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JP2013538056A - インフルエンザh5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なモノクローナル抗体 - Google Patents

インフルエンザh5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なモノクローナル抗体 Download PDF

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JP2013538056A JP2013525868A JP2013525868A JP2013538056A JP 2013538056 A JP2013538056 A JP 2013538056A JP 2013525868 A JP2013525868 A JP 2013525868A JP 2013525868 A JP2013525868 A JP 2013525868A JP 2013538056 A JP2013538056 A JP 2013538056A
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Abstract

本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2、あるいはインフルエンザH5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なキメラまたはヒト化モノクローナル抗体、およびその活性断片に関する。本発明はまた、こうしたネズミまたはキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体あるいはその断片を用いたH5N1インフルエンザの予防および治療にも関する。

Description

配列提出
[0001]本出願は、電子形式の配列表とともに出願されている。配列表は2577_203_Sequence_Listing.txtと題され、2010年8月20日に作成されている。配列表の電子形式の情報は、その全体が本明細書に援用される。
[0002]本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2、あるいはインフルエンザH5赤血球凝集素の主要中和エピトープおよびその活性断片に特異的なキメラまたはヒト化モノクローナル抗体に関する。本発明はまた、こうしたネズミまたはキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体あるいはその断片を用いたH5N1インフルエンザの予防および治療のための方法および組成物にも関する。
[0003]本発明の背景の理解を容易にするか、または実施に関するさらなる詳細を提供するために、本明細書に用いる刊行物および他の題材は、本明細書に援用され、そして便宜のため、それぞれ、参考文献一覧に集められる。
[0004]インフルエンザAウイルスのH5N1株が最近出現し、そしてこれらによってヒトにおいて引き起こされる死亡率が高いことから、将来のインフルエンザ・パンデミックの可能性に関する懸念が生じてきた。さらなるパンデミック大流行を防止するため、世界規模で、循環H5N1株に対する予防的および療法的手段に大きな関心が集まっており、そして努力がなされてきている。現在のワクチン戦略は、インフルエンザ株の抗原性変動によって妨害されてきている。抗体の内因性合成を要する現在のワクチン戦略は、パンデミック事象においては、H5N1感染に対して、即時性の保護を提供しないであろう。現在認可されている抗ウイルス薬剤には、M2イオンチャネル阻害剤(リマンチジンおよびアマンチジン)およびノイラミニダーゼ阻害剤(オセルタミビルおよびザナミビル)が含まれる。H5N1ウイルスは、M2イオンチャネル阻害剤には耐性であることが知られる(Beigelら、2005)。ノイラミニダーゼ阻害剤、すなわちオセルタミビルおよびザナミビルにもまた耐性である、より新しい株のH5N1ウイルスが単離されてきている(Leら、2005、de JongおよびHien、2006)。ノイラミニダーゼ阻害剤はまた、高用量および長期の治療を必要とし(de JongおよびHien、2006)、望ましくない副作用の可能性を増加させる。したがって、インフルエンザ治療のための代替戦略が必要とされる。
[0005]モノクローナル抗体(mAb)を用いた受動免疫療法は、多くの感染性疾患の治療のための実行可能なオプションと見なされてきている。現在、インフルエンザウイルスのHA1タンパク質に対する中和抗体を用いた療法的アプローチが注目を集めてきている。このタンパク質は、ウイルス表面上にあるため、ターゲットとするのが容易であり、そしてこのタンパク質に対する抗体は、ウイルスを効率的に中和可能である。したがって、H5赤血球凝集素(HA)の中和エピトープに対するモノクローナル抗体は、特に、インフルエンザ感染の高いリスクにある個体、すなわち能動免疫によく反応しない免疫無防備状態患者、乳児、幼児または高齢者には、ヒトの能動的ワクチン接種に対する魅力的な代替物でありうる。ヒト回復期血清の輸血による受動免疫は、インフルエンザパンデミック中の死亡率の50%減少と関連づけられており、そしてH5N1インフルエンザAウイルス感染に対して有効であることが示された(KongおよびZhou、2004; Lukeら、2006)。いかなるmAb産物も、H5N1インフルエンザの循環株に対して広い防御を提供するべきであり、そしてin vivoで、中和エスケープ突然変異体の選択を防御すべきであることが重要である。
Beigelら、2005 Leら、2005 de JongおよびHien、2006 KongおよびZhou、2004 Lukeら、2006
[0006]本発明は、インフルエンザH5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なモノクローナル抗体およびその活性断片に関する。本発明はまた、こうしたモノクローナル抗体またはその断片を用いたH5N1インフルエンザの予防および治療のための方法および組成物にも関する。
[0007]したがって、第一の側面において、本発明は、インフルエンザH5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なモノクローナル抗体、およびその活性断片、すなわち抗原結合断片(本明細書において抗体断片とも称する)を提供する。1つの態様において、モノクローナル抗体はネズミ・モノクローナル抗体4C2である。第二の態様において、モノクローナル抗体は、キメラまたはヒト化モノクローナル抗体である。特に、キメラまたはヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2が特異的に結合するH5赤血球凝集素の三次元エピトープに特異的に結合する。1つの態様において、モノクローナル抗体(ネズミ・モノクローナル抗体、あるいはキメラまたはヒト化モノクローナル抗体いずれか)またはその断片は、H5赤血球凝集素(HA)の三次元エピトープに特異的に結合し、ここで、三次元エピトープは、成熟HAタンパク質のアミノ酸155(Ser)および189(Arg)で構成される。別の態様において、軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)(LCDR)は、配列番号2に示すアミノ酸配列(本明細書において、HM448828とも称され、マウス軽鎖可変領域のアミノ酸配列である)内に位置する。さらなる態様において、軽鎖可変CDRのアミノ酸配列は: LCDR1: QDISGH(配列番号5); LCDR2: HGT(配列番号6);およびLCDR3: VQYVQFPWT(配列番号7)である。1つの態様において、重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)(HCDR)は、配列番号4に示すアミノ酸配列(本明細書において、HM448827とも称され、マウス重鎖可変領域のアミノ酸配列である)内に位置する。別の態様において、重鎖可変CDRのアミノ酸配列は: HCDR1: GYTFTTYW(配列番号8); HCDR2: IDPYDSET(配列番号9);およびHCDR3: VRGGSTVAYFGV(配列番号10)である。
[0008]1つの態様において、HM448828をコードするDNAは、配列番号1に示すヌクレオチド配列を含む。別の態様において、HM448827をコードするDNAは、配列番号3に示すヌクレオチド配列を含む。1つの態様において、軽鎖可変領域は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む。別の態様において、重鎖可変領域は、配列番号4に示すアミノ酸配列を含む。1つの態様において、重鎖および軽鎖定常領域は、標準的クローニング技術によって、ヒト抗体産生細胞から得られる。別の態様において、ヒト重鎖定常領域は、ヒトIgG1重鎖定常領域である。さらなる態様において、ヒトIgG1重鎖定常領域は、配列番号22に示すアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAX09634.1)を含む。さらなる態様において、このアミノ酸配列をコードする核酸配列を配列番号21(GenBank寄託番号AY885218.1)に示す。1つの態様において、ヒト軽鎖定常領域は、ヒトカッパ鎖軽鎖定常領域である。別の態様において、ヒトカッパ軽鎖定常領域は、配列番号24に示すアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAA58989.1)を含む。さらなる態様において、この配列をコードする核酸を配列番号23(GenBank寄託番号J00241.1)に示す。
[0009]別の態様において、本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2、または本明細書記載のキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体、あるいはその抗原結合断片を提供する。核酸配列の例には、本明細書記載のものが含まれる。さらなる態様において、本発明は、核酸を含む、ベクターを提供する。さらなる態様において、本発明は、ベクターを含み、そして発現している細胞を提供する。
