JP2013202648A - はんだ接合構造、パワーモジュール、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、並びに、はんだ接合構造の製造方法、パワーモジュールの製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銅又は銅合金からなる銅部材13と、被接合部材21と、をはんだ材を用いて接合するはんだ接合構造40であって、銅部材13の表面に形成されたガラス層41と、このガラス層41に積層されたAg層42と、このAg層42に積層されたはんだ層43と、を備えており、前記Ag層42には、結晶性の酸化物粒子44が分散されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
パワーモジュールは、絶縁基板の一方の面に回路層となる金属板が接合されてなるパワーモジュール用基板と、回路層の一方の面に搭載されるパワー素子(半導体素子)と、を備えている。
また、パワーモジュール用基板の他方の面側には、パワー素子(半導体素子)からの熱を放散するために、放熱板や冷却器などのヒートシンクが配設されることがある。このとき、絶縁基板と放熱板や冷却器などのヒートシンクとの熱膨張係数に起因する熱応力を緩和するために、パワーモジュール用基板においては、絶縁基板の他方の面に金属層となる金属板が接合され、この金属層と上述の放熱板や冷却器などのヒートシンクが接合される構成とされているものがある。
また、パワーモジュール用基板と放熱板及び冷却器などのヒートシンクについても、はんだ材を介して接合されることがある。この場合、金属層あるいはヒートシンク(放熱板及び冷却器等)のいずれか一方が金属部材とされ、他方が被接合部材とされた、はんだ接合構造をなすことになる。
そこで、従来は、例えば特許文献3に開示されているように、回路層の表面に無電解めっき等によってNiめっき膜を形成し、このNiめっき膜上にはんだ材を配設して半導体素子を接合していた。
また、特許文献4には、Niめっき膜を設けることなく、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる回路層とはんだ層とを導通させる導電接合層を形成することができる導電性組成物が記載されており、上記回路層と被接合部材とをガラス層、Ag層及びはんだ層を介して接合した構造が開示されている。
酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛から選択される結晶性の酸化物粒子が、はんだと接合されたAg層中に分散されると、Agがはんだ材側へ拡散することが抑制される。Ag中に酸化物粒子が分散していることにより、焼成時においてAg層がネッキングする面積が少なくなる。このように焼結されたAg層に対してはんだ接合を行うと、完全にネッキングしたAg層と比較して、Agのはんだ材側への拡散が生じ難くなるため、はんだ材に対するAg喰われを抑制することができる。
したがって、パワーモジュール用基板とヒートシンクとの接合信頼性が向上し、ヒートシンクによって熱を効率的に放散させることが可能となる。
なお、ヒートシンクとしては、板状の放熱板、内部に冷媒が流通する冷却器、フィンが形成された液冷、空冷放熱器、ヒートパイプなど、熱の放散によって温度を下げることを目的とした金属部品が含まれる。
図1に、本発明の第1の実施形態であるパワーモジュール1及び放熱板付パワーモジュール用基板20を示す。この実施形態では、ヒートシンクとして、放熱板21を用いた。
このパワーモジュール1は、回路層12及び金属層13が配設されたパワーモジュール用基板10と、回路層12の一方の面(図1において上面)に搭載された半導体素子3と、金属層13の他方の面(図1において下面)に接合された放熱板21と、この放熱板21の他方の面側に積層された冷却器31と、を備えている。
冷却器31は、図1に示すように、冷却媒体(例えば冷却水)を流通するための流路32を備えている。冷却器31は、熱伝導性が良好な材質で構成されることが望ましく、本実施形態においては、A6063(アルミニウム合金)で構成されている。
なお、放熱板21と冷却器31とは、図1に示すように、固定ネジ22によって締結されている。
ここで、第1ガラス層41及び第3ガラス層51においては、その内部に粒径が数ナノメートル程度の微細な導電性粒子が分散されている。この導電性粒子は、Ag又はCuの少なくとも一方を含有する結晶性粒子とされている。
