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JP2013048498A - ハイブリッド型回転電機 - Google Patents

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JP2013048498A
JP2013048498A JP2011185360A JP2011185360A JP2013048498A JP 2013048498 A JP2013048498 A JP 2013048498A JP 2011185360 A JP2011185360 A JP 2011185360A JP 2011185360 A JP2011185360 A JP 2011185360A JP 2013048498 A JP2013048498 A JP 2013048498A
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グエン・タン・チュン
Noriyoshi Kikuchi
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Nidec Servo Corp
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Abstract

【課題】 本発明は、回転子の永久磁石を挟持する2個の回転子磁極の磁歯間に極歯ピッチTの1/2のずれ角を簡単な構成で得てなるハイブリッド型回転電機を得ることを目的とする。
【解決手段】 固定子に対向する外周又は内周に所定数の磁歯が等ピッチTで形成された回転子素子の一対の回転子磁極において、その内周又は外周に、当該回転子磁極における磁歯に対して所定の位置関係にある切り込み部を形設し、一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極における切り込み部と、この一方の回転子磁極に対し表裏を逆にした他方の回転子磁極における切り込み部とを軸方向に合致させて、一方の回転子磁極の各磁歯と他方の回転子磁極の磁歯とに周方向にT/2の位相差を形成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、巻き線極である複数個の主極に多相の巻線を施してなる固定子と、一対の回転子磁極間に永久磁石を挟持して構成されたハイブリッド型回転子とを備えたステッピングモータ等のハイブリッド型回転電機に関する。
小型で安価、高速高トルク、低振動回転が複写機やプリンタ等のOA機器等に多用されるステッピングモータ等の回転電機に要求されている。OA機器は小型化、低コスト化、高速化、低振動化の動向にあり、その駆動モータにも同じく、小型化、低コスト化、高速化、低振動化の要求がある。この要求を満足する手段の一つとして、例えば特開2000−037068号公報(特許文献1)に示されたハイブリッド型ステッピングモータがある。
特許文献1に記載の従来のステッピングモータは、2個の円板状の回転子磁極(回転子コア)とその間に設けられた軸方向着磁の永久磁石とで回転子が構成され、これが回転軸に取り付けられており、回転子の外側にこれを囲むように設けられた固定子コアの軸方向両側にそれぞれケーシングが設けられると共に、ケーシングにそれぞれ保持された軸受により、回転軸が回転自在に支持されている。固定子コアには複数の主極が内方へ突出するかたちで形成され、これに巻線が施されており、駆動回路により巻線への通電を制御することにより、回転子に所要の回転が得られる構成になっている。ここで、固定子コアの各主極の先端には複数の誘導子歯が形成される一方、回転子の各回転子磁極の外周面に固定子の誘導子歯に対向させて複数の磁歯が形成されている。
上述したようなハイブリッド型のステッピングモータにおいては、例えば特開平11−289737号公報(特許文献2)に記載されているように、任意の固定子主極において、その誘導子歯が回転子における一方の回転子磁極の磁歯と丁度対向しているときには、他方の回転子コアの磁歯は誘導子歯に対し回転子磁歯のピッチの1/2ずれていることが必要条件となっている。このため、従来より、回転子の一対の回転子磁極を磁歯の1/2ピッチだけずらせて配置するようになっている。
