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JP2012241099A - 共役系重合体、これを用いた電子供与性有機材料、光起電力素子用材料および光起電力素子 - Google Patents

共役系重合体、これを用いた電子供与性有機材料、光起電力素子用材料および光起電力素子 Download PDF

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JP2012241099A JP2011112217A JP2011112217A JP2012241099A JP 2012241099 A JP2012241099 A JP 2012241099A JP 2011112217 A JP2011112217 A JP 2011112217A JP 2011112217 A JP2011112217 A JP 2011112217A JP 2012241099 A JP2012241099 A JP 2012241099A
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electron
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photovoltaic element
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Daisuke Kitazawa
大輔 北澤
Nobuhiro Watanabe
伸博 渡辺
Shuhei Yamamoto
修平 山本
Jun Tsukamoto
遵 塚本
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

【課題】光電変換効率の高い光起電力素子を提供すること。
【解決手段】特定の構造を有する共役系重合体を含む光起電力素子用材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、共役系重合体、これを用いた電子供与性有機材料、光起電力素子用材料および光起電力素子に関する。
太陽電池は環境に優しい電気エネルギー源として、現在深刻さを増すエネルギー問題に対して有力なエネルギー源と注目されている。現在、太陽電池の光起電力素子の半導体素材としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの無機物が使用されている。しかし、無機半導体を用いて製造される太陽電池は、火力発電や原子力発電などの発電方式と比べてコストが高いために、一般家庭に広く普及するには至っていない。コスト高の要因は主として、真空かつ高温下で半導体薄膜を製造するプロセスにある。そこで、製造プロセスの簡略化が期待される半導体素材として、共役系重合体や有機結晶などの有機半導体や有機色素を用いた有機太陽電池が検討されている。
しかし、共役系重合体などを用いた有機太陽電池は、従来の無機半導体を用いた太陽電池と比べて光電変換効率が低いことが最大の課題であり、まだ実用化には至っていない。従来の共役系重合体を用いた有機太陽電池の光電変換効率が低いのは、主として、太陽光の吸収効率が低いことや、太陽光によって生成された電子と正孔が分離しにくいエキシトンという束縛状態が形成されることと、キャリア(電子、正孔)を捕獲するトラップが形成されやすいため生成したキャリアがトラップに捕獲されやすく、キャリアの移動度が遅いことなどによる。
これまでの有機半導体による光電変換素子は、現在のところ一般的に次のような素子構成に分類することができる。電子供与性有機材料(p型有機半導体)と仕事関数の小さい金属を接合させるショットキー型、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を接合させるヘテロ接合型などである。これらの素子は、接合部の有機層(数分子層程度)のみが光電流生成に寄与するため光電変換効率が低く、その向上が課題となっている。
光電変換効率向上の一つの方法として、電子受容性有機材料(n型有機半導体)と電子供与性有機材料(p型有機半導体)を混合し、光電変換に寄与する接合面を増加させたバルクヘテロ接合型(例えば、非特許文献1参照)がある。なかでも、電子供与性有機材料(p型有機半導体)として共役系重合体を用い、電子受容性有機材料としてn型の半導体特性をもつ導電性高分子のほかPCBMなどのC60誘導体を用いた光電変換材料が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
また、太陽光スペクトルの広い範囲にわたる放射エネルギーを効率よく吸収させるために、主鎖に電子供与性基と電子吸引性基を導入し、バンドギャップを狭めた有機半導体による光電変換材料が報告されている(例えば、非特許文献3〜6参照)。しかしながら、十分な光電変換効率は得られていなかった。
J.J.M.Halls、C.A.Walsh、N.C.Greenham、E.A.Marseglla、R.H.Frirnd、S.C.Moratti、A.B.Homes著、「ネイチャー(Nature)」、1995年、376号、498頁 G.Yu、J.Gao、J.C.Hummelen、F.Wudl、A.J.Heeger著、「サイエンス(Science)」、1995年、270巻、1789頁 E.Bundgaard、F.C.Krebs著、「ソーラー エナジー マテリアルズ アンド ソーラー セル(Solar Energy Materials & Solar Cells)」、2007年、91巻、954頁 S.Xiao、A.C.Stuart、S.Liu,W.You著、「エーシーエス アプライド マテリアルズ アンド インターフェイシズ(ACS Applied Materials & Interfaces)」、2009年、1巻、1613頁 L.Huo、J.Hou、H.Chen,S.Zhang,Y.Jiang,T.L.Chen,Y.Yang著、「マクロモレキュルズ(Macromolecules)」、2009年、42巻、6564頁 H.Zhou、L.Yang、S.Xiao,S.Liu,W.You著、「マクロモレキュルズ(Macromolecules)」、2010年、43巻、811頁
上述のように、従来の有機太陽電池はいずれも光電変換効率が低いことが課題であった。本発明は光電変換効率の高い光起電力素子を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体、これを用いた電子供与性有機材料、光起電力素子用材料および光起電力素子である。
Figure 2012241099
