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JP2012249755A - 静脈からの採血後の止血用自着包帯 - Google Patents

静脈からの採血後の止血用自着包帯 Download PDF

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JP2012249755A JP2011123499A JP2011123499A JP2012249755A JP 2012249755 A JP2012249755 A JP 2012249755A JP 2011123499 A JP2011123499 A JP 2011123499A JP 2011123499 A JP2011123499 A JP 2011123499A JP 2012249755 A JP2012249755 A JP 2012249755A
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Abstract

【課題】止血用自着包帯を提供すること。
【解決手段】包帯1の長さ方向の経糸2及び幅方向の緯糸3で以て織成又は編成した基布に、ゴムを付着してなる自着包帯であって、前記自着包帯はJIS L−1096B法に従い測定した長さ方向の伸長率が70%乃至90%であることを特徴とする止血用自着包帯。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療分野、特に採血後の止血用途に用いられる皮膚には付かずに自着する包帯に関する。
従来より、採血後の止血には、採血部位をガーゼで覆ってさらに粘着テープで覆い貼るか、または矩形状の絆創膏を貼付し、そしてその上に止血バンド(伸縮性の布にマジックテープ(登録商標)等を取付たもの)を巻き付けて圧迫帯とし、これで以て採血部の皮膚を数分圧迫するという方法により行われている。しかし、圧迫帯の止血バンドはその都度回収されており、衛生面維持の観点から洗濯されるが、それに手間が掛かり、紛失もあり、高コストに繋がっている。また、使い捨てタイプでないため献血等を行った患者がその場に暫くの間拘束されてしまうなどの点で従来の圧迫帯は不便なものであった。
動脈止血の用途のものとして皮膚への強い圧迫が可能な絆創膏も存在する。特許文献1には、伸縮性で、片面に粘着剤を有する貼付材の上面中央部に大きな押圧板を位置させ、この押圧板の上にパッドを定置する絆創膏が開示されている。しかし、皮膚に対して強い圧迫を行うために、押圧板下側のテープ部位が皮膚に強く接着するため、剥がすときに痛いという問題が発生する。
皮膚に対する刺激が小さい特に動脈穿刺を伴う治療後の止血のための止血用具も存在する。特許文献2には、テープ表面には、エラストマー及び粘着付与性樹脂主体の、被巻付物に対し非粘着性か微粘着性の感圧性接着層を設け、テープ背面には、該エラストマーと同種のエラストマーを有し、テープ表面に対して強接着性の表面を形成する感圧性自背面接着テープを備えた止血用具が開示されている。これによると、パッドを血管に対する穿刺孔を覆うように定置し、このパッドの上に上記の感圧性自背面接着テ−プを巻き付けて、上記パッドを血管の穿刺孔に向けて押圧し、血管を圧迫して止血し、皮膚に対する刺激も少なくしながら、確実な止血を行うようにできると記載されている。しかし、同種のエラストマーを用いるために、一度腕等に巻回して自背面に接着した後は自背面同士が強く接着しているため、巻回が失敗してやり直したい場合でも再度貼り直しすることが困難であるという問題があった。また、自背面に強力に接着するため、巻回してロール状とするためには剥離紙が必須であり、剥離紙分のごみが増えてしまう不都合もあった。
また、採血部位を脱脂綿等で覆って更に包帯を巻き付けて覆い、採血部の皮膚を圧迫することで止血を行う場合がある。しかし、通常包帯は幅方向の切断にあたっては鋏などを使用する必要があり、使用時の取り扱いが簡便なものではなかった。
