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JP2013112583A - 補修用モルタル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コンクリート構造物の補修・補強に適し、施工性が良好で、液体や固体状の有機ポリマー物質の水中溶出・混入が実質的に起こらない≡耐久のモルタル質補修材を提供する。
【解決手段】 次の(A)〜(E)を含有し、セメント用ポリマー及び繊維を含まないことを特徴とする補修用モルタル組成物。(A)セメント100質量部、(B)メタカオリン1〜20質量部、(C)石灰石及び/又は炭酸カルシウムの微粉10〜30質量部、(D)膨張材1〜5質量部、(E)細骨材100〜300質量部。また、さらに、セメント100質量部に対し、(F)減水剤、(G)増粘剤及び(H)消泡剤を合計で0.15〜1.5質量部含む前記の補修用モルタル組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セメント硬化体構造物の劣化箇所の補修や劣化防止補強に用いるモルタル組成物に関するもので、特に飲料用水と接する可能性のあるモルタルやコンクリート質の上水道施設の補修及び補強用に用いるモルタル組成物に関する。
モルタルやコンクリート製の構造物(以下、コンクリート構造物と称す。)の劣化部位の断面修復や増厚補強等に用いる補修材は、躯体との一体性や耐久性の点でセメント系の材料が適している。その中でも下地との密着性に優れること、透水性や通気性が低く耐食性に優れること等の理由で、水硬性セメントとその質量の数%に相当する量の有機ポリマーとからなるポリマーセメントを結合相成分としたモルタル組成物が広く用いられている。(例えば、特許文献1〜2参照。)大型断面の床壁等の補修用にポリマーセメント系モルタル組成物を使うと、補修部にひび割れが生じ易くなることから、繊維を配合し、ひび割れを抑制することも行われている。(例えば、特許文献3参照。)このように一般のコンクリート構造物の補修・補強用には優れた適性を備えたポリマーセメント系モルタル組成物ではあるが、例えば、飲料用の水と接する可能性のある上水道施設のモルタルやコンクリート質の構造物の補修・補強用の補修材に関しては、フェノール等の有害成分が施工樹脂から水中に溶出・混入することが指摘されて以来、有機ポリマーや樹脂繊維の配合使用が敬遠される傾向にある。さらには当該構造物に対しては、プライマー類の使用も敬遠されている。
一方、繊維やポリマーセメント用の有機ポリマー(以下、セメント用ポリマーという。)を含まないセメント系モルタル組成物は、コンクリート構造物との密着性と耐久性の確保が課題となる。単位セメント量を増大するか、水セメント比を低くすれば密着性と耐久性等は向上するものの、コンシステンシーが減少し、施工作業性が低下する。減水剤の使用で流動性を確保することは可能であるが、減水剤は一般に有機ポリマーを有効成分とするため、密着性を高めたモルタル組成物に良好なワーカビリティを付与できるほどの流動性を発現させられる十分な量を使用できない。また、水和熱の増大に伴う温度ひび割れの発生や、乾燥・硬化時の収縮量が大きいため寸法安定性に欠け、躯体との一体性が得難くなる。シリカフュームやスラグ微粉を配合すると(例えば、特許文献4〜5参照。)、水和熱の増大化抑制や組織の緻密化は達成できるが、自己収縮が大きいため、収縮に伴うひび割れ発生の危惧は依然解消されない。このように、セメント用ポリマーや樹脂繊維を含まずに、実質的に無機成分で構成されたモルタル組成物で、例えば密着性や幅広い施工手段に対応できる作業性などセメント系構造物への補修材に適った性状を具備した組成物は満足に得られていないのが実状である。
特開平8−120121号公報 特開2006−44949号公報 特開2005−82416号公報 特開2000−143313号公報 特開2004−2079号公報
本発明は、良好な施工性を呈し、コンクリート構造物等の躯体に容易且つ強固に密着できると共に、施工後の耐久性低下に繋がる強度低下やひび割れ発生もなく、かつ液体及び固体状の有機物質の水中への溶出や混入も起こらない補修用モルタル組成物の提供を課題とする。
