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JP2012136838A - コンクリート充填鋼管柱 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート充填鋼管柱の構造性能を高めつつ、優れた耐火性能を確保することを目的とする。
【解決手段】コンクリート充填鋼管柱10は、鋼管12と、鋼管12の内部に充填される充填コンクリート14を備えている。鋼管12の内部に充填された充填コンクリート14は、第1コンクリート部としての外側コンクリート部14Aと、第2コンクリート部としての内側コンクリート部14Bを備えている。内側コンクリート部14Bは、超高強度コンクリート(例えば、設計基準強度60N/mm以上)で構成され、外側コンクリート部14Aは内側コンクリート部14Bよりもコンクリート強度が低いコンクリート(例えば、設計基準強度60N/mm未満)で構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリート充填鋼管柱に関する。
鋼管内にコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管(CFT(Concrete Filled Steel Tube))柱が知られている(例えば、特許文献1)。CFT柱では、一般に、中空の鋼管柱と比較して負担可能な軸力(負担軸力)が大きく、またコンクリートが充填されている分、熱容量が増加するため、耐火性能に優れている。そのため、設計条件(例えば、柱の負担軸力が比較的小さく火災継続時間が短い場合など)によっては、CFT柱の耐火被覆を省略することが可能である。
特開平10−204993号公報
ところで、構造物の高層化等に伴い、CFT柱にも更なる構造性能(耐力、剛性)の向上が望まれている。この解決策として、鋼管内のコンクリート強度を高めることが考えられる。しかしながら、コンクリート強度が高くなるとコンクリートの火災時の強度低下や剛性低下が大きくなり、低強度のコンクリートに比べて耐火時間が短くなることが知られている。
本発明は、上記の事実を考慮し、コンクリート充填鋼管柱の構造性能を高めつつ、優れた耐火性能を確保することを目的とする。
請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱は、鋼管と、前記鋼管の内周壁に沿って設けられた筒状の第1コンクリート部と、前記第1コンクリート部の内部に設けられ、前記第1コンクリート部とコンクリート強度が異なる第2コンクリート部と、を備えている。
請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱によれば、例えば、第1コンクリート部及び第2コンクリート部の一方を高強度コンクリートや超高強度コンクリートで構成し、第1コンクリート部及び第2コンクリート部の他方を一般的な強度のコンクリートで構成することにより、即ち、鋼管に充填される充填コンクリートのコンクリート強度を部分的に大きくすることにより、コンクリート充填鋼管柱の構造性能を高めつつ、耐火性能を確保することができる。
請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱は、請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱において、前記第1コンクリート部のコンクリート強度が、前記第2コンクリート部のコンクリート強度よりも低い。
請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱によれば、火災時に、高温になり易い第1コンクリート部のコンクリート強度を第2コンクリート部よりも低くしたことにより、第1コンクリート部の熱劣化が抑制される結果、鋼管の局部座屈が抑制される。従って、コンクリート充填鋼管柱の構造性能を高めつつ、耐火性能を確保することができる。
請求項3に記載のコンクリート充填鋼管柱は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱において、前記第1コンクリート部が、骨材として硬質砂岩、安山岩、及び流紋岩の少なくとも1つを有し、前記第2コンクリート部は、骨材として石灰岩を有している。
