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JP2013237788A - 表面保護フィルム - Google Patents

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JP2013237788A JP2012112153A JP2012112153A JP2013237788A JP 2013237788 A JP2013237788 A JP 2013237788A JP 2012112153 A JP2012112153 A JP 2012112153A JP 2012112153 A JP2012112153 A JP 2012112153A JP 2013237788 A JP2013237788 A JP 2013237788A
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Ryohei Sawazaki
良平 澤▲崎▼
Sho Uchida
翔 内田
Keiji Hayashi
圭治 林
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Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】ポリオレフィン系樹脂を含む基材層を有する表面保護フィルムであって、非常に優れた剥離帯電防止性能を発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性を発現でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性が良好な、新規な表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】本発明の表面保護フィルムは、基材層と粘着剤層とを含む表面保護フィルムであって、該基材層がポリオレフィン系樹脂を含み、光学くしの幅が0.125mmにおけるMD方向の像鮮明度が50%以上であり、該粘着剤層の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/□以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面保護フィルムに関する。より詳細には、基材層と粘着剤層とを含む表面保護フィルムに関する。
偏光板などの光学部材は、加工、組立、検査、輸送などの際の表面の傷付き防止のために、一般に、露出面側に表面保護フィルムが貼着される。例えば、偏光板とガラス基板とが積層された光学部材においては、一般に、偏光板のガラス基板の反対側の表面に表面保護フィルムが貼着される。このような表面保護フィルムは、表面保護の必要がなくなった時点で、光学部材から剥離される。
表面保護フィルムは、巻体から繰出す際に剥離帯電が生じやすい。特に、巻体から繰出した表面保護フィルムの粘着剤層表面の帯電によって、被着体に貼付する前に周囲の異物を巻き込んでしまう問題が生じると、表面保護フィルムを貼着した被着体の外観検査を行う際の支障となる。
剥離帯電を防止した表面保護フィルムとして、基材にポリエステルフィルムを用い、該ポリエステルフィルムの片面に帯電防止層を設けた表面保護フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、表面保護フィルムの基材として近年広く普及している低コストのポリオレフィン系樹脂のフィルムを基材として採用していないため、コストが高いという問題がある。
ポリオレフィン系樹脂を含む基材層の片面に粘着層が積層され、該基材層が帯電防止層を含む、剥離帯電防止性能に優れた光学フィルム用表面保護フィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2で提案されている表面保護フィルムは、透明性や像鮮明度が悪く、通常よりも非常に高いレベルの良好な検査性が要求される光学部材用の表面保護フィルムとしては満足できるものではない。また、表面保護フィルムに求められる性能として、巻体から巻戻す際の巻戻し性が良好であることが挙げられるが、特許文献2で提案されている表面保護フィルムでは、巻体から巻戻す際の巻戻し性が悪いという問題がある。
特開2001−96698号公報 特開2010−59218号公報
本発明の課題は、ポリオレフィン系樹脂を含む基材層を有する表面保護フィルムであって、非常に優れた剥離帯電防止性能を発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性を発現でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性が良好な、新規な表面保護フィルムを提供することにある。
本発明の表面保護フィルムは、
基材層と粘着剤層とを含む表面保護フィルムであって、
該基材層がポリオレフィン系樹脂を含み、
光学くしの幅が0.125mmにおけるMD方向の像鮮明度が50%以上であり、
該粘着剤層の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/□以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護フィルムは、ヘイズが20%以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護フィルムは、セパレーターを有さない表面保護フィルムであって、巻体としたときに上記基材層と上記粘着剤層が接する。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護フィルムは、上記表面保護フィルムを2枚用い、1枚の粘着剤層をもう1枚の基材層に貼付し、300mm/分、剥離角度180度で剥離したときの巻戻し力が1.0N/20mm以下である。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護フィルムは、厚みが10μm〜200μmである。
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分から得られるアクリル系粘着剤を含む。