本発明者は、前記課題解決のため検討を行った結果、特定のポゾラン反応性物質と石膏を特定の配合量で含有させたセメントモルタルが、ポリマーセメント用ポリマー及び繊維を配合しなくともコンクリート構造物に対し優れた密着性を呈し、しかも施工作業性に支障を及ぼさないような流動性が得られること等の知見を得、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の(1)〜(3)で表す補修用モルタル組成物である。(1)次の(A)〜(E)を含有し、セメント用ポリマー及び繊維を含まないことを特徴とする補修用モルタル組成物。(A)セメント100質量部、(B)メタカオリン1〜20質量部、(C)石灰石及び/又は炭酸カルシウムの微粉10〜30質量部、(D)膨張材1〜5質量部、(E)細骨材100〜300質量部。(2)さらに、セメント100質量部に対し、(F)減水剤、(G)増粘剤及び(H)消泡剤を合計で0.15〜1.5質量部含む前記(1)の補修用モルタル組成物。
本発明によれば、コンクリート構造物の補修・補強に適し、施工適用性や作業性が良好で、液体や固体状の有機ポリマー物質の水中溶出・混入が実質的に起こらない≡耐久の補修材が提供される。
本発明の補修用モルタル組成物は、以下の(A)〜(E)で表す成分を必須含有するものであって、セメント用ポリマー及び繊維を含まないものである。
本補修用モルタル組成物に含有される(A)セメントは、水硬性のセメントであって、例えば、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメント、白色セメントやアルミナセメント等の特殊セメントを挙げることができ、このうち2種以上の種類を併用しても良い。使用可能なセメントは、ここに例示したものに必ずしも限定されないが、収縮量が大きいことから高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメントの単独使用は可能なら避ける方が望ましい。
本発明の補修用モルタル組成物は、(B)メタカオリンを含有する。本発明で称するメタカオリンは、含水珪酸塩鉱物のカオリナイトから例えば加熱処理等によってその脱水鉱物相であるムライトが形成されるまでに経過或いは出現する中間体の総称である。メタカオリンの粉末そのものは高活性であり、また活性シリカ等の大量使用では往々に見られる硬化物の大規模な体積減少を引き起こすこともなく、≡緻密な硬化体を得るのに有利である。このようなメタカオリンは、入手可能なものなら何れのものでも良い。メタカオリンの使用により、耐久性と特に付着強度の向上作用を付与できる。一般にポリマーセメントを用いた時に見られる躯体への強い密着性は、本発明のモルタル組成物では、メタカオリンと水硬性物質等との相乗作用によって、これに類似する性状が発現される。メタカオリンは、含有セメント100質量部に対し、1〜20質量部含有される。1質量部未満の含有では収縮及び乾燥ひび割れが発生する虞があり、付着強度向上も十分達成されないので好ましくない。また、含有量が20質量部を超えると耐久性と付着強度は殆ど向上せず、原料コストの高騰をもたらすだけなので好ましくない。メタカオリンの粒度は、適度な反応性を発現させる上で1500cm2/g以上であることが推奨され、より好ましくは3000〜12000cm2/gとする。12000cm2/gを超える粒度でも反応性や所望の作用効果を得るには支障はないが、粉砕コストが高騰するため実用的でない。
本発明の補修用モルタル組成物は、(C)石灰石及び/又は炭酸カルシウムの微粉を含有する。これら各微粉は最大粒径が実質1mm未満のものであれば良い。石灰石や炭酸カルシウムは、微粉であること以外は制限されない。石灰石や炭酸カルシウムの微粉は、何れか一方のみを含有する場合はその含有量を、また両者を含有する場合は両者の合計含有量で、セメント100質量部に対し10〜30質量部、好ましくは15〜30質量部とすることにより、注水後のモルタルの混練抵抗が減少し、配合成分の混合性やモルタルの流動性が高まる。10質量部未満では含有効果が殆ど見られず、また30質量部を超えると補修用モルタル組成物の強度低下や硬化遅延を起こす虞があるので好ましくない。
