JP7529596B2 - 鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造及びその構築方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の柱梁接合構造は、SRC柱と鉄骨梁の接合構造である。SRC柱は、H型鋼の周囲に鉄筋を配筋し、H型鋼及び鉄筋の周囲にコンクリートを打設した構造であり、RC柱(鉄筋コンクリート柱)と鉄骨梁の接合構造と比較して、軸耐力性及び耐震性が向上するとともに、SRC柱と鉄骨梁との間の応力の伝達を円滑に行うことができる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、工期短縮、施工性を向上することができる鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法を提供することにある。また、外側鋼管の拘束効果によりコンクリートの圧縮強度が上昇することで軸耐力及び耐震性が向上する鋼管コンクリート柱を提供し、鋼管コンクリート柱と鉄骨梁との間の応力の伝達を円滑に行うことができる接合構造を提供する。
また、鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法によると、軸耐力性及び耐震性を向上させながら、工期短縮、施工性を向上させることができる。
図1は、本発明に係る第1実施形態の柱と梁の接合構造を示すものであり、1階の基礎コンクリート1から鋼管コンクリート柱2(以下、SC柱2と称する)が立ち上がり、SC柱2の最上部に設けた柱梁接合部3を介して鉄骨梁4が水平方向に延在して接合されている。
内側鋼管5の下端開口はアンカープレートAPで閉塞されており、基礎コンクリート1の内部から立ち上がるアンカーボルト9が、アンカープレートAPに貫通して固定されている。また、基礎コンクリート1上には、床面を形成する床板コンクリート10が敷設されている。なお、この例はアンカーボルトがアンカープレートに貫通して固定されている形式を前提としているが、これに限定されるものではなく、埋込柱脚などの他の柱脚構造でも適用できるものである。
また、鉄骨梁4上に2階の床として床板コンクリート10が敷設され、柱梁接合部3の接合用鋼管11の上端に内側鋼管5の下端が溶接されている。そして、この内側鋼管5を2階のSC柱2の構成部材として、1階のSC柱2と同一構造の柱が形成されている。
ここで、図1の符号Aで示す1階のSC柱2を構成する外側鋼管6の下端と、1階の床板コンクリート10との間には所定の隙間が設けられている。また、図1の符号Bで示す外側鋼管6の上端と、柱梁接合部3の仕口13に溶接した外套部材14との間にも所定の隙間が設けられている。さらに、図1の符号Cで示す2階のSC柱2を構成する外側鋼管6の下端と、2階の床板コンクリート10との間にも所定の隙間が設けられている。このように外側鋼管6の下端と1階及び2階の床板コンクリート10との間に隙間を設け、外側鋼管6の上端と柱梁接合部3の外套部材14との間に隙間を設けることで、外側鋼管6には曲げモーメント及び軸力が作用しないため、外側鋼管の板厚を過剰にする必要は無く、経済的になる。
第1実施形態のSC柱2は、内側鋼管5と外側鋼管6の間に第1コンクリート7を充填したことで軸方向の圧縮強度が高くなり、従来の鉄骨鉄筋コンクリート柱(SRC柱)と比較して軸耐力が向上した柱構造とすることができる。
また、SC柱2は、内側鋼管5の内部に第2コンクリート8を充填したことで軸方向の圧縮強度がさらに高まり、第2コンクリート8の充填により内側鋼管5の面外変形が拘束され、座屈耐力が向上した柱構造とすることができる。
さらに、SC柱2は、内側鋼管5の内部に第2コンクリート8を充填し、内側鋼管5と外側鋼管6の間に第1コンクリート7を充填したことで、地震時に繰り返し荷重が加わっても、地震時の応力を負担しながら、靭性的な挙動を示すので、耐震性に優れた柱構造とすることができる。
したがって、第1実施形態の柱梁接合部3は、SC柱2と鉄骨梁4との間の応力の伝達を円滑に行うことができる。
ここで、本発明に記載している外套側空間が、接合用鋼管11の外側と4枚の外套部材14の内側で囲まれた空間に対応している。また、本発明に記載している接合用第2コンクリートが、第2コンクリート8に対応している。
次に、第1実施形態のSC柱2、柱梁接合部3及び鉄骨梁4を備えた構造物の構築方法について、図5(a)~(e)を参照して説明する。
先ず、図5(a)に示すように、1階の内側鋼管5Aの下端のアンカープレートAPを、基礎コンクリート1から立ち上がるアンカーボルト9に貫通した状態で固定し、基礎コンクリート1上に内側鋼管5を立設する。なお、内側鋼管5の上部は、柱梁接合部3の接合用鋼管11とされており、接合用鋼管11には、予め工場においてダイヤフラム12a,12bを介して仕口13が接合されている。そして、柱梁接合部3の仕口13に鉄骨梁4をボルト接合で連結した後に、接合用鋼管11の上端と2階の内側鋼管5の下端を溶接する。また、なお、基礎コンクリート1上には床板コンクリート10を敷設しておく。
