JP2012121287A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度によってゲル状又は固体状と、液状とに相変化するインクを用いたインクジェット記録装置である。インクジェット記録装置は、記録媒体を外周面に保持して、回転しながら搬送する画像形成ドラムと、画像形成ドラム上に保持された記録媒体に対してインクを吐出する複数の記録ヘッドと、画像形成ドラムに記録媒体を受け渡す供給手段と、供給手段と記録ヘッドの間に配置され、画像形成ドラムを表面側から加熱する第一加熱手段と、第一加熱手段の加熱温度を制御する制御部とを備えている。
【選択図】 図2
Description
ここで、軽印刷分野では、印刷用紙、中でも普通紙に対する印刷の需要は依然として高く、インクジェット記録方法での高速かつ鮮明な印刷に対する要望は高い。しかし、軽印刷分野でのインクジェット記録方法の問題点として、記録ヘッドからは、比較的粘度の低いインクしか出射できないために、インク吸収性の低い印刷用紙に記録すると、異色間で色が混じってしまうブリードと呼ばれる現象や、同色間で色の濃淡が数珠状になって見えるビーディングと呼ばれる現象等が発生し、画質を落とす原因になっている。
また、インク吸収速度の速い普通紙に対する記録では、紙の繊維に沿って不規則なにじみが発生するフェザリングと呼ばれる現象が起こるとともに、裏面までインクが浸透してしまう裏抜けという現象も発生してしまうこともあり、普通紙でも画質低下の大きな原因となっている。
本発明の課題は、温度によってゲル状(又は固体状)と、液状とに相変化するインクを使用したとしても、形成される画像の光沢を安定化することである。
また、本発明は、画像形成ドラムが断熱層の上に蓄熱層を備える構造なので、外部からの加熱時に熱を逃がさず、速やかに温度が上昇して迅速な画像形成を実現すると共に、熱が逃げないので記録媒体Pを保持したときにも必要な熱量を維持して、ドットの光沢を安定化し、高画質で画像形成を行うことが可能となる。
爪部211は、画像形成ドラム21の外周面に形成された凹部213内に、軸方向に沿って複数収容されている。爪部211の先端部214は、画像形成ドラム21の外周面から接離自在となっており、この爪部211の先端部214と画像形成ドラム21の外周面とによって、記録媒体Pの先端部を挟持することで、画像形成ドラム21の外周面上に記録媒体Pを保持している。
るものである。ここで、記録媒体Pが画像形成ドラム21の外周面に設置された際に、記録媒体Pの画像形成領域P1から外れた部分P2に重なる領域P3にのみ、複数の吸引孔212が形成されている。そして、この複数の吸引孔212は、例えばブルーノイズ特性を持ったパターンで配置されている。
記録ヘッド5は、ライン式の記録ヘッドであり、画像形成ドラム21に周方向、すなわち記録媒体Pの搬送方向Yに沿って複数配列されている。各記録ヘッド5は、画像形成ドラム21の全長にわたって延在している。本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、合計で4個の記録ヘッド5が設けられている。
エネルギー線として紫外線を用いる場合、その紫外線照射光源としては、例えば、蛍光管(低圧水銀ランプ、殺菌灯)、冷陰極管、紫外レーザー、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどが挙げられるが、硬化性の観点から高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどの照度100mW/cm2以上の高照度なUV光を発光可能な光源が好ましい。中でも消費電力の少ないLEDが好ましいが、この限りでない。
また、集積用搬送チェーンスプロケット421の搬送方向Yの直下流には、画像形成ドラム21の表面温度を測定するドラム温度センサ9が配置されている。
弾性体72,82の表面は、滑り性のよい材質(例えばPFAチューブ等)を被膜しておき、耐久性を高めておくことも可能である。
そして、制御部10は、CPU(中央演算装置)と、メモリとを有して構成され、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御する。メモリは、画像作成装置19から転送された画像データや、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するためのプログラム、記録媒体種類毎の加熱温度等を記憶している。CPUは、メモリに格納された画像のデータやプログラムに基づいて演算を行ない、この演算結果に基づいて各構成要素に制御信号を送信する。
前記ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクは、高温では液体状態であるため、インクジェット記録ヘッドによる吐出が可能となる。この高温状態の活性光線硬化型インクを用いて記録すると、インク滴が記録媒体に着弾した後、温度差により自然冷却されることで速やかにインクが固化し、結果として隣り合うドット同士の合一を防いで画質劣化を防止できる。しかし、インク滴の固化力が強い場合には、ドット同士が孤立することで画像部に凹凸が生じ、極端な光沢低下や不自然なキラキラ感といった、光沢不均質感を招く場合があった。発明者らが鋭意検討した結果、インク滴の固化力、インクのゲル化温度、および記録媒体の温度を以下の範囲にすることで、インク滴同士の合一を防止して画質劣化を防ぐことができ、さらに最も自然な光沢感が得られることを見出した。すなわち、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有したインクの25℃における粘度が102mPa・s以上105mPa・s未満であるインクを用い、かつ該ゲル化剤によるインクのゲル化温度(Tgel)と記録媒体の表面温度(Ts)の差を5〜15℃に制御して印字することで、インク液滴合一の防止による高画質と自然な光沢感の両立が可能となる。なおこの場合、媒体の調温範囲は42〜48℃に相当する。