ここで、上記特許文献2では、回転子の永久磁石を挟持する2個の回転子磁極の磁歯間に極歯ピッチの1/2のずれ角を持たせるためには、回転子の組立製作の際に専用の治具を使用し、回転子磁歯や回転子磁極を外部より保持して行うため、回転子磁極間の磁歯のずれ角を高精度に規制できない問題点が認識されており、特にサイズの小さいハイブリッド型ステッピングモータでは、この問題が顕在化し、トルクのばらつき、トルク低下や角度精度の低下が指摘されている。
特に、上記特許文献2では、回転子の一対の回転子磁極のそれぞれの磁歯は互いに円周方向のずれ角を零にした上で、固定子コアの隣り合う主極(突極部)の一方を、その主極の中心線に対して当該主極における磁歯群の中心線が時計方向に回転子磁歯ピッチの1/4ずれるようにすると共に、隣り合う他方を、その主極の中心線に対して当該主極における磁歯群の中心線が反時計方向に回転子磁歯ピッチの1/4ずれるようにし、固定子コアを軸方向に2分割して、この一方を他方に対して回転軸を中心に固定子コアの主極のピッチの奇数倍の角度回転した関係にしている。
特開2000−037068号公報 特開平11−289737号公報
しかし、上記した特許文献2の構成では、回転子の構成が単純化し、その組立が容易になる反面、固定子コアを2分割してその角度配置を調整することが必要になるだけでなく、固定子コアにおける主極の磁歯の配置構成が複雑化する難点があり、固定子の製造や組立が煩雑になる不都合がある。
本発明は、上記問題点に留意してなされたものであり、前記特許文献2に記載されるような固定子コアを複雑化する構造を採用することなく、回転子の永久磁石を挟持する2個の回転子磁極の磁歯間に極歯ピッチの1/2のずれ角を簡単な構成で得ることができるハイブリッド型回転電機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明においては、環状コアバック部及びこのコアバック部より放射状に突出形成されそれぞれの先端に複数の誘導子歯を形成してなる複数個の主極からなる固定子コアとこの固定子コアのそれぞれの主極に巻回された多相の巻き線とを含む固定子と、この固定子に対し径方向にエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性材よりなる1対の環状の回転子磁極と該両回転子磁極で挟み込まれ軸方向に着磁された永久磁石とからなる回転子素子を備えてなる回転子とを備え、一対の回転子磁極に、固定子に対向する外周又は内周に所定数の磁歯を等ピッチTで形成し、一対の回転子磁極をそれぞれの磁歯が互いにT/2ずれるように配置するハイブリッド型回転電機において、
一対の回転子磁極の内周又は外周に、当該回転子磁極における磁歯に対して所定の位置関係にある切り込み部を形設し、一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極における切り込み部と、該一方の回転子磁極に対し表裏を逆にした他方の回転子磁極における切り込み部とを軸方向に合致させて、一方の回転子磁極の各磁歯と他方の回転子磁極の各磁歯とに周方向にT/2の位相差を形成するようにしたことを特徴とする。
このような本発明のハイブリッド型回転電機において、一対の回転子磁極の内周又は外周に形設される切り込み部を、任意の基準位置に対してT/4ずれた位置に設定し、一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極における切り込み部は基準位置の磁歯に対して回転方向一方にT/4ずれ、該一方の回転子磁極に対して表裏逆とされた他方の回転子磁極における切り込み部は基準位置の磁歯に対して回転方向他方にT/4ずれるようにし、両回転子磁極をそれぞれの切り込み部を軸方向に合致させて配置させる構成とすることができる。
