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JP2013528056A - チョコレート及び製菓用の油脂組成物 - Google Patents

チョコレート及び製菓用の油脂組成物 Download PDF

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JP2013528056A JP2013514100A JP2013514100A JP2013528056A JP 2013528056 A JP2013528056 A JP 2013528056A JP 2013514100 A JP2013514100 A JP 2013514100A JP 2013514100 A JP2013514100 A JP 2013514100A JP 2013528056 A JP2013528056 A JP 2013528056A
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Abstract

本発明は、植物性油脂を、脂肪酸又は脂肪酸誘導体と混合し原料油脂を製造する工程;及び、前記原料油脂を酵素的エステル交換反応する工程により製造し、構成トリグリセリド組成中のPOS/SOS含量比が2ないし12で、POS含量が30〜55wt%である、チョコレート及び製菓用に油脂組成物に関するものである。本発明の油脂組成物は、POS含量の高いココアバターのトリグリセリド組成と類似であり、ココアバター特有の急な傾きにSFC(Solid Fat Content:固体脂含量)曲線を示し、口中ですっきりとさっぱり融け、硬くなく柔らかい感じの食感のココアバター同等脂として利用できる。更に、本発明の油脂組成物は、常用ココアバター代替脂に比べてブルーム耐性が良い長所がある。

Description

本発明は、チョコレート及び製菓用の油脂組成物に関するもので、より詳しくは、植物性油脂を脂肪酸又は脂肪酸脂肪体と混合し原料油脂を製造する工程;前記原料油脂を酵素的エステル交換反応する工程により製造し、構成トリグリセリド組成中のPOS/SOS含量比が2ないし12、POS含量が30〜55wt%である、チョコレート及び製菓用の油脂組成物に関するものである。
1. ココアバター
チョコレートの一般的構成は、砂糖50%以下、カカオマス30〜50%、油脂を含む脂肪分が約30%である。チョコレートの脂肪分の中で、ココアバターの含量はチョコレートの種類によって異なるが、通常60%程度である。
ココアバター(cocoa butter、cacao butter)は、カカオ(Theobroma cacao)の果実中の種子(カカオ豆、油脂48〜49%含有)の油脂成分である。ココアバターは、トリグリセリド98%、遊離脂肪酸1%、モノ・ジグリセリド0.5%、ステロール0.2%、トコフェロール150〜250ppmで構成される。ココアバターのトリグリセリドには、sn-2位にオレイン酸(Oleic acid)が位置し、sn-1、3位にそれぞれパルミチン酸(Palmitic acid)とステアリン酸(Stearic acid)が位置する、対称型構造が75%以上である。POS34〜49%、SOS23〜30%、POP13〜17%で、これらが主な対称型油脂である。
ココアバターの融点は32〜35℃で、室温の20℃付近で71〜88%の固体脂含量を有し、30〜32℃で融け始め、32〜35℃でほぼ融解される。このような30℃付近での急な溶融特性により、室温では硬いが、口融けが速くすっきりとさっぱりした感じの口融性を有するようになる。ココアバターのこのような溶融特性は対称型油脂に起因すると知られている。
2.ココアバター代用油脂
ココアバターは天然作物から得られ、気候変化により供給が変動するし、高価なので、これを代替するために、植物性油脂がチョコレートのココアバターの代用油脂として使用されている。この代用油脂は、パーム核油及び椰子油を硬化させたものが使用されたが、ココアバターとの相溶性がなかった。ココアバターの代用油脂は製造方法と構成成分により、ココアバター代用脂(cocoa butter equivalent and extender、CBE)、ココアバター代替脂(cocoa butter replacer、CBR)、ココアバター置換物(cocoa butter substitute、CBS)の三種類に分類される。
ココアバター代用脂(CBE)は、ココアバターとの相溶性が可能であり、トリグリセリドの組成がココアバターと類似で、テンパリングが必要である。パーム油中融点分別脂(Palm middle fraction、PMF)、サル脂(Sal fat)、ボルネオ脂(Borneo tallow)、コクム脂(Kokum)、シア脂(Shea butter)及びこれらの分別油脂がある。ココアバターにパーム油中融点分別脂とSOS含量の高い油脂を混合するとココアバターと類似の油脂を得られることが知られている。