[0010]第二の側面において、本発明は、こうしたネズミ・モノクローナル抗体4C2、またはキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体、あるいはその活性断片を用いた、H5N1インフルエンザの予防および治療のための方法および組成物を提供する。1つの態様において、本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2、あるいは本明細書記載のキメラまたはヒト化モノクローナル抗体、および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む、薬学的組成物を提供する。別の態様において、薬学的組成物は、本明細書記載のモノクローナル抗体の抗原結合断片および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。さらなる態様において、薬学的組成物は、前記抗体または抗体断片をコードする核酸分子および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。さらなる態様において、薬学的組成物は、前記核酸を含むベクターおよび薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。別の態様において、薬学的組成物は、前記ベクターを発現している細胞および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。
[0011]1つの態様において、本発明は、被験体におけるインフルエンザH5N1ウイルス感染を減少させるか、あるいは被験体におけるインフルエンザH5N1ウイルス感染のリスクを低下させるか、1またはそれより多いインフルエンザH5N1ウイルス株または単離体による被験体の感染を阻害するか、あるいは1またはそれより多いインフルエンザH5N1ウイルス株または単離体によるインフルエンザ感染または疾患を予防する方法を提供する。この態様において、方法は、その必要がある被験体に、療法的有効量のネズミ・モノクローナル抗体4C2、または本明細書記載のキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体、あるいはその抗原結合断片、前記抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子;前記ポリヌクレオチドを含むベクター;あるいは前記ベクターを発現している細胞を投与する工程を含む。1つの態様において、被験体は、免疫無防備状態であるか、乳児、幼児または高齢者である。別の態様において、投与は療法的利益を提供する。さらなる態様において、療法的利益は、インフルエンザウイルス力価の増加を阻害するか、インフルエンザウイルス力価を減少させるか、インフルエンザウイルス複製の増加を阻害するか、インフルエンザウイルス複製を減少させるか、インフルエンザウイルス増殖の増加を阻害するかまたはインフルエンザウイルス増殖を減少させるか、あるいは被験体におけるインフルエンザウイルス感染と関連する1またはそれより多い症状または合併症の進行、重症度、頻度、期間または可能性を減少させることを含む。1つの態様において、症状または合併症は、悪寒、発熱、咳、咽頭炎、鼻閉、副鼻腔鬱血、鼻感染、副鼻腔感染、体の痛み、頭痛、疲労、肺炎、気管支炎、耳感染症、耳の痛みおよび死より選択される。別の態様において、療法的利益は、インフルエンザH5N1ウイルス感染からの被験体の回復を加速することを含む。さらなる態様において、被験体に投与される剤は、被験体のインフルエンザH5N1ウイルス感染の前、感染と実質的に同時、または感染後である。
[0012]図1Aおよび1Bは、マウスにおける4C2 mAbの予防有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図1A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図1B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1 5MLD50に曝露する前日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgの4C2 mAbで前治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 図1Aおよび1Bは、マウスにおける4C2 mAbの予防有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図1A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図1B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1 5MLD50に曝露する前日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgの4C2 mAbで前治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 [0013]図2Aおよび2Bは、マウスにおける4C2 mAbの療法有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図2A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図2B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1に曝露した翌日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgの4C2 mAbで治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 図2Aおよび2Bは、マウスにおける4C2 mAbの療法有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図2A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図2B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1に曝露した翌日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgの4C2 mAbで治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 [0014]図3Aおよび3Bは、マウスにおけるキメラ4C2の予防有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図3A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図3B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1 5MLD50に曝露する前日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgのch4C2で前治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 図3Aおよび3Bは、マウスにおけるキメラ4C2の予防有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図3A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図3B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1 5MLD50に曝露する前日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgのch4C2で前治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 [0015]図4Aおよび4Bは、マウスにおけるキメラ4C2の療法有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図4A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図4B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1に曝露した翌日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgのch4C2で治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。 図4Aおよび4Bは、マウスにおけるキメラ4C2の療法有効性を示す。マウスの各群を、クレード1 A/HK/213/2003(図4A)またはクレード2.1ウイルスA/TLL013/06(図4B)由来のマウス適応インドネシアHPAI H5N1に曝露した翌日、2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgのch4C2で治療した。14日間の観察期間に渡って、生存に関してマウスを監視した。結果を生存パーセントで表す。
[0016]本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2、あるいはインフルエンザH5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なキメラまたはヒト化モノクローナル抗体、およびその活性断片に関する。本発明はまた、こうしたネズミまたはキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体あるいはその断片を用いたH5N1インフルエンザの予防および治療のための方法および組成物にも関する。
[0017]「単離された」によって、天然には一緒に存在する構成要素の少なくともいくつかから遊離した生物学的分子を意味する。
[0018]用語、単数または複数の「抗体」は、本明細書において、当該技術分野に認識される用語であり、そして既知の抗原に結合する分子または分子の活性断片、特に免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原に特異的に結合する結合部位を含有する分子を指すと理解される。免疫グロブリンは、免疫グロブリン・カッパおよびラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンおよびミュー定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子によって実質的にコードされる1またはそれより多いポリペプチドを含むタンパク質である。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、これらは次に、それぞれ、免疫グロブリン・クラス、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する。重鎖のサブクラスもまた知られる。例えば、ヒトにおけるIgG重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4サブクラスのいずれであってもよい。本発明記載の免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意のクラス(IgG、IgM、IgD、IgE、IgAおよびIgY)またはサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)であってもよい。