(R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素、重水素、アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンの中から選ばれる。R、Rは同じでも異なっていてもよく、炭素数が6個以上のアルキル基である。nは5以上1000以下の範囲を表す。Aは下記一般式(2)のいずれかで表される構造の中から選ばれる。)
Figure 2012241099
(R〜R23は同じでも異なっていてもよく、水素、重水素、アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンの中から選ばれる。)
本発明によれば、光電変換効率の高い光起電力素子を提供することができる。
本発明の光起電力素子の一態様を示した模式図。 本発明の光起電力素子の別の態様を示した模式図。
本発明の共役系重合体は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
Figure 2012241099
上記一般式(1)中、R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素、重水素、アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンの中から選ばれる。R、Rは同じでも異なっていてもよく、炭素数が6個以上のアルキル基である。nは5以上1000以下の範囲を表す。Aは下記一般式(2)のいずれかで表される構造の中から選ばれる。
Figure 2012241099
ここでアルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような飽和脂肪族炭化水素基であり、直鎖状であっても分岐状であっても環状であってもよく、無置換でも置換されていてもかまわない。耐熱性の観点から、アルキル基の炭素数は30個以下が好ましく、20個以下がさらに好ましい。置換される場合の置換基の例としては、下記アルコキシ基、エステル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンが挙げられる。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。耐熱性の観点から、アルコキシ基の炭素数は30個以下が好ましく、20個以下がさらに好ましい。置換される場合の置換基の例としては、下記アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンが挙げられる。
また、エステル基とは、例えば、メチルエステル基、エチルエステル基、ブチルエステル基、フェニルエステル基などのエステル結合を介した脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基を示す。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、ターフェニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ペリレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は、加工性の観点から6個以上30個以下が好ましい。置換される場合の置換基の例としては、上記アルキル基、アルコキシ基、下記ヘテロアリール基、ハロゲンが挙げられる。
また、ヘテロアリール基とは、例えば、チエニル基、チエノチエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリニル基、イソキノリル基、キノキサリル基、アクリジニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾジチオフェン基、シロール基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基などの炭素以外の原子を有する複素芳香環基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換される場合の置換基の例としては、上記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、下記ハロゲンが挙げられる。
また、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかである。また、nは重合度を示し、5以上1000以下の範囲である。重合度は重量平均分子量から求めることができる。重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定し、ポリスチレンの標準試料に換算して求めることができる。
一般式(1)で表される共役系重合体は、光吸収特性やホール輸送能に優れるため、光起電力素子における電子供与性有機材料として好ましく用いることができる。
光起電力素子の光電変換効率を高める手法として、電子受容性有機材料と電子供与性有機材料を混合することにより光電変換に寄与する接合面を増加させる、バルクヘテロ接合型光起電力素子が知られている。バルクヘテロ接合型光起電力素子では、電子とホールの通り道(キャリアパス)を形成するために、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料は、完全には相溶せずにナノレベルで相分離していることが好ましい。
また、光起電力素子の光電変換効率は電子供与性有機材料の配向状態に大きく依存する。電子供与性有機材料のπ平面が光起電力素子基板に対して平行に配向していると、入射光を効率よく吸収できると同時に電子とホールを効率よく移動させることが可能となる。
本発明における一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体は、上記のナノレベル相分離形成と理想的な配向状態の形成の両立を可能にするものである。一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体の主鎖構造は、R〜Rを有するベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン骨格と、一般式(2)で表される2価の連結基を有する。
1つ目の構成要素であるベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン骨格は、平面性が高いためπ−πスタッキングによる凝集を起こしやすく、上述のバルクヘテロ接合に適した相分離構造を形成しやすいと考えられる。さらに、RおよびRの位置に炭素数が6個以上のアルキル基を導入することにより、溶解性を確保しつつ、上述のナノレベル相分離形成と理想的な配向状態の形成を実現させることが可能となる。