ココアバター代替脂(CBR)は、常温で液相及び液相と固体相が混合した状態の大豆油、カノーラ油、パーム油などを硬化して固体化した油脂であり、ココアバターをある程度代替することができ、テンパリングを必要としない油脂である。融点と固体脂含量が増加し、SFC曲線の傾きが急で、酸化安定性が高いという長所はあるが、製造方法に部分硬化が使用されるため、トランス脂肪酸の含量が高く、栄養的欠陷があるため、その使用が難しい。
ココアバター置換物(CBS)は、一部の植物性油脂を硬化して得られる油脂で、ココアバターとの相溶性がなく、ラウリン系脂肪酸の含量が高く、テンパリングを必要としない油脂である。製菓分野で主にコーティング用として使用されており、一般的にパーム核油及び椰子油を硬化又はエステル交換して製造し、必要に応じて他の植物性硬化油と混合して製造する。しかし、ラウリン系脂肪酸の含量が高い油脂は水分が存在する場合、カビにより加水分解が起きて異臭を発生するし、ラウリン酸自体の栄養的欠陥などの短所がある。
CBRとCBSの栄養的欠陥及び口融けの速さなどの食感と関連した官能の低下などのため、CBEの使用が増えている。CBEは、酵素的エステル交換反応でSOSリッチ脂肪(rich fat)を合成し、パーム油を分別して得るパーム油中融点分別脂(Palm mid-fraction、PMF)と約1:1で混合して使用することが殆どである。一般的なCBEのトリグリセリドの組成は、POP30〜35%、POS10〜15%、SOS30〜35%である。この数値は、ココアバターのトリグリセリドの組成(ガーナ産POP17%、POS43%、SOS26%)に比べて、POPとSOSの含量が高く、POSの含量が低いため、その差を確認することができる。
油脂の物性は、各温度における固体脂含量(Solid Fat Content、SFC)により確認できる。20〜25℃での固体脂含量は油脂の硬さ(Hardness)、25〜30℃での固体脂含量は耐熱性(Heat Resistance)を意味し、35℃以上の固体脂含量はロウ質(Waxiness)で口中で速く融けずに残っている程度を意味する。チョコレートに使用するココアバターあるいはココアバター置換物の場合、30℃以下の温度で固体脂含量が高くし、30℃以上の温度で急激に低くなり、35℃以上では微量の固体脂含量を示すもの、即ち、固体脂含量曲線の傾きが急である特徴を示すものが品質が良いと看做される。
ココアバターとCBEの固体脂含量を比べると、SOS含量が高いCBEの場合、30℃以上の温度で固体脂含量がココアバターの固体脂含量より低い反面、30℃以下の温度ではココアバターの固体脂含量より高い特性を示し、多少硬い感じを与え、口中に残る程度が高い。ココアバターとCBEの固体脂含量の差、即ち、物性の差は前述の通り、ココアバターとCBEのトリグリセリド組成の差に起因すると看做すことができる。CBEは、POPとSOSの含量が高く、ココアバターはPOS含量が高い。POS、POPの融点は35℃付近である一方、SOSの融点は41℃で、SOS含量の多い油脂は30℃以上の温度で比較的硬い特性を示すと言える(Aleksandra Torbica etc., Eur Food Res Technol, 2006, 222:385-391)。
最近チョコレートの特性において、硬いものより、柔らかくて口融けが速く、口残感がなく、すっきりとさっぱりしたものが好かれる傾向がある。そして、SOS含量を減らし、PMFの含量を増加させることにより柔らかい感じの軟質(soft)CBEが開発された。軟質CBEは、POP40〜45%、POS10〜15%、SOS30〜35%のトリグリセリド組成を有する。軟質CBEは20〜35℃の温度範囲で全般的に低い固体脂含量を示し、これで柔らかい感じのチョコレートを提供することはできるが、常温で結晶が堅固でないため、ブルーム現象の発生可能性が高い。
ブルーム現象は油脂の不安定結晶により形成され、これは不充分なテンパリング、融通及び保管中の温度変化などの要因により影響される。
現在常用の殆どのCBEは、合成又は分別により得られるSOSとPOP含量の高いPMFの配合比率を調節し、硬いか柔らかい物性を持たせるようにする。しかし、天然ココアバターのように急な傾きの固体脂含量曲線を示してない。
アメリカ特許第4,705,692号では、ココアバター置換物としてSOS、POS及びPOPを含む油脂で、ステアリン酸(Stearic acid)とパルミチン酸(Palmitic acid)の割合が1.5:1〜6.0:1である、SOS含量の高い油脂の組成が開示された。