この場合、回転子素子の一対の回転子磁極における磁歯を偶数個とし、回転子磁極の内周又は外周に少なくとも2個の切り込み部を等配する構成としてもよい。また、回転子素子の一対の回転子磁極をそれぞれ、複数枚のラミネーションを積層して構成し、各ラミネーションにおいて、所定数の磁歯と切り込み部とを打ち抜きにて形成し、このようなラミネーションをそれぞれの切り込み部を合致させて規定枚数積層することにより回転子磁極を構成すると共に、一方の回転子磁極と他方の回転子磁極とを互いに表裏逆にした状態で切り込み部を軸方向に合致させて配置する構成とするのがよい。
さらに、回転子に、回転子素子の内周又は外周に嵌合してこれと一体になって回転する回転部材を設け、この回転部材の各回転子磁極が嵌合する周面に、切り込み部に対応して凹溝を形成すると共に、この凹溝とこれに対応する回転子磁極の切り込み部とで形成する軸方向穴にピンを嵌合して回転子磁極を回転部材に結合するようにしてもよい。
ここで、回転子を複数組の回転子素子を同心状かつ一体に有する構成とし、複数組の回転子素子のうち隣り合う2つの回転子素子を、それぞれの永久磁石の着磁方向を互いに逆になる向きとし、隣り合う2つの回転子素子において隣接する回転子磁極を磁歯の位置が軸方向において一致するよう配置することもできる。
また、上述した本発明のハイブリッド型回転電機において、一対の回転子磁極の内周又は外周に、第1,第2の切り込み部を形設し、両切り込み部を、所定数の磁歯のピッチTに対して、mを1以上の整数としたとき、(mT+T/2)ずれた位置に配置する構成とし、一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極における第1の切り込み部と、該一方の回転子磁極とは表裏逆の関係に配置された他方の回転子磁極における第2の切り込み部とを軸方向に合致させた状態で配置する構成とすることができる。
この場合、一対の回転子磁極における第1,第2の切り込み部を、約180°の回転対称位置に配置することが望ましく、また、一対の回転子磁極に、第1の切り込み部又は第2の切り込み部を識別可能な目印マークを形成するのがよい。
本発明のハイブリッド型回転電機によれば、一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極における切り込み部と、この一方の回転子磁極に対し表裏を逆にした他方の回転子磁極における切り込み部とを軸方向に合致させることにより、一方の回転子磁極の各磁歯と他方の回転子磁極の磁歯とに周方向にT/2の位相差を形成することができるため、簡単な構成で回転子の組立性が格段に良好となる。
特に、一対の回転子磁極の内周又は外周に形設される切り込み部を、任意の基準位置に対してT/4ずれた位置に設定するようにすれば、回転子素子を構成する一対の回転子磁極を、それぞれの切り込み部が軸方向に合致するよう配置すれば、両回転子磁極はそれぞれの基準位置は切り込み部より回転方向の一方及び他方に回転子磁歯のピッチのそれぞれ1/4ずれるため、両回転子磁極のそれぞれの基準位置は互いに1/2ピッチずれることになり、結果として、それぞれの磁歯は互いに1/2ピッチずれる。従って、両回転子磁極をそれぞれの切り込み部を軸方向に合致するだけで両者の磁歯を1/2ピッチずらせることが可能となる。
また、回転子磁極に形成される切り込み部が偶数個でこれが等配されていれば、回転子自身の回転バランスが保たれることになる。
さらに、回転子磁極を複数枚のラミネーションを積層して構成する場合、これらラミネーションを切り込み部を合致させた状態で規定枚数積層して回転子磁極を構成しておけば、一対の回転子磁極を互いに表裏逆にして切り込み部を合致させれば互いに1/2ピッチずれる関係を形成できることになる。
また、回転子磁極の切り込み部に対向して、回転部材に凹溝を形成し、切り込み部と凹溝とで形成する軸方向穴にピンを嵌合する構成とすれば、回転子磁極の組立のために使用する切り込み部を回転子磁極と回転軸との結合にも有効に利用できることになる。
一方、本発明のハイブリッド型回転電機において、一対の回転子磁極の内周又は外周に第1,第2の切り込み部を形設し、両切り込み部を、所定数の磁歯のピッチTに対して、(mT+T/2)ずれた位置に配置されする構成とした場合、一方の回転子磁極における第1の切り込み部と、この一方の回転子磁極とは表裏逆の関係に配置された他方の回転子磁極における第2の切り込み部とを軸方向に合致させることにより、両回転子磁極のそれぞれの磁歯を互いにT/2ずれる構成とすることができ、簡単な構成で回転子の組立性が格段に良好となる。
