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JP2013050271A - 流動層式熱反応装置、及びその使用方法 - Google Patents

流動層式熱反応装置、及びその使用方法 Download PDF

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JP2013050271A JP2011188458A JP2011188458A JP2013050271A JP 2013050271 A JP2013050271 A JP 2013050271A JP 2011188458 A JP2011188458 A JP 2011188458A JP 2011188458 A JP2011188458 A JP 2011188458A JP 2013050271 A JP2013050271 A JP 2013050271A
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Abstract

【課題】焼却炉の炉出口のダイオキシン類濃度を低減する、各種廃棄物をガス化・燃焼する方法及び装置を提供する。
【解決手段】各種廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャー(微細炭素粒子)を850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応炉において、各種廃棄物が投下される層上部近傍、すなわちダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域に供給する空気量を被燃焼物全体に対する理論燃焼空気量の30〜60%とし、フリーボ−ドに至る前でかつダイオキシン類が拡散する前の該未燃ガス上昇領域の温度を850〜1100℃とすることにより、ダイオキシン類の発生直後に十分な酸素量と高温でダイオキシン類を高効率に分解させる方法および流動層式熱反応装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、都市ごみ、固形化燃料、スラリー化燃料、廃プラスチック、廃FRP、バイオマス廃棄物、自動車廃棄物、低品位炭、廃油、汚泥等の各種廃棄物を燃焼する流動層式熱反応炉とその使用方法において、炉出口の排ガス中ダイオキシン類などの低減化に関するものである。
従来の廃棄物焼却法に代わる環境保全型の廃棄物処理技術として、ガス化と高温燃焼を組み合わせた「ガス化溶融システム」の開発が各社により競われ、既に相当数実用域に達している。こうした「ガス化溶融システム」に共通の特徴を挙げると以下のようになる。
(i)低空気比燃焼により、排ガス量が大幅に低減される。
(ii)高温燃焼により、ダイオキシン類やフラン類がほとんど発生しない。
(iii)廃棄物中の灰分は、重金属が溶出しない無害なスラグとして回収される。これにより、埋立地の延命化が図れ、路盤材等への利用も可能となる。
(iv)ガス化で生成するガス、タール、炭化物の保有エネルギーを、灰溶融のための熱源に有効活用できる。
(v)システム中にダイオキシン処理や灰溶融の機能が組み込まれることにより、システム全体がコンパクト化され、建設コストもそれぞれの機能を在来型の焼却設備に付与したより安価になる。
こうした技術が登場するに至った最大の背景は、ダイオキシン類の規制強化に対応し早急な解決が必要であったことである。その他の付随的な背景は、次の通りである。
(a)ダイオキシン類や灰溶融といった問題に個別に対応するのでは、処理施設の建設コストや運転コストが割高になることが避けられない。
(b)払底逼迫する埋立地の延命化を図り、灰を無害化しリサイクル利用するため、灰溶融のニーズが急速に高まってきた。
(c)廃棄物の保有するエネルギーを最大限に活用するようなシステム作りが望まれるようになった。
「ガス化溶融システム」において実用化されているものに、ガス化炉に竪型炉を用いる方式(竪型炉方式)、回転炉を用いる方式(回転炉方式)や流動層を用いる方式(流動層方式)などがある。竪型炉方式では、ガス化炉内に乾燥・予熱ゾーン(200〜300℃)、燃分解ゾーン(300〜1000℃)、燃焼・溶融ゾーン(1500℃以上)が、上から順に層状に形成され、炉上部より投入された廃棄物とコークスは、より下方のゾーンで発生したガスと熱交換しながら炉内を下降する。炉内を上昇した生成ガスは、炉上部の燃焼部にて約900℃以上で燃焼される。熱分解ゾーンで生成した炭化物は、投入されたコークスと共に溶融・燃焼ゾーンへ下降し、羽口から供給される酸素富活空気により高温燃焼され、金属を含む不燃物の全量を溶融する。
回転炉方式では、廃棄物は、破砕後、高温空気により外熱されたドラム型の回転炉に供給され、約450℃でゆっくりと熱分解ガス化される。生成された炭化物は、炉から排出され、発火しない温度まで冷却される。その後、炭化物は、微粉砕され、後段の旋回式溶融炉に供給され、回転炉からの生成ガスと共に約1300℃で高温燃焼され、ダイオキシン類を分解し、かつ灰分が溶融スラグ化される。
流動層方式では、廃棄物は、破砕後、流動層式の反応炉に供給され、450〜650℃の流動媒体中の部分燃焼で乾燥・熱分解ガス化される。部分燃焼とは、酸素不足の状態で流動化させ酸素の含有分だけ燃焼させて流動媒体の温度を維持するものであり、このときの流動層内の理論燃焼空気比は約30%程度である。生成されたガスやチャーは、炉上部から後段の旋回式溶融炉に供給され、約1300℃で高温燃焼され、ダイオキシン類を分解し、かつ灰分が溶融スラグ化される。流動層方式の例として、旋回流式流動層ガス化炉であって1300℃以上の高温域を使用する「ガス化溶融システム」が特許文献1、2に記載されており、また、1300℃以上の高温域を使用しない従来の廃棄物焼却法が特許文献3、4に記載されている。