ここで、RおよびRの位置に炭素数が6個以上のアルキル基を導入するとは、ジチオフェン骨格に直接結合させることであり、非特許文献4に記載のポリマー(比較例1)や非特許文献6に記載のポリマー(比較例3)のように、チオフェン骨格を介して炭素数が6個以上のアルキル基を導入しても、上記効果は得がたいものである。
2つ目の構成要素である一般式(2)で表される2価の連結基は電子吸引性骨格であり、バンドギャップを狭めて長波長側の光を効率よく吸収させることを可能とするものである。この一般式(2)で表される2価の連結基は、1つ目の構成要素であるベンゾ[2,1−b:3,4−b’]ジチオフェン骨格と直接結合させることにより、上述のナノレベル相分離形成と理想的な配向状態の形成を維持させることができる。
ここで、非特許文献5に記載のポリマー(比較例2)や非特許文献6に記載のポリマー(比較例3)は、ジケトピロロピロールとベンゾチオフェンあるいはベンゾチアジアゾールとベンゾチオフェンがチオフェンを介して結合されており、直接結合させていないので、上記効果は得がたいものである。
上記の一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体として、下記のような構造が挙げられる。なお、下記構造において、nは5以上1000以下の範囲である。
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
Figure 2012241099
なお、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体は、例えば、前記非特許文献4〜6に記載されている方法に類似した手法により合成することができる。
本発明の電子供与性有機材料は、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体のみからなるものでもよいし、他の電子供与性有機材料を含んでもよい。他の電子供与性有機材料としては、例えばポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体などの共役系重合体や、Hフタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体はp型半導体特性を示すため、光起電力素子用材料としてより高い光電変換効率を得るためには電子受容性有機材料(n型有機半導体)と組み合わせることが好ましい。
本発明で用いる電子受容性有機材料とは、n型半導体特性を示す有機材料であり、例えば1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンズイミダゾール(PTCBI)、N,N'−ジオクチル−3,4,9,10−ナフチルテトラカルボキシジイミド(PTCDI−C8H)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2,5−ジ(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)等のオキサゾール誘導体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン化合物(C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94を始めとする無置換のものがあげられる。
また、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([6,6]−PCBM)、[5,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドメチルエステル([5,6]−PCBM)、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドヘキシルエステル([6,6]−PCBH)、[6,6]−フェニル C61 ブチリックアシッドドデシルエステル([6,6]−PCBD)、フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル(PC70BM)、フェニル C85 ブチリックアシッドメチルエステル(PC84BM)など)、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体にシアノ基を導入した誘導体(CN−PPV)などが挙げられる。
中でも、フラーレン化合物は電荷分離速度と電子移動速度が速いため、好ましく用いられる。フラーレン化合物の中でも、C70誘導体(上記PC70BMなど)は光吸収特性に優れ、より高い光電変換効率を得られるため、より好ましい。
本発明の光起電力素子用材料において、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率(重量分率)は特に限定されないが、電子供与性有機材料:電子受容性有機材料の重量分率が、1〜99:99〜1の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90:90〜10の範囲であり、さらに好ましくは20〜60:80〜40の範囲である。
電子供与性有機材料と電子受容性有機材料は混合して用いることが好ましい。混合方法としては特に限定されるものではないが、所望の比率で溶媒に添加した後、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を1種または複数種組み合わせて溶媒中に溶解させる方法が挙げられる。なお、後述するように、光起電力素子用材料が一層の有機半導体層を形成する場合は、上述の含有比率はその一層に含まれる電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率となり、有機半導体層が二層以上の積層構造である場合は、有機半導体層全体における電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の含有比率を意味する。
光電変換効率をより向上させるためには、キャリアのトラップとなるような不純物は極力除去することが好ましい。本発明では、前述の一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体や、電子受容性有機材料の不純物を除去する方法は特に限定されないが、カラムクロマトグラフィー法、再結晶法、昇華法、再沈殿法、ソクスレー抽出法、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による分子量分画法、濾過法、イオン交換法、キレート法等を用いることができる。一般的に低分子有機材料の精製にはカラムクロマトグラフィー法、再結晶法、昇華法が好ましく用いられる。
他方、高分子量体の精製には、低分子量成分を除去する場合には再沈殿法やソクスレー抽出法、GPCによる分子量分画法が好ましく用いられ、金属成分を除去する場合には再沈殿法やキレート法、イオン交換法、カラムクロマトグラフィー法が好ましく用いられる。これらの方法のうち、複数を組み合わせてもよい。