本発明に記載の活性光線硬化型インクを用いて、インクのゲル化温度(Tgel)と記録媒体の表面温度(Ts)の差を5〜15℃に調温することで、画質劣化がなく、文字などの細線の尖鋭性に優れ、自然な光沢感を持った画像を形成することが可能となるが、記録媒体の温度を5〜10℃の範囲に調温することでより優れた画像を形成することが可能となる。
(ゲル化剤)
本発明でいうゲル化とは、ラメラ構造、非共有結合や水素結合により形成される高分子網目、物理的な凝集状態によって形成される高分子網目、微粒子の凝集構造などの相互作用、析出した微結晶の相互作用などにより、物質が独立した運動を失って集合した構造を指しており、急激な粘度上昇や弾性増加を伴って固化した、または半固化した、または増粘した状態のことを指す。
一般に、ゲルには、加熱により流動性のある溶液(ゾルと呼ばれる場合もある)となり、冷却すると元のゲルに戻る熱可逆性ゲルと、一旦ゲル化してしまえば加熱しても、ふたたび溶液には戻らない熱不可逆性ゲルがある。本発明に係るオイルゲル化剤によって形成されるゲルは、ヘッド内の目詰まり防止の観点からは、熱可逆性ゲルであることが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクにおいては、インクのゲル化温度(相転移温度)が、40℃以上、100℃未満であることが好ましく、より好ましくは45℃以上、70℃以下である。夏場環境での気温を考慮すると、インクの相転移温度が40℃以上であれば、記録ヘッドからインク液滴を吐出する際に、印字環境温度に影響されることなく安定した出射性を得ることができ、また90℃未満であれば、インクジェット記録装置を過度の高温に加熱する必要がなく、インクジェット記録装置のヘッドやインク供給系の部材への負荷を低減することができる。
本発明において、インクのゲル化温度の測定方法は、例えば、各種レオメータ(例えばコーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ、PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、ゾル状態にある高温のインクを低剪断速度で温度変化をさせながら得られる粘度曲線、動的粘弾性の温度変化を測定することで得られる粘弾性曲線から求めることができる。また、ガラス管に封じ込めた小鉄片を膨張計の中にいれ、温度変化に対してインク液中を自然落下しなくなった時点を相転移点とする方法(J.Polym.Sci.,21,57(1956))、インク上にアルミニウム製シリンダーを置き、ゲル温度を変化させた時に、アルミニウム製シリンダーが自然落下する温度を、ゲル化温度として測定する方法(日本レオロジー学会誌 Vol.17,86(1989))が挙げられる。また、簡便な方法としては、ヒートプレート上にゲル状の試験片を置き、ヒートプレートを加熱していき、試験片の形状が崩れる温度を測定し、これをゲル化温度として求めることができる。なお、使用するゲル化剤の種類、ゲル化剤の添加量、活性光線硬化型モノマーの種類を変えることで、インクのゲル化温度(相転移温度)は調整可能である。
本発明に係るインクで用いられるゲル化剤は、高分子化合物であっても、低分子化合物であってもよいが、インクジェット射出性の観点から低分子化合物が好ましい。
本発明で好ましく用いられる高分子化合物の具体例としては、ステアリン酸イヌリンなどの脂肪酸イヌリンや、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリンなどの脂肪酸デキストリン(レオパールシリーズとして千葉製粉より入手可能)や、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ベヘン酸エイコサン二酸ポリグリセリル(ノムコートシリーズとして日清オイリオより入手可能)などが挙げられる。
本発明で好ましく用いられる低分子化合物の具体例としては、例えば特開2005−126507号や特開2005−255821号や特開2010−111790号の各公報に記載の低分子オイルゲル化剤や、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−2エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドなどのアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能)や、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)などのジベンジリデンソルビトール類や、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油系ワックスや、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、ホホバエステルなどの植物系ワックスや、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウなどの動物系ワックスや、モンタンワックス、水素化ワックスなどの鉱物系ワックスや、硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体や、モンタンワックス誘導体,パラフィンワックス誘導体,マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体などの変性ワックスや、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸や、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ルなどの高級アルコ−ルや、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシステアリン酸や、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体や、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノ−ル酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド(例えば、ニッカアマイドシリーズ 