好ましい実施形態においては、本発明の表面保護フィルムは、光学部材用の表面保護フィルムである。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂を含む基材層を有する表面保護フィルムであって、非常に優れた剥離帯電防止性能を発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性を発現でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性が良好な、新規な表面保護フィルムを提供することができる。
本発明の好ましい実施形態による表面保護フィルムの概略断面図である。
≪≪A.表面保護フィルム≫≫
本発明の表面保護フィルムは、基材層と粘着剤層とを含む。本発明の表面保護フィルムは、好ましくは、基材層と粘着剤層と帯電防止層を含む。本発明の表面保護フィルムは、より好ましくは、基材層と帯電防止層と粘着剤層とをこの順に含む。本発明の表面保護フィルムは、他の任意の少なくとも1層を含んでいても良い。
基材層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。
粘着剤層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。
帯電防止層は、1層のみであっても良いし、2層以上の積層体であっても良い。
本発明の表面保護フィルムは、基材層と粘着剤層のそれぞれが最外層であることが好ましい。この場合、本発明の表面保護フィルムは、好ましくは、セパレーターを有さない表面保護フィルムであって、巻体としたときに基材層と粘着剤層が接する。ここにいうセパレーターは、表面保護フィルムのセパレーターとして知られるものであり、本発明の表面保護フィルムの最外層の表面の少なくとも一方に貼着されるフィルムである。本発明の表面保護フィルムが、このようにセパレーターを有さない「セパレーターレス」のフィルムであれば、巻体としたときに基材層と粘着剤層が接することになる。この場合、従来の表面保護フィルムであれば、基材層が粘着剤層に過度に粘着してしまって、巻戻し力が大きくなってしまったり、基材層表面が汚染されてしまったりするという問題が生じる。しかしながら、本発明の表面保護フィルムは、基材層と粘着剤層の工夫によって、上記のような問題を低減できるという効果を発現できる。したがって、本発明の表面保護フィルムは「セパレーターレス」として提供可能なため、コストの大幅な低減が可能となる。
図1は、本発明の好ましい実施形態による表面保護フィルムの概略断面図である。図1において、表面保護フィルム100は、基材層10と粘着剤層20を最外層として備え、基材層10と粘着剤層20の間に帯電防止層50を備える。本発明の表面保護フィルムは、図1に示すように、好ましくは、基材層と帯電防止層と粘着剤層とがこの順に積層された構造を含む。
本発明の表面保護フィルムの厚みは、用途に応じて、任意の適切な厚みに設定し得る。本発明の表面保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜200μmであり、より好ましくは10μm〜150μmであり、さらに好ましくは20μm〜120μmであり、特に好ましくは20μm〜100μmである。
本発明の表面保護フィルムは、光学くしの幅が0.125mmにおけるMD方向の像鮮明度が50%以上であり、好ましくは52%以上であり、より好ましくは55%以上であり、特に好ましくは57%以上であり、最も好ましくは60%以上である。本発明の表面保護フィルムは、0.125mmという非常に狭い光学くしの幅におけるMD方向の像鮮明度がこのような範囲内に収まることにより、通常よりも非常に高い写像性を発現でき、被着体に表面保護フィルムを貼着したまま外観検査を非常に精度よく行うことが可能となる。像鮮明度の測定方法の詳細は後述する。
本発明の表面保護フィルムは、ヘイズが、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。本発明の表面保護フィルムのヘイズがこのような範囲内に収まることにより、非常に優れた透明性や非常に高い像鮮明度など、通常よりも非常に高いレベルの良好な検査性を効果的に発現でき、被着体に表面保護フィルムを貼着したまま外観検査を非常に精度よく効果的に行うことが可能となる。ヘイズの測定方法の詳細は後述する。
本発明の表面保護フィルムは、該表面保護フィルムを2枚用い、1枚の粘着剤層をもう1枚の基材層に貼付し、300mm/分、剥離角度180度で剥離したときの巻戻し力が、好ましくは1.0N/20mm以下であり、より好ましくは0.8N/20mm以下であり、さらに好ましくは0.6N/20mm以下であり、特に好ましくは0.5N/20mm以下である。上記巻戻し力の下限値は、好ましくは0.01N/20mm以上である。本発明の表面保護フィルムは、上記巻戻し力がこのような範囲内に収まることにより、巻体から巻戻す際に非常に良好な巻戻し性を発現できる。上記巻戻し力が上記範囲を外れて小さすぎると、貼り合わせ張力を調整し難いおそれがある。上記巻戻し力が上記範囲を外れて大きすぎると、貼り合わせ張力を上げる必要があり、カール等の不具合が生じるおそれがある。巻戻し力の測定方法の詳細は後述する。
≪A−1.基材層≫
基材層はポリオレフィン系樹脂を含む。基材層中のポリオレフィン系樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは80重量%〜100重量%であり、特に好ましくは90重量%〜100重量%であり、最も好ましくは95重量%〜100重量%である。基材層が上記含有割合でポリオレフィン系樹脂を含むことにより、本発明の表面保護フィルムは、低コストで提供が可能となるとともに、非常に優れた剥離帯電防止性能を発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性を発現でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性が良好なものとなる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレンと極性モノマーとの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、より具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。
