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JP6052269B2 - 波長可変フィルタ - Google Patents

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JP6052269B2
JP6052269B2 JP2014247700A JP2014247700A JP6052269B2 JP 6052269 B2 JP6052269 B2 JP 6052269B2 JP 2014247700 A JP2014247700 A JP 2014247700A JP 2014247700 A JP2014247700 A JP 2014247700A JP 6052269 B2 JP6052269 B2 JP 6052269B2
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Description

本発明は、波長可変フィルタに関するものである。
複数の波長を有する光から特定の波長の光のみを分離するものとして、波長可変フィルタ(Optical Tunable Filter)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1にかかる波長可変フィルタにあっては、板状をなす可動部がその厚さ方向に変位可能となっているとともに支持基板に略平行に設けられ、可動部の支持基板側の面上と、支持基板の可動部側の面(対向面)上とに、それぞれ反射膜が設けられている。
また、支持基板上には、駆動電極が設けられ、駆動電極と可動部との間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせ、可動部を変位させる。可動部の変位により2つの反射膜同士の間隙の距離が可変となっている。そして、この間隙に、複数の波長を有する光が入射すると、干渉作用により、間隙の距離に応じた波長の光のみが外部へ射出される。
このような干渉作用を好適に生じさせるためには、可動部と支持基板との間の距離を正確に設定することが必要となる。そこで、支持基板上に検出電極を設け、検出電極と可動電極との間の静電容量に基づいて、可動部と支持基板との間の距離を検出することが必要となる。
しかし、特許文献1の波長可変フィルタにあっては、支持基板の可動部側の面が平面となっているため、検出電極を駆動電極と同一平面上に設けなければならず、駆動電極と検出電極との間の距離が小さいと、これらの間に生じる結合容量が大きくなって、前記検出を正確に行うことが難しい。
また、仮に、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を小さくするために、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすると、その分、駆動電極の面積を小さくしなければならず、駆動電圧が高くなってしまう。
特開2002−174721号公報
本発明の目的は、駆動電圧の増大を招くことなく、優れた光学特性を有する波長可変フィルタを提供することにある。
本発明の一態様の波長可変フィルタは、可動部を有する第1の基板と、前記第1の基板に対向するように配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記可動部とともに可動である第1の反射膜と、前記第1の反射膜と前記第2の基板との間に配置される第2の反射膜と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記可動部を変位させるための駆動電極と、を含み、前記第2の反射膜と前記第1の基板との間の距離である第1の距離は、前記駆動電極と前記第1の基板との間の距離である第2の距離より小さいことを特徴とする。
また、上記の本発明に係る波長可変フィルタは、基板と、板状をなし、前記基板に対し略平行に間隔を隔てて、その厚さ方向に変位可能に設けられた可動部と、前記可動部の前記基板側の面上に設けられた可動反射膜と、前記基板の前記可動部側の面上に設けられた駆動電極と、前記駆動電極と離間し、前記基板の前記可動部側の面上に設けられた検出電極と、前記基板の前記可動部側の面上に設けられた固定反射膜とを有し、前記基板は、その厚さ方向での位置が異なる2つの設置面を前記可動部側に有し、前記2つの設置面のうち、一方の設置面上に前記駆動電極が設けられ、他方の設置面上に前記検出電極が設けられており、前記検出電極と前記可動部との間の静電容量に基づいて、前記駆動電極と前記可動部の間に電位差を生じさせることにより、これらの間に静電引力を生じさせて、前記可動部を変位させるとともに、前記固定反射膜と前記可動反射膜との間で光反射を繰り返し、干渉を生じさせて、前記固定反射膜と前記可動反射膜との間の距離に応じた波長の光を外部に出射し得るよう構成されていることを特徴とする。
これにより、駆動電極と検出電極とが同一平面上に位置しないため、平面視で駆動電極と検出電極とが近接していても、駆動電極と検出電極との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極と検出電極との間に生じる結合容量を低減して、可動部と検出電極との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部を所望の位置に正確に変位させることができる。したがって、可動反射膜と固定反射膜との間の距離を高精度に制御して、波長可変フィルタの光学特性を優れたものとすることができる。その際、平面視で駆動電極と検出電極とを近接させることが可能であるため、駆動電極の面積の減少による駆動電圧の増大を防止することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板の前記2つの設置面のうち、前記可動部に近い側の設置面上に前記駆動電極が設けられ、前記可動部に遠い側の設置面上に前記検出電極が設けられていることが好ましい。
