JP2012214181A - 車両制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】適正に燃費性能を向上させることができる車両制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】車両制御システム1は、内燃機関4と、動力伝達装置5と、車両2に対する加速要求操作がない場合に、当該車両2の前方を走行する前方車両と当該車両2との相対速度と、前方車両と当該車両2との車間距離とに基づいて、内燃機関4及び動力伝達装置5を制御し、動力伝達装置5を係合状態で維持して内燃機関4を燃料カット状態として車両2を惰行走行させる第1惰性走行制御と、動力伝達装置5を開放状態として車両2を惰行走行させる第2惰性走行制御とを切り替える制御装置9とを備えることを特徴とする。したがって、車両制御システム1は、適正に燃費性能を向上させることができる、という効果を奏する。
【選択図】図1
【解決手段】車両制御システム1は、内燃機関4と、動力伝達装置5と、車両2に対する加速要求操作がない場合に、当該車両2の前方を走行する前方車両と当該車両2との相対速度と、前方車両と当該車両2との車間距離とに基づいて、内燃機関4及び動力伝達装置5を制御し、動力伝達装置5を係合状態で維持して内燃機関4を燃料カット状態として車両2を惰行走行させる第1惰性走行制御と、動力伝達装置5を開放状態として車両2を惰行走行させる第2惰性走行制御とを切り替える制御装置9とを備えることを特徴とする。したがって、車両制御システム1は、適正に燃費性能を向上させることができる、という効果を奏する。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両制御システムに関する。
車両を惰性走行させる従来の車両制御システムとして、例えば、特許文献1には、前方走行車両への追従走行に際し、前方走行車との車間距離、相対速度、安全車間距離を知って、安全車間距離を満足する同一特定車間距離での加速走行開始、惰性走行開始を交互に繰り返し行うことによって、あるいは相対速度があらかじめ定められている前方走行車との相対速度範囲上下限値+Vr1および−Vr1到達時において各々惰性走行開始および加速走行開始を行う車両走行制御方法が開示されている。
ところで、上述のような特許文献1に記載の車両走行制御方法は、例えば、惰性走行中の燃費性能の点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正に燃費性能を向上させることができる車両制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御システムは、車両の走行中に、燃焼室で燃料を燃焼させて前記車両の駆動輪に作用させる動力を発生する作動状態と、前記燃焼室への燃料の供給をカットする燃料カット状態とに切り替え可能である内燃機関と、前記内燃機関と前記駆動輪とを動力伝達可能に係合した係合状態と前記係合を解除した開放状態とに切り替え可能である動力伝達装置と、前記車両に対する加速要求操作がない場合に、当該車両の前方を走行する前方車両と当該車両との相対速度と、前記前方車両と当該車両との車間距離とに基づいて、前記内燃機関及び前記動力伝達装置を制御し、前記動力伝達装置を係合状態で維持して前記内燃機関を燃料カット状態として前記車両を惰行走行させる第1惰性走行制御と、前記動力伝達装置を開放状態として前記車両を惰行走行させる第2惰性走行制御とを切り替える制御装置とを備えることを特徴とする。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記車間距離が前記相対速度に応じて変更される所定距離以上である場合に第2惰性走行制御を許可するものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記前方車両の速度から前記車両の速度を減算した値を前記相対速度とした場合に、当該相対速度が大きいほど前記所定距離を短くし、当該相対速度が小さいほど前記所定距離を長くするものとすることができる。
また、上記車両制御システムでは、前記制御装置は、前記第2惰性走行制御を実行した場合の前記車両の推定減速度の絶対値が、前記前方車両の速度と前記車間距離とに応じた当該車両の要求減速度の絶対値以上である場合に、前記第2惰性走行制御を許可するものとすることができる。
上記目的を達成するために、本発明に係る車両制御システムは、車両の走行中に、燃焼室で燃料を燃焼させて前記車両の駆動輪に作用させる動力を発生する作動状態と、前記燃焼室への燃料の供給をカットする燃料カット状態とに切り替え可能である内燃機関と、前記内燃機関と前記駆動輪とを動力伝達可能に係合した係合状態と前記係合を解除した開放状態とに切り替え可能である動力伝達装置と、前記車両に対する加速要求操作がない場合に、当該車両の前方を走行する前方車両の速度と、前記前方車両と当該車両との車間距離とに基づいて、前記内燃機関及び前記動力伝達装置を制御し、前記動力伝達装置を係合状態で維持して前記内燃機関を燃料カット状態として前記車両を惰行走行させる第1惰性走行制御と、前記動力伝達装置を開放状態として前記車両を惰行走行させる第2惰性走行制御とを切り替える制御装置とを備え、前記制御装置は、前記第2惰性走行制御を実行した場合の前記車両の推定減速度の絶対値が、前記前方車両の速度と前記車間距離とに応じた当該車両の要求減速度の絶対値以上である場合に、前記第2惰性走行制御を許可することを特徴とする。
本発明に係る車両制御システムは、適正に燃費性能を向上させることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る車両制御システムの概略構成図、図2は、相対速度と車間距離とについて説明する模式図、図3は、車両制御システムにおける制御マップの一例を表す線図、図4は、制御マップにおける相対速度と車間距離との関係について説明する線図、図5は、車両制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
図1は、実施形態1に係る車両制御システムの概略構成図、図2は、相対速度と車間距離とについて説明する模式図、図3は、車両制御システムにおける制御マップの一例を表す線図、図4は、制御マップにおける相対速度と車間距離との関係について説明する線図、図5は、車両制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。
本実施形態は、典型的には、下記の構成要素を有している。
(1)燃料の噴射による動力を発生させる内燃機関(エンジン)。
(2)内燃機関の燃料噴射量を自動で制御できる制御装置。
(3)T/M(変速機)内のクラッチ/ブレーキを自動で開放/係合できる制御装置。
(4)車両の状態(車速、回転数、加速度等)を検出する検出装置。
(5)走行環境を推定できる制御装置(例えば、推定加速度−実加速度、横G、NAVI、GPS、携帯通信端末等)。
(6)前方車両との車間距離及び相対速度を検知できる装置(例えばレーダ等)。