特開2002−48318号公報 特開2005−308390号公報 特公昭62−5242号公報 特開平9−236227号公報
竪型炉は、1700〜1800℃に達する溶融ゾーンがガス化炉底部に位置するため、コークス等副資材や、酸素富活空気が必要であり、運転費が高い。またコークス等を使用するため、二酸化炭素の排出量が増えるという問題もある。更に廃棄物中の金属のほぼ全量が溶融されるため、金属の種類毎に地金としてリサイクル利用することができない。竪型炉は、ガス化炉としては、固定床炉というタイプに属するが、形状が様々な廃棄物を層状に積み上げ、しかも最下部に燃焼・溶融ゾーンを有するため、熱分解ゾーンで発生したダイオキシン類やフラン類及びその前駆体を含むガスは、溶融・燃焼ゾーンを通過することなく竪型炉から排出される。これらのダイオキシン類やフラン類及びその前駆体は、溶融炉上部の燃焼部ではダイオキシン類を高度に分解することは困難である。その理由は、溶融炉上部のフリーボードに相当する燃焼部の温度が一般の焼却炉と同等の850〜1050℃程度であるからである。
一方、回転炉方式においては、ガス化炉が高温空気を用いる外熱式の回転炉であるため、炉は大型のものになる。また、金属管を介した伝熱に問題があり、熱分解により生じたタールや未分解物が伝熱面を覆うため、伝熱が悪化するといった問題があった。更に、溶融燃焼炉排ガスと熱交換することにより約600℃の高温空気を得ることは、熱交換器の材料上困難である。生成した炭化物は、回転炉から排出後、微粉砕してから溶融燃焼炉に供給され、回転炉から直接供給されるガスに合流させて溶融燃焼される。このため、排出、冷却、粉砕、貯留、供給といった炭化物用のハンドリング設備が必要である。こうしたハンドリング中に炭化物の保有する熱が冷却や放熱により失われることも、エネルギー利用上好ましくない。炭化物を冷却しないまま外部に排出すると、空気と接触して発火するので危険である。
上記の2つの方式に比べ、流動層方式では、構造がシンプルであり、かつ炉内には大量の廃棄物が滞留していないので、他の方式よりは安全でかつ運転が容易である。しかしながら、問題は、竪型炉方式、回転炉方式についてもいえることであるが、実質的なガス化温度が低く、かつ酸素不足のため、生成ガス発生時に多量のダイオキシン類も発生することである。すなわち、ダイオキシン類を大量に発生させて、次段の高温燃焼でそのダイオキシン類を分解するということになる。そのためには高温燃焼が必須である。
このように、「ガス化溶融システム」では、高温燃焼が必須であるため、耐火材料や高温用材料の補修などランニングコストが高い。よって、自治体などは、経費削減のため、1300℃以上の高温域を使用する「ガス化溶融システム」から、1300℃以上の高温域を使用しない従来の廃棄物焼却法を採用し始めている。しかし、従来の廃棄物焼却法のままでは、炉出口のダイオキシン類濃度は高く、後段のダイオキシン類吸着活性炭の使用量が多く、また後段のダイオキシン類分解触媒装置の触媒の寿命が短く、早期交換吸が必要である。そのため、大幅にランニングコストが低くなる方式が要望される。
そこで、上記に鑑みてなされた本発明の目的は、運転操作が容易で、コンパクトで、ダイオキシン類が発生する直後に効率良くダイオキシン類を高効率で分解させる方法および流動層式熱反応装置を提供することである。本発明のその他の目的及び利点は、図面、実施例の説明で明らかにされる。
本発明の第一の側面における流動層式熱反応装置は、各種廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャーを850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応炉であって、各種廃棄物が投下される層上部近傍、すなわちダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域に供給する空気量が被燃焼物全体に対して理論燃焼空気量の30〜60%とし、フリーボ−ドに至る前でかつダイオキシン類が拡散する前の該未燃ガス上昇領域の温度を850〜1100℃とする。そうすることにより、未燃ガス発生・上昇領域において発生する未燃ガス及びチャーの量に対して理論燃焼空気量の100%以上の空気量が供給され、ダイオキシン類の発生直後に十分な酸素量と高温でダイオキシン類を高効率に分解させる。
本発明の第二の側面における流動層式熱反応装置は、各種廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャーを850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応炉であって、前記流動層部では、前記廃棄物が投入される廃棄物投入部の緩慢流動層中を流動媒体が流動化しつつ下降し、前記流動層式熱反応炉周辺部の活発流動層中を前記流動媒体が流動化しつつ上昇し、当該流動層部の下部にて前記流動媒体が廃棄物投入部から炉周辺部へ、当該流動層部の上部にて前記流動媒体が炉周辺部から前記廃棄物投入部へ流動化しつつ移動し、当該流動層部の下部にて前記流動層下部にて流動媒体が廃棄物投入部から炉周辺部へ流動化しつつ移動するような前記流動媒体の旋回運動を生ぜさせる旋回流式流動層炉を有する。そして、この流動層式熱反応炉では、空気を流動層下部の散気ノズルから供給し、流動層部に供給する空気量を理論燃焼空気量の30〜60%程度とする。
さらに、好ましい態様では、流動層断面に占める緩慢流動層の面積割合を50%程度とし、緩慢流動層における流動化ガスの質量速度を最小流動化質量速度の2〜4倍とし、活発流動層における流動化ガスの質量速度を緩慢流動層における流動化ガスの質量速度の2〜3倍程度としている。