これにより、駆動電極と可動部との間に生じる静電気力を大きくすることができる。そのため、駆動電圧を低減することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板には、凹部が形成されており、前記検出電極は、前記凹部の底面上に設けられていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、検出電極と駆動電極とを基板の厚さ方向に離間することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記凹部は、第1の凹部と、該第1の凹部の底面に形成された第2の凹部とを有し、前記駆動電極は、前記第2の凹部の外側における前記第1の凹部の底面上に設けられ、前記検出電極は、前記第2の凹部の底面上に設けられていることが好ましい。
これにより、比較的簡単な構成で、検出電極と駆動電極とを離間するとともに、駆動電極と可動部との間に静電気力を生じさせるためのギャップを形成することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記第2の凹部の底面上には、前記検出電極に加えて、前記固定反射膜も設けられていることが好ましい。
これにより、駆動電極と可動部との間の距離に関係なく、第2の凹部の深さに応じた使用可能波長帯域とすることができる。そのため、様々な使用波長帯域の波長可変フィルタを製造しても、駆動電圧を低減することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記固定反射膜および前記可動反射膜のうちの少なくとも一方は、誘電体多層膜で構成されていることが好ましい。
これにより、可動反射膜と固定反射膜との間での光の干渉時における光の損失を防止して、光学特性を向上させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板に対し固定的に設けられた支持部と、前記支持部に対し前記可動部をその厚さ方向に変位可能とするようにこれらを連結する連結部とを有し、前記可動部と前記支持部と前記連結部とが一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、基板に対する可動部の位置をより安定させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動部と前記支持部と前記連結部とは、それぞれ、シリコンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、光学特性および耐久性をより優れたものとすることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板は、ガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、光を基板側から可動反射膜と固定反射膜との間に入射させることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板は、アルカリ金属イオンを含むガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、支持部がシリコンを主材料として構成されている場合に、支持部と基板とを陽極接合により簡単勝つ強固に接合することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動部と前記支持部と前記連結部とは、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものであることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、可動部と支持部と連結部とをより高精度なものとすることができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動部の前記基板側の面上には、絶縁膜が設けられていることが好ましい。
これにより、可動部と駆動電極との接触による短絡を防止することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記可動反射膜は、絶縁性を有し、前記絶縁膜を兼ねていることが好ましい。
これにより、より簡単な構成で、可動部と駆動電極との接触による短絡を防止することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記検出電極は、前記駆動電極よりも前記固定反射膜に近いことが好ましい。
これにより、可動反射膜と固定反射膜との間の距離の変化量に対する可動部と駆動電極との間に生じる静電容量の変化量が比較的大きくなるので、より正確に、可動部の変位を制御することができる。また、比較的簡単に、検出電極の面積よりも駆動電極の面積を大きくして、駆動電圧を低減することができる。
本発明の波長可変フィルタでは、前記基板の厚さ方向における前記検出電極と前記駆動電極との間の距離は、5〜500μmであることが好ましい。
これにより、検出電極と駆動電極との間に生じる結合容量をより確実に防止しつつ、比較的簡単に、波長可変フィルタの光学特性を所望のものとすることができる。
本発明の構造体の実施形態である波長可変フィルタを示す分解斜視図である。 図1に示す波長可変フィルタを示す平面図である。 図2中のA−A線断面図である。 図1に示す波長可変フィルタの製造方法を説明するための図である。 図1に示す波長可変フィルタの製造方法を説明するための図である。 図1に示す波長可変フィルタの製造方法を説明するための図である。 図1に示す波長可変フィルタの製造方法を説明するための図である。示すグラフである。
以下、本発明の波長可変フィルタを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の波長可変フィルタの実施形態を示す分解斜視図、図2は、かかる波長可変フィルタの平面図、図3は、図2のA−A線での断面図である。また、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言い、図2中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左側」と言う。
図1に示すように、波長可変フィルタ1は、例えば、光を受け、干渉作用により、その光の波長のうち特定の波長に対応する光(干渉光)だけを出射させるものである。このような波長可変フィルタ1にあっては、互いに接合された第1の基板2および第2の基板3を有し、これらの間に、光を干渉させるためのギャップを区画形成されている。そして、このギャップに光Lが入射すると、干渉作用により、ギャップの大きさに応じた波長の光だけが射出する。以下、波長可変フィルタ1の各構成を順次詳細に説明する。