基材層中のポリオレフィン系樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。また、基材層は、単層であっても良いし、複数層であっても良い。また、基材層が複数層の場合、すべて同一の樹脂層の複数層であっても良いし、少なくとも2層が異なる樹脂層である複数層であっても良い。
基材層中のポリオレフィン系樹脂としては、好ましくは、炭素数2〜12のα−オレフィンを重合して得られるポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられ、より好ましくは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
基材層中のポリオレフィン系樹脂としては、特に好ましくは、チューブラー法で製造された低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂が挙げられる。基材層が、チューブラー法で製造された低密度ポリエチレンまたはメタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂を含むことにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた透明性や非常に高い像鮮明度など、通常よりも非常に高いレベルの良好な検査性をより一層発現でき、被着体に表面保護フィルムを貼着したまま外観検査を非常に精度よく行うことがより一層可能となる。また、基材層が、チューブラー法で製造された低密度ポリエチレンまたはメタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂を含むことにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能を効果的に発現できる。
チューブラー法で製造された低密度ポリエチレンとは、低密度ポリエチレンの中でチューブラー法によって製造されたものであり、オートクレーブ法などの他の方法によって製造されたものとは異なる。
メタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン系樹脂の中で製造触媒としてメタロセン触媒を用いて製造されたものであり、チーグラーナッタ触媒などの他の触媒を用いて製造されたものとは異なる。このようなメタロセン触媒を用いて製造されたポリオレフィン系樹脂としては、例えば、メタロセン触媒を用いて製造されたポリエチレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレンなどが挙げられる。
基材層の厚みは、用途に応じて、任意の適切な厚みに設定し得る。基材層の厚みは、好ましくは10μm〜200μmであり、より好ましくは10μm〜150μmであり、さらに好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは20μm〜80μmである。基材層の厚みが上記範囲内に収まることによって、本発明の表面保護フィルムは、巻体から巻戻す際に良好な巻戻し性を発現できるなど、本発明の効果をより一層発現させることが可能となる。基材層の厚みが小さすぎると、剥離時に基材層が破れたり裂けたりするおそれがある。基材層の厚みが大きすぎると、基材層のコシが大きくなりすぎて貼付後に浮き等が発生しやすいおそれがある。
基材層には、他の任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤などが挙げられる。
≪A−2.粘着剤層≫
粘着剤層は、その表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/□以下であり、好ましくは8.0×1012Ω/□以下であり、より好ましくは5.0×1012Ω/□以下であり、特に好ましくは3.0×1012Ω/□以下である。粘着剤層の表面固有抵抗値の下限値は、例えば、好ましくは1.0×10Ω/□以上である。粘着剤層の表面固有抵抗値が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能を発現できる。
粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な樹脂を含み得る。粘着剤層中のこのような樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60重量%以上であり、さらに好ましくは70重量%以上であり、特に好ましくは80重量%以上であり、最も好ましくは90重量%以上である。粘着剤層中の樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層が含み得る上記樹脂としては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分から得られる(メタ)アクリル系ポリマーである。ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルの意味である。粘着剤層が含み得る上記樹脂として、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分から得られる(メタ)アクリル系ポリマーを採用することにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能を効果的に発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性を効果的に発現できるとともに、巻体から巻戻す際の巻戻し性が効果的に良好なものとなる。