さらに、好ましい態様では、各種廃棄物は該緩慢流動層の表面に向けて落下させられる。
図1は、本発明の実施に用いられる流動層式熱反応炉の実施例の図解的な垂直断面図である。 図2は図1のA―A断面図を示す。 図3は図1のA―A断面に相当する他の実施例を示す。 図4は図3のB−B断面図を示す。 図5は図1のA―A断面に相当する他の実施例を示す。 図6は廃棄物中の不燃物を排出する不燃物排出シュートを炉床の中央部に設けた場合の実施例を示す。 図7は図6及び図1の炉の水平断面が丸型の実施例のC―C断面図を示す。
上記の第一、第二の側面において、廃棄物はまず水分が蒸発して乾燥され、ガス化する。該緩慢流動層の層上部近傍に各種廃棄物がほぼ全量供給されるので、極端な酸素不足の環境下となり、ダイオキシン類が発生する。
ここで、発生したダイオキシン類を、炉上部のフリーボードで二次空気により生成ガス及びチャーを燃焼した熱で分解する方式では、フリーボード空間が広く、ガスの混合・攪拌に限界があり、ダイオキシン類の高効率分解には限界があるため、後工程でバグフイルターに活性炭などを散布したり、触媒装置を新たに設置すると、この活性炭のコストや触媒の費用がランニングコストに大きく影響を与えるが、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域のダイオキシン類発生直後に、すなわちフリーボ−ドに至る前でかつダイオキシン類が拡散する前の該未燃ガス上昇領域にダイオキシン類高度分解に必要な空気量を供給し、空気量を該未燃ガス発生・上昇領域において理論燃焼空気量の100%以上とすることにより、該領域の温度は850〜1100℃となり、ダイオキシン類の発生直後でかつ拡散する前に十分な温度でダイオキシン類を完全に近く分解することができる。
しかし、各種廃棄物は雑多で形状も物質も不均一のため、該未燃ガス発生・上昇領域で発生する未燃ガス量を定量化することは困難である。すなわち、供給する空気量を該未燃ガス発生・上昇領域において発生する未燃ガス及びチャーの量に対して理論燃焼空気量の100%以上とする方法は、該未燃ガス上昇領域部分の燃焼温度を850〜1100℃となるような、供給すべき空気量を決める。該未燃ガス上昇領域は廃棄物の含有水分から発生するほぼ全量の蒸発水分を含むので、燃焼温度を850〜1100℃とすれば結果として該未燃ガス発生・上昇領域において発生する未燃ガス及びチャーの量に対する理論燃焼空気量は100%以上となり、ほぼ完全燃焼する。なお、フリーボードでの燃焼温度は従来同様850〜1050℃で良い。フリーボードでの燃焼温度の上限を1050℃としているのは、該温度を超えると飛灰によっては粒子の表面が溶融し始め、フリーボード表面や排ガス出口煙道に付着し始めるからである。本発明では、該未燃ガス上昇領域部分の燃焼温度の上限を1100℃としているのは、該部分の燃焼が炉壁に接していないこと及び排ガス出口煙道までの距離が長いため、通常のフリーボード燃焼より飛灰の付着に対して許容温度が高いためである。
なお、前述のように、各種廃棄物は雑多で形状も物質も不均一のため、該未燃ガス発生・上昇領域で発生する未燃ガス量は安定しない。従って、該未燃ガス上昇領域部分の燃焼温度を一定温度、例えば950℃±50℃になるように供給する空気量をコントロールしようとすると制御が困難である。そのため、該温度を850〜1100℃と幅広く捉え、供給する空気量を短期的に制御しない方が好ましい。供給する空気量の制御は長期の廃棄物の質が変化して、該温度が850〜1100℃を外れた時に調整または制御できれば良い。また、該温度は運転上の目安なので、高精度の熱電対温度計ではなく、精度の低い放射式温度計などで測定しても良い。
都市ごみの場合の実験事例では、該未燃ガス上昇領域部分の燃焼温度が850〜1100℃となった時の該未燃ガス上昇領域に供給した空気量は被燃焼物全体に対する理論燃焼空気量の30〜60%程度であった。被燃焼物中に揮発成分が多い場合には廃棄物が投下される層上部のガス化ガス及びチャー量が多くなるので空気量は多めに、水分や固定炭素分が多い場合には少なめに供給する。流動層部に供給する空気量を理論燃焼空気量の30〜60%の中間値45%の場合、流動層部に供給する空気量と未燃ガス上昇領域に供給する空気量の合計は75〜105%となり、炉全体の総空気比を1.4とするには35〜65%の空気をフリーボードに供給する。流動層内燃焼が1段目、層上燃焼を2段目、そしてフリーボード燃焼が3段目ということになり、3段燃焼により従来の2段燃焼よりもNOXを低減できる。
また、上記の第二の側面において、炉底中央部の緩慢流動層中を流動媒体が流動化しつつ下降し、炉底周辺部の活発流動層中を流動媒体が流動化しつつ上昇し、流動層下部にて流動媒体が廃棄物投入部から周辺部へ、流動層上部にて流動媒体が周辺部から廃棄物投入部へ流動化しつつ移動し、流動層下部にて流動媒体が廃棄物投入部から周辺部へ流動化しつつ移動するような流動媒体の旋回運動を生ぜしめることで、次の作用効果が得られる。
(1)緩慢流動層中で生成する微細化される前の炭化物は、緩慢流動層上に浮遊・堆積せず、流動層内に良好・均一に分散され、活発流動層において炭化物の粉砕・酸化が効率良く行われる。炭化物の酸化により発生する熱量は、流動媒体に速やかに伝達され、炉中央部における投入廃棄物の乾燥・ガス化の熱源として有効利用される。
(2)上下方向反射壁によって流動媒体は炉中央方向へ津波のように被い、一部は炉の左側へ、一部は右側へ沈降・移動する。この流動媒体の横方向の動きにより、廃棄物は、無破砕に近い状態で炉へ供給することができる。このため、破砕設備を軽度のもの又は省略することができ、破砕用電力を節減できる。廃棄物中の不燃物を排出する不燃物排出シュートは、炉床の中央部に設ける場合と炉床の周辺部に設ける場合がある。廃棄物中の不燃物が比較的少ない場合は、炉床の中央部に設けても良い。廃棄物中の不燃物が比較的多い場合は、流動媒体の横方向の動きに乗せて不燃物を移動させることができる方式が良い。