日本特許公開第1999-243982号では、POS含量が高いトリグリセリド組成を有する油脂をエステル交換反応して製造したことがあり、POS含量が18wt%以上の低いレベルであったが、これに比べてPOP含量は10〜55wt%、SOS含量は10〜50wt%でもっと高いレベルであり、POSよりSOS合成に重点を置いたことと見られる。
日本特許公開第2008-154555号では、耐熱性及び口融性の良いチョコレートの製造において、SOS40〜60wt%以上、POP1〜10%以下、SOS含量がPOSとSOAの合計に対する含量に対比して1.1〜1.8倍である油脂を開示したが、SOS含量がPOSとSOAの総含量より高く、またこれもSOS含量の高い組成であることが確認できる。
前記の従来技術においては、柔らかくて口融けが速く、口残感のないチョコレート製品を製造するために、SOS含量が高い組成のチョコレート用の油脂に重点をおいて研究しただけで、天然ココアバターに多く含まれているPOSについては重点的に論議されたことがない。
そして、本発明者らは、天然ココアバターと類似のSFC曲線を示し、更に天然ココアバターと類似の溶融特性や食感を示し改善された品質を有するとともに、栄養的価値の優れた油脂組成物を開発するため研究した結果、本発明を完成することになった。
本発明の目的は、従来CBEの多少硬い感じと口中に残る程度が高いことと、従来軟質CBEが常温でブルームが生じる短所を改善し、口中で天然ココアバターのようにすっきりとさっぱり融け、硬くなく柔らかな食感を維持するとともに、ブルーム耐性の改善された、チョコレート及び製菓用の油脂組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、天然ココアバターを代替し、チョコレート又は製菓に用いても食感や品質、官能性、又は保存性が優秀で、チョコレート品質の改良や維持することができる、ココアバター代替油脂組成物を提供することである。
上述した本発明の目的は、トリグリセリドのPOS/SOS重量比が2ないし12で、組成物中のトリグリセリドの総重量を基準としてPOS含量が30〜55wt%である油脂組成物を提供することにより達成される。
本発明の油脂組成物は、
植物性油脂を脂肪酸又は脂肪酸誘導体と混合し、原料油脂を製造する工程;及び
前記原料油脂を酵素的エステル交換反応する工程、により製造することができる。
本発明は、植物性油脂を酵素的エステル交換反応しPOS/SOS含量比が調節された油脂組成物を製造し、前記油脂組成物のトリグリセリドの構造及び固体脂含量を分析し、天然ココアバターと類似の構成であることを確認するとともに、前記油脂組成物をココアバターの代わりに使用してチョコレートを製造し、組織感、食感、風味、風味、全体的選好度、及びブルーム耐性を調査し、当該結果を天然ココアバター及び従来CBEと比較評価して達成された。
前記説明のように、本発明の油脂組成物は、POS含量比の高いココアバターのトリグリセリド組成と類似であり、ココアバター特有の急な傾きのSFC曲線を示し、口中ですっきりとさっぱり融けて、硬くなく柔らかい食感のココアバター同等脂として利用できる。また、本発明の油脂組成物は、ココアバターと類似のPOS含量のトリグリセリド組成を示し、常用ココアバター代替脂に比べて高ブルーム耐性を有する長所がある。
本発明の油脂組成物のトリグリセリド組成を示すHPLCグラフである。 本発明の油脂組成物及び天然ココアバター、常用CBEの固体脂含量を示すグラフである。
本発明は、植物性油脂を脂肪酸又は脂肪酸誘導体と混合し原料油脂を製造する工程;前記原料油脂を酵素的エステル交換反応する工程により製造し、構成トリグリセリド中のPOS/SOS含量比が2ないし12、POS含量が30〜55wt%である、チョコレート及び製菓用の油脂組成物を提供する。POS/SOS含量比は2ないし11であることが好ましく、POS含量は30ないし50wt%が好ましい。
本発明において、「POP」は、トリグリセリドのsn−2位にオレイン酸、sn−1、3位に各々パルミチン酸があるトリグリセリドを意味する。
本発明において、「POS」は、トリグリセリドのsn−2位にオレイン酸、sn−1、3位に各々パルミチン酸及びステアリン酸;又は、ステアリン酸及びパルミチン酸があるトリグリセリドを意味する。
本発明において、「SOS」は、トリグリセリドのsn−2位にオレイン酸、sn−1、3位に各々ステアリン酸があるトリグリセリドを意味する。
本発明において、「%」又は「比」は、特に触れない限り、各々「重量%」又は「重量比」を意味する。
