[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2013166949A - 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル - Google Patents

光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル Download PDF

Info

Publication number
JP2013166949A
JP2013166949A JP2013066715A JP2013066715A JP2013166949A JP 2013166949 A JP2013166949 A JP 2013166949A JP 2013066715 A JP2013066715 A JP 2013066715A JP 2013066715 A JP2013066715 A JP 2013066715A JP 2013166949 A JP2013166949 A JP 2013166949A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
organic
sealing agent
surface sealing
cured product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013066715A
Other languages
English (en)
Inventor
Yugo Yamamoto
祐五 山本
Jun Okabe
潤 岡部
Setsuko Oike
節子 大池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2013066715A priority Critical patent/JP2013166949A/ja
Publication of JP2013166949A publication Critical patent/JP2013166949A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/842Containers
    • H10K50/8423Metallic sealing arrangements
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/844Encapsulations
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G59/00Polycondensates containing more than one epoxy group per molecule; Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups
    • C08G59/18Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups ; e.g. general methods of curing
    • C08G59/68Macromolecules obtained by polymerising compounds containing more than one epoxy group per molecule using curing agents or catalysts which react with the epoxy groups ; e.g. general methods of curing characterised by the catalysts used
    • C08G59/70Chelates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/16Nitrogen-containing compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L63/00Compositions of epoxy resins; Compositions of derivatives of epoxy resins
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/11OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/842Containers
    • H10K50/8426Peripheral sealing arrangements, e.g. adhesives, sealants
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K71/00Manufacture or treatment specially adapted for the organic devices covered by this subclass

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)

Abstract

【課題】光半導体を封止するための樹脂組成物であって、貯蔵安定性に優れた封止樹脂層の原料を提供する。
【解決手段】1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、下記一般式(11)または(12)で表される硬化促進剤(b2)とを含み、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定した粘度が10〜10000mPa・sである、光半導体用の面封止剤。
Figure 2013166949