第1の基板2は、光透過性および導電性を有し、例えばシリコンで構成されている。そして、第1の基板2は、第1の基板2と第2の基板3との間のギャップを可変とするための可動部21と、支持部22と、可動部21を支持部22に対し上下方向に変位可能とするようにこれらを連結する連結部23とを有している。これらは、第1の基板2に異形状の開口部24が形成されることにより、一体的に形成されている。
可動部21は、板状をなしているとともに、平面視にて、第1の基板2のほぼ中央部に位置し、円形状をなしている。なお、可動部21の形状、大きさ、配置は、図示の形状に特に限定されないのは言うまでもない。
可動部21の厚さ(平均)は、構成材料、用途等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。
また、可動部21には、第2の基板3と対向する側の面(すなわち、可動部21の下面)上に、光を比較的高い反射率で反射させる可動反射膜(HRコート)25が形成され、第2の基板3と対向する側とは反対側の面(すなわち、可動部21の上面)上に、光の反射を抑制する可動反射防止膜(ARコート)26が形成されている。
可動反射膜25は、図3に示すように波長可変フィルタ1の下方から後述の第2のギャップG2に入射した光を、後述する固定反射膜35との間で複数回にわたって反射させるためのものである。可動反射防止膜26は、図3に示すように波長可変フィルタ1の下方から第2のギャップG2に入射した光が第1の基板2の上面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。
可動反射膜(誘電体多層膜)25や可動反射防止膜26は、必要な光学特性を得られるものであれば特に限定されないが、誘電体多層膜で構成されているものが好ましい。すなわち、可動反射膜(誘電体多層膜)25や可動反射防止膜26は、それぞれ、高屈折率層と低屈折率層とが交互に複数積層されてなるものであるのが好ましい。これにより、可動反射膜25と固定反射膜35との間での光の干渉時における光の損失を防止して、光学特性を向上させることができる。
高屈折率層を構成する材料としては、可動反射膜25や可動反射防止膜26に必要な光学特性を得ることができるものであれば、特に限定されないが、可視光領域や赤外光領域で用いる場合には、Ti2O、Ta25、酸化ニオブなどが挙げられ、また、紫外光領域で用いる場合には、Al23、HfO2、ZrO2、ThO2などが挙げられる。本実施形態では、第1の基板2がシリコンで構成されているため、波長可変フィルタ1には赤外光が用いられる。そのため、高屈折率層を構成する材料として、Ti2O、Ta25、酸化ニオブなどが好適に用いられる。
低屈折率層を構成する材料としては、可動反射膜25や可動反射防止膜26に必要な光学特性を得ることができるものであれば、特に限定されないが、例えば、MgF2、SiO2などが挙げられる。特に、低屈折率層の構成材料としては、SiO2を主材料とするものが好適に用いられる。
可動反射膜25および可動反射防止膜26を構成する高屈折率層および低屈折率層の層数、厚さは、必要とする光学特性に応じて設定される。一般に、多層膜により反射膜を構成する場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上であり、多層膜により反射防止膜を構成する場合、その光学特性に必要な層数は4層程度である。
可動反射膜25が絶縁性を有していると、可動部21と駆動電極33との接触による短絡を防止することができる。すなわち、可動部21の第2の基板3側の面上に絶縁膜が設けられていると、可動部21と駆動電極33との接触による短絡を防止することができる。
この場合、可動反射膜25が絶縁膜を兼ねているので、より簡単な構成で、可動部21と駆動電極33との接触による短絡を防止することができる。
このような可動部21を囲むように支持部22が形成され、可動部21は、連結部23を介して支持部22に支持されている。
連結部23は、前述した可動部21の周囲に周方向に等間隔で複数(本実施形態では4つ)設けられている。この連結部23は、弾性(可撓性)を有しており、これにより、可動部21は、第2の基板3に対し略平行に間隔を隔てて、その厚さ方向に(上下に)に変位可能となっている。なお、連結部23の数、位置、形状は、可動部21を支持部22に対し変位可能とするものであれば、前述したものに限定されない。
また、第1の基板2には、後述する引出し電極38に外部からアクセスするための開口部27が設けられている。この開口部27は、波長可変フィルタの製造工程において、第1の基板と第2の基板との間の空間に外部との圧力差が生じるのを防止する圧力開放用開口部としても機能する。
このような第1の基板2にあっては、可動部21と支持部22と連結部23とが一体的に形成されているのが好ましい。これにより、第2の基板3に対する可動部21の位置をより安定させることができる。
その際、可動部21と支持部22と連結部23とは、それぞれ、シリコンを主材料として構成されていると、光学特性および耐久性をより優れたものとすることができる。
このような第1の基板2に対し、支持部22の下面で、第2の基板3が接合されている。
特に、可動部21と支持部22と連結部23とは、SOIウエハの一方のSi層を加工することにより形成されたものであると、比較的簡単に、可動部21と支持部22と連結部23とをより高精度なものとすることができる。
第2の基板3は、光透過性を有しており、第2の基板3には、その一方の面側に、第1の基板2と第2の基板3との間に第1のギャップG1を形成するための第1の凹部31と、第1の凹部31内側で第1の基板2と第2の基板3との間に第2のギャップG2を形成するための第2の凹部32とが形成されている。
このような第2の基板3の構成材料としては、用いる光の波長に関し光透過性を有していれば、特に限定されないが、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等の各種ガラスや、シリコン等が挙げられる。
これらの中でも、第2の基板3の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスが好ましい。これにより、第1の基板2を例えばシリコンで構成した場合に、第1の基板2と第2の基板3とを陽極接合により、簡単かつ強固に接合することができる。
