JP2013181632A - 排水管用消音材、排水管用消音材の製造方法、および消音性排水管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 排水管用消音材1は、遮音層2と、上記遮音層の内側に積層されている吸音層3とからなり、排水管4の外周に密接して取り付けられるものであって、上記遮音層2は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対してフタル酸系可塑剤40〜150質量部と、比重が2.0以上の無機充填剤200〜800質量部と、を配合した比重が1.5以上の配合物のシートであり、上記遮音層2は厚さ2mm、巾25mmの試験片を用いて40±1℃の雰囲気中でJIS L 1086 7.12剛柔性7.12.1の45°カンチレバー法に準じて測定した剛軟度が100〜200mmの範囲であり、上記吸音層3は通気性の多孔質層である。
【選択図】 図1
Description
上記従来の消音材にあって、例えばポリ塩化ビニルシートを遮音性要素の材料として使用する消音材は、冬季低温時にポリ塩化ビニルシートが硬くなって排水管の外周形状に適応しにくくなり、消音材を排水管に取り付ける作業が困難になる。またゴムアスファルトシートや未加硫ゴムシートを遮音性要素の材料として使用する消音材にあっては、排水管に装着した場合に、常温での形状保持性が悪く、シートが垂れ下がってしまうと云う問題点がある。
そこで、ポリ塩化ビニルシートを用いた消音材の場合には、消音材を排水管外周に密着させるために粘着テープを何回か捲回したり(特許文献1)、プレス成形や射出成形によって排水管外周形状に適合する形状に成形したり(特許文献2)、吸音性要素を先ず排水管外周に装着し、次いでその上に遮音性要素を装着したり(特許文献4)、或いは消音材を分割して成形したり(特許文献5)する対策が採られている。
また遮音性要素の材料としてゴムアスファルトシートや未加硫ゴムシートを使用する消音材にあっては、結束バンドや姿勢保持枠等によって固定する対策が採られている(特許文献3)。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、排水管に消音材を密着して装着する作業を容易に行なうことが出来るようにすることを課題とするものである。
上記遮音層の厚さは1mm〜5mmであり、上記吸音層の厚さは2mm〜10mmでありかつ通気抵抗が0.05〜3.0kPa・s/mであることが望ましい。更に上記ポリ塩化ビニル系樹脂には再生品が使用される。また上記吸音層である通気性の多孔質層には、難燃剤が5〜20質量%混合されてもよい。
本発明の排水管用消音材は、上記遮音層と上記吸音層とを積層してなる積層シートを、100〜150℃の温度で加熱し、上記遮音層を軟化せしめたうえで、冷間成形して所定形状に成形することによって製造される。
更に本発明にあっては、本発明の排水管用消音材を硬質ポリ塩化ビニルからなる排水管の外周に装着してなる消音性排水管が提供される。
本発明の排水管用消音材1においては、遮音層2の材料としてポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対してフタル酸系可塑剤40〜150質量部が配合された軟質ポリ塩化ビニル系樹脂を使用する。上記軟質ポリ塩化ビニル系樹脂は、反発弾性を殆んど示さず、かつ冬季低温化でも柔軟性を維持するので、本発明の排水管用消音材1は外気温に関わらず排水管4の外周に密着して取付けることが容易に出来る。
本発明の遮音層2には、更に比重が2.0以上の無機充填材が200〜800質量%配合されているので、比重が1.5以上あり、上記軟質ポリ塩化ビニル系樹脂の粘弾性による騒音減衰作用に加えて、更に質量効果による減衰作用も奏される。従って上記軟質ポリ塩化ビニル系樹脂に上記無機充填材を配合した本発明の遮音層2は、優れた騒音の減衰効果を示す。
更に本発明の排水管用消音材1の吸音層3は、通気抵抗が0.05〜3.0kPa・s/mに設定されているから、該吸音層3は優れた吸音性能を発揮する。
かくして本発明の排水管用消音材1は、吸音材3の吸音性と相俟って、優れた消音性を発揮する。
更に40±1℃の雰囲気中での剛軟度が100〜200mmであるから、前記したように冬季の低温化でも柔軟性が優れた、かつ夏季の高温化でも変形したり垂れ下がったりすることなく、排水管4の外周形状に容易に対応し、優れた密着性を示す。
したがって本発明の消音材は、低温時にあっても高温時にあっても排水管の外周形状に対応して、密着して優れた消音効果を奏する。
