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JP2012236499A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2012236499A
JP2012236499A JP2011106614A JP2011106614A JP2012236499A JP 2012236499 A JP2012236499 A JP 2012236499A JP 2011106614 A JP2011106614 A JP 2011106614A JP 2011106614 A JP2011106614 A JP 2011106614A JP 2012236499 A JP2012236499 A JP 2012236499A
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Toshiharu Tanigawa
利晴 谷川
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】横グリップ性能及びトラクション性能の双方を高レベルで向上させる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】車両内側のトレッド半部分に、タイヤ軸方向に対する角度θiが小な内の横溝、車両外側のトレッド半部分に、タイヤ軸方向に対する角度θoが大な外の横溝を有する非対称トレッドパターンを具える。第2のカーカスプライ6bの車両内側の折返し高さは、車両外側の折返し高さよりも小である。車両内側のビードエーペックスゴム8iのエーペックス高さは、車両外側のビードエーペックスゴム8oのエーペックス高さよりも小である。車両外側のカットプロテクタ11oの外端のトレッド端TEからの半径方向距離は、車両内側のカットプロテクタ11iの外端のトレッド端TEからの半径方向距離よりも小である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ラリー用タイヤなどとして好適であり、不整地走行におけるコーナリング時のグリップ性能とトラクション性能との双方を向上させた空気入りタイヤに関する。
不整地走行に使用されるラリー用などの不整地走行用のタイヤにあっては、路面をしっかりとグリップして駆動力を路面に伝えるためのトラクション性能と、コーナリング時においてタイヤの横滑りを抑制するためのグリップ性能(横グリップ性能)とが必要である。
そのため、トレッドパターンに関して様々な提案がなされており、例えば下記の特許文献1、2には、タイヤ赤道両側でパターンを異ならせた非対称トレッドパターンが提案されている。このパターンでは、トラクション性能への寄与が大きい車両内側のトレッド半部分には、タイヤ軸方向に対する角度が小な内の横溝によって区分された横長ブロックを形成し、逆にグリップ性能(横グリップ性能)への寄与が大きい車両外側のトレッド半部分には、タイヤ軸方向に対する角度か大な外の横溝によって区分された縦長ブロックを形成している。
他方、前記不整地走行用のタイヤでは、硬質路面でのコーナリング時のグリップ性能(横グリップ性能)をより向上させるため、タイヤのサイド剛性を高めることが要求されており、そのために、例えばビードエーペックスゴムの半径方向高さ(エーペックス高さ)を増すこと、及びカーカスプライの折返し部の半径方向高さ(折返し高さ)を増すことなどが行われている。
しかし、タイヤのサイド剛性を高めた場合には、凹凸の多い不整地路面では、タイヤの変形が少なくなるため、特に低荷重時において接地面積の減少を招く。又前記サイド剛性の増加によってタイヤのバネ定数が上がるためタイヤの跳ねが大きくなり、接地時間の減少を招く。そしてこれら接地面積の減少、及び接地時間の減少によって、トラクション性能が低下し、せっかくトラクション性能向上のため、前記非対称パターンを採用した場合にも、その効果が充分に発揮されなくなるという問題がある。
特開平11−268506号公報 特開2001−180230号公報
そこで本発明は、車両内側におけるビードエーペックスゴムのエーペックス高さ及びカーカスプライの折返し高さを、車両外側におけるビードエーペックスゴムのエーペックス高さ及びカーカスプライの折返し高さに比して減じることを基本として、非対称パターンの効果を充分に発揮させることができ、不整地走行におけるコーナリング時のグリップ性能(横グリップ性能)とトラクション性能とを高いレベルで向上させうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至る本体部と、この本体部の両端から前記ビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部とを有するカーカス、
前記ビードコアから前記本体部と折返し部との間を通って半径方向外側に先細状にのびるビードエーペックスゴム、