特に、陽極接合により第1の基板2と第2の基板3とを接合する場合には、第1の基板2の熱膨張係数と第2の基板3の熱膨張係数との差は、できるだけ小さいほうが好ましく、具体的には、50×10-7-1以下であるのが好ましい。
これにより、陽極接合時に第1の基板2および第2の基板3が高温下にさらされても、第1の基板2と第2の基板3との間に生じる応力を低減して、第1の基板2または第2の基板3の損傷を防止することができる。
したがって、第2の基板3の構成材料としては、ソーダガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用いるのが好ましく、例えば、コーニング社製のパイレックス(登録商標)ガラス等が好適に用いられる。
また、第2の基板3の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、10〜2000μm程度であるのが好ましく、100〜1000μm程度であるのがより好ましい。
第1の凹部31は、その外形が円形をなしており、前述した可動部21と連結部23と開口部24とに対応する位置に配置されている。また、第1の凹部31の底面上には、可動部21の外周部に対応する位置で、円環状の駆動電極33、絶縁膜34がこの順で積層されている。すなわち、第2の基板3の可動部21側の設置面上に、駆動電極33が設けられている。
駆動電極33は、図示しない通電回路に接続されており、駆動電極33と可動部21との間に電位差を生じさせることが可能となっている。この通電回路には、後述する検出回路(図示せず)の検出結果に基づき通電回路の駆動を制御するための制御手段(図示せず)が接続されている。
駆動電極33の構成材料としては、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
このような駆動電極33の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であるのが好ましい。
絶縁膜34は、可動部21と駆動電極33との接触による短絡を防止する機能を有するものである。
このような第1の凹部31内の空間内に、可動部21の駆動のための静電ギャップ(駆動ギャップ)として、第1のギャップG1が形成される。すなわち、可動部21と駆動電極33との間に、第1のギャップG1が形成される。
第1のギャップG1の大きさ(すなわち、可動部21と駆動電極33との間の距離)は、用途などに応じて適宜選択され、特に限定されないが、0.5〜20μm程度であるのが好ましい。
第2の凹部32は、その外形が円形をなし、前述した第1の凹部31とほぼ同心でかつ第1の凹部31および可動部21の外径よりも小さい外径を有している。また、第2の凹部32の底面(第2の基板3の可動部21側の面)上には、その中央部に、ほぼ円形をなす固定反射膜35が設けられている。また、この固定反射膜35を囲むように、第2の凹部32の底面(設置面)上には、円環状の検出電極40が設けられている。
固定反射膜35は、前述したように、図3に示すように波長可変フィルタ1の下方から第2のギャップG2に入射した光を、可動反射膜25との間で複数回にわたって反射させるためのものである。すなわち、この固定反射膜35は、前述した可動反射膜25と協働して、第2のギャップG2の大きさ(すなわち、固定反射膜35と可動反射膜25との間の距離)に対応する波長の光を干渉させることができる。この第2のギャップG2の大きさは、前述した第1のギャップG1の大きさよりも大きい。
第2のギャップG2の大きさは、用途などに応じて適宜選択され、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましい。
検出電極40は、駆動電極33と離間し、第2の基板3の可動部21側の面に設けられている。そして、検出電極40と可動部21とには、これらの間の静電容量を検出する検出回路(図示せず)が接続されている。この検出回路の検出信号(検出結果)に基づき、前述した制御手段(図示せず)が通電回路(図示せず)の駆動を制御する。
前述したように、第2の基板3は、その厚さ方向での位置が異なる2つの設置面(第1の凹部31の底面と第2の凹部32の底面)を可動部21側に有している。そして、その2つの設置面のうち、一方の設置面(第1の凹部31の底面)上に駆動電極33が設けられ、他方の設置面(第2の凹部32の底面)上に検出電極40が設けられている。これにより、駆動電極33と検出電極40とを上下にずらして配置されている。
このように駆動電極33と検出電極40とが配置されていると、駆動電極33と検出電極40とが同一平面上に位置しないため、平面視で駆動電極33と検出電極40とが近接していても、駆動電極33と検出電極40との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極33と検出電極40との間に生じる結合容量を低減して、可動部21と検出電極40との間の静電容量を高精度に検出しすることができる。また、平面視で駆動電極33と検出電極40とを近接させることが可能であるため、駆動電極33の面積の減少による駆動電圧の増大を防止することができる。
特に、本実施形態では、第2の基板3の前記2つの設置面のうち、可動部21に近い側の設置面(第1の凹部31の底面)上に駆動電極33が設けられ、可動部21に遠い側の設置面(第2の凹部32の底面)上に検出電極40が設けられているので、駆動電極33と可動部21との間に生じる静電気力を大きくすることができる。そのため、駆動電圧を低減することができる。
また、第2の基板3に形成された凹部(第1の凹部31および第2の凹部32)の底面上に検出電極40が設けられているので、比較的簡単な構成で、検出電極40と駆動電極33とを第2の基板3の厚さ方向に離間することができる。
また、駆動電極33が、第2の凹部32の外側における第1の凹部31の底面上に設けられ、検出電極40は、第2の凹部32の底面上に設けられているので、比較的簡単な構成で、検出電極40と駆動電極33とを離間するとともに、駆動電極33と可動部21との間に静電気力を生じさせるためのギャップを形成することができる。
また、第2の凹部32の底面上には、検出電極40に加えて、固定反射膜35も設けられているので、駆動電極33と可動部21との間の距離に関係なく、第2の凹部32の深さに応じた使用可能波長帯域とすることができる。そのため、様々な使用波長帯域の波長可変フィルタ1を製造しても、駆動電圧を低減することができる。