〔消音材〕
本発明の排水管用消音材1は、図1に示すように、遮音層2と、上記遮音層2の内側に積層される吸音層3とからなる。上記遮音層2と上記吸音層3との接着には、溶剤型合成樹脂接着剤、水性エマルジョン型合成樹脂接着剤、粉末状またはくもの巣状または水性エマルジョン型のホットメルト接着剤等が使用されるが、上記接着剤を使用することなく、例えば高周波や超音波による溶融接着を適用してもよい。
以下に排水管用消音材1について、詳細に説明する。
本発明の排水管用消音材1に使用される遮音層2は、騒音を粘弾性効果と質量効果によって減衰させる機能を果たすものである。
上記の粘弾性効果と質量効果による騒音の減衰機能を発揮するため、上記遮音層2の材料には、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、フタル酸系可塑剤40〜150質量部、比重が2.0以上の無機充填剤200〜800質量部配合し、比重が1.5以上の配合物を使用する。
上記フタル酸系可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジ−n−ジシクロフタレート(DnDP)、ジ−n−オクチルフタレート(DnOP)、ジノニルフタレート(DNP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)等が例示される。一般的に用いられるフタル酸系可塑剤としては、DBPとDOPとがある。
前記したように、上記フタル酸系可塑剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、フタル酸系可塑剤40〜150質量部添加される。フタル酸系可塑剤の添加量が40質量部に満たない場合には、得られる遮音層2の柔軟性が低下して、消音材を排水管に巻き付けた場合の密着性が悪くなり、更に粘弾性効果による騒音の減衰効果も低くなって、良好な消音性が得られない。一方、上記配合物においてフタル酸系可塑剤の添加量が150質量部を越える場合には、遮音層2の柔軟性が過剰になって強度が低下し、高温時に遮音層の垂れ下がりが発生するおそれがある。
上記無機充填材としては、例えば炭酸カルシウム(d:2.7)、硫酸バリウム(d:4.50)、炭酸バリウム(d:4.4)、タルク(d:2.7)、酸化マグネシウム(d:3.6)、アルミナ(d:3.99)、酸化チタン(d:4.26)、バライト(d:4.2)、酸化鉄(d:5.7)、酸化亜鉛(d:5.6)、水酸化アルミニウム(d:2.42)、カーボンブラック(d:2.2)、グラファイト(d:2.2)、鉄粉(d:7.87)、シリカ(d:2.26)等が例示される。
前記したように、上記無機充填材は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して200〜800質量部添加され、上記無機充填材の添加量をこの範囲とすることにより、上記配合物の比重dを1.5以上に調節することが出来る。無機充填材の添加量が200質量部に満たない場合には、得られる遮音層2の比重を1.5以上に調節することが達成出来ず、また無機充填材の添加量が800質量部を越える場合には、遮音層2が脆くなって曲げに対応出来なくなる。そして上記配合物(遮音層2)の比重dが1.5に満たない場合には、質量効果による騒音の減衰機能を期待出来ない。
上記遮音層2の厚さは、通常1mm〜5mmとされる。上記遮音層2の厚さが1mmに満たない場合には、騒音の減衰効果が充分得られず、一方、5mmを越えた場合には、遮音層2の重量、容積が大きくなって、得られる消音材1が取扱いにくくなる。
本発明の排水管用消音材1に使用される吸音層3としては、一般にはフェルト、不織布等の通気性繊維シートが使用されるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン等のプラスチックあるいはスチレン−ブタジエンゴム、アクリロートリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム等のゴムの通気性発泡体が使用されてもよい。