次に、本発明の光起電力素子について説明する。本発明の光起電力素子は、少なくとも正極と負極を有し、これらの間に本発明の光起電力素子用材料を含む。図1は本発明の光起電力素子の一例を示す模式図である。図1において符号1は基板、符号2は正極、符号3は本発明の光起電力素子用材料を含む有機半導体層、符号4は負極である。
有機半導体層3は本発明の光起電力素子用材料を含む。すなわち、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料と、電子受容性有機材料を含む。これらの材料は混合されていても積層されていてもよいが、混合されていることが好ましい。上述の「バルクヘテロ接合型」とは、この混合されているタイプを示す。混合されている場合は、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料は分子レベルで相溶しているか、相分離しているが、ナノレベルで相分離していることが好ましい。この相分離構造のドメインサイズは特に限定されるものではないが通常1nm以上50nm以下のサイズである。積層されている場合は、p型半導体特性を示す電子供与性有機材料を有する層が正極側、n型半導体特性を示す電子受容性有機材料を有する層が負極側であることが好ましい。
有機半導体層3が積層されている場合の光起電力素子の一例を図2に示す。符号5は一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料を有する層、符号6は電子受容性有機材料を有する層である。有機半導体層は5nm〜500nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜300nmである。積層されている場合は、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料を有する層は上記厚さのうち1nm〜400nmの厚さを有していることが好ましく、より好ましくは15nm〜150nmである。
また、有機半導体層3には一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体、および電子受容性有機材料以外の電子供与性有機材料(p型有機半導体)を含んでいてもよい。ここで用いる電子供与性有機材料(p型有機半導体)としては、先に例示したものが挙げられる。
本発明の光起電力素子においては、正極2もしくは負極4のいずれかに光透過性を有することが好ましい。電極の光透過性は、有機半導体層3に入射光が到達して起電力が発生する程度であれば、特に限定されるものではない。ここで、本発明における光透過性は、[透過光強度(W/m)/入射光強度(W/m)]×100(%)で求められる値である。電極の厚さは光透過性と導電性とを有する範囲であればよく、電極素材によって異なるが20nm〜300nmが好ましい。なお、もう一方の電極は導電性があれば必ずしも光透過性は必要ではなく、厚さも特に限定されない。
電極材料としては、一方の電極には仕事関数の大きな導電性素材、もう一方の電極には仕事関数の小さな導電性素材を使用することが好ましい。仕事関数の大きな導電性素材を用いた電極は正極となる。この仕事関数の大きな導電性素材としては金、白金、クロム、ニッケルなどの金属のほか、透明性を有するインジウム、スズ、モリブデンなどの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)など)が好ましく用いられる。ここで、正極2に用いられる導電性素材は、有機半導体層3とオーミック接合するものであることが好ましい。さらに、後述する正孔輸送層を用いた場合においては、正極2に用いられる導電性素材は正孔輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。
仕事関数の小さな導電性素材を用いた電極は負極となるが、この仕事関数の小さな導電性素材としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属、具体的にはリチウム、マグネシウム、カルシウムなどが使用される。また、錫や銀、アルミニウムも好ましく用いられる。さらに、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体からなる電極も好ましく用いられる。
また、負極4と電子輸送層の界面にフッ化リチウムやフッ化セシウムなどの金属フッ化物や炭酸セシウムなどの金属炭酸塩を導入することで、取り出し電流を向上させることも可能である。ここで、負極4に用いられる導電性素材は、有機半導体層3とオーミック接合するものであることが好ましい。さらに、後述する電子輸送層を用いた場合においては、負極4に用いられる導電性素材は電子輸送層とオーミック接合するものであることが好ましい。
基板1は、光電変換材料の種類や用途に応じて、電極材料や有機半導体層が積層できる基板、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂等の有機材料から任意の方法によって作製されたフィルムや板が使用可能である。また基板側から光を入射して用いる場合は、上記に示した各基板に80%程度の光透過性を持たせておくことが好ましい。
本発明では、正極2と有機半導体層3の間に正孔輸送層を設けてもよい。正孔輸送層を形成する材料としては、ポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体などの導電性高分子や、フタロシアニン誘導体(HPc、CuPc、ZnPcなど)、ポルフィリン誘導体などのp型半導体特性を示す低分子有機化合物が好ましく用いられる。特に、ポリチオフェン系重合体であるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたものが好ましく用いられる。正孔輸送層は5nm〜600nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmである。
また、正孔輸送層をフルオラス化合物(分子中にフッ素原子を1個以上有する有機化合物)により処理することが好ましく、光電変換効率をより向上させることができる。フルオラス化合物として、例えばベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロベンゼン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロヘキサン、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール(F−デカノール)などが挙げられる。
