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JP2013243108A - 金属空気電池およびエネルギーシステム - Google Patents

金属空気電池およびエネルギーシステム Download PDF

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JP2013243108A JP2012254529A JP2012254529A JP2013243108A JP 2013243108 A JP2013243108 A JP 2013243108A JP 2012254529 A JP2012254529 A JP 2012254529A JP 2012254529 A JP2012254529 A JP 2012254529A JP 2013243108 A JP2013243108 A JP 2013243108A
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Masaki Kaga
正樹 加賀
Akito Yoshida
章人 吉田
Hirotaka Mizuhata
宏隆 水畑
Tomohisa Yoshie
智寿 吉江
Shinobu Takenaka
忍 竹中
Tomoharu Arai
友春 新井
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Abstract

【課題】本発明は、電解液中に析出した金属化合物を効率的に除去することができる金属空気電池を提供する。
【解決手段】本発明の金属空気電池は、少なくとも1つのセルと、少なくとも1つの脱液機構とを備え、前記セルは、電解液を溜める電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる金属電極と、カソードとなる空気極とを備え、前記金属電極は、前記電解液中における電池反応の進行に伴い金属化合物からなる析出物に化学変化する金属からなり、前記脱液機構は、前記電解液を含む前記析出物から前記電解液を分離することにより前記金属化合物の脱液物を形成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属空気電池およびエネルギーシステムに関する。
アノードを金属電極とし、カソードを空気極とする金属空気電池は、高いエネルギー密度を有するため、次世代の電池として注目されている。
代表的な金属空気電池として亜鉛空気電池が挙げられる。図18は亜鉛空気電池の放電反応を説明するための模式的な断面図である。亜鉛空気電池は、図18に示すようにアルカリ性電解液103中に亜鉛電極101を設け、空気極105を電解液103と接するアニオン交換膜106上に設けた構造を有しており、放電反応が進行することにより亜鉛電極101と空気極105とから電力を出力する。なお、空気極105は、一般的にカーボン担体に空気極触媒を担持したものが用いられる。
亜鉛空気電池の放電反応において、亜鉛電極101の金属亜鉛がアルカリ性電解液103中の水酸化物イオンと反応し、水酸化亜鉛となり亜鉛電極101中に電子を放出する。また、この水酸化亜鉛は分解して酸化亜鉛が電解液中に析出する。また、空気極105において、電子と水と酸素が反応することにより水酸化物イオンが生成され、この水酸化物イオンは、アニオン交換膜106を導電し、アルカリ性電解液103に移動する。このような放電反応が進行すると、亜鉛電極101の金属亜鉛が消費され、アルカリ性電解液103中に酸化亜鉛が溜まっていくこととなる。従って、亜鉛空気電池による電力の出力を維持するためには、亜鉛電極101に金属亜鉛を供給し、アルカリ性電解液103中に析出した酸化亜鉛を除去する必要がある。
そこで、金属空気電池に金属を供給する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平7−45270号公報 特表2005−509262号公報
しかし、従来の金属空気電池では、電解液中に析出した金属化合物を除去する方法はほとんど提案されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電解液中に析出した金属化合物を効率的に除去することができる金属空気電池を提供する。
本発明は、少なくとも1つのセルと、脱液機構とを備え、前記セルは、電解液を溜める電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる金属電極と、カソードとなる空気極とを備え、前記金属電極は、前記電解液中における電池反応の進行に伴い金属化合物からなる析出物に化学変化する金属からなり、前記脱液機構は、前記電解液を含む前記析出物から前記電解液を分離することにより前記金属化合物の脱液物を形成することを特徴とする金属空気電池を提供する。
本発明によれば、少なくとも1つのセルを備え、前記セルは、電解液を溜める電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる金属電極と、カソードとなる空気極を備えるため、金属電極と空気極とから電力を出力することができる。
本発明によれば、金属電極を構成する金属が電池反応の進行に伴い化学変化した金属化合物からなる析出物と電解液とを分離することにより金属化合物の脱液物を形成する脱液機構を備えるため、電解液槽中の析出物を脱液物として効率的に除去することができる。このことにより、電解液からの金属化合物からなる析出物の除去および金属電極を構成する金属の電解液への供給を低コストで行うことができる。
本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれるろ過部の説明図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれるろ過部の説明図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態の金属空気電池に含まれるろ過部の説明図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 (a)は本発明の一実施形態の金属空気電池が有する金属ホルダーの概略側面図であり、(b)は(a)の点線A−Aにおける金属ホルダーの概略断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態の金属空気電池が有する脱液機構の説明図である。 本発明の一実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の一実施形態の金属空気電池が有する脱液機構の説明図である。 従来の亜鉛空気電池の放電反応を説明するための模式的な断面図である。
本発明の金属空気電池は、電解液を溜める電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる金属電極と、カソードとなる空気極と、脱液機構とを備え、前記金属電極は、前記電解液中における電池反応の進行に伴い金属化合物からなる析出物に化学変化する金属からなり、前記脱液機構は、前記電解液を含む前記析出物から前記電解液を分離することにより前記金属化合物の脱液物を形成することを特徴とする。
なお、金属電極を構成する金属が電極反応の進行に伴い化学変化することにより生じる金属化合物の析出物は、例えば、粒子状であり、微粒子、針状の粒子、板状の粒子などであってもよい。
本発明の金属空気電池において、前記脱液機構は、前記電解液と前記析出物の混合物をろ過し残渣とろ液とに分離する第1フィルター部を有するろ過部を備えることが好ましい。
このような構成によれば、第1フィルター部により電解液と析出物とを分離することができる。
本発明の金属空気電池において、前記金属化合物の脱液物は、前記残渣である又は前記残渣から形成されることが好ましい。

このような構成によれば、第1フィルター部上に堆積した残渣を回収することにより、金属化合物を回収することができる。
本発明の金属空気電池において、第1フィルター部は、前記ろ過部に着脱可能に設けられ、前記ろ過部は、前記残渣と共に第1フィルターを前記ろ過部から取り外し前記金属化合物の脱液物を回収できるように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、残渣を第1フィルター上に堆積させた状態で回収することができ、金属化合物の脱液物を容易に回収することができる。
本発明の金属空気電池において、前記脱液機構は、前記残渣の量が所定の量を超えたことを検出する検出部を有することが好ましい。