また、上記の特許文献1に記載の絆創膏及び、特許文献2に記載の止血用具は動脈の穿刺孔を押圧するためのものであり、圧迫力が強いため、血流が阻害され易く、圧迫感、手掌の変色、しびれ等の副作用が生じやすくなる虞がある。このような絆創膏又は止血用具は、一般に止血に必要な圧迫力が小さくて済む静脈には適用しない方が好ましく、静脈からの採血後の止血用具を新たに開発する必要があった。
特開平7−241313号公報 特許第3855223号公報
本発明はこの点を改良すべくなされたものであって、特に採血後の止血用途において、適度な自着性を有することで剥離紙が不要で、貼り直しが可能であり、手切れ性が良く、かつ適切な長さ方向の伸長率を有することにより静脈からの採血後に適度な圧迫力を皮膚に与えることが可能である自着包帯を提供することを課題とするものである。
すなわち、本発明は、包帯の長さ方向の経糸及び幅方向の緯糸で以て織成又は編成した基布に、ゴムを付着してなる自着包帯であって、JIS L−1096B法に従い測定した長さ方向の伸長率が70%乃至90%であることを特徴とする静脈からの採血後の止血用自着包帯(第1の態様)に関する。
また、本発明の第2の態様の自着包帯は、包帯の長さ方向の経糸及び幅方向の緯糸で以て織成又は編成した基布に、ゴムを付着してなる自着包帯であって、
前記自着包帯は、巻き付け時における肘上面及び肘側面の圧力がともに9乃至16mmHgに達するときの伸長率が、110%乃至150%の範囲に該当するところの弾性を有することを特徴とする、止血用自着包帯に関する。
また、本発明の第3の態様の自着包帯はJIS L−1096A法に従い測定した引張強さが長さ方向について80乃至120N/50mmであり幅方向について600乃至750N/50mmであることを特徴とする上記第1の態様又は第2の態様の止血用自着包帯に関する。
本発明の第4の態様の自着包帯は、前記基布は、前記経糸が弾性糸であり且つ前記緯糸が非弾性糸であって、
JIS L−1096に従い測定した密度が、経糸について20乃至45本/インチであり且つ緯糸について60乃至80本/インチである平組織の織布からなることを特徴とする上記の止血用自着包帯に関する。
本発明の第5の態様の自着包帯は、前記経糸が20番乃至60番のコアスパンヤーンであり、前記緯糸が5番乃至25番の綿糸である上記の止血用自着包帯に関する。
本発明の第6の態様の自着包帯は、前記基布は、前記経糸として伸びが80乃至300%である弾性糸と伸びが2乃至20%である非弾性糸を用い、該弾性糸と該非弾性糸は1:1乃至1:6の本数比率で均質に配列され、JIS L−1096に従い測定した経糸の密度が7乃至40本/インチである編布からなることを特徴とする上記の止血用自着包帯に関する。
本発明により、適度な接着力の自着性を有することで剥離紙が不要で、貼り直しが可能であり、手切れ性が良く、かつ適切な引張強度及び長さ方向の伸長率を有することにより静脈からの採血後に適度な圧迫力を皮膚に与えることが可能である自着包帯が提供される。
図1は本発明の実施例1の止血用自着包帯1を示す図であり、図中の円は包帯1の部分拡大図である。 図2(a)は本発明の実施例2の止血用自着包帯2を示す図であり、図2(b)は自着包帯2の部分拡大図である。 図3は、試験例で使用した止血用自着包帯1及び2のサンプルの形状を示す図である。 図4は、試験例で圧力測定を行った部位を示す写真である。 図5は、試験例における圧力測定時の包帯巻付の方法を示す図であり、左図はガーゼ不使用時の場合、右図はガーゼ使用時の場合を示す。 図6(a)は肘上面(A)における巻き付け時の伸長率と圧迫力の関係を示す図であり、図6(b)は肘側面(B)における巻き付け時の伸長率と圧迫力の関係を示す図である。 図7は、固定後(包帯で止血後)10分経過までの圧迫力の推移を示す図である。
本発明の止血用自着包帯の基布は、長さ方向の経糸及び幅方向の緯糸で以て織成又は編成されている。また織布は、緯糸が単環縫い方式で織成されていてもよい。
そして、本発明の自着包帯はJIS L−1096B法に従い測定した伸長率は長さ方向について70%乃至90%である。