本発明の一実施形態によるハイブリッド型ステッピングモータを示す切断正面図である。 図1のステータとロータとの関係を示す平面図である。 図1の回転子磁極を示す平面図である。 図1における一対の回転子磁極の一部を示す平面図である。 本発明の他の実施形態によるハイブリッド型ステッピングモータを示す切断正面図である。 図5における回転子磁極の一部を示す平面図である。 本発明のさらに他の実施形態によるハイブリッド型ステッピングモータを示す切断正面図である。 図7の回転子磁極を示す平面図である。
本発明に係るハイブリッド型回転電機の実施形態につき、以下図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態であるインナーロータタイプのハイブリッド(HB)型回転電機としての2相HB型ステッピングモータの断面構成を示し、図2はこのステッピングモータにおいて8主極機の固定子とHB型回転子とを組合わせたものを軸方向から見た図である。巻き線の図示は省略してあるが、8主極の巻き線極である首部にはそれぞれ巻き線が施され、1個おきの4個の主極に巻回された巻き線が連結されて1相分を形成し、残りの4主極で他の1相分を形成し、全体で2相巻き線としたHB型回転電機である。固定子は不平衡電磁力が発生せず高速性に優れた8主極構造を採用した例である。
固定子10は、外形がほぼ四辺形の環状のコアバック部12aとこのコアバック部12aより放射状に内方に突出して設けられ周方向に等間隔に配列された8個の主極12bとからなる固定子コア12と、各主極12bに巻回された2相の巻き線14とからなり、巻き線極である各主極12bの先端には複数個(例えば6個)の誘導子歯12cが突出して設けられている。固定子コア12は複数枚の珪素鋼板(ラミネーション)を積層して構成されている。
ここで、上記固定子コア12は90度毎の回転対称状に構成されているため、珪素鋼板を90度毎に順次回転したものを積層して構成することができる。回転子磁極を90度ずつ回転積層させて構成すれば、ラミネーションを構成する珪素鋼板フープ材の圧延方向とその直角方向で生じる磁束の通りやすさの差をキャンセルさせることができ、加えてラミネーション自身の圧延方向とその直角方向の各位置で生じる厚み差の積算が緩和され、周方向寸法精度や磁気特性に偏りのない固定子コアを得ることが可能となる。
この2相の固定子12は、図2における固定子コア12aの垂直軸と水平軸の互いに直交する2つの線上に配置された4個の主極12b、つまり90度毎に配置された4個の主極12bで1相分(A相、C相)を構成し、残りの4個の機械角で互いに90度隔てて且つ1相分主極からは機械角で45度隔てて配置された主極12bで2相分(B相、D相)を形成する。各相において、90度毎の4個の主極12bは巻き線14への通電時に交互に異極となるように励磁され駆動される。
前記固定子10の軸方向両側にはブラケット16A,16Bが固定され、これにそれぞれ保持された軸受18A,18Bにより、固定子コア11の内側に配置された回転子20の回転軸22が固定子10に対して回転自在に支持されている。
回転子20は、回転軸22に軸方向に間隔を置いて固定された一対の円盤状の回転子磁極24,26と、この回転子磁極24,26間で挟持され軸方向に着磁された円環状の永久磁石28とにより構成されている。一対の回転子磁極24,26はそれぞれの中心孔24a,26aに回転軸22を結合することによりこれらが一体に固定されている。両回転子磁極24,26はそれぞれ珪素鋼鈑(ラミネーション)を積層して構成され、それぞれの外周には等ピッチで複数(Nr=4n)個(nは1以上の整数)の磁歯24b,26bが設けられている。一対の回転子磁極24,26は、それぞれの磁歯24b,26bのピッチTに対して互いに1/2ずれて配置されている。
図3及び図4は、図1及び図2における回転子磁極の24,26の一部を簡易的に示したものであり、それぞれの中心孔24a,26aの大きさや、磁極24b,26bの個数は図1及び図2のものと多少異ならせているが、理解を容易にするためである。図3より明らかなように、回転子磁極24の中心孔24aには、2個の切り込み部24cが180度回転対称位置に配置させて形成されている。この切り込み部24cはそれぞれ、磁極24bのピッチをTとしたとき、特定の磁極24bの中心位置から反時計方向にT/4だけずれた位置に形成されている。