(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは50重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは50重量%〜99重量%であり、特に好ましくは50重量%〜98重量%であり、最も好ましくは50重量%〜97重量%である。(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能をより効果的に発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性をより効果的に発現できる。さらに、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムを巻体とする際の基材層と粘着剤層との過度な粘着を効果的に抑制でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性がより効果的に良好なものとなる。また、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が上記範囲内に収まることにより、基材層表面の汚染も効果的に防止できる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中には、本発明の効果を損なわない範囲で、(メタ)アクリル酸エステル以外の、任意の適切な他のモノマー成分が含まれていても良い。このような他のモノマー成分は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
上記のような他のモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イソクロトン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレン、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリン、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記のような他のモノマー成分として、好ましくは、(メタ)アクリル酸である。(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中に(メタ)アクリル酸が含まれる場合、上記モノマー成分中の(メタ)アクリル酸の含有割合は、好ましくは1重量%〜10重量%であり、より好ましくは1重量%〜9重量%であり、さらに好ましくは1.5重量%〜8重量%であり、特に好ましくは2〜7重量%である。(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中に(メタ)アクリル酸が上記範囲の割合で含有すれば、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能をより効果的に発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性をより効果的に発現できる。さらに、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中に(メタ)アクリル酸が上記範囲の割合で含有すれば、本発明の表面保護フィルムを巻体とする際の基材層と粘着剤層との過度な粘着を効果的に抑制でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性がより効果的に良好なものとなる。また、(メタ)アクリル系ポリマーを構成する上記モノマー成分中に(メタ)アクリル酸が上記範囲の割合で含有すれば、基材層表面の汚染も効果的に防止できる。
粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。このような製造方法としては、好ましくは、重合反応を、任意の適切な溶媒中で、固形分が20重量%〜90重量%の範囲となるような重合濃度において行う方法が挙げられる。溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチルが好ましく挙げられる。粘着剤層がこのような方法によって製造された(メタ)アクリル系ポリマーを含むことにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能をより効果的に発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性をより効果的に発現できる。さらに、粘着剤層がこのような方法によって製造された(メタ)アクリル系ポリマーを含むことにより、本発明の表面保護フィルムを巻体とする際の基材層と粘着剤層との過度な粘着を効果的に抑制でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性がより効果的に良好なものとなる。また、粘着剤層がこのような方法によって製造された(メタ)アクリル系ポリマーを含むことにより、基材層表面の汚染も効果的に防止できる。
粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20万〜200万であり、より好ましくは25万〜175万であり、さらに好ましくは30万〜150万である。粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能をより効果的に発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性をより効果的に発現できる。さらに、粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムを巻体とする際の基材層と粘着剤層との過度な粘着を効果的に抑制でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性がより効果的に良好なものとなる。また、粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が上記範囲内に収まることにより、基材層表面の汚染も効果的に防止できる。
粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの分散度は、好ましくは1.0〜20であり、より好ましくは1.5〜17であり、さらに好ましくは1.5〜15である。粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの分散度が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムは、非常に優れた剥離帯電防止性能をより効果的に発現でき、非常に高いレベルの良好な検査性をより効果的に発現できる。さらに、粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの分散度が上記範囲内に収まることにより、本発明の表面保護フィルムを巻体とする際の基材層と粘着剤層との過度な粘着を効果的に抑制でき、巻体から巻戻す際の巻戻し性がより効果的に良好なものとなる。また、粘着剤層が含み得る(メタ)アクリル系ポリマーの分散度が上記範囲内に収まることにより、基材層表面の汚染も効果的に防止できる。
粘着剤層は、好ましくは、架橋剤を含む。粘着剤層が架橋剤を含む場合、粘着剤層中の架橋剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、好ましくは、粘着剤層の樹脂成分に対して0.1重量%〜20重量%である。粘着剤層中の架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、適度な架橋反応を生じさせることができ、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これらの架橋剤の中でも、本発明の効果を十分に発現できる点で、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。また、架橋剤は必要に応じて適宜選択でき、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤層は、必要に応じて、任意の適切な他の成分を含有し得る。他の成分としては、例えば、粘着付与剤;軟化剤;老化防止剤;オレフィン系樹脂;シリコーン系樹脂;液状アクリル系共重合体;ポリエチレンイミン;脂肪酸アミド;リン酸エステル;ヒンダードアミン系光安定剤;紫外線吸収剤;耐熱安定化剤;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤または顔料;その他の添加剤;などが挙げられる。粘着剤層に含有され得る他の成分の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
粘着付与剤は、粘着力の向上に有効である。粘着剤層が粘着付与剤を含有する場合、粘着剤層中の粘着付与剤の含有割合は、凝集力の低下による糊残りの発生の防止を考慮し、任意の適切な含有割合に設定され得る。粘着剤層中の粘着付与剤の含有割合は、粘着剤層の樹脂成分に対して、好ましくは1重量%〜60重量%であり、より好ましくは3重量%〜50重量%であり、さらに好ましくは4重量%〜45重量%であり、特に好ましくは5重量%〜40重量%である。
粘着付与剤としては、例えば、炭化水素系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、ロジン系粘着付与剤、フェノール系粘着付与剤、エポキシ系粘着付与剤、ポリアミド系粘着付与剤、エラストマー系粘着付与剤、ケトン系粘着付与剤などが挙げられる。粘着剤層中の粘着付与剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
炭化水素系粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂(例えば、キシレン樹脂等)、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(例えば、スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂などが挙げられる。
テルペン系粘着付与剤としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体等のテルペン系樹脂;テルペン系樹脂を変性(例えば、フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性等)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペン−フェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂等);などが挙げられる。
ロジン系粘着付与剤としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン等の未変性ロジン(生ロジン);未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(例えば、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等);その他の各種ロジン誘導体;などが挙げられる。
フェノール系粘着付与剤としては、例えば、レゾール型またはノボラック型のアルキルフェノールなどが挙げられる。
粘着付与剤は、オレフィン樹脂や熱可塑性エラストマーとのブレンド物として市販されているものであっても良い。
軟化剤は、粘着力の向上に有効である。粘着剤層が軟化剤を含有する場合、粘着剤層中の軟化剤の含有割合は、任意の適切な量を採用し得る。粘着剤層中の軟化剤の含有割合が大きくなりすぎると、高温や屋外暴露時での糊残りが増加する傾向にあることから、粘着剤層中の軟化剤の含有割合は、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
軟化剤としては、例えば、低分子量のジエン系ポリマー、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエンやそれらの誘導体などが挙げられる。該誘導体としては、例えば、片末端または両末端にOH基やCOOH基を有するものなどが挙げられる。具体的には、水添ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンモノオール、水添ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンモノオールなどが挙げられる。粘着力の向上をより抑制するためには、水添ポリブタジエンや水添ポリイソプレン等のジエン系ポリマーの水添物やオレフィン系軟化剤などが好ましい。具体的には、クラレ社製の「クラプレンLIR−200」などが挙げられる。粘着剤層中の軟化剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