(1)燃料の噴射による動力を発生させる内燃機関(エンジン)。
(2)内燃機関の燃料噴射量を自動で制御できる制御装置。
(3)T/M(変速機)内のクラッチ/ブレーキを自動で開放/係合できる制御装置。
(4)車両の状態(車速、回転数、加速度等)を検出する検出装置。
(5)走行環境を推定できる制御装置(例えば、推定加速度−実加速度、横G、NAVI、GPS、携帯通信端末等)。
(6)前方車両との車間距離及び相対速度を検知できる装置(例えばレーダ等)。
そして、本実施形態は、これらの構成要素によって、例えば、自車両において、前方車両との安全距離の確保と共に、車間距離の縮小による不安感を解消しつつ燃費に有効であるニュートラル惰行適用のために、前方車両との車間距離及び相対速度を用いることで、適正に燃費性能の向上を実現することができるものである。
具体的には、本実施形態の車両制御システム1は、図1に示すように、車両2に適用される。車両制御システム1は、この車両2(以下、「自車両2」という場合がある。)の各部を制御するためのシステムであり、例えば、車両2の走行中に、エンジン4の作動停止や動力伝達装置5における係合の解除等を実行し、これに伴う車両2の惰性走行状態を利用することで、燃料の消費を抑制して燃費の向上を図るシステムである。
車両制御システム1は、駆動輪3を駆動するための動力を発生させる内燃機関としてのエンジン4と、エンジン4が発生した動力を駆動輪3に伝達する動力伝達系をなす動力伝達装置5と、車両2の制動装置としてのブレーキ装置6と、車両2の状態を検出する状態検出装置7と、車両2の周辺環境の情報を取得する周辺環境情報取得装置8と、車両制御システム1を含む車両2の各部を制御する制御装置としてのECU9とを備える。本実施形態のECU9は、後述するように車両2を惰性走行させる制御を実行するものである。
エンジン4は、車両2を走行させる走行用駆動源(原動機)である。エンジン4は、燃焼室4aにおける燃料の燃焼に伴って車両2の駆動輪3に作用させる動力を発生させる。エンジン4は、車両2の走行中に、作動状態と燃料カット状態とを切り替え可能である。
ここで、エンジン4の作動状態(エンジン4を作動させた状態)とは、駆動輪3に作用させる動力を発生する状態であり、燃焼室4aで燃料を燃焼して生じる熱エネルギーをトルクなどの機械的エネルギーの形で出力する状態である。つまり、エンジン4は、作動状態では燃焼室4aで燃料を燃焼させて車両2の駆動輪3に作用させる動力を発生する。
一方、エンジン4の燃料カット状態とは、燃焼室4aへの燃料の供給をカット(フューエルカット)した状態であり、典型的には、燃焼室4aへの燃料の供給を停止して動力の発生を停止しエンジン4の作動を停止させた状態、つまり、トルクなどの機械的エネルギーを出力しない状態である。なお、エンジン4の燃料カット状態は、燃料の供給を完全に停止した状態に限らず、燃焼室4aへの燃料の供給量を減少させ、駆動輪3に作用させる走行用の動力を実質的に出力しない状態であってもよい。
動力伝達装置5は、ロックアップクラッチ付きの流体伝達装置であるトルクコンバータ10、エンジン4からの動力を変速して出力する変速機11、変速機11に連結されるデファレンシャルギヤ12、デファレンシャルギヤ12と駆動輪3とを連結するドライブシャフト13等を含んで構成される。動力伝達装置5は、エンジン4と駆動輪3とを動力伝達可能に係合した係合状態とこの係合を解除した開放状態とに切り替え可能である。
変速機11は、車両2の走行状態に応じて自動で変速比(変速段)を変更するいわゆる自動変速機であり、例えば、有段自動変速機(AT)、無段自動変速機(CVT)、マルチモードマニュアルトランスミッション(MMT)、シーケンシャルマニュアルトランスミッション(SMT)、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)等、種々の自動変速機が適用される。変速機11は、ECU9によって動作が制御される。
動力伝達装置5は、係合状態ではこの動力伝達装置5に含まれる種々の係合装置、変速機11にて各変速段を実現するための種々のクラッチ等において駆動輪3側の回転部材とエンジン4側の回転部材とが連結され、エンジン4と駆動輪3との間での動力伝達が可能な状態(例えば、ドライブレンジ相当の状態)となる。一方、動力伝達装置5は、開放状態ではこの動力伝達装置5に含まれる種々の係合装置、変速機11にて各変速段を実現するための種々のクラッチ等において駆動輪3側の回転部材とエンジン4側の回転部材との連結が解除され、エンジン4と駆動輪3との間での動力伝達が遮断された状態(例えば、ニュートラルレンジ相当の状態)となる。
エンジン4が発生した動力は、トルクコンバータ10を介して変速機11に入力され、この変速機11にて所定の変速比で変速されて、デファレンシャルギヤ12及びドライブシャフト13を介して駆動輪3に伝達される。この結果、車両2は、駆動輪3の路面との接地面に駆動力[N]が生じ、これにより走行することができる。
ブレーキ装置6は、駆動輪3を含む車輪に制動力を作用させる。この結果、車両2は、駆動輪3の路面との接地面に制動力[N]が生じ、これにより制動することができる。
状態検出装置7は、ECU9と電気的に接続されており、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行うことができる。状態検出装置7は、例えば、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ71、運転者によるアクセルペダル72aの操作量(アクセル操作量)であるアクセル開度を検出するアクセル開度センサ72、運転者によるブレーキペダル73aの操作量、例えば、マスタシリンダ圧等を検出しブレーキ力を検出するブレーキセンサ73、車両2の走行速度である車速を検出する車速センサ74、運転者がシフトレンジ操作を行うシフトレバー75aの位置(例えば、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ等)を検出するシフトポジションセンサ75、車両2の車体に作用する加速度を検出する加速度センサ76等の車両2の各部に設けられた種々のセンサ、検出装置等を含む。
周辺環境情報取得装置8は、ECU9と電気的に接続されており、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行うことができる。周辺環境情報取得装置8は、例えば、自車両である車両2の周辺環境の情報を取得する装置であり、例えば、路側に設置された光ビーコン等の送受信機器から車両2の路車間通信機に各種情報を送受信する装置、車載カメラ、レーダ、GPS装置、ナビゲーション装置、車車間通信機器、VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタなどからの情報を受信する装置など、種々の装置のいずれか1つあるいは複数によって構成される。周辺環境情報取得装置8は、車両2の周辺環境情報として、例えば、車両2の現在位置情報や地図情報(道路勾配情報、路面状態情報、道路形状情報、制限車速情報、道路曲率情報等)、インフラ情報(信号情報、工事・交通規制情報、渋滞情報、緊急車両情報)、車両2の前方を走行する前方車両に関する情報(速度情報、現在位置情報等)等を取得する。