[0019]本明細書において、抗体に関して「特異的に結合する」は、抗体が、構造的に異なる抗原(単数または複数)に対するよりも、より高いアフィニティでターゲット抗原に結合することを意味する。
[0020]典型的な免疫グロブリン構造単位は、四量体を含むことが知られる。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一対で構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50〜70kD)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する、約100〜110またはそれより多いアミノ酸の可変領域を定義する。用語、可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)は、それぞれ、これらの軽鎖および重鎖を指す。
[0021]抗体は、全長の損なわれていない(intact)抗体として、あるいは多様なペプチダーゼまたは化学薬品での消化によって産生されるよく性質決定された多数の断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域において、ジスルフィド連結下の抗体を消化して、F(ab’)を生じ、これは、それ自体がジスルフィド結合によってV−CHに連結されている軽鎖である、Fabの二量体である。F(ab’)を穏やかな条件下で還元して、ヒンジ領域におけるジスルフィド連結を破壊して、それによってF(ab’)二量体をFab’一量体にすることも可能である。Fab’一量体は、本質的にはFab断片であり、ヒンジ領域の一部を伴う(他の抗体断片の、より詳細な説明に関しては、Fundamental Immunology, W. E. Paul監修, Raven Press, N.Y.(1993)を参照されたい)。損なわれていない抗体の消化に関して、多様な抗体断片が定義されているが、当業者は、任意の抗体断片を、化学的にまたは組換えDNA方法論を利用することによってのいずれかで新規に合成可能であることを認識するであろう。したがって、用語、抗体にはまた、本明細書においてまた、全抗体の修飾によって産生されるかまたは新規合成された抗体断片、あるいは組換えDNA方法論を用いることによって得られた抗体および断片が含まれる。
[0022]キメラまたはヒト化モノクローナル抗体、ならびにその活性断片を含む「抗体」が、本発明の範囲内にあるよう意図される。既知の抗原に結合する分子の活性断片の例には、分離された軽鎖および重鎖、Fab、Fab/c、Fv、Fab’、およびF(ab’)断片が含まれ、Fab免疫グロブリン発現ライブラリーの産物、ならびに上述の任意の抗体および断片のエピトープ結合断片が含まれる。
[0023]これらの活性断片は、いくつかの技術によって、本発明の抗体から得られうる。例えば、モノクローナル抗体を、ペプシンなどの酵素で切断し、そしてHPLCゲルろ過に供してもよい。次いで、Fab断片を含有する適切な分画を収集し、そして膜ろ過等によって濃縮してもよい。抗体の活性断片を単離するための一般的な技術のさらなる説明に関しては、例えば、Khawら(1982); Rousseauxら(1986)を参照されたい。
[0024]組換え的に作製される抗体は、慣用的な全長抗体、タンパク質分解性消化から知られる活性抗体断片、ユニークな活性抗体断片、例えばFvまたは一本鎖Fv(scFv)、ドメイン欠失抗体等であってもよい。Fv抗体は、サイズ約50Kdであり、そして軽鎖および重鎖の可変領域を含む。一本鎖Fv(「scFv」)ポリペプチドは、共有連結されたVH::VLヘテロ二量体であり、そしてこれは、直接連結されたか、またはペプチドをコードするリンカーによって連結されたかいずれかの、VHおよびVLコード配列を含む核酸から発現されてもよい。Hustonら(1988)を参照されたい。抗体V領域由来の、天然には凝集しているが、化学的には分離されている軽鎖および重鎖ポリペプチドを、抗原結合部位の構造と実質的に類似の三次元構造にフォールディングするであろうscFv分子に変換するためのいくつかの構造。例えば、米国特許第5,091,513号;第5,132,405号および第4,956,778号を参照されたい。
[0025]結合部位は、抗原結合に関与する抗体分子の部分を指す。抗原結合部位は、重(「H」)鎖および軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。抗体可変領域は、「フレームワーク領域」(FR)として知られるより保存された隣接ストレッチの間に挿入された、「超可変領域」または「相補性決定領域」(CDR)と称される、3つの非常に多様なストレッチを含む。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域(LCDR1、LCDR2、およびLCDR3)および重鎖の3つの超可変領域(HCDR1、HCDR2、およびHCDR3)が、抗原結合表面またはポケットを形成するように、互いに対して三次元空間において配置される。したがって、抗体結合部位は、抗体のCDRを構成するアミノ酸、および結合部位ポケットを構成する任意のフレームワークを指す。
[0026]当該技術分野に周知の方法を用いて、結合部位を構成する特定の抗体におけるアミノ酸残基の同一性を決定してもよい。例えば、米国特許出願公報第2010/0080800号を参照されたい。CDR外部であるが、にもかかわらず、結合部位の裏打ちの一部である側鎖を有する(すなわち結合部位を通じて連結に利用可能である)ことによって、結合部位の一部を構成する、特定の抗体におけるアミノ酸残基同一性は、分子モデリングおよびX線結晶学などの当該技術分野に周知の方法を用いて決定可能である。例えば、Riechmannら(1988)を参照されたい。
[0027]キメラ抗体は、抗体の1またはそれより多い領域が、動物の1つの種由来であり、そして抗体の1またはそれより多い領域が、動物の異なる種由来であるものである。好ましいキメラ抗体は、霊長類免疫グロブリン由来の領域を含むものである。ヒト臨床使用のためのキメラ抗体は、典型的には、非ヒト動物、例えばげっ歯類由来の可変領域と、ヒト由来の定常領域を有すると理解される。対照的に、ヒト化抗体は、大部分のまたはすべての可変フレームワーク領域を含む非ヒト抗体由来のCDR、およびヒト免疫グロブリン由来のすべての定常領域を用いる。ヒト・キメラ抗体は、典型的には、げっ歯類由来の可変領域を有すると理解される。典型的なヒト・キメラ抗体は、ヒト重鎖定常領域およびヒト軽鎖定常領域とともに、げっ歯類抗体から得られる重鎖および軽鎖両方の可変領域を有する。キメラ抗体には、ヒト定常領域の天然アミノ酸配列および天然げっ歯類可変領域配列に対するいくつかの変化が含まれてもよい。キメラおよびヒト化抗体は、CDR移植アプローチ(例えば、米国特許第5,843,708号;第6,180,370号;第5,693,762号;第5,585,089号;第5,530,101号)、鎖シャッフリング戦略(例えば米国特許第5,565,332号; Raderら(1998))、分子モデリング戦略(米国特許第5,639,641号)等を含む、当該技術分野に周知の方法によって調製可能である。
[0028]「ヒト化抗体」は、本明細書において、二本鎖抗体の場合、少なくとも1つの鎖がヒト化されているものである。ヒト化抗体鎖は、フレームワーク領域の1またはそれより多くがヒトである可変領域を有する。一本鎖であるヒト化抗体は、フレームワーク領域の1またはそれより多くがヒトである可変領域を、鎖が有するものである。ヒト化抗体鎖またはその断片の可変領域の非ヒト部分は、非ヒト供給源、特に非ヒト抗体、典型的にはげっ歯類起源のものに由来する。ヒト化抗体に対する非ヒト寄与は、典型的には、1つの(またはそれより多い)ヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク領域の中に分散された、少なくとも1つのCDR領域の形で提供される。さらに、結合アフィニティを保持するよう、フレームワーク支持残基を改変させてもよい。
[0029]ヒト化抗体は、定常領域をさらに含んでもよい(例えば、軽鎖の場合、少なくとも1つの定常領域またはその部分、そして重鎖の場合、好ましくは3つの定常領域)。存在する場合、ヒト化抗体の定常領域は、一般的にヒトである。「ヒト化抗体」を得るための方法は、当業者に周知である。例えば、米国特許出願第2010/0080800号を参照されたい。
[0030]用語、定常領域(CR)は、本明細書において、免疫グロブリンの定常領域遺伝子を指す。定常領域遺伝子は、エフェクター機能を与える抗体分子の部分をコードする。キメラヒト抗体およびヒト化抗体に関しては、典型的には非ヒト(例えばネズミ)定常領域をヒト定常領域で置換する。本キメラまたはヒト化抗体の定常領域は、典型的にはヒト免疫グロブリンに由来する。重鎖定常領域は、5つのアイソタイプ:アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマまたはミューのいずれから選択されてもよい。さらに、多様なサブクラスの重鎖(例えば重鎖のIgGサブクラス)は、異なるエフェクター機能に関与し、そしてしたがって、所望の重鎖定常領域を選択することによって、所望のエフェクター機能を持つ抗体を産生可能である。本発明の範囲内で使用可能な定常領域は、ガンマ1(IgG1)、特にガンマ1(IgG1)アイソタイプのFc領域、ガンマ3(IgG3)および特にガンマ4(IgG4)である。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ型のものであってもよく、好ましくはカッパ型のものである。1つの態様において、軽鎖定常領域は、ヒトカッパ定常領域(Hieterら(1980))であり、そして重鎖定常領域は、ヒトIgG4定常鎖である。