請求項3に記載のコンクリート充填鋼管柱によれば、火災時に、高温になり易い第1コンクリート部の骨材に硬質砂岩、安山岩、流紋岩の少なくとも1つを用いることにより、第1コンクリート部の熱劣化が抑制される結果、鋼管の局部座屈が抑制される。従って、コンクリート充填鋼管柱の構造性能を高めつつ、耐火性能を確保することができる。
本発明は、上記の構成としたので、コンクリート充填鋼管柱の構造性能を高めつつ、優れた耐火性能を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱を示す斜視図である。 (A)は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱を示す平断面図であり、(B)は、耐火試験の試験結果であり、所定時間加熱されたコンクリート充填鋼管柱の中心軸を通る水平方向の中心線に沿った温度分布である。 本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱を示す縦断面図である。 耐火試験の試験結果であり、加熱時間と変形量の関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱を示す平断面図である。 本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の変形例を示す平断面図である。 本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の変形例を示す平断面図である。 本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の変形例を示す平断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱について説明する。なお、各図において適宜図示される矢印Zは鋼管の軸方向を示している。
先ず、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱について説明する。
図1及び図2(A)には、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱10の一部が示されている。コンクリート充填鋼管柱10は、例えば、高層建物や超高層建物等の高い強度(例えば、設計基準強度で60N/mm以上、軸力比(軸力/(柱の水平断面積×充填コンクリートの設計基準強度)で0.3以上の高い軸力)が求められる柱として好適に用いられるものである。
コンクリート充填鋼管柱10は、鋼管12と、鋼管12の内部に充填される充填コンクリート14を備えている。鋼管12は角形鋼管からなり、軸方向(矢印Z方向)を上下方向として、図示しない基礎等の上に立てられている。なお、鋼管12の外周部には耐火被覆が施されておらず、コンクリート充填鋼管柱10は、無耐火被覆のコンクリート充填鋼管柱(無耐火被覆CFT柱)とされている。
鋼管12の内部に充填された充填コンクリート14は、第1コンクリート部としての外側コンクリート部14Aと、第2コンクリート部としての内側コンクリート部14Bを備えている。外側コンクリート部14Aは平面視にて略矩形形状の筒状(筒体)で、鋼管12の内周壁に沿って充填されたコンクリートが硬化したものであり、充填コンクリート14の外周部を構成している。外側コンクリート部14Aの略中央部には、鋼管12の軸方向へ延びる中空部16が形成されている。この中空部16には、内側コンクリート部14Bが設けられている。内側コンクリート部14Bは平面視にて略矩形形状で、外側コンクリート部14Aの中空部16に充填されたコンクリートが硬化したものであり、外側コンクリート部14Aと一体化されている。
なお、本実施形態では、一例として、先ず、鋼管12の内部に図示しない筒状の型枠を仮設し、当該型枠と鋼管12との間にコンクリートを充填して外側コンクリート部14Aを形成し、次に、型枠を撤去してから外側コンクリート部14Aの中空部16にコンクリートを充填して、内側コンクリート部14Bを形成した。
ここで、図2(B)には、一例として、所定時間加熱されたコンクリート充填鋼管柱10の温度分布が示されている。なお、この温度分布は、コンクリート充填鋼管柱10の中心軸を通る水平方向の中心線Cに沿って測定した温度である。図2(B)に示される温度分布から分かるように、加熱面側に近い充填コンクリート14の外周部では、充填コンクリート14の中央部と比較して、急激に温度が高くなっている。コンクリートは、一般に所定温度以上に加熱されると劣化(熱劣化)し、この状態で軸力を負担すると、脆性的に破壊され易くなる。このような熱劣化は、充填コンクリート14のコンクリート強度が高くなるに従って発生し易くなる。即ち、コンクリート強度が高いコンクリートでは、一般的な強度のコンクリートよりも低い温度で熱劣化が発生し易くなる。一方、充填コンクリート14の中央部は、充填コンクリート14の外周部と比較して温度が低く、熱劣化が発生し難い。
