JP2012247800A - 波長可変フィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第2の基板3は、その厚さ方向での位置が異なる2つの面を可動部21側に有し、2つの面のうち、一方に駆動電極33が設けられ、他方に検出電極40が設けられており、検出電極40と可動部21との間の静電容量に基づいて、駆動電極33と可動部21の間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、可動部21を変位させるとともに、固定反射膜35と可動反射膜25との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、固定反射膜35と可動反射膜25との間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成されている。
【選択図】図3
Description
例えば、特許文献1にかかる波長可変フィルタにあっては、板状をなす可動部がその厚さ方向に変位可能となっているとともに支持基板に略平行に設けられ、可動部の支持基板側の面上と、支持基板の可動部側の面(対向面)上とに、それぞれ反射膜が設けられている。
このような干渉作用を好適に生じさせるためには、可動部と支持基板との間の距離を正確に設定することが必要となる。そこで、支持基板上に検出電極を設け、検出電極と可動電極との間の静電容量に基づいて、可動部と支持基板との間の距離を検出することが必要となる。
また、仮に、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を小さくするために、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすると、その分、駆動電極の面積を小さくしなければならず、駆動電圧が高くなってしまう。
本発明の波長可変フィルタは、基板と、
板状をなし、前記基板に対し略平行に間隔を隔てて、その厚さ方向に変位可能に設けられた可動部と、
前記可動部の前記基板側の面上に設けられた可動反射膜と、
前記基板の前記可動部側の面上に設けられた駆動電極と、
前記駆動電極と離間し、前記基板の前記可動部側の面上に設けられた検出電極と、
前記基板の前記可動部側の面上に設けられた固定反射膜とを有し、
前記基板は、その厚さ方向での位置が異なる2つの設置面を前記可動部側に有し、
前記2つの設置面のうち、一方の設置面上に前記駆動電極が設けられ、他方の設置面上に前記検出電極が設けられており、
前記検出電極と前記可動部との間の静電容量に基づいて、前記駆動電極と前記可動部の間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるとともに、
前記固定反射膜と前記可動反射膜との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記固定反射膜と前記可動反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成されていることを特徴とする。
これにより、駆動電極と可動部との間に生じる静電気力を大きくすることができる。そのため、駆動電圧を低減することができる。
これにより、比較的簡単な構成で、検出電極と駆動電極とを基板の厚さ方向に離間することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記凹部は、第1の凹部と、該第1の凹部の底面に形成された第2の凹部とを有し、前記駆動電極は、前記第2の凹部の外側における前記第1の凹部の底面上に設けられ、前記検出電極は、前記第2の凹部の底面上に設けられていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、検出電極と駆動電極とを離間するとともに、駆動電極と可動部との間に静電気力を生じさせるためのギャップを形成することができる。
これにより、駆動電極と可動部との間の距離に関係なく、第2の凹部の深さに応じた使用可能波長帯域とすることができる。そのため、様々な使用波長帯域の波長可変フィルタを製造しても、駆動電圧を低減することができる。
これにより、可動反射膜と固定反射膜との間での光の干渉時における光の損失を防止して、光学特性を向上させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板に対し固定的に設けられた支持部と、前記支持部に対し前記可動部をその厚さ方向に変位可能とするようにこれらを連結する連結部とを有し、前記可動部と前記支持部と前記連結部とが一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、基板に対する可動部の位置をより安定させることができる。
これにより、光学特性および耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板は、ガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、光を基板側から可動反射膜と固定反射膜との間に入射させることができる。
これにより、支持部がシリコンを主材料として構成されている場合に、支持部と基板とを陽極接合により簡単勝つ強固に接合することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動部と前記支持部と前記連結部とは、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、可動部と支持部と連結部とをより高精度なものとすることができる。
これにより、可動部と駆動電極との接触による短絡を防止することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動反射膜は、絶縁性を有し、前記絶縁膜を兼ねていることが好ましい。