このような構成によれば、検出部が検出した信号により、適切な時期に金属化合物の脱液物を回収することができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽および前記脱液機構は、前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物の混合物が前記ろ過部に流入し第1フィルターによりろ過されるように設けられ、かつ、第1フィルターを通過した前記ろ液が前記電解液槽に流入するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、電解液を循環させることにより金属化合物の析出物を第1フィルター上に残渣として堆積させることができる。
本発明の金属空気電池において、第1フィルター部は、前記電解液に対する耐薬品性を有するろ材からなることが好ましい。
このような構成によれば、第1フィルターが電解液により腐食されることを防止することができる。
本発明の金属空気電池において、前記脱液機構は、複数の前記ろ過部を備え、前記電解液槽および前記脱液機構は、前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物の混合物が複数の前記ろ過部に切り替え可能に流入するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、ろ過部が有する第1フィルター部上に堆積した残渣を回収する際、電解液と析出物の混合物を他のろ過部によりろ過することができ、析出物の除去を続けることができる。
本発明の金属空気電池において、前記セルは、複数であり、複数の前記セルは、直列接続または並列接続することが好ましい。
このような構成によれば、金属空気電池が供給できる電力を大きくすることができる。
本発明の金属空気電池において、複数の前記セルおよび前記脱液機構は、複数の前記セルに含まれる前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物の混合物が1つの前記ろ過部に流入するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、ろ過部の数を減らすことができ、金属空気電池を小型化することができる。
本発明の金属空気電池において、前記脱液機構は、複数の前記ろ過部を備え、複数の前記セルおよび前記脱液機構は、各セルに含まれる前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物との混合物がそれぞれ異なる前記ろ過部に流入するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、セルごとに金属化合物を回収することができる。
本発明の金属空気電池において、複数の前記セルは、各セルに含まれる前記金属電極が1つの前記電解液槽内に設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、電解液を各セルで均一にできるため、各セルの発電特性を均一にすることができる。
本発明の金属空気電池において、前記析出物は、粒子状であり、前記脱液機構は、前記電解液を含む前記析出物を押圧することにより前記金属化合物の脱液物を形成することが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽中の粒子状の金属化合物を脱液物として効率的に除去することができる。
本発明の金属空気電池において、主要面を有する支持体を含む金属ホルダーをさらに備え、前記金属電極は、前記主要面上に固定され、前記金属ホルダーは、前記金属電極および前記支持体を前記電解液槽内に挿入することができるように設けられ、前記金属電極を構成する金属は、前記金属ホルダーを取り替えることにより前記電解液槽中に供給されることが好ましい。
このような構成によれば、金属空気電池に効率的に金属を供給することができ、金属空気電池により安定して発電することができる。
本発明の金属空気電池において、前記脱液機構は、型部材と第1押圧部材とを有する脱液部を含み、前記型部材および第1押圧部材は、前記電解液を含む前記析出物を挟圧することにより前記脱液物を形成するように設けられ、前記電解液槽は、底部に開口を有し、前記電解液槽と前記脱液部は、前記開口を介して連通したことが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽に溜まった金属化合物からなる析出物を電解液槽の底部の開口を介して脱液部に移動させることができ、この電解液を含む析出物を型部材と第1押圧部材により挟圧し、脱液物を形成することができる。このことにより、電解液槽に溜まった金属化合物からなる析出物を脱液物とすることができ、金属化合物からなる析出物を脱液物として金属空気電池から効率的に除去することができる。
本発明の金属空気電池において、前記型部材または第1押圧部材は、第2フィルター部を含むことが好ましい。
このような構成によれば、電解液を含む析出物を挟圧し脱液物を形成するとき、第2フィルター部により金属化合物と分離して電解液を排出することができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、前記開口が最低部となるように傾斜した前記底部を有することが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽に溜まった金属化合物からなる析出物は、底部の開口に集まるように移動することができるため、金属化合物からなる析出物を効率的に電解液槽から排出することができる。
本発明の金属空気電池において、前記金属ホルダーは、前記支持体に1点以上で着脱可能に固定されかつ前記脱液機構を構成する第2押圧部材を有し、第2押圧部材は、前記金属ホルダーを前記電解液槽に挿入するとき、前記電解液槽の底部との間で前記電解液を含む前記析出物を挟圧することにより前記脱液物を形成するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、金属ホルダーを電解液槽に挿入することにより、新たな金属電極を金属空気電池に供給することができ、かつ、電解液を含む析出物から脱液物を形成することができる。また、金属ホルダーが着脱可能に固定された第2押圧部材を有するため、第2押圧部材を利用して、効率的に脱液物の形成および脱液物の排出をすることができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、第2押圧部材が嵌合する底部を有することが好ましい。
このような構成によれば、電解液を含む析出物から効率的に脱液物を形成することができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、第2押圧部材と前記電解液槽の底部との間で前記電解液を含む前記析出物を挟圧するとき前記電解液を排出する開口と前記開口に設けられた第3フィルター部とを有することが好ましい。
このような構成によれば、電解液を含む析出物から脱液物を形成するとき、効率的に電解液を排出することができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、その底部に前記脱液物を排出する排出口を有することが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽の底部を利用して脱液物を形成したとき、この脱液物を効率的に電解液槽から除去することができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、その底部に前記支持体から脱離させた第2押圧部材を有し、前記電解液を含む前記析出物は、新たな前記金属ホルダーを前記電解液槽に挿入するときに前記脱離させた第2押圧部材と新たな前記金属ホルダーに固定された第2押圧部材との間で挟圧され、前記脱液物となることが好ましい。
このような構成によれば、第2押圧部材を利用して、効率的に脱液物の形成および脱液物の排出をすることができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、取替え可能な電解液槽ユニットを有し、前記取替え可能な電解液槽ユニットは、新たな電解液槽ユニットに取り替えることができるように設けられ、前記電解液を含む前記析出物は、前記新たな電解液槽ユニットを前記電解液槽に挿入することにより前記電解液槽の底部と前記新たな電解液槽ユニットとの間で挟圧され、前記脱液物となることが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽ユニットを取り替える際に金属化合物の脱液物を形成することができ、前記脱液物を電解液槽から排出することができる。