本発明において、前記植物性油脂は、植物性油脂或いはその分画分を含む油脂であり、植物性油脂として、椰子油(coconut oil)、パーム核油(palm kernel oil)、パーム油(palm oil)、カノーラ油(canola oil)、ひまわり油(sun flower oil)、大豆油(soy bean oil)、綿実油(cotton seed oil)、米糠油、コーン油、オリーブ油、シア脂(shea fat)、マンゴー核脂(mango kernel fat)、ボルネオ脂(Borneo tallow、 Shorea stenoptera or Pentadema butyracea)、サル脂(sal、Shorea robusta)、コクム脂(kokum、Garcinia indica)又はこれらの分別物を使用することができ、これらに限定されなく、当業界で使用される任意の植物性油脂を使用することができる。好ましくは、パーム核油(palm kernel oil)、パーム油(palm oil)、ひまわり油(sun flower oil)及びこれらの分別物からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の混合物を使用することができる。
本発明において、植物性油脂の分画工程は、植物性油脂原料から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の含量差があるPOP含有油脂を得るため行うことができ、植物性油脂原料の特徴に従って、乾式分別(dry fractionation)と溶剤分別(solvent fractionation)の選択的利用ができる。溶剤分別の場合、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、エタノールなど、原料油脂の溶解できるものなら、何れもその使用ができる。
本発明において、前記脂肪酸及び脂肪酸誘導体として、パルミチン酸(Palmitic acid)、ステアリン酸(Stearic acid)、アラキドン酸(Arachidonic acid)、ベヘニン酸(Behenic acid)、及びこれらの脂肪酸誘導体であるパルミチン酸エチルエステル(Palmitic acid ethyl ester)、ステアリン酸エチルエステル(stearic acid ethyl ester)、アラキドン酸エチルエステル(Arachidonic acid ethyl ester)及びベヘニン酸エチルエステル(Behenic acid ethyl ester)、又はパルミチン酸メチルエステル(Palmitic acid methyl ester)、ステアリン酸メチルエステル(stearic acid methyl ester)、アラキドン酸メチルエステル(Arachidonic acid methyl ester)及びベヘニン酸メチルエステル(Behenic acid methyl ester)、又はこれらの混合物を使用することができ、これらに限定されなく、当業界で使用できる任意の脂肪酸又は脂肪酸誘導体の使用ができる。好ましくは、ステアリン酸、ステアリン酸エチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、パルミチン酸、パルミチン酸エチルエステル、及びパルミチン酸メチルエステルからなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の混合物である。
前記原料油脂は、植物性油脂と脂肪酸又は脂肪酸誘導体を1:0.5ないし1:10の比率、好ましくは1:1ないし1:5の比率で混合し製造することができる。
本発明において、前記酵素的エステル交換反応はsn−1、3位に飽和脂肪酸、sn−2位に不飽和脂肪酸を含む対称型トリグリセリドの製造に使用され、sn−1、3位に特異性を有する酵素を利用し30ないし60℃で、1ないし30時間反応を行う。
sn-1、3位に特異性を有する酵素は、リゾープスデレマ(Rhizopus delemar)、ムコールミエヘイ(Mucor miehei)、アスペルギルス二ガー(Aspergillus miger)、リゾプスアリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプスニベウス(Rhizopus niveus)、ムコールジャバニクス(Mucor javanicus)、リゾプスジャバニクス(Rhizopus javenicus)、リゾプスオクシザエ(Rhizopus oxyzae)、サーモマイセスラヌギノソス(Thermomyces lanuginosus)などから分離した酵素、好ましくは、ムコールミエヘイ(Mucor miehei)又はサーモマイセスラヌギノソス(Thermomyces lanuginosus)から分離した酵素を使用することができ、これらに限定されなく、当業界で使用される任意のsn−1、3位特異性酵素を使用することができる。
前記の初期原料及び工程を利用し製造した油脂組成物は、POS/SOS含量比が2ないし12で、POS含量が30〜55wt%であるトリグリセリド組成を示す。酵素的エステル交換反応時、基質の比率及び反応時間を調節することでPOS/SOS比率の調整が可能である。