これにより、より簡単な構成で、可動部と駆動電極との接触による短絡を防止することができる。
これにより、可動反射膜と固定反射膜との間の距離の変化量に対する可動部と駆動電極との間に生じる静電容量の変化量が比較的大きくなるので、より正確に、可動部の変位を制御することができる。また、比較的簡単に、検出電極の面積よりも駆動電極の面積を大きくして、駆動電圧を低減することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板の厚さ方向における前記検出電極と前記駆動電極との間の距離は、5〜500μmであることが好ましい。
これにより、検出電極と駆動電極との間に生じる結合容量をより確実に防止しつつ、比較的簡単に、波長可変フィルタの光学特性を所望のものとすることができる。
図1は、本発明の波長可変フィルタの実施形態を示す分解斜視図、図2は、かかる波長可変フィルタの平面図、図3は、図2のA−A線での断面図である。また、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言い、図2中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左側」と言う。
可動部21の厚さ(平均)は、構成材料、用途等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。
可動反射膜25は、図3に示すように波長可変フィルタ1の下方から後述の第2のギャップG2に入射した光を、後述する固定反射膜35との間で複数回にわたって反射させるためのものである。可動反射防止膜26は、図3に示すように波長可変フィルタ1の下方から第2のギャップG2に入射した光が第1の基板2の上面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。
可動反射膜25および可動反射防止膜26を構成する高屈折率層および低屈折率層の層数、厚さは、必要とする光学特性に応じて設定される。一般に、多層膜により反射膜を構成する場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上であり、多層膜により反射防止膜を構成する場合、その光学特性に必要な層数は4層程度である。
この場合、可動反射膜25が絶縁膜を兼ねているので、より簡単な構成で、可動部21と駆動電極33との接触による短絡を防止することができる。
このような可動部21を囲むように支持部22が形成され、可動部21は、連結部23を介して支持部22に支持されている。
このような第1の基板2にあっては、可動部21と支持部22と連結部23とが一体的に形成されているのが好ましい。これにより、第2の基板3に対する可動部21の位置をより安定させることができる。
このような第1の基板2に対し、支持部22の下面で、第2の基板3が接合されている。
特に、可動部21と支持部22と連結部23とは、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものであると、比較的簡単に、可動部21と支持部22と連結部23とをより高精度なものとすることができる。
このような第2の基板3の構成材料としては、用いる光の波長に関し光透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、シリコン等が挙げられる。
これらの中でも、第2の基板3の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスが好ましい。これにより、第1の基板2を例えばシリコンで構成した場合に、第1の基板2と第2の基板3とを陽極接合により、簡単かつ強固に接合することができる。
これにより、陽極接合時に第1の基板2および第2の基板3が高温下にさらされても、第1の基板2と第2の基板3との間に生じる応力を低減して、第1の基板2または第2の基板3の損傷を防止することができる。
また、第2の基板3の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
駆動電極33の構成材料としては、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
絶縁膜34は、可動部21と駆動電極33との接触による短絡を防止する機能を有するものである。
このような第1の凹部31内の空間内に、可動部21の駆動のための静電ギャップ(駆動ギャップ)として、第1のギャップG1が形成される。すなわち、可動部21と駆動電極33との間に、第1のギャップG1が形成される。
第2の凹部32は、その外形が円形をなし、前述した第1の凹部31とほぼ同心でかつ第1の凹部31および可動部21の外径よりも小さい外径を有している。また、第2の凹部32の底面(第2の基板3の可動部21側の面)上には、その中央部に、ほぼ円形をなす固定反射膜35が設けられている。また、この固定反射膜35を囲むように、第2の凹部32の底面(設置面)上には、円環状の検出電極40が設けられている。
検出電極40は、駆動電極33と離間し、第2の基板3の可動部21側の面に設けられている。そして、検出電極40と可動部21とには、これらの間の静電容量を検出する検出回路(図示せず)が接続されている。この検出回路の検出信号(検出結果)に基づき、前述した制御手段(図示せず)が通電回路(図示せず)の駆動を制御する。
また、駆動電極33が、第2の凹部32の外側における第1の凹部31の底面上に設けられ、検出電極40は、第2の凹部32の底面上に設けられているので、比較的簡単な構成で、検出電極40と駆動電極33とを離間するとともに、駆動電極33と可動部21との間に静電気力を生じさせるためのギャップを形成することができる。