また、検出電極40が駆動電極33よりも固定反射膜35に近いので、可動反射膜25と固定反射膜35との間の距離の変化量に対する可動部21と検出電極40との間に生じる静電容量の変化量が比較的大きくなる。その結果、より正確に、可動部21の変位を制御することができる。また、比較的簡単に、検出電極40の面積よりも駆動電極33の面積を大きくして、駆動電圧を低減することができる。
また、第2の基板3の厚さ方向における検出電極40と駆動電極33との間の距離Dは、1〜1000μmであるのが好ましく、5〜500μmであるのがより好ましい。これにより、検出電極40と駆動電極33との間に生じる結合容量をより確実に低減しつつ、比較的簡単に、波長可変フィルタ1の光学特性を所望のものとすることができる。
これに対し、前記距離が前記下限値未満であると、第2の基板3の構成材料などによっては、検出電極40と駆動電極33との間に生じる結合容量の低減を十分に低減することができない場合がある。一方、前記距離が前記上限値を超えると、検出電極40と可動部21との間に発生する静電容量が小さくなるために、その検出が難しくなる。
検出電極40の構成材料としては、前述した駆動電極33の構成材料と同様のものを用いることができ、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
なお、波長可変フィルタの光学特性を損ねない条件であれば、検出電極を第2の凹部32の底面のほぼ全域に設け、その上に固定反射膜35を設けることができる。これにより、検出電極の面積を大きくして、可動部21と検出電極との間の静電容量の検出精度を向上させることができる。また、固定反射膜の構成材料を導電性材料で構成することにより、固定反射膜を第2の凹部32の底面のほぼ全域に設け、可動反射膜が検出電極を兼ねるようにすることができる。これによっても、検出電極の面積を大きくして、可動部21と検出電極との間の静電容量の検出精度を向上させることができる。
また、第2の基板3には、前述した駆動電極33を外部に引き出すために、第3の凹部37と、第3の凹部37と第1の凹部31とを連通させる溝部36とが形成されている。
溝部36および第3の凹部37は、その深さが第1の凹部31の深さとほぼ同等となっており、これらの底面上には、駆動電極33に接続される引出し電極38が設けられている。
引出し電極38の構成材料としては、前述した駆動電極33の構成材料と同様のものを用いることができ、導電性を有しているものであれば、特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボンやチタンなどを分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が挙げられる。
また、引出し電極38の厚さ(平均)は、構成材料、用途等により適宜選択され、特に限定されないが、0.1〜5μm程度であるのが好ましい。そして、引出し電極38は、前述した駆動電極33と一体的に形成されているのが好ましい。
また、第2の基板3の他方の面(すなわち、前述した第1の凹部31等が形成されている面とは反対側の面)上には、固定反射防止膜39が形成されている。
固定反射防止膜39は、図3に示すように波長可変フィルタ1の下方から第2のギャップG2に向け照射された光が第2の基板3の下面と外気との界面で図中下方に反射されるのを防止するためのものである。なお、可動反射膜25や可動反射防止膜26の構成は、前述した固定反射膜35や固定反射防止膜39の構成と同様である。
このような構成を有する波長可変フィルタ1の動作(作用)を説明する。
図示しない通電回路により可動部21と駆動電極33との間に電圧が印加されると、可動部21と駆動電極33とが互いに逆極性に帯電して、両者の間にクーロン力(静電引力)が発生する。このとき、図示しない検出回路が、検出電極40と可動部21との間の静電容量を検出し、その検出信号(検出結果)に基づき、図示しない制御手段が通電回路の駆動を制御する。
このクーロン力によって、可動部21は、駆動電極33に向け下方向に移動(変位)し、連結部24の弾性力とクーロン力が釣り合う位置で静止する。これにより、第1のギャップG1および第2のギャップG2の大きさが変化する。
一方、図3に示すように、波長可変フィルタ1の下方から第2のギャップG2に向け光Lが照射されると、光Lは、固定反射防止膜39、第2の基板3、固定反射膜35を透過して、第2のギャップG2に入射する。このとき、この光Lは、固定反射防止膜39により、ほとんど損失せずに第2のギャップG2に入射する。
入射した光は、可動反射膜25と固定反射膜35との間において、反射を繰り返す(干渉する)。この際、可動反射膜25および固定反射膜35により、光Lの損失を抑えることができる。
前述したように可動反射膜25と固定反射膜35との間で光が反射を繰り返す過程において、可動反射膜25と固定反射膜35との間の第2のギャップG2の大きさに対応する干渉条件を満たさない波長の光は急激に減衰し、この干渉条件を満たした波長の光だけが残って最終的に波長可変フィルタ1から出射する。したがって、可動部21と駆動電極33との間に印加される電圧を変更することにより、第2のギャップG2を変更(すなわち干渉条件を変更)すれば、可変波長フィルタ1を透過する光の波長を変更することができる。
前記光Lの干渉の結果、第2のギャップG1の大きさに対応した波長の光(干渉光)は、可動反射膜25、可動部21、可動反射防止膜26を透過し、波長可変フィルタ1の上方へ出射する。このとき、可動部21の上面に可動反射防止膜26が形成されているため、ほとんど損失せずに波長可変フィルタ1の外部へ出射する。
なお、本実施形態では、第2のギャップG2に入射した光を波長可変フィルタ1の上方へ出射したが、第2のギャップG2に入射した光を波長可変フィルタ1の下方へ出射してもよい。
また、本実施形態では、波長可変フィルタ1に対し、その下方から光を入射したが、上方から光を入射してもよい。
以上説明したような波長可変フィルタ1にあっては、第2の基板3がその厚さ方向での位置が異なる2つの設置面を可動部21側に有し、その2つの設置面のうち、一方の設置面上に駆動電極33が設けられ、他方の設置面上に検出電極40が設けられている。すなわち、駆動電極33と検出電極40とが上下にずれて配置されている。