このように、2階以上の上層階も、図5(a)~図5(e)の工程を繰り返し行うことで、SC柱2、柱梁接合部3及び鉄骨梁4を備えた構造物が構築されていく。
本実施形態の構築方法は、外側鋼管6が配筋と型枠の役割をするので、大幅な工期短縮を図ることができ、施工性を向上させることができる。
また、SC柱2の内側鋼管5と柱梁接合部3の接合用鋼管11とは内部空間同士が連通しており、一度のコンクリート注入作業で内側鋼管5及び接合用鋼管11に第1コンクリート7が同時に充填される。また、SC柱2の内側鋼管5と外側鋼管6の間の空間と、柱梁接合部3の接合用鋼管11の外周を仕口13及び外套部材14で囲んだ空間も互いに連通しており、一度のコンクリート注入作業で、内側鋼管5及び外側鋼管6の間と、接合用鋼管11、仕口13及び外套部材14の間に第1コンクリート7が同時に充填される。このように、本実施形態の構築方法は、コンクリートの充填作業を短時間で効率良く行うことができるので、さらに施工性を向上させることができる。
次に、図6は、本発明に係る第2実施形態の柱と梁の接合構造を示すものである。図1から図5で示した第1実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
本実施形態は、図6に示すように、1階のSC柱2の内側鋼管5と外側鋼管6の間の空間と、柱梁接合部3の接合用鋼管11と4枚の外套部材14との間の空間と、2階のSC柱2の内側鋼管5と外側鋼管6の間の空間とに連続して上下方向に延在し、第1コンクリート7に埋設された直線状の柱補強筋15が配置されている。
また、柱梁接合部3も、接合用鋼管11と接合用鋼管11の外周を囲っている4枚の外套部材14との間に充填された第1コンクリート7に柱補強筋15が埋設されていることで曲げ耐力が向上する。
なお、第2実施形態の柱と梁の接合構造の変形例として、図6で示した分割柱筋15bを削除して、柱梁接合部3の曲げモーメントを分割鉄筋15cで負担する構造としてもよい。
ここで、本発明に記載している柱梁接合補強筋が、柱梁接合部3を上下に延在する分割柱筋15cに対応している。
さらに、図7は、本発明に係る第3実施形態の柱と梁の接合構造を示すものである。
本実施形態は、第2実施形態の柱と梁の接合構造と同様に、1階のSC柱2の内側鋼管5と外側鋼管6の間の空間と、2階のSC柱2の内側鋼管5と外側鋼管6の間の空間とに連続して上下方向に延在する複数本の柱補強筋15が配置されている。
本実施形態が第2実施形態と異なる点は、第2実施形態で柱梁接合部3を構成していた4枚の外套部材14を削除し、柱梁接合部3の仕口13のウェブ13cを貫通して接合用鋼管11の周囲にループ形状に延在する複数本の接合補強筋16が配置されているとともに、複数本の接合補強筋16を埋設する第3コンクリート17が充填されていることである。
したがって、第3実施形態の柱梁接合部3も、SC柱2と鉄骨梁4との間の応力の伝達を円滑に行うことができる。
なお、上記実施形態では、四角鋼管の内側鋼管5としたが、円形鋼管、或いは多角形鋼管でもよく、円形鋼管の外側鋼管6としたが四角鋼管、或いは多角形鋼管でもよい。
2 鋼管コンクリート柱(SC柱)
3 柱梁接合部
4 鉄骨梁
5 内側鋼管
6 外側鋼管
7 第1コンクリート
8 第2コンクリート
AP アンカープレート
9 アンカーボルト
10 床板コンクリート
11 接合用鋼管
6a,6b 分割体
6a1,6a2,6b1,6b2 フランジ
12a,12b ダイヤフラム
13 仕口
13a,13b フランジ
13c ウェブ
14 外套部材
15 柱補強筋
15a,15b,15d 分割柱筋
15c 分割柱筋(柱梁接合補強筋)
16 接合補強筋
17 第3コンクリート
Claims (10)
- 鋼管コンクリート柱と鉄骨梁を柱梁接合部で接合する構造であって、
前記鋼管コンクリート柱は、
上下方向に延在して配置した内側鋼管と、
前記内側鋼管の外側に同軸に配置した外側鋼管と、
前記内側鋼管の外側と前記外側鋼管の内側とで囲まれた環状空間に充填した第1コンクリートと、を備え、
前記柱梁接合部は、
前記内側鋼管の上部であり、外周にダイヤフラムを設けた接合用鋼管と、
前記ダイヤフラムを介して前記鉄骨梁を接合する複数の仕口と、
前記複数の仕口に接続されて前記接合用鋼管の外周を囲む複数の外套部材と、
前記接合用鋼管の外側と前記複数の外套部材の内側とで囲まれ、前記環状空間に連通している外周空間と、を備え、
前記外周空間に、前記環状空間と同一の前記第1コンクリートが充填されていることを特徴とする鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造。 - 鋼管コンクリート柱と鉄骨梁を柱梁接合部で接合する構造であって、
