該粘着剤層の耐白化性に劣ることがある。
1.1.5.粘着剤組成物における含有量
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物における(A)成分の含有量は、該粘着剤組成物の40質量%以上95質量%以下であることができ、45質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
1.1.6.重合方法
(A)成分の重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、重合により得られた共重合体の混合物を用いて、本発明の粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単でかつ短時間で行える観点から、溶液重合により重合することが好ましい。
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶剤、各単量体、重合開始剤、および必要に応じて用いられる連鎖移動剤等を仕込み、窒素気流又は有機溶剤の還流温度の下で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。
なお、この場合において、有機溶剤、単量体及び/又は重合開始剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;などを挙げることができる。これらの有機溶剤はそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
これら重合用有機溶剤のうち、(A)成分の重合に際しては、重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶剤、例えば、エステル類、ケトン類を使用することが好ましく、特に、(A)成分の溶解性、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどの使用が好ましい。
前記重合開始剤としては、通常の溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシビバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられ、アゾ化合物としては、例えば、2,2´−アゾビス−i−ブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2´−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。
これらの重合開始剤のうち、(A)成分の重合反応中に、グラフト反応を起こさない重合開始剤が好ましく、特にアゾ系が好ましい。その使用量は、通常、単量体合計100質量部に対して0.01質量部以上2質量部以下であり、好ましくは0.05質量部以上1.0質量部以下である。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ピネン、ターピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
(A)成分の重合温度としては、一般に約30〜180℃であり、好ましくは40〜150℃であり、より好ましくは50〜90℃の範囲である。なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くために、メタノールなどによる再沈澱法で精製することも可能である。
1.1.7.酸価
被着体(例えばITO)の腐食を防止する観点から、(A)成分の酸価は1.0以下であることが好ましく、0以上0.8以下であることがより好ましい。
1.2.(B)架橋剤
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物において、(A)成分は、架橋性官能基を有し、(B)架橋剤(単に「(B)成分」と記載することもある。)をさらに含む。(B)成分が(A)成分と反応することにより、架橋構造が生じ、該架橋構造を含む粘着剤層は、被着体(特に、ガラス)に対する粘着力に優れている。
(B)成分は、イソシアネート系架橋剤であることができる。(B)成分がイソシアネート系架橋剤であることにより、例えば(A)成分に含まれる水酸基と反応して、架橋構造を形成することができる。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物において、(B)成分は、常温又は加熱下で(A)成分と架橋し得る架橋剤であれば特に限定されないが、例えば、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーや、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、またはそのビウレット体等が例示される。
また、公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどにイソシアネート化合物を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等も挙げられる。これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、およびこれらの誘導体などが好ましく用いられる。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られた粘着剤層がより良好な段差追従性を達成できる観点から、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物において、(A)成分100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下(好ましくは0.1質量部以上10質量部以下)の(B)成分を含み、0.1質量部以上5質量部以下の(B)成分を含むことが好ましい。
1.3.(C)ケトン系有機溶剤
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物は、前記(A)共重合体100質量部に対して、40質量部以上120質量部以下の(C)ケトン系有機溶剤(以下、単に「(C)成分」と記載することもある。)をさらに含むことができる。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物に含まれる(A)成分が、水酸基を含有する(a3)成分を2質量%以上40質量%以下含む単量体混合物の共重合体であるため、(A)成分の極性は比較的高く、凝集しやすい性質を有する。このため、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物がさらに(C)成分を含むことにより、(A)成分の凝集を抑制することができるため、透明性に優れた光学用粘着剤組成物を得ることができる。これにより、該光学用粘着剤組成物を用いて、透明性に優れた粘着剤層を得ることができる。