本発明の補修用モルタル組成物は、(D)膨張材を含有する。膨張材は、生石灰系のものとエトリンガイト系のものに大別されるが、本発明ではその何れをも含有使用でき、これら以外の膨張材でも使用できる。膨張材の含有により収縮が抑制されてひび割れが発生し難くなることに加え、施工物としての寸法安定性が得られるため、下地となるコンクリート構造物との一体性が保たれる。膨張材の含有量はセメント100質量部に対し、1〜5質量部とする。含有量が1質量部未満では十分な収縮抑制効果が得られないので好ましくなく、また5質量部を超えると過膨張を起こす虞があるので好ましくない。
本発明の補修用モルタル組成物は、(E)細骨材を含有する。細骨材は、モルタルやコンクリートに使用できるものであって鉱物質のものなら、結晶質、ガラス質、固溶体の何れでも良く、特に限定されない。具体的には例えば、山砂、川砂、海砂、砕砂の天然細骨材、岩石・粘土等を主体とする原料を焼成してなる人工細骨材等を挙げることができる。また、軽量骨材も使用することができ、補修箇所によっては補修施工物の質量を軽減できるので有利なこともあるが、普通骨材に比べると強度面で不足するため、使用する場合は普通骨材との併用が推奨される。尚、鉱物質以外の骨材、特に樹脂製の軽量骨材の使用は好ましくない。細骨材の含有量はセメント100質量部に対し、100〜300質量部、好ましくは150〜300質量部とする。含有量が100質量部未満では収縮が過大になる可能性があるので好ましくなく、また300質量部を超えると結合相形成成分の含有割合が相対的に低下することから強度低下を起こすので好ましくない。
本発明の補修用モルタル組成物で含有されないセメント用ポリマーとは、いわゆるポリマーセメントを構成する有機系のポリマーであり、例えばJIS A 6203の「セメント混和用ポリマーディスパージョン及び再乳化粉末樹脂」に記載されているポリマーが挙げられる。より具体的には、例えば、アクリル系ポリマーエマルション、酢酸ビニル系ポリマーエマルション、スチレンブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニル系再乳化粉末樹脂、ベオバ系再乳化粉末樹脂に規定されているようなポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン若しくはエチレン酢酸ビニルを有効成分とするポリマーディスパージョン又はポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル若しくは酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステルを有効成分とする再乳化粉末樹脂を挙げることができる。このようなポリマーは本発明の補修用モルタル組成物では実質的に含有されないものでなければならない。ここで、実質的に含有されないとは、ポリマーセメントに使用されるようなポリマーであっても、他の作用を奏させるための用途に用いられる混和剤に一部含まれる場合は、混和剤としての使用量(モルタル組成物中の当該ポリマー成分の含有量)が、一般的な補修用のポリマーセメントモルタルやコンクリート中でのポリマー含有量に比べ著しく少ない量である限り許容されることを意味する。
また、本発明の補修用モルタル組成物で含有されない繊維とは、一般にモルタルやコンクリートに配合使用することができる繊維であって、繊維の長さや直径に拘わらず、高分子物質を構成成分とする樹脂繊維であれば全て該当し、さらに金属繊維や炭素や硼素等のセラミック繊維も該当する。本発明の補修用モルタル組成物は、繊維と前記のセメント用ポリマーを含まないため、水と接する部位に該補修用モルタル組成物を施工しても、該施工物から有機ポリマーや異物が水中へ溶出・混入する虞が実質的に生じない。