図3は、便宜上、一方の回転子磁極24を示しているが、他方の回転子磁極26も同様に、その中心孔26aには、2個の切り込み部26cが180度回転対称位置に配置させて形成され、これがそれぞれ、磁極26bのピッチTに対して、特定の磁極26bの中心位置から反時計方向にT/4だけずれた位置に形成されている。ここで、他方の回転子磁極26はその表裏を逆にした状態で組み込まれようになっており、従って、他方の回転子磁極26においては、中心孔26aの切り込み部26cが特定の磁極26bの中心位置から時計方向にピッチTの1/4だけずれるようになっている。
そして、このような構成の一対の回転子磁極24,26は、図4に示すように、それぞれの切り込み部24c、26cを軸方向において合致させた状態で回転軸22に結合される。この結果、一方の回転子磁極24のそれぞれの磁歯24bと他方の回転子磁極26のそれぞれの磁極26bとはピッチTの1/2だけずれる関係が形成されることになる。従って、一対の回転子磁極24,26とこの間に挟持される永久磁石28とを用いて回転子20を組み立てる際、両回転子磁極24,26のそれぞれの切り込み部24c、26cが軸方向に合致する位置関係さえ形成すれば、所望構成の回転子20を簡便に完成させることが可能となる。
ここで、上記した実施形態では、固定子コア12について珪素鋼板を90度毎に回転積層する構成を説明したが、回転子素子の一対の回転子磁極における磁歯を4n個(nは1以上の整数)とし、この回転子磁極に4個の切り込み部を等配する場合には、各回転子磁極を構成する複数のラミネーションを90度毎に順次回転した状態で積層することができる。勿論、これに限定されるものではなく、回転積層の回転角度は回転子における突極数等の仕様に応じて適宜選択することができる。
次に、本発明の他の実施形態について、図5及び図6を用いて説明する。
図5は、3相HB型ステッピングモータの断面構成を示したものであり、前述した実施形態の場合と同様、固定子30の上下にそれぞれブラケット40A,40Bが配置され、ブラケット40A,40Bにそれぞれ保持された軸受42A,42Bにより、固定子30の内側に配置された回転子50の回転軸52が回転自在に支持されている。
固定子30は、例えば円環状のバックヨークとこのバックヨークより放射状に内方に突出して設けられ周方向に等間隔に配列された複数個の主極とからなる固定子コア32を有し、各主極に3相の巻き線が巻装されている。巻き線極である各主極の先端には複数個の誘導子歯が突出して設けられている。固定子コア32は複数枚の珪素鋼板を積層して構成されている。
回転子50は、中空パイプ状の回転軸52に軸方向に間隔を置いて固定された一対の回転子磁極54,56と、この回転子磁極54,56間で挟持され軸方向に着磁された円盤状の永久磁石58とにより構成されている。一対の回転子磁極54,56はそれぞれ規定枚数の珪素鋼鈑(ラミネーション)を積層して構成され、図6に示すように、一方の回転子磁極54には、回転軸52に嵌合する中心孔54aが形成されると共に、その外周には等ピッチで複数(Nr=4n)個(nは1以上の整数)の磁歯54bが設けられ、他方の回転子磁極56も同様に、中心孔を有し、外周に等ピッチで複数個の磁歯が設けられている。一対の回転子磁極54,56は、それぞれの磁歯のピッチTに対して互いに1/2ずれて配置されている。
ここで、一方の回転子磁極54の中心孔54aには、図6に示すように、4個の半円状の切り込み部54cが等間隔つまり90度毎に形成されている。各切り込み部54cはそれぞれ、各磁歯54bのピッチをTとしたとき、切り込み部54cに周方向において最も近接する磁歯54bの周方向中心と回転子磁極54の中心を通る直線に対して、T/4ずれた角度位置に配置されている。同様に、他方の回転子磁極56においても、その中心孔に4個の切り込み部が等間隔に形成されており、それぞれの角度位置が基準となる磁歯に対してT/4だけずれるように設定されている。また、回転軸52における両回転子磁極54,56に対応する外周面には、各回転子磁極54,56の切り込み部54cに対向するように軸方向に長い半円状の凹溝52aが形成され、これが4箇所周方向に等間隔に配置されている。