日本化成社製や、ITOWAXシリーズ 伊藤製油社製や、FATTYAMIDシリーズ 花王社製)や、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミドなどのN−置換脂肪酸アミドや、N,N´−エチレンビスステアリルアミド、N,N′−エチレンビス12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N′−キシリレンビスステアリルアミドなどの特殊脂肪酸アミドや、ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミンや、ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル、エチレングリコ−ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル化合物(例えばEMALLEXシリーズ 日本エマルジョン社製や、リケマールシリーズ 理研ビタミン社製や、ポエムシリーズ 理研ビタミン社製)や、ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸などのショ糖脂肪酸エステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製)や、ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスなどの合成ワックスや、重合性ワックス(UNILINシリーズ Baker−Petrolite社製)や、ダイマー酸、ダイマージオール(PRIPORシリーズ CRODA社製)などが挙げられる。また、上記のゲル化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明のインクにおいては、ゲル化剤、色材と共に、活性光線で硬化する活性光線硬化型組成物を含有することを特徴とする。
本発明に用いられる活性光線硬化型組成物(以下、光重合性化合物ともいう)について説明する。
本発明でいう活性光線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線または電子線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
本発明において、活性光線の照射により架橋または重合する光重合性化合物としては、特に制限なく用いることができるが、中でも光カチオン重合性化合物または光ラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
光カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号の各公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明においては、インク硬化の際の記録媒体の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましい。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することにより得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になること、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなることがある。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるオキセタン環を有する化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0089)に記載されている、一般式(1)で表される化合物、同じく同号公報の段落番号(0092)に記載されている、一般式(2)、段落番号(0107)の一般式(7)、段落番号(0109)の一般式(8)、段落番号(0166)の一般式(9)等で表される化合物を挙げることができる。
具体的には、同号公報の段落番号(0104)〜(0119)に記載されている例示化合物1〜6及び段落番号(0121)に記載されている化合物を挙げることができる。
次いで、ラジカル重合性化合物について説明する。
光ラジカル重合性モノマーとしては、各種公知のラジカル重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料と、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も例えば、特開平6−43633号公報、特開平8−324137公報等に公開されている。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
本発明のラジカル重合性化合物としては、公知のあらゆる(メタ)アクリレートモノマー及び/またはオリゴマーを用いることができる。本発明でいう「および/または」は、モノマーであっても、オリゴマーであっても良く、更に両方を含んでも良いことを意味する。また、以下に述べる事項に関しても同様である。
更に、これらの中でも、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが特に好ましい。
また本発明においては、重合性化合物として各種ビニルエーテル化合物とマレイミド化合物を併用して用いることも可能である。マレイミド化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N,N′−メチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、テトラエチレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N′−2,4−トリレンビスマレイミド、あるいは、また特開平11−124403号公報に開示されているマレイミドカルボン酸と種々のポリオール類とのエステル化合物である多官能マレイミド化合物などが挙げられるが、この限りではない。