これにより、駆動電極33と検出電極40とが同一平面上に位置しないため、平面視で駆動電極33と検出電極40とが近接していても、駆動電極33と検出電極40との間の距離を大きくすることができる。その結果、駆動電極33と検出電極40との間に生じる結合容量を低減して、可動部21と検出電極40との間の静電容量を高精度に検出し、その検出結果に基づいて、可動部21を所望の位置を正確に変位させることができる。したがって、可動反射膜25と固定反射膜35との間の距離を高精度に制御して、波長可変フィルタ1の光学特性を優れたものとすることができる。その際、平面視で駆動電極33と検出電極40とを近接させることが可能であるため、駆動電極33の面積の減少による駆動電圧の増大を防止することができる。
<波長可変フィルタの製造方法>
次に、波長可変フィルタ1の製造方法の一例を図4ないし図7に基づいて説明する。
図4〜図7は、波長可変フィルタ1の製造工程を説明するための図である。なお、図4〜図7は、図2のA−A線断面に対応する断面を示している。
本実施形態の波長可変フィルタ1の製造方法は、[A]第2の基板3を製造する工程と、[B]SOI基板を第2の基板3に接合する工程と、[C]SOI基板を加工して第1の基板2を製造する工程とを有する。以下、各工程について順次説明する。
[A]第2の基板3の製造
−A1−
まず、第2の基板3を形成するための基板として、図4(a)に示すように、光透過性を有する基板4を用意する。
基板4としては、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。基板4の構成材料としては、第2の基板3の説明で述べたものを用いることができる。前述したように、基板4の構成材料としては、例えばナトリウム(Na)やカリウム(K)のようなアルカリ金属(可動イオン)を含有したガラスを用いるのが好ましい。したがって、以下の説明では、基板4の構成材料として、アルカリ金属を含有したガラスを用いた場合について説明する。
−A2−
次に、図4(b)に示すように、基板4の一方の面上にマスク層5を形成(マスキング)する。
マスク層5を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Tiなどの金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン等が挙げられる。マスク層5の構成材料にシリコンを用いると、マスク層5と基板4との密着性が向上する。マスク層5の構成材料に金属を用いると、形成されるマスク層5の視認性が向上する。
マスク層5の厚さは、特に限定されないが、0.01〜1μm程度とすることが好ましく、0.09〜0.11μm程度とすることがより好ましい。マスク層5が薄すぎると、基板4を十分に保護できない場合があり、マスク層5が厚すぎると、マスク層5の内部応力によりマスク層5が剥がれ易くなる場合がある。
マスク層5は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキ法等により形成することができる。
−A3−
次に、図4(c)に示すように、マスク層5に、第1の凹部31と溝部36と第3の凹部37との平面視形状に対応した平面視形状をなす開口51を形成する。
より具体的には、まず、例えばフォトリソグラフィ法を用い、マスク層5上に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行って、開口51に対応する開口を有するレジストマスクを形成する。次に、このレジストマスク介してマスク層5をエッチングして、マスク層5の一部を除去した後、レジストマスクを除去する。このようにして、マスク層5に開口51が形成される。このエッチングとしては、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等によるウェットエッチングを用いることができる。
−A4−
次に、マスク層5を介して基板4の一方の面をエッチングして、図4(d)に示すように、第1の凹部31と溝部36と第3の凹部37とを形成する。
このエッチングとしては、ドライエッチング法、ウェットエッチング法を用いることができるが、ウェットエッチング法を用いるのが好ましい。これにより、形成される第1の凹部31をより理想的な円柱状とすることができる。この場合、ウェットエッチングのエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。また、エッチング液にグリセリン等のアルコール(特に多価アルコール)を添加すると、形成される第1の凹部31の底面を極めて滑らかなものとすることができる。
−A5−
次に、マスク層5を除去した後に、前述した工程A2およびA3と同様の方法を用いて、図4(e)に示すように、第2の凹部32の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層6を形成する。
マスク層5の除去方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ水溶液(例えばテトラメチル水酸化アンモニウム水溶液等)、塩酸+硝酸水溶液、フッ酸+硝酸水溶液等によるウェットエッチング、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチングなどを用いることができる。
特に、マスク層5の除去方法としてウエットエッチングを用いると、簡易な操作で、効率よく、マスク層5を除去することができる。
−A6−
次に、前述した工程A4と同様の方法を用いて、マスク層6を介して基板4をエッチングして、図4(f)に示すように、第2の凹部32を形成した後、固定反射膜35の平面視形状に対応した平面視形状の開口を有するマスク層6Aを形成する。なお、マスク層6Aの形成は、マスク層6を除去した後に行ってもよいし、マスク層6を除去せずに行ってもよい。
−A7−
次に、図5(a)に示すように、マスク層6Aを用いて、第2の凹部32の底面上に、固定反射膜35を形成する。
より具体的には、第2の凹部32の底面上に、前述したような高屈折率層と低屈折層とを交互に積層することにより、固定反射膜35を形成する。
高屈折率層および低屈折率層の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