そして、両回転子磁極54、56は何れか片方を表裏を逆にした状態で、それぞれの切り込み部を軸方向に合致させた位置関係とされ、この両者間で永久磁石58を挟持し、回転軸52に嵌合される。さらに、両回転子磁極54,56の切り込み部と回転軸52の凹溝52aとが向かい合う位置関係にされ、この両者によって形成される軸方向穴にピン60が嵌入され、これにより回転軸52に対して両回転子磁極54,56が結合される。このとき、両回転子磁極54,56は片方が表裏逆とされた状態でそれぞれの切り込み部が合致する位置関係とされるため、それぞれの磁歯は互いにピッチTの1/2ずれることになり、両回転子磁極54,56の相互の位置合わせが非常に簡単に行えることになる。
なお、上記実施形態では、各回転子磁極54,56において、それぞれの磁歯の間には補助磁石62が埋め込まれている。この補助磁石62は軸方向に長い棒状磁石であって、各磁歯間にこの磁歯より外周にはみ出さないよう接着剤を用いて固着されている。補助磁石62は径方向つまり厚み方向に着磁され、前記永久磁石58により磁化された回転子磁極54,56の磁歯とは逆極性の磁極が外表面に向かうように設定されている。これにより各回転子磁極54,56の磁歯における磁力が増し、高トルクを得ることが可能となる。
また、上記実施形態では、一対の回転子磁極とこれに挟持される永久磁石とで回転子素子を構成し、これを回転軸に結合して回転子を形成する場合を示したが、一対の回転子磁極とこれに挟持される永久磁石とからなる回転子素子を複数個備え、これを共通の回転軸に結合して回転子を構成するようにしてもよい。この場合、複数の回転子素子は、隣り合う回転子素子のそれぞれの永久磁石はその着磁方向が互いに逆とされる上、隣接する回転子磁極はそれぞれの磁歯の周方向位置が軸方向に合致する位置関係とされる。
さらに、図1〜図6に示す実施形態はいずれも、インナーロータタイプのHB型ステッピングモータの例であるが、これに限らず、アウターロータタイプのHB型ステッピングモータにも、本発明を同様に適用することが出来る。
次に、本発明のさらに他の実施形態につき、図7及び図8を用いて説明する。この実施形態は、アウターロータタイプに適用した場合のHB型ステッピングモータである。
中空円筒状の固定軸70には固定子72が固定されている。この固定子72は、固定軸70の中腹部外周面にねじ止めにより固定された固定子コア74と、これに巻装された巻き線76とを有してなる。固定子コア74は、円環状のバックヨークとこのバックヨークより放射状に外方に突出して設けられ周方向に等間隔に配列された複数個の主極とからなり、各主極に3相の巻き線76が巻装されている。巻き線極である各主極の先端には複数個の誘導子歯が設けられている。固定子コア74は複数枚の珪素鋼板を積層して構成されている。3相の巻き線76の端部にはリード線78が接続され、これが固定軸70内に案内され、固定軸70内部を通して制御回路(図示せず)に接続されている。
固定軸70には、固定子72を内包するようにした回転体80が1対の軸受82A、82Bを用いて回転自在に支持されている。この回転体80は、固定子72の下側を覆い軸受82Bに支持された回転ベース部84と、固定子72の上側を覆い軸受82Aに支持された回転カバー部86と、回転ベース部84及び回転カバー部86の外周部間に連結され固定子72に径方向にエアギャップを介して対向する回転子88とにより構成されている。
回転子88は、略円筒状の回転子ケース90の内側に軸方向に間隔を置いて固定された一対の回転子磁極92,94と、この回転子磁極92,94間で挟持され軸方向に着磁された円盤状の永久磁石96とにより構成されている。一対の回転子磁極92,94はそれぞれ規定枚数の珪素鋼鈑(ラミネーション)を積層して構成され、図8に示すように、回転子磁極92,94の外周面92a,94aは、回転子ケース90の内周面に嵌合する嵌合面となる一方、回転子磁極92,94の内周に等ピッチで複数(Nr=4n,例えば200)個(nは1以上の整数)の磁歯92b、94bが設けられている。