Figure 2013166949

【選択図】図1

Description

本発明は、光半導体用の面封止剤、それを用いた有機ELデバイスの製造方法、有機ELデバイスおよび有機ELディスプレイパネルに関する。
有機EL素子は光半導体デバイスであり、液晶のバックライトや、自発光性の薄型平面表示デバイスとして期待されている。しかしながら有機EL素子は、水分や酸素に触れると極めて劣化しやすい。つまり、金属電極と有機物EL層との界面が水分の影響で剥離してしまったり、金属が酸化して高抵抗化してしまったり、有機EL素子の発光層に含まれる発光材などが水分によって変質してしまったりする。このようなことから、有機EL素子が発光しなくなったり、輝度が低下してしまったりするという欠点がある。また、無機LEDなどの光半導体においても、光半導体に接続される電気回路などが水分等と接触することで劣化する場合がある。
そこで有機EL素子などの光半導体を、水分や酸素から保護する方法が多数報告されている。その手法の一つとして、有機EL素子に(A)グリシジル基を有する化合物と(B)酸無水物硬化剤とを主成分とする有機EL封止剤層を積層して(面封止して)、さらにガラスもしくはフィルムをはり合わせる手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、有機EL素子は、水分や酸素などによって劣化しやすいため、樹脂からなる樹脂層と、無機化合物からなる無機化合物層と、を有する積層膜で封止することが多い。有機EL素子の積層膜による封止は、1)有機EL素子を無機化合物層で覆ったのちに、さらに樹脂層で覆う方法と、2)有機EL素子を樹脂層で覆ったのちに、さらに無機化合物層で覆う方法(特許文献2を参照)とがある。
ところで、フォトセンサやLEDなどの封止剤として、Zn(C2n+1COO)で表される化合物と、イミダゾール化合物とを硬化促進剤として含むエポキシ樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3)。また、パウダーコーディング材として、亜鉛などの金属イオンに、アミン化合物とカルボキシレートがそれぞれ配位した金属錯体を含む組成物なども提案されている(例えば特許文献4)。
特開2006−70221号公報 特開2009−252364号公報 特開平10−45879号公報 国際公開第2006/022899号
光半導体の面封止剤の粘度が貯蔵条件下で大きく変動すると、光半導体の封止条件を面封止剤の粘度の変化に応じて調整しなくてはならず、光半導体デバイスの製造効率が低下するという問題があった。逆に、面封止剤の貯蔵安定性を向上させると、光半導体を封止する際に、面封止剤が硬化しにくくなる傾向があり、硬化時間が長くなるため、光半導体デバイスの製造効率が低下するという問題があった。
また、光半導体、特に有機ELデバイスなどの発光する光半導体は、携帯用電子機器や照明器具などとして使用される場合、長時間日光に曝されるため、耐候性が必要とされる。特に、有機EL素子用の面封止剤の硬化物が日光などに曝されることで変色すると、トップエミッション型の有機ELデバイスの場合は、光取り出し効率が低下し、また意匠性が悪化するという問題があった。また、バックエミッション型の有機ELデバイスにおいても、意匠性が悪化するという問題があった。
これに対して特許文献3の組成物は、硬化性が十分でない場合があった。また、特許文献4の組成物は、貯蔵安定性は比較的改善されうるが、粘度が高いと考えられるため、封止剤としては適さないと考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の第一は、光半導体を封止するための樹脂組成物であって、良好な硬化性を有し、かつ貯蔵安定性に優れた封止樹脂層の原料;好ましくはさらに耐候性に優れた封止樹脂層の原料を提供することである。本発明の目的の第二は、光半導体を封止するための樹脂組成物であって、耐候性に優れた封止樹脂層の原料を提供することである。
本発明の第一は、以下の光半導体用の面封止剤に関する。
[1]1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、Zn、Bi、Ca、Al、Cd、La、Zrからなる群から選ばれる1種類以上の金属イオンと、前記金属イオンと錯形成が可能であって、N−H結合を有さない3級アミンと、分子量が17〜200のアニオン性配位子とを含む金属錯体(b1)と、を含み、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定した粘度が10〜10000mPa・sである、光半導体用の面封止剤。
[2] 前記アニオン性配位子の価数が前記金属イオンの価数より小さく、かつ前記アニオン性配位子の半径が2.0Å以上である、[1]に記載の光半導体用の面封止剤。
[3] 前記3級アミンが、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物である、[1]または[2]に記載の光半導体用の面封止剤。
Figure 2013166949
(一般式(1)において、Rは、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;R、R、Rは、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す)
Figure 2013166949
(一般式(2)において、RB1、RB3、RB4、RB5は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RB2は、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RB1、RB2、RB3、RB4、RB5から選択された複数の基が互いに連結して、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい)
Figure 2013166949
(一般式(3)において、RC1、RC3、RC4、RC5は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RC2は、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RC1、RC2、RC3、RC4、RC5から選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい)
Figure 2013166949
(一般式(4)において、RE1、RE2、RE3、RE4、RE5は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RE1、RE2、RE3、RE4、RE5から選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい)
Figure 2013166949
(一般式(5)において、RF1、RF2、RF3、RF4、RF5、RF6、RF7は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RF1、RF2、RF3、RF4、RF5、RF6、RF7から選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい)
Figure 2013166949
(一般式(6)において、RG1、RG2、RG3、RG4は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示し;RG1、RG2、RG3、RG4から選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい)
[4] 前記アニオン性配位子が、O、S、Pからなる群から選ばれ、前記金属イオンに結合しうる原子を2以上有し、かつ前記金属イオンに配位して3〜7員環を形成しうるものである、[1]〜[3]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
[5] 前記3級アミンが、前記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であり、かつ前記アニオン性配位子が、下記一般式(7A)で表されるカルボキシレート化合物である、[3]に記載の光半導体用の面封止剤。
Figure 2013166949
(一般式(7A)において、RD1は、フリーまたは水素原子であり、RD2は、水素基、炭素数1〜10の炭化水素基または水酸基である)
[6] 前記面封止剤の、CDCl中、25℃、270MHzにおけるHNMRの化学シフトのうち3級アミンに由来する化学シフトが、前記3級アミン単独の、CDCl中、25℃、270MHzにおけるHNMRの化学シフトに対して0.05ppm以上移動するピークを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
[7] 前記金属イオンに対する前記3級アミンのモル比が、0.5〜6.0である、[1]〜[6]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
[8] 前記カルボキシレート化合物が、2−エチルヘキサン酸、ギ酸、酢酸、ブタン酸、2-エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、3−メチルブタン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、安息香酸およびナフテン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である、[5]に記載の光半導体用の面封止剤。
[9] 前記3級アミンが、1,8−ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾールおよび1,5−ジアゾビシクロ[4,3,0]ノン−5−エンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の化合物である、[1]〜[8]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
本発明の第二は、以下の光半導体用の面封止剤に関する。
[10] 1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、下記一般式(11)または(12)で表される硬化促進剤(b2)とを含み、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定した粘度が10〜10000mPa・sである、光半導体用の面封止剤。
Figure 2013166949
(一般式(11)において、R、R、R、Rは、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示すが;但し、Rが水素基である場合は、RおよびRのいずれか一方または両方がアリール基である)
Figure 2013166949
(一般式(12)において、RA、RA、RA、RAは、それぞれ独立に、水素基、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基、ジメチルアミノメチル基を示すが;但し、RA,RA,RAおよびRAの1つ以上はジメチルアミノメチル基である)
[11] 前記一般式(11)において、Rが、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す、[10]に記載の光半導体用の面封止剤。
[12] 前記光半導体用の面封止剤は、前記金属錯体(b1)を、3級アミンの活性官能基/エポキシ基の当量比が0.008〜0.3となる範囲で含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
[13] 前記光半導体用の面封止剤は、前記硬化促進剤(b2)を、3級アミンの活性官能基/エポキシ基の当量比が0.008〜0.152となる範囲で含む、[10]または[11]に記載の光半導体用の面封止剤。
[14] 前記光半導体用の面封止剤は、酸無水物を、酸無水物基/エポキシ基の当量比が0.8〜1.2となる範囲でさらに含む、[1]〜[13]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
[15] 含水率が0.1重量%以下である、[1]〜[14]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
[16] 有機EL素子用の面封止剤である、[1]〜[15]のいずれかに記載の光半導体用の面封止剤。
本発明の第三は、以下の有機ELデバイスの製造方法等に関する。
[17] 基板上に有機EL素子を形成する第1の工程と、前記有機EL素子を、[1]〜[16]のいずれかに記載の面封止剤で覆う第2の工程と、前記面封止剤を硬化させた硬化物で、前記有機EL素子を面封止する第3の工程と、前記有機EL素子を面封止する前記硬化物上に、パッシベーション膜を成膜する第4の工程と、を含む、有機ELデバイスの製造方法。
[18] 有機EL素子と、前記有機EL素子と接触しており、前記有機EL素子を面封止している[1]〜[16]のいずれかに記載の面封止剤の硬化物からなる硬化物層と、前記硬化物層と接するパッシベーション層と、を含む有機ELデバイス。
[19] 有機EL素子と、前記有機EL素子を面封止しており、X線光電子分光法(XPS)で測定されるスペクトルにおいて、Zn、Bi、Ca、Al、Cd、La、Zrからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子に由来するピークと、窒素原子に由来するピークとが検出され、前記検出される金属原子と窒素原子とのモル比が、前記金属原子:前記窒素原子=1:0.5〜1:6.0であり、かつ前記金属原子の含有量が0.5〜15質量%であるエポキシ樹脂組成物の硬化物層と、前記硬化物層と接するパッシベーション層と、を含む、有機ELデバイス。
[20] [18]または[19]に記載の有機ELデバイスを有する、有機ELディスプレイパネル。
本発明の第一の形態の面封止剤は、良好な硬化性を有し、かつ貯蔵安定性に優れている。そのため、有機EL素子などの光半導体の封止条件をある程度一定にすることができ、光半導体の製造効率を高めることができる。また、本発明の第二の形態の面封止剤を用いることで、光半導体の封止膜の耐光性を高めることができ、例えばその透明性を維持することができる。そのため、有機EL素子などの光半導体が発光する光を高効率に取り出すことができたり、意匠性を維持したりすることができる。また、光半導体に入射する光を大きく減衰させことなく光半導体に取り込むことができる。よって、特に、有機EL素子の輝度の向上などが実現される。
面封止型の有機ELデバイスの断面を模式的に示す図である。 面封止型の有機ELデバイスの製造プロセスを示す図である。
1.エポキシ樹脂組成物について
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(a)と、アミン化合物(b)とを含み;さらに、酸無水物(c)などを含みうる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば面封止剤、透明フィル剤などの用途;好ましくは面封止剤として用いられうる。なお、透明フィル剤とは、例えば、タッチパネルなどの基板と液晶パネルなどの画像表示装置の間を埋める透明性が要求される材料のことをいう。以下、本発明のエポキシ樹脂組成物が面封止剤として用いられる例で説明する。本発明の面封止剤には、後述する第一または第二の形態の面封止剤が含まれる。
エポキシ樹脂(a)について
本発明の面封止剤に含まれるエポキシ樹脂(a)は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であればよく、分子量などは特に限定されず、分子量分布がないエポキシ樹脂も、分子量分布があるエポキシ樹脂も用いることができる。
1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の例には、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテルなどが含まれる。
1分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物の例には、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ、クレゾールノボラック型エポキシなどが含まれる。
また、エポキシ樹脂は、エポキシ基を有するポリマーまたはオリゴマーを含有していてもよい。エポキシ基を有するポリマーまたはオリゴマーは、特に限定されるわけではないが、エポキシ基を有するビニルモノマーなどを重合して得られる。エポキシ基を有するビニルモノマーの例には、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有するビニルモノマーと、他のビニルモノマーなどとの共重合ポリマーまたはオリゴマーでもよい。他のビニルモノマーの例には、(メタ)アクリレート類が挙げられる。(メタ)アクリレート類のエステル基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ターシャルブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、イソボロニル基、ラウリル基、ミリスチル基などの、直鎖構造、分岐構造を問わず、非官能性アルキルエステルが好ましい。さらにエポキシ樹脂は、エポキシ基を有するビニルモノマーと、スチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニルなどとの共重合ポリマーであってもよい。
本発明の面封止剤に含まれるエポキシ樹脂(a)の好ましい具体例には、四官能ナフタレン型エポキシ樹脂(a-a)、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂(a-b)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(a-c)、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a-d)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(a-e)、フルオレン型エポキシ樹脂(a-f)、ビスフェノール型3官能エポキシ樹脂(a-g)などが含まれる。各エポキシ樹脂の例を以下に構造式で示す。
Figure 2013166949
Figure 2013166949
Figure 2013166949
Figure 2013166949
Figure 2013166949
Figure 2013166949
Figure 2013166949
エポキシ樹脂(a-a)〜(a-g)は嵩高い基(アリール基)を有しているので、これらエポキシ樹脂を含む樹脂硬化物の耐熱性が向上しやすい。また、これらエポキシ樹脂を含む樹脂硬化物は、透明性が高まりやすく、接着性も高まりやすい。さらに、これらのエポキシ樹脂を含む面封止剤の粘度は、所望の範囲(E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定した粘度が10〜10000mPa・s)に調整されやすい。そのため、本発明の面封止剤は、スクリーン印刷などで成膜しやすい。
ところが一方で、これらの嵩高い基を有するエポキシ樹脂を含む樹脂硬化物は、プラズマに曝されることで透明性が低下して、ヘイズ上昇が生じやすい。これに対して、特定のアミン化合物(b2)を配合した本発明の面封止剤は、その樹脂硬化物の透明性の低下やヘイズ上昇が抑制されている。
本発明の面封止剤は、粘度を後述する範囲に調整しやすくするために、エポキシ樹脂(a)として、少なくとも低分子量のエポキシ樹脂(a-1)を含むことが好ましい。また、本発明の面封止剤に、必要に応じて高分子量のエポキシ樹脂(a-2)をさらに添加することで、シート状などの面封止成形物を得ることもできる。
低分子量のエポキシ樹脂(a-1)とは、重量平均分子量が200〜800であるエポキシ樹脂であり;好ましくは重量平均分子量が300〜700であるエポキシ樹脂であればよい。「重量平均分子量(Mw)」は、ポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
エポキシ樹脂(a-1)の例には、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物などが含まれる。ビスフェノール型エポキシ化合物の例には、一般式(X)で表される化合物が含まれ、好ましい例には、一般式(X')で表される化合物が含まれる。
Figure 2013166949
一般式(X)において、Xは、単結合、メチレン基、イソプロピリデン基、−S−、又は−SO−を示し;Rは、それぞれ独立して炭素数が1〜5のアルキル基を示し、nは、2以上の整数を示し、Pは、0〜4の整数を示す。
フェノール誘導体とエピクロロヒドリンとをモノマー成分として含むオリゴマーのフェノール誘導体の例には、ビスフェノール、水素化ビスフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが含まれる。
低分子量のエポキシ樹脂(a-1)の好ましい例には、ビスフェノール型エポキシ化合物、またはビスフェノールとエピクロロヒドリンとをモノマー成分とするオリゴマーが含まれ、より好ましくは前記一般式(X)において、繰り返し数nが2〜4であるオリゴマーである。これは、後述する面封止成形物を得る際に、本発明の面封止剤に、さらに任意に配合されうる高分子量のエポキシ樹脂(a-2)との親和性が高いからである。低分子量のエポキシ樹脂(a-1)に含まれる繰り返し構造単位は、高分子量のエポキシ樹脂(a-2)に含まれる繰り返し構造単位と同じであっても、異なってもよい。