本発明の金属空気電池において、前記電解液槽は、前記新たな電解液槽ユニットが嵌合する底部を有することが好ましい。
このような構成によれば、電解液槽の底部と新たな電解液槽ユニットとの間で、電解液を含む析出物を挟圧ことができ、脱液物を形成することができる。
本発明の金属空気電池において、前記金属電極は、金属亜鉛からなり、前記電解液は、アルカリ性水溶液であり、前記金属化合物は、酸化亜鉛または水酸化亜鉛を含むことが好ましい。
このような構成によれば、金属亜鉛が電子を放出し酸化亜鉛または水酸化亜鉛に化学変化することにより、金属空気電池の放電反応を進行させることができる。
本発明の金属空気電池において、第1および第2主要面を有するイオン交換部をさらに備え、前記イオン交換部は、第1主要面が前記電解液に接触し第1主要面に対向する第2主要面が前記空気極と接触するように設けられたことが好ましい。
このような構成によれば、電解液と空気極とをイオン交換部により隔離することができ、電解液に含まれる電解質が空気極に侵入することによる空気極の機能低下を抑制することができる。また、電解液の溶媒が空気極に過剰に供給されることを抑制することができる。
本発明の金属空気電池において、前記イオン交換部は、アニオン交換膜からなり、前記空気極は、カーボン担体と前記カーボン担体に担持された空気極触媒とを有することが好ましい。
このような構成によれば、空気極触媒において、カーボン担体から供給される電子、大気中から供給される酸素ガス、大気中又はアニオン交換膜から供給される水を共存させることができ、これらから水酸化物イオンを形成ことができる。また、形成された水酸化物イオンは、アニオン交換膜を伝導して電解液に移動できる。これらのことにより、金属空気電池の放電反応を進行させることができる。
本発明は、本発明の金属空気電池により形成された脱液物を還元処理することにより前記金属電極を構成する金属を製造し、この金属を前記金属電極として前記電解液槽に供給するエネルギーシステムも提供する。
本発明のエネルギーシステムによれば、金属電極を構成する金属をエネルギー貯蔵・運搬媒体として利用することができる。また、本発明のエネルギーシステムに本発明の金属空気電池を用いることにより、エネルギーシステムを維持するコストを低減することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図面や以下の記述中で示す構成は、例示であって、本発明の範囲は、図面や以下の記述中で示すものに限定されない。
金属空気電池の構成
図1〜4、8〜13、16は本実施形態の金属空気電池の構成を示す概略断面図である。
本実施形態の金属空気電池45は、少なくとも1つのセル4と、少なくとも1つの脱液機構とを備え、セル4は、電解液3を溜める電解液槽1と、電解液槽1中に設けられかつアノードとなる金属電極5と、カソードとなる空気極6とを備え、金属電極5は、前記電解液中における電池反応の進行に伴い金属化合物からなる析出物9に化学変化する金属からなり、脱液機構10は、電解液3を含む析出物9から前記電解液を分離することにより金属化合物の脱液物14を形成することを特徴とする。
以下、本実施形態の金属空気電池45について説明する。
1.金属空気電池
本実施形態の金属空気電池45は、金属電極5を負極(アノード)とし、空気極6を正極(カソード)とする電池である。例えば、亜鉛空気電池、リチウム空気電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池、マグネシウム空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池などである。また、本実施形態の金属空気電池45は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、一次電池がより好ましい。本実施形態の金属空気電池45が一次電池の場合、金属電極5を構成する金属が電解液3中で金属化合物の析出物9に化学変化し、この金属化合物の析出物9を電解液中から除去する必要があるため、本実施形態の金属空気電池45が備える脱液機構10をより効果的に利用することができる。
2.セル
セル4は、金属空気電池45の構成単位であり、アノードとなる金属電極5とカソードとなる空気極6からなる電極対を有する。セル4は、図1〜4、8、13、16に示した金属空気電池45のように、1つの空気極6と1つの金属電極5とが電解液3を挟むように設けられてもよい。また、セル4は、図9〜12に示した金属空気電池45のように2つの空気極6が1つの金属電極5を挟むように設けられてもよい。
また、金属空気電池45は、図1〜4、8、13、16に示した金属空気電池45のように1つのセル4を含む単セル構造であってもよく、図9〜12に示した金属空気電池45のように複数のセル4を有するスタック構造であってもよい。
金属空気電池45がスタック構造を有する場合、複数のセル4は、直列接続してもよく、並列接続してもよい。
3.電解液槽、電解液
電解液槽1は、電解液3を溜める電解槽であり、 電解液に対して耐食性を有する材料からなる。また、電解液槽1は、その中に金属電極5を設置することができる構造を有する。また、金属空気電池45が複数のセル4を有する場合、図9のようにそれぞれのセル4が別々の電解液槽1を有してもよく、図10、11のようにそれぞれのセル4の電解液槽1が流路により連通していてもよく、図12のようにそれぞれのセル4が1つの電解液槽1を共有してもよい。
また、電解液槽1は、溜めた電解液3に含まれるイオンが空気極6に移動できる構造を有する。このことにより電解液槽1に溜める電解液3を介して金属電極5と空気極6との間をイオンが伝導することができる。
また、電解液槽1は、図16に示した金属空気電池45のように、取替え可能な電解液槽ユニット2を有することもできる。この取替え可能な電解液槽ユニット2は、新たな電解液槽ユニット2と取り替えることができるように金属空気電池45に固定される。
また、電解液槽1は、後述する脱液機構10を構成することもできる。
電解液3は、溶媒に電解質が溶解しイオン導電性を有する液体である。電解液3の種類は、金属電極5を構成する金属の種類によって異なるが、水溶媒を用いた電解液(電解質水溶液)であってもよく、有機溶媒を用いた電解液(有機電解液)であってもよい。
例えば、亜鉛空気電池、アルミニウム空気電池、鉄空気電池の場合、電解液には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を用いることができ、マグネシウム空気電池の場合、電解液には塩化ナトリウム水溶液を用いることができる。また、リチウム金属電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池の場合、有機電解液を用いることができる。
また、電解液槽1が固体電解質からなる隔壁を有し、隔壁で仕切られた一方側に電解質水溶液が溜められ、他方側に有機電解液が溜められてもよい。
4.金属電極、金属化合物、金属ホルダー
金属電極5は、電池の放電反応により電子を放出し金属化合物の析出物9(微粒子9、針状の粒子、板状の粒子など)に化学変化する金属からなる。例えば、亜鉛空気電池の場合、金属電極5は金属亜鉛からなり、金属化合物は酸化亜鉛または水酸化亜鉛となる。アルミニウム空気電池の場合、金属電極5は金属アルミニウムからなり、金属化合物は水酸化アルミニウムとなる。鉄空気電池の場合、金属電極5は金属鉄からなり、金属化合物は酸化水酸化鉄または酸化鉄となる。マグネシウム空気電池の場合、金属電極5は金属マグネシウムからなり、金属化合物は水酸化マグネシウムとなる。
また、リチウム金属電池、ナトリウム空気電池、カルシウム空気電池の場合、金属電極5はそれぞれ、金属リチウム、金属ナトリウム、金属カルシウムからなり、金属化合物はこれらの金属の酸化物、水酸化物などとなる。
なお、金属電極5および金属化合物は、これらの例には限定されず、金属空気電池となるものであればよい。また、金属電極5は、上記の例では一種の金属元素からなる金属を挙げたが、金属電極5は合金からなってもよい。
電池の放電反応の進行による金属電極5を構成する金属から金属化合物の析出物9への化学変化は、金属電極5で生じてもよく、金属電極5および電解液3中の両方で生じてもよい。例えば、金属電極5において、金属が電解液3に含まれるイオンと反応し、前記金属を含むイオンが電解液3中に生成し、この金属を含むイオンが分解することにより、金属化合物の析出物9が生成されてもよい。また、金属電極5において、金属が電解液3に含まれるイオンと反応し、金属化合物の析出物9が生成してもよい。また、金属電極5において、金属が金属イオンとして電解液3中に溶解し、この金属イオンが電解液中で反応して金属化合物の析出物9が生成してもよい。