上記カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
次いで、本発明のインクについて、上記項目を除いた各構成要素について説明する。
(色材)
本発明のインクにおいては、インクを構成する色材としては、染料あるいは顔料を制限なく用いることができるが、インク成分に対し良好な分散安定性を有し、かつ耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。顔料としては、特に限定されるわけではないが、本発明には、例えば、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。更には、下記のものが挙げられる。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリ
アクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
更には、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000」;日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、記録ヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
体例を挙げるが、本発明はこれらにのみ限定されるものではない。
MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)。
MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue
FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)。
MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(三井東圧)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)。
MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等である。
本発明のインクにおいて、活性光線として紫外線等を用いる場合には、少なくとも1種の光重合開始剤を含有することが好ましい。だたし、活性光線として電子線を用いる場合には、多くの場合、光重合開始剤を必要としない。
光重合開始剤は、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
また、ラジカル重合開始剤としては、特公昭59−1281号、特公昭61−9621号、及び特開昭60−60104号等の各公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号及び特開昭61−243807号等の各公報に記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号、特公昭44−6413号、特公昭44−6413号及び特公昭47−1604号等の各公報並びに米国特許第3,567,453号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,848,328号、同第2,852,379号及び同2,940,853号各明細書に記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号、特公昭37−13109号、特公昭38−18015号、特公昭45−9610号等の各公報に記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号、特開昭59−14023号等の各公報及び「マクロモレキュルス(Macromolecules)、第10巻、第1307頁(1977年)に記載の各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報に記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109,851号、ヨーロッパ特許第126,712号等の各明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス」(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)に記載の金属アレン錯体、特許第2711491号及び特許第2803454号明細書に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤はラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.01から10質量部の範囲で含有されるのが好ましい。
また、本発明のインクにおいては、光重合開始剤として、光酸発生剤も用いることができる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0132)に記載されている化合物を挙げることができる。
第2に挙げられる、スルホン酸を発生するスルホン化物の具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0136)に記載されている化合物を挙げることができる。
第2に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、その具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0138)に記載されている化合物を挙げることができる。
第3に、特開2005−255821号公報の段落番号(0140)に記載されている鉄アレン錯体を挙げることができる。
本発明に係る活性光線硬化型インクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが挙げられる。