(3)流動媒体が横方向に動くことにより、流動媒体が廃棄物を横方向に運搬することができ、廃棄物を層内で拡散することができるので、廃棄物投入は炉底中央部の緩慢流動層の層上中心部近傍に投入される。
ダイオキシン類濃度は炉出口の一酸化炭素濃度と相関があるとされ、ダイオキシン類濃度は炉出口の一酸化炭素濃度を常時監視して一酸化炭素濃度は100ppm以下(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施工規則)とされている。また、平成9年1月に厚生省から発表された「ごみ処理に関わるダイオキシン類発生防止等ガイドラインについて」では50ppm以下とされている。このように炉出口の一酸化炭素を低減させるほど炉内で完全燃焼できており、ダイオキシン類も低減できる。
一酸化炭素を低減するには、炉の上部のフリーボードで未燃ガスやチャー(微細炭素粒子)をフリーボードに供給する二次空気で燃焼させ、850℃以上を確保することにより達成される。しかし、一酸化炭素濃度規制値は、自治体などの顧客によっては更に上乗せ規制あるいは目標値として、最近では10ppm以下を要求されるようになっている。従来は、流動層の温度が高いと廃棄物と流動媒体の熱反応速度が速く、雑多で形状も物質も不均一な各種廃棄物の燃焼では流動層内で発生する一酸化炭素濃度は激しく乱れ、高濃度の一酸化炭素濃度を生じさせる。高濃度の一酸化炭素濃度が生じる時は、炉全体の必要酸素が不足する時であり、フリーボードに供給される二次空気では炉全体の必要酸素濃度が維持できないため、一酸化炭素は十分に燃焼できず、一酸化炭素濃度規制値は守れないおそれがある。このような状況において、一酸化炭素濃度規制値を守るために二つの方策が可能である。ひとつはフリーボードの容積を大きくして排ガス量の変動に対してクッション効果をもたせるものである。しかし、この方法はある程度効果はあるがイニシャルコストが高くなる。流動層式焼却炉での二つ目の方策は、流動媒体の温度を低めに設定して廃棄物と流動媒体の熱反応速度を緩慢にすることにより、流動層内で発生する一酸化炭素濃度の乱れを抑え、一酸化炭素濃度を低めで安定させ、フリーボードに供給される二次空気で十分に一酸化炭素を燃焼させて一酸化炭素濃度規制値を守るような運転管理がなされている。
なお、流動媒体の温度を低めに設定して廃棄物と流動媒体の熱反応速度を緩慢にすることにより、流動層内で発生する一酸化炭素濃度の乱れを抑え、一酸化炭素濃度を低めで安定させることはできるが、流動層部における緩慢流動層部と活発流動層部への空気量の配分を適正にしないと、流動層内でのチャーが完全燃焼し切らない内に一部はフリーボードへ飛散し、一部は流動媒体と不燃物に随伴して不燃物排出シュートから炉外に出される。この時、流動媒体の減温過程でチャーが触媒になってダイオキシン類が再合成される。適正な空気量の配分とは、緩慢流動層における流動化ガスの質量速度を最小流動化質量速度の2〜4倍のうちの低目とし、かつ活発流動層における流動化ガスの質量速度を緩慢流動層における流動化ガスの質量速度の2〜3倍程度のうちの高めとすることである。このことにより廃棄物投入部の緩慢流動層の空気比が低くなり温度を低くすることができ、一方活発流動層の空気比が高くなり流動層内のチャーが良く燃焼するので流動層温度が高くなる。そして活発流動層の流動媒体はその旋回運動により廃棄物投入部の緩慢流動層部へ移動し、廃棄物の乾燥・ガス化の熱源となる。
ダイオキシン類濃度規制は煙突出口のみであり、炉出口の規制はなく、炉出口の規制は一酸化炭素濃度だけである。そのため通常、ダイオキシン類濃度測定は煙突出口に注目されている。運転中の旋回流式流動層焼却炉において、流動媒体温度を500℃程度として運転したところ、一酸化炭素濃度が連続して1ppm以下という極めて安定した運転ができた。しかし、炉出口のダイオキシン類濃度を測定してみると、一酸化炭素濃度が高い場合よりも高めの数値が測定された。また各所の一般廃棄物焼却炉の分析データを調査すると、炉出口の一酸化炭素濃度が1〜10ppmという低いレベルでも、炉出口のダイオキシン類濃度は0.1〜12ng―TEQ/Nm3と幅広く分布していた。そして炉出口のダイオキシン類濃度が高い程廃熱ボイラ出口のダイオキシン類濃度は増量していた。一例を示すと、炉出口のダイオキシン類濃度約1ng―TEQ/Nm3の場合、廃熱ボイラ出口のダイオキシン類濃度は約6ng―TEQ/Nm3、炉出口のダイオキシン類濃度約12ng―TEQ/Nm3の場合には、廃熱ボイラ出口のダイオキシン類濃度は約46ng―TEQ/Nm3に増量した。すなわち現行の焼却炉システムにおいては、一酸化炭素濃度が1〜10ppmという低レベルの領域では、炉出口の一酸化炭素濃度は炉出口のダイオキシン類濃度との相関は無く参考値でしかない。なお、廃熱ボイラ内でダイオキシン類が再合成されることは良く知られていることであり、塩化銅などの金属塩化物が触媒として作用している。そして未燃炭素としてのチャーの量もダイオキシン類再合成に大きく寄与している。このことから、ダイオキシン類の発生直後に十分な酸素量と高温でダイオキシン類を高効率に分解させることは、緩慢流動層上で発生するチャーも同時に燃焼させることになるので、ダイオキシン類再合成の触媒となるチャーの量を低減する効果にも繋がる。