及びタイヤ最大巾位置からトレッド端に至る上サイドウォール領域に配され、サイドウォール外面から隆起してタイヤ周方向に連続してのびるリブ状のカットプロテクタを具える空気入りタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ赤道面両側でパターンを異ならせた非対称トレッドパターンを具え、かつ車両装着時にタイヤ赤道面よりも車両内側となるトレッド半部分にはトレッド端からタイヤ赤道面に向かってのびる内の横溝、及び車両外側のトレッド半部分には、トレッド端からタイヤ赤道面に向かってのびる外の横溝がそれぞれ周方向に隔設され、しかも前記内の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θiを、前記外の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θoよりも小とするとともに、
前記カーカスは、最もタイヤ内腔側に配される第1のカーカスプライと、その外側に重置される第2のカーカスプライとを含む複数枚のカーカスプライからなり、
しかも前記第2のカーカスプライの折返し部のビードベースラインからの半径方向の折返し高さは、車両内側の折返し部の折返し高さが、車両外側の折返し部の折返し高さよりも小であり、かつ他のカーカスプライでは、それぞれ車両内側の折返し部の折返し高さが、車両外側の折返し部の折返し高さと同高さとし、
前記ビードエーペックスゴムのビードベースラインからの半径方向のエーペックス高さは、車両内側のビードエーペックスゴムのエーペックス高さが、車両外側のビードエーペックスゴムのエーペックス高さよりも小であるとともに、
前記カットプロテクタの半径方向外端のトレッド端からの半径方向距離は、車両外側のカットプロテクタの半径方向距離が、車両内側のカットプロテクタの半径方向距離よりも小としたことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記非対称トレッドパターンはブロックパターンであって、
前記車両内側のトレッド半部分は、タイヤ軸方向側のブロック長さが周方向側のブロック長さより大な横長ブロックが周方向に並ぶ横長ブロックの列を含むとともに、
前記車両外側のトレッド半部分は、タイヤ軸方向側のブロック長さが周方向側のブロック長さより小な縦長ブロックが周方向に並ぶ縦長ブロックの列を含み、かつ横長ブロックの列を含まないことを特徴としている。
又請求項3の発明では、車両外側のサイドウォール部には、アラミド繊維コードを配列したアラミド補強層が配されるとともに、車両内側のサイドウォール部にはアラミド補強層が配されないことを特徴としている。
なお本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、非リム組状態において、タイヤサイズで規定されるリム巾に合わせてビード部を保持したときに特定される値とする。
本発明は叙上の如く、内の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θiを、外の横溝の角度θoよりも小とした非対称パターンを採用する一方、車両内側におけるビードエーペックスゴムのエーペックス高さ及びカーカスプライの折返し高さを、車両外側におけるエーペックス高さ及び折返し高さよりも小に設定し、車両内側のサイド剛性を低減している。
このように、前記非対称パターンにおいてトラクション性能への寄与が大きい車両内側に対して、サイド剛性を減じて変形をしやすくしている。そのため、接地中心が車両内側に移行し低荷重時でも車両内側において接地面積を増やすことができる。又バネ定数が減じて路面の凹凸によるタイヤの跳ねを抑えることができるため、車両内側において接地時間を増やすこと可能となり、前記接地面積の増加と相俟って、非対称パターンによるトラクション性能の向上効果を充分に発揮させることができる。
他方、前記非対称パターンにおいてコーナリング時のグリップ性能(横グリップ性能)への寄与が大きい車両外側に対しては、サイド剛性が維持されるため、非対称パターンによるグリップ性能の向上効果も充分に発揮させることができる。このように、本発明の空気入りタイヤは、非対称パターンの効果を充分に発揮させ、グリップ性能とトラクション性能とをより高いレベルで向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。 車両内側のタイヤ半部分を示す断面図である。 車両内側、車両外側のビード部を比較して示す断面図である。 車両内側、車両外側のバットレス部分を比較して示す断面図である。 トレッドパターンを示す展開図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1において、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至る本体部6Aと、この本体部6Aの両端から前記ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部6Bとを有するカーカス6、及び前記カーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7を具える。