ECU9は、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路である。ECU9は、状態検出装置7からの検出結果、周辺環境情報取得装置8からの取得情報等に対応した電気信号が入力され、入力された検出結果等に応じて、エンジン4、変速機11等を含む動力伝達装置5、ブレーキ装置6等を制御する。ここでは、変速機11等を含む動力伝達装置5、ブレーキ装置6は、作動油の圧力(油圧)によって作動する油圧式の装置であり、ECU9は、それぞれTM油圧制御装置14、ブレーキ油圧制御装置15等を介してこれら変速機11、ブレーキ装置6の動作を制御する。
また、ECU9は、例えば、アクセル開度センサ72による検出結果に基づいて、運転者による車両2に対する加速要求操作であるアクセル操作(Acc)のON/OFFを検出することができる。なお、運転者によるアクセル操作がOFF(Acc−OFF)である状態とは、運転者が車両2に対する加速要求操作を解除した状態であり、運転者によりアクセルペダル72aが解放されアクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度(アクセル操作量)が所定開度より小さくなった状態である。一方、運転者によるアクセル操作がON(Acc−ON)である状態とは、運転者が車両2に対する加速要求操作を行っている状態であり、運転者によりアクセルペダル72aが踏み込まれアクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定開度以上になった状態である。
ECU9は、例えば、通常の運転時においては、アクセル開度、車速等に基づいてエンジン4のスロットル装置16を制御し、吸気通路17のスロットル開度を調節し、吸入空気量を調節して、その変化に対応して燃料噴射量を制御し、燃焼室4aに充填される混合気の量を調節してエンジン4の出力を制御する。また、ECU9は、アクセル開度、車速等に基づいてTM油圧制御装置14を制御し、変速機11の変速比を制御する。
そして、ECU9は、車両2の走行中において、エンジン4が発生させる動力を作用させずにこの車両2を惰性走行させることで、車両2の走行中に、エンジン4での不要な燃料の消費を抑制し燃費を向上することができる。
本実施形態の車両制御システム1は、ECU9が車両2に対する加速要求操作がない場合に、エンジン4及び動力伝達装置5を制御し、第1惰性走行制御としての燃料カット惰行制御(以下、「FC惰行制御」という場合がある。)又は第2惰性走行制御としてのニュートラル惰行制御(以下、「N惰行制御」という場合がある。)を実行する。
FC惰行制御は、エンジン4、動力伝達装置5を制御し、動力伝達装置5を係合状態で維持しエンジン4を燃料カット状態として車両2を惰行走行させる制御である。つまり、ECU9は、FC惰行制御では、動力伝達装置5にてエンジン4と駆動輪3との間での動力伝達が可能な状態を維持しかつエンジン4にて燃焼室4aへの燃料の供給をカットして車両2を走行させる惰性走行制御を実行する。これにより、車両制御システム1は、車両2の走行中に、ECU9がFC惰行制御を実行することで、エンジン4における不要な燃料消費を抑制することができ、これにより、燃費の向上を図ることができる。
ECU9は、典型的には、車両2の走行中に、所定の条件下で、動力伝達装置5を係合状態で維持した状態で、燃料噴射弁を制御してエンジン4の燃焼室4aへの燃料の供給をカットするFC惰行制御を実行する。ECU9は、例えば、アクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値以下である場合、すなわち、アクセル操作がOFFである場合に、FC惰行制御を実行する。ECU9は、これに加えて、周辺環境情報(道路勾配情報)や車両2の車速等に基づいてFC惰行制御の実行の有無を判定してもよい。また、ECU9は、車両2のFC惰行中に、所定の条件下で、エンジン4の燃焼室4aへの燃料の供給を再開しエンジン4を再始動することで、再び車両2をエンジン4が発生する動力によって走行する走行状態に復帰させることができる。ECU9は、例えば、アクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値より大きくなった場合、すなわち、アクセル操作がONとなった場合に、FC惰行制御から復帰する。
N惰行制御は、動力伝達装置5を制御し、動力伝達装置5を開放状態として車両2を惰行走行させる制御である。つまり、ECU9は、N惰行制御では、動力伝達装置5にてエンジン4と駆動輪3との間での動力伝達が遮断された状態としたままで車両2を走行させる惰性走行制御を実行する。これにより、車両制御システム1は、車両2の走行中にECU9がN惰行制御を実行することで、駆動輪3にエンジンブレーキ等が作用しなくなることから、エンジンブレーキによる車両2の運動エネルギーの損失を極力を抑えて車両2の走行負荷を低減することができ、これにより、燃費の向上を図ることができる。ECU9は、車両2の走行中に、FC惰行制御を行う条件下、すなわち、アクセル操作がOFFでありFC惰行制御を実行しうる条件下でさらに所定の条件を満たした場合に動力伝達装置5を開放状態とするN惰行制御を実行する。
この場合、車両2は、FC惰行制御においては、エンジン4と駆動輪3との間の動力伝達が可能であるので、駆動輪3にエンジンブレーキが作用した状態での惰性走行となる。一方、車両2は、N惰行制御においては、エンジン4と駆動輪3との間の動力伝達が遮断されるので、駆動輪3にエンジンブレーキが作用していない状態での惰性走行となる。したがって、惰性走行中の車両2に作用する減速度は、FC惰行制御おいて車両2に作用する減速度の方が相対的に大きくなり、N惰行制御おいて車両2に作用する減速度の方が相対的に小さくなる傾向にある。
なお、ECU9は、上記N惰行制御では、動力伝達装置5を開放状態とし動力伝達装置5にてエンジン4と駆動輪3との間での動力伝達が遮断された状態としたままで車両2を走行させる走行制御を実行すればよく、エンジン4を作動状態で維持してもよいし、燃料カット状態としてもよい。車両制御システム1は、N惰行制御においてエンジン4を作動状態で維持することで、N惰行制御からの復帰時における加速応答性の低下を抑制することができる。一方、車両制御システム1は、N惰行制御においてエンジン4を燃料カット状態とすることで、エンジン4における燃料消費をさらに抑制することができ、さらなら燃費の向上を図ることができる。ここでは、ECU9は、N惰行制御においてエンジン4を作動状態で維持するものとして説明する。
そして、本実施形態のECU9は、車両2に対する加速要求操作がない場合、すなわち、アクセル操作がOFFである場合に、図2に示すように、この車両2の前方を走行する前方車両と自車両2との相対速度dxと、前方車両と自車両2との車間距離xとに基づいて、エンジン4及び動力伝達装置5を制御し、FC惰行制御とN惰行制御とを切り替えることで、適正に燃費性能の向上を実現することができる。