また、従来の焼却炉はほとんどバグフイルターを設置して、ここで活性炭などを噴霧してダイオキシン類を吸着除去し、更に後段にダイオキシン類分解触媒装置を設置して2重に対策を採っている。そのため炉出口のダイオキシン類濃度にはあまり注目していない。しかし、炉出口のダイオキシン類及びチャーの濃度が高いと、廃熱ボイラ出口のダイオキシン類濃度は増量し、後段のダイオキシン類吸着活性炭の使用量が増え、ダイオキシン類分解触媒装置の触媒の寿命が短くなり早期交換が必要になる。この活性炭と触媒の費用はかなり高価なものである。従って、炉出口でのダイオキシン類濃度規制はなくても、炉出口のダイオキシン類及びチャーの濃度を低減することは、ランニングコスト低減に大きな意義をもつ。また、炉出口のダイオキシン類濃度を低減できれば、炉から飛散して煙道へ導かれバグフイルターで捕集される飛灰中のダイオキシン類濃度も低減できる。飛灰中のダイオキシン類濃度が3ng―TEQ/g以下となれば、捕集された灰処理も容易になる。
上述のように、流動層式焼却炉に係らず、焼却施設全般で炉出口の一酸化炭素濃度を低減する各種の方策が採られてきたが、炉出口のダイオキシン類濃度は参考値であり、これまで炉出口のダイオキシン類濃度の低減策はほとんど検討・実施されていない。その理由のひとつに、活性炭や触媒を安易に使い、結果として安全のための処理費用の増加は止むを得ないとの考え方が基本にあったと考えられる。しかし近年、自治体の焼却施設は、20年間のランニングコストも含めた総括契約が多くなり、ランニングコストの低減及び施設の安全性・安定性は企業の死活問題にクローズアップしてきた。そこで、以下に説明する本発明の実施形態によれば、かかるランニングコストの低減と施設の安全性・安定性が提供される。
以下では、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、適用される技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
図1は、本発明の実施例における流動層式熱反応炉の図解的な垂直断面図である。図1において、流動層式熱反応炉1は、散気ノズル2、不燃物排出シュート3、上下方向反転壁4、フリーボード5、フリーボード二次空気供給口6、廃棄物投入口7、緩慢流動層用の空気室8、活発流動層用の空気室9、緩慢流動層10、活発流動層11を含む。流動層式熱反応炉1は、各種廃棄物12、活発流動層用の空気13、及び緩慢流動層用の空気14を供給され、燃焼ガス15を排出する。図1の流動層式熱反応炉1は、旋回流式流動層であり、散気ノズル2は、外周部が最も高く炉中心へ向かって傾斜している。散気ノズル2上の流動層は、緩慢流動層10及び活発流動層11を含む。なお、流動層を形成する流動媒体は、通常、平均粒子径0.4mm〜0.8mm程度の硅砂を使用する。
図1は廃棄物中の不燃物を排出する不燃物排出シュート3を炉床の周辺部に設けた場合の実施例を示す。流動層式熱反応炉1の水平断面は丸型でも矩形でも良い。廃棄物投入部24は緩慢流動層10の層上に位置し、この下方の緩慢流動層内が廃棄物乾燥・ガス生成主領域18となる。炉心方向供給空気ノズル16は、できるだけ炉心に近づけて、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18の上部のダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19に向けてダイオキシン類分解用燃焼空気17を吹き付ける。炉心方向供給空気ノズル16を炉心に近づける理由は、遠くから該空気を吹き付けると、空気が炉心近傍に到着する前に活発流動層11の層上で、吹き付けられた空気中の酸素が燃焼で消費されて、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19まで十分に届かないからである。また、炉心方向供給空気ノズル16は、単に金属管で炉内に突き出すのでは、高温及び腐食ガスによる腐食、流動媒体による磨耗の相乗効果により短期間で腐食・磨耗する。その対応のために、上下方向反転壁4を構成する炉中心側の側壁に炉心方向供給空気ノズル16を設置する。なお、流動層式熱反応炉1の構造は1本の線で記しているが、実際には鉄板に耐火材を貼り付けた構造である。
炉心方向供給空気ノズル16は、運転中の流動層平均表面20の層上部から2m以内とする。層上部から2m以内とするのは、あまり高い位置に設置すると、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19の未燃ガスがフリーボードへ拡散してしまい、ダイオキシン類分解用燃焼空気17を効率良く利用できないためである。なお、炉心方向供給空気ノズル16の段数は本図では2段で記してあるが、その段数は炉の大きさなどで任意に設計される。
図2は図1のA−A断面図を示す。本図は炉の水平断面が矩形の事例である。廃棄物投入口7から投入された各種廃棄物は廃棄物落下領域21の幅で緩慢流動層10の層上に到着し、沈降しながら乾燥・ガス化し、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18を形成する。この廃棄物乾燥・ガス生成主領域18は、最も酸素不足の領域となる。例えば、押込送風機(図示せず)から流動層部に供給する空気量を理論燃焼空気量の30〜60%の中間値45%とし、流動層断面に占める緩慢流動層10の面積割合を50%として設計し、活発流動層11における流動化ガスの質量速度を緩慢流動層における流動化ガスの質量速度の2倍となるようダンパ(図示せず)で調整すると、緩慢流動層10の理論燃焼空気量は被燃焼廃棄物全体に対して45%の1/3なので、15%となる。更に廃棄物乾燥・ガス生成主領域18は炉幅の1/3程度であるので、その面積も緩慢流動層10の面積の約1/3程度であり、廃棄物乾燥・ガス化主領域18の理論燃焼空気量は被燃焼廃棄物全体に対して5%という異常に低い酸素不足の領域となる。