また、第2ガラス層46においては、その内部に粒径が数ナノメートル程度の微細な導電性粒子が分散されている。この導電性粒子は、Ag又はAlの少なくとも一方を含有する結晶性粒子とされている。
なお、第1ガラス層41、第2ガラス層46及び第3ガラス層51内の導電性粒子は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることで観察されるものである。
この結晶性の酸化物粒子は、第1Ag層42、第2Ag層47及び第3Ag層52の断面の元素分析から同定することができる。元素分析手法として、例えば、EPMAやEDSなどの電子線による分析手法を用いればよい。
ここで、放熱板接合部40及び半導体素子接合部50は、金属層13及び回路層12の表面、並びに、放熱板21の表面に以下に説明するAgペーストを塗布・焼成してAg焼成層を形成し、このAg焼成層の表面にはんだ材を介して、放熱板21と金属層13及び回路層12と半導体素子3を接合することによって形成されるものである。
このAgペーストはAg粉末と、ガラス粉末と、結晶性の酸化物粉末と、樹脂と、分散剤とを含有しており、Ag粉末の含有量が、Agペースト全体の60質量%以上90質量%以下とされており、残部がガラス粉末、結晶性の酸化物粉末、樹脂、溶剤、分散剤とされている。なお、本実施形態では、Agペーストの粘度が10Pa・s以上500Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以上300Pa・s以下に調整されている。
また、ガラス粉末は必要に応じて、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化銅、酸化セレン、酸化ジルコニウム、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などを含有していても良い。
また、Ag粉末の重量Aとガラス粉末の重量Gとの重量比A/Gは、80/20から99/1の範囲内に調整されており、本実施形態では、A/Gが85/15とされている。
さらに、Ag粉末の重量Aと結晶性の酸化物粉末の重量Oとの重量比A/Oは、90/10から99/1の範囲内とされている。
結晶性の酸化物粉末は、その結晶粒径が0.05μm以上1.0μm以下とされており、本実施形態では、平均粒径0.5μmものを使用した。
なお、Ag粉末及び結晶性の酸化物粉末の結晶粒径は、レーザー回折散乱方式による粒度分布測定方法で測定すればよい。
樹脂は、Agペーストの粘度を調整するものであり、窒素雰囲気で分解されるアクリル樹脂が最も好ましい。
また、本実施形態では、ジカルボン酸系の分散剤を添加している。なお、分散剤を添加することなく導電性組成物を構成してもよい。
まず、前述したAg粉末と、ガラス粉末と、結晶性の酸化物粉末とを混合して混合粉末を生成する(混合粉末形成工程S1)。また、溶剤、樹脂及び分散剤を混合して有機混合物を生成する(有機物混合工程S2)。
次いで、予備混合物を、複数のロールを有するロールミル機を用いて練り込みながら混合する(混錬工程S4)。
混錬工程S4によって得られた混錬物を、ペーストろ過機によってろ過する(ろ過工程S5)。
このようにして、本実施形態であるAgペーストが製出されることになる。
まず、回路層12となる銅板と絶縁基板11とを接合する(回路層形成工程S11)。ここで、絶縁基板11がAl2O3で構成されていることから、銅板と絶縁基板11とを、銅と酸素の共晶反応を利用したDBC法により接合する。具体的には、タフピッチ銅からなる銅板と、絶縁基板11とを接触させ、窒素ガス雰囲気中で1075℃、10分加熱することで、銅板と絶縁基板11とが接合されることになる。
また、金属層13の他方の面にも、前述のAgペーストを塗布する(第2Agペースト塗布工程S14)。なお、Agペーストを塗布する際には、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、感光性プロセス等の種々の手段を採用することができる。
また、金属層13の他方の面にAgペーストを塗布した状態で、加熱炉内に装入してAgペーストの焼成を行う(第2焼成工程S16)。これにより、第2Ag焼成層(図示なし)が形成される。
なお、このときの焼成温度は、350℃〜645℃に設定されている。
これにより、回路層12と半導体素子3との間に、第3ガラス層51、結晶性の酸化物粒子54が分散された第3Ag層52、半導体素子側はんだ層53を有する半導体素子接合部50が形成され、本実施形態であるパワーモジュール1が製出される。