ここでは、相対速度dxは、自車両2の速度V1と前方車両の速度V2とに応じて定まる。以下の説明では、相対速度dxは、前方車両の速度V2から自車両2の速度V1を減算した値(dx=V2−V1)とする。自車両2は、相対速度dxが0である場合、すなわち、前方車両の速度V2と自車両2の速度V1とが同等である場合には、前方車両との車間距離xが一定のままで維持される。自車両2は、相対速度dxが正(+)の値である場合、すなわち、前方車両の速度V2が自車両2の速度V1より大きい場合には、前方車両との車間距離xが大きく(広く)なり、前方車両が離れて遠くなる。自車両2は、相対速度dxが負(−)の値である場合、すなわち、前方車両の速度V2が自車両2の速度V1より小さい場合には、前方車両との車間距離xが小さく(狭く)なり、前方車両が接近する。ECU9は、状態検出装置7からの検出結果、周辺環境情報取得装置8からの取得情報等に基づいて、相対速度dx、車間距離xを取得する。なお、相対速度dxは、自車両2の速度V1から前方車両の速度V2を減算した値としてもよい。この場合、相対速度dxは、正負と車間距離xとの関係が上記の説明の逆の関係となる。
ECU9は、取得した相対速度dxと車間距離xとの関係に応じてFC惰行制御とN惰行制御とを切り替える。典型的には、ECU9は、アクセル操作がOFFである場合であって、車間距離xが相対速度dxに応じて変更される所定距離以上である場合にN惰行制御を許可する。言い換えれば、ECU9は、アクセル操作がOFFである場合であって、相対速度dxが車間距離xに応じて変更される所定速度以上である場合にN惰行制御を許可する。ECU9は、例えば、図3に例示する制御マップを用いて、相対速度dxと車間距離xとの関係に基づいてFC惰行制御とN惰行制御とを切り替える。
図3は、横軸を車間距離x、縦軸を相対速度dxとしている。図3中、制動安全距離D1は、自車両2が前方車両との関係で安全な制動を確保するために必要な最低限の車間距離の一例を表しており、例えば、自車両2の現在の車速V1で所定時間(前方車両の急停止時に対応可能な時間、例えば、2秒間)ですすむ距離に相当する(例えば、D1=[V1/3.6]×2sec)。実施可能距離D2は、相対速度dx=0であるとき(車間距離xに変化がないとき)にN惰行制御の実施を可能とする所定距離の一例を表しており、例えば、自車両2の現在の車速V1で上記所定時間にマージンを持たせた時間(例えば、2秒間+マージン1秒間)ですすむ距離に相当する(例えば、D2=[V1/3.6]×3sec)。なお、制動安全距離D1、実施可能距離D2は、車間クルーズのようなブレーキアシスト機能がない車両制御システム1では、ブレーキアシスト機能がある場合と比較して、相対的に大きめに設定しておくとよい。
また、図3中、制御線L11、L12は、FC惰行制御とN惰行制御との切り替えを判定するための制御線であり、N惰行制御の許可、N惰行制御からの復帰のための判定閾値である所定距離、所定速度に応じて設定される。ここでは、N惰行制御からFC惰行制御へ切り替える制御線(N惰行復帰線)L11とFC惰行制御からN惰行制御へ切り替える制御線(N惰行実行線)L12との間にヒステリシス領域を設けている。典型的には、制御線L11を境界として、相対速度dx、車間距離xが大きい側の領域Aは、運転者による減速意思がないと推定される運転領域であり、N惰行制御を許可する領域である。一方、制御線L11を境界として、相対速度dx、車間距離xが小さい側の領域Bは、運転者による減速意思があると推定される運転領域であり、N惰行制御からFC惰行制御に復帰する領域である。
ECU9は、図3の制御線L11、L12に表すように、典型的には、相対速度dxが大きいほどFC惰行制御とN惰行制御との切り替えを判定するための所定距離を短くし、相対速度dxが小さいほど所定距離を長くする。言い換えれば、ECU9は、典型的には、車間距離xが大きいほどFC惰行制御とN惰行制御との切り替えを判定するための所定速度を小さくし、車間距離xが小さいほど所定速度を大きくする。
そして、ECU9は、アクセル操作がOFFである場合に、取得した相対速度dxと車間距離xとの組み合わせによって定まる動作点が、制御線L12を減速意思があると推定される領域B側から減速意思がないと推定される領域A側に横切った場合、言い換えれば、車間距離xが相対速度dxに応じて変更される所定距離以上となった場合、あるいは、相対速度dxが車間距離xに応じて変更される所定速度以上となった場合に、N惰行制御を許可し、上記で説明したように減速度が相対的に小さくなるN惰行制御を実際に実行する。
また、ECU9は、アクセル操作がOFFである場合に、取得した相対速度dxと車間距離xとの組み合わせによって定まる動作点が、制御線L11を減速意思がないと推定される領域A側から減速意思があると推定される領域B側に横切った場合、言い換えれば、車間距離xが相対速度dxに応じて変更される所定距離にヒステリシスを反映させた距離以下となった場合、あるいは、相対速度dxが車間距離xに応じて変更される所定速度にヒステリシスを反映させた速度以下となった場合に、N惰行制御から、上記で説明したように減速度が相対的に大きくなるFC惰行制御に復帰する。
ECU9は、例えば、相対速度dxが変動しなくても車間距離xが所定距離以上になればN惰行制御を許可する。また、ECU9は、例えば、車間距離xが変動しなくても相対速度dxが大きくなって、これにより、設定される所定距離が小さくなり、この結果、車間距離xが所定距離以上になればN惰行制御を許可する。同様に、ECU9は、例えば、車間距離xが変動しなくても相対速度dxが所定速度以上になればN惰行制御を許可する。また、ECU9は、例えば、相対速度dxが変動しなくても、車間距離xが大きくなり、これにより、設定される所定速度が小さくなり、この結果、相対速度dxが所定速度以上になればN惰行制御を許可する。
さらに言い換えれば、ECU9は、取得した相対速度dxと車間距離xとに基づいて運転者による減速意思を判定し、減速意思がないと判定した場合には、減速度が相対的に小さくなるN惰行制御を許可する。一方、ECU9は、取得した相対速度dxと車間距離xとに基づいて運転者による減速意思を判定し、減速意思があると判定した場合には、N惰行制御から、減速度が相対的に大きくなるFC惰行制御に復帰する。
なお、制御線L11、L12は、相対速度dx、車間距離x、制動安全距離D1、実施可能距離D2、相対速度dxの重み付けを変えるための適合定数k等を用いて下記の数式(1)で表すことができ、N惰行制御を許可する領域は、数式(2)で表すことができる。この場合、例えば、図4の制御線L21、L22に例示するように、kが大きいと相対速度dxに対するN惰行制御を許可する領域の感度が大きくなる傾向にある。これにより、この車両制御システム1は、N惰行制御とFC惰行制御との切り替え判定における相対速度dxと車間距離xとの重み付けの適合を簡易に行うことができ、この結果、例えば、製造コストを抑制することができる。