一対の回転子磁極92,94のそれぞれの外周には、60度毎の等間隔の位置にそれぞれねじ案内溝92c、94cが形成され、回転子ケース90との間で形成されるねじ案内孔に、回転ベース部84と回転カバー部86を締結するねじが挿通され、回転ベース部84,回転カバー部86及び回転子88を一体化して回転体80を構成するようになっている。
一対の回転子磁極92,94のそれぞれの外周には、さらに、ほぼ180度の回転対称位置に第1の切り込み部92d,94d及び第2の切り込み部92d,94dが形成されている。第1の切り込み部92d,94dは、回転子磁極92,94の内周の磁歯92b、94bにおける基準位置に一致するよう配置され、第2の切り込み部92d,94dは、回転子磁極92,94の磁歯92b、94bにおける基準位置から磁極92,94のピッチTの1/2ずれた位置に配置されている。つまり、第1の切り込み部92d,94dと第2の切り込み部92d,94dとが、mT+T/2の位相差を形成して配置されている。
そして、一対の回転子磁極92,94は、一方に対して他方を表裏逆とした上で、回転子磁極92(94)の第1の切り込み部92d(94d)と回転子磁極94(92)の第2の切り込み部92d(94d)とを軸方向に合致させて配置しこの両者間でマグネット96を挟み込んで回転子ケース90に固定される。この結果、両回転子磁極92,94はそれぞれの磁歯92b、94bが互いにT/2だけずれる位置関係となる。
ここで、上記実施形態では、例えば図8に示すように、第1の切り込み部92d,94dの近傍に合いマーク92e,94eが設けられている。この合いマーク92e,94eは回転子磁極92,94を複数の珪素鋼鈑(ラミネーション)を積層して構成する場合に積層位置合わせに利用されるものであるが、この合いマーク92e,94eを目印にすることで両回転子磁極92,94の正しい位置関係を認識することができる。
すなわち、今、合いマーク92e,94eが第1の切り込み部92d,94dに対して回転方向に15度偏倚した位置に形成されているとした場合、両回転子磁極92,94を、互いに表裏逆とした上で、回転子磁極92(94)の第1の切り込み部92d(94d)と回転子磁極94(92)の第2の切り込み部92d(94d)とを軸方向に合致させれば、一方の回転子磁極92における合いマーク92eと他方の回転子磁極94における合いマーク94eとは150度の位相差を有して配置されることになる。従って、両回転子磁極92,94が正しく組み合わされたことをこれら合いマーク92e,94eの位置関係で認識することが可能となる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、その特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形、変更が可能である。
本発明によるハイブリッド型回転電機は、OA機器である複写機やプリンターの用途に対し高速高トルク低振動の回転電機の提供が可能であり、工業的に大きな寄与が期待される。その他、医療機器、FA機器、ロボット、遊戯機械、住宅設備機器への応用も大いに期待される。
10,30,72 固定子
12,32,74 固定子コア
14,76 巻き線
20,50,88 回転子
24,26,54,56,92,94 回転子磁極
24b,26b,54b,92b、94b 磁歯
24c,26c,54c 切り込み部
28,58,96 永久磁石
60 ピン
92d,94d 第1の切り込み部
92d,94d 第2の切り込み部
92e,94e 合いマーク

Claims (9)

  1. 環状コアバック部、及びこのコアバック部より放射状に突出形成されそれぞれの先端に複数の誘導子歯を形成してなる複数個の主極からなる固定子コアと、該固定子コアのそれぞれの前記主極に巻回された多相の巻き線とを含む固定子と、
    前記固定子に対し径方向にエアギャップを介して回転自在に設けられ磁性材よりなる1対の環状の回転子磁極と該両回転子磁極で挟み込まれ軸方向に着磁された環状の永久磁石とからなる回転子素子を備えてなる回転子とを備え、