また、銅製の放熱板21の一方の面(接合面)に第1ガラス層41及び第1Ag層42が形成されているので、放熱板21とはんだ材とが直接接触することがなくなり、放熱板21内へはんだ成分が侵入して放熱板21の特性が変化してしまうことを抑制できる。
また、銅板からなる回路層12の一方の面(接合面)に第3ガラス層51及び第3Ag層52が形成されているので、回路層12とはんだ材とが直接接触することがなくなり、回路層12内へはんだ成分が侵入して回路層12の特性が変化してしまうことを抑制できる。
このパワーモジュール101は、回路層112及び金属層113が配設されたパワーモジュール用基板110と、回路層112の一方の面(図6において上面)に搭載された半導体素子103と、パワーモジュール用基板110の他方の面側に積層された冷却器131と、を備えている。
絶縁基板111は、回路層112と金属層113との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。
本実施形態においては、回路層112及び金属層113は、タフピッチ銅の圧延板からなる銅板が絶縁基板111に接合されることにより形成されている。なお、銅板と絶縁基板111との接合は、活性金属法等を用いることができる。
また、銅板からなる金属層113の他方の面(接合面)に第1ガラス層141及び第1Ag層142が形成されているので、金属層113とはんだ材とが直接接触することがなくなり、金属層113内へはんだ成分が侵入して金属層113の特性が変化してしまうことを抑制できる。
例えば、パワーモジュールに用いられるはんだ接合構造を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、銅部材(電極部材)と被接合部材とをはんだ接合するものであれば、用途に限定はない。特に、LED素子、ペルチェ素子などのパワーサイクル若しくはヒートサイクルが発生する素子との接合部材に適している。
また、ヒートシンクとして、放熱板及び冷却器を用いて説明したが、これに限られるものではなく、フィンが形成された空冷、液冷放熱器、ヒートパイプなどであってもよい。
さらに、絶縁層としてAl2O3、AlNからなる絶縁基板を用いたものとして説明したが、これに限定されることはなく、Si3N4等からなる絶縁基板を用いても良いし、絶縁樹脂によって絶縁層を構成してもよい。
さらに、溶剤としては、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル等を用いても良い。
タフピッチ銅からなる回路層上に、表1に示す組成のAgペーストを焼成してなる焼成層を形成し、この焼成層の上にSn−Ag−Cu系無鉛はんだを用いて、還元炉内において半導体素子を接合した。はんだ付けの条件は、ピーク温度での保持時間として350℃−30minとした。
また、回路層及び金属層は、タフピッチ銅で構成され、13mm×10mm、厚さ0.6mmのものを使用した。
半導体素子は、IGBT素子とし、12.5mm×9.5mm、厚さ0.25mmのものを使用した。
ヒートシンクとしては、40.0mm×40.0mm×2.5mmの冷却板を使用した。
はんだ接合性を評価するために、超音波探傷装置を用いて、以下の式からIGBT素子と回路層との接合率を求めた。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち半導体素子面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)×100
なお、パワーモジュール用基板に冷熱サイクル試験を行い、初期の接合率と冷熱サイクル試験後の接合率とを比較した。冷熱サイクルは、−40℃×5分←→125℃×3分、3000サイクルとした。
冷熱サイクル試験後に、試験片をダイヤモンドソーで切断し、断面を樹脂埋めして研磨を行い、EPMAによる元素分析(マッピング)を実施した。はんだ接合部の断面をEPMAで分析することにより、はんだ層、Ag食われ層、Ag層残存部に分類し、Ag層残存部/Ag層全体の断面積割合を評価した。なお、Ag層全体とは、Agペーストを焼成したときの断面積のことである。
一方、比較例1および比較例2においては、冷熱サイクル試験後のAg残存部が少なく、初期接合率、及び、冷熱サイクル後の接合率が低い。
以上のことから、本発明例によれば、銅板からなる回路層と半導体素子とを確実にはんだ接合できることが確認された。
3 半導体素子(被接合部材)
10 パワーモジュール用基板
11 絶縁基板(絶縁層)
12 回路層(銅部材)
13 金属層(被接合部材)
20 放熱板付パワーモジュール用基板(ヒートシンク付パワーモジュール用基板)
21 放熱板(銅部材)