又各ビード部4には、前記ビードコア5から半径方向外側に先細状にのびるビードエーペックスゴム8が設けられるとともに、タイヤ最大巾位置Pmからトレッド端TEに至る上サイドウォール領域3Uには、サイドウォール外面3Sから隆起してタイヤ周方向に連続してのびるリブ状のカットプロテクタ11が形成される。
又前記トレッド部2には、タイヤ赤道面Coの両側でパターンを異ならせた非対称トレッドパターンが形成される。この非対称トレッドパターンは、所謂ランド比が40〜65%であって、図5に示すように、車両装着時にタイヤ赤道面Coよりも車両内側となるトレッド半部分2iに、車両内側のトレッド端TEiからタイヤ赤道面Coに向かってのびかつ周方向で隔置される複数の内の横溝12が配されるとともに、車両外側のトレッド半部分2oには、車両外側のトレッド端TEoからタイヤ赤道面Coに向かってのびかつ周方向で隔置される複数の外の横溝13が配される。なお本例では、前記内、外の横溝12、13は、互いに連通している。
そして前記内の横溝12のタイヤ軸方向に対する角度θiを、前記外の横溝13のタイヤ軸方向に対する角度θoよりも小に設定している。これにより、トラクション性能への寄与が大きい車両内側のトレッド半部分2iでは、路面から受ける周方向の力が相対的に高まり、前記トラクション性能を向上させることができ、又グリップ性能(横グリップ性能)への寄与が大きい車両外側のトレッド半部分2oでは、路面から受けるタイヤ軸方向の力が相対的に高まり、前記グリップ性能(横グリップ性能)を向上させることができる。
詳しくは、本例の非対称トレッドパターンでは、前記車両内側のトレッド半部分2iに、周方向で隣り合う内の横溝12、12間を継ぐタイヤ軸方向内、外の縦継ぎ溝14a、14bが配されるとともに、前記車両外側のトレッド半部分2oには、周方向で隣り合う外の横溝13、13間を継ぐタイヤ軸方向内、中、外の3本の縦継ぎ溝15a、15m、15bが配される。本例では前記縦継ぎ溝14bは、周方向にのびるとともに、他の縦継ぎ溝14a、15a、15m、15bは、周方向に対して傾斜する傾斜溝として形成される。なお前記傾斜溝のタイヤ軸方向に対する傾斜角度は、少なくとも前記角度θoよりも大であり、通常45°よりも大、さらには60°よりも大に形成される。又前記縦継ぎ溝14b、15a間には、前記内の横溝12と略平行な副横溝16が形成される。
これにより、前記トレッド端TEiと縦継ぎ溝14bとの間には、内の横溝12により区分される縦長のブロックの列Ribが形成されるとともに、縦継ぎ溝14b、14a間、及び縦継ぎ溝14a、15a間には、内の横溝12と副横溝16とにより区分される横長のブロックの列Rim、Riaが形成される。又前記トレッド端TEoと縦継ぎ溝15bとの間には、外の横溝13により区分される略三角形状のブロックの列Robが形成されるとともに、縦継ぎ溝15b、15m間、及び縦継ぎ溝15m、15a間には、外の横溝13により区分される縦長のブロックの列Rom、Roaが形成される。
ここで、横長のブロックとは、タイヤ軸方向側のブロック長さLxが周方向側のブロック長さLyより大なブロックを意味し、縦長のブロックとは、タイヤ軸方向側のブロック長さLxが周方向側のブロック長さLyより小なブロックを意味する。又前記ブロック長さLxはタイヤ軸方向側のブロック側縁間の巾であり、この巾が一定でないときはその平均で定義される。又前記ブロック長さLyはタイヤ周方向側のブロック側縁間の巾であり、この巾が一定でないときはその平均で定義される。
従って、本例の非対称トレッドパターンは、ブロックパターンからなり、又車両内側のトレッド半部分2oには、2本の横長ブロックの列Rim、Riaが配される。又車両外側のトレッド半部分2oには、2本の縦長ブロックの列Rom、Roaが配され、かつ横長ブロックの列は含まない。このようなブロックパターンとすることにより、グリップ性能(横グリップ性能)及びトラクション性能の双方をより高めることができる。
なお前記横溝12、13、縦継ぎ溝14a、14b、15a、15m、15b、副横溝16の溝巾、溝深さ等については特に規制されないが、通常の不整地走行用タイヤと同様、例えば溝巾4〜20mm程度、溝深9〜15mm程度のものが好適に用いうる。
次に、前記カーカス6は、最もタイヤ内腔側に配される第1のカーカスプライ6aと、その外側に重置される第2のカーカスプライ6bとを含む複数枚のカーカスプライからなる。本例では2枚のカーカスプライ6a、6bからなる場合が示される。各カーカスプライ6a、6bは、タイヤ赤道面Coに対して例えば75〜90°の角度で配列するカーカスコードを具える。カーカスコードとしては、ポリエステル、ナイロン、レーヨンなどの有機繊維コードが好適に採用される。