軟化剤の分子量は、任意の適切な量に設定し得る。軟化剤の分子量が小さくなりすぎると、粘着剤層からのブリードによる汚染の原因となるおそれがあり、一方、軟化剤の分子量が大きくなりすぎると、接着力の向上効果が乏しくなる傾向があることから、軟化剤の数平均分子量は、好ましくは5000〜100000であり、より好ましくは10000〜50000である。
粘着剤層の厚みは、好ましくは1μm〜50μmであり、より好ましくは1μm〜40μmであり、さらに好ましくは1μm〜30μmである。粘着剤層の厚みが上記範囲内に収まることによって、本発明の表面保護フィルムは、オートクレーブ処理による浮きの発生がより一層防止されるとともに、巻体から巻戻す際の巻戻し性がより一層良好なものとなる。
粘着剤層の表面には、例えば、コロナ放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理などの、粘着性の制御や貼付作業性等を目的とした表面処理を必要に応じて施すこともできる。
≪A−3.帯電防止層≫
帯電防止層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止性能を発現できる層を採用し得る。
帯電防止層は、好ましくは、帯電防止剤を含有する塗工液から形成される層である。帯電防止剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
このような帯電防止剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、チタンブラック(黒色帯電防止塗料)、亜鉛酸化物、錫酸化物、錫コーティングチタン酸化物(白色帯電防止塗料)、ニッケルフレーク(シルバー帯電防止塗料)、燐ドーピング錫酸化物、アンチモンドーピング錫酸化物(透明帯電防止塗料)等の導電性フィラー型の帯電防止剤;カチオン型、両性イオン型、アニオン型、もしくはノニオン型のイオン導電性基を有する単量体の単独重合体または該単量体と他の単量体との共重合体、4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の部位を有する重合体等のイオン導電性を有する重合体;などが挙げられる。
本発明においては、このような帯電防止剤として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーに、塩化コリン、ポリエチレンイミン、イミダゾール等の極性物質を配合した混合物(主剤)に、さらにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(硬化剤)を配合してなる、熱硬化型帯電防止剤を好ましく採用し得る。このような帯電防止剤としては、例えば、株式会社コニシ製のボンディップシリーズ(ボンディップPA−100等)が挙げられる。このような帯電防止剤を採用することにより、本発明の表面保護フィルムは、基材層と粘着剤層の工夫と併せることによって、非常に優れた剥離帯電防止性能をより効果的に発現できる。
帯電防止層は、好ましくは、帯電防止剤を含有する塗工液を基材層の表面に塗工して乾燥させて形成する。このような塗工液としては、好ましくは、帯電防止剤が、乾燥によって揮発し得る溶剤に溶解している塗工液である。このような溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、水、これらの混合物などが挙げられる。帯電防止剤を含有する塗工液中の帯電防止剤の濃度は、用途に応じて、任意の適切な濃度を採用し得る。このような濃度としては、例えば、好ましくは0.01重量%〜50重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは0.5重量%〜20重量%であり、特に好ましくは1.0重量%〜10重量%である。
帯電防止層の厚みは、好ましくは0.01μm〜100μmであり、より好ましくは0.1〜10μmである。
≪≪B.表面保護フィルムの製造方法≫≫
本発明の表面保護フィルムは、任意の適切な方法によって製造し得る。例えば、基材層を少なくとも最外層に含む積層体の表面に粘着剤層の形成材料を塗布して乾燥することによって積層体とする方法などが挙げられる。ここで、基材層としては、上記≪A−1.基材層≫の項で説明した基材層の特性や組成を発現できるものであれば、市販の基材層を採用しても良いし、任意の適切な成形方法によって形成された基材層を採用しても良い。
本発明の表面保護フィルムを製造する際に用い得る粘着剤層の形成材料としては、上記≪A−2.粘着剤層≫の項で説明した粘着剤層の特性や組成を発現できるものであれば、任意の適切な形成材料を採用し得る。
本発明の表面保護フィルムが帯電防止層を有する場合、該帯電防止層は、好ましくは、帯電防止剤を含有する塗工液を基材層の表面に塗工して乾燥させて形成する。塗工の方法としては、任意の適切なコーティング方法を採用し得る。
本発明の表面保護フィルムを製造する際には、得られた積層体に、電離放射線を照射しても良い。具体的には、例えば、得られた積層体には、ロール状に巻き取る前、もしくは、ロール状に巻き取った後に再び巻戻した状態において、電離放射線を照射しても良い。電離放射線の照射は、好ましくは、窒素などの不活性ガス雰囲気下にて行う。電離放射線としては、例えば、X線、γ線、紫外線、可視光線、電子線などが挙げられる。照射した際の反応活性種の生成率が高い点や、照射対象物への浸透が深い点などから、電離放射線としては、電子線が好ましい。電子線源としては、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電離放射線の照射は、積層体の片側から照射しても良いし、両側から照射しても良い。工程の簡略化という点において、電離放射線の照射は、ロール状に巻き取る前に積層体を電離放射線照射装置に誘導して電離放射線を照射することが好ましい。電離放射線の照射線量は、層間密着性の向上と表面保護フィルムの物性維持の観点より、好ましくは10kGy〜500kGyであり、より好ましくは10kGy〜400kGyであり、さらに好ましくは10kGy〜300kGyである。電離放射線の加速電圧については、表面保護フィルムに用いられる樹脂の種類や表面保護フィルムの厚さに応じて適宜選定し得る。電離放射線の加速電圧は、通常、50kV〜300kVの範囲が好ましい。電離放射線は、1回の照射でも良く、複数回(好ましくは2回)の照射でも良い。