低分子量のエポキシ樹脂(a-1)のエポキシ当量は、100〜800g/eqであることが好ましい。
本発明の封止用組成物に含まれる低分子量のエポキシ樹脂(a-1)は、主に、素子に熱圧着する際の封止用シートの流動性を高めて素子への密着性を高める機能を有する。
本発明の面封止剤を用いて、シート状などの面封止成形物を得ることもできる。面封止成形物には、高分子量のエポキシ樹脂(a-2)と、低分子量のエポキシ樹脂(a-1)とのいずれか一方または両方が含まれていてもよい。
高分子量のエポキシ樹脂(a-2)の例には、フェノール樹脂とエピクロロヒドリンとをモノマー成分として含む樹脂又はオリゴマーが含まれ、好ましくはオリゴマーである。フェノール樹脂とは、ナフトール樹脂などのヒドロキシアリール系樹脂を含む。高分子量のフェノール型エポキシ樹脂(a-2)の重量平均分子量(Mw)は、3×10〜2×10であり、好ましくは3×10〜7×10である。「重量平均分子量(Mw)」は、ポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
エポキシ樹脂(a-2)の重量平均分子量(Mw)を上記の数値範囲とすることで、接着力が強く、透湿度の低い封止膜を作製する面封止成形物を得ることができる。また、重量平均分子量(Mw)が上記の数値範囲であるエポキシ樹脂(a-2)を含む面封止剤は、塗工しやすく、かつシート状に成膜しやすい。
エポキシ樹脂(a-2)の重量平均分子量(Mw)は、過剰に高くなく、適切に制御されている。このため、本発明の面封止剤を硬化させた硬化物(封止部材)は、透湿性が低く、接着力が高い。
エポキシ樹脂(a-2)は、フェノール樹脂とエピクロロヒドリンとをモノマー成分とするオリゴマーであることが好ましい。エポキシ樹脂(a-2)のモノマー成分の全てをフェノール樹脂とエピクロロヒドリンとしてもよいし、モノマー成分の一部をフェノール樹脂とエピクロロヒドリン以外の化合物(コモノマー成分)としてもよい。モノマー成分の一部を上記コモノマー成分とすることで、得られるエポキシ樹脂(a-2)の重量平均分子量(Mw)を所望の値に制御しやすくなる。エポキシ樹脂(a-2)のモノマー成分を適切に選択することにより、封止用組成物の塗膜表面の平滑性を向上させることができる。
エポキシ樹脂(a-2)のエポキシ当量は、500〜10000g/eqであることが好ましい。
本発明の面封止成形物に含まれるエポキシ樹脂における、高分子量のエポキシ樹脂(a-2)と、低分子量のエポキシ樹脂(a-1)の割合は特に限定されず、所望の粘度が実現できるように組成を調整することが好ましい。高分子量のエポキシ樹脂(a-2)の含有量が多過ぎると、硬化物(シール部材)の透湿度が高くなる傾向にある。また、有機EL素子等に圧着させる際の流動性が低くなり、封止用シートと有機EL素子等との間に隙間が形成されやすくなる。一方、高分子量のエポキシ樹脂(a-1)の含有量が少な過ぎると、ハンドリング性が低下するおそれがある。
アミン化合物(b)
本発明の面封止剤に含まれるアミン化合物(b)は、3級アミンの金属錯体(b1)または特定のアミン化合物(b2)でありうる。これらのアミン化合物(b)は、硬化促進剤として機能しうる。
即ち、本発明の第一の形態の面封止剤は、3級アミンの金属錯体(b1)を含む。3級アミンの金属錯体(b1)は、金属イオンと、当該金属イオンに配位する3級アミンと、当該金属イオンに配位またはイオン結合するアニオン性配位子とを含む。
金属錯体(b1)における金属イオンは、Zn、Bi、Ca、Al、Cd、La、Zrからなる群から選ばれる金属イオンであればよい。面封止剤の透明性を向上させるという観点からはZnが好ましい。また金属錯体(b1)が2以上の金属イオンを含む場合、そのうち少なくとも1つの金属イオンが、Zn、Bi、Ca、Al、Cd、La、Zrから選ばれる金属イオンであればよい。
金属錯体(b1)における3級アミンは、貯蔵条件下での3級アミンの反応性を低下させるためには、金属イオンと錯体を形成でき、かつN−H結合を有しないことが好ましい。また、金属錯体(b1)における3級アミンの分子量は、65〜300であることが好ましい。3級アミンの分子量が大きすぎると、金属錯体(b1)の面封止剤への溶解性が低下したり、触媒活性が低下したりすることがあるからである。
金属錯体(b1)における3級アミンは、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。これらの化合物は、環を構成する窒素原子上に共役系の電子雲が集まり、金属イオンと安定に錯体を形成しやすいと考えられる。また、後述するように、これらの化合物を含む面封止剤の硬化物層は、プラズマ処理されても透明性の低下やヘイズ上昇が少なく、良好なプラズマ耐性や耐候性を有すると考えられる。
Figure 2013166949
一般式(1)において、R、R、Rは、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基である。炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
は、水素原子以外の置換基(脂肪族炭化水素基、アリール基、水酸基またはシアノエチル基)である。Rが他の置換基である場合と比較して、Rが水素原子であると、面封止剤の硬化物からなる封止層が、プラズマなどに曝されることで透明性が低下することがあるからである。
一般式(1)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾールなどが含まれる。
Figure 2013166949
一般式(2)において、RB1、RB3、RB4、RB5は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RB2は、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RB1、RB2、RB3、RB4、RB5から適宜選択された複数の基が互いに連結して、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。
炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
一般式(2)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の1,8−ジアゾビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンが含まれる。
Figure 2013166949
一般式(3)において、RC1、RC3、RC4、RC5は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RC2は、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RC1、RC2、RC3、RC4、RC5から適宜選択された複数の基が互いに連結して、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。
炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
一般式(3)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の1,5−ジアゾビシクロ[4,3,0]ノン−5−エンが含まれる。
Figure 2013166949
一般式(4)において、RE1、RE2、RE3、RE4、RE5は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RE1、RE2、RE3、RE4、RE5から選択された複数の基が互いに連結して、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。
炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
一般式(4)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の下記式(4−1)で表される化合物が含まれる。
Figure 2013166949
一般式(5)において、RF1、RF2、RF3、RF4、RF5、RF6、RF7は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RF1、RF2、RF3、RF4、RF5、RF6、RF7から選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。
炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
一般式(5)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の下記式(5−1)で表される化合物が含まれる。
Figure 2013166949
一般式(6)において、RG1、RG2、RG3、RG4は、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17のヘテロ原子を含有してもよい脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す。RG1、RG2、RG3、RG4から選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。
炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
一般式(6)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の下記式(6−1)で表される化合物が含まれる。
Figure 2013166949
これらの3級アミンのうち、例えば式(4)で表される化合物のpKaは5付近であるのに対し、式(1)で表される化合物のpKaは7付近であり、式(2)で表される化合物の一つであるジアザビシクロウンデセンのpKaは12付近である。つまり、式(1)や(2)で表される化合物は、式(4)で表される化合物よりも高い塩基性を示す傾向がある。つまり、金属錯体(b1)における3級アミンは、塩基性度が高く、エポキシ樹脂に対する硬化活性が良好であることから、一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
金属イオンと錯体を形成する3級アミンは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。即ち、金属錯体(b1)は、複数の金属イオンを中心金属とする複核錯体であってもよい。
金属錯体(b1)における、金属イオンに対する3級アミンのモル比は、0.5〜6.0であることが好まししく、さらに好ましくは0.6〜2.0である。モル比が0.5以上であると、金属錯体(b1)に配位する3級アミンが多く、面封止剤の硬化性が良好になりやすい。一方、モル比が6.0以下だと、金属錯体(b1)に配位する3級アミンが少ないため、面封止剤の貯蔵安定性が良好となる。モル比が前記範囲内であれば、硬化性と貯蔵安定性のバランスが良好となる。
金属錯体(b1)におけるアニオン性配位子は、O、S、P、ハロゲンからなる群から選ばれる原子を有する酸性基を有し、金属イオンに配位結合またはイオン結合する化合物である。
アニオン性配位子の価数は、金属イオンの価数よりも小さいことが好ましい。金属イオンよりも小さい価数のアニオン性配位子は、1つの金属イオンに、2以上結合することができ、金属錯体(b1)を安定化させることができるためである。
アニオン性配位子の分子量は、17〜200であることが好ましい。アニオン性配位子の分子量が17以上であると、後述するように、金属イオンと3級アミンとの配位結合距離が小さくなりやすいため、金属錯体(b1)の硬化性が損なわれにくいと考えられる。一方、アニオン性配位子の分子量が200以下であると、アニオン性配位子が大きすぎないため、その立体障害により3級アミンが金属イオンに配位するのを著しく妨げることもないと考えられる。その結果、金属錯体(b1)の貯蔵条件下での安定性が損なわれにくいと考えられる。
アニオン性配位子の半径は、2.0Å以上であることが好ましく、2.4Å以上であることがより好ましい。金属錯体(b1)の硬化性を良好にするためである。例えば、2つのアニオン性配位子が金属イオンに配位している場合、当該金属イオンに3級アミンがさらに配位すると、一方のアニオン性配位子と金属イオンとの結合と、他方のアニオン性配位子−金属イオンとの結合とのなす角度が狭められて安定化すると考えられる。アニオン性配位子の半径が2.0Å以上であると、これらの結合同士のなす角度が狭まりにくいため、金属イオンと3級アミンとの配位結合距離が小さくなりやすいと考えられる。その結果、金属錯体(b1)の硬化性が損なわれにくいと考えられる。金属錯体(b1)の硬化性が損なわれにくいと、特に硬化物の表面の硬化度が高くなりやすい。硬化物の表面の硬化度が高いと、硬化物の表面にパッシベーション層などを形成した際に、硬化物の表面の平滑性が損なわれにくい。そのため、硬化物の外部ヘイズが上昇しにくく、透明性が損なわれにくいと考えられる。
一方、アニオン性配位子の半径の上限は200Å程度としうる。アニオン性配位子の半径が200Å以下であると、アニオン性配位子の大きさが、その立体障害により3級アミンが金属イオンに配位するのを顕著に妨げることもないと考えられる。その結果、金属錯体(b1)の貯蔵条件下での安定性が損なわれにくいと考えられる。
アニオン性配位子の半径は、アニオン性配位子のconnolly volumeを求めた後;connolly volumeを真球の体積と仮定したときの半径として算出することができる。
アニオン性配位子のconnolly volumeは、アニオン性配位子の構造を最適化した後、例えばMaterial Studio 6.0 Dmol3を用いて計算することができる。アニオン性配位子の構造の最適化は、MM2(分子力学計算法)や、PBE/DNP 4.4で行うことができる。このように、アニオン性配位子の構造を最適化した後、connolly radiusを1.0Åとして、connolly volumeを求める。
例えば、酢酸イオンの半径を計算する場合について説明する。酢酸イオンのconnelly volumeを、前述の方法で求めると、54.8Åとなる。この体積を、真球の体積として仮定して前記真球の半径を求めると、約2.36Åとなり、これを酢酸イオン(配位子)の半径とすることができる。
一方、塩化物イオンや硫酸イオンなどの半径は、化学便覧 基礎編 改訂2版 日本化学学会編)に記載のイオン半径(ShannonおよびPrewittによる計算値)とすることができる。
アニオン性配位子の価数は金属イオンの価数よりも小さく、かつアニオン性配位子の半径は2.0Å以上(好ましくは2.4Å以上)であることがより好ましい。
アニオン性配位子は、カルボキシレート化合物、1,3−ジカルボニル化合物、ジチオカルボン酸やそのカルボキシレートアニオン、チオカルボン酸やそのカルボキシレートアニオン、チオノカルボン酸やそのカルボキシレートアニオン、1,3−ジチオカルボニル化合物、硝酸化物イオン、ハロゲンイオンなどでありうる。
カルボキシレート化合物は、下記式(7A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013166949
一般式(7A)において、RD1は、フリーまたは水素基を示す。RD2は、水素基、炭素数1〜10の炭化水素基または水酸基を示す。炭素数1〜10の炭化水素基は、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール含有基であってよく、炭素数1〜7の直鎖状ないし分岐アルキル基であることが好ましい。RD1がフリーであるとは、下記式(7B)のようにカルボキシレート化合物がアニオンになっていることを表す。RD1が水素基である場合は、水酸基が金属イオンに配位し;RD1がフリーである場合は、Oが金属イオンに配位している場合が多い。
Figure 2013166949
式(7A)で表されるカルボキシレート化合物の例には、炭素数2〜10のアルキルカルボン酸やそのカルボキシレートアニオン、炭素数7〜10のアリールカルボン酸やそのカルボキシレートアニオンなどが含まれる。
炭素数1〜10のアルキルカルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、ブタン酸、2-エチルブタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸、3−メチルブタン酸、2,2-ジメチルプロパン酸などが含まれ、特にギ酸、酢酸、2−エチルヘキサン酸が好ましい。
Figure 2013166949
炭素数7〜10のアリールカルボン酸の例には、安息香酸、ナフテン酸などが含まれる。
1,3−ジカルボニル化合物は、式(8)で表される化合物であることが好ましい。
R1−(C=O)−CH=C(O)−R2 …(8)
式(8)において、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基である。炭素数1〜10のアルキル基は、メチル基、エチル基などでありうる。炭素数6〜10のアリール基は、フェニル基、ナフチル基などでありうる。1,3−ジカルボニル化合物の例には、アセチルアセトナートなどが含まれる。
ジチオカルボン酸やそのカルボキシレートアニオンの例には、炭素数1〜10のアルキルジチオカルボン酸やそのジチオカルボキシレートアニオン、炭素数7〜15のアリールジチオカルボン酸やそのジチオカルボキシレートアニオンなどが含まれる。
炭素数1〜10のアルキルジチオカルボン酸の例には、ジチオギ酸、ジチオ酢酸、ジチオプロパン酸、ジチオ−2−エチルヘキサン酸などが含まれる。
Figure 2013166949
チオカルボン酸やそのカルボキシレートアニオンの例には、炭素数1〜10のアルキルチオカルボン酸やそのアルキルチオカルボキシレートアニオン、炭素数7〜15のアリールチオカルボン酸やそのアリールチオカルボキシレートアニオンなどが含まれる。
炭素数1〜10のアルキルチオカルボン酸の例には、チオ酢酸、チオ−2−エチルヘキサン酸などが含まれる。
Figure 2013166949
チオノカルボン酸やそのカルボキシレートアニオンの例には、炭素数1〜10のアルキルチオノカルボン酸やそのアルキルチオノカルボキシレートアニオン、炭素数7〜15のアリールチオノカルボン酸やそのアリールチオノカルボキシレートアニオンなどが含まれる。
炭素数1〜10のアルキルチオノカルボン酸の例には、チオノ酢酸、チオノ−2−エチルヘキサン酸などが含まれる。
Figure 2013166949
1,3−ジチオカルボニル化合物は、式(9)で表される化合物であることが好ましい。
R3−(C=S)−CH=C(S)−R4 …(9)
式(9)において、R3およびR4は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基である。炭素数1〜10のアルキル基は、メチル基、エチル基などでありうる。炭素数6〜10のアリール基は、フェニル基、ナフチル基などでありうる。
硝酸化物イオンの例には、NO が含まれる。ハロゲンイオンの例には、Brなどが含まれる。
アニオン性配位子に含まれる、O、S、P、ハロゲンから選ばれる原子(金属イオンに結合しうる原子)の数は、1つであっても、2以上であってもよい。金属イオンに結合しうる原子を2以上含むアニオン性配位子は、金属イオンと1つの原子を介して結合してもよいし;2以上の原子のそれぞれを介して結合してもよい。金属イオンと環を形成して金属錯体(b1)を電子的に安定化させやすく、かつ金属錯体(b1)の硬化性を良好に維持するためには、アニオン性配位子に含まれる金属イオンと結合しうる原子の数は2以上であることが好ましい。
金属イオンと結合しうる原子を2以上含むアニオン性配位子は、金属イオンと3〜7員環を形成しうることが好ましい。そのようなアニオン性配位子の好ましい例には、前述の式(7A)で表されるカルボキシレート化合物が含まれる。式(7A)で表されるカルボキシレート化合物は、カルボニル基を構成する酸素原子またはカルボニル基と隣接する酸素原子のいずれかを介して金属イオンと結合しうる。
金属錯体(b1)は、金属イオンに、前述の一般式(1)〜(3)のいずれかの式で表される3級アミンと、前述の一般式(7A)で表されるカルボキシレート化合物とがそれぞれ配位した化合物であることが好ましい。
金属イオンに配位する3級アミンは、前記一般式(1)〜(3)のうちいずれか1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
本発明の面封止剤の貯蔵安定性を保ちつつ、有機EL素子の劣化を抑制できる温度で硬化を進めるためには、金属錯体(b1)は、一般式(1)〜(3)で表される2つのアミン化合物と、一般式(7A)で表される2つのカルボキシレート化合物とが金属イオンに配位した錯体であることが好ましい。
具体的には、下記一般式(10)で示される金属錯体が好ましい。
Figure 2013166949
金属錯体(b1)は、エポキシ樹脂(a)や、任意の酸無水物(c)などに溶解しやすいように、それらとの極性が近いほうが好ましい。また、金属錯体(b1)における3級アミンも、エポキシ樹脂(a)や、任意の酸無水物(c)などに溶解しやすいように、それらとの極性が近いほうが好ましい。
3級アミンが金属イオンと錯体を形成しているかどうかは、金属錯体(b1)における3級アミンのHNMRの化学シフトと、3級アミン単独のHNMRの化学シフトとの対比によって確認することができる。即ち、金属錯体(b1)における3級アミンのHNMR(CDCl中、25℃、270MHz)の化学シフトが、3級アミン単独のHNMR(CDCl中、25℃、270MHz)の化学シフトに対して0.05ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.4ppm以上移動しているピークを含むことによって、3級アミンが金属イオンと錯体を形成しているということを確認できる。ピークの移動量の上限は、特に制限されないが、通常、1ppm程度であり、より一般的には0.7ppmになる場合が多い。