また、検出電極40が駆動電極33よりも固定反射膜35に近いので、可動反射膜25と固定反射膜35との間の距離の変化量に対する可動部21と検出電極40との間に生じる静電容量の変化量が比較的大きくなる。その結果、より正確に、可動部21の変位を制御することができる。また、比較的簡単に、検出電極40の面積よりも駆動電極33の面積を大きくして、駆動電圧を低減することができる。
これに対し、前記距離が前記下限値未満であると、第2の基板3の構成材料などによっては、検出電極40と駆動電極33との間に生じる結合容量の低減を十分に低減することができない場合がある。一方、前記距離が前記上限値を超えると、検出電極40と可動部21との間に発生する静電容量が小さくなるために、その検出が難しくなる。
溝部36および第3の凹部37は、その深さが第1の凹部31の深さとほぼ同等となっており、これらの底面上には、駆動電極33に接続される引出し電極38が設けられている。
また、第2の基板3の他方の面(すなわち、前述した第1の凹部31等が形成されている面とは反対側の面)上には、固定反射防止膜39が形成されている。
このような構成を有する波長可変フィルタ1の動作(作用)を説明する。
このクーロン力によって、可動部21は、駆動電極33に向け下方向に移動(変位)し、連結部24の弾性力とクーロン力が釣り合う位置で静止する。これにより、第1のギャップG1および第2のギャップG2の大きさが変化する。
入射した光は、可動反射膜25と固定反射膜35との間において、反射を繰り返す(干渉する)。この際、可動反射膜25および固定反射膜35により、光Lの損失を抑えることができる。
なお、本実施形態では、第2のギャップG2に入射した光を波長可変フィルタ1の上方へ出射したが、第2のギャップG2に入射した光を波長可変フィルタ1の下方へ出射してもよい。
以上説明したような波長可変フィルタ1にあっては、第2の基板3がその厚さ方向での位置が異なる2つの設置面を可動部21側に有し、その2つの設置面のうち、一方の設置面上に駆動電極33が設けられ、他方の設置面上に検出電極40が設けられている。すなわち、駆動電極33と検出電極40とが上下にずれて配置されている。
次に、波長可変フィルタ1の製造方法の一例を図4ないし図7に基づいて説明する。
図4〜図7は、波長可変フィルタ1の製造工程を説明するための図である。なお、図4〜図7は、図2のA−A線断面に対応する断面を示している。
本実施形態の波長可変フィルタ1の製造方法は、[A]第2の基板3を製造する工程と、[B]SOI基板を第2の基板3に接合する工程と、[C]SOI基板を加工して第1の基板2を製造する工程とを有する。以下、各工程について順次説明する。
−A1−
まず、第2の基板3を形成するための基板として、図4(a)に示すように、光透過性を有する基板4を用意する。
基板4としては、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。基板4の構成材料としては、第2の基板3の説明で述べたものを用いることができる。前述したように、基板4の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスを用いるのが好ましい。したがって、以下の説明では、基板4の構成材料として、アルカリ金属を含有したガラスを用いた場合について説明する。
次に、図4(b)に示すように、基板4の一方の面上にマスク層5を形成(マスキング)する。
マスク層5を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Tiなどの金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン等が挙げられる。マスク層5の構成材料にシリコンを用いると、マスク層5と基板4との密着性が向上する。マスク層5の構成材料に金属を用いると、形成されるマスク層5の視認性が向上する。
マスク層5は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキ法等により形成することができる。
次に、図4(c)に示すように、マスク層5に、第1の凹部31と溝部36と第3の凹部37との平面視形状に対応した平面視形状をなす開口51を形成する。
より具体的には、まず、例えばフォトリソグラフィ法を用い、マスク層5上に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行って、開口51に対応する開口を有するレジストマスクを形成する。次に、このレジストマスク介してマスク層5をエッチングして、マスク層5の一部を除去した後、レジストマスクを除去する。このようにして、マスク層5に開口51が形成される。このエッチングとしては、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等によるウェットエッチングを用いることができる。
次に、マスク層5を介して基板4の一方の面をエッチングして、図4(d)に示すように、第1の凹部31と溝部36と第3の凹部37とを形成する。
このエッチングとしては、ドライエッチング法、ウェットエッチング法を用いることができるが、ウェットエッチング法を用いるのが好ましい。これにより、形成される第1の凹部31をより理想的な円柱状とすることができる。この場合、ウェットエッチングのエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。また、エッチング液にグリセリン等のアルコール(特に多価アルコール)を添加すると、形成される第1の凹部31の底面を極めて滑らかなものとすることができる。
次に、マスク層5を除去した後に、前述した工程A2およびA3と同様の方法を用いて、図4(e)に示すように、第2の凹部32の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層6を形成する。
マスク層5の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ水溶液(例えばテトラメチル水酸化アンモニウム水溶液等)、塩酸+硝酸水溶液、フッ酸+硝酸水溶液等によるウェットエッチング、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチングなどを用いることができる。