廃棄物乾燥・ガス生成主領域18では、まず投入された廃棄物のほぼ全量の水分が蒸発し、その後に流動媒体の熱で熱分解ガス化する。すなわち、熱分解ガスは周辺に大量の水蒸気に囲まれているので、蒸し焼きのような状態であり、ミクロ的には流動媒体の温度より低い状況下にある。そのために、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18は、最もダイオキシン類を発生させる領域でもあった。従来、該領域のダイオキシン類発生源に空気を集中供給する発想がなかったため、ここで発生したダイオキシン類が、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19となって、フリーボード5へ上昇する。フリーボード5では二次空気供給口6から供給される二次空気により未燃ガス及びチャーを燃焼させる。しかし未燃ガス及び低めの濃度で安定している一酸化炭素は簡単に燃焼するが、フリーボード空間は広く、ガスの混合・攪拌に限界があり、チャーは固形粒子のため完全に近くは燃焼しずらく、またダイオキシン類は完全に近く分解するには至らない。
前述したように、流動層式熱反応炉1の構造は1本の線で記しているが、実際には鉄板に耐火材を貼り付けた構造である。図2の炉心方向供給空気ノズル16の段数は2段で、水平方向の個数は片面2個で記してあるが、その個数は炉の大きさなどで任意に設計される。
図3は図1のA−A断面に相当する他の実施例を示す。本図は炉の水平断面が矩形の事例で、上下方向反射壁4の左右隣壁に炉心方向供給空気ノズル16を設置した実施例である。炉心方向供給空気ノズル16は、できるだけ炉心に近づけて、廃棄物乾燥・ガス化主領域18の上部のダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19に向けてダイオキシン類分解用燃焼空気17を吹き付ける。炉心方向供給空気ノズル16を炉心に近づける理由は、遠くから該空気を吹き付けると、空気が炉心近傍に到着する前に緩慢流動層10の層上で、吹き付けられた空気中の酸素が燃焼で消費されて、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域19まで十分に届かないからである。また、炉心方向供給空気ノズル16は、単に金属管で炉内に突き出すのでは、高温及び腐食ガスによる腐食、流動媒体による磨耗の相乗効果で短期間で腐食・磨耗する。その対応のために、流動層式熱反応炉1の上下方向反射壁4の左右隣壁に横方向の旋回運動を与えるように横方向反射壁22を設け、廃棄物12が投下される層上部近傍、すなわちダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域19に供給する空気をできるだけ当該部に集中するために、当該層上部近傍に炉心方向供給空気ノズル16を近づけるよう横方向の旋回運動を与える横方向反射壁22の炉中心側の側壁を利用する。
炉心方向供給空気ノズル16は、運転中の流動層平均表面20の層上部から2m以内とする。その形態は、図1での説明と同じである。なお、炉心方向供給空気ノズル16の段数は本図では2段で記してあるが、その段数は炉の大きさなどで任意に設計される。横方向反射壁22の具体的な形態事例は図5に示す。なお、横方向反射壁22は、主に大型の炉において採用され、小型の炉では不要であり、この場合には炉心方向供給空気ノズル16は、流動層式熱反応炉1の側壁に直接設置しても良い。
図4は図3のB−B断面図を示す。実施の形態は図3での説明と同様である。炉心方向供給空気ノズル16は、流動層式熱反応炉1の外壁鉄板を加工した横方向反射壁22に設置する。横方向反射壁22の傾斜壁により、流動媒体は横方向旋回流23を形成する。横方向旋回流23は、図示のようにダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19に向かって飛散するので、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19は、ダイオキシン類分解用燃焼空気17と流動媒体の横方向旋回流23との激しい混合・攪拌燃焼領域となり、チャーは効率良く燃焼し、ダイオキシン類は効率良く発生源で分解する。なお、図3、図4は焼却炉が大型化したケースに適している。
図5は既設炉を改造する場合の1実施例である。炉心方向供給空気ノズル16は、流動層式熱反応炉1の緩慢流動層10の炉端部分に設置されている既設の散気ノズル2の取り付けネジを利用して、炉心方向供給空気ノズル16として利用する実施例を示す。できるだけ炉心に近づけて、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18の上部のダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19に向けてダイオキシン類分解用燃焼空気17を吹き付ける。本図の炉心方向供給空気ノズル16下部の流動媒体は、流動用空気が供給されないので固定層となり、層上部表面は流動媒体の安息角(約35°)で形成される。図示のように、炉心方向供給空気ノズル16は流動媒体によって埋設状態となるので、腐食・磨耗から保護される。炉心方向供給空気ノズル16の炉心近傍での空気供給高さは、運転中の流動層平均表面20の層上部から2m以内とする。本実施例では、簡単な改造で効果を期待できる。
図6は廃棄物中の不燃物を排出する不燃物排出シュートを炉床の中央部に設けた場合の実施例を示す。実施の形態は図1の説明と同じである。なお、流動層式熱反応炉1の水平断面は丸型でも矩形でも良い。