面封止剤中の3級アミンが金属イオンと錯体を形成しているかどうか(面封止剤が金属錯体(b1)を含むかどうか)は、面封止剤のHNMRの化学シフトのうち3級アミンに由来する化学シフトと、3級アミン単独のHNMRの化学シフトとの対比によっても確認することができる。その場合も、前述と同様に、面封止剤のHNMR(CDCl中、25℃、270MHz)の化学シフトのうち3級アミンに由来する化学シフトが、3級アミン単独のHNMR(CDCl中、25℃、270MHz)の化学シフトに対して0.05ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.4ppm以上移動しているピークを含むことによって、面封止剤中の3級アミンが金属イオンと錯体を形成しているということを確認できる。ピークの移動量の上限も、前述と同様に、1ppm程度、好ましくは0.7ppm程度でありうる。
あるいは、面封止剤中の3級アミンが金属イオンと錯体を形成しているかどうか(面封止剤が金属錯体(b1)を含むかどうか)は、面封止剤のHNMRの化学シフトと、金属錯体(b1)単独のHNMRの化学シフトとの対比によっても確認することができる。例えば、面封止剤のHNMRの化学シフト中に、金属錯体(b1)単独のHNMRの化学シフトと同様の化学シフトがあれば、面封止剤が金属錯体(b1)を含んでいると判断できる。
HNMRにおいて移動するピークは、3級アミンが金属イオンに配位することによって電子状態が変化する水素原子に由来すると考えられる。そのような水素原子は、通常、窒素原子を含む共役系の周辺に存在する水素原子であると考えられる。例えば、3級アミンが式(1)で表されるイミダゾール化合物である場合、HNMRにおいて移動するピークは、4位または5位の水素原子に帰属することが多い。
窒素原子を含む共役系の周囲に存在する水素原子の周囲に嵩高い基を有していない3級アミンは、共役系に含まれる窒素原子が金属イオンに近づきやすいため、金属イオンに配位しやすいと予想される。
面封止剤における金属錯体(b1)の含有量は、「金属錯体(b1)の活性官能基(3級アミノ基)/面封止剤に含まれるエポキシ基」の当量比が0.008〜0.3であることが好ましい。面封止剤の硬化性を高めるためには、0.01〜0.2であることが好ましく、0.03〜0.152であることがより好ましい。金属錯体(b1)は、一種の金属錯体のみで構成されてもよく、二種以上の金属錯体の組み合わせであってもよい。
本発明の第二の形態の面封止剤は、特定のアミン化合物(b2)を含む。特定のアミン化合物(b2)は、一般式(11)または(12)で表される。
Figure 2013166949
一般式(11)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、アリール含有基、水酸基、シアノエチル基を示す。炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
は、好ましくは、水素原子以外の置換基(脂肪族炭化水素基、アリール基、水酸基またはシアノエチル基)であることが好ましい。Rが他の置換基である場合と比較して、Rが水素原子であると、面封止剤の硬化物からなる封止層が、プラズマなどに曝されることで透明性が低下することがあるからである。
ただし、RおよびRのいずれか一方または両方がアリール基である場合には、Rが水素原子であっても構わない。水素原子であるRの反応性を、アリール基であるRおよびRが低下させうるからである。
一般式(11)で表される化合物は、塩になっていてもよい。塩の例には、塩酸塩、イソシアヌル酸塩、トリアジンイソシアヌル酸塩などが含まれる。
一般式(11)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 2013166949
一般式(12)において、RA、RA、RA、RAは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、アリール含有基、水酸基、ジメチルアミノメチル基を示す。炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。アリール含有基の例には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基と、ベンジル基などのアリールアルキル基とが含まれる。アリール含有基の構成炭素数は、6〜11の範囲にあることが好ましい。
ただし、一般式(12)において、RA、RA、RA、RAのいずれか1つはジメチルアミノ基である。好ましくは、RA、RA、RAのうちの2つがジメチルアミノ基であることが好ましく、より好ましくはRA、RA、RAの全てがジメチルアミノ基である。一般式(2)のRA、RA、RAまたはRAが示すジメチルアミノメチル基は、適度な反応性(求核反応性)を有する。つまり、ジメチルアミノメチル基(MeNCH−)のメチル基(Me)がバルキーなアルキル基になると反応性が低下するため、本発明の面封止剤の硬化促進剤としては適さない場合がある。また、ジメチルアミノメチル基(MeNCH−)をジメチルアミノ基(MeN−)とすると、反応性が高まりすぎるため、貯蔵安定性が低下し本発明の面封止剤の硬化促進剤としては適さない場合がある。なお、ここでいう貯蔵安定性とは、貯蔵条件下で硬化反応が進みにくく、粘度が上昇しにくいことをいう。
一般式(12)で表される化合物は、塩になっていてもよい。塩の例には、塩酸塩、2−エチルヘキサン酸塩などが含まれる。
一般式(12)で表されるアミン化合物の具体例には、以下の化合物が含まれる。
Figure 2013166949
アミン化合物(b2)は、エポキシ樹脂(a)や、任意の酸無水物(c)などに溶解しやすいように、それらとの極性が近いほうが好ましい。
面封止剤におけるアミン化合物(b2)の含有量は、「アミン化合物(b2)の活性官能基(3級アミノ基)/面封止剤に含まれるエポキシ基」の当量比が0.008〜0.152であることが好ましく、0.02〜0.15であることがより好ましい。アミン化合物(b2)は、一種の化合物のみで構成されてもよく、二種以上の化合物の組み合わせであってもよい。
酸無水物(c)
本発明の面封止剤は、酸無水物(c)を含んでいてもよい。特に、硬化性樹脂であるエポキシ樹脂と、酸無水物とを含む面封止剤からは、透明性の高い硬化物が得られることがある。芳香族系の酸無水物は着色しているものが多いので、脂肪族系(芳香族系の水添物)の酸無水物が好ましい。封止剤に含まれる酸無水物の例には、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが含まれる。透明性が高いのは脂肪族系の酸無水物であり、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸が用いられる。
本発明の面封止剤は、「酸無水物基/エポキシ基」の当量比が0.8〜1.2となるように、酸無水物(c)を含有することが好ましい。前記当量比が小さすぎると、室温などの貯蔵条件下での粘度安定性が低下する恐れがある。一方、前記当量比が大きすぎると、未反応の酸無水物が多くなり、透湿度が大きくなるなどして、有機EL素子の劣化の原因になる恐れがある。
カップリング剤(d)
本発明の面封止剤は、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などのカップリング剤を含有してもよい。カップリング剤を含む面封止剤は、ガラス基板との密着性が高まる。
シランカップリング剤の例には、1)エポキシ基を有するシランカップリング剤、2)エポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤、および3)その他のシランカップリング剤が含まれる。なかでも、封止用組成物のエポキシ樹脂と反応させて、硬化物中に低分子量成分を残さないようにするためには、1)エポキシ基を有するシランカップリング剤、および2)エポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。エポキシ基と反応するとは、エポキシ基と付加反応することなどをいう。
1)エポキシ基を有するシランカップリング剤とは、グリシジル基等のエポキシ基を含むシランカップリング剤であり;その例には、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが含まれる。
2)エポキシ基と反応可能な官能基には、1級アミノ基、2級アミノ基等のアミノ基;カルボキシル基等が含まれるほか、エポキシ基と反応可能な官能基に変換される基(例えば、メタクリロイル基、イソシアネート基など)も含まれる。このようなエポキシ基と反応可能な官能基を有するシランカップリング剤の例には、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランまたは3-(4-メチルピペラジノ)プロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ-イソシアナトプロピルトリエトキシシランなどが含まれる。
3)その他のシランカップリング剤の例には、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが含まれる。これらのシランカップリング剤は、1種単独であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
本発明の面封止剤に含まれるシランカップリング剤の分子量は、80〜800であることが好ましい。シランカップリング剤の分子量が800を超えると、密着性が低下したりすることがある。
本発明の面封止剤におけるシランカップリング剤の含有量は、面封止剤100質量部に対して、0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.3〜10質量部であることがさらに好ましい。
その他の任意成分(e)
本発明の面封止剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分(e)を含有させることができる。その他の任意成分(e)としては、樹脂成分、充填剤、改質剤、酸化防止剤、安定剤等を挙げることができる。樹脂成分の具体例としては、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジェン、ポリクロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー等を挙げることができる。これらの樹脂成分は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、本発明の面封止剤の硬化物に透明性が求められる場合には、エポキシ樹脂と相分離し、かつエポキシ樹脂との屈折率差が大きい成分;具体的には、エポキシ樹脂の硬化物との屈折率差が0.1以上でかつ直径が0.1μm以上の無機フィラーや有機フィラーなどを実質的に含まないことが好ましい。
充填剤の具体例としては、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等を挙げることができる。これらの充填剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
改質剤の具体例としては、重合開始助剤、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤等を挙げることができる。これらの改質剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、安定剤の具体例としては、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤等を挙げることができる。これらの安定剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤とは、プラズマ照射や日光照射により発生するラジカルを失活させるもの(Hindered Amine Light Stabilizer, HALS)や、過酸化物を分解するものなどをいう。酸化防止剤は、封止剤の硬化物の変色を防ぐことができる。
ヒンダードアミンの例には、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、2,4-ジクロロ-6-tert-オクチルアミノ-s-トリアジンと4,4'-ヘキサメチレンビス(アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピヘリジン)の重縮合生成物、ビス[1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル]セバケートが含まれる。
フェノール系酸化防止剤の例には、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールなどのモノフェノール類、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のビスフェノール類、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタンなどの高分子型フェノール類が含まれる。
リン系酸化防止剤は、ホスファイト類から選ばれる酸化防止剤及びオキサホスファフェナントレンオキサイド類から選ばれる着色防止剤が好ましく用いられる。
特に、紫外線への耐性を付与するという点では、Tinuvin123(ビス(1-オクチロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)、Tinuvin765(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル 1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートとの混合物)、Hostavin PR25(ジメチル 4-メトキシベンジル Idenemalonate)、Tinuvin 312 または Hostavin vsu(エタンジアミド N-(2-エトキシフェニル)-N'-(2-エチルフェニル))、CHIMASSORB 119 FL(N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物が好ましい。
溶剤(f)
本発明の面封止剤は、溶剤(f)を含んでもよい。溶剤(f)は、各成分を均一に分散または溶解させる機能を有する。溶剤(f)は、各種有機溶剤であってもよく、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ−ルモノアルキルエーテル等のエーテル類;N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等が含まれる。特に、本発明の面封止剤に、任意成分である高分子量のエポキシ樹脂(a−2)を添加して、面封止成形物を得る場合は、高分子量のエポキシ樹脂(a−2)を溶解し易い点から、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒(ケト基を有する溶媒)がより好ましい。
本発明の面封止剤の、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定した粘度は、10〜10000mPa・sであることが好ましく、200〜10000mPa・sであることがより好ましい。面封止剤の粘度を上記範囲にすることで、塗工(例えばスクリーン印刷)性が高まり、かつシートなどへの成形が容易になる。面封止剤の粘度は、E型粘度計(東機産業製 RC−500)によって、25℃の測定温度で測定される。
本発明の第一の形態の面封止剤の、25℃で24hr保存後の粘度上昇率は、100%未満であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、50%以下であることがさらに好ましい。
上記粘度上昇率は、以下のようにして算出できる。即ち、前述したように、合成直後の面封止剤の粘度を、E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定する。次いで、面封止剤を25℃、24hr保存後の粘度を同様の条件で測定する。得られた測定値をそれぞれ下記式に当てはめて、粘度上昇率を算出する。
粘度上昇率=粘度変化量(24hr後の粘度−合成直後の粘度)/合成直後の粘度×100
本発明の面封止剤の含水率は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.06質量%以下であることがより好ましい。有機EL素子などの光半導体が配置された電気回路は水分により劣化しやすいので、面封止剤の含水率をできるだけ低減することが好ましい。面封止剤の含水率は、試料サンプルを約0.1g計量し、カールフィッシャー水分計を用いて150℃に加熱し、その際に発生する水分量を測定することにより求めることができる(固体気化法)。
本発明の面封止剤は、光半導体用の面封止剤として好ましく用いられうる。光半導体とは、例えば電気を光に変換して発光する素子である。光半導体の具体的には、無機LED素子、有機EL素子などが含まれ、好ましくは有機EL素子である。光半導体は、水分などにより劣化しやすいため、表面を封止する必要がある。
本発明の面封止剤の硬化物の光線透過率は、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。硬化物の光線透過率が低すぎると、有機EL素子などの面封止剤として用いた場合に、素子からの光の取り出し効率が低下しやすく、また意匠性も悪化するからである。面封止剤の硬化物の光線透過率の上限値は、一般的には99%程度としうる。硬化物の光線透過率は、面封止剤に含まれるアミン化合物(b)の種類や量によって調整されうる。
硬化物の光線透過率の測定は、以下の手順で行うことができる。
1)面封止剤を、基材上に塗布および乾燥させた後、硬化させて、厚み100μmの硬化物を得る。
2)得られた硬化物の、波長450nmにおける光線透過率を、紫外/可視光光度計(島津製作所製のMULTISPEC−1500)を用いて測定する。
本発明の面封止剤は、液状の封止剤として用いられてもよいが、前述の高分子量のエポキシ樹脂(a-2)などを添加することで、フィルム状などの封止成形物の一部として用いられてもよい。液状の封止剤として用いる場合には、例えばスクリーン印刷、ディスペンサー塗布などにより有機EL素子などの光半導体上に塗布し、塗布層を硬化して有機EL素子などの光半導体を面封止すればよい。また、フィルム状などの封止成形物を用いる場合には、有機EL素子などの光半導体上にフィルム状の封止剤をラミネートして硬化することで、有機EL素子などの光半導体を面封止すればよい。
本発明の面封止剤は、本発明の効果を損なわない限り、任意の方法で製造されうる。例えば、1)エポキシ樹脂(a)と硬化促進剤(b)と、他の任意成分を準備する工程と、2)不活性ガス環境下で、各成分を30℃以下で混合する工程と、を含む方法で製造される。混合は、これらの成分をフラスコに装入して攪拌する方法や、三本ロールで混練する方法が含まれる。本発明の面封止剤をフィルム状に成形する場合には、例えば、液状の面封止剤を剥離基板に塗布し、塗膜を乾燥させ、剥離すればよい。面封止剤の塗布は、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布などの手法を用いて行えばよい。
本発明の第一の形態の面封止剤に含まれる3級アミンは、電子供与性のアニオン性配位子(好ましくはカルボキシレート化合物)が配位した金属イオンと錯体を形成しうるため、金属錯体として適度に固定化される。それにより、室温下などの本発明の面封止剤の通常の貯蔵条件では、3級アミンが金属錯体から脱離しにくくなり、面封止剤中のエポキシ樹脂などの反応を抑制し、面封止剤の貯蔵安定性を向上させうる。一方、本発明の第一の形態の面封止剤が、後述するように有機EL素子を封止するため、加熱や光照射されると、3級アミンと金属イオンとの配位結合が緩和して、3級アミンがエポキシ樹脂の硬化反応を進めることができると推測される。なお、ここでいう貯蔵安定性とは、貯蔵条件下で硬化反応が進みにくく、粘度が上昇しにくいことをいう。このように、本発明の第一の形態の面封止剤は、良好な硬化性を有しつつ、高い貯蔵安定性を有するため、光半導体の面封止剤として用いた場合の封止工程での作業効率を高めることができる。
さらに、金属錯体(b1)における3級アミンを、前述の一般式(1)〜(6)で表される化合物とすることで、硬化性を損なわない程度に、貯蔵条件下での3級アミンの反応性を低下させうると考えられる。それにより、後述するように、プラズマ処理したときの硬化物層のヘイズ上昇を抑制、すなわち耐候性を向上できると考えられる。
本発明の第二の形態の面封止剤に含まれる特定のアミン化合物(b2)は、前述の一般式(11)または(12)に示される構造を有する。そのため、硬化性を損なわない程度に、貯蔵条件下でのアミン化合物(b2)の反応性を低下させうると考えられる。それにより、後述するように、プラズマ処理したときの硬化物層のヘイズ上昇を抑制できると考えられる。そのため、本発明の第二の形態の面封止剤を光半導体用の面封止剤として用いた場合に、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ上昇による、光半導体の光の取り出し効率または光の吸収効率の低下を抑制できる。
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物が面封止剤として用いられる例について説明したが、これに限定されない。本発明のエポキシ樹脂組成物は種々の用途にも用いることができる。
2.有機ELデバイスについて
本発明の有機ELデバイスは、基板上に配置された有機EL素子と、有機EL素子と接触して、かつ有機EL素子を覆う(面封止する)樹脂硬化物層と、さらに樹脂硬化物層を覆う封止基板とを含む。有機ELデバイスは、それを含む有機ELディスプレイパネルとして用いられうる。