[0031]用語、可変領域(VR)は、本明細書において、抗原への抗体の結合に直接関与する、抗体中の軽鎖および重鎖各対内のドメインを指す。各重鎖は、一端に可変ドメイン(V)、その後、いくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、そしてもう一方の端に、いくつかの定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一の定常ドメインと整列し、そして軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと整列する。
[0032]用語、フレームワーク領域(FR)は、本明細書において、抗体の軽鎖および重鎖の可変領域内のフレームワーク領域の1またはそれより多くを指す(Kabatら(1992); JohnsonおよびWu(2001); http://immuno.bme.nwa.eduを参照されたい)。これらの発現には、抗体の軽鎖および重鎖の可変領域内のCDR間に挿入されるアミノ酸配列が含まれる。
[0033]CDRおよびFR残基は、標準的配列定義(Kabatら(1992)、および構造定義(例えばChothiaおよびLesk(1987)におけるようなもの)にしたがって決定される。これらの2つの方法が、CDRのわずかに異なる同一性を生じる場合、構造定義が好ましいが、配列定義法によって同定される残基は、どのフレームワーク残基をコンセンサス配列に移入するかを決定するために重要なFR残基を考慮する。
[0034]用語「モノクローナル抗体」もまた、当該技術分野によく認識され、そしてこれは単一のクローニングされた抗体産生細胞の産物である抗体を指す。モノクローナル抗体は、典型的には、通常の短命である抗体産生B細胞を、迅速に増殖する細胞、例えば癌細胞(ときに「不死」細胞と呼ばれる)に融合させることによって作製される。生じるハイブリッド細胞、またはハイブリドーマは、迅速に増殖し、抗体を産生するクローンを生成する。
[0035]用語「断片」は、損なわれていないまたは完全な抗体または抗体鎖よりも少ないアミノ酸残基を含む抗体または抗体鎖の部分または一部を指す。断片は、損なわれていないまたは完全な抗体または抗体鎖の化学的または酵素的処理を通じて得られうる。断片はまた、組換え手段によっても得られうる。例示的な断片には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fabcおよび/またはFv断片が含まれる。用語「抗原結合断片」は、抗原に結合するか、または損なわれていない抗体(すなわちこれらが得られた損なわれていない抗体)と抗原結合(すなわち特異的結合)に関して競合する、免疫グロブリンまたは抗体のポリペプチド断片を指す。結合断片は、組換えDNA技術によって、あるいは損なわれていない免疫グロブリンの酵素的または化学的切断によって、産生される。結合断片には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fabc、Fv、一本鎖、および一本鎖抗体が含まれる。
[0036]免疫原性が減少したヒト化抗体は、親抗体、例えばネズミ抗体に比較して、減少した免疫原性を示すヒト化抗体を指す。
[0037]親抗体の結合特性を実質的に保持するヒト化抗体は、こうしたヒト化抗体を産生するのに用いられた親抗体によって認識される抗原に特異的に結合する能力を保持するヒト化抗体を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、親抗体と同じかまたは実質的に同じ抗原結合アフィニティおよびアビディティを示すであろう。理想的には、抗体のアフィニティは、親抗体アフィニティの10%未満ではなく、より好ましくは約30%未満ではなく、そして最も好ましくは、アフィニティは、親抗体の50%未満ではないであろう。抗原結合アフィニティをアッセイするための方法は当該技術分野に周知であり、そしてこれには、最大半量結合アッセイ、競合アッセイ、およびスキャッチャード分析が含まれる。
[0038]さらに、用語「療法的有効量」は、ヒトまたは動物に投与した際、前記ヒトまたは動物において、療法的効果を生じるのに十分である抗体の量を指す。有効量は、ルーチンの方法にしたがって、当業者によって容易に決定される。
[0039]本明細書において、用語「治療する」、「防止する」、「防止すること」および「防止」は、予防的または療法的剤の投与から生じる、被験体における、障害の1またはそれより多い症状の再発または開始の防止を指す。
[0040]第一の側面において、本発明は、インフルエンザH5赤血球凝集素の主要中和エピトープに特異的なモノクローナル抗体、およびその活性断片、すなわち抗原結合断片(本明細書において抗体断片ともまた称する)を提供する。1つの態様において、モノクローナル抗体はネズミ・モノクローナル抗体4C2である。ネズミ・モノクローナル抗体4C2は、マウス・ハイブリドーマ4C2によって産生される。マウス・ハイブリドーマ4C2は、ブダペスト条約の条項の下に、2010年8月3日に、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、10801 University Blvd., Manassas, VA 20110, USAに寄託され、そして寄託番号PTA−11241を割り当てられた。本発明はまた、ネズミ・モノクローナル抗体4C2を産生するハイブリドーマにも関する。第二の態様において、モノクローナル抗体は、キメラまたはヒト化モノクローナル抗体である。特に、キメラまたはヒト化モノクローナル抗体は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2が特異的に結合するH5赤血球凝集素の三次元エピトープに特異的に結合する。1つの態様において、モノクローナル抗体(ネズミ・モノクローナル抗体あるいはキメラまたはヒト化モノクローナル抗体)またはその断片は、H5赤血球凝集素(HA)の三次元エピトープに特異的に結合し、ここで、三次元エピトープは、成熟HAタンパク質のアミノ酸155(Ser)および189(Arg)で構成される。別の態様において、軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)(LCDR)は、配列番号2に示すアミノ酸配列(マウス軽鎖可変領域のアミノ酸配列であり、本明細書においてHM448828とも称される)内に位置する。さらなる態様において、軽鎖可変CDRのアミノ酸配列は: LCDR1: QDISGH(配列番号5); LCDR2: HGT(配列番号6);およびLCDR3: VQYVQFPWT(配列番号7)である。1つの態様において、重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)(HCDR)は、配列番号4に示すアミノ酸配列(マウス重鎖可変領域のアミノ酸配列であり、本明細書においてHM448827とも称される)内に位置する。別の態様において、重鎖可変CDRのアミノ酸配列は: HCDR1: GYTFTTYW(配列番号8); HCDR2: IDPYDSET(配列番号9);およびHCDR3: VRGGSTVAYFGV(配列番号10)である。
[0041]1つの態様において、HM448828をコードするDNAは、配列番号1に示すヌクレオチド配列を含む。別の態様において、HM448827をコードするDNAは、配列番号3に示すヌクレオチド配列を含む。1つの態様において、軽鎖可変領域は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む。別の態様において、重鎖可変領域は、配列番号4に示すアミノ酸配列を含む。1つの態様において、重鎖および軽鎖定常領域はヒトである。別の態様において、ヒト重鎖定常領域はヒトIgG1重鎖定常領域である。さらなる態様において、ヒトIgG1重鎖定常領域は、配列番号22に示すアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAX09634.1)を含む。さらなる態様において、このアミノ酸配列をコードする核酸配列を配列番号21(GenBank寄託番号AY885218.1)に示す。1つの態様において、ヒト軽鎖定常領域はヒトカッパ軽鎖定常領域である。別の態様において、ヒトカッパ軽鎖定常領域は、配列番号24に示すアミノ酸配列(GenBank寄託番号AAA58989.1)を含む。さらなる態様において、この配列をコードする核酸を配列番号23(GenBank寄託番号J00241.1)に示す。
[0042]別の態様において、本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2または本明細書記載のキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体あるいはその抗原結合断片をコードする核酸を提供する。核酸配列の例には、本明細書記載のものが含まれる。さらなる態様において、本発明は、核酸を含むベクターを提供する。さらなる態様において、本発明は、ベクターを含み、そして発現している細胞を提供する。
[0043]1つの態様において、本明細書に記載する技術、ならびに当業者に周知の技術を用いて、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をマウス重鎖および軽鎖可変領域と合わせることによって、ヒト化抗体を調製する。別の態様において、それぞれ、本明細書記載のマウス軽鎖および重鎖可変領域のCDRを含有するヒト化VおよびV配列をコードするDNA配列を合成して、ヒト化抗体を調製する。
[0044]既知の配列のタンパク質をコードするDNAを合成するための方法は、当該技術分野に周知である。こうした方法を用いて、本発明の本ヒト化抗体をコードするDNA配列を合成し、そして次いで、組換え抗体の発現に適したベクター系において発現する。これは、本発明の本ヒト化抗体配列を提供する任意のベクター系において達成可能であり、例えば機能する(抗原結合)抗体を産生するように会合しているヒト定常ドメイン配列およびマウス可変ドメイン配列を含む融合タンパク質を発現させる。
[0045]組換え抗体および特にヒト化抗体の発現に適した発現ベクター、宿主細胞、ならびにこうした抗体の発現に適した方法は、当業者に周知である。例えば米国特許第7,074,406号を参照されたい。
[0046]機能する免疫グロブリンを発現可能であることが知られる宿主細胞には、他の宿主細胞の中でも、例えば、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS細胞、骨髄腫細胞、細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)、酵母細胞、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が含まれる。これらのうち、CHO細胞は、免疫グロブリンを有効に発現しそして分泌する能力があるため、多くの研究者によって用いられる。