図7は図6及び図1の炉の水平断面が丸型の実施例のC―C断面図を示す。廃棄物投入口7から投入された各種廃棄物は緩慢流動層10の炉中心部近傍の層上に到着し、沈降しながら乾燥・ガス化し、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18を形成する。この廃棄物乾燥・ガス化主領域18は、最も酸素不足の領域となる。例えば図2で説明したケースと同様に、流動層部に供給する空気量を理論燃焼空気量の30〜60%の中間値45%とし、流動層断面に占める緩慢流動層10の面積割合を50%とし、活発流動層11における流動化ガスの質量速度を緩慢流動層における流動化ガスの質量速度の2倍とすると、緩慢流動層10の理論燃焼空気量は被燃焼廃棄物全体に対して45%の1/3なので、15%となる。更に廃棄物乾燥・ガス生成主領域18の面積は緩慢流動層10の面積の約1/3程度であるので、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18の理論燃焼空気量は被燃焼廃棄物全体に対して5%という酸素不足の領域となる。
廃棄物乾燥・ガス生成主領域18では、まず投入された廃棄物のほぼ全量の水分が蒸発し、その後に流動媒体の熱で熱分解ガス化する。すなわち、熱分解ガスは周辺に大量の水蒸気に囲まれているので、蒸し焼きのような状態であり、ミクロ的には流動媒体の温度より低い状況下にあると考えられる。そのために、廃棄物乾燥・ガス生成主領域18は、最もダイオキシン類を発生させる領域でもある。従来、該領域のダイオキシン類発生源に空気を集中供給する発想がなかったため、ここで発生したダイオキシン類が、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域19となって、フリーボード5へ上昇する。フリーボード5では二次空気供給口6から供給される二次空気により未燃ガス及びチャーを燃焼させる。しかし未燃ガス及び低めの濃度で安定している一酸化炭素は簡単に燃焼するが、フリーボード空間は広く、ガスの混合・攪拌に限界があり、チャーは固形粒子のため完全に近くは燃焼しずらく、またダイオキシン類は完全に近く分解するには至らない。これらの説明は図2の説明と同じである。
前述したように、流動層式熱反応炉1の構造は1本の線で記しているが、実際には鉄板に耐火材を貼り付けた構造である。図7の炉心方向供給空気ノズル16の水平方向の個数は本図では4個で記してあるが、その個数は炉の大きさなどで任意に設計される。
従来の流動層式熱反応炉では、まず投入された廃棄物は投入場所近傍の流動層部で該廃棄物のほぼ全量の水分が蒸発し、その後に流動媒体の熱で熱分解ガス化する。すなわち、熱分解ガスは周辺に大量の水蒸気に囲まれているので、蒸し焼きのような状態であり、ミクロ的には流動媒体の温度より低い状況下にあると考えられる。そのために、廃棄物乾燥・ガス化主領域は、最もダイオキシン類を発生させる領域でもあった。これまで、該領域のダイオキシン類発生源に空気を集中供給する発想がなかったため、ここで発生したダイオキシン類が、ダイオキシン類を多く含む未燃ガスとなって、フリーボードへ上昇する。フリーボードでは二次空気供給口から供給される二次空気により未燃ガス及びチャーを燃焼させる。しかし未燃ガス及び低めの濃度で安定している一酸化炭素は簡単に燃焼するが、フリーボード空間は広く、ガスの混合・攪拌に限界があり、チャーは固形粒子のため完全に近くは燃焼しずらく、またダイオキシン類は完全に近く分解するには至らなかった。本発明の効果は、運転操作が容易で、コンパクトで、チャー及びダイオキシン類が発生する直後にチャーを効率良く燃焼し、ダイオキシン類を高効率で分解させることが可能となった。本発明のその他の効果又は利点は、以下の通りである。
(1)「ガス化溶融システム」のような1,300℃以上の高温燃焼を行わなくてもダイオキシン 類濃度の低減が可能となるため、耐火材の高温による損傷がなく、耐火材張替え工事費が相当低減 でき、ランニングコストは大幅に低減できる。
(2)炉出口のダイオキシン類濃度が低く、かつチャー濃度も低いのでダイオキシン類を再合成さ せる廃熱ボイラなどの出口のダイオキシン類濃度が低いので、後段のバグフイルターでのダイオキ シン類吸着活性炭の使用量が低減でき、ランニングコストは大幅に低減できる。
(3)炉出口のダイオキシン類濃度が低く、かつチャー濃度も低いのでダイオキシン類を再合成させる廃熱ボイラなどの出口のダイオキシン類濃度も低いので、後段のダイオキシン類分解触媒装置の触媒が不要になる。あるいは触媒の寿命が長くなり早期交換が不要になり、ランニングコストは大幅に低減できる。
(4)炉出口のダイオキシン類濃度が低く、かつチャー濃度も低いのでダイオキシン類を再合成させる廃熱ボイラなどの出口のダイオキシン類濃度も低いので、後段のバグフイルターで捕集される飛灰中のダイオキシン類濃度も低減でき、飛灰中のダイオキシン類濃度を3ng―TEQ/g以下とすることができるので、捕集灰の処理が容易になる。
(5)流動層内燃焼から層上燃焼、そしてフリーボード燃焼という3段燃焼により、従来の2段燃焼よりもNOXを低減できる。
(6)資源の節約が可能となり、省資源型焼却炉施設となる。
1:流動層式熱反応炉、2:散気ノズル、3:不燃物排出シュート、4:上下方向反転壁、
5:フリーボード、6:フリーボード二次空気供給口、7:廃棄物投入口、8:緩慢流動層用の空気室、 9:活発流動層用の空気室、10:緩慢流動層、11:活発流動層、12:各種廃棄物、
13:活発流動層用の空気、14:緩慢流動層用の空気、15:燃焼ガス、
16:炉心方向供給空気ノズル、17:ダイオキシン類分解用燃焼空気、
18:廃棄物乾燥・ガス化主領域、19:ダイオキシン類を多く含む未燃ガス上昇領域、
20:運転中の流動層平均表面、21:廃棄物落下領域、22:横方向反射壁、23:横方向旋回流、24:廃棄物投入部(緩慢流動層10の層上)

Claims (7)