dx=k・(1/(x−D1)−1/(D2−D1)) ・・・ (1)
dx>k・(1/(x−D1)−1/(D2−D1)) ・・・ (2)
dx=k・(1/(x−D1)−1/(D2−D1)) ・・・ (1)
dx>k・(1/(x−D1)−1/(D2−D1)) ・・・ (2)
上記のように構成される車両制御システム1は、ECU9が制御マップを用いて相対速度dxと車間距離xとの関係に基づいてFC惰行制御とN惰行制御とを切り替える。この結果、車両制御システム1は、相対速度dxと車間距離xとの関係に基づいて運転者による減速意思の有無を推定し、運転者による減速意思がないと推定できる場合には減速度が相対的に小さくなるN惰行制御を実行することができる一方、運転者による減速意思があると推定できる場合には減速度が相対的に大きくなるFC惰行制御を実行することができる。したがって、車両制御システム1は、燃費の向上とドライバビリティの向上とを両立することができる。
つまり、車両制御システム1は、アクセル操作がOFFでFC惰行制御を実行しうる条件下で、相対速度dxが大きいほど、すなわち、前方車両との車間距離xが広がる傾向が強いほど、最小限の制動安全距離D1を確保しつつ相対的により小さな車間距離xの段階からN惰行制御が許可され実行される。つまり、車両制御システム1は、相対速度dxが大きいほど、すなわち、前方車両との車間距離xが広がる傾向が強いほど、相対的により小さな車間距離xの段階であっても運転者による減速意思がないと推定することができ、この結果、N惰行制御が許可され実行される。
この結果、車両制御システム1は、アクセル操作がOFFでFC惰行制御を実行しうる条件下で、前方車両との車間距離xが広がる傾向にある場合に、制動安全距離D1を確保しつつ、車間距離xが小さい段階でもエンジンブレーキが作用しないN惰行制御を積極的に実行することで、過度の減速感を与えることなく、エンジンブレーキによる車両2の運動エネルギーの損失を極力を抑えて燃費の向上を図ることができる。
一方、車両制御システム1は、アクセル操作がOFFでFC惰行制御を実行しうる条件下で、相対速度dxが小さいほど、すなわち、前方車両との車間距離xが狭くなる傾向が強いほど、相対的により大きな車間距離xが確保されてから、N惰行制御が許可され実行される。言い換えれば、車両制御システム1は、相対速度dxが小さいほど、すなわち、前方車両との車間距離xが狭くなる傾向が強いほど、相対的により大きな車間距離xが確保されなければ、N惰行制御が許可されない。つまり、車両制御システム1は、相対速度dxが小さいほど、すなわち、前方車両との車間距離xが狭くなる傾向が強いほど、相対的に大きな車間距離xが確保されていない段階では運転者による減速意思があると推定し、十分に大きな車間距離xが確保された段階で運転者による減速意思がないと推定し、N惰行制御を許可し実行する。
この結果、車両制御システム1は、アクセル操作がOFFでFC惰行制御を実行しうる条件下で、前方車両との車間距離xが狭まる傾向にある場合に、十分に大きな車間距離xが確保されていない段階ではエンジンブレーキが作用するFC惰行制御を実行することで、車間距離xが狭まる状況下で運転者に対してエンジンブレーキの不足による違和感、不安感等を与えてしまうことを抑制することができ、運転者に対して適切な減速感を与えることができる。この間も、車両制御システム1は、エンジン4における不要な燃料消費を抑制することができ、燃費の向上を図ることができる。またこの場合、車両制御システム1は、運転者がブレーキ操作によって車両2を減速させる前に、省燃費かつ相対的に減速度が大きい惰行制御であるFC惰行制御によって、エンジンブレーキである程度、車両2を減速させることができることから、燃料カットによる燃費向上と共に、例えば、無駄なブレーキ操作による運動エネルギーの損失を抑制することができ、この点でもさらなる燃費の向上を図ることができる。そして、車両制御システム1は、十分に大きな車間距離xが確保された段階でN惰行制御を実行することで、エンジンブレーキによる車両2の運動エネルギーの損失を極力を抑えてさらなる燃費の向上を図ることができる。
つまり、車両制御システム1は、例えば、相対速度dxが正であり車間距離xが広くなる傾向である場合に、車間距離xが予め設定された第1所定距離以上でN惰行制御を許可し、相対速度dxが負であり車間距離xが狭くなる傾向である場合に、車間距離xが第1所定距離より大きい第2所定距離以上でN惰行制御を許可することで、燃費の向上とドライバビリティの向上とを両立することができる。
次に、図5のフローチャートを参照して車両制御システム1におけるECU9による制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、ECU9は、状態検出装置7からの検出結果、周辺環境情報取得装置8からの取得情報等に基づいて、制御に必要な情報を取得、収集する(ST1)。ECU9は、典型的には、車両状態情報(車速、加速度等)、運転者操作量情報(アクセル操作量、ブレーキ操作量等)、走行環境情報(車両2の現在位置情報、地図情報、インフラ情報、車両2の前方を走行する前方車両に関する情報)等を取得する。
次に、ECU9は、ST1で収集した情報に基づいて、アクセル操作がOFFであるか否か、典型的にはアクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値以下であるか否かを判定する(ST2)。
ECU9は、アクセル操作がOFFである、すなわち、アクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値以下であると判定した場合(ST2:Yes)、ST1で収集した情報に基づいて、自車両2と前方車両との車間距離x、相対速度dxを算出する(ST3)。例えば、ECU9は、前方車両の速度V2から自車両2の速度V1を減算して相対速度dxを算出する(dx=V2−V1)。
次に、ECU9は、ST3で算出した車間距離x、相対速度dxに基づいて、運転者(ドライバ)の減速意思があるか否かを判定する(ST4)。ECU9は、図3で例示した制御マップを用いて、相対速度dxと車間距離xとに応じて定まる動作点が、領域A(減速意思がないと推定される領域)と領域B(減速意思があると推定される領域)とのどちらに位置しているかを判定することで減速意思があるか否かを判定する。
ECU9は、減速意思がないと判定した場合(ST4:No)、すなわち、相対速度dxと車間距離xとに応じて定まる動作点が領域A内にあると判定した場合、走行路の勾配や車速等の情報に基づいて、FC惰行制御を行ったと仮定した場合の減速度Dfcを算出する(ST5)。ECU9は、例えば、下記の数式(3)を用いて減速度Dfcを算出することができる。数式(3)において、「M」は自車両2の車重(kg)、「g」は重力加速度(m/s2)、「θ」は勾配(rad)、「ρ」は空気密度、「Cd」は空気抵抗係数、「V」は自車両2の車速、「A」は自車両2の前面投影面積(m2)、「Tefrct」はエンジンフリクショントルク(Nm)、「γ」は変速機11の変速比、「if」は動力伝達装置5の最終減速比、「Rtire」はタイヤ半径(m)を表している。ECU9は、エンジンフリクショントルクTefrctを算出する場合、例えば、車速と変速比からエンジン回転数を演算した後、エンジン回転数とマップからトルクを算出し、これに補機(オルタ、A/C等)の負荷トルク等を加算することで、エンジンフリクショントルクTefrctを算出してもよい。