また、電解液を二種類以上用いる場合、金属電極5において、金属が金属イオンとして第1電解液中に溶解し、この金属イオンが第2電解液中に移動し、金属化合物が生成してもよい。なお、二種類以上の電解液は、固体電解質により仕切ることができる。
金属電極5は、金属ホルダー15の支持体16の主要面上に固定することできる。支持体16は、金属電極5を固定することができれば、形状は限定されないが、例えば、板状、筒状、球状などとすることができる。また、この支持体16は、例えば、電解液に対して耐食性を有する金属板により形成することができる。このことにより、支持体16を介して金属電極5から集電することができ、金属電極5と外部回路とを接続することができる。支持体16の主要面上への金属電極5の固定は、例えば、金属の粒子や塊を支持体16の表面に押し付けて固定してもよく、支持体16上にめっき法などにより金属を析出させてもよい。
金属ホルダー15は、金属電極5および支持体16を電解液槽1内に挿入することができるように設けられる。このことにより、金属電極5を電解液槽1内に配置することができる。また、放電反応により金属電極5を構成する金属が金属化合物に化学変化し消費され、金属電極5の量が減少した場合、電解液槽1内の金属ホルダー15を、金属電極5が固定された新たな金属ホルダー15に取り替えることにより、電解液槽1中の金属電極5の量を維持することができる。このことにより、金属空気電池45による電力を安定して外部回路に出力することができる。
金属ホルダー15は、電解液槽1に固定するための蓋部材17を有することもできる。例えば、図1、13に示した金属空気電池45に含まれる金属ホルダー15のように蓋部材17を有することができる。このような蓋部材17を有することにより、金属ホルダー15の金属空気電池45への設置が容易になり、また、金属ホルダー15の金属空気電池45からの取り外しも容易になる。また、蓋部材17は、電解液槽1の金属ホルダー15を挿入する開口を密閉する蓋となる部材であってもよい。このことにより、大気中の成分と電解液3とが反応することを抑制することができる。例えば、電解液にアルカリ性電解液を用いた場合、大気中の二酸化炭素ガスが電解液に溶け込み、アルカリ性電解液を中和することを抑制することができる。
また、蓋部材17に金属電極5と外部回路とを接続するための端子を有することもできる。この端子を外部回路と接続することにより、金属空気電池45の電力を出力することが可能になる。
金属ホルダー15は、後述する脱液機構10を構成する第2押圧部材48を備えてもよい。図14は、第2押圧部材48を備え、金属電極5が支持体16の主要面上に固定された金属ホルダー15の概略側面図および概略側面図である。第2押圧部材48は、支持体16に着脱可能に固定されている。
5.空気極、イオン交換部
空気極6は、大気中の酸素ガスと水と電子から水酸化物イオン(OH-)を生成する電極である。空気極6は、例えば、導電性の多孔性担体と多孔性担体に担持された空気極触媒からなる。このことにより、空気極触媒上において、酸素ガスと水と電子を共存させることが可能になり、電極反応を進行させることが可能になる。電極反応に使われる水は、大気中から供給されてもよく、電解液から供給されてもよい。
1つのセル4に含まれる空気極6は、図1〜4、8、13、16のように金属電極5の一方側にのみ設けられてもよく、図9〜12のように金属電極6の両側にそれぞれ設けられてもよい。
多孔性担体には、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭等の導電性カーボン粒子が挙げられる。また、気相法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー等の炭素繊維を用いることもできる。
空気極触媒には、たとえば、白金、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、これらの金属化合物、およびこれらの金属の2種以上を含む合金からなる微粒子が挙げられる。この合金は、白金、鉄、コバルト、ニッケルのうち少なくとも2種以上を含有する合金が好ましく、たとえば、白金−鉄合金、白金−コバルト合金、鉄−コバルト合金、コバルト−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金等、鉄−コバルト−ニッケル合金が挙げられる。
また、空気極6に含まれる多孔性担体は、その表面に陽イオン基が固定イオンとして存在するように表面処理がなされていてもよい。このことにより、多孔性担体の表面を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
また、空気極6は、多孔性担体に担持されたアニオン交換樹脂を有してもよい。このことにより、アニオン交換樹脂を水酸化物イオンが伝導できるため、空気極触媒上で生成した水酸化物イオンが移動しやすくなる。
空気極6は、大気に直接接するように設けてもよく、空気流路26に接して設けてもよい。このことにより、空気極6に酸素ガスを供給することができる。また、空気流路26を設ける場合、空気流路26に加湿された空気を流すことにより、空気極6に酸素ガスと共に水も供給できる。空気流路26は、例えば、図1〜3、13に示した金属空気電池45に含まれる集電部材25に設けることができる。このことにより、空気流路26を形成することができると共に集電部材25を介して空気極6と外部回路とを接続することができ、金属空気電池45の電力を外部回路に出力することができる。
また、空気流路26は、図9〜12に示した金属空気電池45のように流路部材27に設けることができる。流路部材27は、各セル4の電気的接続方法に応じて導電性材料または絶縁性材料から構成される。
空気極6は電解液槽1に溜める電解液3に接触するように設けてもよい。このことにより、空気極6で生成した水酸化物イオンが容易に電解液3へ移動することができる。また、空気極6における電極反応に必要な水が電解液3から空気極6に供給されやすくなる。
また、空気極6は、電解液槽1に溜める電解液3と接触するイオン交換部8と接触するように設けてもよい。イオン交換部8は、アニオン交換膜であってもよい。このことにより、空気極6で発生した水酸化物イオンがアニオン交換膜を伝導し、電解液へ移動することができる。
イオン交換部8を設けることにより、空気極6と電解液3との間を移動するイオン種を限定することができる。イオン交換部8がアニオン交換膜である場合、アニオン交換膜は、固定イオンである陽イオン基を有するため、電解液中の陽イオンは空気極6に伝導することはできない。これに対し、空気極6で生成した水酸化物イオンは陰イオンであるため、電解液へと伝導することができる。このことにより、金属空気電池45の電池反応が進行させることができ、かつ、電解液3中の陽イオンが空気極6に移動するのを防止することができる。このことにより、空気極6における金属や炭酸化合物の析出を抑制することができる。
また、イオン交換部8を設けることにより、電解液に含まれる水が空気極に過剰に供給されることを抑制することができる。
イオン交換部8としては、たとえば、パーフルオロスルホン酸系、パーフルオロカルボン酸系、スチレンビニルベンゼン系、第4級アンモニウム系の固体高分子電解質膜(アニオン交換膜)が挙げられる。
空気極6をイオン交換部8に接触するように設ける場合、例えば、図1〜3、13のように、空気極6をイオン交換部8の上に形成し、これを電解液槽1と集電部材25とで挟むように設けることができる。
6.脱液機構、電解液循環機構
脱液機構10は、電池の放電反応の進行に伴い金属電極5を構成する金属が化学変化した金属化合物の析出物9から電解液を分離排出し金属化合物の脱液物14を形成する。電解液を含む金属化合物の析出物9から電解液を分離排出する方法は、特に限定されないが、例えば、電解液を含む析出物9を押圧する方法、電解液を含む析出物9をフィルタリングする方法、電解液を含む析出物9を減圧する方法、電解液を含む析出物9を加熱する方法などが挙げられる。特に、電解液を含む析出物9を押圧する方法が好ましい。このことにより、電解液を含む析出物9から容易に電解液を分離排出することができ、脱液物14を形成することができる。
金属空気電池45が脱液機構10を備えることにより、電解液中の金属化合物の析出物9を脱液物14として効率的に除去することができる。ここでは、金属化合物の微粒子9から脱液物14を形成する場合について説明するが、金属化合物からなる析出物9の形態は限定されず、板状の粒子、針状の粒子などであってもよい。
脱液物14とは、含んでいた電解液が除去されて固形化した金属化合物をいう。