このように、所定時間加熱された充填コンクリート14のうち、熱劣化する温度に達する領域を熱劣化域とし、熱劣化する温度に達しない領域を健全域とすると、本実施形態では、上記熱劣化の対策として、熱劣化域を外側コンクリート部14Aで構成すると共に、健全域を内側コンクリート部14Bで構成し、外側コンクリート部14Aのコンクリート強度を内側コンクリート部14Bのコンクリート強度よりも低くしている。即ち、熱劣化域と健全域とでコンクリートを打ち分け、熱劣化域のコンクリート強度を健全域のコンクリート強度よりも低くしている。一例として、内側コンクリート部14Bを超高強度コンクリート(例えば、設計基準強度60N/mm以上)で構成し、外側コンクリート部14Aを内側コンクリート部14Bよりもコンクリート強度が低いコンクリート(例えば、設計基準強度60N/mmを下回る強度(未満))で構成されている。これにより、外側コンクリート部14Aの熱劣化が抑制されている。
なお、熱劣化域と健全域との境界は、コンクリート充填鋼管柱10に求められる耐火性能(耐火時間)に応じて適宜変更可能である。また、実施形態におけるコンクリート強度とは、コンクリートの圧縮強度を示す指標であり、例えば、設計基準強度、呼び強度、又はコンクリートの調合設計時に設定される目標強度(調合強度)等を用いることができる。
次に、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の作用について説明する。
例えば、図3に示されるように、火災によってコンクリート充填鋼管柱10が矢印A方向から加熱されると、先ず、温度上昇に伴って鋼管12が熱膨張し、鋼管12が軸方向(矢印Z方向)へ伸張すると共に、徐々に軟化して剛性が低下する。また、鋼管12の側壁12Aを介して、当該側壁12Aを内部から支持する外側コンクリート部14Aに熱が伝達され、外側コンクリート部14Aの温度が上昇する。そして、外側コンクリート部14Aの温度が所定温度(熱劣化温度)以上になると、外側コンクリート部14Aが熱劣化する。これにより、外側コンクリート部14Aが脆く、脆性的に破壊され易くなり、鋼管12の側壁12Aの支持強度が低下する。この結果、図中の二点鎖線で示されるように、温度上昇により剛性が低下した鋼管12の側壁12Aが面外方向へ凸状に湾曲し、局部座屈する。この際、矢印Qで示されるように、内側へ凸状に湾曲した鋼管12の側壁12Aによって外側コンクリート部14Aが押圧され、外側コンクリート部14Aが圧壊する。また、鋼管12の側壁12Aに局部座屈が発生すると、鋼管12の軸方向(矢印Z方向)に縮むため、鋼管12が負担していた軸力Fの一部が充填コンクリート14に導入され、充填コンクリート14の負担軸力が増加する。これにより、外側コンクリート部14Aの圧壊が促進され、コンクリート充填鋼管柱10の耐力(軸耐力)が急激に低下し、最終的に破壊に至る。
ここで、前述したように、一般にコンクリートは、コンクリート強度が高くなると、早期に熱劣化する。そして、鋼管12の側壁12Aを内部から支持する外側コンクリート部14Aが早期に熱劣化すると、コンクリート充填鋼管柱10が所定の耐力(火災時耐力)を発揮する前に、鋼管12の側壁12Aに局部座屈が発生し、コンクリート充填鋼管柱10の耐力が急激に低下してしまう。
そこで、本実施形態では、熱劣化域にある外側コンクリート部14Aを、健全域にある内側コンクリート部14Bよりもコンクリート強度が低いコンクリートで構成している。これにより、外側コンクリート部14Aに熱劣化が発生するまでの時間(加熱時間)が長くなるため、鋼管12の側壁12Aの局部座屈が抑制される。更に、本実施形態では、内側コンクリート部14Bを超高強度コンクリートで構成したことにより、外側コンクリート部14Aが熱劣化した後においても、所定の耐力を維持することができる。従って、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が向上する。また、鋼管12を外側から被覆する耐火被覆材等を省略することができるため、施工性の向上、コスト削減を図ることができる。