そして前記第2のカーカスプライ6bでは、図3に示すように、車両内側の折返し部6BbiのビードベースラインBLからの半径方向の折返し高さHbiは、車両外側の折返し部6BboのビードベースラインBLからの半径方向の折返し高さHboよりも小に設定される。なお、他のカーカスプライ、本例では第1のカーカスプライ6aでは、図1の如く、車両内側の折返し部6Baiの折返し高さHaiと、車両外側の折返し部6Baoの折返し高さとHaoとは同高さに設定される。本例では、第1のカーカスプライ6aの折返し高さHai、Haoは、第2のカーカスプライ6bの折返し高さHbi、Hboよりも大であり、これにより第2のカーカスプライ6bの折返し端を被覆保護し、該折返し端からの損傷を防止している。なお第1のカーカスプライ6aの折返し部6Ba自体は、タイヤ変形の少ないバットレス部分、或いはベルト層7下にて終端し、その折返し端からの損傷を防止するのが好ましい。
前記第2のカーカスプライ6bにおける前記折返し高さの差(Hbo−Hbi)は、20〜60mmの範囲が好適であり、又車両外側の折返し高さの差Hboは、55〜95mmの範囲が好適である。
又前記ビードエーペックスゴム8は、ゴム硬度が70〜90°の硬質ゴムからなり、前記ビードコア5から前記本体部6Aと折返し部6Bとの間を通って半径方向外側に先細状にのびる。なお、ゴム硬度Hsは、JIS−K6253に基づきデュロメータータイプAにより、23℃の環境下で測定したデュロメータA硬さである。
このビードエーペックスゴム8においても、車両内側のビードエーペックスゴム8iのビードベースラインBLからの半径方向のエーペックス高さ8Hiは、車両外側のビードエーペックスゴム8oのビードベースラインBLからの半径方向のエーペックス高さ8Hoよりも小としている。このエーペックス高さの差(8Ho−8Hi)は、5〜30mmの範囲が好適であり、又車両外側のエーペックス高さ8Hoは、45〜65mmの範囲が好適である。
又前記ベルト層7は、タイヤ赤道面Coに対して例えば10〜45°の角度で配列するベルトコードを具える2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7a、7bから形成される。このベルト層7は、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。ベルトコードとしては、本例ではスチールコードを採用しているが、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の高モジュラスの有機繊維コードも必要に応じて用いうる。
又前記サイドウォール部3には、不整地走行に際して、砕石、瓦礫、草木などとの接触から保護するために、トレッド端TEからタイヤ最大巾位置Pmに至る上サイドウォール領域3Uに、サイドウォール外面3Sから隆起してタイヤ周方向に連続してのびるリブ状のカットプロテクタ11が形成される。このカットプロテクタ11は、不整地走行に際して、砕石、瓦礫、草木などとの接触からサイドウォール部3を保護する。このカットプロテクタ11のサイドウォール外面3Sからの隆起高さh1は特に規制されないが、従来的なラリー用タイヤと同様、2〜6mmの範囲が好適に採用しうる。又前記カットプロテクタ11には、本例ではタイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1本、好ましくは複数本の凹溝17が形成され、該カットプロテクタ11に屈曲性を付与し乗り心地性の低下を抑制している。なお凹溝17は断面略U字状をなし、その深さh2は前記高さh1の0.5〜1.0倍の範囲に設定される。
そして本実施形態では、図4に示すように、前記カットプロテクタ11においても、車両外側のカットプロテクタ11oは、その半径方向外端のトレッド端TEoからの半径方向距離(以下にプロテクタ外端距離という場合がある。)11Loが、車両内側のカットプロテクタ11iの半径方向外端のトレッド端TEiからの半径方向距離11Liよりも小としている。この距離の差(11Li−11Lo)は、7〜20mmの範囲が好適であり、又車両外側のカットプロテクタ外端のトレッド端からの距離11Loは、20〜30mmが好適である。
このように本実施形態のタイヤでは、第2のカーカスプライ6bの折返し高さ、ビードエーペックスゴム8のエーペックス高さ、及びカットプロテクタ11のプロテクタ外端距離を、それぞれ車両外側と車両内側とで相違させている。
これにより、前記非対称パターンにおいてトラクション性能への寄与が大きい車両内側では、車両外側に比してサイド剛性を減じて変形をしやすくすることができる。そのため、車両内側においては、低荷重時でも接地面積を増やすことができる。しかも車両内側が変形しやすくなるため、この車両内側においては、路面の凹凸によるタイヤの跳ねが抑えられるなど接地時間を増やすこと可能となる。そしてこの接地時間の増加と接地面積の増加との相乗効果により、前述の非対称パターンによるトラクション性能の向上効果を充分に発揮させることができる。