40 放熱板接合部(はんだ接合構造)
41 第1ガラス層(ガラス層)
42 第1Ag層(Ag層)
43 放熱板側はんだ層(はんだ層)
44 結晶性の酸化物粒子
50 半導体素子接合部(はんだ接合構造)
51 第3ガラス層(ガラス層)
52 第3Ag層(Ag層)
53 半導体素子側はんだ層(はんだ層)
54 結晶性の酸化物粒子
101 パワーモジュール
110 パワーモジュール用基板
113 金属層(銅部材)
130 冷却器付パワーモジュール用基板(ヒートシンク付パワーモジュール用基板)
131 冷却器(被接合部材)
140 冷却器接合部(はんだ接合構造)
141 第1ガラス層(ガラス層)
142 第1Ag層(Ag層)
143 冷却器側はんだ層(はんだ層)
144 結晶性の酸化物粒子
Claims (8)
- 銅又は銅合金からなる銅部材と、被接合部材と、をはんだ材を用いて接合するはんだ接合構造であって、
前記銅部材の表面に形成されたガラス層と、このガラス層に積層されたAg層と、前記Ag層に積層されたはんだ層と、を備えており、
前記Ag層には、結晶性の酸化物粒子が分散されていることを特徴とするはんだ接合構造。 - 前記結晶性の酸化物粒子は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛のうちいずれか1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1に記載のはんだ接合構造。
- 絶縁層の一方の面に前記銅部材からなる回路層が配設されたパワーモジュール用基板と、前記回路層の一方の面に接合された半導体素子と、を備えたパワーモジュールであって、
前記回路層と前記半導体素子との接合部が請求項1または請求項2に記載のはんだ接合構造とされていることを特徴とするパワーモジュール。 - 絶縁層の一方の面に回路層が配設されたパワーモジュール用基板と、このパワーモジュール用基板の他方の面側に接合されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板であって、
前記ヒートシンクの接合面及び前記パワーモジュール用基板の接合面のうち少なくとも一方は、前記銅部材で構成されており、
前記ヒートシンクと前記パワーモジュール用基板との接合部が請求項1または請求項2に記載のはんだ接合構造とされていることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。 - 銅又は銅合金からなる銅部材と、被接合部材と、をはんだ材を用いて接合するはんだ接合構造の製造方法であって、
前記銅部材の表面にガラス及び結晶性の酸化物粒子を含有するAgペーストを塗布する塗布工程と、前記Agペーストを塗布した状態で加熱処理して前記Agペーストを焼成する焼成工程と、前記Agペーストの焼成体からなるAg焼成層の表面にはんだ材を介して被接合部材をはんだ接合するはんだ接合工程と、を備え、
前記Ag焼成層には、結晶性の酸化物粒子が分散されていることを特徴とするはんだ接合構造の製造方法。 - 前記結晶性の酸化物粒子は、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛のうちいずれか1種または2種以上からなることを特徴とする請求項5に記載のはんだ接合構造の製造方法。
- 絶縁層の一方の面に前記銅部材からなる回路層が配設されたパワーモジュール用基板と、前記回路層の一方の面に接合された半導体素子と、を備え、前記回路層と前記半導体素子とがはんだ接合部を介して接合されたパワーモジュールの製造方法であって、
前記はんだ接合部を請求項5または請求項6に記載のはんだ接合構造の製造方法によって形成することを特徴とするパワーモジュールの製造方法。 - 絶縁層の一方の面に回路層が配設されたパワーモジュール用基板と、このパワーモジュール用基板の他方の面側に接合されたヒートシンクと、を備え、前記ヒートシンクの接合面及び前記パワーモジュール用基板の接合面のうち少なくとも一方は、前記銅部材で構成されており、前記ヒートシンクと前記パワーモジュール用基板とがはんだ接合部を介して接合されたヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記はんだ接合部を請求項5または請求項6に記載のはんだ接合構造の製造方法によって形成することを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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