以下、本発明を下記の実施例により更に具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本発明に関する理解を助けるためであり、いかなる意味でも本発明の範囲がこれらにより限定されない。
実施例 1:油脂組成物の製造及びトリグリセリド構造の分析
本実施例では下記の方法により油脂組成物を製造した。原料油脂のパーム分画物は溶剤分別により収得した。パーム油1kgを60℃で完全に融解させた後、アセトン10kgと混合し栓をした後、攪拌して油脂をアセトンに完全に溶解させた。前記混合液は0℃で3時間30rpmの撹拌を行いながら結晶化し、これを減圧濾過し、固体相のパームステアリン(Palm stearin)と液体相のパームオレイン(Palm Olein)に分離した。この際、パームオレインの収率は60%以上で、ヨウ素価(Iodine value)が60以下の特性を示した。
前記分別で得られた、アセトンの除去されてないパームステアリンを、40℃で完全に融解させた後、更にアセトンを添加して30℃、30rpmで攪拌しながら結晶化し、これを減圧濾過して結晶化された画分とパーム油中融点分別脂(PMF)に分離した。この際、パーム油中融点分別脂の収率は30%以上、POPを55%含有、ヨウ素価が40であることを特徴とするパーム分画物が得られた。
上記のパーム分画物とステアリン酸エチルエステルを、モル比(molar ratio)を基準として、各々1:1、1.5、2、3、5で混合し、総量を2kgにした後、それぞれsn‐1、3位に特異性を有する酵素であるリポザイム(lipozyme) RMIN(immobilized sn-1、3-specific lipase from Rhizomucor meihei)により、16〜20時間エステル交換反応して各々の油脂組成物を合成し、前記合成された油脂に存在するエチルエステルを蒸発させて除去し、最終的に油脂組成物を製造した。
HPLCを利用し、前記油脂組成物の酵素的エステル交換反応前後の油脂中トリグリセリドの種類と含量を確認した。
HPLCを利用したトリグリセリドの分析条件は下記の表1に示した。逆相高分解能液体クロマトグラフィー-蒸発光散乱検出器システムを利用し、分別前後の油脂のトリグリセリド構造を分析した。試料30μlと、アセトニトリル70:ジクロロメタン30の溶媒10mlを入れ、PEFEシリンジフィルター(syringe filter)(25mm、0.2μm)を利用して濾過した後、2mmのバイアルに入れ、オートサンプラを利用し機器に試料を20μl注入した。溶媒はアセトニトリル(溶媒A)、ジクロロメタン(溶媒B)を使用し、流速は0.72ml/minであった。溶媒の勾配溶離(A:B、v:v)の進行過程は、25分間は70:30に維持し、その後は勾配溶媒システムを使用した。
油脂中のトリグリセリド組成をHPLCにより確認した結果は、表2に示した。
前記表2に示した通り、本発明の油脂組成物AないしFは、POS/SOS含量比が2ないし12範囲で、POS含量が30ないし55wt%であった。特に、組成物AはPOS含量が31.25%、SOS含量が15.60%で、POS/SOS比が2.00であった、また、組成物FはPOS/SOS含量比が11.10で、POS/含量が50.18%であった。
実験例2:核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)を利用した固体脂含量の分析
前記実施例1で製造した油脂組成物3種(A、D、F)と比較例の天然ココアバター、常用のSOS高含量(40%)CBEに対して、核磁気共鳴を利用し固体脂含量(Solid Fat Content、SFC)を分析した。油脂組成物AはPOS/SOS 含量比2.00でPOS含量が31.25%の油脂組成物、油脂組成物DはPOS/SOS含量比7.04でPOS含量が41.27%の油脂組成物、油脂組成物FはPOS/SOS含量比11.1でPOS含量が50.18%の油脂組成物である。固体脂含量分析の核磁気共鳴分析条件は下記表3に示した。
核磁気共鳴を利用する固体脂含量分析試験は並列法(Parallel Method)で行った。サンプルを各々3ml、5個ずつ準備し、実験の前処理時に80℃で充分に油脂を融かした後、60℃で10分、0℃で90分間処理し冷却した。その後、26℃で40時間結晶を安定化させた後、0℃で90分間冷却した。10.0℃、20.0℃、25.0℃、30.0℃、35.0℃に予めセットしたセルシウスバス(Celsius bath)-メタルブロックサーモスタット(metal block thermostat)で30分ずつ放置した後、サンプルを測定した。サンプルの測定時間は約6秒であった。