腕の太さは人により様々であり、静脈からの採血後の止血のための包帯にあっては、それが包帯の性能を備えたものであればどのような物性のものであっても良いというものではなく、腕の太い人から細い人まで幅広い範囲の人に満足に適用することができるようにするため、大多数の人にとって巻き付けの際使いやすい水準の伸び自由度と適度の圧迫力を達成することができるものとする必要があり、そのためには、包帯の材料・性質・性能を上記用途向けのものとして適当な範囲のものに定める、とりわけ伸長率を適度の範囲の値に定める必要があるものと考えられる。
そこで、本発明者は、鋭意研究を重ね、その結果、伸長率が上記の範囲に該当するとき、静脈からの採血後の止血用自着包帯として好適で満足な性能を発揮することができることを見出し、本発明を完成したのである。
この種の自着包帯において、JIS L−1096B法に従い測定した長さ方向の伸長率が90%以上である場合には、自着包帯は伸びやすいが、伸びに対する圧迫力が小さく、腕を締め付ける力が弱く、ズレが生じたり止血が適切に行われない虞がある。
一方伸長率が70%未満の場合には自着包帯は伸びにくいため、腕に巻き付けづらく、また、巻きつけたとしても締め付けが強く痛みが生じたり血流を阻害する虞がある。
本発明の自着包帯において、静脈からの採血後の止血に好適な圧力は、肘上面及び肘側面において9乃至16mmHgの範囲である。
9mmHg未満では圧力が弱めであり、16mmHgを超える場合では、圧力が強すぎ、血流阻害を起こし易くなる。
また上記自着包帯は、巻き付け時における肘上面及び肘側面の圧力がともに9乃至16mmHgに達するときの伸長率が110%乃至150%の範囲に該当するところの弾性有する自着包帯であることが好ましい。上記自着包帯が、巻き付け時における肘上面及び肘側面の圧力がともに9乃至16mmHgに達するときの伸長率が110%未満となるような弾性を有する場合では、伸びの割合に対して腕に加わる圧迫力の程度が相対的に大きなものとなり、圧迫力の調整が難しい。一方、上記自着包帯が、巻き付け時における肘上面及び肘側面の圧力がともに9乃至16mmHgに達するときの伸長率が150%を超えるような弾性を有する場合、伸びの割合に対して腕に加わる圧迫力の程度が相対的に小さなものとなり、必要な圧迫力を得るために自着包帯を相当に長く伸ばさねばならず、結果として自着包帯を腕に何重にも巻きつけることになるため、自着包帯の巻き付けが簡単に行えない。上記自着包帯において巻き付け時における肘上面及び肘側面の圧力がともに9乃至16mmHgに達するときの伸長率が120%乃至130%の範囲に該当するところの弾性を有することが特に好ましい。
また、本発明の自着包帯は、長さ方向について80乃至120N/50mmの引張強さに対して幅方向の引張強さが600乃至750N/50mmであるとき、幅方向に対する長さ方向の引張強さが1/10乃至1/5程度と小さいことから、自着包帯は幅方向に手切れしやすいものとなり、取扱い容易さの点で優れたものとなる。
長さ方向についての引張強さは小さければ良いというものでなく、80N/50mm未満の場合では、自着包帯を腕に巻き付ける際に包帯を引っ張る力により該包帯が幅方向に
千切れることがある為、80N/50mm以上であることが好ましい。
また、本発明の第4態様の止血用自着包帯において、基布は、経糸が弾性糸であり且つ緯糸が非弾性糸である平組織の織布である。そして、該基布においてJIS L−1096に従い測定した密度が、経糸について20乃至45本/インチであり且つ緯糸について60乃至80本/インチである。
JIS L−1096に従い測定した経糸と緯糸の密度が、経糸について20本/インチより小さいか、緯糸について60本/インチよりも小さい場合では、糸の本数が少なく基布は粗いものとなり、巻き付けた状態で腕を締め付ける力が弱く、止血に必要な圧迫力が不足し、ズレやすく止血が不十分になる虞がある。
一方経糸について45本/インチより大きいか、緯糸について80本/インチより大きい場合では、基布の糸目は密なものとなり、腕に巻きつけた際に圧迫力が大きくなりがちであり、結果として血流阻害や痛みの原因となる。