上記通気性繊維シートに使用される繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、アセテート繊維等の合成繊維、とうもろこしやサトウキビ等の植物から抽出された澱粉からなる生分解繊維(ポリ乳酸繊維)、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、石綿繊維等の無機繊維、あるいはこれらの繊維を使用した繊維製品のスクラップを解繊して得られた再生繊維の1種または2種以上の混合繊維や、融点180℃以下のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエステル繊維、ポリエステル共重合体繊維、ポリアミド繊維、ポリアミド共重合体繊維等の低融点繊維や、融点が190℃以上の熱可塑性樹脂を芯部分として融点80〜180℃の低融点熱可塑性樹脂を鞘とする芯鞘型複合繊維や、更にはこれら繊維の2種以上の混合繊維等が例示される。
上記吸音層3の厚さは、通常2mm〜10mmとされる。上記吸音層の厚さが2mmに満たない場合には、充分な吸音性が得られず、また10mmを越えた場合は嵩張って取扱いにくくなる。
更に、上記吸音層3の通気抵抗は0.1〜3.0kPa・s/mに設定することが望ましい。この範囲で上記吸音層は良好な吸音性を有する。
上記吸音層3には、難燃剤が添加されてもよい。難燃剤としては、例えば燐系難燃剤、窒素系難燃剤、硫黄系難燃剤、ホウ素系難燃剤、臭素系難燃剤、グアニジン系難燃剤、燐酸塩系難燃剤、燐酸エステル系難燃剤、アミノ樹脂系難燃剤、膨張黒鉛等が例示される。
通常、上記難燃剤は上記吸音材3に対して5〜20質量%添加される。
本発明の排水管用消音材1を排水管4の外周に装着する場合には、通常は図2に示すように、シート状の排水管用消音材1を所定の大きさの四角形に切り取る。そして上記排水管用消音材1を加熱することなく、あるいは100〜150℃に加熱して上記遮音層2を軟化させたうえで、上記排水管4の外周形状に沿った形状に冷間成形する。例えば遮音層2において、ポリ塩化ビニル100質量部に対してフタル酸系可塑剤が100質量部以下の量で添加されている場合は、該排水管用消音材1は100〜150℃の範囲の温度で加熱して、上記遮音層2を軟化せしめてから直接的に排水管4の外周に巻き付けるか、あるいは該排水管4の外周に適応する形状に冷間成形した上で、該排水管4に装着する。またポリ塩化ビニル100質量部に対してフタル酸系可塑剤が100質量部以上の量で添加されている場合には、100〜150℃の範囲の温度で加熱してもよいが、必ずしも加熱する必要はなく、そのまま排水管4の外周に装着してよい。
図3は、直管である排水管4の外周に、図2に示すシート状の排水管用消音材1を装着した状態を示す。上記消音材1の左右の合せ目は粘着テープ5によって固定される。
図4は、曲管(90°エルボ)である排水管4Aの外周に、図2に示すシート状の排水管用消音材1を装着し、左右の合せ目を粘着テープ5で固定した状態を示す。この場合、排水管用消音材1は90°エルボ形状に沿って曲げ易いように、遮音層2の可塑剤の添加量に関わらず、100〜150℃の温度で加熱して遮音層2を軟化せしめて曲げ易いようにすることが望ましい。
図5は、分岐管部分41Bを有するT字状の排水管4Bに排水管用消音材1を装着した状態を示す。この場合には、分岐管部分41Bを挿通するべく、図6に示すように、上記排水管用消音材1のシートに穴6を設けておく。
〔実施例1〕
ポリ塩化ビニル系樹脂としてポリ塩化ビニル(PVC)、フタル酸系可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、無機充填材を下記の表1に示す配合比で混合して、配合物を調製した。
無機充填材には、炭酸カルシウム(d:2.7)/硫酸バリウム(d:4.50)/カーボンブラック(d:2.2)=1/2/0.05質量比の混合物を使用した。
次いで上記配合物を使用し、通常の押し出し成形法により、厚さ2mmの樹脂シート(A)、(B)、(C)を作成した。
PVC、DOP、無機充填材を下記の表2に示す配合比とした以外は、上記実施例1と同様にして、厚さ2mmの樹脂シート(D)、(E)を作成した。
上記実施例1、および比較例1で得られた樹脂シート(A)〜(E)について、表面温度変化試験、折り曲げ試験、剛柔性試験を実施した。
(表面温度変化試験)
樹脂シート(A)〜(E)を、長さ×幅=50×50mmの大きさに調整し、90±2℃、100±2℃、110±2℃、130±2℃、150±2℃、160±2℃の各加熱温度に調整された熱風循環式恒温器中における5分間の加熱放置後に取り出し、直ちに5±1℃、20±1℃の各雰囲気温度中で1分、2分、3分間放置した後、試料の表面温度(℃)を測定した。その結果を表3に示す。
(折り曲げ試験)
樹脂シート(A)〜(E)を、長さ×幅=100×25mmの大きさに調整し、5±1℃、20±1℃、40±1℃の雰囲気中で30分放置した後、直ちに長さ方向の中間部分より180°折り曲げて、表面状態を目視で観察した。その結果を表4に示す。