本発明の有機ELデバイスの一態様として、1)基板上に配置された有機EL素子と、2)有機EL素子と接触して、かつ有機EL素子を覆う(面封止する)樹脂硬化物層と、3)前記樹脂硬化物層と接触して、前記樹脂硬化物層を覆うパッシベーション層と、4)パッシベーション層を覆う封止基板と、を含む態様があげられる(図1A参照)。ここで樹脂硬化物層が、前述の面封止剤の硬化物であることを特徴とする。
また、本発明の有機ELデバイスの他の一態様として、1)基板上に配置された有機EL素子と、2)有機EL素子と接触して、かつ有機EL素子を覆う(面封止する)樹脂硬化物層と、3)前記樹脂硬化物層と接触して、前記樹脂硬化物層の端面に配置されたパッシベーション層と、4)樹脂硬化物層とパッシベーション層とを覆う封止基板と、を含む態様があげられる(図1B参照)。ここで樹脂硬化物層が、前述の面封止剤の硬化物であることを特徴とする。
図1Aは、面封止型の有機ELデバイスを模式的に示す断面図である。図1Aに示されるように、有機ELデバイス20は、基板22、有機EL素子24、および封止基板26がこの順に積層されている。基板22と封止基板26との間には面封止層28が配置されており、面封止層28は有機EL素子24の周囲を覆っている。このように、面封止層28は、有機EL素子24を面封止している。
図1Aに示される有機ELデバイス20では、面封止層28が、本発明の面封止剤の硬化物からなる硬化物層28-1と、硬化物層28-1を覆うパッシベーション層28-2と、さらにパッシベーション層28-2を覆う第2の樹脂硬化物層28-3を含む。
基板22および封止基板26は、通常、ガラス基板または樹脂フィルムなどであり、基板22と封止基板26の少なくとも一方は、透明なガラス基板または透明な樹脂フィルムである。このような透明な樹脂フィルムの例には、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂等が含まれる。
有機EL素子24がトップエミッション型である場合は、基板22側から、反射画素電極層30(アルミニウムや銀などからなる)と、有機EL層32と、透明対向電極層34(ITOやIZOなどからなる)とを含む。反射画素電極層30、有機EL層32および透明対向電極層34は、真空蒸着及びスパッタなどにより成膜されてもよい。
面封止層28には、本発明の面封止剤の硬化物からなる硬化物層28-1と、パッシベーション層28-2と、第2の樹脂硬化物層28-3と、を含む。硬化物層28-1は、有機EL素子に接していることが好ましい。硬化物層28−1の厚みは、0.1〜20μmであることが好ましい。
本発明の第一の形態の面封止剤を用いる場合、面封止剤の硬化物からなる硬化物層28-1は、X線光電子分光法(XPS)で測定されるスペクトルにおいて、Zn、Bi、Ca、Al、Cd、La、Zrからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子に由来するピークと、窒素原子に由来するピークとが検出され、検出される金属原子と窒素原子とのモル比が、金属原子:窒素原子=1:0.5〜1:6.0であることが好ましい。金属原子1モルに対する窒素原子のモル比は、金属錯体(b1)における金属イオンに対する3級アミンの含有量に依存しうる。また、金属原子はZnであることが好ましく、その含有量は硬化物中0.5〜15質量%であることが好ましい。
XPS測定は、AXIS−NOVA(KRATOS社製)を用いて行うことができる。光源は、単色化A1 Kαとし;測定領域の径は100μmとしうる。
本発明の面封止剤の硬化物からなる硬化物層28-1の光線透過率は、前述の通り、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。光線透過率が低すぎると、素子からの光の取り出し効率や、素子への光の吸収効率が低下しやすいからである。硬化物層28-1の光線透過率の上限は、例えば99%程度としうる。
面封止層28を構成するパッシベーション層28-2は、プラズマ環境下で成膜される無機化合物層であることが好ましい。プラズマ環境下で成膜するとは、例えばプラズマCVD法で成膜することをいうが、特に限定されず、スパッタ法や蒸着法で成膜してもよい。パッシベーション層28-2の材質は、透明な無機化合物であることが好ましく、窒化ケイ素、酸化ケイ素、SiONF、SiONなどが例示されるが、特に限定されない。パッシベーション層28-2の厚みは、0.1〜5μmであることが好ましい。
パッシベーション層28-2は、硬化物層28-1に接触させて成膜してよい。本発明の面封止剤の硬化物からなる硬化物層28-1は、たとえプラズマ環境下に曝されても、その透明性を維持することができるからである。
本発明の有機ELデバイスでは、パッシベーション層28-2が有機EL素子24に直接接触するのではなく、硬化物層28-1に直接接触して成膜されている。パッシベーション層28を有機EL素子24に直接接触させて成膜しようとすると、有機EL素子24の端部が鋭角なため、パッシベーション層28によるカバレッジが低下することがある。これに対して、本発明の有機ELデバイスでは、有機EL素子24を、本発明の面封止剤の硬化物層28-1で面封止してから、硬化物層28-1の上にパッシベーション層28-2を成膜する。硬化物層28-1で面封止することで、パッシベーション層28-2の被成膜面をなだらかにすることができ、カバレッジが向上する。
面封止層28を構成する第2の樹脂硬化物層28-3は、硬化物層28-1と同一の材質(本発明の面封止剤)であっても異なる材質であってもよい。例えば、第2の樹脂硬化物層28-3の水分含有量は、硬化物層28-1の水分含有量よりも高くてもよい場合がある。第2の樹脂硬化物層28-3は、有機EL素子と直接接触しないからである。また、トップエミッション型の有機ELデバイス(有機EL素子の発光を封止層28−3を介して取り出す有機ELデバイス)の場合には、第2の樹脂硬化物層28-3の光透過率は、樹脂硬化物層28-1と同様に高い必要がある。
図1Bは、他の面封止型の有機ELデバイスを模式的に示す断面図である。図1Bに示されるように、有機ELデバイス20’は、基板22、有機EL素子24、および封止基板26がこの順に積層されている。基板22と封止基板26との間には面封止層28が配置されており、面封止層28は有機EL素子24の周囲を覆っている。このように、面封止層28は、有機EL素子24を面封止している。
図1Bに示される有機ELデバイス20’では、面封止層28が、本発明の面封止剤の硬化物からなる硬化物層28-1と、硬化物層28-1の端面を覆うパッシベーション層28-2とを含む。図1Bに示される有機ELデバイス20’の他の構成部材は、図1Aに示される有機ELデバイス20の構成部材と同様である。
本発明の有機ELデバイスは、本発明の効果を損なわない限り、任意の方法で製造されうるが、1)基板上に配置された有機EL素子を用意する工程と、2)有機EL素子を、面封止剤で覆い、面封止剤を硬化させて面封止層とする工程と、3)封止基板で封止する工程と、を含む。ここで、面封止層がプラズマに曝される工程が含まれると、本発明の面封止剤の効果が特に有効に発揮される。
面封止層がプラズマに曝される工程の例には、面封止層にプラズマCVD法によってパッシベーション膜を成膜する工程や、面封止層にプラズマを照射して表面特性を変化させる工程などが含まれる。表面特性を変化させる(例えば濡れ性を高める)ことで、他の部材との密着性を向上させることができる。特に、本発明の第二の形態の面封止剤からなる封止層はプラズマ耐性に優れており、これらの工程を経ても面封止層の劣化が少なく、例えば高い透明性が維持される。
図2には、本発明の有機ELデバイスの製造プロセスが模式的に示される。まず、有機EL素子24が積層された基板22を用意する(図2A)。有機EL素子には、反射画素電極層30と、有機EL層32と、透明対向電極層34とが含まれるが、さらに他の機能層を有していてもよい。次に、基板22に積層された有機EL素子24上に(透明対向電極層34を覆うように)、本発明の液状の面封止剤を塗布するか、またはフィルム状の面封止剤をラミネートした後、硬化させて硬化物層28-1を成膜する(図2B)。
次に、硬化物層28-1上に、パッシベーション層28-2を成膜する(図2C)。パッシベーション層(透明無機化合物層)28-2は、任意の方法、例えばプラズマCVD法、スパッタ法、蒸着法などで成膜されうる。なかでも、プラズマCVD法で成膜すると、本発明の効果が顕著に奏される。つまり、パッシベーション層28-2をプラズマCVD法で成膜するときに、硬化物層28-1がスパッタ法などに比べて顕著にプラズマに曝されるにも係わらず、硬化物層28-1の透明性が維持される。このように、本発明の面封止剤は、プラズマCVD法でパッシベーション層を成膜する工程を含む製造プロセスにおいて、特に好ましく用いることができる。
次に、パッシベーション層28-2を樹脂層で覆い(図2D)、さらに封止基板26を重ねあわせて、この状態で樹脂層を硬化させて第2の樹脂硬化物層28-3とするとともに、封止基板26をはり合わせる(図2E)。このようにして、本発明の有機ELデバイス20が得られる。
図2では、基板22に、1つの有機EL素子24を形成して、それを封止するフローを示したが;基板22に形成した複数の有機EL素子24を、同様の手順で1回のフローで封止することができる。
本発明の第一の形態の面封止剤は、有機EL素子などの光半導体の劣化が生じにくい傾向がある。この理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。即ち、面封止剤に含まれる3級アミンが移動しやすい状態であると、3級アミンと有機EL素子の電荷輸送層や発光層を構成する金属とが相互作用して、有機EL素子の状態を変化させ、素子の劣化を生じやすいと考えられる。これに対して本発明の第一の形態の面封止剤に含まれる3級アミンは、予め金属イオンと錯体を形成しているため、3級アミンの周辺が嵩高くなっている。そのため、3級アミンと有機EL素子の電荷輸送層や発光層との相互作用が生じにくく、有機EL素子などの劣化を抑制しうると推定される。
このような素子の劣化が生じているかどうかは、以下の方法で評価されうる。即ち、蒸着法で有機EL素子を作製する。作製した素子上に、面封止剤を塗布した後、熱硬化させて当該素子を封止し、サンプル1を得る。一方、作製した素子の周囲を、当該素子に接しないように面封止剤で同様にして封止(中空封止)し、サンプル2を得る。そして、サンプル1とサンプル2の、初期発光特性や寿命、信頼性を測定し、両者を比較する。両者の評価結果に差がなければ、面封止剤と素子との相互作用に起因する素子の劣化はないと判断されうる。具体的には、国際公開第2010/035502号に記載の劣化試験方法と同様の方法で評価することもできる。
1.第一の形態の面封止剤の評価
1−1.金属錯体(b1)の合成
金属錯体(b1−0)の合成
国際公開第2006/022899号に記載された金属アミジン錯体の合成方法に従って、Znイオンを中心金属にして、1つのZnイオンにカルボキシレート化合物として2分子の2−エチルヘキサン酸と、3級アミンとして2分子の1−メチルイミダゾールが配位した金属錯体(b1−0)を合成した。得られた金属錯体(b1−0)における金属イオンに対する3級アミンのモル比は、2.0であった。前記金属錯体(b1−0)について、1H NMR、13C NMR、FD MS、C,H,Nの元素分析の結果を以下に示す。これらの結果から、金属錯体(b1−0)は上記一般式(10)の構造であると推定される。
1H NMR (270 MHz, CDCl3): δ 0.89 (t, J = 7.6 Hz, 12 H), 1.22-1.30 (m, 8 H), 1.42-1.67 (m, 8 H), 2.32 (td, J = 6.9 Hz, 3.0 Hz, 2 H), 3.69 (s, 6 H), 6.84 (s, 2 H), 7.37 (s, 2 H), 8.15 (s, 2 H).;
13C NMR (68 MHz, CDCl3): δ183.7, 139.9, 129.0, 120.0, 49.1, 32.6, 30.1, 26.1,22.9, 14.1, 12.3.
FD MS m/z (relative intensity): 82.1 (60), 127.1 (30), 725.3 (100), 1427.6 (20).Anal. Calcd for ZnC24H42N4O4: C, 55.9; H, 8.2; N, 10.9.
金属錯体(b1−1)の合成
5Lフラスコに、亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)を768.19g(2.18mol)投入し、イソプロピルアルコールを1500g加えて、常温常圧下、約150rpmで撹拌した。次いで、亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)が完全に溶解したのを確認後、1,2-DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)を210g(2.18mol)加えて、撹拌を続けた。次いで、1,2-DMZを42g(0.44mol)さらに加えて、撹拌を続けた。その後、撹拌を停止し、得られた溶液を3Lのフラスコに移してエバポレーションによりイソプロピルアルコールを留去し、液状の金属錯体(b1−1)を得た。金属イオンに対する3級アミンのモル比は1.2であった。
得られた金属錯体(b1−1)のH NMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3): δ 0.82 (t, J = 6.8 Hz, 12 H), 1.18-1.23 (m, 8 H), 1.30-1.57 (m, 8H), 2.22 (td, J = 6.9Hz, 3.0Hz, 2 H), 2.51 (s, 3.7 H), 3.57 (s, 3.7 H), 6.76(s, 1.2 H), 7.06(s, 1.2H).
次に、1,2-DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)のH NMRを測定した。
1HNMR(270 MHz、CDCl3): δ 2.34 (s, 3 H), 3.54 (s, 3 H), 6.76 (s, 1 H), 6.85 (s, 1 H).
金属錯体(b1−1)のHNMRシフトと1,2-DMZ(1,2−ジメチルイミダゾール)のHNMRシフトの対比から、5位の水素原子に帰属するピーク(6.85→7.06)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
金属錯体(b1−2)の合成
3級アミンを1B2MZ(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール)に変更し、かつ金属イオンに対する3級アミンのモル比が0.8となるように、2−エチルヘキサノエート亜鉛や3級アミンの仕込み量を変更した以外は合成例1と同様にして液状の金属錯体(b1−2)を得た。
得られた金属錯体(b1−2)のHNMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3、標準物質TMS): δ 0.83 (t, J = 8.1 Hz, 12 H), 1.19-1.28 (m, 8 H), 1.34-1.61 (m, 8 H), 2.22 (td, J = 4.8 Hz, 1.9 Hz, 2 H), 2.50(s, 1.8 H), 5.04 (s, 1.2 H), 6.80 (d, J = 1.6 Hz, 0.6 H), 7.06-7.11 (m, 1.8 H), 7.32-7.38 (m,2.4 H).
次に、1B2MZ(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール)のHNMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3) : δ 2.31 (s, 3H), 5.02 (s, 2 H), 6.82 (d, J = 0.68 Hz, 1 H), 6.94 (d, J = 0.68 Hz,1 H), 7.05 (dd, J = 8.5 Hz, 0.8 Hz, 2 H), 7.27-7.36 (m, 4 H).
金属錯体(b1−2)のHNMRシフトと1B2MZ(1−ベンジル−2−メチルイミダゾール)のHNMRシフトの対比から、2位のメチル基の水素原子に帰属するピーク(2.31→2.50)と、5位の水素原子に帰属するピーク(6.94→7.06−7.11)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
金属錯体(b1−3)の合成
3級アミンを1BMI12(1−イソブチル−2−メチルイミダゾール)に変更し、かつ金属イオンに対する3級アミンのモル比が0.8となるように亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)や3級アミンの仕込み量を変更した以外は合成例1と同様にして液状の金属錯体(b1−3)を得た。
得られた金属錯体(b1−3)のHNMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3): δ 0.83 (t, J = 7.0 Hz, 12 H), 0.91 (t, J = 4.1 Hz, 3 H), 0.94 (d, J = 6.5 Hz, 3 H), 1.18-1.26 (m, 8 H), 1.26-1.58 (m, 8 H), 2.03 (qt, J = 13.5, 0.5 Hz, 1 H), 2.23 (td, J = 4.8 Hz, 1.9 Hz, 2 H), 2.50 (s, 3 H), 3.63 (d, 7.3 Hz, 2 H), 6.74 (d, J = 9.7 Hz, 1 H), 7.10 (d, J = 1.4 Hz, 1 H).
次に、1BMI12(1−イソブチル−2−メチルイミダゾール)のH NMRを測定した。
1H NMR(270MHz、CDCl3、標準物質TMS): δ 0.90 (t, J = 4.1 Hz, 3 H), 0.91 (d, J = 6.5 Hz, 3 H), 1.97 (qt, J = 13.5, 0.5 Hz, 1 H), 2.35 (s, 3 H), 3.61 (d, J = 7.3 Hz, 2 H), 6.77 (d, J = 1.4 Hz, 1 H), 6.87 (d, J = 1.4 Hz, 1 H).
金属錯体(b1−3)のHNMRシフトと1BMI12(1−イソブチル−2−メチルイミダゾール)のHNMRシフトの対比から、2位のメチル基の水素原子に帰属するピーク(2.35→2.50)と、5位の水素原子に帰属するピーク(6.87→7.10)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
金属錯体(b1−4)の合成
3級アミンを1MI(1−メチルイミダゾール)に変更し、かつ金属イオンに対する3級アミンのモル比が2.0となるように2−エチルヘキサノエート亜鉛や3級アミンの仕込み量を変更した以外は合成例1と同様にして液状の金属錯体(b1−4)を得た。
得られた金属錯体(b1−4)のHNMRを測定した。
1H NMR(270MHz、CDCl3): δ = 0.89 (t, J = 7.6 Hz, 12 H), 1.22-1.30 (m, 8 H), 1.42-1.67 (m, 8 H), 2.32(td, J = 6.9 Hz, 3.0 Hz, 2 H), 3.69 (s, 6 H), 6.84(s, 2 H),7.37 (s, 2 H), 8.15(s, 2 H).
次に、1MI(1−メチルイミダゾール)のHNMRを測定した。
1H NMR(270MHz、CDCl3、標準物質TMS):δ= 3.66 (s, 3 H), 6.87 (s, 1 H), 7.02 (s, 1 H), 7.40 (s, 1 H).
金属錯体(b1−4)のHNMRシフトと1MI(1−メチルイミダゾール)のHNMRシフトの対比から、2位の水素原子に帰属するピーク(7.40→8.15)と、4位の水素原子に帰属するピーク(7.02→7.37)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
金属錯体(b1−5)の合成
3級アミンを1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)に変更し、かつ金属イオンに対する3級アミンのモル比が0.2となるように2−エチルヘキサノエート亜鉛や3級アミンの仕込み量を変更した以外は合成例1と同様にして液状の金属錯体(b1−5)を得た。
得られた金属錯体(b1−5)のHNMRを測定した。
1H NMR(270MHz、CDCl3): δ 0.82 (t, J = 7.8 Hz, 12 H), 1.15-1.25 (m, 8 H), 1.29-1.61 (m, 8 H), 2.23 (td, J = 8.4, 5.7 Hz, 2 H), 5.14 (s, 0.4 H), 7.01 (d, J = 1.4 Hz, 0.2 H), 7.07 (dd, J= 6.5, 1.6 Hz, 0.4 H), 7.27 (d, J = 3.8 Hz, 0.2 H), 7.33-7.45 (m, 1.2 H), 7.58-7.61 (m, 2 H).
次に、1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)のHNMRを測定した。
1H NMR(270MHz、CDCl3):δ = 5.18 (s, 2 H), 6.93 (d, J = 3.2 Hz, 1 H), 7.03 (dd, J = 3.2, 1.4 Hz, 2 H), 7.18 (d, J = 3.8 Hz, 1 H), 7.23-7.41 (m, 6 H), 7.51-7.58 (m, 2 H).