  1. 廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで前記流動層部の上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャー(微細炭素粒子)を850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応装置において、
    前記廃棄物が投入される前記流動層部の上部近傍に対応する、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域に供給する空気量を被燃焼物全体に対する理論燃焼空気量の30〜60%とし、前記フリーボ−ドに至る前でかつ前記ダイオキシン類が拡散する前の前記未燃ガス上昇領域の温度を850〜1100℃とすることにより、前記ダイオキシン類の発生直後に当該ダイオキシン類を分解させる流動層式熱反応装置。
  2. 廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで前記流動層部の上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャーを850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応装置において、
    前記流動層部では、前記廃棄物が投入される廃棄物投入部の緩慢流動層中を流動媒体が流動化しつつ下降し、前記流動層式熱反応炉周辺部の活発流動層中を前記流動媒体が流動化しつつ上昇し、当該流動層部の下部にて前記流動媒体が前記廃棄物投入部から炉周辺部へ、前記流動層部上部にて前記流動媒体が周辺部から前記廃棄物投入部へ流動化しつつ移動し、前記流動層部下部にて前記流動媒体が前記廃棄物投入部から炉周辺部へ流動化しつつ移動するような流動媒体の旋回運動を生じさせ、
    前記廃棄物投入部であって前記流動層部の上部近傍に対応する、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域に供給する空気量を被燃焼物全体に対する理論燃焼空気量の30〜60%とし、フリーボ−ドに至る前でかつダイオキシン類が拡散する前の該未燃ガス上昇領域の温度を850〜1100℃とすることにより、前記ダイオキシン類の発生直後に当該ダイオキシン類を分解させる流動層式熱反応装置。
  3. 前記廃棄物投入部であって前記流動層の上部近傍に供給する空気を当該部に集中するために、当該部近傍に前記空気を供給する供給空気ノズルを近づけるよう上下方向の旋回運動を与える上下方向反射壁を有する炉中心側の側壁に前記供給空気ノズルを有することを特徴とする請求項2記載の流動層式熱反応装置。
  4. 流動層部の形状が矩形で、上下方向の旋回運動に加えて横方向の旋回運動を与えるように、上下方向反射壁の左右の隣壁に横方向反射壁を設け、前記廃棄物投入部であって前記流動層の上部近傍に供給する空気を当該部に集中するために、当該層上部近傍に炉心方向供給ノズルを近づけるよう横方向の旋回運動を与える横方向反射壁の炉中心側の側壁を利用することを特徴とする請求項2記載の流動層式熱反応装置。
  5. 前記廃棄物が投下される層上部近傍、に供給する空気の垂直方向供給位置が層上部から2m以内とすることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれかに記載の流動層式熱反応装置。
  6. 廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで前記流動層部の上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャー(微細炭素粒子)を850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応装置の使用方法において、
    前記廃棄物が投入される前記流動層部の上部近傍に対応する、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域に供給する空気量を被燃焼物全体に対する理論燃焼空気量の30〜60%とし、前記フリーボ−ドに至る前でかつ前記ダイオキシン類が拡散する前の前記未燃ガス上昇領域の温度を850〜1100℃とすることにより、前記ダイオキシン類の発生直後に当該ダイオキシン類を分解させる、流動層式熱反応装置の使用方法。
  7. 廃棄物を流動層式熱反応炉の流動層部にて450〜650℃で乾燥し熱分解ガス化し、次いで前記流動層部の上部空間のフリーボードにてガス化ガス及びチャーを850〜1050℃で燃焼することにより完全燃焼を達成しようとする流動層式熱反応装置の使用方法において、
    前記流動層部では、前記廃棄物が投入される廃棄物投入部の緩慢流動層中を流動媒体が流動化しつつ下降し、前記流動層式熱反応炉周辺部の活発流動層中を前記流動媒体が流動化しつつ上昇し、当該流動層部の下部にて前記流動媒体が前記廃棄物投入部から炉周辺部へ、前記流動層部上部にて前記流動媒体が周辺部から前記廃棄物投入部へ流動化しつつ移動し、前記流動層部下部にて前記流動媒体が前記廃棄物投入部から炉周辺部へ流動化しつつ移動するような流動媒体の旋回運動を生じさせ、
    前記廃棄物投入部であって前記流動層部の上部近傍に対応する、ダイオキシン類を多く含む未燃ガス発生・上昇領域に供給する空気量を被燃焼物全体に対する理論燃焼空気量の30〜60%とし、フリーボ−ドに至る前でかつダイオキシン類が拡散する前の該未燃ガス上昇領域の温度を850〜1100℃とすることにより、前記ダイオキシン類の発生直後に当該ダイオキシン類を分解させる、
    流動層式熱反応装置の使用方法。
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