更に、内側コンクリート部14Bのみを超高強度コンクリートで構成し、外側コンクリート部14Aを内側コンクリート部14Bよりもコンクリート強度が低いコンクリートで構成したことにより、充填コンクリート14の軸耐力が向上するため、耐火性能だけでなく、耐震性能も向上する。従って、コンクリート充填鋼管柱10の構造性能を高めつつ、耐火性能を確保することができる。
次に、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管構造の変形例について説明する。
本変形例では、内側コンクリート部14Bを構成するコンクリートの骨材として石灰岩(以下、「石灰岩骨材」という)が用いられ、外側コンクリート部14Aを構成するコンクリートの骨材として硬質砂岩(以下、「硬質砂岩骨材」という)が用いられている。なお、外側コンクリート部14Aのコンクリート強度は、上記実施形態と同様に、内側コンクリート部14Bよりも低くされている。
ここで、石灰岩は、硬質砂岩、安山岩、流紋岩等と比較して安価で、かつコンクリート強度の高強度化(設計基準強度で80N/mm程度まで)が可能であり、近年、骨材として広く用いられるようになっている。しかしながら、石灰岩骨材を用いた高強度のコンクリートは、硬質砂岩骨材を用いたコンクリートと比較して耐火性能が低く、火災時に加熱されると熱劣化し易いことが知られている。下記の耐火試験でも同様の傾向が得られている。
耐火試験では、2つの試験体1,2に鉛直荷重(軸力比=0.4)を載荷しながら、試験体1,2をバーナーで加熱し、各試験体1,2の軸方向の変形量をそれぞれ測定した。試験体1では、石灰岩骨材を用いたコンクリートを角形鋼管に一律に充填した従来のコンクリート充填鋼管柱であり、試験体2では、硬質砂岩骨材を用いたコンクリートを角形鋼管に一律に充填した従来のコンクリート充填鋼管柱である。また、試験体1,2における角形鋼管の水平断面積は同一であり、これらの角形鋼管に充填されるコンクリートのコンクリート強度も略同一(呼び強度55N/mm、試験時強度70N/mm程度)である。
図4には、耐火試験の試験結果が示されている。図中に実線で示す曲線は試験体1の試験結果であり、点線で示す曲線は試験体2の試験結果である。なお、図4における横軸は加熱時間(分)であり、縦軸は試験体1,2の軸方向の変形量(mm)である。この変形量(mm)は、各試験体1,2に鉛直荷重を載荷した状態をゼロとし、軸方向に伸びる方向を正、軸方向に縮む方向を負としている。
図4に示される試験結果から、石灰岩骨材を用いた試験体1は、硬質砂岩骨材を用いた試験体2よりも早期に軸方向の変形量(縮み量)が大きくなり、急激に耐力が低下したことが分かる。これは、石灰岩骨材を用いた試験体1では、充填コンクリートの外周部が早期に熱劣化し、鋼管の側壁に局部座屈が発生したためと考えられる。石灰岩骨材を用いたコンクリートは、硬質砂岩骨材を用いたコンクリートに比べ耐火性能が劣ることが知られている。試験体1は加熱によって熱劣化し、脆くなった鋼管周辺のコンクリートが、図3に示す鋼管の面外への変形を抑えることができなくなり、鋼管の局部座屈によって脆性的に崩壊されたものと思われる。このように負担軸力が大きいCFT柱(例えば軸力比0.3以上)に石灰岩のように脆い骨材を用いる場合は、充填コンクリートが十分な耐力を残している場合でも、鋼管の局部座屈によって早期に破壊が生じる。なお、骨材として安山岩、流紋岩を用いたコンクリートは、硬質砂岩骨材を用いたコンクリートと同等以上の耐火性能を有することが知られている。従って、石灰岩骨材を用いたコンクリートは、安山岩、流紋岩を用いたコンクリートよりも早期に熱劣化するが分かる。
そこで、本実施形態では、火災時に高温になり難い内側コンクリート部14Bに石灰岩骨材を用い、火災時に高温になり易い外側コンクリート部14Aに硬質砂岩骨材を用いている。このように、石灰岩骨材よりも耐火性能に優れ、熱劣化し難い硬質砂岩骨材を外側コンクリート部14Aに用いることにより、火災時に、外側コンクリート部14Aに熱劣化が発生するまでの時間(加熱時間)が長くなるため、鋼管12の側壁12Aの局部座屈が抑制される。従って、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が向上する。更に、外側コンクリート部14Aと比較して、高温になり難い内側コンクリート部14Bに安価な石灰岩骨材を用いることにより、コスト削減を図りつつ、内側コンクリート部14Bの高強度化を図ることができる。
なお、外側コンクリート部14Aには、骨材として硬質砂岩、安山岩、流紋岩を適宜組み合わせて用いても良い。