脱液機構10の形態は、特に限定されないが、電解液槽1の外部において金属化合物の微粒子9を脱液し脱液物14を形成する機構であってもよく、電解液槽1において金属化合物の微粒子9を脱液し脱液物14を形成する機構であってもよい。また、脱液機構10の形態は、電解液槽1が取替え可能な電解液槽ユニット2を有する場合に、新たな電解液槽ユニット2を電解液槽1に挿入することにより脱液物14を形成する機構であってもよい。
まず、電解液槽1の外部において金属化合物の微粒子9を脱液し脱液物14を形成する機構について説明する。この場合、金属空気電池45は、例えば、図1〜3に示したように型部材11と第1押圧部材12を有する脱液部13を備えることができる。
型部材11と第1押圧部材12は、電解液を含む金属化合物の微粒子9を挟圧することにより脱液物14を形成するように設けることができる。例えば、図1〜3のように第1押圧部材12を型部材11の開口に嵌合するように設けることができる。このことにより、型部材11と第1押圧部材12の間に電解液を含む金属化合物の微粒子9を導入し、型部材11と第1押圧部材12とで金属化合物の微粒子9を挟圧し、電解液を排出し、金属化合物の脱液物14を形成することができる。
ここで、型部材11と第1押圧部材12との間には遊び(型部材11と第1押圧部材12とが密着せず、その間にある程度動きうる隙間)を有してもよい。
また、型部材11または第1押圧部材12にフィルター部21を設けることができる。このことにより、型部材11と第1押圧部材12とで金属化合物の微粒子9を挟圧するとき、フィルター部21において、金属化合物の微粒子9と分離して電解液を排出することができる。
フィルター部21は、例えば、図1のように第1押圧部材12に設けられてもよい。この場合、第1押圧部材12をフィルターとなる材料により形成してもよく、第1押圧部材12を多孔性材料で形成し、第1押圧部材12の金属化合物の微粒子9と接する面にフィルター膜を有してもよく、第1押圧部材12に開口を設けこの開口内にフィルター部21を設けてもよい。
フィルター部21は、例えば、図2、3のように型部材11に設けることもできる。この場合、型部材11(の一部)をフィルターとなる材料により形成してもよく、型部材11(の一部)を多孔性材料で形成し、型部材11の金属化合物の微粒子9と接する面にフィルター膜を有してもよく、型部材11に開口を設けこの開口内にフィルター部21を設けてもよい。また、型部材11の材料に多孔性材料を用いてもよい。このことにより、脱液効果を高くすることができる。例えば、型部材11の材料に石膏を用いることができる。
また、電解液槽1は底部20に開口を有し、電解液槽1と脱液部13は開口を介して導通してもよい。このことにより、電解液槽1内の金属化合物の微粒子9を電解液と共に脱液部13に移動させることできる。図1、2のように電解液槽1中の金属化合物の微粒子9が型部材11と第1押圧部材12との間に流入できるように、電解液槽1と脱液部13が導通してもよく、図3のように電解液槽1中の金属化合物の微粒子9が電解液と共に型部材11に流入できるように、電解液槽1と脱液部13が導通してもよい。
電解液槽1と脱液部13とを結ぶ導通路にバルブ35を備えることができる。このことにより、電解液槽1から電解液の漏れることを防止することができる。また、金属化合物の微粒子9を挟圧し脱液物14を形成するとき、金属化合物の微粒子9や電解液が電解液槽1に逆流することを防止することができる。
電解液槽1は、脱液部13と導通する開口が最低部となるように傾斜した底部20を有することができる。このことにより、電解液槽1の底に溜まった金属化合物の微粒子9は、最低部となる開口に集まることができ、電解液槽1内の金属化合物の微粒子9を効率的に脱液部13に移動させることができる。電解液槽1の底部20は、例えば、図1〜3に示した金属空気電池45に含まれる電解液槽1のように底部20に開口を有し、底部20が最低部となるように傾斜した構造を有することができる。
次に、電解液槽1の外部においてフィルタリングにより金属化合物の析出物9を脱液し脱液物14を形成する機構について説明する。この場合、金属空気電池45は、例えば、図4、8〜12に示したようにフィルター部7を有するろ過部60を有することができる。
また、金属空気電池45は、図4、10、12のように1つのろ過部60を有してもよく、図8、9、11のように複数のろ過部60を有してもよい。また、金属空気電池45は、図4のように、1つのセル4に対し1つのろ過部60を有してもよく、図8のように、1つのセル4に対し複数のろ過部60を有してもよく、図10のように複数のセル4に対し1つのろ過部60を有してもよい。
また、金属空気電池45は、図4、8〜12に示したようにポンプ41により、電解液槽1内とろ過部60とを電解液が循環するように設けることができる。なお、電解液は、連続的に循環させてもよく、インターバルをおいて循環させてもよい。
ここでは、図4、5を用いて金属化合物の脱液物14の形成する方法を説明する。
図4に示した金属空気電池45は電解液循環機構を有し、電解液循環機構は、電解液槽1内の電解液がろ過部60に流入し、ろ過部60に流入した電解液はフィルター部7によりろ過され、フィルター部7を通過したろ液はポンプ41により電解液槽1内へと揚液されるように設けられている。
金属空気電池45が有するセル4において電池反応が進行すると、電解液槽1内の電解液3中に金属化合物の析出物9が析出する。析出物9は、電解液が循環する流れにより電解液と共にろ過部60に流入する。ろ過部60に流入した電解液3および析出物9は、フィルター部7によりろ過され、析出物9は残渣としてフィルター部7上に堆積し、電解液は、フィルター部7を通過する。フィルター部7を通過した電解液は、ポンプ41により揚液され再び電解液槽1内へと戻る。このような電解液の循環を続けることにより、金属化合物の析出物9は、フィルター部7上に堆積していく。
フィルター部7上に堆積した析出物9の量が所定の量を超えると、まず、バルブ35aを閉じ、リークバルブ35bを開ける。このことにより、電解液槽1内の電解液がろ過部60に流入しなくなり、リークバルブ35bから空気がろ過部60に流入する。この状態でポンプ41により揚水を続けると、ろ過部60内の電解液3が排出され、フィルター部7上に堆積した析出物9から電解液3を分離することができ金属化合物の脱液物14を形成することができる。また、ポンプ41による排水だけでは析出物9から十分に電解液を分離することができない場合には、バルブ35dを閉じ、バルブ35cを開け、吸引器67によりろ過部60内の空気を吸引することができる。このことにより、十分に電解液が除去された金属化合物の脱液物14を形成することができる。
形成された金属化合物の脱液物14は、図5のようにろ過部60を分解することにより回収することができる。例えば、止め金具65を第1容器61aおよび第2容器61bから取り外し、第1容器61aと第2容器61bとを分離する。その後、フィルター部7と共に金属化合物の脱液物14を第2容器61bから分離することにより、金属化合物の脱液物14をフィルター部7に担持したまま回収することができる。なお、フィルター部7は、第2容器に着脱可能に設けられている。
脱液物14を回収した後、新たなフィルター部7または脱液物14と分離したフィルター部7を第2容器61bに装着させ、ろ過部60を組み立てる。その後、電解液槽1内の電解液3、ろ過部60内の電解液3をポンプ41により循環させることにより、金属化合物の析出物9をフィルター部7上に堆積させることができる。
フィルター部7は、析出物9と電解液3の混合物をろ過し、析出物9を残渣としてフィルター部上に堆積させ、電解液3をろ液として通過させることができるものが用いられる。また、フィルター部7は複数重なった構造を有してもよい。このような構造を有すると、金属化合物の析出物9の回収漏れを抑制し、より効率よく金属化合物を回収することをできる。
フィルター部7に使用する材質(ろ材)としては、電解液に対する耐薬品性があり、金属化合物の析出物9をフィルタリングすることができれば特に限定しないが、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、メチルペンテン、塩素化ポリエーテル、セラミック、ガラスが挙げられる。
ろ過部60におけるフィルター部7の取り付け位置、固定法は特に限定しないが、図5に示すように、フィルター部7が第1容器61aと第2容器61bに挟まれる構造をとることで、これらを分離してフィルター部7と金属化合物の脱液物14を外部に取り出すことができる。