より好ましくはベンゾトリフルオリド、ペルフルオロヘキサン、F−デカノールが用いられる。処理方法としては、正孔輸送層を形成する材料に上述のフルオラス化合物をあらかじめ混合してから正孔輸送層を形成する方法や、正孔輸送層を形成してから上述のフルオラス化合物を接触させる方法(スピンコート、ディップコート、ブレードコート、蒸着、蒸気処理など)が挙げられる。
また、本発明の光起電力素子は、有機半導体層3と負極4の間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層を形成する材料として、特に限定されるものではないが、上述の電子受容性有機材料(NTCDA、PTCDA、PTCDI−C8H、オキサゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、フラーレン化合物、CNT、CN−PPVなど)や酸化チタンのようにn型半導体特性を示す化合物が好ましく用いられる。電子輸送層は5nm〜600nmの厚さが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmである。
また、本発明の光起電力素子は、1つ以上の中間電極を介して2層以上の有機半導体層を積層(タンデム化)して直列接合を形成してもよい。例えば、基板/正極/第1の有機半導体層/中間電極/第2の有機半導体層/負極という積層構成を挙げることができる。このように積層することにより、開放電圧を向上させることができる。なお、正極と第1の有機半導体層の間、および、中間電極と第2の有機半導体層の間に上述の正孔輸送層を設けてもよく、第1の有機半導体層と中間電極の間、および、第2の有機半導体層と負極の間に上述の正孔輸送層を設けてもよい。
このような積層構成の場合、有機半導体層の少なくとも1層が本発明の光起電力素子用材料を含み、他の層には、短絡電流を低下させないために、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体とはバンドギャップの異なる電子供与性有機材料を含むことが好ましい。
このような電子供与性有機材料としては、例えば上述のポリチオフェン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリフルオレン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリチエニレンビニレン系重合体、ベンゾチアジアゾール系重合体(例えば、PCPDTBT(poly[2,6−(4,4−bis−(2−ethylhexyl)−4H−cyclopenta[2,1−b;3,4−b’]dithiophene)−alt−4,7−(2,1,3−benzothiadiazole)])や、PSBTBT(poly[(4,4−bis−(2−ethylhexyl)dithieno[3,2−b:2’,3’−d]silole)−2,6−diyl−alt−(2,1,3−benzothiadiazole)−4,7−diyl]))などの共役系重合体があげられる。
また、Hフタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)等のフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPD)等のトリアリールアミン誘導体、4,4’−ジ(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体(ターチオフェン、クウォーターチオフェン、セキシチオフェン、オクチチオフェンなど)等の低分子有機化合物が挙げられる。
また、ここで用いられる中間電極用の素材としては高い導電性を有するものが好ましく、例えば上述の金、白金、クロム、ニッケル、リチウム、マグネシウム、カルシウム、錫、銀、アルミニウムなどの金属や、透明性を有するインジウム、スズ、モリブデン、チタンなどの金属酸化物、複合金属酸化物(インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)など)、上記の金属からなる合金や上記の金属の積層体、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やPEDOTにポリスチレンスルホネート(PSS)が添加されたものなどが挙げられる。中間電極は光透過性を有することが好ましいが、光透過性が低い金属のような素材でも膜厚を薄くすることで充分な光透過性を確保できる場合が多い。
次に、本発明の光起電力素子の製造方法について例を挙げて説明する。基板上にITOなどの透明電極(この場合正極に相当)をスパッタリング法などにより形成する。次に、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体、および必要によりその他の電子供与性有機材料や電子受容性有機材料を含む光起電力素子用材料を溶媒に溶解させて溶液を作り、透明電極上に塗布し有機半導体層を形成する。このとき用いられる溶媒は有機溶媒が好ましい。
例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、トルエン、キシレン、o−クロロフェノール、アセトン、酢酸エチル、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、上述のフルオラス化合物を含有することで光電変換効率をより向上させることができる。常温常圧で液体であるフルオラス化合物(フルオラス溶媒)が好ましく、より好ましくは上述のベンゾトリフルオリド、ペルフルオロヘキサン、F−デカノールが用いられる。フルオラス化合物の含有量は全溶媒量に対して0.01〜20体積%が好ましく、より好ましくは0.1〜2体積%である。また、フルオラス溶媒の含有量は全溶媒中0.01〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜4重量%である。
一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を混合して有機半導体層を形成する場合は、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料と電子受容性有機材料を所望の比率で溶媒に添加し、加熱、撹拌、超音波照射などの方法を用いて溶解させ溶液を作り、透明電極上に塗布する。この場合、2種以上の溶媒を混合して用いることで光起電力素子の光電変換効率を向上させることもできる。これは、電子供与性有機材料と電子受容性有機材料がナノレベルで相分離を起こし、電子と正孔の通り道となるキャリアパスが形成されるためと推測される。組み合わせる溶媒は、用いる電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の種類によって最適な組み合わせの種類を選択することができる。