他方、前記非対称パターンにおいてコーナリング時のグリップ性能(横グリップ性能)への寄与が大きい車両外側では、車両内側に比してサイド剛性が高く維持されるため、非対称パターンによる横グリップ性能の向上効果を高く発揮させることができる。このように本発明の空気入りタイヤは、トレッドパターンに合わせて、カーカス6、ビードエーペックスゴム8、カットプロテクタ11の構造も車両外側と車両内側とで非対称としているため、前述の非対称パターンの効果を充分に発揮させ、グリップ性能(横グリップ性能)とトラクション性能とを高いレベルで向上させることが可能となる。
ここで、前記折返し高さと、エーペックス高さと、プロテクタ外端距離との3つを、それぞれ車両外側と車両内側とで相違させることが重要である。もし一つが欠けると、ビード側とバットレス側との剛性バランスが悪化して変形が一部に偏る傾向となる。その結果、車両内側においては、サイドウォール部3全体の変形量を大きく確保することが難しくなり、又車両外側においては、サイド剛性を高く維持することが難しくなり、上記効果を有効に発揮させることが難しくなる。
なお前記折返し高さについては、前述の如く折返し高さの差(Hbo−Hbi)が、20〜60mmの範囲が好ましく、差(Hbo−Hbi)が20mmを下回ると、車両内側と車両外側との間において、サイド剛性の差や変形量の差が過小となり、上記効果を有効に発揮させることが難しくなる。逆に差(Hbo−Hbi)が60mmを上回ると、第2のカーカスプライ6bの折返し端に応力が集中して損傷を招く傾向となるなど耐久性に不利となる。
又前記エーペックス高さについては、前述の如くエーペックス高さの差(8Ho−8Hi)が、5〜30mmの範囲が好ましく、差(8Ho−8Hi)が5mmを下回ると、車両内側と車両外側との間において、サイド剛性の差や変形量の差が過小となり、上記効果を有効に発揮させることが難しくなる。逆に差(8Ho−8Hi)が30mmを上回ると、ビードエーペックスゴム8の外端に応力が集中して損傷を招く傾向となるなど耐久性に不利となる。
又前記プロテクタ外端距離については、前述の如く差(11Li−11Lo)が7〜20mmの範囲が好ましく、差(11Li−11Lo)が7mmを下回ると、車両内側と車両外側との間において、サイド剛性の差や変形量の差が過小となり、上記効果を有効に発揮させることが難しくなる。逆に差(11Li−11Lo)が20mmを上回ると、車両内側において、砕石などからのカット損傷を充分抑制できなくなるなどカットプロテクタ11本来の機能を達成することが難しくなる。
又本例では、前記グリップ性能(横グリップ性能)とトラクション性能とをより高いレベルで向上させるために、前記図1に示すように、車両外側のサイドウォール部3のみに、アラミド繊維コードを配列したアラミド補強層20を設けている。このアラミド補強層20は、アラミド繊維コードをタイヤ周方向に対して35〜60°の角度で配列した例えば1枚の補強プライからなり、前記図3、4に示すように、カーカス6の本体部6Aのタイヤ軸方向外側に配されることにより、砕石などによる大きな傷がサイドウォール部3を貫通して本体部6Aに至るのを防止する。しかし本例では、前記損傷防止効果に加え、車両外側のサイドウォール部3のみに設けることにより、トラクション性能への寄与が大きい車両内側でのサイド剛性の増加を抑えながら、グリップ性能(横グリップ性能)への寄与が大きい車両外側でのサイド剛性を増加でき、グリップ性能(横グリップ性能)とトラクション性能とのより高レベルでの両立を達成しうるという効果が奏される。
このアラミド補強層20は、前記タイヤ最大巾位置Pmから半径方向内外にのび、その半径方向巾は40mm以上、さらには50mm以上とするのが好ましい。特に本例の如く、アラミド補強層20の半径方向内端部がビードエーペックスゴム8とタイヤ軸方向内外で重なる重なり部GLを形成し、かつ半径方向外端部がベルト層7と半径方向内外で重なる重なり部GUを形成するように配されるのが、損傷防止効果、及びグリップ性能(横グリップ性能)とトラクション性能との両立の観点からより好ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示すタイヤ構成を有し、かつ図5に示すトレッドパターンを有するラリー用の乗用車用タイヤ(タイヤサイズ205/65R15)を表1に示す仕様に基づいて試作した。
そして各試供タイヤを、国産の4輪駆動車(2000cc)に装着し、ダートテストコース(一周約1.5km)でタイムトライアルを行い、2回走行したうちのベストタイムを比較した。又、タイムトライアルしたときの、コーナリング時のグリップ性能(横グリップ性能)、及びトラクション性能について、ドライバーの官能評価により比較例1を3点とした5点法によって評価した。数値が大きいほど優れている。
各タイヤとも、トレッドパターンとして図5に示す非対称パターンを採用し、内の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θiは0°、外の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θoは25°としている。
又表1に記載以外は、実質的に同仕様であり、
<ビードエーペックスゴム>
・ビードエーペックスゴムのゴム硬度は、80°:
・車両外側のエーペックス高さ8Hoは、50mm:
<カーカスプライ>
・第2のカーカスプライの折返し高さHboは、70mm:
・第1のカーカスプライの折返し高さHai、Haoは、85mm:
<カットプロテクタ>
・車両外側のカットプロテクタ外端のトレッド端からの距離11Loは、25mm:
・カットプロテクタの隆起高さh1は3mm、凹溝の深さh2は3mm:
<アラミド補強層>
・コード角度は45°(周方向に対する角度):
・半径方向巾は115mm:
で各タイヤとも同一としている。
Figure 2012236499
Figure 2012236499
表1に示す如く、実施例品は、グリップ性能(横グリップ性能)及びトラクション性能の双方を高レベルで向上させることができ、ラップタイムを短縮させうるのが確認できる。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
2i、2o トレッド半部分
3 サイドウォール部
3U 上サイドウォール領域
3S サイドウォール外面
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A 本体部
6B、6Bbi、6Bbo 折返し部
6a 第1のカーカスプライ
6b 第2のカーカスプライ
7 ベルト層
8、8i、8o ビードエーペックスゴム
11、11i、11o カットプロテクタ
12 内の横溝
13 外の横溝
20 アラミド補強層
BL ビードベースライン
Co タイヤ赤道面
Lx、Ly ブロック長さ
Pm タイヤ最大巾位置
TE、TEi、TEo トレッド端

Claims (3)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至る本体部と、この本体部の両端から前記ビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部とを有するカーカス、
    前記ビードコアから前記本体部と折返し部との間を通って半径方向外側に先細状にのびるビードエーペックスゴム、
    及びタイヤ最大巾位置からトレッド端に至る上サイドウォール領域に配され、サイドウォール外面から隆起してタイヤ周方向に連続してのびるリブ状のカットプロテクタを具える空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部は、タイヤ赤道面両側でパターンを異ならせた非対称トレッドパターンを具え、かつ車両装着時にタイヤ赤道面よりも車両内側となるトレッド半部分にはトレッド端からタイヤ赤道面に向かってのびる内の横溝、及び車両外側のトレッド半部分には、トレッド端からタイヤ赤道面に向かってのびる外の横溝がそれぞれ周方向に隔設され、しかも前記内の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θiを、前記外の横溝のタイヤ軸方向に対する角度θoよりも小とするとともに、
    前記カーカスは、最もタイヤ内腔側に配される第1のカーカスプライと、その外側に重置される第2のカーカスプライとを含む複数枚のカーカスプライからなり、
    しかも前記第2のカーカスプライの折返し部のビードベースラインからの半径方向の折返し高さは、車両内側の折返し部の折返し高さが、車両外側の折返し部の折返し高さよりも小であり、かつ他のカーカスプライでは、それぞれ車両内側の折返し部の折返し高さが、車両外側の折返し部の折返し高さと同高さとし、
    前記ビードエーペックスゴムのビードベースラインからの半径方向のエーペックス高さは、車両内側のビードエーペックスゴムのエーペックス高さが、車両外側のビードエーペックスゴムのエーペックス高さよりも小であるとともに、
    前記カットプロテクタの半径方向外端のトレッド端からの半径方向距離は、車両外側のカットプロテクタの半径方向距離が、車両内側のカットプロテクタの半径方向距離よりも小としたことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記非対称トレッドパターンはブロックパターンであって、
    前記車両内側のトレッド半部分は、タイヤ軸方向側のブロック長さが周方向側のブロック長さより大な横長ブロックが周方向に並ぶ横長ブロックの列を含むとともに、
    前記車両外側のトレッド半部分は、タイヤ軸方向側のブロック長さが周方向側のブロック長さより小な縦長ブロックが周方向に並ぶ縦長ブロックの列を含み、かつ横長ブロックの列を含まないことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 車両外側のサイドウォール部には、アラミド繊維コードを配列したアラミド補強層が配されるとともに、車両内側のサイドウォール部にはアラミド補強層が配されないことを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
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