本発明の第1態様の自着包帯で使用できる上記経糸及び緯糸としては、包帯の伸長率が上記性能を満たすものとなるものであれば、その材質、種類は問わない。具体的にいうと本発明の自着包帯で使用できる弾性糸としては、綿・ポリウレタン混紡糸、ポリエステル・ポリウレタン混紡繊維、ナイロン・ポリウレタン混紡繊維等の伸縮性のあるポリウレタン混紡繊維、又はポリウレタン繊維の芯に綿やウールなどの合成繊維を巻き付けたコアスパンヤーンが使用できる。
また、非弾性糸としては、綿、絹糸、毛糸、又はポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン等の合成繊維等が適宜使用できる。非弾性糸は通常は10%以下しか伸びず、手で伸張させた場合はほとんど伸びないものを使用する。非弾性糸を緯糸に用いることで、腕を巻回するときに安定して巻くことができるため好ましい。
しかしながら、第1の態様のうちより好適な態様である第4態様の自着包帯に適用される好ましいものは、経糸としてはポリウレタン繊維の芯に綿やウールなどの合成繊維を巻き付けたコアスパンヤーンであり、緯糸としては、綿、絹糸、毛糸、化学繊維、合成繊維、混紡繊維等の非弾性糸である。縦糸は緯糸よりも弱い強度とし、縦糸を特にコアスパンヤーンの形態をとることで、手切れ性が向上する。
本発明の第5態様の自着包帯にあっては、経糸が20番乃至60番のポリウレタンの弾性糸を芯糸としたコアスパンヤーンであり、緯糸が5番乃至25番の綿糸が好ましい。
該経糸が60番より大きいか、又は該緯糸が25番より大きい場合では、糸が細すぎて薄い基布となり、腕に巻きつける回数が大きくなり、扱いづらいものとなる。一方、上記経糸が20番未満である場合、または上記緯糸が5番未満である場合では、糸が太すぎて厚めの基布となり、腕に巻きつけづらいものとなる。
また、本発明の第6態様の止血用自着包帯において、基布は、経糸に弾性糸と非弾性糸を用いるものであり、緯糸が短環縫い方式で織成された織布である。好適な該弾性糸としては、伸びが80乃至300%である、弾性芯糸の表面に綿若しくは化学繊維、合成繊維その他適宜の繊維を被覆したもの等が使用される。そして、好適な該非弾性糸としては、伸びが2乃至20%である綿糸もしくは綿混紡糸等が使用される。そして好ましくは該弾性糸と該非弾性糸の糸の本数を1:1乃至1:6の比率とし、両者を包帯の長さ方向に均質に配置して、更にJIS L−1096に従い測定した経糸の密度を7乃至40本/インチ程度とすることで止血に必要な適度な伸縮性を与えるのが好ましい。
基布の目付けは、100乃至300g/mが好ましく、140乃至160g/mがより好ましい。
また本発明の止血用自着包帯は基布の表面に、自着性のある成分を含む自着剤を付着させる。
基布に自着剤を付着させることで包帯は巻き重ねた部分に付着するという性質を有することができ、また、本発明の自着包帯を手で引き裂こうとする場合、自着剤が基布に付着していることにより、経糸が長さ方向に伸びると共に手に摘まれた緯糸が経糸に対して滑り出すことを防ぐため、力がうまく作用し、手切れ性が向上する。
自着性のある成分としては、好ましくは天然ゴム(脱タンパク処理した天然ゴムを含む)若しくはブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(ニトリルゴム)、アクリルゴムその他の合成ゴム又はこれらの混合物があり、自着性のある成分は、粘着付与剤を含まず、粘着性がなくてもよい。自着性のある成分は、エマルジョンタイプ若しくは溶展タイプがあり、環境面の点から、エマルジョンタイプが好ましい。エマルジョンタイプであれば、天然ゴムを90乃至99%、老化防止剤を0.1乃至5.0%、界面活性剤を0.1乃至5.0%を
配合した自着性のある成分が好ましい。老化防止剤と界面活性剤は、必要に応じて2種類以上配合することができる。この自着性のある成分を噴霧塗布、ロールコーター法及びディッピング法等によって付着させる。