透明性をより高めることができる点で、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物における前記(C)成分の含有量は、前記(A)共重合体100質量部に対して、60質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、一方、120質量部以下であることが好ましい。
(C)成分としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコールが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(C)成分と共に、他の有機溶剤を使用することができる。この場合、(C)成分と他の有機溶剤との質量比((C)成分/他の有機溶剤)は1/1以上3/1以下であることが好ましい。
他の有機溶剤としては、例えば、芳香族系有機溶媒(トルエン、キシレン、ベンゼン)、炭化水素系有機溶媒(ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン)、エステル系有機溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル)、エーテル系有機溶剤(例えば、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブチルカルビトール)が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
1.4.その他の成分
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物は、必要に応じて、(A)成分、(B)成分および(C)成分以外の成分をさらに含むことができる。例えば、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、(D)シランカップリング剤(以下、単に「(D)成分」と記載することもある。)、イオン性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与剤、可塑剤等が配合されていても良い。
1.4.1.(D)シランカップリング剤
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物が(D)成分を含むことにより、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて被着体の表面に粘着剤層を形成した場合、被着体との接着を良好に保つことができる。(D)成分は例えば、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン及びメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;並びに3−クロロプロピルトリメトキシシラン;オリゴマー型シランカップリング剤等であってもよく、中でも、(A)成分中に含まれる官能基と反応する官能基を有しているシランカップリング剤が湿熱環境下でハガレを生じさせにくいという点で好ましい。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物における(D)成分の含有量は、被着体との接着を良好に保つことができる観点から、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物に対して0.01質量%以上5質量%以下であることができ、0.1質量%以上1質量%以下であることが好ましい。
1.5.粘着剤組成物の製造
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物は、通常、前記(A)成分および(B)成分、ならびに必要に応じて任意成分を、同時にあるいは任意の順番で混合して調製される。また、(A)成分と(B)成分とを混合するにあたり、(A)成分を溶液重合により調製した場合は、重合完了後の(A)成分を含む溶液に(B)成分を添加してもよく、(A)成分を塊状重合により調製する場合は、重合完了後では均一混合が困難になるため、この重合の途中で(B)成分を添加して混合することが好ましい。
1.6.用途
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物は、光学部材と被着体との貼り合わせに使用することができる。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いた貼り合わせの対象となる光学部材としては、例えば、偏光フィルム(偏光板)、位相差フィルム、楕円偏光フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、光拡散フィルムおよびハードコートフィルムからなる群から選択される光学フィルムが挙げられる。また、被着体としては、例えば、ITO層等の金属層、ガラスまたはプラスチックからなる基材が挙げられる。
また、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層はガラスに対する接着性が優れている点で、ガラスとの貼り合わせに好適に用いることができる。
また、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層はディレイバブル発生が低減されており、段差追従性および粘着力に優れている点で、タッチパネル式入出力装置または画像表示装置を構成する光学部材の貼り合わせに好適に使用することができる。
1.7.粘着シート(粘着剤層)
本発明の一実施形態に係る粘着シート(粘着剤層)は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物をより形成される粘着剤層を有する。該粘着剤層は例えば、膜状に成形し、溶媒を除去することにより製造することができる。
より具体的には、本実施形態に係る粘着シートは、例えば、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物をセパレーター(剥離フィルム)上に塗工することにより膜状に形成した後、加熱することにより得ることができる。