金属錯体(b1−5)のH NMRシフトと1B2PZ(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール)のHNMRシフトの対比から、5位の水素原子に帰属するピーク(7.18→7.27)、フェニル基の水素原子(7.23−7.41→7.33−7.45)、フェニル基の水素原子(7.51−7.58→7.58−7.61)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
金属錯体(b1−6)の合成
3級アミンをDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)に変更し、かつ金属イオンに対する3級アミンのモル比が1.0となるように2−エチルヘキサノエート亜鉛や3級アミンの仕込み量を変更した以外は合成例1と同様にして液状の金属錯体(b1−6)を得た。
得られた金属錯体(b1−6)のHNMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3):δ 0.85 (t, J = 7.3 Hz, 12 H), 1.19-1.27 (m, 8 H), 1.29-1.67 (m, 14 H), 1.82 (quin, J = 5.9 Hz, 2 H), 2.21 (td, J = 8.1, 3.2 Hz, 2 H), 2.63-2.65 (m, 2 H), 3.21-3.41 (m, 6 H).
次に、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)のHNMRを測定した。
1HNMR(270 MHz、CDCl3、標準物質TMS):δ 1.58-1.68 (m, 6 H), 1.78 (quin, J = 6.2 Hz, 2 H), 2.36-2.40 (m, 2 H), 3.17-3.29 (m, 6 H).
金属錯体(b1−6)のHNMRシフトとDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)のHNMRシフトの対比から、2、9および11位の水素原子に帰属するピーク(3.17−3.29→3.21−3.41)、6位の水素原子(2.36−2.40→2.63−2.65)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
金属錯体(b1−7)の合成
3級アミンをDBN(1,5−ジアゾビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン)に変更し、かつ金属イオンに対する3級アミンのモル比が1.0となるように2−エチルヘキサノエート亜鉛や3級アミンの仕込み量を変更した以外は合成例1と同様にして液状の金属錯体(b1−7)を得た。
得られた金属錯体(b1−7)のHNMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3):δ 0.85 (t, J = 6.8 Hz, 12 H), 1.19-1.29 (m, 8 H), 1.33-1.64 (m, 8 H), 1.82 (quin, J = 5.7 Hz, 2 H), 1.94 (quin, J = 7.8 Hz, 2 H), 2.21 (td, J = 8.1, 3.2 Hz, 2 H), 2.81 (t, J = 8.1 Hz, 2 H), 3.19 (t, J = 5.9 Hz, 2 H), 3.33-3.41 (m, 4 H).
次に、DBN(1,5−ジアゾビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン)のHNMRを測定した。
1H NMR(270 MHz、CDCl3):δ 1.76 (quin, J = 3.2 Hz, 2 H), 1.89 (quin, J = 3.0 Hz, 2 H), 2.42 (t, J = 8.1 Hz, 2 H), 3.18 (t, J = 5.9 Hz, 2 H), 3.23-3.34 (m, 4 H).
金属錯体(b1−7)のHNMRシフトとDBN(1,5−ジアゾビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン)のHNMRシフトの対比から、7位の水素原子に帰属するピーク(2.42→2.81)、4、9位の水素原子(3.23−3.34→3.33−3.41)が移動していると推測される。下記式において、移動が確認されたピークに帰属する水素原子の位置を、○で示した。
Figure 2013166949
得られた金属錯体(b1−1)〜(b1−7)の組成およびHNMRのピーク移動量を、表1にまとめた。表中の金属錯体の欄の数値は質量比を示す。
Figure 2013166949
1−2.面封止剤の評価
以下の原料を用いて、面封止剤を調製した。
<エポキシ樹脂(a)>
3官能エポキシ樹脂:分子量592(VG-3101L、プリンテック社製)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:分子量338(YL-983U、ジャパンエポキシレジン社製)
ビスフェノールE型エポキシ樹脂:エポキシ当量155〜175(R1710、プリンテック社製)
<金属錯体(b1)>
前述で合成した金属錯体(b1−0)〜(b1−1)を用いた。
<アミン化合物(b2)>
1,2-ジメチルイミダゾール(キュアゾール 1.2DMZ、四国化成製)
1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(キュアゾール 1B2MZ、四国化成製)
1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール(キュアゾール 1B2PZ、四国化成製)
1-イソブチル-2-メチルイミダゾール(JERキュアIBMI12、ジャパンエポキシレジン製)
2,4,6-トリス[(ジメチルアミノ)メチル]フェノール(JERキュア 3010、ジャパンエポキシレジン製)
トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール・トリ(2−エチルヘキソシエート)(K-61B、エアプロダクツジャパン製)
2-フェニル-4-メチルイミダゾール(キュアゾール 2P4MZ、四国化成製)
<比較用アミン化合物>
2-エチル-4-メチルイミダゾール(キュアゾール 2E4MZ、四国化成製)
ジアザシクロウンデセンフタル酸塩(SA-810、サンアプロ製)
<酸無水物(c)>
メチルヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物(リカシッドMH-700、新日本理化製)
<シランカップリング剤(d)>
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、分子量236(KBM-403、信越化学製)
(実施例1〜10および比較例1)
窒素で置換したフラスコで、表2に示す組成のエポキシ樹脂100重量部と、84重量部の酸無水物と、4重量部のシランカップリング剤と、表2に示す重量部の金属錯体(b1−0)または比較用アミン化合物とを攪拌混合して、面封止剤を得た。
実施例1〜10および比較例1で得られた面封止剤の粘度を測定した。面封止剤の合成直後の粘度(0h)と、合成後に面封止剤を25℃で24時間ないし48時間保存した後の粘度を、それぞれE型粘度計(BROOKFIEL社製デジタルレオメーター型式DII-III ULTRA)を用いて、25℃、1rpmで測定した。そして、測定された値を、それぞれ下記式に当てはめて粘度の上昇率を求めた。
上昇率(%)=(Δ粘度変化量(24hrまたは48hr後の粘度−合成直後の粘度)/合成直後の粘度)×100
そして、合成直後の粘度から25℃で24時間貯蔵した後の粘度上昇率が50%以下のものは○、50%超100%未満であるものは△、100%を超えるものは×と評価した。また合成直後の粘度から25℃で48時間貯蔵した後の粘度の上昇率が100%以下のものは○、100%超200%未満であるものは△、200%を超えるものは×と評価した。測定結果を表2に示す。
実施例1〜10および比較例1で得られた面封止剤の硬化性を、以下の手法で評価した。各面封止剤を、大気中で30分間加熱して硬化させた硬化物の流動性とタック性を、鉛筆硬度を用いて評価した。硬化物に流動性がなく、かつタック性がない状態を○、流動性がある状態を×、タック性が残っている状態を△として評価した。
また、得られた面封止剤の水分含有量をカールフィッシャー法で測定したところ、実施例1〜10および比較例1の面封止剤の含水率は、いずれも0.1重量%以下であった。
硬化物層の調製
実施例1〜10および比較例1で得られた面封止剤を、予めオゾン処理によって洗浄したガラス基板(7cm×7cm×0.7mm厚)に、スクリーン印刷機(Screen Printer Model 2200、MITANI製)を用いて印刷した。面封止剤の塗布は、乾燥状態で5cm×5cm×3μm厚となるように行った。印刷したガラス基板を、100℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱して、硬化物層とした。
硬化物層のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(東京電飾製、機種名TC-H3DPK)を用いて測定した。その後、硬化物層を形成したガラス基板を、プラズマ処理装置(ヤマト科学製、機種名PDC210、平行平板型)に設置し、酸素流量20mL/分、RF出力500Wの条件で20分間プラズマ処理を実施した。そして、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(東京電飾製、機種名TC-H3DPK)を用いて測定した。それぞれのヘイズ測定値を、表2に示す。
プラズマ照射後のヘイズが10%以下のものを○、10%超〜30%以下のものを△、30%を超えるものを×として評価した。
このように、プラズマ処理し、ヘイズの変化を評価することで、面封止剤の硬化物にプラズマが照射される工程を含む有機ELデバイスの製法において、好適な面封止剤であるか否かを評価できるとともに、耐候性の加速評価も可能となる。
実施例1〜10および比較例1の面封止剤の評価結果を表2に示す。
Figure 2013166949
実施例および比較例のいずれの面封止剤についても、プラズマ処理前の硬化物層のヘイズは十分に低減されている。そして、実施例1〜10の面封止剤は、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値が30%未満に抑制されているのに対して、比較例1の面封止剤は、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値が40%を超えている。
また、比較例1の面封止剤が硬化性は良好なものの、貯蔵安定性が低いのに対し、実施例1〜8の面封止剤は硬化性も高く、かつ貯蔵安定性も良好であることがわかる。特に実施例2、5〜8の面封止剤は、48時間貯蔵後でも粘度上昇率が低くかつ硬化性が良好であることがわかる。
(実施例11〜23および25、比較例2)
窒素で置換したフラスコで、表3〜5に示す組成のエポキシ樹脂100重量部と、84重量部の酸無水物と、4重量部のシランカップリング剤と、表3〜5に示す重量部の金属錯体またはアミン化合物とを攪拌混合して、面封止剤を得た。なお、実施例11〜13で用いた金属錯体は、前述で合成した金属錯体(b1−1)〜(b1−3)を用いた。
(実施例24)
金属錯体に代えて、亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)と1,2−DMZとをそれぞれ単独で添加した以外は、実施例11と同様にして面封止剤を得た。
実施例11〜25および比較例2で得られた面封止剤の粘度を、前述と同様にして測定した。さらに、錯体化による安定化度を以下のようにして算出した。即ち、
3級アミンと、亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)とを別々に配合した面封止剤の24hr後の粘度上昇率(錯体化していない場合の上昇率)を、3級アミンと亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)とを錯体化させた金属錯体を含む面封止剤の24hr後の粘度上昇率で除した値を「錯体化による安定化度」として算出した。錯体化による安定化度が1よりも大きいと、錯体化により安定性が高められたことを示し、1よりも小さいと錯体化により安定性が低下していることを示す。
なお、後述する表3〜5において、「錯体化していない場合の上昇率」は、3級アミンが「1,2−DMZ」である場合は、実施例24の24hr後の上昇率を用い;「IBMI12」である場合は、実施例25の24hr後の上昇率を用い;「1B2MZ」である場合は、実施例10の24hr後の上昇率を用いた。
実施例11〜25および比較例2で得られた面封止剤の硬化性を、前述と同様にして評価した。
硬化物層の調製
実施例11〜23および比較例2で得られた面封止剤を、予めオゾン処理によって洗浄したガラス基板(7cm×7cm×0.7mm厚)に、スクリーン印刷機(Screen Printer Model 2200、MITANI製)を用いて印刷した。面封止剤の塗布は、乾燥状態で5cm×5cm×3μm厚となるように行った。面封止剤を印刷したガラス基板を、100℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱して、硬化物層とした。
硬化物層のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(東京電飾製、機種名TC-H3DPK)を用いて測定した。その後、硬化物層を形成したガラス基板を、スパッタ薄膜形成装置((株)アルバック製、JSP-8000)に設置し、下記条件で厚み50nmのSiOを成膜した。そして、成膜処理後の硬化物層のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(東京電飾製、機種名TC-H3DPK)を用いて測定した。
<プレスパッタ条件>
ターゲット:SiO
ガス種:Ar
ガス流量:15sccm
圧力:4.8×10−1Pa
電源:交流電源(周波数13.56MHz)
入力電力:300W
時間:120秒間
温度:室温
<成膜条件>
ターゲット:SiO
ガス種:Ar
ガス流量:15sccm
圧力:4.8×10−1Pa
電源:交流電源(周波数13.56MHz)
入力電力:300W
時間:2500秒間
温度:室温
成膜処理後のヘイズが25%以下のものを○、25%超〜40%以下のものを△、40%を超えるものを×として評価した。
スパッタ法による成膜処理後のヘイズが低いということは、硬化物層の特に表面の硬化度が比較的高いため、成膜処理後の硬化物層の表面が平滑であること(外部ヘイズが低いこと)を意味する。一方、スパッタ法による成膜処理後のヘイズが高いということは、硬化物層、特にその表面の硬化度が比較的低いため、成膜処理により硬化物層の表面が粗になったこと(外部ヘイズが高いこと)を意味する。なお、スパッタ法による成膜処理後のヘイズが高いということは、必ずしも面封止剤の硬化物の耐候性が低いことを意味するものではない。
実施例11〜16の測定結果を表3に示し;実施例17〜21の測定結果を表4に示し;実施例22〜25および比較例2の測定結果を表5に示す。表中の、金属錯体中のアニオン径とは、アニオン性配位子の半径を示す。アニオン性配位子の半径は、Material Studio 6.0 Dmol3を用いてconnolly volumeを得た後;connolly volumeを真球の体積と仮定したときの半径として算出した。一方、塩化物イオンや硫酸イオンの半径は、化学便覧 基礎編 改訂2版 日本化学学会編)に記載のイオン半径(ShannonおよびPrewittによる計算値)を用いた。
Figure 2013166949
Figure 2013166949
Figure 2013166949
表3〜5に示されるように、実施例11〜23の面封止剤は、良好な硬化性を示しつつ、錯体化による安定化度が1よりも大きく、面封止剤の貯蔵安定性が高いことが示される。具体的には、(錯体化していない)3級アミンのみを添加した実施例25および3級アミンと亜鉛ビス(2−エチルヘキソエート)とを(錯体化せずに)別々に添加した実施例24の面封止剤は、24hr後の粘度上昇率がやや高めであるのに対し;実施例11〜12および17〜23の面封止剤は、24hr後の粘度上昇率が低く、3級アミンの錯体化により面封止剤の貯蔵安定性が向上することが示される。一方、比較例2の面封止剤は、3級アミンを含まないことから、硬化性が低く、硬化物の評価ができなかった。
なかでも、実施例11〜16および18〜20の面封止剤の硬化物は、成膜処理後のヘイズが低く、透明性が良好に維持されることがわかる。これは、実施例11〜16および18〜20の面封止剤の硬化物の表面の硬化性が高いため、成膜面が粗化されることによる外部ヘイズの上昇を低減できたためと考えられる。
2.第二の形態の面封止剤の評価
(実施例26〜34、比較例3〜4)
窒素で置換したフラスコで、表6に示す組成のエポキシ樹脂100重量部と、85重量部の酸無水物と、4重量部のシランカップリング剤と、表6に示す重量部のアミン化合物とを攪拌混合して、面封止剤を得た。
実施例26〜34および比較例3〜4で得られた面封止剤の粘度を測定した。E型粘度計(BROOKFIEL社製デジタルレオメーター型式DII-III ULTRA)を用いて、25℃における面封止剤の粘度を測定した。測定結果を表6に示す。
実施例26〜34および比較例3〜4で得られた面封止剤の硬化性を、以下の手法で評価した。各面封止剤を、2枚のNaCl結晶板(厚み5mm)の間に挟んでサンプルを用意した。2枚のNaCl結晶板(2センチ角)の間に面封止剤を封入し、NaCl結晶板同士の間隔が15μmとなるようにした。このサンプルを、100℃で30分熱処理した前後の赤外線透過スペクトルを、FT-IR測定装置によって測定した。得られたスペクトルに基づき、エポキシ基の逆対称環伸縮に由来する吸収ピーク(910cm−1付近)高さを、ベンゼン環の環内C-C伸縮に由来する吸収ピーク(1600cm−1付近)高さで除して規格化した。そして、熱処理によるエポキシ基由来のピークの減少度合いからエポキシ基の反応率を算出した。
熱処理前のエポキシ基ピークの規格値をx1、熱処理後のエポキシ基ピークの規格値をx2とした場合、{(x1−x2)/x1}×100(%)で算出される値をエポキシ転化率として算出した。エポキシ転化率が、80%以上である場合に、評価を○とした。
硬化物層の調製
実施例26〜34および比較例3〜4で得られた面封止剤を、予めオゾン処理によって洗浄したガラス基板(7cm×7cm×0.7mm厚)に、スクリーン印刷機(Screen Printer Model 2200、MITANI製)を用いて印刷した。面封止剤の塗布は、乾燥状態で5cm×5cm×3μm厚となるように行った。印刷したガラス基板を100℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱して硬化物層とした。
硬化物層のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(東京電飾製、機種名TC-H3DPK)を用いて測定した。その後、硬化物層を形成したガラス基板を、プラズマ処理装置(ヤマト科学製、機種名PDC210、平行平板型)に設置し、酸素流量20mL/分、RF出力500Wの条件で20分間プラズマ処理を実施した。そして、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(東京電飾製、機種名TC-H3DPK)を用いて測定した。それぞれのヘイズ測定値を、表6に示す。
このようにプラズマ処理し、ヘイズの変化を評価することで、面封止剤の硬化物にプラズマが照射される工程を含む有機ELデバイスの製法において、好適な面封止剤であるか否かを評価できるとともに、耐候性の加速評価も可能となる。
Figure 2013166949
実施例26〜34および比較例3〜4のいずれの面封止剤についても、プラズマ処理前の硬化物層のヘイズは十分に低減されている。そして、実施例26〜34の面封止剤については、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値が30%未満に抑制されているのに対して、比較例3〜4の面封止剤については、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値が50%を超えている。
特に、実施例26〜32の面封止剤については、プラズマ処理後の硬化物層のヘイズ値が20%未満に抑制されている。このことは、硬化促進剤のイミダゾール環の1位に結合している水素原子が、他の置換基に置換されていると、プラズマによるヘイズ上昇がより効果的に抑制できることを示唆している。
本出願は、2011年6月23日出願の特願2011−139578および2011年7月12日出願の特願2011−154352に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の第一の形態の面封止剤は、良好な硬化性を有し、かつ貯蔵安定性に優れている。そのため、光半導体デバイスの製造効率を高めることができる。また、本発明の第二の形態の面封止剤の硬化物層で面封止された光半導体を具備する光半導体デバイスは、硬化物層のヘイズ上昇が抑制される。特に、プラズマ処理をされたときのヘイズ上昇が効果的に抑制される。従って、硬化物層上に、プラズマCVDで無機化合物層を成膜しても、硬化物層の透明性を維持することができる。よって、本発明の光半導体デバイス、特に有機ELデバイスは、光取出し効率が高まる。
20,20’ 有機ELデバイス
22 基板
24 有機EL素子
26 封止基板
28 面封止層
28−1 硬化物層
28−2 パッシベーション層
28−3 第2の樹脂硬化物層
30 反射画素電極層
32 有機EL層
34 透明対向電極層