この付着量は、通例、布の織り目や編目を封鎖して通気性を悪くしてしまわない程度のもので、50乃至80g/m程度が好ましく、60乃至70g/m(ドライ)がより好ましい。
基布の目付けと付着量の比率(基布の目付け(g/m)/付着量(g/m))は、1.6乃至3.2が好ましく、2.0乃至2.7がより好ましい。
基布および自着性のある成分は、必要に応じて着色剤、帯電防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を本発明の効果を阻害しない程度含むことができる。例えば着色剤としては、顔料、有機顔料、天然色素などが挙げられる。また自着剤を基布と同様の色に着色することで、基布上の自着剤が目立たず、見栄えが良くなる効果がある。帯電防止剤としては、界面活性剤(アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤)等が挙げられる。基布に帯電防止剤等を付与する公知の方法としては、例えば、0.05乃至2質量%の界面活性剤を含有する水溶液に基布を含浸させ乾燥する方法が挙げられる。
その他、採血後の止血用途で用いる場合は基本的に不要であるが、基布及び自着性のある成分に対してメントール、ラベンダー等の薬物や香料を含むことによって付加価値を向上させることもできる。
基布は洗浄工程を経るため、これらの添加剤は基布作製時の洗浄後に行なうことが通常であるが、工程上やむをえない場合、又は意図的な目的がある場合は、添加剤を付加したあとに洗浄工程を行い必要最小限を基布又は自着性のある成分に対して含ませることもできる。
本発明の止血用自着包帯は、通常紙製の巻心に巻かれており、これを使用する場合、例えば採血後に穿刺部位を止血用絆創膏あるいはガーゼなどで覆い、その上から止血用自着包帯を覆い始め、やや縦方向(長さ方向)に伸ばし気味にして巻いて行く。腕を1周以上周回させて該包帯を積層し、指で該包帯同士を自着させるように圧迫し、その後手やはさみ等で該包帯を分断して使用する。手で切る場合は、該包帯の側端縁の一部を両手で摘んで横方向に引っ張ると引き裂くことができる。特に織成した基布の場合は編成した基布よりも容易に引き裂くことができ、切れたあとの切り口の見栄えが良い。
本発明の止血用自着包帯は、献血終了時、透析終了時に用いることで確実に止血を行なうことができる。特に採血後の止血用途に好適である。また静脈からの採血だけではなく
、動脈穿刺を伴う治療や検査にも用いることができる。
実施例1
図1に本発明の第一態様の止血用自着包帯1を示し、図中の円は止血用自着包帯1の部分拡大図である。図1中の円に示される通り、止血用自着包帯1の基布4は、経糸2と緯糸3を平織りに織成してなる。
経糸2としては78dtexのポリウレタン弾性糸を芯糸としその周囲に鞘糸として綿糸を巻き付けた、40番のコアスパンヤーンを使用し、緯糸3としては16番の綿糸を使用した。
JIS L−1096に従い測定した密度は、経糸2について31本/インチであり、緯糸3について71本/インチである。
基布4の引張強さはJIS L−1096A法に従い測定され、また、伸長率はJIS
L 1096B法に従い測定された。
基布4は、引張強さが長さ方向について95N/50mmであり幅方向について650N/50mmであり、長さ方向の伸長率が80%であり、目付けは150g/mであっ
た。
基布4に脱タンパクNRラテックス(セラテックス3821)を主成分とする自着剤を均一に噴霧した。
自着剤の処方は表1の通りである。
実施例2
図2に本発明の第二態様の止血用自着包帯5を示す。自着包帯5において、基布10は、経糸6として弾性糸7と非弾性糸8からなる。弾性糸7としては、伸び率が150%である綿・ポリウレタン混紡糸を使用し、非弾性糸8としては、伸び率が10%以下の綿糸を使用した。弾性糸7と非弾性糸8は、糸の本数が1:2となる比率で均質に、すなわち弾性糸7と弾性糸7の間に非弾性糸8を2本挟み込むように配置されているところの経糸6に緯糸9を打ち込むことにより基布10が形成されている。緯糸9としては非弾性の綿糸が使用されている。基布10は一方の側端部12において経糸6に緯糸9を掛け渡すようにして、ミシン縫いの単環縫い方式で織成され、基布10の両側端部に耳部11を形成してなる。また、他方の側端部13では緯糸7でループ14を形成しこのループに次に折り返す緯糸をくぐらせるという手順により織成されている。