より具体的には、基材上に、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物をグラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等により塗布し、塗布された該粘着剤組成物を乾燥させて、本実施形態に係る粘着シートを作製することができる。本実施形態に係る粘着シート(粘着剤層)を被着体と光学部材との間に設けることにより、該被着体と該光学部材との貼り合わせを行うことができる。
本実施形態に係る粘着シート(粘着剤層)の厚みは、通常は1μm以上250μm以下、好ましくは10μm以上180μm以下程度である。本実施形態に係る粘着シート(粘着剤層)の粘着力は、通常10N/25mm以上40N/25mm以下であり、16N/25mm以上24N/25mm以下であることが好ましい。
1.8.作用効果
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物は、(a1)炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体3質量%以上18質量%以下と、(a2)炭素数1以上9以下の直鎖および/または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体42質量%以上95質量%以下と、(a3)水酸基含有単量体2質量%以上40質量%以下と、を含む単量体混合物(ここで、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。)の(A)共重合体と、前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である(B)架橋剤と、を含むことにより、ディレイバブル発生が低減され、かつ、段差追従性および粘着力に優れた粘着剤層を得ることができる。
すなわち、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いることにより、ディレイバブル発生が低減され、かつ段差追従性と粘着力とを兼ね備えた粘着剤層を得ることができる。よって、該粘着剤層は例えば、画像表示装置や入出力装置に好適に使用することができる。
1.8.1.ディレイバブル発生の低減
本発明者らは、(a1)成分を含む単量体混合物から得られる(A)成分を含む粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層が、ディレイバブル発生を低減できることを見出した。(a1)成分を含む組成物から得られる粘着剤層においてディレイバブルの発生を低減できる理由は明らかではないが、(a1)成分に含まれる炭素数10以上24以下の分岐アルキル基の嵩高さが、(A)成分の立体配置に何らかの影響を与える結果、高温の条件下においても粘着剤層中に隙間が生じにくく、気泡が生じにくいため、ディレイバブル発生を低減することができると推測される。
すなわち、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物によれば、炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(a1)成分3質量%以上18質量%以下を含む単量体混合物から得られる(A)成分を含むことにより、粘着剤層中のディレイバブル発生を低減することができる。
1.8.2.段差追従性
また、本発明者らは、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物が、炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(a1)成分を3質量%以上18質量%以下含む単量体混合物から得られる(A)成分を含むことにより、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層は柔軟性を有するため、優れた段差追従性を有することを見出した。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層が発揮する、優れた段差追従性を説明するにあたり、以下に、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られる粘着剤層を含む画像表示装置および入出力装置について説明する。
2.画像表示装置および入出力装置
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られた粘着剤層を含む。本実施形態に係る画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置が挙げられる。
また、本発明の一実施形態に係る入出力装置は、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて得られた粘着剤層を含む。この場合、入出力装置としては、例えば、静電容量方式のタッチパネル式入出力装置が挙げられる。
2.1.第1の入出力装置
図1に示される本実施形態に係るタッチパネル式入出力装置(第1の入出力装置)100について、以下に詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る第1の入出力装置(タッチパネル式入出力装置100)の構成を模式的に示す断面図である。本実施形態に係るタッチパネル式入出力装置100は、液晶表示装置(LCD)10と、タッチパネル部20と、LCD10とタッチパネル部20との間に設けられた粘着剤層30とを含む。粘着剤層30はLCD10とタッチパネル部20とを接着する。
粘着剤層30は、例えば、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物をセパレータ(図示せず)の表面に塗布し、加熱することにより、得られた粘着シートをセパレーターから剥離して、LCD10とタッチパネル20との間に設置したものである。
図1に示すように、LCD10は、偏光板11と、粘着剤層12と、液晶パネル13と、粘着剤層14と、偏光板15とがこの順で積層されて構成されている。粘着剤層12は偏光板11と液晶パネル13とを接着し、粘着剤層14は液晶パネル13と偏光板15とを接着する。
また、図1に示すように、タッチパネル部20は、飛散防止フィルム16と、粘着剤層17と、ITO層18と、ガラスパネル19とがこの順で積層されて構成されている。粘着剤層17は、飛散防止フィルム16とITO層18とを接着する。
粘着剤層12,14,17は、粘着剤層30と同じく、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて製造されたものであってもよい。
2.2.第2の入出力装置