[0047]本質的に、ヒト化抗体の組換え発現は、2つの一般的な方法の一方によって達成される。第一の方法において、宿主細胞は選択された定常領域に融合した重鎖および軽鎖可変配列両方の発現を提供する、単一ベクターでトランスフェクションされる。第二の方法において、宿主細胞は、それぞれ、選択された定常領域に融合した可変重鎖または軽鎖配列のいずれかの発現を提供する、2つのベクターでトランスフェクションされる。
[0048]第二の側面において、本発明は、こうしたネズミ・モノクローナル抗体4C2またはキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体あるいはその断片を用いた、H5N1インフルエンザの予防および治療のための方法および組成物を提供する。1つの態様において、本発明は、ネズミ・モノクローナル抗体4C2あるいは本明細書記載のキメラまたはヒト化モノクローナル抗体、および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む、薬学的組成物を提供する。別の態様において、薬学的組成物は、本明細書記載のモノクローナル抗体の抗原結合断片、および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む、薬学的組成物を提供する。さらなる態様において、薬学的組成物は、前記抗体または抗体断片をコードする核酸分子、および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。さらなる態様において、薬学的組成物は、前記核酸を含むベクター、および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。別の態様において、薬学的組成物は、前記ベクターを発現している細胞、および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む。
[0049]1つの態様において、本発明は、被験体において、インフルエンザH5N1ウイルス感染を減少させるか、あるいは被験体におけるインフルエンザH5N1ウイルス感染のリスクを低下させるか、1またはそれより多いインフルエンザH5N1ウイルス株または単離体による被験体の感染を阻害するか、あるいは1またはそれより多いインフルエンザH5N1ウイルス株または単離体によるインフルエンザ感染または疾患を予防する方法を提供する。この態様において、方法は、その必要がある被験体に、ネズミ・モノクローナル抗体4C2、または本明細書記載のキメラもしくはヒト化モノクローナル抗体、あるいはその抗原結合断片、前記抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子;前記ポリヌクレオチドを含むベクター;あるいは前記ベクターを発現している細胞の療法的有効量を投与する工程を含む。1つの態様において、被験体は免疫無防備状態であるか、乳児、幼児または高齢者である。別の態様において、投与は療法的利益を提供する。さらなる態様において、療法的利益は、インフルエンザウイルス力価増加の阻害、インフルエンザウイルス力価減少、インフルエンザウイルス複製増加の阻害、インフルエンザウイルス複製減少、インフルエンザウイルス増殖増加の阻害またはインフルエンザウイルス増殖減少、あるいは被験体におけるインフルエンザウイルス感染に関連する1またはそれより多い症状または合併症の進行、重症度、頻度、期間または可能性の減少を含む。1つの態様において、症状または合併症は、悪寒、発熱、咳、咽頭炎、鼻閉、副鼻腔鬱血、鼻感染、副鼻腔感染、体の痛み、頭痛、疲労、肺炎、気管支炎、耳感染症、耳の痛みおよび死より選択される。別の態様において、療法的利益は、インフルエンザH5N1ウイルス感染からの被験体の回復を加速する工程を含む。さらなる態様において、被験体に投与される剤は、被験体のインフルエンザH5N1ウイルス感染の前、感染と実質的に同時、または感染後に投与される。
[0050]本発明記載の抗体は、生理学的に許容されうる配合物中で調製可能であり、そして既知の技術を用いて、薬学的に許容されうるキャリアー、希釈剤および/または賦形剤を含んでもよい。例えば、任意の機能的に同等な抗体またはその機能する部分も含む、本発明にしたがった、そして本明細書に記載されるような抗体を、薬学的に許容されうるキャリアー、希釈剤および/または賦形剤と組み合わせて、療法的組成物を形成する。適切な薬学的キャリアー、希釈剤および/または賦形剤は、当該技術分野に周知であり、そしてこれには、例えばリン酸緩衝生理食塩水溶液、水、エマルジョン、例えば油/水エマルジョン、多様なタイプの湿潤剤、無菌溶液等が含まれる。
[0051]本発明記載の薬学的組成物の配合は、当業者に知られる標準的方法論にしたがって達成可能である。例えば、本明細書に援用される、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第21版, D.B. Troy監修, Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, 2006を参照されたい。
[0052]本発明の組成物を、適切な薬学的に有効な用量で、固形、液体またはエアロゾルの形で、被験体に投与してもよい。固形組成物の例には、丸剤、クリーム、および移植可能投薬単位が含まれる。丸剤は経口投与可能である。療法クリームは局所投与可能である。移植可能投薬単位は、局部、例えば腫瘍部位で投与可能であるし、または療法的組成物の全身放出のために、例えば皮下で、移植されてもよい。液体組成物の例には、筋内、皮下、静脈内、動脈内注射に適応した配合物、ならびに局所および眼内投与のための配合物が含まれる。エアロゾル配合物の例には、肺に投与するための吸入装置配合物が含まれる。
[0053]投与の標準経路によって組成物を投与してもよい。一般的に、組成物は、局所、経口、直腸、鼻、皮内、腹腔内、または非経口(例えば静脈内、皮下、または筋内)経路によって投与されてもよい。さらに、組成物を、持続放出マトリックス、例えば生分解性ポリマーに取り込み、該ポリマーを送達が望ましい場所の近傍で、例えば腫瘍部位で移植してもよい。該方法には、単一用量の投与、あらかじめ決定された時間間隔での反復用量の投与、およびあらかじめ決定された期間に渡る持続投与が含まれる。持続放出マトリックスは、本明細書において、酵素的または酸/塩基加水分解によって、あるいは溶解によって分解可能な材料、通常、ポリマーで作製されるマトリックスである。体内に挿入されると、マトリックスは酵素および体液による作用を受ける。持続放出マトリックスは、望ましくは、生体適合性物質、例えばリポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸(polylactide acid))、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチド・コ・グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコポリマー)、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシンなどのアミノ酸、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコンによって選択される。好ましい生分解性マトリックスは、ポリラクチド、ポリグリコリドまたはポリラクチド・コ・グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコポリマー)のいずれか1つのマトリックスである。
[0054]組成物を、生物学的活性物質または化合物、特に酸性ストレス、抗アポトーシス化合物、金属キレーター、DNA修復阻害剤、例えばピレンゼピンおよび代謝産物、3−アミノ−1−プロパンスルホン酸(3APS)、1,3−プロパンジスルホネート(1,3PDS)、アルファ−セクレターゼ活性化剤、ベータおよびガンマ−セクレターゼ阻害剤、タウタンパク質、神経伝達分子、ベータシート破壊剤、アミロイドベータ一掃/枯渇細胞性構成要素の誘引剤、ピログルタミン化アミロイドベータ3−42を含むN末端一部切除アミロイドベータ阻害剤、抗炎症分子、「非定型抗精神病薬」、例えばクロザピン、ジプラシドン、リスペリドン、アリピプラゾールまたはオランザピンまたはコリンエステラーゼ阻害剤(ChEI)、例えばタクリン、リバスチグミン、ドネペジル、および/またはガランタミン、M1アゴニスト、ならびに任意のアミロイドまたはタウ修飾薬剤および栄養補助剤を含む他の薬剤、例えばビタミンB12,システイン、アセチルコリン前駆体、レシチン、コリン、イチョウ(Ginkgo bioloba)、アセチル−L−カルニチン、イデベノン、プロペントフィリン、またはキサンチン誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む他の組成物と組み合わせて、本発明記載の抗体と一緒に、そして場合によって、薬学的に許容されうるキャリアーおよび/または希釈剤および/または賦形剤、ならびに疾患治療のための方法と一緒に投与してもよい。
[0055]タンパク質性の薬学的活性物質は、用量あたり1ng〜10mgの量で存在してもよい。一般的に、投与措置は、本発明記載の抗体0.1μg〜10mgの間の範囲、特に1.0μg〜1.0mgの範囲、そしてより詳細には1.0μg〜100μgの間の範囲であるべきであり、これらの範囲内に属するすべての個々の数値もまた、本発明の一部である。投与が連続注入を通じて起こる場合、より適切な投薬量は、1時間あたり、体重キログラムあたり0.01μg〜10mg単位の範囲内であってもよく、これらの範囲内に属するすべての個々の数値もまた、本発明の一部である。
[0056]投与は、一般的に、非経口的、例えば静脈内であってもよい。非経口投与用の調製物には、無菌水性または非水性溶液、懸濁物およびエマルジョンが含まれる。非水性溶媒には、限定されるわけではないが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能有機エステル、例えばオレイン酸エチルが含まれる。水性溶媒は、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁物からなる群より選択されてもよく、生理食塩水および緩衝媒体を含む。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル溶液、または固定油が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補充剤、電解質補充剤(例えば、リンゲルのデキストロースに基づくものなど)およびその他が含まれる。保存剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、不活性ガス等もまた存在してもよい。