また、ろ過部60は、図6、7に示すように、フィルター部7を設置したフィルター取り付け部材62を、ろ過部60の容器61に着脱可能に設けた構造を有することができる。このことにより、容器61にフィルター取り付け部材62を装着させた状態で、電解液3と金属化合物の析出物9との混合物をろ過し金属化合物の脱液物14を形成し、容器61からフィルター取り付け部材62を取り外すことにより金属化合物の脱液物14を回収することができる。また、脱液物14を回収した後、再びフィルター取り付け部材62を容器61に取り付けろ過部60によるろ過を行うことができる。このような方法によると金属化合物の析出物9を回収する時間を短縮し、回収に必要なスペースを小さくすることができる。
例えば、図6に示したろ過部60では、図6(a)(c)のように容器61が開口を有しており、この開口にフィルター取り付け部材62が挿入することができるように設けられている。また、フィルター取り付け部材62は、容器61の開口61から抜き出すことができるように設けられている。
なお、ろ過部60がこのような構造を有する場合、シール部を設けることにより電解液3の漏れを抑制することができる。
例えば、図7に示したろ過部60では、管状の容器61の側壁に容器61を貫通する開口が設けられている。この開口にフィルター部7が取り付けられたフィルター取り付け部62が挿入することができるように設けられている。図7(a)のように容器61にフィルター取り付け部62aが取り付けられた状態において電解液3と析出物9との混合物のろ過を行い金属化合物の脱液物14を形成する。その後、図7(b)のように、新たなフィルター取り付け部62bにより容器61に取り付けられたフィルター取り付け部62aの一方の端を押圧し、図7(c)のようにフィルター取り付け部62aをフィルター取り付け部62bに取り替える。このことにより、フィルター取り付け部62aのフィルター部7上に形成した金属化合物の脱液物14を回収することができる。
また、ろ過部60から取り外したフィルター部7は、金属化合物の脱液物14を回収した後、交換用フィルター部7として再度使用することもできる。
また、脱液機構10は、フィルター部7上に残渣として金属化合物の析出物9が多量に堆積し所定の量を超え、フィルタリング能力が低下した際に金属化合物の脱液物14を回収する時期を検出する検出部69を備えることができる。この場合、回収時期を決定する指標としては例えば図4、8〜12に示すようにフィルタリング後の電解液流路に圧力計68(検出部69)を備え、金属空気電池45による放電中およびフィルタリング中に電解液の圧力を検知し、フィルター部7に金属化合物が多量に堆積することで電解液流路を流れる電解液の圧力が低下し、一定値を下回った際に金属化合物の回収のサインを示すことができるようにする。
その他の金属化合物の脱液物14を回収する時期の指標としては、例えば、電解液流路に流量計(検出部69)を備え、電解液の流量の減少を検知した際に回収表示するようにすることもできる。その他には、検出部69により金属空気電池45による放電時間を測定し回収表示をすることもできる。この場合、放電電流量によって金属化合物の生成量が決定されるので、電流量ごとの放電時間によって回収サインを表示できる。ほかにもフィルター部7上に堆積した金属化合物の析出物の厚みを検知するセンサー(検出部69)を備えて、フィルター部7上に堆積した金属化合物の析出物がある一定の厚みを上回ったら回収サインを表示するようにすることもできる。
また、1つのセル4に対し複数のろ過部60を設ける場合、セル4の電解液槽1内の電解液3と金属化合物の析出物9との混合物をそれぞれのろ過部60でろ過できるように電解液流路を設けることができる。このことにより、金属化合物の脱液物14を金属空気電池45による放電および電解液3の循環を停止することなく回収することが可能となる。
例えば、金属空気電池45が図8のように、ろ過部60a、60bを有する場合、バルブ35aを開けバルブ35eを閉じることにより、電解液槽1内の電解液3と金属化合物の析出物9との混合物をろ過部60aによりろ過することができる。ろ過部60aのフィルター部7a上に多量の金属化合物の析出物9が堆積し金属化合物の脱液物14の回収時期がきた場合には、バルブ35aを閉じバルブ35eを開けることにより電解液槽1内の電解液3と金属化合物の析出物9との混合物をろ過部60bによりろ過する。この間にろ過部60aにおいて金属化合物の脱液物14を形成し、脱液物14を回収する。
なお、金属化合物の脱液物14の回収時期は、検出部69による回収サインにより知ることができる。
電解液3の流路の切り替えは図8中に示すような分岐を有する流路に設けられたバルブ35a、35bの手動による切り替えまたは、電子制御による自動切り替えをすることで行うことができる。自動切り替えの場合は例えばトランジスタスイッチング回路などを使用して、検出部69による回収サインと連動させて、金属化合物の脱液物14の回収時期になったら、自動で流路およびろ過部60を切り替えるようにすることができる。
金属空気電池45が図9〜図12のように複数のセル4を有する場合のろ過部60による脱液機構について説明する。
この場合、各セル4に対して異なるろ過部60を設けることができる。例えば、図9に示した金属空気電池45では、3つのセル4a、4b、4cを有し、セル4aで析出した金属化合物を回収するろ過部60a、セル4bで析出した金属化合物を回収するろ過部60b、セル4cで析出した金属化合物を回収するろ過部60cを有している。このような構成とすると、例えば、セル4への金属電極5の供給と、そのセル4に対応するろ過部60からの脱液物14の回収を同じ時期にすることができる。
なお、複数のろ過部60を設ける場合、それぞれのろ過部60に対して検出部69を設けることができる。
また、複数のセル4に対して1つのろ過部60を設けることができる。例えば、図10に示した金属空気電池45では、3つのセル4a、4b、4cを有し、この3つのセル4で析出した金属化合物をまとめてろ過部60で回収することができるように設けられている。このように設けることにより、ろ過部60の数を減らすことができ、金属空気電池45を小型化することができる。
また、複数のセル4に対して複数のろ過部60を設け、電解液3と析出物9の混合物をろ過するろ過部60を切り替えることができるように脱液機構を設けることができる。例えば、図11に示した金属空気電池45では、3つのセル4a、4b、4cを有し、3セル4aと繋がったろ過部60a、セル4bと繋がったろ過部60b、セル4c繋がったろ過部60cを有している。そして、セル4aとろ過部60aとを繋ぐ流路と、セル4bとろ過部60bとを繋ぐ流路と、セル4cとろ過部60cとを繋ぐ流路とが繋がっている。
このような構造によると、複数のろ過部60の中から金属化合物を回収するものを一部選択し、選択したろ過部60のフィルタリング能力が低下したら、バルブ35a、35b、35cの操作により流路を他のろ過部60へ電解液が流れるように切り替え、電解液が流入しなくなったろ過部60から金属化合物を回収することにより、発電を停止することなく継続的に金属化合物を回収することが可能となる。
金属空気電池45が複数のセル4を有する場合、複数のセル4が有する電解液槽1は共通のものであってもよい。例えば、図12に示した金属空気電池45では、3つのセル4a、4b、4cの電解液槽1が共通となっている。
このような構造によれば、電解液を各セル4で均一にできるため、各セル4の発電特性を均一にすることができる。また、システム全体を小型化することも可能となる。
次に、電解液槽1において金属化合物の微粒子9を脱液し脱液物14を形成する機構について説明する。この場合、金属空気電池45は、金属ホルダー15に着脱可能に固定された第2押圧部材48を有することができる。第2押圧部材48は、金属ホルダー15を電解液槽1に挿入するとき、第2押圧部材48と電解液槽1の底部20との間で金属化合物の微粒子9を挟圧することにより、脱液物14を形成することができるように設けられる。第2押圧部材48の金属ホルダー15への固定方法は、特に限定されないが、例えば、第2押圧部材48を金属ホルダー15に含まれる支持体16に1点以上で着脱可能に固定することができる。
例えば、金属ホルダー15に含まれる支持体16が方形状の場合、第2押圧部材48は、支持体16の1つの辺に着脱可能に固定されるように設けることができる。この場合、金属ホルダー15は、例えば図14(a)(b)のような構造を有することができる。なお、支持体16が方形状の場合とは、支持体16が正方形や長方形である場合に限定されず、正方形や長方形の角が丸くなった形状や、正方形や長方形の一辺にくぼみやステップを有する形状なども含む。
電解液槽1は、第2押圧部材48が嵌合する底部20を有することができる。電解液槽1の底部20に第2押圧部材48が嵌合することにより、電解液槽1の底部20と第2押圧部材48との間で金属化合物の微粒子9を挟圧することができ、脱液物14を形成することができる。ここで、電解液槽1の底部20と第2押圧部材48との間には遊び(底部20と第2押圧部材48とが密着せず、その間にある程度動きうる隙間)を有してもよい。