−A8−
次に、前述した工程−A5−と同様の方法を用いて、図5(b)に示すように、マスク層6Aを除去する。
−A9−
次に、図5(c)に示すように、基板4の第1の凹部31等が形成された側の面上に一様に、駆動電極33および引出し電極38を形成するための導電層7を形成する。
導電層7の形成方法としては、例えば、化学的気相成長法(CVD)、物理的化学気相成長法(PVD)が好適に用いられる。
また、導電層7の構成材料は、前述した駆動電極33の構成材料を用いることができる。
−A10−
次に、図5(d)に示すように、導電層7の不要部分を除去して、駆動電極33および検出電極40を形成するとともに、駆動電極33上に絶縁膜34を形成する。さらに、基板4の第1の凹部31等が形成された側と反対側の面上に、固定反射防止膜39を形成する。
導電層7の不要部分を除去する方法としては、前述した工程A3と同様の方法を用いることができる。
また、駆動電極33の形成方法としては、前述したマスク層5の形成方法と同様のものを用いることができる。
固定反射防止膜39の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
以上のようにして、第2の基板3を製造することができる。
[B]SOI基板と第2の基板3との接合
−B1−
まず、図6(a)に示すように、SOI(Silicon on Insulator)基板8を用意する。
このSOI基板8は、Siで構成されたベース層81、SiO2で構成された絶縁層82、Siで構成された活性層83の順でこれら3層が積層されてなるものである。なお、SOI基板8に代えて、SOS(Silicon on Sapphire)基板、シリコン基板等を用いることもできる。
SOI基板8の厚さは、特に限定されないが、特に活性層83の厚さが10〜100μm程度であるのが好ましい。
−B2−
次に、SOI基板8と第2の基板3との接合に先立ち、図6(b)に示すように、SOI基板8の活性層83側の面上に、可動反射膜25を形成する。
可動反射膜25の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
−B3−
次に、図6(c)に示すように、SOI基板8と第2の基板3とを接合する。
SOI基板8と第2の基板3との接合方法としては、例えば、陽極接合、接着剤による接合、表面活性化接合、低融点ガラスを用いた接合等を用いることができるが、陽極接合を用いるのが好ましい。
SOI基板8と第2の基板3との接合方法として陽極接合を用いる場合には、例えば、まず、図示しない直流電源のマイナス端子を第2の基板3に、プラス端子をSOI基板8の活性層83に接続する。そして、第2の基板3を加熱しながら、第2の基板3とSOI基板8の活性層83との間に電圧を印加する。この加熱により、第2の基板3のアルカリ金属のプラスイオン、例えば、ナトリウムイオン(Na+)が移動しやすくなる。これにより、第2の基板3と活性層83との接合面のうち、第2の基板3側の接合面がマイナス、活性層83側の接合面がプラスに相対的に帯電する。その結果、シリコン(Si)と酸素(O)とが電子対を共有する共有結合により、第2の基板3と活性層83とは強固に接合される。
[C]第1の基板2の製造
−C1−
次に、図7(a)に示すように、エッチングや研磨を行ってベース層81を除去する。
このエッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができるが、ドライエッチングを用いるのが好ましい。いずれの場合も、ベース層81の除去のとき、絶縁層82がストッパーとなるが、ドライエッチングは、エッチング液を用いないので、駆動電極33に対向している活性層83の損傷を好適に防ぐことができる。これにより、波長可変フィルタ1の製造時における歩留まりの向上を図ることができる。
−C2−
次に、図7(b)に示すように、エッチングを行って絶縁層82を除去する。
このエッチング方法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチングを用いることができるが、フッ酸を含むエッチング液によるウェットエッチングを用いるのが好ましい。これにより、絶縁層82を簡単に除去することができるとともに、絶縁層82の除去により露出する活性層83の面を極めて平滑にすることができる。
なお、前述した工程B1にて、SOI基板8に代えて、以降の工程を行うのに最適な厚さをすでに有しているシリコン基板を用いた場合には、工程C1、C1は行わなくてもよい。これにより、波長可変フィルタ1の製造工程を簡略化することができる。
−C3−
次に、図7(c)に示すように、活性層83の上面に、可動反射防止膜26を形成する。
可動反射防止膜26の形成方法としては、前述した固定反射膜35の形成方法と同様のものを用いることができる。
−C4−
次に、図7(d)に示すように、開口部24および開口部27に対応する開口を有するレジスト層9を形成する。
レジスト層9の形成方法としては、前述した工程A2、A3と同様の方法を用いることができる。
−C5−
次に、レジスト層9を介して、ドライエッチング法、特にICPエッチングにより、活性層83をエッチングして、図7(e)に示すように、開口部27を形成した後に、図7(f)に示すように、開口部24を形成する。これにより、可動部21と支持部22と連結部23とが形成される。
より具体的には、レジスト層9を介して活性層83をドライエッチングすると、マイクロローディング効果によって開口部27でのエッチング速度に比べて開口部24の各開口領域でのエッチング速度が遅くなるので、図7(e)に示すように、開口部24の形成よりも先に開口部27の形成が完了する。このとき、溝部36を介して第1の凹部31に連通する第3の凹部37の上方に開口部27が形成されるので、活性層83と第2の基板3との間の空間が外部に開放され、当該空間と外部との圧力差が解消される。
ここで、マイクロローディング効果とは、開口寸法が小さくなるに従ってエッチング速度が低下する現象である。したがって、開口部27として、開口部24の各開口領域でのエッチング速度よりもエッチング速度が速くなるような寸法のものを採用する。本実施形態では、開口部27の形状を、図1に示すように、開口部24の各開口領域の短手方向の開口幅よりも幅広な寸法を一辺の長さとした正方形状としている。なお、開口部27の寸法および形状としては、開口部27でのエッチング速度が開口部24の各開口領域でのエッチング速度よりも速くなるものであれば、前述したものに限定されず、任意の構成を採用することができる。