また、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を、第2の入出力装置(タッチパネル式入出力装置)を構成する部材の貼り合わせに使用した別の一例を、図2を参照して説明する。図2に示される第2の入出力装置200では、構成する部材の貼り合わせに本実施形態に係る光学用粘着剤組成物が使用されることによって、該部材間に生じる段差を解消する効果を有する。
より具体的には、図2に示されるタッチパネル式入出力装置200は、例えば液晶ディスプレイで構成される画像表示装置22と、表面にセンサー電極26aを備える、ガラス、フィルム等の基材26と、表面に印刷層28aを備えるカバーガラス28と、画像表示装置22および基材26を貼合する粘着シート24a(24)と、カバーガラス28及び基材26を貼合する粘着シート24b(24)と、を含む。
図2に示されるように、粘着シート24a(24)は、センサー電極26aと基材26との間に生じる段差を埋めるように設けられており、粘着シート24b(24)は、印刷層28aとカバーガラス28との間に生じる段差を埋めるように設けられている。本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて製造された粘着シート24a,24bは、柔軟性に優れているため、タッチパネル式入出力装置200を構成する部材間に生じる段差を埋める効果(段差追従性)を有する。
図3の(a)および(b)は、図2に示される画像表示装置(タッチパネル式入出力装置)に含まれる粘着シート24の段差追従性について説明する断面図である。
図3(a)は、公知の粘着シート44が段差追従性に劣るため、空隙64が生じている例である。すなわち、図3(a)に示されるように、センサー電極26aと基材26との間に生じる段差に起因して、粘着シート44が、センサー電極26aと基材26との間の段差に追従しにくく、その結果、粘着シート44とセンサー電極26aと基材26との間には一般に、空隙64が生じやすい。空隙64の存在により、画像表示装置の視認性の悪化という問題が生じることがある。
一方、図3(b)に示すように、本実施形態に係る粘着シート24は、センサー電極26aと基材26との間に空隙を生じさせずに、センサー電極26aと基材26との間の段差に追従している。その理由として、本実施形態に係る粘着シート24aは、上述する理由により、柔軟性に優れているため、図3(b)に示されるように、粘着シート24aがセンサー電極26aと基材26との間に生じる段差に追従することができるため、センサー電極26aと基材26との間に空隙が生じ難い。
なお、図3(b)では、粘着シート24aがセンサー電極26aと基材26との段差に充填されている例を示したが、図2に示されるように、粘着シート24aと同様に、粘着シート24bによって、印刷層28aとカバーガラス28との間の段差が充填されていてもよい。
なお、図3を参照して、タッチパネル式入出力装置200における粘着シートの段差追従性について記載したが、タッチパネル式入出力装置以外の画像表示装置においても、段差を埋めるために本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いることもできる。
本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて、ディレイバブル発生が低減され、かつ、段差追従性に優れた粘着剤層を得ることができる。すなわち、本実施形態に係る光学用粘着剤組成物を用いて図3(a)の空隙64を充填して、該粘着剤層で空隙64を埋めることができる。
3.実施例
以下、本発明を下記実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されない。
3.1.(A)成分の調製
3.1.1.ポリマー1の製造
冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌装置を備えた反応容器に、溶媒としてメチルエチルケトン80質量部、酢酸エチル40質量部、単量体成分としてアクリル酸イソステアリル15質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル74質量部、アクリル酸ヒドロキシエチル10質量部、およびアクリルアミド1質量部を入れ、窒素還流を室温にて1時間行った後、反応容器内のモノマー組成物溶液の温度を80℃に昇温し、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を撹拌下で添加した。窒素気流中で10時間重合を行い、重量平均分子量が30万の共重合体(ポリマー1)の溶液を得た。また、ポリマー1のTgおよび水酸基価をあわせて表2に示す。
3.1.2.ポリマー2ないし14の製造
表2に示される組成の溶媒および単量体混合物をそれぞれ用いた他は、上記「3.1.1.ポリマー1の製造」に記載の方法によって、ポリマー2ないし14の溶液をそれぞれ得た。ポリマーポリマー2ないし14の重量平均分子量、Tgおよび水酸基価をあわせて表2に示す。なお、ポリマー8の製造では、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.08質量部用いた。
3.2.粘着剤組成物の調製(実施例1ないし11および比較例1ないし4)
表2に示されるポリマー1ないし14と(B)成分と溶媒とを表3に示す比率にて混合することにより、実施例1ないし11および比較例1ないし4の各組成物を得た。
3.3.評価用粘着シートの作製
実施例1ないし11および比較例1ないし4の各組成物を、剥離処理したセパレーターの表面に塗布して溶媒を除去した後、粘着面にセパレーターを貼り合わせて、粘着剤層の厚さが50μmの粘着シートを得た。得られた粘着シートの片側のセパレーターを剥離し、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせて評価用粘着シートを得た。
3.4.試験方法
実施例1ないし11および比較例1ないし4の各組成物、および該組成物を用いて得られた粘着シートに対して、以下の方法にて評価試験を行った。なお、表3において、共重合体および架橋剤の配合量はそれぞれ、溶媒を含まない状態における共重合体および架橋剤の質量である。
3.4.1.組成物のヘイズ値(表2)
ポリマー1ないし14について、濁度計COH−400(日本電色工業社製)を用いてポリマーワニスのヘイズ値を測定した。透明性に優れている点で、組成物のヘイズは5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。
3.4.2.湿熱試験後のヘイズ値(耐湿熱白化性)(表3)