また、電解液槽1は、第2押圧部材48と電解液槽1の底部20との間で金属化合物の微粒子9を挟圧するとき電解液を排出する開口とこの開口に設けられたフィルター部50を有することができる。このことにより、脱液物14を形成するときに、フィルター部50により金属化合物に微粒子9と電解液を分離して電解液を排出することができる。フィルター部50は、例えば、図13のように電解液槽1の底部付近に設けることができる。
電解液槽1は、その底部に金属化合物の脱液物14を排出する排出口を有することができる。この排出口を介して電解液槽1内から金属化合物の脱液物14を排出することができる。排出口の形態は、脱液物14を排出できれば特に限定されないが、例えば、図13のように電解液槽1が底に開閉式の排出用扉部52を有し、排出用扉部52を開けることにより、排出口が脱液物14を排出できるように設けられてもよい。また、この場合、電解液の漏れを防止するためにシール部材55を設けることもできる。
図13に示した金属空気電池45が有する脱液機構10について説明する。図15(a)〜(d)は、金属空気電池45が有する脱液機構10の説明図である。図15(a)は、図13に示した金属空気電池45により電力を出力し、金属電極5を構成する金属が消費されたときの概略断面図である。このとき、金属ホルダー15に固定された金属電極5の量は減少しており、金属化合物の微粒子9が電解液槽1の底に溜まっている。この後、金属が消費された金属電極5を有する金属ホルダー15の支持体16を第2押圧部材48から離脱させ、第2押圧部材48を電解液槽1の底に残したまま金属ホルダー15を電解液槽1から抜脱させる。また、バルブ35を開け、フィルター部50により、金属化合物の微粒子9を電解液槽1の底に残したまま、電解液を電解液槽1から排出することができる。このときの金属空気電池45の断面図が図15(b)である。このとき、電解液槽1の底には、第2押圧部材48があり、その上に電解液を含んでいる金属化合物の微粒子9が溜まっている。
この後、新たな金属電極5が支持体16の主要面上に固定され、第2押圧部材48が支持体16の一辺に固定された金属ホルダー15を電解液槽1内に挿入する。このとき、第2押圧部材48は、電解液槽1の底部に嵌合し、電解液槽1の底の第2押圧部材48と金属ホルダー15に固定された第2押圧部材48とで電解液槽1の底に溜まった金属化合物の微粒子9を挟み込むことになる。金属ホルダー15をさらに押し込むことにより、金属化合物の微粒子9は2つの第2押圧部材48に挟圧され、金属化合物の微粒子9が含んでいた電解液が、フィルター部50を介して電解液槽1外へ排出される。電解液が排出された金属化合物の微粒子9は、成型され脱液物14となる。このときの金属空気電池45の断面図が図15(c)である。
この後、排出用扉部52を開け、排出口から第2押圧部材48とともに金属化合物の脱液物14を排出する。このときの金属空気電池45の断面図が図15(d)である。このことにより、電解液槽1に溜まった金属化合物の微粒子9を脱液物14として、電解液槽1から除去することができ、かつ、金属空気電池45に新たな金属電極5を供給することができる。
その後、排出用扉部52を閉め、電解液槽1に電解液を供給し、再び金属空気電池45により電力を出力することができる。
次に、電解液槽1が取替え可能な電解液槽ユニット2を有する場合に、新たな電解液槽ユニット2を電解液槽1に挿入することにより脱液物14を形成する機構について説明する。この場合、電解液槽1は、取替え可能な電解液槽ユニット2を有し、取替え可能な電解液槽ユニット2は、新たな電解液槽ユニット2に取り替えることができるように設けられ、前記電解液を含む前記金属化合物の微粒子9は、新たな電解液槽ユニット2を電解液槽1に挿入することにより電解液槽1の底部と新たな電解液槽ユニット2との間で挟圧され、脱液物14となる。
電解液槽ユニット2は、例えば、図16に示すように電解液槽1の底部と側壁部となる部分を有する部材とすることができる。また、電解液槽ユニット2は、電解液槽1の底となる面と電解液槽ユニット2の下面とが同じ形状になるように設けることができる。このことにより、同じ形状の2つの電解液槽ユニット2を重ねた場合、下に位置する電解液槽ユニット2に上に位置する電解液槽ユニット2を嵌合させることができる。このことにより、2つの電解液槽ユニット2を重ね合わせることにより、その間の金属化合物の微粒子9を挟圧することができ、脱液物14を形成することができる。また、この場合も上述したフィルター部50、シール部材55を設けることができる。
図16に示した金属空気電池45が有する脱液機構10について説明する。図17(a)〜(d)は、金属空気電池45が有する脱液機構10の説明図である。図17(a)は、図16に示した金属空気電池45により電力を出力し、金属電極5を構成する金属が消費されたときの概略断面図である。このとき、金属ホルダー15に固定された金属電極5の量は減少しており、金属化合物の微粒子9が電解液槽1の底に溜まっている。この後、金属が消費された金属電極5を有する金属ホルダー15を電解液槽1から抜脱させる。また、バルブ35を開け、フィルター部50により、金属化合物の微粒子9を電解液槽1の底に残したまま、電解液を電解液槽1から排出することができる。このときの金属空気電池45の断面図が図17(b)である。このとき、電解液槽1に含まれる電解液槽ユニット2の底部上に電解液を含んでいる金属化合物の微粒子9が溜まっている。
この後、新たな金属電極5が支持体16の主要面上に固定された金属ホルダー15および新たな電解液槽ユニット2を電解液槽1内に挿入する。このとき、新たな電解液槽ユニット2は、電解液槽1の底部に嵌合し、電解液槽1の底部と新たな電解液槽ユニット2とで電解液槽1の底に溜まった金属化合物の微粒子9を挟み込むことになる。新たな電解液槽ユニット2および金属ホルダー15をさらに押し込むことにより、金属化合物の微粒子9は挟圧され、金属化合物の微粒子9が含んでいた電解液が、フィルター部50を介して電解液槽1外へ排出される。電解液が排出された金属化合物の微粒子9は、成型され脱液物14となる。このときの金属空気電池45の断面図が図17(c)である。
この後、金属空気電池45に固定されていた電解液槽ユニット2を取外し、電解液槽1内に挿入した新たな電解液槽ユニット2を金属空気電池45に取り付ける。このときの金属空気電池45の断面図が図17(d)である。このことにより、電解液槽1に溜まった金属化合物の微粒子9を脱液物14として、取り外した電解液槽ユニット2と共に電解液槽1から除去することができる。
その後、電解液槽1に電解液を供給し、再び金属空気電池45により電力を出力することができる。
金属空気電池45は、電解液循環機構を有することができる。電解液循環機構は、電解液槽1から排出した電解液を再び電解液槽1に供給する機構である。例えば、図1、13、16のように、電解液槽1から排出された電解液を溜める電解液タンク40を備え、電解液タンク40に溜めた電解液をポンプにより電解液槽1に供給する機構である。
7.エネルギーシステム
本実施形態の金属空気電池45は、金属電極5を構成する金属をエネルギー貯蔵・運搬媒体とするエネルギーシステムを構成することができる。エネルギーシステムは、本実施形態の金属空気電池45により形成された脱液物14を還元処理することにより金属電極5を構成する金属を製造し、この金属を金属電極5として電解液槽1に供給するシステムである。
たとえば、金属空気電池45を都市部に設け、金属化合物の還元装置を大規模太陽電池発電所などに設けることができる。都市部において、金属空気電池45により発電し電気エネルギーを供給する。この際、金属電極5が消費されることにより生じる金属化合物を本実施形態の金属空気電池45が備える脱液機構10により脱液物14として回収する。回収した脱液物14を大規模太陽電池発電所に設けた還元装置に運搬し、太陽電池発電所の電力により金属化合物を還元処理し、金属を製造する。この製造した金属を都市部に運搬し、金属空気電池45に金属電極5として供給し、金属空気電池45により発電する。
このようなエネルギーシステムにより、太陽電池発電所などにおいて電力を金属として貯蔵し、この金属を利用して電力需要の大きい都市部などで発電することができる。また、このようなエネルギーシステムに本実施形態の金属空気電池45を用いることにより、金属空気電池45から効率よく金属化合物を回収することができ、エネルギーシステムを維持するためのコストを低減することができる。