特に、マスク層5の除去方法としてウエットエッチングを用いると、簡易な操作で、効率よく、マスク層5を除去することができる。
次に、前述した工程A4と同様の方法を用いて、マスク層6を介して基板4をエッチングして、図4(f)に示すように、第2の凹部32を形成した後、固定反射膜35の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層6Aを形成する。なお、マスク層6Aの形成は、マスク層6を除去した後に行ってもよいし、マスク層6を除去せずに行ってもよい。
次に、図5(a)に示すように、マスク層6Aを用いて、第2の凹部32の底面上に、固定反射膜35を形成する。
より具体的には、第2の凹部32の底面上に、前述したような高屈折率層と低屈折層とを交互に積層することにより、固定反射膜35を形成する。
高屈折率層および低屈折率層の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
次に、前述した工程−A5−と同様の方法を用いて、図5(b)に示すように、マスク層6Aを除去する。
−A9−
次に、図5(c)に示すように、基板4の第1の凹部31等が形成された側の面上に一様に、駆動電極33および引出し電極38を形成するための導電層7を形成する。
導電層7の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
また、導電層7の構成材料は、前述した駆動電極33の構成材料を用いることができる。
次に、図5(d)に示すように、導電層7の不要部分を除去して、駆動電極33および検出電極40を形成するとともに、駆動電極33上に絶縁膜34を形成する。さらに、基板4の第1の凹部31等が形成された側と反対側の面上に、固定反射防止膜39を形成する。
また、駆動電極33の形成方法としては、前述したマスク層5の形成方法と同様のものを用いることができる。
固定反射防止膜39の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
以上のようにして、第2の基板3を製造することができる。
−B1−
まず、図6(a)に示すように、SOI(Silicon on Insulator)基板8を用意する。
このSOI基板8は、Siで構成されたベース層81、SiO2で構成された絶縁層82、Siで構成された活性層83の順でこれら3層が積層されてなるものである。なお、SOI基板8に代えて、SOS(Silicon on Sapphire)基板、シリコン基板等を用いることもできる。
SOI基板8の厚さは、特に限定されないが、特に活性層83の厚さが10〜100μm程度であるのが好ましい。
次に、SOI基板8と第2の基板3との接合に先立ち、図6(b)に示すように、SOI基板8の活性層83側の面上に、可動反射膜25を形成する。
可動反射膜25の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
次に、図6(c)に示すように、SOI基板8と第2の基板3とを接合する。
SOI基板8と第2の基板3との接合方法としては、例えば、陽極接合、接着剤による接合、表面活性化接合、低融点ガラスを用いた接合等を用いることができるが、陽極接合を用いるのが好ましい。
−C1−
次に、図7(a)に示すように、エッチングや研磨を行ってベース層81を除去する。
このエッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができるが、ドライエッチングを用いるのが好ましい。いずれの場合も、ベース層81の除去のとき、絶縁層82がストッパーとなるが、ドライエッチングは、エッチング液を用いないので、駆動電極33に対向している活性層83の損傷を好適に防ぐことができる。これにより、波長可変フィルタ1の製造時における歩留まりの向上を図ることができる。
次に、図7(b)に示すように、エッチングを行って絶縁層82を除去する。
このエッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができるが、フッ酸を含むエッチング液によるウェットエッチングを用いるのが好ましい。これにより、絶縁層82を簡単に除去することができるとともに、絶縁層82の除去により露出する活性層83の面を極めて平滑にすることができる。
なお、前述した工程B1にて、SOI基板8に代えて、以降の工程を行うのに最適な厚さをすでに有しているシリコン基板を用いた場合には、工程C1、C1は行わなくてもよい。これにより、波長可変フィルタ1の製造工程を簡略化することができる。
次に、図7(c)に示すように、活性層83の上面に、可動反射防止膜26を形成する。
可動反射防止膜26の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
次に、図7(d)に示すように、開口部24および開口部27に対応する開口を有するレジスト層9を形成する。
レジスト層9の形成方法としては、前述した工程A2、A3と同様の方法を用いることができる。
次に、レジスト層9を介して、ドライエッチング法、特にICPエッチングにより、活性層83をエッチングして、図7(e)に示すように、開口部27を形成した後に、図7(f)に示すように、開口部24を形成する。これにより、可動部21と支持部22と連結部23とが形成される。
このようにマイクロローディング効果を利用すると、開口部27を形成するためのエッチング工程を別途設けなくても、開口部24および開口部27を同一のエッチング工程により形成しつつ、開口部27、開口部24の順にこれらを形成することができ、製造工程の簡略化を図ることができる。