[0057]薬学的組成物は、さらに、特にヒト起源の、タンパク質性キャリアー、例えば血清アルブミンまたは免疫グロブリンなどを含んでもよい。意図される使用に依存して、さらなる生物学的活性剤が、本発明の薬学的組成物中に存在してもよい。
[0058]本発明において、エピトープ・マッピングによって、それぞれのエピトープに関して、HA2gpに対する一団のモノクローナル抗体(mAb)を性質決定した。HPAI H5N1ウイルス感染に曝露されたマウスにおいて、これらのmAbの療法的および予防的有効性を評価した。ネズミモデルにおいて、クレード1および2.1由来の2つの非常に病原性であるH5N1ウイルス株に対して、これらのmAbの1つの予防的および療法的有効性を評価した。感染マウスの体重喪失、生存および肺におけるウイルス負荷クリアランスの動力学の観察によって、有効性を決定した。キメラまたはヒト化mAbをこのmAbから調製した。
[0059]本発明の実施は、別に示さない限り、当該技術分野の技術範囲内である、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺伝学、免疫学、細胞生物学、細胞培養およびトランスジェニック生物学の慣用技術を使用する。例えば、Maniatisら, 1982, Molecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); SambrookおよびRussell, 2001, Molecular Cloning, 第3版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Ausubel ら, 1992), Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley & Sons, 定期的改訂を含む); Glover, 1985, DNA Cloning(IRL Press, Oxford); Russell, 1984, Molecular biology of plants: a laboratory course manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Anand, Techniques for the Analysis of Complex Genomes, (Academic Press, ニューヨーク, 1992); GuthrieおよびFink, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology(Academic Press, ニューヨーク, 1991); HarlowおよびLane, 1988, Antibodies, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー); Nucleic Acid Hybridization(B. D. HamesおよびS. J. Higgins監修 1984); Transcription And Translation(B. D. HamesおよびS. J. Higgins監修 1984); Culture Of Animal Cells(R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);論文、Methods In Enzymology(Academic Press, Inc., N.Y.); Methods In Enzymology, Vols. 154および155(Wuら監修), Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(MayerおよびWalker監修, Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, 第I〜IV巻(D. M. WeirおよびC. C. Blackwell監修, 1986); Riott, Essential Immunology, 第6版, Blackwell Scientific Publications, オックスフォード, 1988; Fireら, RNA Interference Technology: From Basic Science to Drug Development, Cambridge University Press, ケンブリッジ, 2005; Schepers, RNA Interference in Practice, Wiley−VCH, 2005; Engelke, RNA Interference(RNAi): The Nuts & Bolts of siRNA Technology, DNA Press, 2003; Gott, RNA Interference, Editing, and Modification: Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology), Human Press, ニュージャージー州トトワ, 2004; Sohail, Gene Silencing by RNA Interference: Technology and Application, CRC, 2004を参照されたい。
[0060]本発明は、以下の実施例に言及することによって記載され、該実施例は、例示のために提供され、そしていかなる方式でも本発明を限定することを意図されない。当該技術分野に周知の標準的技術、または以下に特に記載する技術を利用した。
実施例1
材料および方法
[0061]ウイルス:クレード2.1 A/インドネシア/CDC669/2006、A/インドネシア/TTL012/2006、A/インドネシア/TLL013/2006、A/インドネシア/TLL014/2006およびA/インドネシア/CDC326/2006由来のH5N1ヒト・インフルエンザウイルスを、インドネシア保健省(MOH)から得た。***異なるクレード由来のウイルス(クレード0−A/香港/156/97、クレード1.0−A/香港/213/2004、クレード4.0−A/ガチョウ(goose)/貴陽/337/06およびクレード8.0−A/ニワトリ(chicken)/河南/12/04)は、逆遺伝学(RG)(WHO、2005)によってレスキューされた。簡潔には、合成HAおよびNA遺伝子を、インフルエンザA逆遺伝学用の二重プロモータープラスミド内にクローニングした。二重プロモータープラスミドは、疾病対策予防センター、米国・ジョージア州アトランタより得られた。リポフェクタミン2000(Invitrogen社、米国)を用いて、293TおよびMDCK細胞の共培養内に、HAおよびNAを含有するプラスミドを、A/プエルトリコ/8/34(H1N1)由来の残りの6つの遺伝子のプラスミドとともにトランスフェクションすることによって、リアソータント・ウイルスをレスキューした。ストックウイルスを11日齢の胚発育鶏卵の尿膜腔中、35℃で3691時間増殖させた。高い病原性のウイルスを伴うすべての実験を、CDC/NIHおよびWHO推奨にしたがって、BSL 3+封じ込め施設中で行い、そしてまた、これらは、シンガポールの農畜産物管理庁およびMOHによって認可された。
[0062]Mab産生:等体積のアジュバントMontanide ISA563(SEPPIC、フランス)で乳化された0.1mlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のA/インドネシア/TLL014/2006由来の不活性化全ウイルスを用い、2週間の定期的な間隔で、BALB/cマウスを2回、皮下免疫した。同じウイルス抗原でマウスを追加免疫し、3日後に、SP2/0細胞と脾臓細胞を融合させた。融合した細胞を96ウェルプレートに植え付け、そして以下に記載するような免疫蛍光アッセイによって、その上清をスクリーニングした。mAbを産生したハイブリドーマを、少なくとも3回の限界希釈によってクローニングした。以下に記載するように、陽性mAbを、その赤血球凝集素阻害活性に関して試験した。選択される陽性mAb由来の免疫グロブリンを、製造者のプロトコルに記載されるように、商業的アイソタイピングキット(Amersham Bioscience、英国)を用いてアイソタイピングした。プロテインAセファロースビーズ(Millipore)を用いて、mAbを精製した。SDS−PAGE分析によって、抗体純度を確認した。次いで、以下に記載するような標準的赤血球凝集素阻害アッセイによって、中和活性に関してmAbを試験した。
[0063]免疫蛍光アッセイ(IFA):96ウェルプレート中で培養したMDCK細胞を、AIV H5N1株に感染させた。感染24〜48時間後、細胞を4%パラホルムアルデヒドで、室温で30分間固定し、そしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4で3回洗浄した。固定細胞をハイブリドーマ培養上清と、37℃で1時間インキュベーションし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でリンスし、そして次いで、1:40希釈のフルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)コンジュゲート化ウサギ抗マウス免疫グロブリン(Dako、デンマーク)とインキュベーションした。細胞を再びPBS中でリンスし、そして広視野落射蛍光顕微鏡(Olympus IX71)によって抗体結合を評価した。
[0064]赤血球凝集素阻害アッセイ:赤血球凝集素阻害(HI)アッセイを、先に記載されるように実行した(Websterら、1991)。簡潔には、mAbを、V底96ウェルプレート中で連続希釈(2倍)し、そして4 HA単位のH5N1ウイルスと混合した。プレートを室温で30分間インキュベーションし、そして1%ニワトリRBCを各ウェルに添加した。赤血球凝集素阻害終点は、凝集が観察されない最高mAb希釈であった。
[0065]エスケープ突然変異体の単離および分析: mAb 4C2によって認識されるエピトープを、先に記載されるような(Kaverinら、2007)エスケープ突然変異体の性質決定によって、マッピングした。簡潔には、H5N1ウイルスを、過剰量のmAbと1時間インキュベーションし、そして次いで、11日齢の胚発育鶏卵内に接種した。in vivoエスケープ突然変異体を単離するため、治療したマウス由来の肺試料を、胚発育卵内に直接接種した。卵を37℃で48時間インキュベーションした。ウイルスを採取し、そして胚発育鶏卵において、限界希釈でクローニングに用い、そしてエスケープ突然変異体をプラーク精製した。尿膜腔液からRNAを抽出した。赤血球凝集素遺伝子を逆転写酵素(RT)−PCR増幅し、そしてTAクローニングベクター(Promega)内にクローニングし、そしていくつかのクローンを配列決定した。親ウイルスの配列と比較することによって、個々のクローンの配列を分析した。