上記3.3で作製された評価用粘着シートの片面の、セパレーターを剥がし、粘着剤層がガラス基板に接するようにラミネーターロールを用いて貼り付けて測定試料を作製し、次に、60℃−95%RH条件下で該試料を500時間投入した後、23℃−50%RH条件下に移してから10分後にヘイズメーターHM−150(村上色彩技研研究所)を用いてヘイズを測定した(湿熱試験後ヘイズ値)。湿熱試験後ヘイズの値が3以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。
3.4.3.180°粘着力(表3)
上記3.3で作製された評価用粘着シートを25mm×150mmの大きさに裁断し、23℃、50%RH条件下で、ガラス板に、実施例等で得られた粘着シートのセパレーターを剥がし、露出した粘着剤層面にガラス板を2kgのローラーを用いて圧着した。貼付から20分後にガラス板から粘着シートを23℃、剥離角度180°の条件で、剥離速度300mm/分で剥離し、粘着シートの粘着剤層の粘着力(N/25mm)を測定した。
3.4.4.段差追従性およびディレイバブル(表3)
ガラス上に任意の厚みに調整したPET粘着テープを貼り付けて評価用の段差を作製し、その上から上記3.3で作製された評価用粘着シートを貼り付けた。50℃、5atm、20分間の条件でオートクレーブ処理をした後、目視で段差追従性を観察した。評価基準は以下のとおりである。
(段差追従性の評価基準)
○:粘着剤層厚みの35%以上の段差を埋めることができ、段差周辺に空隙や気泡が視認されない。
△:粘着剤層厚みの20%以上35%未満の段差を埋めることができ、段差周辺に空隙や気泡が視認されない。
×:粘着剤層厚みの20%以上の段差を埋めることができない。
その後、80℃の条件下で24時間放置した後に取り出して、目視でディレイバブルを観察した。評価基準は以下のとおりである。
(ディレイバブルの評価基準)
○:粘着剤層厚みの35%以上の段差を埋めることができ、段差周辺に空隙や気泡が視認されない。
△:粘着剤層厚みの20%以上35%未満の段差を埋めることができ、段差周辺に空隙や気泡が視認されない。
×:粘着剤層厚みの20%以上の段差を埋めることができない。
Figure 2015151514
Figure 2015151514
なお、表2および表3における略語は以下の意味である。
AM:アクリルアミド
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
EtAc:酢酸エチル
2HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
IDMA:メタクリル酸イソデシル
IOA:アクリル酸イソオクチル
ISTA:アクリル酸イソステアリル
LA:アクリル酸n−ラウリル
MA:アクリル酸メチル
MEK:メチルエチルケトン
STA:アクリル酸n−ステアリル
VMA:メタクリル酸n−ベヘニル
コロネートL:トリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製)
デュラネート24A−100:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(旭化成社製)
実施例1ないし11の組成物は、(a1)成分3質量%以上18質量%以下と、(a2)成分42質量%以上95質量%と、(a3)成分2質量%以上40質量%以下と、を含む単量体混合物の(A)共重合体と、前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である(B)架橋剤と、を含むことにより、該組成物を用いて得られた粘着剤層は、ディレイバブル発生が低減されており、段差追従性、密着性(粘着力)および耐湿熱白化性に優れていることが理解できる。
これに対して、比較例1の組成物は、(A)成分を調製するための単量体混合物が(a1)成分を含まないため、該組成物を用いて得られた粘着剤層では、ディレイバブル発生を低減できなかったことが理解できる。
また、比較例2ないし4の組成物は、(A)成分を調製するための単量体混合物において、(a1)成分の代わりに、炭素数10以上24以下の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を用いたため、段差追従性が劣るうえに、ディレイバブル発生を低減できなかったことが理解できる。
10 液晶表示装置(LCD)
11,15 偏光板
12,14,17 粘着剤層
13 液晶パネル
16 飛散防止フィルム
18 ITO層
19 ガラスパネル(タッチパネル)
20 タッチパネル部
22 画像表示装置
24,24a,24b 粘着シート
26 基材
26a センサー電極
28 カバーガラス
28a 印刷層
30 粘着剤層
44 公知の粘着シート
64 空隙
100,200 タッチパネル式入出力装置

Claims (8)

  1. (a1)炭素数10以上24以下の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体3質量%以上18質量%以下と、
    (a2)炭素数1以上9以下の直鎖および/または分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体42質量%以上95質量%以下と、
    (a3)水酸基含有単量体2質量%以上40質量%以下と、
    を含む単量体混合物(ここで、前記単量体混合物における前記(a1)成分、前記(a2)成分および前記(a3)成分の合計が75質量%以上100質量%以下である。)の(A)共重合体と、
    前記(A)共重合体100質量部に対して0.01質量部以上20質量部以下である(B)架橋剤と、
    を含む、光学用粘着剤組成物。
  2. 前記(A)共重合体は、重量平均分子量が5万以上70万以下である、請求項1に記載の光学用粘着剤組成物。
  3. 前記単量体混合物は、(a4)窒素原子含有単量体0.1質量%以上5質量%以下をさらに含む、請求項1または2に記載の光学用粘着剤組成物。
  4. 前記単量体混合物における、アクリロイル基を有する単量体の合計が20質量%以上100質量%以下である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学用粘着剤組成物。
  5. 前記(A)共重合体の酸価が1.0以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学用粘着剤組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学用粘着剤組成物より形成される粘着剤層を有する、光学用粘着シート。
  7. タッチパネル式入出力装置または画像表示装置を構成する部材の貼り合わせに用いられる、請求項6に記載の光学用粘着シート。
  8. 請求項6または7に記載の光学用粘着シートを含む、画像表示装置。
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