このとき、前述したように、活性層83に可動部21を形成する前(すなわち、開口部24を形成する前)にあらかじめ、活性層83と第2の基板3との間の空間と、外部との圧力差が解消されているので、開口部24の形成に伴って連結部23が破損するのを防止することができる。
前記エッチング用ガスとしては、例えば、SF6等が挙げられ、また、前記デポジッション用ガスとしては、例えば、C4F8等が挙げられる。
ウェットエッチング技術を使用した場合、エッチングが進むに従ってエッチング液が活性層83に形成された孔から、活性層83と第2の基板3との間に侵入し、駆動電極33や絶縁膜34を除去してしまうおそれがある。これに対し、ドライエッチング技術を使用した場合はそのような危険性がない。
なお、本発明では、本工程において、前記と異なるドライエッチング法を用いて可動部21と支持部22と連結部23とを形成してもよく、また、ドライエッチング法以外の方法を用いて可動部21と支持部22と連結部23とを形成してもよい。
その後、レジスト層9を除去して、図7(g)に示すように、波長可変フィルタ1が得られる。
以上、本発明の波長可変フィルタを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
また、前述した実施形態では、基板(第2の基板3)に形成された凹部の底面を検出電極および駆動電極の設置面としたが、検出電極および/または駆動電極の設置面は、基板の厚さ方向での位置が異なるものであれば、これに限定されず、基板に形成された凸部の上面等であってもよい。
また、前述した実施形態では第1の凹部31により第1のギャップG1を形成したが、第1の凹部31を形成せずに、第2の基板3と第1の基板2との間にスペーサを設けることにより、第1のギャップG1を形成してもよい。
Claims (15)
- 基板と、
板状をなし、前記基板に対し略平行に間隔を隔てて、その厚さ方向に変位可能に設けられた可動部と、
前記可動部の前記基板側の面上に設けられた可動反射膜と、
前記基板の前記可動部側の面上に設けられた駆動電極と、
前記駆動電極と離間し、前記基板の前記可動部側の面上に設けられた検出電極と、
前記基板の前記可動部側の面上に設けられた固定反射膜とを有し、
前記基板は、その厚さ方向での位置が異なる2つの設置面を前記可動部側に有し、
前記2つの設置面のうち、一方の設置面上に前記駆動電極が設けられ、他方の設置面上に前記検出電極が設けられており、
前記検出電極と前記可動部との間の静電容量に基づいて、前記駆動電極と前記可動部の間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるとともに、
前記固定反射膜と前記可動反射膜との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記固定反射膜と前記可動反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成されていることを特徴とする波長可変フィルタ。 - 前記基板の前記2つの設置面のうち、前記可動部に近い側の設置面上に前記駆動電極が設けられ、前記可動部に遠い側の設置面上に前記検出電極が設けられている請求項1に記載の波長可変フィルタ。
- 前記基板には、凹部が形成されており、前記検出電極は、前記凹部の底面上に設けられている請求項2に記載の波長可変フィルタ。
- 前記凹部は、第1の凹部と、該第1の凹部の底面に形成された第2の凹部とを有し、前記駆動電極は、前記第2の凹部の外側における前記第1の凹部の底面上に設けられ、前記検出電極は、前記第2の凹部の底面上に設けられている請求項2または3に記載の波長可変フィルタ。
- 前記第2の凹部の底面上には、前記検出電極に加えて、前記固定反射膜も設けられている請求項4に記載の波長可変フィルタ。
- 前記固定反射膜および前記可動反射膜のうちの少なくとも一方は、誘電体多層膜で構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
- 前記基板に対し固定的に設けられた支持部と、前記支持部に対し前記可動部をその厚さ方向に変位可能とするようにこれらを連結する連結部とを有し、前記可動部と前記支持部と前記連結部とが一体的に形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
- 前記可動部と前記支持部と前記連結部とは、それぞれ、シリコンを主材料として構成されている請求項7に記載の波長可変フィルタ。
- 前記基板は、ガラスを主材料として構成されている請求項8に記載の波長可変フィルタ。
- 前記基板は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されている請求項9に記載の波長可変フィルタ。
- 前記可動部と前記支持部と前記連結部とは、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものである請求項8ないし10のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
- 前記可動部の前記基板側の面上には、絶縁膜が設けられている請求項1ないし11のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
- 前記可動反射膜は、絶縁性を有し、前記絶縁膜を兼ねている請求項12に記載の波長可変フィルタ。
- 前記検出電極は、前記駆動電極よりも前記固定反射膜に近い請求項1ないし13のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
- 前記基板の厚さ方向における前記検出電極と前記駆動電極との間の距離は、5〜500μmである請求項1ないし14のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
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