また、本発明の補修用モルタル組成物は、前記(A)〜(E)の必須含有成分の他に、さらに(F)減水剤、(G)増粘剤及び(H)消泡剤を合計でセメント100質量部に対し、合計で0.15〜1.5質量部含むものが好ましい。これらの成分は各成分本来の機能付与のために用いられる。即ち、減水剤は減水性付与の為、増粘材は増粘性付与の為、そして消泡剤は消泡作用を及ぼす為に用いる。個々の成分の含有量は、含有量を多くするほど当該成分由来の作用が強まることを考慮し、施工対象物や施工環境等に応じて適宜設定すれば良い。合計含有量が0.15質量部未満では配合効果が殆ど得られないことがあり、また1.5質量部を超えるとモルタル組成物中のポリマー量が増大し、接水施工物では温度等の環境によってはポリマー成分が水中に溶出する虞が高まるので適当ではない。
含有できる(F)減水剤は、モルタルやコンクリートに使用できるものであって、減水作用を有すものなら、分散剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤又は流動化剤と称されているものの何れでも良く、有効成分も限定されない。減水剤の配合効果を得る為の推奨含有量は、セメント100質量部に対し、0.05質量部以上であれば相応の減水作用が得られ、高い強度が得易くなる。
また、含有できる(G)増粘剤は、セメントペースト、モルタル又はコンクリートに増粘性を付与できるものであれば限定されず、例えば、各種多糖類、セルロース誘導体、水溶性蛋白質などが使用できる。より好ましくは、適度な保水作用を有して急激な乾燥によるひび割れ発生が抑制できることから、水溶性セルロース誘導体が良い。増粘剤により、材料分離を抑制できることに加え、施工時の補修対象躯体への接着強度も増進される。増粘剤の配合効果を得る為の推奨含有量は、含有量は、セメント100質量部に対し、0.05質量部以上である。
また、含有できる(H)消泡剤は、モルタル又はコンクリートに使用できる消泡剤であれば何れのものでも含有できる。消泡剤の使用により施工物内に気泡が残存し難くなるため、強度・耐久性が向上する。消泡剤の配合効果を得る為の推奨含有量は、セメント100質量部に対し、0.05質量部以上である。また、より好ましくは、消泡剤含有量は0.5質量部以下とする。0.5質量部を超えると硬化不良を引き起こすことがあるので適当でない。
また、本発明の補修用モルタル組成物は、前記(A)〜(H)で表された以外のモルタルやコンクリート用の混和剤・材も、本発明の効果を喪失させない範囲で含有することができる。具体的には、例えば、凝結促進剤、凝結遅延剤、増量材、収縮低減剤、撥水剤、白華防止剤等を挙げることができるが、この記載例に限定されるものではない。また、より好ましくは、前記(A)〜(H)以外の有機系混和剤・材を配合させる場合は、当該有機系混和剤・材と前記の(F)減水剤、(G)増粘剤及び(H)消泡剤の総合計含有量を、セメント100質量部に対し、最大1.5質量部とする。
また、本発明の補修用モルタル組成物の混練水の含有量は特に制限されない。好ましくはセメント100質量部に対し、混練水40〜80質量部含有したものとする。混練水の量が、40質量部未満では施工に適した流動性が得難くなるので適当ではなく、また80質量部を超えると強度が低下するので適当ではない。
本発明の補修用モルタル組成物は、例えばコンクリート構造物に生じた劣化部位をはつり等の適当な手法で除去した跡に施工する補修材に使用する他、劣化が起こりつつある部位や起こる虞のある部位の表面に直接上塗りする増厚補強等にも使用できる。また、例えばコンクリート構造物に生じた亀裂箇所の補修・補強用に充填使用することも可能である。また、施工手段は、例えば、鏝やローラー等を用いた塗り付け、噴霧や吹付け装置を用いた吹付け、吐出管等からの流し込み充填で行えるが、例示手段に限定されない。
また、本発明の補修用モルタル組成物は、例えば含有成分が全て粉末や顆粒状のものであれば、これらを例えばヘンシェルやリボン型ミキサーなどで乾式混合して得たプレミックスの補修用モルタル組成物であっても、また全含有成分と混練水を例えばホバート、パン型、噴射型、パドル型、傾胴又は強制2軸型等のミキサーで混練して得た流動状態の補修用モルタル組成物であっても、またさらに補修用モルタル組成物の硬化体でも良く、何れの態様のものも含まれる。
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明するが、本発明はここに表す実施例に限定されるものではない。