    前記一対の回転子磁極は、前記固定子に対向する外周又は内周に所定数の磁歯が等ピッチTで形成されており、前記一対の回転子磁極はそれぞれの磁歯が互いにT/2ずらせて配置されてなるハイブリッド型回転電機であって、
    前記一対の回転子磁極の内周又は外周には、当該回転子磁極における磁歯に対して所定の位置関係にある切り込み部が形設されており、
    前記一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極における前記切り込み部と、該一方の回転子磁極に対し表裏を逆にした他方の回転子磁極における前記切り込み部とを軸方向に合致させ、一方の回転子磁極の各磁歯と他方の回転子磁極の各磁歯とに周方向にT/2の位相差を形成するようにしたことを特徴とするハイブリッド型回転電機。
  2. 前記一対の回転子磁極の内周又は外周に形設される切り込み部は、前記任意の基準位置に対してT/4ずれた位置に設定されており、
    前記一対の回転子磁極のうち一方の回転子磁極は、前記切り込み部が基準位置の磁歯に対して回転方向一方にT/4ずれ、該一方の回転子磁極に対して表裏逆とされた他方の回転子磁極は、前記切り込み部が基準位置の磁歯に対して回転方向他方にT/4ずれ、前記両回転子磁極はそれぞれの切り込み部を軸方向に合致させて配置されている請求項1に記載のハイブリッド型回転電機。
  3. 前記回転子素子の一対の回転子磁極における磁歯は偶数個とされ、該両回転子磁極にはそれぞれ2個以上偶数個の切り込み部が等配されていることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド型回転電機。
  4. 前記回転子素子の一対の回転子磁極はそれぞれ、複数枚のラミネーションを積層して構成されており、該各ラミネーションにおいては、所定数の磁歯と切り込み部とが打ち抜きにて形成され、当該ラミネーションをそれぞれの切り込み部を合致させて規定枚数積層することにより回転子磁極が構成されると共に、一方の回転子磁極と他方の回転子磁極とは互いに表裏逆にした状態で前記切り込み部を軸方向に合致させて配置されている請求項2又は3に記載のハイブリッド型回転電機。
  5. 前記回転子には、前記回転子素子の内周又は外周に嵌合してこれと一体になって回転する回転部材が設けられており、該回転部材の各回転子磁極が嵌合する周面に、前記切り込み部に対応して凹溝が形成され、該凹溝とこれに対応する前記切り込み部とで形成する軸方向穴にピンが嵌合されて前記回転子磁極が前記回転部材に結合されていることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のハイブリッド型回転電機。
  6. 前記回転子は、複数組の前記回転子素子を同心状かつ一体に有してなり、複数組の回転子素子のうち隣り合う2つの回転子素子は、それぞれの前記永久磁石の着磁方向が互いに逆になる向きとされ、隣り合う2つの回転子素子において隣接する回転子磁極は磁歯の周方向位置が軸方向において一致するよう配置されていることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載のハイブリッド型回転電機。
  7. 前記一対の回転子磁極の内周又は外周には、第1,第2の切り込み部が形設され、該両切り込み部は、前記所定数の磁歯のピッチTに対して、mを1以上の整数としたとき、(mT+T/2)ずれた位置に配置されており、
    前記一対の回転子磁極は、一方の回転子磁極における第1の切り込み部と、該一方の回転子磁極とは表裏逆の関係に配置された他方の回転子磁極における第2の切り込み部とを軸方向に合致させた状態で配置されている請求項1に記載のハイブリッド型回転電機。
  8. 前記一対の回転子磁極における第1,第2の切り込み部は、約180°の回転対称位置に配置されている請求項7に記載のハイブリッド型回転電機。
  9. 前記一対の回転子磁極には、第1の切り込み部又は第2の切り込み部を識別可能な目印マークが形成されている請求項7又は8に記載のハイブリッド型回転電機。
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