なお、以下のインク組成物において用いられる顔料分散体は、ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製)5部と、HD−N(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート:新中村化学社製)80部とをステンレスビーカーに入れ加熱撹拌溶解し、これを室温まで冷却した後、カーボンブラック(#56:三菱化学社製)15部を加えて、0.5mmのジルコニアビーズとともにガラスビンに入れ密栓し、ペイントシェーカーにて10時間分散処理してから、ジルコニアビーズを除去したものである。
まず、画像形成前においては、作業者はこれから画像形成を行う記録媒体Pの種類を記録媒体種類入力部16に入力する。制御部10は、記録媒体種類入力部16に入力された内容を基に、記録媒体Pの種類に対応した加熱温度を決定する。そして、制御部10は、当該加熱温度となるように第一ヒートローラ7及び第二ヒートローラ8を加熱する。このとき、制御部10は、ドラム温度センサ9及びローラ温度センサ17の検出結果に基づいて、画像形成ドラム21の表面温度と、第一ヒートローラ7の表面温度をモニタリングしており、この検出結果を第一ヒートローラ7及び第二ヒートローラ8の加熱温度にフィードバックすることで、常に目的の温度となるように制御している。
なお媒体の種類(同一種類で厚みが異なるものも含む)に対応して加熱温度を決定しているのは、本来は前述した通り第一ヒートローラ7によりインクのゲル化温度と記録媒体Pとの温度差が適正範囲になるように調温制御するが、上記のようにドラム温度センサ9及びローラ温度センサ17は、記録媒体Pの温度を直接検出していないためである。
具体的には、給紙用搬送部32によって、記録媒体Pが給紙トレイ31から受け渡しドラム22まで搬送されると、吸着部によって受け渡しドラム22の外周面に記録媒体Pが吸着される。
そして、受け渡しドラム22の回転によって記録媒体Pが画像形成ドラム21に近接すると、記録媒体Pの先端部が爪部211によって挟持され、吸引ポンプ215の吸引により記録媒体Pの全体が画像形成ドラム21の外周面に吸着される。
画像形成後、画像形成ドラム21の回転に伴って記録媒体Pがエネルギー線照射部6に対向すると、制御部10は、エネルギー線照射部6を制御して、エネルギー線を記録媒体Pに照射する。これにより各インクが硬化し、記録媒体P上に画像が定着する。
に精度良く加熱することができる。
また、画像形成ドラム21の回転方向の上流側にも第二ヒートローラ8が設けられているので、記録媒体Pが画像形成ドラム21に接触する前に、予め画像形成ドラム21を加熱することができる。これにより、記録媒体Pの厚さの違いによる温度を補償することができ、より細かな光沢制御が可能となる。
なお、記録媒体Pの種類の入力は、作業者による入力でも可能であるが、第一ヒートローラ71より上流側且つ記録媒体Pの通過経路に設置した記録媒体Pの種類を識別するセンサによって行っても良い。このセンサは種類を限定するものではなく、記録媒体Pの種類が識別できれば、どのようなセンサでも良い。
また、作業者が記録媒体Pの種類を入力するのではなく、記録媒体Pが収納されているケースなどに付されたバーコードからリーダにより種類情報を読み取る構成としても良い。
また、複数の吸引孔212が、ブルーノイズ特性を持ったパターンで配置されているので、画像形成後の記録媒体Pに吸引孔212の跡が残ってしまったとしてもその不規則なパターンにより視覚的に認識しにくくすることが可能である。
そして、記録媒体Pの画像形成領域P1から外れた部分P2と重なる領域P3にのみ吸引孔212が設けられているので、画像形成領域P1に吸引孔212の跡が残ってしまうことを防止できる。
例えば、上記実施形態では、画像形成ドラム21に記録媒体Pを受け渡す供給手段として受け渡しドラム22を例示して説明したが、供給手段としては、これ以外にもアーム式やベルト式のものが挙げられる。なお、供給手段がドラム式(受け渡しドラム22)であると、受け渡しドラム22の内部に熱源を設けることで、第一ヒートローラ7の機能を兼ねることもできる。
ト式の加熱手段の一例を示す模式図である。この図6に示すように無端ベルト式の加熱手段50は、画像形成ドラム21の周辺に配置された3つの駆動ローラ51と、これら3つの駆動ローラ51に掛け渡された無端ベルト52とを備えている。無端ベルト52は、薄い金属ベルトであり、その外周に弾性体が被膜されている。そして、無端ベルト52の外周面の一部は画像形成ドラム21の表面に当接している。そして、この無端ベルト52の内部には、熱源としてのヒーター53が設けられている。このように無端ベルト式の加熱手段50であると、画像形成ドラム21との接触面積を大きくすることができ、効率的な加熱が可能となる。
ここで、画像形成ドラム21についてより詳細且つ好ましい実施例について以下に説明することとする。図7は画像形成ドラム21の回転中心線に垂直な断面を示す断面図である。図示のように、画像形成ドラム21は、その中心に円筒形状の骨子となる剛体からなる支持体21aと、支持体21aの外周面上に形成された断熱層21bと、断熱層21bのさらに外側に形成された蓄熱層21cとを備える構造となっている。
上記支持体21aは、SUS304(ステンレス)を素材とし、断熱層21bは厚さを2[mm]とし、その素材をエポキシとしている。
図8は、画像形成ドラム21の蓄熱層21cについて、その厚さを1,2,3,4,5[mm]とすることで各々の単位面積あたりの熱容量を調整したものについて、30℃(想定される一般的な環境温度)から45℃(画像形成時に要求される設定温度)まで昇温するのに要した時間を測定し、その結果を示したグラフである。
なお、図8では、蓄熱層21cの素材をSUS304(*印)とアルミニウム(△印)とした場合についてそれぞれ図示している。縦軸は測定に用いたそれぞれの画像形成ドラム21の蓄熱層21cの単位面積当たりの熱容量(単位は[J/(m2・K)])、横軸は目標温度までの所要時間(単位は[s])を示している。