次に、第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
図5には、第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱30が示されている。コンクリート充填鋼管柱30は、外側コンクリート部14Aの中空部16に内側鋼管32が配置された二重鋼管構造とされている。内側鋼管32は、外側の鋼管12(外側鋼管)と同じ形状の角形鋼管とされ、軸方向を上下方向にすると共に、その中心軸を鋼管12の中心軸に略一致させて鋼管12の内部に配置されている。また、内側鋼管32は、前述した熱劣化域と健全域の境界上に配置されており、鋼管12と内側鋼管32との間に外側コンクリート部14Aが設けられ、内側鋼管32の内部に内側コンクリート部14Bが設けられている。これらの鋼管12、内側鋼管32、外側コンクリート部14A、及び内側コンクリート部14Bは、コンクリートの付着力によって一体化されている。
本実施形態では、一例として、先ず、鋼管12の内部に内側鋼管32を配置し、次に、鋼管12と内側鋼管32との間にコンクリートを充填して外側コンクリート部14Aを形成すると共に、内側鋼管32の内部にコンクリートを充填して内側コンクリート部14Bを形成した。なお、工場等で、予め外側コンクリート部14Aを形成し、現場で内側コンクリート部14Bを形成しても良い。
次に、第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の作用について説明する。
本実施形態では、鋼管12と内側鋼管32との間に設けられた外側コンクリート部14Aによって、対向する鋼管12の側壁12Aと内側鋼管32の側壁32Aとが連結されており、いわゆるサンドイッチ構造になっている。従って、鋼管12の側壁12Aの面外剛性が向上するため、火災時における鋼管12の側壁12Aの局部座屈が抑制される。更に、曲げやせん断に対する鋼管12及び内側鋼管32の靭性が向上する。従って、コンクリート充填鋼管柱30の耐火性能が向上する。
また、内側鋼管32が内側コンクリート部14Bを拘束するコンファインド効果により、コンクリート充填鋼管柱30の耐力(軸耐力)が向上する。従って、耐火性能のみならず、コンクリート充填鋼管柱30の耐震性能も向上する。更には、外側コンクリート部14Aを成形するための型枠として内側鋼管32を用いることにより、コンクリート充填鋼管柱30の施工性が向上する。
次に、第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の変形例について説明する。
図6に示されるように、本変形例に係るコンクリート充填鋼管柱40では、外側鋼管としての鋼管12と内側鋼管32とが連結部材としての複数のリブ42で連結されている。これらのリブ42は板状で、長手方向を鋼管12の軸方向にすると共に、鋼管12の周方向に間隔を空けて鋼管12と内側鋼管32との間に複数配置されている。また、各リブ42は、鋼管12の下端部から上端部に渡って設けられ、鋼管12の側壁12A及び内側鋼管32の側壁32Aに溶接等でそれぞれ接合されている。これらのリブ42によって、仕切られた鋼管12と内側鋼管32との間の空間には、外側コンクリート部14Aを構成するコンクリートがそれぞれ充填されている。
このように鋼管12と内側鋼管32とを複数のリブ42で連結することにより、鋼管12の側壁12Aの面外剛性が飛躍的に増加する。従って、火災時における鋼管12の側壁12Aの局部座屈が抑制されるため、コンクリート充填鋼管柱40の耐火性能が向上する。また、リブ42によって鋼管12と内側鋼管32とを連結することにより、運搬時やコンクリート充填時における内側鋼管32の移動が拘束される。従って、コンクリート充填鋼管柱40の施工性が向上する。
なお、リブ42の形状、数、配置等は上記のものに限らず、適宜変更可能である。また、上記変形例では、各リブ42を鋼管12の下端部から上端部に渡って設けたが、長さが短くされた複数のリブ42を鋼管12の軸方向に間隔を空けて配置しても良いし、これらのリブ42を千鳥状に配置しても良い。更に、内側鋼管32やリブ42に、コンクリート充填用の貫通孔を形成しても良い。これにより、内側鋼管32の内部や、鋼管12と内側鋼管32との間の空間へのコンクリートの充填性が向上する。