このようにマイクロローディング効果を利用すると、開口部27を形成するためのエッチング工程を別途設けなくても、開口部24および開口部27を同一のエッチング工程により形成しつつ、開口部27、開口部24の順にこれらを形成することができ、製造工程の簡略化を図ることができる。
開口部27が形成された後、更にドライエッチングを継続すると、図7(f)に示すように開口部24が貫通形成されて、可動部21と支持部22と連結部23との形成が完成する。
このとき、前述したように、活性層83に可動部21を形成する前(すなわち、開口部24を形成する前)にあらかじめ、活性層83と第2の基板3との間の空間と、外部との圧力差が解消されているので、開口部24の形成に伴って連結部23が破損するのを防止することができる。
特に、本工程では、ICPエッチングを行う。すなわち、エッチング用ガスによるエッチングと、デポジッション用ガスによる保護膜の形成とを、交互に繰り返し行って、可動部21を形成する。
前記エッチング用ガスとしては、例えば、SF6等が挙げられ、また、前記デポジッション用ガスとしては、例えば、C48等が挙げられる。
本工程において、ドライエッチング技術を使用して異方性エッチングを行うのは、以下に示す理由による。
ウェットエッチング技術を使用した場合、エッチングが進むに従ってエッチング液が活性層83に形成された孔から、活性層83と第2の基板3との間に侵入し、駆動電極33や絶縁膜34を除去してしまうおそれがある。これに対し、ドライエッチング技術を使用した場合はそのような危険性がない。
また、等方性エッチングを使用した場合には、活性層83が等方的にエッチングされ、サイドエッチングが生じる。特に、連結部23に対しサイドエッチングが生じると、連結部23の強度が弱くなり、耐久性が劣化してしまう。これに対し、異方性エッチングを使用した場合には、サイドエッチングが生じないので、エッチング寸法の制御に優れており、連結部23の側面も活性層83の板面に対し垂直に形成され、連結部23の強度の向上を図ることができる。
なお、本発明では、本工程において、前記と異なるドライエッチング法を用いて可動部21と支持部22と連結部23とを形成してもよく、また、ドライエッチング法以外の方法を用いて可動部21と支持部22と連結部23とを形成してもよい。
−C6−
その後、レジスト層9を除去して、図7(g)に示すように、波長可変フィルタ1が得られる。
以上、本発明の波長可変フィルタを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
例えば、前述した実施形態では、駆動電極33のほうが検出電極40よりも可動部21に近くなっていたが、検出電極のほうが駆動電極よりも可動部21に近くなるように構成されていてもよい。
また、前述した実施形態では、基板(第2の基板3)に形成された凹部の底面を検出電極および駆動電極の設置面としたが、検出電極および/または駆動電極の設置面は、基板の厚さ方向での位置が異なるものであれば、これに限定されず、基板に形成された凸部の上面等であってもよい。
また、前述した実施形態では第1の凹部31により第1のギャップG1を形成したが、第1の凹部31を形成せずに、第2の基板3と第1の基板2との間にスペーサを設けることにより、第1のギャップG1を形成してもよい。
1……波長可変フィルタ 2……第1の基板 21……可動部 22……支持部 23……連結部 24……開口部 25……可動反射膜 26……可動反射防止膜 27……開口部 3……第2の基板 31……第1の凹部 32……第2の凹部 33……駆動電極 34……絶縁膜 35……固定反射膜 36……溝部 37……第3の凹部 38……引出し電極 39……固定反射防止膜 40……検出電極 4……基板(第2の基板) 5、6、6A……マスク層 51……開口 7……導電層 8……SOI基板 81……ベース層 82……絶縁層 83……活性層(第1の基板) 9……レジスト層 G1……第1のギャップ G2……第2のギャップ L……光。

Claims (5)

  1. 可動部を有する第1の基板と、
    前記第1の基板に対向するように配置される第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記可動部とともに可動である第1の反射膜と、
    前記第1の反射膜と前記第2の基板との間に配置される第2の反射膜と、
    前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置され、前記可動部を変位させるための駆動電極と、
    を含み、
    前記第2の反射膜と前記第1の基板との間の距離である第1の距離は、前記駆動電極と前記第1の基板との間の距離である第2の距離より小さく、
    前記第2の基板は凸部及び前記凸部を囲む部分を有し、
    前記第1の基板の側から前記第2の基板の側を見たとき、前記第2の反射膜は、前記凸部に重なるように配置され、前記駆動電極は、前記凸部を囲む部分に重なるように配置され、
    前記第2の反射膜は、導電性であることを特徴とする波長可変フィルタ。
  2. 前記第1の反射膜は前記第1の基板に接するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の波長可変フィルタ。
  3. 前記第2の反射膜及び前記駆動電極は、前記第2の基板に接するように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の波長可変フィルタ。
  4. 前記第2の基板は、第1辺と、前記第1辺に交差する第2辺と、を有し、
    前記駆動電極は、前記第1辺と前記第2辺とが交差する位置に向かうように引き出さることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
  5. 前記可動部の、前記第1の反射膜の側の反対側に配置される可動反射防止膜をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の波長可変フィルタ。
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