この比較試験によれば、蓄熱層21cはいずれの素材の場合でも、加熱所要時間はその単位面積当たりの熱容量に比例する結果を示した。そして、その加熱所要時間と単位面積当たりの熱容量の関係を示す近似直線によれば、所要時間を300[s]以下とするためには単位面積当たりの熱容量を9000[J/(m2・K)]とすべき結果が求められた。
従って、蓄熱層21cは、目標温度までの昇温の迅速化の観点からは、単位面積当たりの熱容量を9000[J/(m2・K)]以下とすることが望ましいといえる。なお、蓄熱層21cの素材については、SUS304とアルミニウムが好ましいが、特にSUS304とアルミニウムのみに限定すべきことを示すものではない。
設定温度の上限である48℃まで昇温された画像形成ドラム21に対して、使用が想定される最も厚い600[μm]の記録媒体P(最も厚い記録媒体Pが最も画像形成ドラム21の温度を低下させるため)が25℃の温度(記録媒体Pの常温)で供給された場合に、画像形成に許容される温度の下限値である42℃以上を維持するために必要な蓄熱層21cの単位面積当たりの熱容量は、理論上の演算によれば、2890[J/(m2・K)]である。蓄熱層21cを
これ以下の単位面積当たりの熱容量とすると、厚さの厚い記録媒体Pについて高画質が維持できなくなる。従って、環境温度の変化なども考慮した場合、画像形成ドラム21の蓄熱層21cの単位面積当たりの熱容量は3000[J/(m2・K)]以上とすることが望ましいということができる。
つまり、画像形成ドラム21の蓄熱層21cの単位面積当たりの熱容量は、昇温の所要時間と記録媒体Pの供給時の温度低下の双方の観点から、3000[J/(m2・K)]以上9000[J/(m2・K)]以下の範囲が望ましい。
図9は画像形成ドラム21の蓄熱層21cの素材をSUS304(熱伝導率17[W/(m・K)])、アルミニウム(熱伝導率235[W/(m・K)])、ニッケル鋼30Ni(熱伝導率12[W/(m・K)])ニッケル鋼40Ni(熱伝導率10[W/(m・K)])とすることで熱伝導率を調整したものについて、記録媒体Pが25℃(記録媒体Pの常温)から42℃(画像形成に許容される温度の下限値)まで昇温するのに要した時間を測定し、その結果を示したグラフである。
縦軸は測定に用いたそれぞれの画像形成ドラム21の蓄熱層21cの熱伝導率(単位は[W/(m・K)])、横軸は目標温度までの所要時間(単位は[s])を示している。
アルミニウムのように、蓄熱層21cの熱伝導率が15[W/(m・K)]を大きく上回っても、記録媒体Pの昇温にかかる所要時間は大きく短縮されるわけではない。
また、記録媒体Pを紙とする場合の熱伝達率は2.83[W/(m・K)]である。上記蓄熱層21cの熱伝達率と記録媒体Pの熱伝達率の比率は、15÷2.83≒5により5以上を確保することが望ましい。また、断熱層21bは、厚さが厚い方が断熱効果が得られることから、上記のように厚さ2[mm]以上とすることがより好ましい。
さらに、断黙層21bは、その厚みを100[μm]以上とすることが望ましい。このようにした場合にも、蓄熱層21cから支持体21aへの熱伝達が抑制され、高画質の維持及び省電力化の効果を得ることが可能である。また、断熱層21bは、厚さが厚い方が断熱効果が得られることから、上記のように厚さ2[mm]以上とすることがより好ましい。
2 画像形成部
3 給紙部
4 集積部
5 記録ヘッド
7 第一ヒートローラ(第一加熱手段)
8 第二ヒートローラ(第二加熱手段)
9 ドラム温度センサ
10 制御部
17 ローラ温度センサ
19 画像作成装置
21 画像形成ドラム
22 受け渡しドラム(供給手段)
P 記録媒体
Claims (8)
- 温度によってゲル状又は固体状と、液状とに相変化するインクを用いたインクジェット記録装置であって、
記録媒体を外周面に保持して、回転しながら搬送する画像形成ドラムと、
前記画像形成ドラム上に保持された前記記録媒体に対して前記インクを吐出する複数の記録ヘッドと、
前記画像形成ドラムに前記記録媒体を受け渡す供給手段と、
前記供給手段と前記記録ヘッドの間に配置され、前記画像形成ドラムの外部からその外周面側を加熱する第一加熱手段とを備え、
前記画像形成ドラムは、
その外周面の最外周層を形成する蓄熱層と、
前記蓄熱層の下層側に位置する断熱層と、
前記蓄熱層及び前記断熱層を支持する支持体とを備える構造であることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記画像形成ドラムの表面温度及び前記第一加熱手段の温度の少なくとも一方を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出結果に基づいて前記第一加熱手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。 - 前記蓄熱層の単位表面積あたりの熱容量を9000[J/(m2・K)]以下としたことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
- 前記蓄熱層の単位表面積あたりの熱容量を、さらに、3000[J/(m2・K)]以上としたことを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
- 前記蓄熱層の熱伝導率を15[W/(m・K)]以上としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記蓄熱層をステンレス鋼又はアルミニウムで形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記断熱層の熱伝導率をO.20[W/(m・K)]以下としたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記断黙層の厚みを100[μm]以上としたことを特徴とする講求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
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