(剛柔性試験)
樹脂シート(A)〜(E)を、長さ×幅=400×25mmの大きさに調整し、5±1℃、10±1℃、20±1℃、30±1℃、40±1℃の雰囲気中で30分放置した後、各温度の雰囲気中において、JIS L 1086 7.12剛柔性の7.12.1の45°カンチレバー法に準じて剛軟度(mm)を測定した。その結果を表5に示す。
上記実施例1、および比較例1で得られた樹脂シート(A)〜(E)を遮音層とし、これら樹脂シートの片面に吸音層として繊維シート(ポリエステル繊維に低融点ポリエステル繊維を20質量%添加した混合繊維、厚さ:5mm、目付量:500g/m2、通気抵抗:0.87kPa・s/m)を、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン接着剤を用いて貼り合わせ、排水管用消音材(A−1),(B−1),(C−1),(D−1),(E−1)を得た。
各排水管用消音材を図2に示すような所定の大きさの四角形状に切り取り、5±1℃及び25±1℃の室内温度とした各室内に1時間放置した後、加熱条件を、そのまま、あるいは140℃×2分間として処理したうえで、直ちに上記室内温度とした各室内にて各排水管用消音材を排水管(PVC製、直径100mm、90°エルボ形状)に取り付けることで、取付作業性を評価するとともに、取り付けた状態を観察した。その結果を表6に示す。
表3の結果より、表面温度の変化については、実施例1の樹脂シート(A)〜(C)及び比較例1の樹脂シート(D)、(E)の何れにおいても、加熱後の表面温度の変化に大きな差はみられなかった。但し、加熱温度が100℃以下で雰囲気温度が5℃の場合、放置時間が3分で表面温度は40℃前後となることから、低温雰囲気下では加工中に樹脂シートが硬くなることで加工性に影響が及ぼされるため、冬季の作業性が悪くなることがわかる。
表4の結果より、折り曲げ試験における表面状態について、実施例1は、樹脂シート(A)が雰囲気温度5℃にて表面に僅かにクラックを生じたが、それ以外は良好であった。一方、比較例1は、樹脂シート(E)には問題がないものの、樹脂シート(D)が雰囲気温度5℃で破断し、20℃でも僅かにクラックを生じた。
表5の結果より、剛軟度については、実施例1及び比較例1は共にDOP(可塑剤)の配合比が高くなるにつれて小さくなるため、DOP(可塑剤)の配合比が高いほど柔らかくなり、また雰囲気温度が高いほど柔らかくなることが示された。
表6の結果より、成形性については、実施例1の(A−1),(B−1),(C−1)は、加熱条件を加えることで何れの室温度でも成形性が向上するため、適度に加熱することで1年を通じて作業性が良好になることが示された。一方、比較例1の(D−1)は、硬すぎて加熱しても成形性がそれほど向上せず、作業性が悪いことが示され、また比較例1の(E−1)は、柔らかすぎて変形を生じてしまうことが示された。
そして表5の結果と表6の結果を併せて参照すると、40℃における剛軟度の値が100〜200mmの間にある配合物は、作業性等が良好であることがわかった。
ポリ塩化ビニル系樹脂として再生ポリ塩化ビニル(再生PVC)、フタル酸系可塑剤としてジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、無機充填材として下記の表7に示すものを混合してなる混合物を、表7に示す配合比で混合して、配合物を調製した。
上記配合物から、上記実施例1と同様の押し出し成形法により、厚さ2mm、比重2.1の樹脂シートを作成した。
上記樹脂シートを遮音層とし、その片面に吸音層としてフェルト(ポリプロピレン繊維が20質量%とポリエステル繊維が80質量%の混合繊維製、厚さ:4mm、目付量:450g/m2、通気抵抗:1.02kPa・s/m)を、酢酸ビニル−エチレン共重合エマルジョン接着剤を用いて貼り合わせ、排水管用消音材を作成した。
上記排水管用消音材1を、図2に示す所定の大きさの四角形状に切り取り、150℃で3分加熱した後、図7に示すように、10℃の室内において排水管4に巻き付け、合せ目を粘着テープ5によって固定し、消音性排水管(F)を得た。
上記排水管4は、直径100mmのPVC製であり、直管部分41と90°エルボ部分42とを有し、排水管用消音材1は直管部分41と90°エルボ部分42のそれぞれに巻き付けた。
下記の表7に示す配合比とし、樹脂シートの比重が1.3であることの他は、上記実施例2と同様にして消音性排水管(G)を得た。