[0066]キメラIgG1発現プラスミドのクローニング:発現ベクターの設計は、記載されるとおりであった(Jostockら, 2004)。簡潔には、以下のプライマーを用いて、ヒト抗体定常領域をコードするカッパ軽鎖およびIgG1重鎖を増幅した:ヒトIgG1定常重鎖:順方向プライマー 5’−CTCGAGCGACCTCCACCAAGG−3’(配列番号11)および逆方向プライマー 5’−TCTAGACTCGGAGAGGGACAGAG−3’(配列番号12);ヒト定常カッパ軽鎖:順方向プライマー 5’−CTGCAGATCACGCGAACTGTGGCT GC−3’(配列番号13)および逆方向プライマー 5’−GGCGCGCCCGAAGTTGTCCCCTCTCACAA TCATC ATC−3’(配列番号14)。カッパ軽鎖およびIgG1重鎖の増幅された定常領域を、これらの間に挿入された脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位(IRES)とともに、修飾pCMV/myc/ERプラスミド内にクローニングした。ユニークな制限部位を導入して、定常領域とインフレームに、重鎖および軽鎖の可変領域の挿入を可能にした。mAb 4C2ハイブリドーマ細胞からmRNAを調製し、そしてランダム六量体を用いた第一鎖cDNA合成において用いた。プライマーおよびマウスscFv組換え抗体ファージ系(Amersham Biosciences)のプロトコルを用いて、可変重鎖および軽鎖の両方を増幅するために、総cDNAをテンプレートとして用いた。配列決定のため、生じた産物をpCR−Script(Stratagene、米国)内にクローニングした。次いで、配列特異的プライマーを以下のように設計した: 4C2特異的可変軽鎖:順方向プライマー 5’−GG TAAGGGGTTAACAGTAGCAGG−3’(配列番号15)および逆方向プライマー 5’−CTTTGGCCTC TCTGGGATAGAAG−3’(配列番号16); 4C2特異的可変重鎖:順方向プライマー 5’−CACGATGATAATATGGCCACAACC−3’(配列番号17)および逆方向プライマー 5’−CACCG GTTGGGGGAAGTAGTACT−3’(配列番号18)。これらのプライマーを可変領域の増幅に用い、これを次いで、発現ベクター内にクローニングした。4C2特異的可変軽鎖コーディング配列を配列番号3に示し、そして4C2特異的可変重鎖コーディング配列を配列番号1に示す。この構築物の発現は、ネズミ由来のマウス可変領域として配列の33%、そしてIgG1のヒト定常領域として配列の67%を含有するキメラ抗体の産生を導く。
[0067]キメラ抗体の一過性発現および精製:定義された血清不含培地中で産生された抗体を得るため、Freestyle 293発現系(Invitrogen、米国)を用いて、キメラ抗体を発現させた。293fectin(Invitrogen、米国)を用いて、293−F細胞内に上述の構築物をトランスフェクションし、そしてトランスフェクション120時間後、上清を収集した。プロテインAセファロースビーズ(Millipore)を用いて、キメラ抗体4C2(ch−mAb 4C2またはch4C2)を精製した。キメラ抗体の純度をSDS−PAGEによって確認し、そしてHRP標識抗ヒトIg(DAKO)を用いたイムノブロット分析を用いて、ヒト定常領域の導入を確認した。
[0068]マイクロ中和アッセイ: H5N1株に対するモノクローナル抗体の中和活性を、先に記載されるように(Prabakaranら, 2008)、マイクロ中和アッセイによって分析した。簡潔には、10倍希釈mAbをさらに連続希釈(2倍)し、そして100 50%組織培養感染用量(TCID50)の異なるクレードのH5N1株と、室温で1時間インキュベーションし、そして96ウェルプレート中で増殖させたMDCK細胞上に2つ組でプレーティングした。各H5N1株のMDCK細胞培養におけるTCID50を、ReedおよびMuenchの方法によって決定した。光学顕微鏡によって、細胞変性効果がまったく観察されない最高のmAb希釈として、中和力価を評価した。
[0069]曝露研究:4〜6週齢の近交系SPF BALB/cマウスを曝露研究に用いた。マウス(群あたりn=10)を、5MLD50(マウス致死用量50%)の2つの異なるH5N1株(クレード1由来のRG−A/香港/213/2003およびクレード2.1由来のA/インドネシア/TLL013/06)に鼻内感染させた。すべての動物実験は、NIIDで行われる動物実験のためのガイドおよび実験プロトコルにしたがって行われた。
[0070]予防有効性:予防有効性を決定するため、ウイルス曝露前に、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kgまたは0mg/kg(PBS)のモノクローナル抗体(4C2またはch4C2)でマウスを腹腔内前治療した。24時間後、5MLD50の2つの異なるH5N1株にマウスを曝露した。動物が死ぬまでまたは曝露の14日後まで、マウスを毎日観察して、体重および死亡率を監視した。
[0071]療法有効性:キメラmAbの療法有効性を決定するため、マウス群を、2つの異なるH5N1株5MLD50に曝露した。ウイルス曝露の24時間後、マウスを、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kgまたは0mg/kg(PBS)のモノクローナル抗体(4C2またはch4C2)で、腹腔内経路を通じて治療した。動物が死ぬまでまたは曝露の14日後まで、マウスを毎日観察して、体重および死亡率を監視した。
実施例2
ネズミmAb 4C2の性質決定およびキメラ化
[0072]インフルエンザ赤血球凝集素(HA)に対する一団のmAbを、異なる株のH5N1ウイルスの効率的な中和に関してスクリーニングした。中和エスケープ突然変異体の選択を用いて、4C2 mAbのエピトープを形成する際に関与するアミノ酸を分析した。シグナルタンパク質を含む、HAタンパク質のアミノ酸配列を配列番号19に示し、そして成熟HAタンパク質のアミノ酸配列を配列番号20に示す。4C2 mAbに対する多数のエスケープ変異体から単離された完全HA遺伝子の配列は、アミノ酸155位(SerからIle)および189位(ArgからLys)で単一点突然変異を所持した(配列番号20に示す成熟HAタンパク質に関して)。H5N1ウイルスとの反応性、ならびに高いHI活性(表1)および中和力価(表2)に基づくマウスモデルにおいて、療法研究のため、mAb 4C2を選択した。
表1
H5N1株の異なるクレードに対する4C2 mAbの赤血球凝集素阻害力価
Figure 2013538056
ネズミmAb 4C2(1mg/ml)の赤血球凝集素阻害力価を異なるウイルスで測定した。
表2
H5N1株の異なるクレードに対する4C2 mAbのマイクロ中和力価
Figure 2013538056
mAb 4C2(1mg/ml)のウイルスマイクロ中和をH5N1ウイルスの異なるクレードで測定した。
各n−mAb濃度1mg/ml
マイクロ中和アッセイに用いた各ウイルス株100TCID50
実施例3
4C2 mAbでの予防的治療は、致死性ウイルス曝露からマウスを保護する
[0073]本発明者らは、H5N1ウイルスのクレード1またはクレード2.1株に曝露されたマウスにおける4C2 mAbの保護有効性を調べた。単一用量の5mg/kgまたは10mg/kgの4C2で前治療されたすべてのマウスは、H5N1ウイルスの5MLD50の両クレードでの致死性曝露後、死から保護され(100%保護)(図1A、1B)、一方、すべての未治療対照マウスは、曝露後第6日までに、ウイルス感染によって死亡した。さらに、2.5kg/mgの最低濃度の4C2で前治療されたマウスであっても、クレード1(図1A)およびクレード2.1(図1B)ウイルス曝露に対して、それぞれ70および80%の保護を示した。
実施例4
4C2での療法的治療は、致死性ウイルス曝露からマウスを保護する
[0074]H5N1致死性曝露に対する4C2 mAbの療法的有効性を決定するため、マウスを5MLD50のクレード1またはクレード2.1ウイルス株に曝露した。ウイルス曝露24時間後、マウスを2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgの4C2で治療した。mAb 4C2は、5mg/kgおよび10mg/kgの濃度で、ウイルスの両クレードからマウスを100%保護可能であった(図2Aおよび2B)。2.5mg/kgであっても、クレード1およびクレード2.1ウイルスでの致死性曝露に対して、マウスの80%を保護可能であった。
実施例5
ネズミmAb 4C2のキメラ化
[0075]定常領域がヒト起源のもので置き換えられるが、可変領域がネズミ起源のままであるように、mAbに関してキメラ・モノクローナル抗体(ch−mAb)を生成した。この方式で生成されたキメラmAbは、66.6%ヒト化された。キメラ抗体は、ネズミmAbの元来の特性をなお保持した(結果未提示)。この方式で、キメラまたはヒト化mAbを調製した。
実施例6
ch4C2での予防的治療は、致死性ウイルス曝露からマウスを保護する
[0076]本発明者らは、H5N1ウイルスのクレード1またはクレード2.1株に曝露されたマウスにおけるch4C2の保護有効性を調べた。単一用量の5mg/kgまたは10mg/kgのch4C2で前治療されたすべてのマウスは、H5N1ウイルスの5MLD50の両クレードでの致死性曝露後、死から保護され(100%保護)(図3A、3B)、一方、すべての未治療対照マウスは、曝露後第6日までに、ウイルス感染によって死亡した。さらに、2.5kg/mgの最低濃度のch4C2で前治療されたマウスであっても、クレード1(図3A)およびクレード2.1(図3B)ウイルス曝露に対して、それぞれ80および90%の保護を示した。
実施例7
ch4C2での療法的治療は、致死性ウイルス曝露からマウスを保護する
[0077]H5N1致死性曝露に対するch4C2の療法的有効性を決定するため、マウスを5MLD50のクレード1またはクレード2.1ウイルス株に曝露した。ウイルス曝露24時間後、マウスを2.5mg/kg、5mg/kgまたは10mg/kgのch4C2で治療した。ch4C2は、5mg/kgおよび10mg/kgの濃度で、ウイルスの両クレードからマウスを100%保護可能であった(図4Aおよび4B)。2.5mg/kgであっても、クレード1およびクレード2.1ウイルスでの致死性曝露から、マウスの70%を保護可能であった。