本発明の表面保護フィルムを製造する際には、エージング処理を行っても良い。エージング処理は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエージング処理を行い得る。本発明の表面保護フィルムを製造する際に採用し得るこのようなエージング処理としては、好ましくは、23℃〜60℃の温度範囲内で、12時間〜168時間の間、加温を行う処理である。60℃を超える温度でエージング処理を行うと、基材層が変形するおそれや、粘着剤層が劣化するおそれがある。また、12時間未満でエージング処理を行うと、十分なエージング効果が得られないおそれがある。さらに、168時間を超えてエージング処理を行うと、粘着剤層が劣化するおそれや、生産性に悪影響を与える(例えば、保管場所など)おそれがある。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。また、部は重量部を意味する。また、%は、重量%を意味する。
<ヘイズの測定>
ヘイズメーターHM−150((株)村上色彩技術研究所製)を使用し、JIS−K−7136に準拠し、ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100(Td:拡散透過率、Tt:全光線透過率)により算出した。
<像鮮明度の測定>
JIS−K−7374に準拠し、スガ試験機社製「ICM−1」を用いて、透過式で、光学くしの幅0.125mmにて測定した。なお、MD方向(長手方向)の像鮮明度は、表面保護フィルムの長手方向と光学くしの透過部分の線方向とが並行となるようにして測定した。像鮮明度は、像鮮明度(%)=[(M−m)/(M+m)]×100(M:最高波高、m:最低波高)により算出した。
<粘着剤層の表面固有抵抗値の測定>
温度23℃、湿度50%RHの環境下において、抵抗率計((株)三菱化学アナリティック製、ハイレスタUP MCP−HT450型)を用い、JIS−K−6911に準じて測定を行った。
<巻戻し力の測定>
表面保護フィルムを2枚用い、1枚の粘着剤層をもう1枚の基材層に、線圧78.5N/cm、速度0.3m/分で貼付した。これを、温度23℃、湿度50%RHの環境下に30分間放置した後、万能引張試験機を用いて、300mm/分、剥離角度180度で剥離したときの巻戻し力(剥離力)を測定した。なお、N=3の平均値を測定値とした。
<巻戻し性の評価>
下記の基準に従って評価した。
○:巻戻し力が1.0N/20mm以下である。
×:巻戻し力が1.0N/20mmを超える。
<帯電防止性の評価>
温度23℃、湿度50%RHの環境下において、表面保護フィルムを巻体の状態から手で素早く繰出し、粘着剤層の表面電位を、デジタル静電電位測定器(春日電気(株)製、KSD-0103)を用いて測定し、下記の基準に従って評価した。
○:0kVを示した。すなわち、帯電していなかった。
×:0kVを示さなかった。すなわち、帯電していた。
<重量平均分子量、分散度の測定>
重量平均分子量Mw、分散度Mw/Mnの測定は,ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)において行い、HLC−8120(東ソー社製)による内径6.0mm、長さ150mmのカラム(東ソー社製、TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000)を直列に接続して使用し、溶離液にテトラヒドロフランを用いて濃度1g/L、流量0.6ml/分、温度40℃、サンプル注入量20μlの条件で行い、検出器にはRI検出器を用いた。また分子量の検量線の作成には、TSK 標準ポリスチレン(東ソー社製)を用いた。
<検査性の評価>
ヘイズが20%以下、光学くしの幅が0.125mmにおけるMD方向の像鮮明度が50%以上のものを○とし、これらの中の1つでも満たさないものを×とした。
[製造例1]:粘着剤(1)の調製
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート95部、アクリル酸5部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.20部を入れ、酢酸エチル中で、60℃で12時間重合し、粘着剤(1)の溶液を得た。
得られた粘着剤(1)の重量平均分子量(Mw)は60万、分散度(Mw/Mn)は4.0であった。
[製造例2]:粘着剤(2)の調製
冷却管、窒素導入管、温度計、および撹拌装置を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート100部、酢酸ビニル80部、アクリル酸5部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、トルエン中で、60℃で12時間重合し、粘着剤(2)の溶液を得た。
得られた粘着剤(2)の重量平均分子量(Mw)は45万、分散度(Mw/Mn)は13であった。
[製造例3]:基材(1)の準備
東洋紡績株式会社製のポリプロピレン系フィルム「パイレン(登録商標)フィルム−CT P1111」(コロナ処理フィルム、厚み=40μm)(ランダムポリプロピレンを含むポリプロピレン基材)を基材(1)として用いた。
[製造例4]:基材(2)の準備
サン・トックス株式会社製のポリプロピレン系フィルム「サントックス−CP MK12」(コロナ処理フィルム、厚み=40μm)(ホモポリプロピレンを含むポリプロピレン基材)を基材(2)として用いた。
[製造例5]:基材(3)の準備