なお、上記第1,第2実施形態では、鋼管12の側壁12Aの局部座屈を抑制するために、外側コンクリート部14Aのコンクリート強度を内側コンクリート部14Bのコンクリート部よりも低くしたが、鋼管12の側壁12Aの局部座屈の抑制を目的としない場合は、外側コンクリート部14Aのコンクリート強度を内側コンクリート部14Bのコンクリート部と同じか若しくはそれよりも高くしても良い。例えば、外側コンクリート部14Aを高強度コンクリートや超高強度コンクリートで構成し、内側コンクリート部14Bを一般的なコンクリート強度のコンクリートで構成しても良い。このように、充填コンクリート14のコンクリート強度を部分的に大きくすることにより、コスト削減を図りつつ、コンクリート充填鋼管柱10,30,40の負担軸力を大きくすることができる。これと同様に、外側コンクリート部14Aの骨材として硬質砂岩、安山岩、流紋岩の少なくとも1を用い、内側コンクリート部14Bの骨材として石灰岩を用いても良い。
また、第1,第2実施形態では、充填コンクリート14にコンクリート強度が異なる2つの外側コンクリート部14A及び内側コンクリート部14Bを設けたが、充填コンクリート14にコンクリート強度が異なる3つ以上の領域を層状に設けても良い。この場合、鋼管12の側壁12Aの座屈を防止する観点から、充填コンクリート14の外周部を構成する外側コンクリート部のコンクリート強度を相対的に低くすることが望ましい。
更に、第1,第2実施形態において、コンクリート充填鋼管柱10,30,40の断面形状は適宜変更可能である。例えば、図7に示されるように、内側コンクリート部14Bの形状を断面円形状にしても良い。また、鋼管12は、内部にコンクリートを充填可能であれば良く、例えば、図8に示されるように、円筒形状の丸形鋼管44を用いて良いし、断面多角形状の鋼管を用いても良い。なお、図7及び図8に示される外側コンクリート部14Aは、遠心成形によって形成される。このように遠心成形で外側コンクリート部14Aを形成することにより、型枠を省略することができるため、コンクリート充填鋼管柱10,30,40の製造性が向上する。
更にまた、外側コンクリート部14Aに、鋼繊維、鉄繊維、ガラス繊維等の繊維補強材を混入し、鋼管12の側壁12Aに対する支持強度を高めても良い。
また、火災時に、外側コンクリート部14Aに爆裂が発生すると、鋼管12の側壁12Aに対する支持強度が低下し、鋼管12の側壁12Aが局部座屈する原因となる。この対策として、外側コンクリート部14Aにポリプロピレン繊維等の有機繊維を混入しても良い。この場合、火災時に加熱された有機繊維が溶融し、外側コンクリート部14A内に多数の細孔が形成される。これにより、外側コンクリート部14Aに発生した水蒸気が細孔を通して外部へ放出されるため、外側コンクリート部14Aの水蒸気圧が低くなり、外側コンクリート部14Aの爆裂が抑制される。従って、鋼管12の側壁12Aの局部座屈が抑制されるため、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が向上する。
また、上記第1,第2実施形態におけるコンクリート充填鋼管柱10,30,40には、必要に応じて耐火被覆を施しても良い。
以上、本発明の第1,第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1,第2実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 コンクリート充填鋼管柱
12 鋼管
14A 外側コンクリート部(第1コンクリート部)
14 填コンクリート
14B 内側コンクリート部(第2コンクリート部)
30 コンクリート充填鋼管柱
40 コンクリート充填鋼管柱
44 丸形鋼管(鋼管)

Claims (3)

  1. 鋼管と、
    前記鋼管の内周壁に沿って設けられた筒状の第1コンクリート部と、
    前記第1コンクリート部の内部に設けられ、前記第1コンクリート部とコンクリート強度が異なる第2コンクリート部と、
    を備えるコンクリート充填鋼管柱。
  2. 前記第1コンクリート部のコンクリート強度が、前記第2コンクリート部のコンクリート強度よりも低い請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱。
  3. 前記第1コンクリート部が、骨材として硬質砂岩、安山岩、及び流紋岩の少なくとも1つを有し、
    前記第2コンクリート部は、骨材として石灰岩を有する請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱。
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