基布10の経糸6の密度は、JIS L−1096に従い測定して25本/インチであった。また、JIS L−1096A法に従い測定した引張強さは80N/50mmであ
り、JIS L−1096B法に従い測定した長さ方向の伸長率が85%であった。
そして実施例1で使用したものと同様の自着剤を基布10に噴霧塗布した。
従来例
従来例としては、従来の止血バンド(NEストラップ、アズワン株式会社製、3×30cm)を使用した。
実施例1、2の自着包帯と従来例の止血バンドについて止血性能を比較するべく、以下の試験を行った。
試験例
1.被験者
ラテックスアレルギーの既往歴がなく、健康状態の良好な成人5名。被験者は本試験の目的、内容、安全性等の説明を受け、良く理解の上、自発的に志願した者で、書面で試験参加に同意した者とした。なるべく腕の細い人から太い人まで幅広く選定されるよう配慮した。
2.被験サンプル
2−1 基準圧測定用
我々は、止血材の通常の使用方法において一般的な、皮膚表面に加える圧力を「基準圧」として数値化し、本発明の止血用自着包帯の効果を検証するための指標として設定することとした。そこで基準圧の測定には、基準圧測定用テープ(ステプティ(No.80)ニ
チバン株式会社製)を用いた。ステプティは、太い注射針(14乃至18ゲージ)を用いた採血後の止血用途で実績があり、適度な圧迫力が期待できることから、基準圧測定用テープをして選定した。
2−2 評価用
評価用のサンプルを以下に示す。
(1)実施例1
(2)実施例2
(3)従来例
2−3 補助材
使用した補助材を以下に示す。
(1)ガーゼ(滅菌済ガーゼ、12PLY、医療ガーゼタイプIII、川本産業株式会社製)
(2)インジェクションパッドマイルド(No.36N、ニチバン株式会社製)
3.使用機器
使用した機器を以下に示す。
(1)脳圧測定用カテーテルTM−200T(日本光電株式会社製)
(付属品:他用途プリアンプ装置AP−601G、Thermal Array Recorder RTA−1100M)
(2)定規(JIS1級、1m)
(3)巻尺
4.試験方法
(1)サンプル調製等の準備
試験に使用する装置(脳圧測定用カテーテル15)は事前に校正を行い、正常に稼動することを確認しておいた。
実施例1、2の自着包帯及び従来例の止血バンドを予め30cmの長さに裁断し、全ての評価用サンプルに図2のようにマーキング(評点間距離:20cm)を行った。また各被験者の肘部の外周の長さを巻尺を用いて計測した。
(2)基準圧の測定
被験者の肘16の内側の中央に脳圧測定用カテーテルのプローブ15を置き、その上から基準圧測定用テープを貼付し、30秒後の圧力を測定し、基準圧Pとした。
(3)評価用サンプルでの測定
被験者の肘16の内側の中央(図4のA、以降「肘上面(A)」とも言う)に脳圧測定用カテーテルのプローブ15を置いた上にインジェクションパッド18(以下IJPとも言う)を貼付し、その上から実施例1の包帯をその片端をずれないように固定し、圧力が基準圧P、P×0.5付近、又は最大伸長時での圧力PMAXとなるように一定のテンションで伸ばして巻き付け、次いで尺骨の凸部のやや内側(図4のB、以降「肘側面(B)」とも言う)付近の実施例1の包帯と皮膚17の間に脳圧測定用カテーテルのプローブ15を差込み(図4)、肘上面(A)及び肘側面(B)における圧力の測定を開始した。基準圧Pのテンションで伸ばしたときは巻き付け終了の直後から10分まで圧力をモニタリングし、30秒、1、5、10分での圧力を記録した。P×0.5又は圧力PMAXのテンションで伸ばしたときは巻き付け終了の30秒後の圧力を記録した。測定終了後、巻き付け時の評点間距離を巻尺を用いて計測し、巻き付け時の伸長率とした。
巻き付け時の伸長率(%)
=(巻き付け時の評点間距離/もとの評点間距離)×100