Dfc=勾配抵抗(g・sinθ)+空気抵抗([1/2]・ρ・Cd・A・V2)/M+転がり抵抗/M+エンジンフリクション([Tefrct・γ・if]/Rtire)/M ・・・ (3)
Dfc=勾配抵抗(g・sinθ)+空気抵抗([1/2]・ρ・Cd・A・V2)/M+転がり抵抗/M+エンジンフリクション([Tefrct・γ・if]/Rtire)/M ・・・ (3)
そして、ECU9は、ST5で算出したFC惰行制御を行ったと仮定した場合の減速度Dfcが0以下であるか否か、言い換えれば、FC惰行制御を行ったと仮定した場合に自車両2の車速が減速するか否かを判定する(ST6)。
ECU9は、減速度Dfcが0以下である、すなわち、FC惰行制御を行ったと仮定した場合に自車両2の車速が減速すると判定した場合(ST6:Yes)、N惰行制御を許可し、FC惰行制御を実行しうる条件下で、車両2のニュートラル惰行(Nレンジ)を適用し(ST7)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
ECU9は、ST2にて、アクセル操作がONである、すなわち、アクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値より大きいと判定した場合(ST2:No)、ST4にて、減速意思があると判定した場合(ST4:Yes)、すなわち、相対速度dxと車間距離xとに応じて定まる動作点が領域B内にあると判定した場合、ST6にて、減速度Dfcが0より大きい、すなわち、FC惰行制御を行ったと仮定した場合に自車両2の車速が減速しないと判定した場合(ST6:No)、アクセル開度、車速等に基づいてエンジン4の出力、変速機11の変速比等を制御すると共にFC惰行制御を含む通常制御を実行し車両2のDレンジ走行を適用し(ST8)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム1によれば、車両2の走行中に、燃焼室4aで燃料を燃焼させて車両2の駆動輪3に作用させる動力を発生する作動状態と、燃焼室4aへの燃料の供給をカットする燃料カット状態とに切り替え可能であるエンジン4と、エンジン4と駆動輪3とを動力伝達可能に係合した係合状態とこの係合を解除した開放状態とに切り替え可能である動力伝達装置5と、車両2に対する加速要求操作がない場合に、この車両2の前方を走行する前方車両と車両2との相対速度dxと、前方車両と車両2との車間距離xとに基づいて、エンジン4及び動力伝達装置5を制御し、動力伝達装置5を係合状態で維持してエンジン4を燃料カット状態として車両2を惰行走行させるFC惰行制御(第1惰性走行制御)と、動力伝達装置5を開放状態として車両2を惰行走行させるN惰行制御(第2惰性走行制御)とを切り替えるECU9とを備える。
したがって、車両制御システム1は、自車両2において、前方車両との安全距離の確保と共に、車間距離の縮小による不安感を解消しつつ、燃費に有効であるFC惰行制御とN惰行制御とを状況に応じて適正に切り替えることができることから、適正に燃費性能を向上することができる。
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係る車両制御システムにおける前方車両速度と車間距離とについて説明する模式図、図7は、要求減速度と車間距離との関係について説明する模式図、図8は、車両制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャート、図9は、車両制御システムにおける制御の一例を説明するタイムチャートである。実施形態2に係る車両制御システムは、制御の内容が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。また、主要な構成については、図1を参照する。
図6は、実施形態2に係る車両制御システムにおける前方車両速度と車間距離とについて説明する模式図、図7は、要求減速度と車間距離との関係について説明する模式図、図8は、車両制御システムにおける制御の一例を説明するフローチャート、図9は、車両制御システムにおける制御の一例を説明するタイムチャートである。実施形態2に係る車両制御システムは、制御の内容が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する。また、主要な構成については、図1を参照する。
本実施形態に係る車両制御システム201は、制御装置としてのECU9が車両2に対する加速要求操作がない場合、すなわち、アクセル操作がOFFである場合に、図6に示すように、この車両2の前方を走行する前方車両の速度V2と、前方車両と自車両2との車間距離Lとに基づいて、エンジン4及び動力伝達装置5を制御し、FC惰行制御とN惰行制御とを切り替えることで、適正に燃費性能の向上を実現することができる。
ECU9は、状態検出装置7からの検出結果、周辺環境情報取得装置8からの取得情報等に基づいて、前方車両の速度V2、車間距離Lを取得する。ECU9は、取得した前方車両の速度V2と車間距離Lとに応じてFC惰行制御とN惰行制御とを切り替える。
典型的には、ECU9は、前方車両の速度V2と車間距離Lとに応じて、自車両2の要求減速度Ddr、言い換えれば、運転者が自車両2に対して要求する減速度のレベルを推定、算出する。さらに言えば、ここでの要求減速度Ddrは、自車両2と前方車両と車間距離Lに応じて運転者が要求すると推定される減速度に相当する。ECU9は、典型的には、自車両2の現在の速度V1に対して、前方車両の速度V2を自車両2の目標の速度に設定して要求減速度Ddrを算出する。ECU9は、例えば、下記の数式(4)を用いて要求減速度Ddrを算出することができる。数式(4)において、「V1」は自車両2の速度、「V2」は前方車両の速度、「L」は前方車両の速度V2と車間距離、「D1」は制動安全距離(例えば、D1=[V1/3.6]×2sec)を表している。
Ddr=(V22−V12)/2(L−D1) ・・・ (4)
Ddr=(V22−V12)/2(L−D1) ・・・ (4)
前方車両の速度V2と、車間距離Lと、上記のようにして算出される要求減速度Ddrとの関係は、例えば、図7に例示するような関係となる。すなわち、要求減速度Ddrの絶対値は、車間距離Lが大きくなるほど小さくなり、前方車両の速度V2が小さくなるほど大きくなる傾向にある。
また、ECU9は、状態検出装置7からの検出結果、周辺環境情報取得装置8からの取得情報等、例えば、走行路の勾配や車速等の情報に基づいて、N惰行制御を実行したと仮定した場合の車両2のニュートラル惰行時の推定減速度Dnを推定、算出する。ECU9は、例えば、下記の数式(5)を用いて推定減速度Dnを算出することができる。数式(5)において、「M」は自車両2の車重(kg)、「g」は重力加速度(m/s2)、「θ」は勾配(rad)、「ρ」は空気密度、「Cd」は空気抵抗係数、「V」は自車両2の車速、「A」は自車両2の前面投影面積(m2)を表している。