前記鋼管コンクリート柱は、
上下方向に延在して配置した内側鋼管と、
前記内側鋼管の外側に同軸に配置した外側鋼管と、
前記内側鋼管の外側と前記外側鋼管の内側とで囲まれた環状空間に充填した第1コンクリートと、を備え、
前記柱梁接合部は、
前記内側鋼管の上部であり、外周にダイヤフラムを設けた接合用鋼管と、
前記ダイヤフラムを介して前記鉄骨梁を接合する複数の仕口と、
前記複数の仕口に接続されて前記接合用鋼管の外周を囲む複数の外套部材と、
前記接合用鋼管の外側と前記複数の外套部材の内側とで囲まれた外周空間に充填した前記第1コンクリートと、を備えており、
前記鋼管コンクリート柱は、前記内側鋼管の内部空間に充填した第2コンクリートを備えており、
前記柱梁接合部は、前記接合用鋼管の内部空間に充填した前記第2コンクリートを備えていることを特徴とする鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造。 - 前記外側鋼管は、周方向に2つ以上に分割された複数の分割体で構成され、前記複数の分割体を互いに接合することで構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造。
- 前記鉄骨梁の上部に床板コンクリートが敷設されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造。
- 前記鋼管コンクリート柱の前記第1コンクリートの内部に、柱補強筋が上下方向に延在して埋設されており、
前記柱梁接合部の前記第1コンクリートの内部に、柱梁接合補強筋が上下方向に延在して埋設されており、
前記柱補強筋及び前記柱梁接合補強筋は、上下方向に延在する同一の鉄筋であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造。 - 鋼管コンクリート柱と鉄骨梁を柱梁接合部で接合する構造の構築方法であって、
前記鋼管コンクリート柱は、内側鋼管と、前記内側鋼管より内径が大きく、周方向に2つ以上に分割された複数の分割体で構成されている外側鋼管と、を備え、
前記柱梁接合部は、前記内側鋼管の上部であり、外周にダイヤフラムを設けた接合用鋼管と、前記ダイヤフラムを介して前記鉄骨梁を接合する複数の仕口と、前記複数の仕口に接続されて前記接合用鋼管の外周を囲むことが可能な複数の外套部材と、を備えており、
基礎コンクリート上に前記内側鋼管を立設する工程と、
前記内側鋼管の外側に前記複数の分割体を配置して互いを接合することで外側鋼管を配置する工程と、
前記接合用鋼管の外側と前記複数の外套部材の内側とで囲まれた外周空間が、前記内側鋼管の外側と前記外側鋼管の内側とで囲まれた環状空間に連通するように、前記複数の外套部材を前記複数の仕口に接続する工程と、
互いに連通した前記環状空間及び前記外周空間に第1コンクリートを充填する工程と、を備えていることを特徴とする鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法。 - 鋼管コンクリート柱と鉄骨梁を柱梁接合部で接合する構造の構築方法であって、
前記鋼管コンクリート柱は、内側鋼管と、前記内側鋼管より内径が大きく、周方向に2つ以上に分割された複数の分割体で構成されている外側鋼管と、を備え、
前記柱梁接合部は、前記内側鋼管の上部であり、外周にダイヤフラムを設けた接合用鋼管と、前記ダイヤフラムを介して前記鉄骨梁を接合する複数の仕口と、を備えており、
基礎コンクリート上に前記内側鋼管を立設する工程と、
前記内側鋼管の外側に前記複数の分割体を配置して互いを接合することで外側鋼管を配置する工程と、
前記内側鋼管の外側と前記外側鋼管の内側とで囲まれた環状空間に連通する前記接合用鋼管の外周空間にループ状に延在する接合補強筋を配置する工程と、
互いに連通した前記環状空間及び前記外周空間に第1コンクリートを充填する工程と、を備えていることを特徴とする鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法。 - 前記環状空間及び前記外周空間に上下方向に延在する柱補強筋を配置する工程を備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法。
- 前記外周空間に上下方向に延在する柱梁接合補強筋を配置する工程を備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法。
- 前記内側鋼管及び前記接合用鋼管の内部空間に第2コンクリートを充填する工程を備えていることを特徴とする請求項6から9の何れか1項に記載の鋼管コンクリート柱と鉄骨梁の接合構造の構築方法。
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