核磁気共鳴を利用して固体脂含量を分析した結果を図2に示した。図2によると、本発明の油脂組成物A、D、Fは天然ココアバターと類似レベルの急なSFC傾きを示し、常用のSOS高含量CBEは比較的緩やかなSFC傾きを示した。また、35℃で残存する固体脂含量において、本発明の油脂組成物は全て天然ココアバターと類似水準である1%以下であったが、常用CBEは3%の固体脂が残っていることが分かった。即ち、本発明の油脂組成物は常用CBEに比べて、より天然ココアバターと類似に口中で速やかに融ける物性的特性を示すことが分かった。
実験例3:チョコレートの官能評価
本発明の油脂組成物を含むチョコレートの特性を確認するため、本発明の油脂組成物A、D、Fを含むチョコレート、比較例として天然ココアバター及び常用CBEを含むチョコレートを各々製造し、官能評価を実施した。
3−1:チョコレートの製造
本発明の油脂組成物は、A、D、Fを使用し、比較評価のためSOS含量がPOS含量より高い常用CBE、天然ココアバターを共に製造した。配合比率は表4に示した。
表4の配合比率で原料を混ぜた後、ボールミル(Ball mill)で60℃、500rpm、2時間微粒化した後、50℃に温度を下げ、ステーンレス容器に移し、テンパリングを行った。テンパリングしたチョコレートをモールドに入れ10℃冷蔵庫で固めてチョコレート製造を完了した。
3−2:官能評価
前記の製造された5種類のチョコレートの官能評価を行った。組織感(Texture)、食感(Mouth feeling)、風味(flavor release)、全体選好度(Total feeling)に対して、1ないし10点で表した。官能評価の結果は表5に示した。
官能評価を行った結果、本発明の油脂組成物を含むチョコレート(チョコレート1、チョコレート2、チョコレート3)は組織感、食感、風味において、常用CBEを使用して製造されたチョコレート4より高い点数を受けたことを確認し、天然ココアバターのみ使用して製造したチョコレート5と類似水準の点数を受け、高価の天然ココアバターを代替できることが確認された。
また、全体選好度においても、本発明の油脂組成物がSOS高含量の常用CBEより著しく高く、天然ココアバターに比べて高いか同じ程度の選好度を示した。これにより、POS高含量の本発明の油脂組成物の品質が優秀であることを確認した。
3−3:ブルーム耐性評価
前記の製造された5種類のチョコレートに対して、ブルーム耐性評価を実施した。32℃で12時間、20℃で12時間保管することを1cycleとして、ブルームが発生するまで繰返して保管した。初めてブルーム現象が発生するcycle数を下記表6に示した。
ブルーム耐性評価の実施結果、本発明の油脂組成物を含むチョコレートは天然ココアバターのチョコレートと類似又はより優秀なブルーム特性を表し、常用CBEに比べて著しく優れたブルーム耐性を表し、優秀な熱安定性を有していることを確認した。

Claims (6)

  1. 組成物中のPOS/SOSトリグリセリドの重量比が2ないし12で、組成物中のトリグリセリドの総重量を基準としてPOS含量が30〜55wt%である、チョコレート又は製菓用の油脂組成物。
  2. 前記組成物は、
    植物性油脂を、脂肪酸又は脂肪酸誘導体と混合し原料油脂を製造する工程;及び
    前記原料油脂を酵素的エステル交換反応する工程、により製造することを特徴とする、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 前記植物性油脂は、
    パーム核油(palm kernel oil)、パーム油(palm oil)、ひまわり油(sun flower oil)、及びこれらの分別物からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の油脂組成物。
  4. 前記脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、脂肪酸のパルミチン酸(Palmitic acid)、ステアリン酸(Stearic acid)、及びこれらの脂肪酸誘導体であるパルミチン酸エチルエステル(Palmitic acid ethyl ester)、ステアリン酸エチルエステル(stearic acid ethyl ester)、パルミチン酸メチルエステル(Palmitic acid methyl ester)、ステアリン酸メチルエステル(stearic acid methyl ester)からなる群より選ばれる一つ又は二つ以上の混合物であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の油脂組成物。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一つに記載の油脂組成物を含む、ココアバター同等脂。
  6. 請求項1ないし3のいずれか一つに記載の油脂組成物を用いて製造されたチョコレート。
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