Claims (9)

  1. 1分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、下記一般式(11)または(12)で表される硬化促進剤(b2)とを含み、
    E型粘度計により25℃、1.0rpmで測定した粘度が10〜10000mPa・sである、光半導体用の面封止剤。
    Figure 2013166949
    (一般式(11)において、R、R、R、Rは、それぞれ独立に水素基、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示すが;但し、Rが水素基である場合は、RおよびRのいずれか一方または両方がアリール基である)
    Figure 2013166949
    (一般式(12)において、RA、RA、RA、RAは、それぞれ独立に、水素基、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基、ジメチルアミノメチル基を示すが;但し、RA,RA,RAおよびRAの1つ以上はジメチルアミノメチル基である)
  2. 前記一般式(11)において、Rが、炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基、水酸基、アリール含有基またはシアノエチル基を示す、請求項1に記載の光半導体用の面封止剤。
  3. 前記光半導体用の面封止剤は、前記硬化促進剤(b2)を、3級アミンの活性官能基/エポキシ基の当量比が0.008〜0.152となる範囲で含む、請求項1または2に記載の光半導体用の面封止剤。
  4. 前記光半導体用の面封止剤は、酸無水物を、酸無水物基/エポキシ基の当量比が0.8〜1.2となる範囲でさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光半導体用の面封止剤。
  5. 含水率が0.1重量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光半導体用の面封止剤。
  6. 有機EL素子用の面封止剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光半導体用の面封止剤。
  7. 基板上に有機EL素子を形成する第1の工程と、
    前記有機EL素子を、請求項1〜6のいずれか一項に記載の面封止剤で覆う第2の工程と、
    前記面封止剤を硬化させた硬化物で、前記有機EL素子を面封止する第3の工程と、
    前記有機EL素子を面封止する前記硬化物上に、パッシベーション膜を成膜する第4の工程と、
    を含む、有機ELデバイスの製造方法。
  8. 有機EL素子と、
    前記有機EL素子と接触しており、前記有機EL素子を面封止している請求項1〜6のいずれか一項に記載の面封止剤の硬化物からなる硬化物層と、
    前記硬化物層と接するパッシベーション層と、
    を含む有機ELデバイス。
  9. 請求項8に記載の有機ELデバイスを有する、有機ELディスプレイパネル。