一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料を用いる場合、組み合わせる好ましい溶媒として上述の中でもクロロホルムとクロロベンゼンが挙げられる。この場合、各溶媒の混合体積比率は、クロロホルム:クロロベンゼン=5:95〜95:5の範囲であることが好ましく、さらに好ましくはクロロホルム:クロロベンゼン=10:90〜90:10の範囲である。
また、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料および電子受容性有機材料を積層して有機半導体層を形成する場合は、例えば電子供与性有機材料の溶液を塗布して電子供与性有機材料を有する層を形成した後に、電子受容性有機材料の溶液を塗布して層を形成する。ここで、電子供与性有機材料および電子受容性有機材料は、分子量が1000以下程度の低分子量体である場合には、蒸着法を用いて層を形成することも可能である。
有機半導体層の形成には、スピンコート塗布、ブレードコート塗布、スリットダイコート塗布、スクリーン印刷塗布、バーコーター塗布、鋳型塗布、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法、スプレー法、真空蒸着法など何れの方法を用いてもよく、膜厚制御や配向制御など、得ようとする有機半導体層特性に応じて形成方法を選択すればよい。例えばスピンコート塗布を行う場合には、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料、および電子受容性有機材料が1〜20g/lの濃度(一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料と電子受容性有機材料と溶媒を含む溶液の体積に対する、一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料と電子受容性有機材料の重量)であることが好ましく、この濃度にすることで厚さ5〜200nmの均質な有機半導体層を得ることができる。
形成した有機半導体層に対して、溶媒を除去するために、減圧下または不活性雰囲気下(窒素やアルゴン雰囲気下)などでアニーリング処理を行ってもよい。アニーリング処理の好ましい温度は40℃〜300℃、より好ましくは50℃〜200℃である。また、アニーリング処理を行うことで、積層した層が界面で互いに浸透して接触する実効面積が増加し、短絡電流を増大させることができる。このアニーリング処理は、負極の形成後に行ってもよい。
次に、有機半導体層上にAlなどの金属電極(この場合負極に相当)を真空蒸着法やスパッタ法により形成する。金属電極は、電子輸送層に低分子有機材料を用いて真空蒸着した場合は、引き続き、真空を保持したまま続けて形成することが好ましい。
正極と有機半導体層の間に正孔輸送層を設ける場合には、所望のp型有機半導体材料(PEDOTなど)を正極上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、正孔輸送層を形成する。フタロシアニン誘導体やポルフィリン誘導体などの低分子有機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
有機半導体層と負極の間に電子輸送層を設ける場合には、所望のn型有機半導体材料(フラーレン誘導体など)n型無機半導体材料(酸化チタンゲルなど)を有機半導体層上にスピンコート法、バーコーティング法、ブレードによるキャスト法、スプレー法等で塗布した後、真空恒温槽やホットプレートなどを用いて溶媒を除去し、電子輸送層を形成する。フェナントロリン誘導体やC60などの低分子有機材料を使用する場合には、真空蒸着機を用いた真空蒸着法を適用することも可能である。
本発明の光起電力素子は、光電変換機能、光整流機能などを利用した種々の光電変換デバイスへの応用が可能である。例えば光電池(太陽電池など)、電子素子(光センサ、光スイッチ、フォトトランジスタ、フォトコンダクタなど)、光記録材(光メモリなど)などに有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。また実施例等で用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
ITO:インジウム錫酸化物
PEDOT:ポリエチレンジオキシチオフェン
PSS:ポリスチレンスルホネート
PC70BM:フェニル C71 ブチリックアシッドメチルエステル
Eg:バンドギャップ
HOMO:最高被占分子軌道
Isc:短絡電流密度
Voc:開放電圧
FF:フィルファクター
PCE:光電変換効率 。
なお、H−NMR測定にはFT−NMR装置((株)日本電子製JEOL JNM−EX270)を用いた。また、平均分子量(数平均分子量、重量平均分子量)はGPC装置(クロロホルムを送液したTOSOH社製、高速GPC装置HLC−8220GPC)を用い、絶対検量線法によって算出した。重合度nは以下の式で算出した。
重合度n=[(重量平均分子量)/(繰り返しユニットの分子量)]
また、光吸収端波長は、ガラス上に約60nmの厚さに形成した薄膜について、日立製作所(株)製のU−3010型分光光度計を用いて測定した薄膜の紫外可視吸収スペクトル(測定波長範囲:300〜900nm)から得た。バンドギャップ(Eg)は以下の式により、光吸収端波長から算出した。なお、薄膜はクロロホルムを溶媒に用いてスピンコート法により形成した。
Eg(eV)=1240/光吸収端波長(nm)
また、最高被占分子軌道(HOMO)準位は、ITOガラス上に約60nmの厚さに形成した薄膜について、表面分析装置(大気中紫外線光電子分光装置AC−2型、理研機器(株)製)を用いて測定した。なお、薄膜はクロロホルムを溶媒に用いてスピンコート法により形成した。
合成例1
化合物A−1を式1に示す方法で合成した。
Figure 2012241099
化合物(1−a)((株)和光純薬工業製)20.29gをクロロホルム(162ml)/酢酸(72ml)混合溶液に加え、窒素雰囲気下で臭素74.1gを加えた後、室温で3時間、60℃で1時間撹拌し、9時間加熱還流させた。クロロホルムを留去したのち水300mlを加え、固体を濾取し、水、メタノールの順に洗浄した。得られた固体をエタノールから再結晶させ、化合物(1−b)を45.43g得た。
上記の化合物(1−b)45.43gと亜鉛粉末(23.6g)をエタノール(472ml)/酢酸(113ml)/塩酸(濃度3M、9.4ml)/水(47ml)混合溶液に加え、窒素雰囲気下で2.5時間加熱還流させた。エタノールを留去したのち水を加え、固体を濾取し、得られた固体をクロロホルムに溶解させた。得られた溶液を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、クロロホルムを留去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:熱ヘキサン)、次いでヘキサン再結晶により精製し、化合物(1−c)を24.82g得た。