[0078]エスケープ突然変異体分析を用いたエピトープマッピングによって、Ser155およびArg189がmAb 4C2のエピトープの主要決定因子であることが立証された。また、高い抗原性の150のループおよび189アミノ酸位にエピトープのアミノ酸が存在することが、高い中和能を説明する。したがって、本研究において、本発明者らは、致死性H5N1感染に対する予防的および療法的研究のため、ネズミ抗体4C2を選択した。さらに、本発明者らは、キメラ化のため、そしてそれに続く、致死性H5N1感染に対する予防的および療法的研究におけるキメラ抗体の使用のため、この抗体を選択した。さらに抗体の受動的投与は、パンデミック・インフルエンザに対して探究可能な戦略を残す。単一用量の4C2 mAbまたはch4C2の予防的または療法的投与は、マウスモデルにおいて、致死性H5N1インフルエンザに対する100%保護を示した。本発明者らは、10mg/kgおよび5mg/kgの4C2またはch4C2を用いて、H5N1ウイルスのクレード1および2.1に対する100%保護を観察した。5mg/kgの用量は、十分な保護を提供し、そしてウイルス曝露9日後、ウイルス排除を達成したが、10mg/kgの用量は、ウイルス曝露のわずか6日後にウイルスを排除した。4C2またはch4C2での療法は、おそらく、感染の初期の経過を制御するのを補助し、したがって、動物が有効免疫反応を生じるのを可能にする。本発明者らの研究によって、mAb 4C2またはキメラmAb ch4C2を用いた受動免疫療法の使用は、非常に病原性であるH5N1感染の予防および治療の両方において、有効なツールとなる可能性もあり、将来のインフルエンザ・パンデミックを封じ込めるのに必要とされる即時免疫を提供する。当該技術分野に周知の技術を用いた相補性決定領域を移植することによって、本明細書で産生されるキメラ抗体をさらにヒト化してもよい。キメラ抗体を、ヒトに近い(sub−human)霊長類において、前臨床的に評価してもよい。マウス研究における予防および治療両方に関して単一用量が有効であったため、キメラ抗体がそれ自体に対する免疫反応を誘導する場合であってさえ、抗体有効性はなお維持されうることが示される。
[0079]本発明を説明する背景において(特に、以下の請求項の背景において)、用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の参照対照の使用は、本明細書に別に示されるか、または背景によって明らかに矛盾しているのでない限り、単数形および複数形の両方を含むと見なされるものとする。用語「含む」、「有する」、「含まれる」および「含有する」は、別に示さない限り、無制限の(open−ended)用語と見なされるものとする(すなわち「限定されるわけではないが含む」を意味する)。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別に示さない限り、範囲内に属する各別個の値に個々に言及する簡略化法として働くよう意図され、そして各別個の値は、本明細書に個々に言及されるかのように、本明細書内に取り込まれる。例えば、範囲10〜15が開示された場合、11、12、13、および14もまた開示される。本明細書記載のすべての方法は、本明細書に別に示さない限り、または背景によって明らかに矛盾しているのではない限り、任意の適切な順で、実行可能である。本明細書に提供するあらゆる例、または例示的な言い方(例えば「例えば」)の使用は、単に、本発明の理解をより容易にすることを意図し、そして別に請求しない限り、本発明の範囲に対して限定を課さない。本明細書における言い方のいずれも、任意の非請求要素が、本発明の実施に必須のものであることを示すとは見なされないものとする。
[0080]多様な態様の形で、本発明の方法および組成物を取り込み可能であり、わずかにいくつかのみが本明細書に開示されていることが認識されるであろう。本発明の態様を本明細書に記載し、これには、本発明を実行するため、本発明者らに知られる最適な様式が含まれる。これらの態様の変型は、前述の説明を読むと、一般の当業者には明らかであろう。本発明者らは、当業者が、こうした変型を適切に使用することを予期し、そして本明細書に特に記載するものとは異なって本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明には、適用可能な法律によって許可されるような、付随する請求項に列挙される主題のすべての修飾および同等物が含まれる。さらに、本明細書に別に示さない限り、または背景によって明らかに矛盾しない限り、すべてのありうる変型における上述の要素の任意の組み合わせが本発明に含まれる。
参考文献一覧
Figure 2013538056
Figure 2013538056

Claims (23)

  1. H5赤血球凝集素の三次元エピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体または抗体断片であって、三次元エピトープが、アミノ酸155(Ser)およびアミノ酸189(Arg)で構成される、前記モノクローナル抗体または抗体断片。
  2. H5赤血球凝集素の三次元エピトープが、ネズミ・モノクローナル抗体4C2が特異的に結合するものである、請求項1のモノクローナル抗体または抗体断片。
  3. モノクローナル抗体が、ネズミ・モノクローナル抗体4C2である、請求項1のモノクローナル抗体または断片。
  4. モノクローナル抗体またはその断片が、ネズミ・モノクローナル抗体4C2由来のキメラまたはヒト化モノクローナル抗体である、請求項1のモノクローナル抗体または抗体断片。
  5. H5赤血球凝集素が、配列番号20に示すアミノ酸配列を含む、請求項1のモノクローナル抗体または抗体断片。
  6. 軽鎖可変領域の相補性決定領域が、配列番号2に示すアミノ酸配列内である、請求項1〜5のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片。
  7. 相補性決定領域が:
    LCDR1: QDISGH(配列番号5);
    LCDR2: HGT(配列番号6);および
    LCDR3: VQYVQFPWT(配列番号7)
    である、請求項6のモノクローナル抗体。
  8. 重鎖可変領域の相補性決定領域が、配列番号4に示すアミノ酸配列内である、請求項1〜5のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片。
  9. 相補性決定領域が:
    HCDR1: GYTFTTYW(配列番号8);
    HCDR2: IDPYDSET(配列番号9);および
    HCDR3: VRGGSTVAYFGV(配列番号10)
    である、請求項8のモノクローナル抗体。
  10. 軽鎖可変領域の相補性決定領域が、配列番号2に示すアミノ酸配列内であり、そして重鎖可変領域の相補性決定領域が、配列番号4に示すアミノ酸配列内である、請求項1〜5のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片。
  11. 相補性決定領域が:
    LCDR1: QDISGH(配列番号5);
    LCDR2: HGT(配列番号6);
    LCDR3: VQYVQFPWT(配列番号7);
    HCDR1: GYTFTTYW(配列番号8);
    HCDR2: IDPYDSET(配列番号9);および
    HCDR3: VRGGSTVAYFGV(配列番号10)
    である、請求項10のモノクローナル抗体。
  12. 軽鎖可変領域が、配列番号2に示すアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片。
  13. 重鎖可変領域が、配列番号4に示すアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片。
  14. 軽鎖可変領域が、配列番号2に示すアミノ酸配列を含み、そして重鎖可変領域が、配列番号4に示すアミノ酸配列を含む、請求項1〜5のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片をコードする、核酸。
  16. 請求項16の核酸を含む、ベクター。
  17. 請求項16のベクターを含み、そして発現している細胞。
  18. 剤および薬学的に許容されうる希釈剤またはキャリアーを含む、薬学的組成物であって、剤が、(a)請求項1〜14のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片、(b)前記モノクローナル抗体または抗体断片をコードする核酸を含む核酸分子、(c)前記核酸を含むベクター、および(d)前記ベクターを発現している細胞からなる群より選択される、前記薬学的組成物。
  19. 被験体におけるインフルエンザH5N1ウイルス感染を減少させるか、あるいは被験体におけるインフルエンザH5N1ウイルス感染のリスクを低下させるか、あるいは1またはそれより多いインフルエンザH5N1ウイルス株または単離体による被験体の感染を阻害するか、あるいは1またはそれより多いインフルエンザH5N1ウイルス株または単離体によるインフルエンザ感染または疾患を予防する方法であって、その必要がある被験体に、(a)請求項1〜14のいずれか一項のモノクローナル抗体または抗体断片、(b)前記モノクローナル抗体または抗体断片をコードする核酸を含む核酸分子、(c)前記核酸を含むベクター、および(d)前記ベクターを発現している細胞からなる群より選択される剤の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
  20. 被験体が免疫無防備状態であるか、乳児、幼児または高齢者である、請求項19の方法。
  21. 投与が療法的利益を提供する、請求項19の方法。
  22. 療法的利益が、(a)インフルエンザウイルス力価の増加を阻害するか、(b)インフルエンザウイルス力価を減少させるか、(c)インフルエンザウイルス複製の増加を阻害するか、(d)インフルエンザウイルス複製を減少させるか、(e)インフルエンザウイルス増殖の増加を阻害するかまたはインフルエンザウイルス増殖を減少させるか、(f)被験体におけるインフルエンザウイルス感染と関連する1またはそれより多い症状または合併症の進行、重症度、頻度、期間または可能性を減少させるか、あるいは(g)インフルエンザウイルス感染からの被験体の回復を加速することを含む、請求項21の方法。
  23. 症状または合併症が、悪寒、発熱、咳、咽頭炎、鼻閉、副鼻腔鬱血、鼻感染、副鼻腔感染、体の痛み、頭痛、疲労、肺炎、気管支炎、耳感染症、耳の痛みおよび死からなる群より選択される、請求項22の方法。
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