Dn=勾配抵抗(g・sinθ)+空気抵抗([1/2]・ρ・Cd・A・V2)/M+転がり抵抗/M ・・・ (5)
Dn=勾配抵抗(g・sinθ)+空気抵抗([1/2]・ρ・Cd・A・V2)/M+転がり抵抗/M ・・・ (5)
そして、ECU9は、アクセル操作がOFFである場合に、前方車両の速度V2と車間距離Lとに応じて推定、算出される自車両2の要求減速度Ddrと、N惰行制御を実行したと仮定した場合の車両2の推定減速度Dnとの大小関係に応じて、FC惰行制御とN惰行制御とを切り替える。
ECU9は、アクセル操作がOFFであって、推定減速度Dnの絶対値が要求減速度Ddrの絶対値以上である場合に、N惰行制御を許可し、減速度が相対的に小さくなるN惰行制御を実際に実行する。この結果、車両制御システム201は、アクセル操作がOFFでFC惰行制御を実行しうる条件下で、N惰行制御で発生する減速度によって、自車両2と前方車両と車間距離Lに応じて運転者が要求すると推定される要求減速度を満たすことができる場合に、エンジンブレーキが作用しないN惰行制御を積極的に実行することで、制動安全距離D1を確保しつつ、運転者に対して過度の減速感を与えることなく快適な滑走感を与えることができ、その上でエンジンブレーキによる車両2の運動エネルギーの損失を極力を抑えて燃費の向上を図ることができる。
一方、ECU9は、アクセル操作がOFFであって、推定減速度Dnの絶対値が要求減速度Ddrの絶対値より小さい場合に、N惰行制御から、減速度が相対的に大きくなるFC惰行制御に復帰する。この結果、車両制御システム201は、アクセル操作がOFFでFC惰行制御を実行しうる条件下で、N惰行制御で発生する減速度では自車両2と前方車両と車間距離Lに応じて運転者が要求すると推定される要求減速度を満たすことができない場合に、エンジンブレーキが作用するFC惰行制御を実行することで、運転者に対してエンジンブレーキの不足による違和感、不安感等を与えてしまうことを抑制することができ、運転者に対して適切な減速感を与えることができる。この間も、車両制御システム201は、エンジン4における不要な燃料消費を抑制することができ、燃費の向上を図ることができる。またこの場合、車両制御システム201は、運転者がブレーキ操作によって車両2を減速させる前に、省燃費かつ相対的に減速度が大きい惰行制御であるFC惰行制御によって、エンジンブレーキである程度、車両2を減速させることができることから、燃料カットによる燃費向上と共に、例えば、無駄なブレーキ操作による運動エネルギーの損失を抑制することができ、この点でもさらなる燃費の向上を図ることができる。そして、車両制御システム201は、N惰行制御で発生する減速度によって自車両2と前方車両と車間距離Lに応じて運転者が要求すると推定される要求減速度を満たすことができるようになった段階でN惰行制御を実行することで、エンジンブレーキによる車両2の運動エネルギーの損失を極力を抑えてさらなる燃費の向上を図ることができる。
つまり、車両制御システム201は、例えば、推定減速度Dnが要求減速度Ddr以上である場合にN惰行制御を許可し、推定減速度Dnが要求減速度Ddrより小さい場合にFC惰行制御を許可することで、燃費の向上とドライバビリティの向上とを両立することができる。
次に、図8のフローチャートを参照して車両制御システム201におけるECU9による制御の一例を説明する。なお、これらの制御ルーチンは、数msないし数十ms毎の制御周期で繰り返し実行される。
まず、ECU9は、状態検出装置7からの検出結果、周辺環境情報取得装置8からの取得情報等に基づいて、制御に必要な情報を取得、収集する(ST21)。ECU9は、典型的には、車両状態情報(車速、加速度等)、運転者操作量情報(アクセル操作量、ブレーキ操作量等)、走行環境情報(車両2の現在位置情報、地図情報、インフラ情報車両2の前方を走行する前方車両に関する情報)等を取得する。
次に、ECU9は、ST21で収集した情報に基づいて、アクセル操作がOFFであるか否か、典型的にはアクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値以下であるか否かを判定する(ST22)。
ECU9は、アクセル操作がOFFである、すなわち、アクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値以下であると判定した場合(ST22:Yes)、ST21で収集した情報に基づいて、自車両2と前方車両との車間距離L、前方車両の速度V2を算出する(ST23)。
次に、ECU9は、ST23で算出した車間距離L、前方車両の速度V2、自車両2の速度V1等に基づいて、運転者(ドライバ)が要求する要求減速度Ddrを推定、算出する(ST24)。ECU9は、例えば、上記の数式(4)を用いて要求減速度Ddrを算出する。
次に、ECU9は、ST21で収集した情報に基づいて、N惰行制御を実行したと仮定した場合の車両2のニュートラル惰行時の推定減速度Dnを推定、算出する(ST25)。ECU9は、例えば、上記の数式(5)を用いて推定減速度Dnを算出する。
そして、ECU9は、ST25で算出した推定減速度Dnの絶対値がST24で算出した要求減速度Ddrの絶対値以上であるか否かを判定する(ST26)。
ECU9は、推定減速度Dnの絶対値が要求減速度Ddrの絶対値以上であると判定した場合(ST26:Yes)、N惰行制御を許可し、FC惰行制御を実行しうる条件下で、車両2のニュートラル惰行(Nレンジ)を適用し(ST27)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
ECU9は、ST22にて、アクセル操作がONである、すなわち、アクセル開度センサ72によって検出されるアクセル開度が所定の値より大きいと判定した場合(ST22:No)、ST26にて、推定減速度Dnの絶対値が要求減速度Ddrの絶対値より小さいと判定した場合(ST26:No)、アクセル開度、車速等に基づいてエンジン4の出力、変速機11の変速比等を制御すると共にFC惰行制御を含む通常制御を実行し車両2のDレンジ走行を適用し(ST28)、今回の制御周期を終了し、次回の制御周期に移行する。
図9は、上記のようなECU9による制御の一例を説明するタイムチャートである。図9は、横軸を時間軸、縦軸を相対速度dx、車間距離L、減速度、シフトレンジとしている。減速度は、線L31が要求減速度Ddrの推定値、線L32が推定減速度Dnの推定値を表している。
この図9の例では、車両2は、アクセル操作がOFFであって相対速度dxが正であるときには前方車両との車間距離Lが相対的に広くなる傾向にある。この間、車両2は、推定減速度Dnの絶対値(L32)が要求減速度Ddrの絶対値(L31)以上である場合にはN惰行制御が実行され、エンジンブレーキが作用しないニュートラル惰行(Nレンジ)が適用される。