上記の化合物(1−c)3.56gとヨウ化ナトリウム(8.24g)、ヨウ化銅(I)(0.1g)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.12ml)をo−キシレン(200ml)/ビス(2−メトキシエチル)エーテル(50ml)に加え、窒素雰囲気下で3日間加熱還流させた。得られた懸濁液から固体をろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:熱ヘキサン)で精製し、化合物(1−d)を4.1g得た。
上記の化合物(1−d)4.1gと8−ヘキサデシン((株)東京化成工業製)8.2ml、酢酸パラジウム0.22g、トリブチルアミン7mlをジメチルホルムアミド40mlに加え、窒素雰囲気下110℃で12時間撹拌した。得られた溶液にエーテルと水を加えて有機層を分取し、水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られたオイルをカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)により精製し、化合物(1−e)を1.63g得た。
上記の化合物(1−e)1.63gをジメチルホルムアミド40mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド2.8gを加え、室温で1日撹拌した。得られた溶液にエーテルと水を加えて有機層を分取し、水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られたオイルをカラムクロマトグラフィー(充填材:シリカゲル、溶離液:ヘキサン)により精製し、化合物(1−f)を1.66g得た。化合物(1−f)のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl,ppm):7.39(s,2H)、2.89(t,4H)、1.65−1.31(m,20H)、0.90(t,6H) 。
化合物(1−g)((株)東京化成工業製)4.3gと臭素10gを48%臭化水素酸150mlに加え、120℃で3時間撹拌した。室温に冷却し、析出した固体をグラスフィルターで濾過し、水1000mlとアセトン100mlで洗浄した。得られた固体を60℃で真空乾燥し、化合物(1−h)6.72gを得た。
上記の化合物(1−h)5.3gを1,4−ジオキサン70mlに加え、窒素雰囲気下でビス(ピナコラトジボロン)10.6g、[ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム0.88g、酢酸カリウム5.3gを加えた後、80℃で5時間撹拌した。得られた懸濁液から固体をろ別し、溶媒を減圧留去した。得られた固体をヘキサンから再結晶させ、化合物(1−i)を3.29g得た。化合物(1−i)のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl,ppm):8.14(s,2H)、1.45(s,24H) 。
上記の化合物(1−f)706mgと、上記の化合物(1−i)503mgをトルエン18mlに溶解した。ここに水10ml、炭酸カリウム3.59g、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)75mg、Aliquat336(アルドリッチ社製)1滴を加え、窒素雰囲気下、100℃にて9時間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン1gを加え、100℃にて2時間撹拌し、フェニルボロン酸1gを加え、100℃にて2時間撹拌した。得られた溶液にメタノール500mlを加え、生成した固体を濾取し、メタノール、アセトン、熱水、熱アセトンの順に洗浄した。得られた固体をアセトン400mlに加え、30分間加熱還流した。熱時濾過して得られた固体をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮し、メタノールで再沈澱させて化合物A−1を600mg得た(収率88%)。重量平均分子量は28600、数平均分子量は15800、重合度nは55.1であった。また、光吸収端波長は705nm、バンドギャップ(Eg)は1.76eV、最高被占分子軌道(HOMO)準位は−5.12eVであった。
合成例2
化合物A−2を式2に示す方法で合成した。
Figure 2012241099
合成例1の化合物(1−f)0.46gをテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、−78℃に冷却したところに、濃度1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液((株)和光純薬工業製)1.2mlを滴下し、−78℃で1時間撹拌した。次いで塩化トリメチルすず0.5gを加え、反応溶液を室温でさらに1日撹拌した後、水とジエチルエーテルを加えた。有機層を水で3回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して、化合物(2−a)を0.47g得た。化合物(2−a)のH−NMR測定結果を示す。
H−NMR(CDCl,ppm):7.48(s,2H)、3.03(t,4H)、1.63−1.31(m,20H)、0.90(t,6H)、0.44(s,18H) 。
上記の化合物(2−a)197mgと、化合物(2−b)(ジャーナル オブ アミリカン ケミカル ソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)、2009年、131巻、7792−7799頁に記載の方法で合成。)131mgをトルエン20mlに溶解した。ここにジメチルホルムアミド2ml、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)16mgを加え、窒素雰囲気下、120℃にて1日撹拌した。得られた溶液にメタノール500mlを加え、生成した固体を濾取し、メタノール、アセトン、熱水、アセトンの順に洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、シリカゲルショートカラム(溶離液:クロロホルム)を通した後に濃縮し、メタノールで再沈澱させて化合物A−2を180mg得た(収率93%)。重量平均分子量は4900、数平均分子量は3500、重合度nは7.0であった。また、光吸収端波長は762nm、バンドギャップ(Eg)は1.63eV、最高被占分子軌道(HOMO)準位は−4.96eVであった。