東レフィルム加工株式会社のポリプロピレン系フィルム「トレファンNO 3701J」(コロナ処理フィルム、厚み=40μm)(ブロックポリプロピレンを含むポリプロピレン基材)を基材(3)として用いた。
[実施例1]
帯電防止剤として、商品名「ボンディップPA−100」(株式会社コニシ製)の主剤と硬化剤とを主剤:硬化剤=1:1の割合(重量比)で配合した配合物を、イソプロピルアルコールの67重量%水溶液に溶解させて、濃度5重量%の熱硬化型帯電防止剤溶液を調製した。
製造例3で得られた基材(1)のコロナ処理面上に、上記熱硬化型帯電防止剤溶液を#10のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させ、厚さ0.5μmの帯電防止層を形成した。
製造例1で得られた粘着剤(1)の溶液にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、TETRAD−C)を該粘着剤(1)の固形分100重量部に対して6.0重量部添加した混合溶液を、上記で得られた帯電防止層付き基材の帯電防止層上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが10μmとなるように塗布し、70℃×2分間で乾燥させ、表面保護フィルム(1)を得た。
また、得られた表面保護フィルム(1)を、基材(1)の非コロナ処理面に貼付し、40℃で2日間放置した。
[実施例2]
帯電防止剤として、商品名「ボンディップPA−100」(株式会社コニシ製)の主剤と硬化剤とを主剤:硬化剤=1:1の割合(重量比)で配合した配合物を、イソプロピルアルコールの67重量%水溶液に溶解させて、濃度5重量%の熱硬化型帯電防止剤溶液を調製した。
製造例4で得られた基材(2)のコロナ処理面上に、上記熱硬化型帯電防止剤溶液を#10のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させ、厚さ0.5μmの帯電防止層を形成した。
製造例2で得られた粘着剤(2)の溶液にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、TETRAD−C)を該粘着剤(2)の固形分100重量部に対して2.0重量部添加した混合溶液を、上記で得られた帯電防止層付き基材の帯電防止層上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが5μmとなるように塗布し、70℃×2分間で乾燥させ、表面保護フィルム(2)を得た。
また、得られた表面保護フィルム(2)を、基材(2)の非コロナ処理面に貼付し、40℃で2日間放置した。
[比較例1]
帯電防止剤として、商品名「ボンディップPA−100」(株式会社コニシ製)の主剤と硬化剤とを主剤:硬化剤=1:1の割合(重量比)で配合した配合物を、イソプロピルアルコールの67重量%水溶液に溶解させて、濃度5重量%の熱硬化型帯電防止剤溶液を調製した。
製造例5で得られた基材(3)のコロナ処理面上に、上記熱硬化型帯電防止剤溶液を#10のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させ、厚さ0.5μmの帯電防止層を形成した。
製造例1で得られた粘着剤(1)の溶液にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、TETRAD−C)を該粘着剤(1)の固形分100重量部に対して6.0重量部添加した混合溶液を、上記で得られた帯電防止層付き基材の帯電防止層上に、乾燥後の粘着剤層の厚みが10μmとなるように塗布し、70℃×2分間で乾燥させ、表面保護フィルム(C1)を得た。
また、得られた表面保護フィルム(C1)を、基材(3)の非コロナ処理面に貼付し、40℃で2日間放置した。
[比較例2]
製造例4で得られた基材(2)のコロナ処理面上に、製造例2で得られた粘着剤(2)の溶液にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、TETRAD−C)を該粘着剤(2)の固形分100重量部に対して2.0重量部添加した混合溶液を、乾燥後の粘着剤層の厚みが5μmとなるように塗布し、70℃×2分間で乾燥させ、表面保護フィルム(C2)を得た。
また、得られた表面保護フィルム(C2)を、基材(2)の非コロナ処理面に貼付し、40℃で2日間放置した。
Figure 2013237788
本発明で得られる表面保護フィルムは、光学部材用の表面保護フィルムとして有用である。
100 表面保護フィルム
10 基材層
20 粘着剤層
50 帯電防止層

Claims (7)

  1. 基材層と粘着剤層とを含む表面保護フィルムであって、
    該基材層がポリオレフィン系樹脂を含み、
    光学くしの幅が0.125mmにおけるMD方向の像鮮明度が50%以上であり、
    該粘着剤層の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/□以下である、
    表面保護フィルム。
  2. ヘイズが20%以下である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. セパレーターを有さない表面保護フィルムであって、巻体としたときに前記基材層と前記粘着剤層が接する、請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
  4. 前記表面保護フィルムを2枚用い、1枚の粘着剤層をもう1枚の基材層に貼付し、300mm/分、剥離角度180度で剥離したときの巻戻し力が1.0N/20mm以下である、請求項1から3までのいずれかに記載の表面保護フィルム。
  5. 厚みが10μm〜200μmである、請求項1から4までのいずれかに記載の表面保護フィルム。
  6. 前記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマー成分から得られるアクリル系粘着剤を含む、請求項1から5までのいずれかに記載の表面保護フィルム。
  7. 光学部材用の表面保護フィルムである、請求項1から6までのいずれかに記載の表面保護フィルム。
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