JP2013066715A 2011-06-23 2013-03-27 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル Pending JP2013166949A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013066715A JP2013166949A (ja) 2011-06-23 2013-03-27 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011139578 2011-06-23
JP2011139578 2011-06-23
JP2011154352 2011-07-12
JP2011154352 2011-07-12
JP2013066715A JP2013166949A (ja) 2011-06-23 2013-03-27 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012552600A Division JP5237507B1 (ja) 2011-06-23 2012-06-22 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013166949A true JP2013166949A (ja) 2013-08-29

Family

ID=47422325

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012552600A Active JP5237507B1 (ja) 2011-06-23 2012-06-22 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル
JP2013066715A Pending JP2013166949A (ja) 2011-06-23 2013-03-27 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012552600A Active JP5237507B1 (ja) 2011-06-23 2012-06-22 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル

Country Status (6)

Country Link
US (1) US9013049B2 (ja)
JP (2) JP5237507B1 (ja)
KR (1) KR101604896B1 (ja)
CN (1) CN103636286B (ja)
TW (1) TWI621650B (ja)
WO (1) WO2012176472A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018235824A1 (ja) * 2017-06-23 2018-12-27 三井化学株式会社 画像表示装置封止材および画像表示装置封止シート
JP6705568B1 (ja) * 2019-02-13 2020-06-03 横浜ゴム株式会社 導電性組成物
WO2020166137A1 (ja) * 2019-02-13 2020-08-20 横浜ゴム株式会社 導電性組成物

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5697048B2 (ja) * 2012-06-15 2015-04-08 古河電気工業株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子封止用樹脂組成物、有機エレクトロルミネッセンス素子用封止フィルム、有機エレクトロルミネッセンス素子用ガスバリアフィルムおよびこれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子
SG11201500481RA (en) * 2012-07-26 2015-04-29 Denki Kagaku Kogyo Kk Resin composition
WO2014097647A1 (ja) * 2012-12-21 2014-06-26 三井化学株式会社 シート状エポキシ樹脂組成物、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル
JP6372212B2 (ja) * 2013-11-19 2018-08-15 Jsr株式会社 有機el素子および水分捕獲フィルム
KR102167315B1 (ko) * 2014-04-30 2020-10-20 삼성디스플레이 주식회사 유기전계발광 표시장치
TWI565118B (zh) * 2014-11-25 2017-01-01 財團法人工業技術研究院 封裝膜材與電子元件封裝體
CN106008924A (zh) * 2016-06-23 2016-10-12 柳州市强威锻造厂 一种酸酐类环氧树脂固化配方
JP2018097943A (ja) * 2016-12-08 2018-06-21 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス発光装置
JP6866472B2 (ja) 2016-12-09 2021-04-28 エルジー・ケム・リミテッド 有機電子装置の製造方法
EP3351852B1 (en) * 2017-01-24 2019-10-30 OSRAM GmbH A lighting device and corresponding manufacturing method
CN109411417B (zh) * 2017-08-18 2020-09-11 财团法人工业技术研究院 电子组件封装体以及显示面板
TWI634468B (zh) 2017-08-18 2018-09-01 財團法人工業技術研究院 透明顯示裝置
US10396256B2 (en) 2017-08-18 2019-08-27 Industrial Technology Research Institute Electronic device package
KR20210013034A (ko) * 2018-05-18 2021-02-03 니폰 제온 가부시키가이샤 인쇄용 수지 용액 및 디바이스 구조체의 제조 방법
JPWO2021100366A1 (ja) * 2019-11-19 2021-05-27
JP7445714B2 (ja) * 2021-08-06 2024-03-07 イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド 有機発光素子の封止材用熱硬化性液状組成物

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009252364A (ja) * 2008-04-01 2009-10-29 Canon Inc 有機発光装置
WO2010119706A1 (ja) * 2009-04-17 2010-10-21 三井化学株式会社 封止用組成物および封止用シート
JP2011099031A (ja) * 2009-11-05 2011-05-19 Mitsui Chemicals Inc 接着性組成物

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4105667A (en) 1970-07-17 1978-08-08 Minnesota Mining And Manufacturing Company Imidazole type curing agents
JP2796187B2 (ja) * 1990-10-01 1998-09-10 日東電工株式会社 光半導体装置
JP3714568B2 (ja) 1996-08-06 2005-11-09 住友ベークライト株式会社 光半導体封止用エポキシ樹脂組成物
DE19848329A1 (de) 1998-10-20 2000-04-27 Bakelite Ag Härter für Epoxidverbindungen, Verfahren zu ihrer Herstellung und Verwendung
DE19905448A1 (de) * 1999-02-09 2000-08-10 Bakelite Ag Cyanatharze und Epoxidverbindungen enthaltende härtbare Mischungen
JP2000267359A (ja) 1999-03-19 2000-09-29 Canon Inc トナー及び画像形成方法
US7579203B2 (en) * 2000-04-25 2009-08-25 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Light emitting device
WO2003029322A1 (en) * 2001-09-28 2003-04-10 Mitsui Chemicals, Inc. Curing agent composition for epoxy resins, epoxy resin composition and use thereof
TWI295410B (en) 2002-11-29 2008-04-01 Zeon Corp Radiation-sensitive resin composition
TW200502372A (en) * 2003-02-25 2005-01-16 Kaneka Corp Curing composition and method for preparing same, light-shielding paste, light-shielding resin and method for producing same, package for light-emitting diode, and semiconductor device
GB2417599B (en) * 2003-06-13 2006-10-04 Fuji Electric Holdings Co Organic el display
CN1239608C (zh) * 2003-12-22 2006-02-01 中国石化集团巴陵石油化工有限责任公司 一种压缩天然气瓶环氧树脂专用料
US20060036007A1 (en) * 2004-08-12 2006-02-16 King Industries, Inc. Organometallic compositions and coating compositions
US7485729B2 (en) 2004-08-12 2009-02-03 King Industries, Inc. Organometallic compositions and coating compositions
JP4780275B2 (ja) 2004-09-06 2011-09-28 株式会社スリーボンド 有機el素子封止材
US8193034B2 (en) * 2006-11-10 2012-06-05 Stats Chippac, Ltd. Semiconductor device and method of forming vertical interconnect structure using stud bumps
US20100051973A1 (en) * 2008-08-28 2010-03-04 Seiko Epson Corporation Light-emitting device, electronic equipment, and process of producing light-emitting device
CN102165017B (zh) 2008-09-29 2014-03-26 三井化学株式会社 密封剂、密封部件及有机el器件

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009252364A (ja) * 2008-04-01 2009-10-29 Canon Inc 有機発光装置
WO2010119706A1 (ja) * 2009-04-17 2010-10-21 三井化学株式会社 封止用組成物および封止用シート
JP2011099031A (ja) * 2009-11-05 2011-05-19 Mitsui Chemicals Inc 接着性組成物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018235824A1 (ja) * 2017-06-23 2018-12-27 三井化学株式会社 画像表示装置封止材および画像表示装置封止シート
KR20190125509A (ko) * 2017-06-23 2019-11-06 미쯔이가가꾸가부시끼가이샤 화상 표시 장치 밀봉재 및 화상 표시 장치 밀봉 시트
JPWO2018235824A1 (ja) * 2017-06-23 2020-03-19 三井化学株式会社 画像表示装置封止材および画像表示装置封止シート
KR102161444B1 (ko) 2017-06-23 2020-10-06 미쯔이가가꾸가부시끼가이샤 화상 표시 장치 밀봉재 및 화상 표시 장치 밀봉 시트
US11264589B2 (en) 2017-06-23 2022-03-01 Mitsui Chemicals, Inc. Image display device sealing material and image display device sealing sheet
JP6705568B1 (ja) * 2019-02-13 2020-06-03 横浜ゴム株式会社 導電性組成物
WO2020166137A1 (ja) * 2019-02-13 2020-08-20 横浜ゴム株式会社 導電性組成物

Also Published As

Publication number Publication date
TWI621650B (zh) 2018-04-21
KR20140024432A (ko) 2014-02-28
TW201311791A (zh) 2013-03-16
WO2012176472A1 (ja) 2012-12-27
KR101604896B1 (ko) 2016-03-18
US9013049B2 (en) 2015-04-21
JP5237507B1 (ja) 2013-07-17
JPWO2012176472A1 (ja) 2015-02-23
US20130153880A1 (en) 2013-06-20
CN103636286B (zh) 2017-02-15
CN103636286A (zh) 2014-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5237507B1 (ja) 光半導体用の面封止剤、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル
JP5763280B2 (ja) 有機el素子用面封止剤およびその硬化物
WO2013118509A1 (ja) 有機el素子用の面封止剤、これを用いた有機elデバイス、及びその製造方法
JP5577667B2 (ja) 樹脂組成物
JP7120017B2 (ja) 封止用の樹脂組成物および封止用シート
KR20140034275A (ko) 에폭시 중합성 조성물, 및 유기 el 디바이스
JP6896190B1 (ja) 画像表示装置封止材
TW201510056A (zh) 光後硬化性樹脂組成物
WO2021111855A1 (ja) 封止剤、封止シート、電子デバイスおよびペロブスカイト型太陽電池
TW201425372A (zh) 樹脂組成物及其硬化物(3)
JP2016012559A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示素子用封止剤
JP6342331B2 (ja) 有機el素子の面封止用シート、それを用いた有機elデバイスの製造方法、有機elデバイスおよび有機elディスプレイパネル
JP7535403B2 (ja) 熱硬化性組成物及び硬化物
JP2023063118A (ja) 封止材組成物および封止材
JPWO2015053078A1 (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20141118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151124

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160405