そして、車両2は、時刻t1にて相対速度dxが負になると前方車両との車間距離Lが徐々に相対的に狭くなる。これに伴って、車両2は、要求減速度Ddrの絶対値が徐々に大きくなり、時刻t2にて推定減速度Dnの絶対値(L32)が要求減速度Ddrの絶対値(L31)より小さくなると、N惰行制御から復帰してFC惰行制御を含む通常制御が実行され、エンジンブレーキが作用するDレンジ走行が適用される。
そして、車両2は、相対速度dxが徐々に大きくなり、時刻t3にて再び推定減速度Dnの絶対値(L32)が要求減速度Ddrの絶対値(L31)以上となるとN惰行制御が実行され、エンジンブレーキが作用しないニュートラル惰行(Nレンジ)が適用され、時刻t4にて相対速度dxが正となると前方車両との車間距離Lが再び相対的に広くなる。
以上で説明した実施形態に係る車両制御システム201によれば、車両2の走行中に、燃焼室4aで燃料を燃焼させて車両2の駆動輪3に作用させる動力を発生する作動状態と、燃焼室4aへの燃料の供給をカットする燃料カット状態とに切り替え可能であるエンジン4と、エンジン4と駆動輪3とを動力伝達可能に係合した係合状態とこの係合を解除した開放状態とに切り替え可能である動力伝達装置5と、車両2に対する加速要求操作がない場合に、この車両2の前方を走行する前方車両の速度V2と、前方車両と車両2との車間距離Lとに基づいて、エンジン4及び動力伝達装置5を制御し、動力伝達装置5を係合状態で維持してエンジン4を燃料カット状態として車両2を惰行走行させるFC惰行制御(第1惰性走行制御)と、動力伝達装置5を開放状態として車両2を惰行走行させるN惰行制御(第2惰性走行制御)とを切り替えるECU9とを備え、ECU9は、N惰行制御を実行した場合の車両2の推定減速度Dnの絶対値が、前方車両の速度V2と車間距離Lとに応じた車両2の要求減速度Ddrの絶対値以上である場合に、N惰行制御を許可する。
したがって、車両制御システム201は、自車両2において、前方車両との安全距離の確保と共に燃費に有効であるFC惰行制御とN惰行制御とを状況に応じて適正に切り替えることができることから、適正に燃費性能を向上することができる。すなわち、車両制御システム201は、運転者の要求減速度のレベルに応じて適時にN惰行制御によるニュートラル惰行が適用可能となり、燃費向上と適正な滑走感を運転者に与えることができる。また、車両制御システム201は、前方車両との車間距離Lに対する運転者の要求減速度を定量的に推定できることから、例えば、オルタネータ等による補機負荷トルクの制御やハイブリッド車両等の回転電機等における回生量の制御等に反映させることも可能となり、車両2の減速度制御をより適正に行うことも可能となる。
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両制御システムは、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る車両制御システムは、以上で説明した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよく、例えば、実施形態1に実施形態2を組み合わせてもよい。
以上で説明した車両は、走行用動力源として、エンジン4に加えてさらに、発電可能な電動機としてのモータジェネレータなどを備えたいわゆる「ハイブリッド車両」であってもよい。
1、201 車両制御システム
2 車両
3 駆動輪
4 エンジン(内燃機関)
4a 燃焼室
5 動力伝達装置
6 ブレーキ装置
7 状態検出装置
8 周辺環境情報取得装置
9 ECU(制御装置)
10 トルクコンバータ
11 変速機
12 デファレンシャルギヤ
13 ドライブシャフト
14 油圧制御装置
15 ブレーキ油圧制御装置
16 スロットル装置
17 吸気通路
2 車両
3 駆動輪
4 エンジン(内燃機関)
4a 燃焼室
5 動力伝達装置
6 ブレーキ装置
7 状態検出装置
8 周辺環境情報取得装置
9 ECU(制御装置)
10 トルクコンバータ
11 変速機
12 デファレンシャルギヤ
13 ドライブシャフト
14 油圧制御装置
15 ブレーキ油圧制御装置
16 スロットル装置
17 吸気通路
Claims (5)
- 車両の走行中に、燃焼室で燃料を燃焼させて前記車両の駆動輪に作用させる動力を発生する作動状態と、前記燃焼室への燃料の供給をカットする燃料カット状態とに切り替え可能である内燃機関と、
前記内燃機関と前記駆動輪とを動力伝達可能に係合した係合状態と前記係合を解除した開放状態とに切り替え可能である動力伝達装置と、
前記車両に対する加速要求操作がない場合に、当該車両の前方を走行する前方車両と当該車両との相対速度と、前記前方車両と当該車両との車間距離とに基づいて、前記内燃機関及び前記動力伝達装置を制御し、前記動力伝達装置を係合状態で維持して前記内燃機関を燃料カット状態として前記車両を惰行走行させる第1惰性走行制御と、前記動力伝達装置を開放状態として前記車両を惰行走行させる第2惰性走行制御とを切り替える制御装置とを備えることを特徴とする、
車両制御システム。 - 前記制御装置は、前記車間距離が前記相対速度に応じて変更される所定距離以上である場合に第2惰性走行制御を許可する、
請求項1に記載の車両制御システム。 - 前記制御装置は、前記前方車両の速度から前記車両の速度を減算した値を前記相対速度とした場合に、当該相対速度が大きいほど前記所定距離を短くし、当該相対速度が小さいほど前記所定距離を長くする、
請求項2に記載の車両制御システム。 - 前記制御装置は、前記第2惰性走行制御を実行した場合の前記車両の推定減速度の絶対値が、前記前方車両の速度と前記車間距離とに応じた当該車両の要求減速度の絶対値以上である場合に、前記第2惰性走行制御を許可する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両制御システム。 - 車両の走行中に、燃焼室で燃料を燃焼させて前記車両の駆動輪に作用させる動力を発生する作動状態と、前記燃焼室への燃料の供給をカットする燃料カット状態とに切り替え可能である内燃機関と、
前記内燃機関と前記駆動輪とを動力伝達可能に係合した係合状態と前記係合を解除した開放状態とに切り替え可能である動力伝達装置と、
前記車両に対する加速要求操作がない場合に、当該車両の前方を走行する前方車両の速度と、前記前方車両と当該車両との車間距離とに基づいて、前記内燃機関及び前記動力伝達装置を制御し、前記動力伝達装置を係合状態で維持して前記内燃機関を燃料カット状態として前記車両を惰行走行させる第1惰性走行制御と、前記動力伝達装置を開放状態として前記車両を惰行走行させる第2惰性走行制御とを切り替える制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記第2惰性走行制御を実行した場合の前記車両の推定減速度の絶対値が、前記前方車両の速度と前記車間距離とに応じた当該車両の要求減速度の絶対値以上である場合に、前記第2惰性走行制御を許可することを特徴とする、
車両制御システム。
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