1: 電解液槽 2:交換可能ユニット 3:電解液 4、4a、4b、4c:セル 5、5a、5b、5c:金属電極 6、6a、6b、6c、6d、6e、6f:空気極 7、7a、7b、7c:フィルター部 8、8a、8b、8c、8d、8e、8f:イオン交換部 9:金属化合物の微粒子(金属化合物からなる析出物) 10:脱液機構 11:型部材 12:第1押圧部材 13:脱液部 14:金属化合物の脱液物 15:金属ホルダー 16:支持体 17:蓋部材 20:底部 21:フィルター部 25:集電部材 26:空気流路 27:流路部材 28:スペーサー 31:ボルト 32:ナット 35:バルブ 36:電解液回収容器 38:配管 40:電解液タンク 41:ポンプ 42:電解液供給口 45:金属空気電池 48:第2押圧部材 50:フィルター部 52:排出用扉部 54:係止部 55:シール部材 57:排出口 58:金属電極供給口 60、60a、60b、60c:ろ過部 61:容器 61a、61c、61e:第1容器 61b、61d、61f:第2容器 62、62a、62b:フィルター取り付け部材 63:多孔質部材 65:止め金具 67、67a、67b、67c:吸引器 68、68a、68b、68c:圧力計 69:検出部
101:亜鉛電極 103:アルカリ性電解液 105:空気極 106:アニオン交換膜

Claims (28)

  1. 少なくとも1つのセルと、脱液機構とを備え、
    前記セルは、電解液を溜める電解液槽と、前記電解液槽中に設けられかつアノードとなる金属電極と、カソードとなる空気極とを備え、
    前記金属電極は、前記電解液中における電池反応の進行に伴い金属化合物からなる析出物に化学変化する金属からなり、
    前記脱液機構は、前記電解液を含む前記析出物から前記電解液を分離することにより前記金属化合物の脱液物を形成することを特徴とする金属空気電池。
  2. 前記脱液機構は、前記電解液と前記析出物の混合物をろ過し残渣とろ液とに分離する第1フィルター部を有するろ過部を備える請求項1に記載の金属空気電池。
  3. 前記金属化合物の脱液物は、前記残渣である又は前記残渣から形成される請求項2に記載の金属空気電池。
  4. 第1フィルター部は、前記ろ過部に着脱可能に設けられ、
    前記ろ過部は、前記残渣と共に第1フィルターを前記ろ過部から取り外し前記金属化合物の脱液物を回収できるように設けられた請求項3に記載の金属空気電池。
  5. 前記脱液機構は、前記残渣の量が所定の量を超えたことを検出する検出部を有する請求項4に記載の金属空気電池。
  6. 前記電解液槽および前記脱液機構は、前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物の混合物が前記ろ過部に流入し第1フィルターによりろ過されるように設けられ、かつ、第1フィルターを通過した前記ろ液が前記電解液槽に流入するように設けられた請求項4または5に記載の金属空気電池。
  7. 第1フィルター部は、前記電解液に対する耐薬品性を有するろ材からなる請求項2〜6のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  8. 前記脱液機構は、複数の前記ろ過部を備え、
    前記電解液槽および前記脱液機構は、前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物の混合物が複数の前記ろ過部に切り替え可能に流入するように設けられた請求項2〜7のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  9. 前記セルは、複数であり、
    複数の前記セルは、直列接続または並列接続する請求項2〜7のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  10. 複数の前記セルおよび前記脱液機構は、複数の前記セルに含まれる前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物の混合物が1つの前記ろ過部に流入するように設けられた請求項9に記載の金属空気電池。
  11. 前記脱液機構は、複数の前記ろ過部を備え、
    複数の前記セルおよび前記脱液機構は、各セルに含まれる前記電解液槽内の前記電解液と前記析出物との混合物がそれぞれ異なる前記ろ過部に流入するように設けられた請求項9に記載の金属空気電池。
  12. 複数の前記セルは、各セルに含まれる前記金属電極が1つの前記電解液槽内に設けられた請求項9または10に記載の金属空気電池。
  13. 前記析出物は、粒子状であり、
    前記脱液機構は、前記電解液を含む前記析出物を押圧することにより前記金属化合物の脱液物を形成する請求項1に記載の金属空気電池。
  14. 主要面を有する支持体を含む金属ホルダーをさらに備え、
    前記金属電極は、前記主要面上に固定され、
    前記金属ホルダーは、前記金属電極および前記支持体を前記電解液槽内に挿入することができるように設けられ、
    前記金属電極を構成する金属は、前記金属ホルダーを取り替えることにより前記電解液槽中に供給される請求項13に記載の金属空気電池。
  15. 前記脱液機構は、型部材と第1押圧部材とを有する脱液部を含み、
    前記型部材および第1押圧部材は、前記電解液を含む前記析出物を挟圧することにより前記脱液物を形成するように設けられ、
    前記電解液槽は、底部に開口を有し、
    前記電解液槽と前記脱液部は、前記開口を介して連通した請求項13または14に記載の金属空気電池。
  16. 前記型部材または第1押圧部材は、第2フィルター部を含む請求項15に記載の金属空気電池。
  17. 前記電解液槽は、前記開口が最低部となるように傾斜した前記底部を有する請求項15または16に記載の金属空気電池。
  18. 前記金属ホルダーは、前記支持体に1点以上で着脱可能に固定されかつ前記脱液機構を構成する第2押圧部材を有し、
    第2押圧部材は、前記金属ホルダーを前記電解液槽に挿入するとき、前記電解液槽の底部との間で前記電解液を含む前記析出物を挟圧することにより前記脱液物を形成するように設けられた請求項14に記載の金属空気電池。
  19. 前記電解液槽は、第2押圧部材が嵌合する底部を有する請求項18に記載の金属空気電池。
  20. 前記電解液槽は、第2押圧部材と前記電解液槽の底部との間で前記電解液を含む前記析出物を挟圧するとき前記電解液を排出する開口と前記開口に設けられた第3フィルター部とを有する請求項18または19に記載の金属空気電池。
  21. 前記電解液槽は、その底部に前記脱液物を排出する排出口を有する請求項18〜20のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  22. 前記電解液槽は、その底部に前記支持体から脱離させた第2押圧部材を有し、
    前記電解液を含む前記析出物は、新たな前記金属ホルダーを前記電解液槽に挿入するときに前記脱離させた第2押圧部材と新たな前記金属ホルダーに固定された第2押圧部材との間で挟圧され、前記脱液物となる請求項18〜21のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  23. 前記電解液槽は、取替え可能な電解液槽ユニットを有し、
    前記取替え可能な電解液槽ユニットは、新たな電解液槽ユニットに取り替えることができるように設けられ、
    前記電解液を含む前記析出物は、前記新たな電解液槽ユニットを前記電解液槽に挿入することにより前記電解液槽の底部と前記新たな電解液槽ユニットとの間で挟圧され、前記脱液物となる請求項13または14に記載の金属空気電池。
  24. 前記電解液槽は、前記新たな電解液槽ユニットが嵌合する底部を有する請求項23に記載の金属空気電池。
  25. 前記金属電極は、金属亜鉛からなり、
    前記電解液は、アルカリ性水溶液であり、
    前記金属化合物は、酸化亜鉛または水酸化亜鉛を含む請求項1〜24のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  26. 第1および第2主要面を有するイオン交換部をさらに備え、
    前記イオン交換部は、第1主要面が前記電解液に接触し第1主要面に対向する第2主要面が前記空気極と接触するように設けられた請求項1〜25のいずれか1つに記載の金属空気電池。
  27. 前記イオン交換部は、アニオン交換膜からなり、
    前記空気極は、カーボン担体と前記カーボン担体に担持された空気極触媒とを有する請求項26に記載の金属空気電池。
  28. 請求項1〜27のいずれか1つに記載された金属空気電池により形成された脱液物を還元処理することにより前記金属電極を構成する金属を製造し、この金属を前記金属電極として前記電解液槽に供給するエネルギーシステム。
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