[モルタル組成物の作製] 気温20℃、湿度80%の環境下で、次のA〜Jで表される材料を用い、表1で表された配合になるよう秤量し、ホバートミキサーで乾式混合した。乾式混合物に表1に表す量の混練水(水道水)を加え、パン型ミキサーで約2分間混練を行った。
<使用材料>
A;普通ポルトランドセメント(市販品)
B;メタカオリン(SKWイーストアジア社製「MetaMaxHRM」)
C1;石灰石粉(最大粒径0.1mm)
C2;炭酸カルシウム(最大粒径0.05mm)
D;生石灰系膨張材(太平洋マテリアル社製「エクスパンK」)
E1;細骨材(山形珪砂6・7号)
E2;細骨材(鹿島珪砂3号)
F;高性能減水剤(花王社製「マイティ100」)
G;セルロース系増粘剤(松本油脂社製「マーポローズ90MP−T」)
H;消泡剤(市販品;界面活性剤系)
I1;高炉水砕スラグ微粉(市販品;ブレーン比表面積4000cm2/g)
I2;シリカフューム(市販品;ブレーン比表面積約10万cm2/g)
J;収縮低減剤(太平洋マテリアル社製「テトラガードPW」)
Figure 2013112583
[モルタル組成物の評価試験] 前記の通り作製した混練直後のモルタル組成物のフロー値をJIS R 5201に準拠した方法で測定した。一般に、フロー値が140〜180mmであると、吹付け施工に適し、鏝による仕上げが可能であり、およそ180〜200mmであると、流し込みによる施工も可能になる。また、同様の流動状態のモルタル組成物の単位容積質量をJIS A 1171に準拠した方法で測定した。単位容積質量は、全て2.10±0.08となり、何れのモルタル組成物(本発明品1〜15、比較品1〜7)も大差は見られなかった。
また、温度20℃湿度60%の恒温恒湿に保った室内に、30×30cmの平坦な面を両面に有し、厚さが5cmのコンクリート製の歩道版を、30×30cmの一方の面を上面とし、他方を下面として床に水平に設置した。該コンクリート製歩道版の上面に混練終了後5分以内のモルタル組成物を、塗厚が10mmとなるよう鏝塗した。次いで、鋼製アタッチメントを用いた建研式接着力試験機で材齢7日と28日のモルタル組成物のコンクリート製歩道版に対する付着強度を測定し、モルタル組成物のコンクリート躯体に対する密着性の評価試験とした。尚、鏝塗りしたモルタル組成物が接着力試験機での測定中に躯体から剥離したものについては、付着強度を「測定不能」とした。
さらに、前記の通り作製した混練直後のモルタル組成物を、内寸が縦4×横4×長さ16cmの成形型に流し込み、温度20℃、湿度80%の下で24時間気中養生し、養生後に脱型して供試体を得た。脱型後の供試体は所定の材齢となるまで温度20℃、湿度80%の大気中に放置した。材齢7日と28日の供試体に対し、JIS R 5201に準拠した方法で曲げ強度と圧縮強度をそれぞれ測定した。また、材齢7日及び28日の供試体の脱型直後からの長さ方向の寸法変化を測定し、収縮率(%)も算出した。さらに、強度測定前の材齢28日の供試体に対しては、目視でひび割れ発生状況を調べた。以上の評価結果を纏めて表2に表す。
Figure 2013112583
表2の結果より、本発明の補修用モルタル組成物は鏝塗施工に適したコンシステンシーである170mm前後の安定したフロー値を呈し、且つポリマーを使用しなくとも高い付着強度と施工後の寸法安定性が得らることがわかる。これに対し従前のスラグ等を使用いて補修材としての耐久性と密着性を具備させたノンポリマータイプのセメントモルタルは低いフロー値しか得られず、施工適用性や作業性における難点が解消できていない結果となった。

Claims (2)

  1. 次の(A)〜(E)を含有し、セメント用ポリマー及び繊維を含まないことを特徴とする補修用モルタル組成物。(A)セメント100質量部、(B)メタカオリン1〜20質量部、(C)石灰石及び/又は炭酸カルシウムの微粉10〜30質量部、(D)膨張材1〜5質量部、(E)細骨材100〜300質量部。
  2. さらに、セメント100質量部に対し、(F)減水剤、(G)増粘剤及び(H)消泡剤を合計で0.15〜1.5質量部含む請求項1記載の補修用モルタル組成物。
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