実施例1
上記A−1の1mgとPC70BM(Solenn社製)4mgをクロロベンゼン0.25mlの入ったサンプル瓶の中に加え、超音波洗浄機((株)井内盛栄堂製US−2(商品名)、出力120W)中で30分間超音波照射することにより溶液Aを得た。
スパッタリング法により正極となるITO透明導電層を120nm堆積させたガラス基板を38mm×46mmに切断した後、ITOをフォトリソグラフィー法により38mm×13mmの長方形状にパターニングした。得られた基板をアルカリ洗浄液(フルウチ化学(株)製、“セミコクリーン”EL56(商品名))で10分間超音波洗浄した後、超純水で洗浄した。この基板を30分間UV/オゾン処理した後に、基板上に正孔輸送層となるPEDOT:PSS水溶液(PEDOT0.8重量%、PPS0.5重量%)をスピンコート法により60nmの厚さに成膜した。ホットプレートにより200℃で5分間加熱乾燥した後、上記の溶液AをPEDOT:PSS層上に滴下し、スピンコート法により膜厚100nmの有機半導体層を形成した。その後、有機半導体層が形成された基板と陰極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が1×10−3Pa以下になるまで再び排気し、抵抗加熱法によって、負極となるアルミニウム層を80nmの厚さに蒸着した。以上のように、ストライプ状のITO層とアルミニウム層が交差する部分の面積が5mm×5mmである光起電力素子を作製した。
このようにして作製された光起電力素子の正極と負極をヒューレット・パッカード社製ピコアンメーター/ボルテージソース4140Bに接続して、大気中でITO層側から擬似太陽光(山下電装株式会社製 簡易型ソーラシミュレータ YSS−E40、スペクトル形状:AM1.5、強度:100mW/cm)を照射し、印加電圧を−1Vから+2Vまで変化させたときの電流値を測定した。この時の短絡電流密度(印加電圧が0Vのときの電流密度の値)は3.66mA/cm、開放電圧(電流密度が0になるときの印加電圧の値)は0.78V、フィルファクター(FF)は0.61であり、これらの値から算出した光電変換効率は1.7%であった。なお、フィルファクターと光電変換効率は次式により算出した。
フィルファクター=IVmax(mW/cm)/(短絡電流密度(mA/cm)×開放電圧(V))
(ここで、IVmaxは、印加電圧が0Vから開放電圧値の間で電流密度と印加電圧の積が最大となる点における電流密度と印加電圧の積の値である。)
光電変換効率=[(短絡電流密度(mA/cm)×開放電圧(V)×フィルファクター)/擬似太陽光強度(100mW/cm)]×100(%)
以下の比較例におけるフィルファクターと光電変換効率も全て上式により算出した。
実施例2
A−1の代わりに上記A−2を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の短絡電流密度は3.82mA/cm、開放電圧は0.90V、フィルファクター(FF)は0.67であり、これらの値から算出した光電変換効率は2.3%であった。
比較例1
A−1の代わりに下記B−1(エーシーエス アプライド マテリアルズ アンド インターフェイシズ(ACS Applied Materials & Interfaces)、2009年、1巻、1613−1621頁に記載の方法で合成。重量平均分子量は12000、数平均分子量は10000、重合度nは12.9であった。)を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の短絡電流密度は1.52mA/cm、開放電圧は0.72V、フィルファクター(FF)は0.40であり、これらの値から算出した光電変換効率は0.44%であった。
Figure 2012241099
比較例2
A−1の代わりに下記B−2(マクロモレキュルズ(Macromolecules)、2009年、42巻、6564−6571頁に記載の方法で合成。重量平均分子量は15400、数平均分子量は10200、重合度nは16.5であった。)を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の短絡電流密度は4.52mA/cm、開放電圧は0.68V、フィルファクター(FF)は0.45であり、これらの値から算出した光電変換効率は1.38%であった。
Figure 2012241099
比較例3
A−1の代わりに下記B−3(マクロモレキュルズ(Macromolecules)、2010年、43巻、811−820頁に記載の方法で合成。重量平均分子量は12000、数平均分子量は9000、重合度nは10.9であった。)を用いた他は実施例1と全く同様にして光起電力素子を作製し、電流−電圧特性を測定した。この時の短絡電流密度は1.82mA/cm、開放電圧は0.72V、フィルファクター(FF)は0.41であり、これらの値から算出した光電変換効率は0.54%であった。
Figure 2012241099
1 基板
2 正極
3 有機半導体層
4 負極
5 一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体を含む電子供与性有機材料を有する層
6 電子受容性有機材料を有する層

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有する共役系重合体。
    Figure 2012241099
    (R、Rは同じでも異なっていてもよく、水素、重水素、アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンの中から選ばれる。R、Rは同じでも異なっていてもよく、炭素数が6個以上のアルキル基である。nは5以上1000以下の範囲を表す。Aは下記一般式(2)のいずれかで表される構造の中から選ばれる。)
    Figure 2012241099
    (R〜R23は同じでも異なっていてもよく、水素、重水素、アルキル基、アルコキシ基、エステル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲンの中から選ばれる。)
  2. 請求項1記載の共役系重合体を含む電子供与性有機材料。
  3. 電子受容性有機材料および請求項2記載の電子供与性有機材料を含む光起電力素子用材料。
  4. 前記電子受容性有機材料がフラーレン化合物である請求項3記載の光起電力素子用材料。
  5. 前記フラーレン化合物がC70誘導体である請求項4記載の光起電力素子用材料。
  6. 少なくとも正極と負極を有する光起電力素子であって、負極と正極の間に請求項3〜5いずれか記載の光起電力素子用材料を含む光起電力素子。
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