また、インジェクションパッド18の上に4つ折りにしたガーゼ19を置いて各評価用サンプルを巻き付けた場合についても上記と同様に測定を行った(図4b)。
実施例2の包帯及び従来例の止血バンドについても実施例1の包帯と同様に上記(2)、(3)の測定を行った。
5.結果
(1)基準圧の測定
被験者の肘外周及び基準圧データを表3に示す。
肘外周は21.5乃至25.5cm、5名の平均値は24.2cmであった。基準圧測定用テープによる基準圧Pは9乃至16mmHg、5名の平均値は14.0mmHgであった。
(2)評価用サンプルでの測定
圧迫力評価に関する測定データを表3及び図6に、固定後10分までの圧迫力データを表4及び図7に示した。
実施例1の包帯では、ガーゼなしで約125%、ガーゼありで約115%伸ばして固定することにより、基準圧と同等もしくはそれ以上の圧迫力が得られた。また、実施例2の包帯では、ガーゼなしで約145%、ガーゼありで約125%伸ばして固定することにより基準圧と同等もしくはそれ以上の圧迫力が得られた。
従来例では、最大でガーゼの有無により、約60乃至85mmHgの強い圧力が得られたが、実際には、ここまでの圧迫力は必要ない。むしろ、過度の圧迫力は穿刺部の静脈を含め肘周辺の静脈の血流を阻害する虞がある。また伸長率と圧迫力の関係を示す図(図6)より、従来例では、伸長率に対する圧迫力の増加が大きいため、弱い力で伸ばすだけで、圧迫力が過度になるなど、圧迫力の調節が難しい。
また、経時での圧迫力データ(表5及び図7)において、いずれのサンプルも10分後まで特に大きな変動は無く安定な推移を示した。ただし、実施例1は実施例2の形態よりもより弱い力で引き伸ばし、無理なく固定できるため、より好ましい結果であった。
よって以上の結果より、本発明の自着包帯は静脈からの採血後の止血に大変好適に使用することができるものと判る。
1 実施例1の止血用自着包帯
2 経糸
3 緯糸
4 基布
5 実施例2の止血用自着包帯
6 経糸
7 弾性糸
8 非弾性糸
9 緯糸
10 基布

Claims (6)

  1. 包帯の長さ方向の経糸及び幅方向の緯糸で以て織成又は編成した基布に、ゴムを付着してなる自着包帯であって、
    前記自着包帯はJIS L−1096B法に従い測定した長さ方向の伸長率が70%乃至90%であることを特徴とする静脈からの採血後の止血用自着包帯。
  2. 包帯の長さ方向の経糸及び幅方向の緯糸で以て織成又は編成した基布に、ゴムを付着してなる自着包帯であって、
    前記自着包帯は、巻き付け時における肘上面及び肘側面の圧力がともに9乃至16mmHgに達するときの伸長率が、110%乃至150%の範囲に該当するところの弾性を有することを特徴とする、止血用自着包帯。
  3. JIS L−1096A法に従い測定した引張強さが長さ方向について80乃至120N/50mmであり幅方向について600乃至750N/50mmであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の止血用自着包帯。
  4. 前記基布は、前記経糸が弾性糸であり且つ前記緯糸が非弾性糸であって、
    JIS L−1096に従い測定した密度が、経糸について20乃至45本/インチであり且つ緯糸について60乃至80本/インチである平組織の織布からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の止血用自着包帯。
  5. 前記経糸が20番乃至60番のコアスパンヤーンであり、前記緯糸が5番乃至25番の綿糸である請求項4記載の止血用自着包帯。
  6. 前記基布は、前記経糸として伸びが80乃至300%である弾性糸と伸びが2乃至20%である非弾性糸を用い、該弾性糸と該非弾性糸は1:1乃至1:6の本数比率で均質に配列され、JIS L−1096に従い測定した経糸の密度が7乃至40本/インチである緯糸が短環縫い方式で織成された織布からなることを特徴とする、請求項1乃至請求項3記載の止血用自着包帯。
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