実施例2および比較例2で作成した消音性排水管F,Gと、更に参考例として、消音材が装着されていない通常のPVC製排水管とについて、図8に示す試験器を使用し、性能試験を行なった。その結果を表8に示す。
なお上記試験器は、箱形密閉容器11中に消音性排水管F,Gを設置し、水槽12から6Lの水を排出した際に発生する音圧をリオン社製の普通騒音計13で測定するように構成したものである。
表8の結果より、実施例2は消音性能が高く、剛軟度や取付作業性も良好であった。
一方、比較例2は、剛軟度や取付作業性は良好であるが、遮音層の比重が1.3と小さいため、消音性能が実施例2に比べて悪くなっていることが認められた。
上記実施例1で作成した樹脂シート(A),(C)を使用した。
比較例3として、充填材入りのゴムアスファルトからなる、厚さ2.0mmの樹脂シート(H)と、上記比較例1で作成した樹脂シート(E)を使用した。
上記実施例3及び上記比較例3について、粘弾性試験を実施した。その結果を図9のグラフに示す。
なお図9のグラフは、縦軸が貯蔵弾性率G´(Pa)、横軸が温度(℃)を示し、グラフ中で●は樹脂シート(A)、○は樹脂シート(C)、△は樹脂シート(H)、□は樹脂シート(E)を示している。
上記粘弾性試験の試験方法については、以下の通りである。
試験機:レオメーター(ARES TAインスツルメントジャパン)
Geometry:Torsion Rectangular Geometry
周波数:10Hz
昇温温度:10℃/min
開始温度:−80℃
終了温度:200℃
ひずみ:0.05%
テストタイプ:ひずみ制御
図9のグラフの結果より、実施例3において樹脂シート(A),(C)は−80℃〜200℃までなだらかな右下がりの粘弾性曲線を示し、0℃〜100℃の範囲で曲げやすく、良好な形状保持性を有し、垂れ下がりやベタツキがなく、作業性が良好であることが分かる。
一方、比較例3において樹脂シート(H)は、0℃〜100℃の範囲で硬く、曲げにくく、作業性が悪い。また140℃異常の温度で急激に軟化し、アスファルトが溶出して測定不能になった。
比較例3において樹脂シート(E)は、柔軟ではあるが、80℃以上で異常に低い数値となり、成形保持性が悪くなり、垂れ下がりやべとつきが発生する。
上記実施例2の吸音層として、上記フェルトに対し、難燃剤としてポリリン酸メラミン粉末を、該フェルトの目付量の10%となるように添加して得られた難燃性フェルトを用いた以外は、上記実施例2と同様にして、実施例4の消音性排水管を得た。
実施例4の消音性排水管は、遮音性および難燃性に優れたものであった。
2 遮音層
3 吸音層
4 排水管
Claims (6)
- 遮音層と、上記遮音層の内側に積層されている吸音層とからなり、排水管の外周に密接して取り付けられる排水管用消音材であって、
上記遮音層は、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対してフタル酸系可塑剤40〜150質量部と、比重が2.0以上の無機充填剤200〜800質量部と、を配合した比重が1.5以上の配合物のシートであり、
上記遮音層は厚さ2mm、巾25mmの試験片を用いて40±1℃の雰囲気中でJIS L 1086 7.12剛柔性7.12.1の45°カンチレバー法に準じて測定した剛軟度が100〜200mmの範囲であり、
上記吸音層は通気性の多孔質層である
ことを特徴とする排水管用消音材。 - 上記遮音層の厚さは1mm〜5mmであり、上記吸音層の厚さは2mm〜10mmでありかつ通気抵抗が0.05〜3.0kPa・s/mである
請求項1に記載の排水管用消音材。 - 上記ポリ塩化ビニル系樹脂には再生品が使用される
請求項1又は請求項2に記載の排水管用消音材。 - 上記吸音層である通気性の多孔質層には、難燃剤が5〜20質量%混合されている
請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の排水管用消音材。 - 上記遮音層と上記吸音層とを積層してなる積層シートを、100〜150℃の温度で加熱し、上記遮音層を軟化せしめたうえで、冷間成形して所定形状に成形する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の排水管用消音材の製造方法。 - 請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の排水管用消音材を硬質ポリ塩化ビニルからなる排水管の外周に装着してなる
ことを特徴とする消音性排水管。
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